JP6342686B2 - 発泡体及び発泡体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡材とする発泡体、及びその製造方法に関する。
従来より紙を発泡材の一部として利用した発泡体が提案されている(特許文献1、2参照)。この発泡体は、パルプ繊維成分として古紙を使用できるため、紙のリサイクルに好適である。発泡体50は、図11(a)、(b)に示すように、パルプ繊維成分である紙粉末成分と、合成樹脂成分と、補助剤としての澱粉成分であるコーンスターチとを発泡させ、多数の発泡セルS11,S12より構成される。各発泡セルS11,S12は、内部の空間(空気層)がセル皮膜によって被われている。発泡体50は、その位置によって発泡セルS11,S12の発泡密度(発泡倍率)が異なり、発泡セル層51とこの両表面側に配置された2つの表面皮膜層52とから成る3層構造に概略構成されている。発泡セル層51は、各表面皮膜層52より発泡密度が低い発泡セルS11が密集配置されている。各表面皮膜層52は、極薄厚みであり、発泡セル層53より発泡密度が高い発泡セルS12が密集配置されている。
次に、上記発泡体50を製造する押出し成形機60を説明する。図12(a)に示すように、押出し成形機60は、発泡材を投入する投入口(図示せず)と、投入された発泡材を混練する混練手段(図示せず)と、混練した発泡材を高温に加熱する加熱手段(図示せず)と、発泡材を押圧する押圧手段(図示せず)と、押圧室の先端側を塞ぐように配置された口金部材61と、この口金部材61の外側を囲むように配置された規制枠壁70とを備えている。口金部材61は、図12(b)に示すように、水平方向に等間隔を置いて配置された複数の吐出口62を有する。吐出口62は、1段である。規制枠壁70は、この複数の吐出口62より吐出された発泡材の発泡領域を規制する。規制枠壁70は、偏平長方形状の枠である。
次に、発泡体50の製造方法を説明する。押出し成形機60内に紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材と補助剤としてのコーンスターチと水を供給する。そして、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチと水を加熱混練し、この高温の発泡材を複数の吐出口62より押圧によって吐出させる。
すると、高温の発泡材に混入された水が各吐出口62より吐出された瞬間に気化し、水の蒸気圧により紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチから成る発泡材が発泡する。この発泡は、規制枠壁70によって規制されるため、規制枠壁70を断面積とする発泡体50が連続的に押し出される。各発泡セルS11,S12は、紙粉末成分の柔軟性やコーンスターチの粘着性等によって破泡することなく、密閉されたものとなる。
このような構造を有する発泡体50は、図13に示すような吸音特性を有する。この吸音特性は、固有振動及び位相速度によるものと多孔質型によるものを合わせたものと考えられる。つまり、固有振動による吸音性能は、入射振動によって発泡体が固有の振動数で固体振動し、入射振動と固体振動の相殺によるものである。位相速度による吸音性能は、外部から入射する音の内で、表面皮膜層52で反射する表面反射波と発泡体50の内部に進入し反射波として戻って来る透過反射波との相殺によるものである(図13の固有振動+位相速度による特性線図参照)。固有振動及び位相速度による吸音性能は、1kHz〜2kHzの低周波数帯内でピーク性能を発揮する。多孔質型による吸音性能は、発泡体50の内部に進入した音が発泡セルS11,S12の内部空間や発泡セルS11,S12の皮膜で振動し、振動によるエネルギー吸収(熱エネルギー放出)によるものである(図13の多孔質効果による特性線図参照)。多孔質型の吸音性能は、低周波数帯域では効果が低く、2kHz以上の高周波帯で高い吸音性能を発揮する。多孔質型の吸音性能は、高周波数帯域でも周波数が高くなればなるほど高くなる。
