JP4943816B2 - 水素化分解生成物の製造方法、プラスチックの処理方法及びベンゼン類の製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献1には、加熱されて液化された廃プラスチックを含む液状の単環又は多環系芳香族化合物に水素を加えて水素化分解反応(水添分解反応)させるとともに、該反応生成物を環化触媒の存在下で反応させてベンゼン等を生成させることを特徴とする廃プラスチックの処理方法が記載されている。
このような塩素を含む水素化分解生成物を蒸留等すればベンゼン類、軽質留分、重質留分等が得られるが、これらにも塩素が含まれるので、例えば軽質留分や重質留分であれば、そのまま燃料油やカーボンブラック油として利用することはできなかった。
(1)塩素と、プラスチックと、溶剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る溶解工程と、前記プラスチック溶解物を第1触媒の存在下で水素と反応させ、水素化分解反応を行い、第1水素化分解生成物を得る第1水素化分解工程と、前記第1水素化分解生成物が含有する塩素を塩素固定手段及び/又は塩素除去手段によって固定及び/又は除去する塩素分固定・除去工程と、前記塩素分固定・除去工程で得られた塩素を固定及び/又は除去した第1水素化分解生成物を第2触媒の存在下で水素と反応させ、塩素を含まない第2水素化分解生成物を得る第2水素化分解工程とを具備し、前記第1触媒が鉄触媒、前記第2触媒がNi−Mo系触媒、Co−Mo系触媒、Ni−W系触媒および固体超強酸触媒からなる群から選択される少なくとも1種の触媒である、水素化分解生成物の製造方法。
(2)前記塩素固定手段が、前記第1水素化分解生成物への塩素固定剤の添加である、上記(1)に記載の水素化分解生成物の製造方法。
(3)前記塩素固定剤が炭酸ナトリウムを含有する、上記(2)に記載の水素化分解生成物の製造方法。
(4)前記塩素除去手段が、前記第1水素化分解生成物の蒸留及び/又は遠心分離である、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の水素化分解生成物の製造方法。
(5)前記第2触媒として、Ni−W系触媒とCo−Mo系触媒とを併用する、上記(1)〜(4)のいずれかに記載の水素化分解生成物の製造方法。
(6)前記第2水素化分解生成物の少なくとも一部を、前記溶解工程において前記溶剤として用いる、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の水素化分解生成物の製造方法。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の水素化分解生成物の製造方法によって製造した前記第2水素化分解生成物を、更に環化反応してベンゼン類を得る環化反応工程を具備する、ベンゼン類の製造方法。
(8)塩素と、ポリスチレンと、溶剤とを含有する混合物を加熱して前記ポリスチレンを溶解し、ポリスチレン溶解物を得る溶解工程と、前記ポリスチレン溶解物を第1触媒の存在下で水素と反応させ、水素化分解反応を行い、第1水素化分解生成物を得る第1水素化分解工程と、前記第1水素化分解生成物が含有する塩素を塩素固定手段及び/又は塩素除去手段によって固定及び/又は除去する塩素分固定・除去工程と、前記塩素分固定・除去工程で得られた塩素を固定及び/又は除去した第1水素化分解生成物を第2触媒の存在下で水素と反応させ、塩素を含まずベンゼン類を含む第2水素化分解生成物を得る第2水素化分解工程と、前記第2水素化分解生成物からベンゼン類を分離し回収する分離回収工程とを具備し、前記第1触媒が鉄触媒、前記第2触媒がNi−Mo系触媒、Co−Mo系触媒、Ni−W系触媒および固体超強酸触媒からなる群から選択される少なくとも1種の触媒である、ベンゼン類の製造方法。
(9)塩素と、プラスチックと、溶剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る溶解工程と、前記プラスチック溶解物を第1触媒の存在下で水素と反応させ、水素化分解反応を行い、第1水素化分解生成物を得る第1水素化分解工程と、前記第1水素化分解生成物が含有する塩素を塩素固定手段及び/又は塩素除去手段によって固定及び/又は除去する塩素分固定・除去工程と、前記塩素分固定・除去工程で得られた塩素を固定及び/又は除去した第1水素化分解生成物を第2触媒の存在下で水素と反応させる第2水素化分解工程とを具備し、前記第1触媒が鉄触媒、前記第2触媒がNi−Mo系触媒、Co−Mo系触媒、Ni−W系触媒および固体超強酸触媒からなる群から選択される少なくとも1種の触媒である、プラスチックの処理方法。