上記した発泡体50とシンサレート(登録商標)との吸音特性を比較すると、図13に示すようになる。シンサレートは、合繊の極細繊維を絡み合わせたもの(不織布)であり、ほぼ多孔質型による吸音性能を発揮する。図13に示すように、発泡体50は、低周波数帯域(ほぼ1kHz〜2kHZの帯域)では、固有振動・位相速度による吸音ピークを有するため、シンサレートより優れた吸音特性を発揮する。
特許第3326156号公報 特開2000−273800号公報 特開平8−207170号公報
しかしながら、上記した従来の発泡体50は、多孔質型による吸音性能がシンサレートより劣る。そのため、固有振動及び位相速度による吸音ピークの周波数帯域より高い周波数帯域、具体的にはほぼ2kHz以上の高周波数帯域で、シンサレートよりも吸音性能が極端に低下する帯域が存在する。
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる発泡体、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、多数の空間が形成された発泡セルより構成された発泡体であって、前記発泡セルは、発泡セルが密集配置された発泡セル層と、前記発泡セル層の表面側に配置され、前記発泡セル層より発泡密度が高い発泡セルが密集配置された表面皮膜層とを構成し、前記表面皮膜層は、前記発泡セルとして、内部の空間が完全にセル皮膜で覆われた密閉セルと、セル皮膜が破れた破泡セルとを有し、セル皮膜の破れによって表面に多数の小孔が形成されたことを特徴とする発泡体である。
前記発泡セル層は、前記発泡セルとしてセル皮膜が破れた破泡セルを有するものであっても良い。前記合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)であっても良い。
他の本発明は、間隔を置いて配置された吐出口が設けられ、前記各吐出口より吐出された発泡材の発泡領域を規制する規制枠壁が設けられた押出し成形機を使用し、前記押出し成形機にパルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分と水を供給し、前記パルプ繊維成分と合成樹脂成分と澱粉成分と水を加熱混練し、前記パルプ繊維成分と前記合成樹脂成分と前記澱粉成分を有する発泡材を流動性の高い状態で前記各吐出口より押圧力によって吐出させ、各発泡セルのセル皮膜が薄い密閉セルと共にセル皮膜が破れた破泡セルも形成する押し出し成形工程と、前記押し出し成形工程の後に、前記押し出し成形によって作製された発泡体をプレスするプレス工程とを備えたことを特徴とする発泡体の製造方法である。
前記プレス工程は、発泡体の全面に均一な圧力を作用させて一括で圧縮するものを含む。前記プレス工程は、発泡体を局所的に順次圧力を作用させて圧縮するものを含む。合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)であっても良い。
本発明によれば、外部から音が発泡体に入射すると、入射振動によって発泡体が固有の振動数で固体振動し、入射振動と固体振動の相殺によって吸音すると共に、発泡体の表面より内部に進入する入射波と、内部を透過した後に反射して来る透過反射波との相殺によっても吸音する。つまり、固有振動による吸音と位相速度による吸音は、低周波数帯域で吸音ピークを有し、吸音性能が得られる。その一方で、発泡体は多孔質形態であり、しかも、外部から発泡体に入射する音は、表面皮膜層の破泡セルより発泡体の内部に進入し易いため、内部での振動エネルギーによる吸収量が増加し、多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が従来の発泡体より向上する。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
本発明の一実施形態を示し、発泡体の外観斜視図である。 本発明の一実施形態を示し、(a)は図1のA−A線に沿う発泡体の構造模式図、(b)は(a)の要部の概念構成図である。 本発明の一実施形態を示し、(a)は押出し成形機の要部斜視図、(b)は口金部材の正面図である。 本発明の一実施形態を示し、押し出し成形機の概略要部断面図である。 本発明の一実施形態を示し、プレス機の側面図である。 破泡セルあり発泡体(一実施形態)、プレスのみ発泡体及びシンサレートの吸音特性線図である。 他のプレス機の側面図である。 他のプレス機でプレスした発泡体の斜視図である。 全面一括圧縮によるプレス加工をした発泡体(破泡(小孔)あり発泡体)と、ローラによるプレス加工をした発泡体(破泡(小孔)と亀裂あり発泡体)と、シンサレートの吸音特性線図である。 ローラによるプレス加工をした発泡体の吸音特性線図である。 従来例を示し、(a)は発泡体の外観斜視図、(b)は発泡体の構造模式図である。 従来例を示し、(a)は押出し成形機の要部斜視図、(b)は口金部材の正面図である。 従来例の発泡体及びシンサレートの吸音特性線図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(一実施形態)
図1〜図6は本発明の一実施形態を示す。図1に示すように、発泡体Hは、偏平長方形の板状発泡体である。発泡体Hは、パルプ繊維成分である紙粉末成分と、合成樹脂成分と、補助剤としての澱粉成分であるコーンスターチとを発泡させ、多数の空間を形成した発泡セルS1,S2,S3より構成されている(図2(b)参照)。紙粉末成分としては、官製葉書等の古紙を紙粉末繊維状にしたものを使用している。
合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)である。J830HVは、共重合の形態がブロックコポリマーで、メルトフローレイト(試験条件:230℃)が30g/10min、密度が910Kg/m3、引っ張り降伏応力が28.0MPa、引っ張り破壊呼びひずみが30%、引っ張り弾性率が1450MPaの物性を有する。
各発泡セルS1,S2,S3は、図2(a)、(b)に示すように、内部の空間(空気層)がセル皮膜によって被われている。各発泡セルS1,S2,S3は、その位置によって発泡密度(発泡倍率)が異なり、発泡体Hは発泡セルS1,S2,S3の密度によって以下のような層構造に形成される。
つまり、発泡体Hは、厚み方向では、発泡セルS1が密集配置された発泡セル層1と、この発泡セル層1の両表面側に配置された表面皮膜層2の3層構造に構成されている。
発泡セル層1は、各表面皮膜層2より発泡密度が低い発泡セルS1が密集配置されている。発泡セル層1の発泡セルS1は、内部の空間(空気層)が完全にセル皮膜で覆われた密閉セルS1aと、セル皮膜が破れた破泡セルS1bとを有し、これらが不規則に混在している。
各表面皮膜層2は、極薄厚みであり、発泡セル層1より発泡密度が高い発泡セルS2が密集配置されている。各表面皮膜層2の発泡セルS2は、内部の空間(空気層)が完全にセル皮膜で覆われた密閉セルS2aと、セル皮膜が破れた破泡セルS2bとを有し、これらが不規則に混在している。破泡セルS2bのセル皮膜の破れによって、各表面皮膜層2、つまり、発泡体Hの表面には、多数の小孔6が形成されている。小孔6は、各表面皮膜層2(発泡体H)の表面の全領域にまんべんなく形成されている。
又、各発泡セル層1には、厚み方向の直交方向に沿って等間隔に複数の縦仕切皮膜層5が形成されている。各発泡セル層1は、縦仕切皮膜層5によって分割されている。縦仕切皮膜層5は、発泡セル層1より発泡密度が高い発泡セルS3が密集配置されている。縦仕切皮膜層5の発泡セルS3も、内部の空間(空気層)が完全にセル皮膜で覆われた密閉セルS3aと、セル皮膜が破れた破泡セルS3bとを有し、これらが不規則に混在している。
次に、上記発泡体Hを製造する押出し成形機10とプレス装置30を説明する。押出し成形機10は、図3(a)、(b)及び図4に示すように、各発泡材を投入する投入口(図示せず)と、投入された発泡材を混練する混練手段(図示せず)と、混練された発泡材を高温に加熱する加熱手段(図示せず)と、発泡材を押圧する押圧手段(図示せず)と、押圧室の先端側を塞ぐように配置された口金部材11と、この口金部材11の外側を囲むように配置された規制枠壁20とを備えている。口金部材11は、水平方向に等間隔に配置された複数の吐出口12を1段有する。吐出口12は、上下位置の規制枠壁20の中間位置に配置されている。規制枠壁20は、この1段の吐出口12より吐出された発泡材の発泡領域を規制する。規制枠壁20は、偏平長方形状の枠である。規制枠壁2は、内部スペースの上下高さが10mmである。