本発明の水素化分解生成物の製造方法及びプラスチックの処理方法は、同様の溶解工程、第1水素化分解工程、塩素分固定・除去工程及び第2水素化分解工程とを具備する。また、本発明のベンゼン類の製造方法は、2つの態様があり、第1の態様はこれらと同様の溶解工程、第1水素化分解工程、塩素分固定・除去工程及び第2水素化分解工程に加えて分離回収工程を具備し、更に用いるプラスチックをポリスチレンとした製造方法であり、第2の態様は、これらと同様の溶解工程、第1水素化分解工程、塩素分固定・除去工程及び第2水素化分解工程に加えて環化反応工程を具備する製造方法である。
つまり、溶解工程、第1水素化分解工程、塩素分固定・除去工程及び第2水素化分解工程は共通するので、以下では、本発明の水素化分解生成物の製造方法、プラスチックの処理方法及びベンゼン類の製造方法(以下ではこれらを合わせて「本発明」ともいう。)を合わせて説明する。
本発明の溶解工程は、塩素と、プラスチックと、溶剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る工程である。
前記混合物中におけるこのような塩素の含有率は特に限定されないものの、通常、0.01〜10質量%である。
また、プラスチックは、塩化ビニル樹脂等、塩素を化学的に結合したプラスチックであってもよく、塩素含有物質を物理的に含むプラスチックの集合であってもよい。このような塩素を含むプラスチックとしては、例えば、都市ごみや産業廃棄物の廃プラスチックが挙げられる。
これらの中でも、相溶性があるという点で単環、二環、三環程度の芳香族化合物(各種誘導体も含む)又はこれらの中の2以上を含むものであることが好ましい。
更に、これらの中でも、コールタール及びそれを蒸留して得られるコールタール留分がより好ましい。後述するように前記混合物が熱硬化性樹脂や紙類を含有する場合であってもこれらを流動化できるため、溶解工程で得られたプラスチック溶解物を次工程へポンプ移送することが可能となるからである。
コールタール留分としては、例えば、通常用いられるコールタール蒸留プラントで製造することができるクレオソート油留分、アントラセン油留分等が挙げられる。また、コールタールやその留分はコールタールピッチを含有していてもよい。
ここで、前記混合物を加熱する方法は特に限定されない。例えば従来公知の方法でよい。加熱した際の混合物の温度は、含有する前記プラスチックの少なくとも一部を溶解することができる温度であればよく、その種類や粒度等によって変わる。概ね、150〜400℃程度であることが好ましい。この温度よりも低すぎると溶解速度が遅くなる場合がある。そして、溶解するために用いる設備(例えば溶解槽)の大型化が必要になる場合がある。この温度よりも高すぎると前記プラスチック又はコールタール等の溶剤に含有される化合物が重縮合して、ピッチ留分等となる反応が顕著となり操業上不都合となる場合がある。250℃超で溶解する場合は、揮発分が多くなる場合があるので、密閉容器の中で溶解するのが好ましい。
尚、本発明のベンゼン類の製造方法においては、前記プラスチックとしてポリスチレンを含む前記混合物を加熱して、このポリスチレンを溶解し、ポリスチレン溶解物を得るが、このポリスチレン溶解物は前記プラスチック溶解物の一態様であり、他の種類のプラスチックを用いた場合と処理方法、条件等は同様でよい。従って、以下ではプラスチック溶解物についてのみ説明する。
本発明の第1水素化分解工程は、上記のような溶解工程で得られた前記プラスチック溶解物を第1触媒の存在下で水素と反応させ、水素化分解反応を行い、第1水素化分解生成物を得る工程である。
水素化分解反応を行う反応条件は通常の範囲であれば特に限定されない。例えば反応条件として、反応温度は300〜500℃程度とすることができ、400〜450℃程度が好ましい。容器内圧力は1.0〜20.3MPa(10〜200気圧)程度とすることができ、5.1〜10.1MPa(50〜100気圧)程度が好ましい。反応時間は10分〜10時間程度とすることができる。水素化分解反応は液相、気相のいずれで行ってよく、流動床、固定床、スラリー床等のいずれの反応形式で行ってもよい。
例えば、Co−Mo系触媒、Ni−Mo系触媒、Ni−W系触媒、鉄触媒(鉄含有物質であり、例えば、酸化鉄、硫化鉄、硫酸鉄、塩化鉄及びそれらの焼成物)が挙げられる。複数の種類の触媒を混合して用いてもよい。また、これらの触媒は、必要によりアルミナ(Al2O3)、シリカ(SiO2)、ゼオライト等の担体に担持させて用いることができる。