プレス装置30は、図5に示すように、互いに対向配置された固定プレス体31と可動プレス体32とを有する。可動プレス体32は、固定プレス体31の近接・離間方向に移動できる。
次に、発泡体Hの製造方法を説明する。発泡体Hの製造方法は、押し出し成形機10を使用した押し出し工程と、プレス装置30を使用したプレス工程から成る。先ず、押し出し工程を説明する。押出し成形機10内に、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)と補助剤としてのコーンスターチと水を供給する。そして、紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)とコーンスターチと水を、吐出直前の温度が184℃以上となる温度に加熱し且つ混練し、この高温の発泡材を口金部材11の1段の吐出口12より押圧によって吐出させる。
すると、高温の発泡材に混入された水が各吐出口12より吐出された瞬間に気化し、水の蒸気圧により紙粉末成分とポリプロピレン樹脂材とコーンスターチから成る発泡材が発泡する。この発泡は、図4に示すように、規制枠壁20によって規制されるため、規制枠壁20の規制スペースを断面積とする発泡体Ha(厚みT=10mm)が連続的に押し出される。
各吐出口12から吐出された発泡材は、上記したように規制枠壁20で発泡形成を抑制されると共に、発泡セル同士が互いに干渉することによって発泡形成が抑制される。具体的には、規制枠壁20内周近傍に位置する発泡セルS2は、規制枠壁20で発泡形成が抑制される。これによって、表面皮膜層2が形成される。上下両側の表面皮膜層2の間で、且つ、水平方向の隣り合う吐出口12の中間位置付近の位置する発泡セルS3は、互いの発泡セルS3同士が衝突(干渉)して発泡形成が抑制される。これによって縦仕切皮膜層5が形成される。上下両側の表面皮膜層2の間で、各吐出口12の近傍に位置する発泡セルS1は、上記発泡セルS2,S3に較べて弱い抑制力しか働かない。これによって発泡セル層1が形成される。
ここで、J830HVは、メルトフローレイト(試験条件:230℃)が30g/10minという流動性の高い合成樹脂であるため、紙粉末成分の柔軟性やコーンスターチの粘着性と相俟って発泡材が流動性の高い状態で吐出される。このように、発泡材は、各吐出口12より流動性の高い状態で吐出されるため、規制枠壁20で発泡形成を抑制される状況下でも拡大発泡し、各発泡セルS1,S2,S3のセル皮膜が薄い密閉セルS1a,S2a,S3aと共にセル皮膜の破れた破泡セルS1b,S2b,S3bも形成される。
特に、各表面皮膜層2の発泡セルS2は、規制枠壁20より大きな発泡抑制力を受けると共に外気温との温度差によって破泡し易い状況下におかれるため、破泡が促進される。以上より、発泡体Haは、各発泡セルS1,S2,S3が破泡セルS1b,S2b,S3bを有し、表面に小穴6が形成されたものが作製される。発泡体Haは、厚みが10mmとなる。
次に、プレス工程を説明する。押出し成形機10より製造された発泡体Haは、所定寸法で裁断される。この裁断した発泡体Haは、図5に示すように、三枚重ねてプレス装置30にセットされる。プレス装置30は、発泡体Haを約10分の1程度にまで圧縮し、その後、圧縮を解除する。つまり、発泡体Haの全面に均一な圧力を作用させて一括で圧縮する(全面一括圧縮)。圧縮を解除した発泡体Hは、2mmほど薄くなる。ポリプロピレン樹脂材のJ830HVを合成樹成分とする発泡体Haは、押出し成形機10での押出し製造だけでは、発泡セルS1,S2,S3の皮膜に芯部分(硬い部分)を有し、音による振動がし難い発泡構造である。押出し成形機10より押出された発泡体(バージン材)1を一度圧縮変形させると、発泡セルS1,S2,S3の皮膜の芯部分(硬い部分)が破壊されることにより、柔軟な皮膜になる。これにより、音によって振動し易い柔軟な発泡体Hに加工される。これで、発泡体Hが製造される。
以上、このように製造された発泡体Hは、外部から音が入射すると、入射振動によって発泡体Hが固有の振動数で固体振動し、入射振動と固体振動の相殺によって吸音すると共に、発泡体Hの表面より内部に進入する入射波と、内部を透過した後に反射して来る透過反射波との相殺によっても吸音する。つまり、固有振動による吸音と位相速度による吸音は、低周波数帯域で吸音ピークを有し、吸音性能が得られる。その一方で、発泡体Hは多孔質形態であり、しかも、外部から入射する音は、表面皮膜層2の破泡セルS2bより発泡体Hの内部に進入し易いため、内部での振動エネルギーによる吸収量が増加し、多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が従来の発泡体より向上する。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる。
これに加えて、各発泡セルS1,S2,S3の膜厚が薄いため、各発泡セルS1,S2,S3の膜が振動し易く、膜の振動によっても音を吸収する。以上より、紙を発泡材の一部とする発泡体からなる発泡体Hにあって、優れた吸音特性を発揮する。
発泡セル層1は、発泡セルS1としてセル皮膜が破れた破泡セルS1bを有する。従った、発泡セル層1に進入した音が発泡セル層1の破泡セルS1bより発泡体Hの更に内部に進入し易いため、内部での振動エネルギーによる吸収量が更に増加し、吸音性能が向上する。
合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)である。紙粉末成分の柔軟性や澱粉成分の粘着性のみならず、合成樹脂成分(J830HV)がメルトフローレートの高い値(30g/10min程度)のものであるため、発泡過程にあって発泡材が高い流動性を示し、発泡セルS1,S2,S3が大きく膨らみ、破泡が促進される。これにより、確実に破泡セルS1b,S2b,S3bを有する発泡体Hを製造できる。
押出し成形機10は、間隔を置いて配置された吐出口12が設けられ、各吐出口12より吐出された発泡材の発泡領域を規制する規制枠壁20が設けられ、押出し成形機10にパルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分と水を供給し、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と澱粉成分と水を加熱混練し、パルプ繊維成分と合成樹脂成分と澱粉成分を有する発泡材を流動性の高い状態で各吐出口12より押圧力によって吐出させる押し出し成形工程と、押し出し成形工程の後に、押し出し成形によって作製された発泡体Haをプレスするプレス工程とを行って発泡体Hを製造した。従って、吐出口12より吐出された高温の発泡材は、高温の発泡材に混入された水が瞬間に気化し、水の蒸気圧により発泡材が発泡する。ここで、発泡時に発泡材が高い流動性を示し、各発泡セルS1,S2,S3が大きく膨らもうとして破泡し、セル皮膜が破れた破泡セルS1b,S2b,S3bを有する発泡体Haが作製され、作製された発泡体Haが発泡セルS1,S2,S3のセル皮膜に芯部分(硬い部分)を有するものであっても、プレス工程による圧縮変形によってセル皮膜の芯部分(硬い部分)が破壊されて柔軟なセル皮膜になり、音によって振動し易い柔軟な発泡体Hが製造される。以上より、低周波数帯域で吸音ピーク性能を有し、しかも、高周波数帯域での吸音性能の低下を抑制できる発泡体Hを製造できる。
発泡体Hを所望形状に裁断する裁断工程ではプレス工程を含むため、実際の発泡体Hの製造工程では工程増加を伴わない。
図6は、プレス加工しただけで表面に小孔なし発泡体(プレスのみ発泡体)と、表面に破泡による小孔6あり発泡体(小孔あり発泡体)1と、シンサレートとにおける残響室法による吸音率測定結果である。各発泡体のサンプルは、横寸法:100cm、縦寸法:50cm、厚み寸法10mmである。
図6に示すように、小孔6あり発泡体Hは、シンサレートと比較して、大略1000〜2000Hzの範囲で高い吸音率を示した。従って、1000Hz〜2000Hzの会話明瞭度の領域で高い吸音特性を発揮することが確認された。例えば自動車内に使用する吸音材として好適である。しかも、小孔6あり発泡体Hは、小孔なしのプレスのみ発泡体と比較して、高周波数帯域(2000Hz以上)での吸音性能の低下を抑制できることが確認できた。
次に、前記とは異なる別のプレス工程を説明する。この別のプレス工程で使用するプレス装置40は、図7に示すように、一対のローラ41と、この一対のローラ41間に発泡体Haを搬送する搬送手段(図示せず)とを有する。一対のローラ41は、互いに対向位置に配置されている。一対のローラ41間の寸法は、調整可能に構成されている。
押出し成形機10より製造された発泡体Haを一対のローラ41間に通し、発泡体Haを圧縮する。つまり、前記した全面一括圧縮のプレス工程は、発泡体Haの全面に均一な圧力を作用させて一括で圧縮するのに対し、このプレス工程は、発泡体Haを局所的に順次圧縮する。
全面一括圧縮とローラ41による圧縮との相違点は、次のようになる。全面一括圧縮は、発泡体Haの全面に均一な圧力が作用するため、表面皮膜層2に亀裂が発生し難いが、圧縮力の方向は折れや亀裂が発生し、柔軟な構造体となる。全面一括圧縮された発泡体Hは、圧縮前に比較して約2mm程度薄くなる。
ローラ41による圧縮は、表面皮膜層2に圧力差(ローラ41で押圧された箇所とそうでない隣接箇所の間での引っ張り力)により亀裂44(図8参照)が発生し、破泡も促進され、この相乗効果によって内部への通気性の良い構造体となる。ローラ41による発泡体Hは、全面一括圧縮と同様に、圧縮前に比較して厚みが薄くなるが、厚さ変化(潰し量)は、ローラ41間の寸法管理によって調整可能である。
図9は、全面一括圧縮によるプレス加工をした発泡体(破泡(小孔)あり発泡体)と、ローラ41によるプレス加工をした発泡体(破泡(小孔)と亀裂あり発泡体)と、シンサレートとにおける残響室法による吸音率測定結果である。
1kHz周辺の領域での立ち上がり特性は、厚さの変化(潰し量)に依存することが確認された。厚さが厚くなるに従って立ち上がり特性が低周波側にシフトし、逆に厚さが薄くなるに従って立ち上がり特性が高周波側にシフトする。つまり、発泡体Hの厚み変化によって、固有振動による吸音と位相速度による吸音性能が変化することが確認された。これにより、ローラ41間の寸法dによって発泡体Haの潰す量を調整し、1kHz周辺の吸音特性を管理することができる。具体的には、ローラ41間の寸法dが4mmの場合には、発泡体Hの厚みTが10mm(潰れ量0mm)、ローラ41間の寸法dが3mmの場合には、発泡体Hの厚みTが9mm(潰れ量1mm)、ローラ41間の寸法dが2mmの場合には、発泡体Hの厚みTが8.5mm(潰れ量1.5mm)、ローラ41間の寸法dが1mm、0mmの場合には、発泡体Hの厚みTが7〜6mm(潰れ量3〜4mm)となる。
また、高周波数帯域での吸音性能の低下を更に抑制できることが確認された。つまり、局所的な潰しによって表面皮膜層2等に破泡セルS2bが発生すると共に亀裂44が発生し、発泡体Hの通気性が向上したため、具体的には、外部から入射する音が発泡体Hの内部にいっそう進入し易くなったためであると推測される。破泡セルS2bの割合と亀裂44の量・大きさは、潰し量が依存し、潰し量が大きいと破泡セルS2bの割合と亀裂44の量・大きさが増し、通気性ひいては吸音性が向上することが確認された。なお、ローラ41間の寸法dは4mmの場合は、圧縮後の厚さが10mm(潰し量0mm)であり、吸音性の向上が少ないことから、全面一括圧縮の発泡体Hよりも多孔質型による高周波数帯域での吸音特性が劣ることが確認された。
ローラ41間の寸法dを2mmとした場合の発泡体Hは、1000Hz〜2000Hzの会話明瞭度の領域で最も高い吸音特性を発揮することが確認された。
図10は、全面一括圧縮によるプレス加工をした発泡体(3サンプル)と、ローラ41によるプレス加工をした発泡体(10サンプル)と、シンサレートとにおける残響室法による吸音率測定結果である。各ローラ41間の寸法毎に、多数(10個)のサンプルを作製し、その各サンプルの吸音特性を調べた。全面一括圧縮によるプレス加工をした発泡体Hは、1枚当たり1.5mmの圧縮をかけたものである。ローラ41によるプレス加工をした発泡体Hは、ローラ41間の寸法dが2mmとし、発泡体Hの厚みTが8.5mm(潰れ量1.5mm)のものである。
ローラ圧縮による場合、10サンプルについて、1000Hz〜5000Hzの吸音率バラツキは、(3σ)−(平均値)=0.05以内となり、安定した吸音特性が得られることが確認された。
前記実施形態では、合成樹脂成分として、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)を使用し、且つ、吐出直前の温度を184℃以上とすることによって、発泡過程で発泡材が流動性の高い状態とすることを実現している。しかし、発泡過程で発泡材を流動性の高い状態で吐出でき、破泡セルを形成できる樹脂であれば樹脂であれば、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)以外の樹脂であっても良く、又、使用樹脂によって加熱温度を適宜変更することになる。
H 発泡体
1 発泡セル層
2 表面皮膜層
10 押出し成形機
12 吐出口
20 規制枠壁
S1,S2,S3 発泡セル
S1b,S2b,S3b 破泡セル

Claims (7)

  1. パルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分とを発泡させ、多数の空間が形成された発泡セルより構成された発泡体であって、
    前記発泡セルは、発泡セルが密集配置された発泡セル層と、前記発泡セル層の表面側に配置され、前記発泡セル層より発泡密度が高い発泡セルが密集配置された表面皮膜層とを構成し、
    前記表面皮膜層は、前記発泡セルとして、内部の空間が完全にセル皮膜で覆われた密閉セルと、セル皮膜が破れた破泡セルとを有し、セル皮膜の破れによって表面に多数の小孔が形成されたことを特徴とする発泡体。
  2. 請求項1記載の発泡体であって、
    前記発泡セル層は、前記発泡セルとしてセル皮膜が破れた破泡セルを有することを特徴とする発泡体。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれかに記載の発泡体であって、
    前記合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)であることを特徴とする発泡体。
  4. 間隔を置いて配置された吐出口が設けられ、前記各吐出口より吐出された発泡材の発泡領域を規制する規制枠壁が設けられた押出し成形機を使用し、
    前記押出し成形機にパルプ繊維成分と合成樹脂成分と補助剤としての澱粉成分と水を供給し、前記パルプ繊維成分と合成樹脂成分と澱粉成分と水を加熱混練し、前記パルプ繊維成分と前記合成樹脂成分と前記澱粉成分を有する発泡材を流動性の高い状態で前記各吐出口より押圧力によって吐出させ、各発泡セルのセル皮膜が薄い密閉セルと共にセル皮膜が破れた破泡セルも形成する押し出し成形工程と、
    前記押し出し成形工程の後に、前記押し出し成形によって作製された発泡体をプレスするプレス工程とを備えたことを特徴とする発泡体の製造方法。
  5. 請求項4記載の発泡体の製造方法であって、
    前記プレス工程は、発泡体の全面に均一な圧力を作用させて一括で圧縮することを特徴とする発泡体の製造方法。
  6. 請求項4記載の発泡体の製造方法であって、
    前記プレス工程は、発泡体を局所的に順次圧力を作用させて圧縮することを特徴とする発泡体の製造方法。
  7. 請求項4〜請求項6のいずれかに記載の発泡体の製造方法であって、
    前記合成樹脂成分は、ポリプロピレン樹脂材のJ830HV(株式会社プライムポリマーの商品名プライムポリプロの一種)であることを特徴とする発泡体の製造方法。
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