更に、前記第1触媒が粒子状の鉄触媒であると、比重差を利用して、後の分離回収工程等において第1触媒と有用成分とを容易に分離することができるので好ましい。
本発明の塩素分固定・除去工程は、前記第1水素化分解生成物が含有する塩素を、塩素固定手段及び/又は塩素除去手段によって固定及び/又は除去する工程である。
前記塩素固定手段とは、第1水素化分解工程で発生する腐食性のある塩化水素、或いは塩素を、特に腐食性のない塩素含有物質に変換する手段を意味する。具体的には、例えば、塩素固定剤を添加して塩素と塩素固定剤とを反応させ、粒子状の塩素含有物質として塩素を固定する方法が挙げられる。
また、前記塩素除去手段とは、第1水素化分解工程において生成した第1水素化分解生成物から前記塩素含有物質を分離・除去する手段を意味する。具体的には、例えば、塩素と反応する物質を添加し、固体状の塩素含有物質を前記第1水素化分解生成物中に生成させ、それを遠心分離等の方法により分離する方法が挙げられる。また、例えば、前記第1水素化分解生成物を蒸留することで、塩素を分離する方法が挙げられる。
このような塩素固定剤を前記第1水素化分解生成物に添加すると、前記第1水素化分解生成物中の塩素を固定することができる。例えば前記塩素固定剤が鉄(Fe)の場合であれば、塩素と反応し塩化鉄(FeCl2)を形成して塩素を固定することができる。
本発明の第2水素化分解工程は、前記塩素分固定・除去工程で得られた塩素を固定及び/又は除去した第1水素化分解生成物を第2触媒の存在下で水素と反応させ、塩素を含まずベンゼン類を含む第2水素化分解生成物を得る工程である。
また、この場合、ベンゼン類の回収率を改善することができる。これは、第2水素化分解生成物を溶剤として用いた場合、前記第1水素化分解工程において、溶剤として用いた第2水素化分解生成物から前記プラスチックへの水素の移動による水素化分解が生じることに起因すると、本発明者等は想像している。
ここでNi−Mo系触媒とCo−Mo系触媒とを併用した場合におけるこれらの比は、2:1〜1:1であることが好ましく、2:1程度であることがより好ましい。
また、ここでNi−W系触媒とCo−Mo系触媒とを併用した場合におけるこれらの比は、2:1〜1:1であることが好ましく、2:1程度であることがより好ましい。
これは同じ反応条件では脱窒素の方が進み難い傾向があるからである。
また、ここでNi−Mo系触媒とNi−W系触媒とCo−Mo系触媒とを併用した場合におけるこれらの比は、1:1:1程度であることが好ましい。
尚、本発明において「塩素を含まず」又はこれと同様の文言(「塩素を含まない」等)は、塩素を全く含まないもののみならず、塩素をほとんど含まないものも含む概念である。「塩素をほとんど含まない」とは、塩素の含有率が概ね0.01質量%以下であることを意味する。
本発明のベンゼン類の製造方法は2つの態様がある。第1の態様は、用いるプラスチックをポリスチレンとし、前記溶解工程、前記第1水素化分解工程、塩素分固定・除去工程及び前記第2水素化分解工程に加えて、次に説明する分離回収工程を具備する製造方法である。また、第2の態様は、前記溶解工程、前記第1水素化分解工程、塩素分固定・除去工程及び前記第2水素化分解工程に加えて、後述する環化反応工程を具備する製造方法である。
前記第2水素化分解生成物からベンゼン類を分離し回収する方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法を適用することができる。従来公知の方法としては、例えば蒸留法が挙げられる。
このように回収したベンゼン類は塩素を含まない。
尚、通常、ベンゼン類と合わせて軽質留分、重質留分、ガス留分等を回収することができる。これらも同様に塩素を含まない。
通常、熱分解のみではベンゼン環に不飽和のアルケンが付いているスチレンの生成が多い。しかし、水素化分解反応では反応が温和に進むことと、ポリスチレンの主鎖の切断部分に水素原子が供給されることにより、ベンゼン環にアルキル鎖(飽和炭化水素)が付加しているエチルベンゼンが多くなる。ポリエチレンやポリプロピレンが存在する場合は、主鎖の切断が主体となるため前記分離回収工程にて、主にC3〜C4のガス留分を生成する。
前記プラスチックがフェノール樹脂で代表される熱硬化性樹脂、ポリエチレンテレフタレート等を含む場合、前記分離回収工程にて、これらの一部は重質留分(ピッチも含む)となる。一方、コールタール等の溶剤に関しては、ガス中の水素との反応により主として若干の水素化分解が起こることが多いが、ほんの一部は重縮合反応のため前記分離回収工程にてピッチ留分を生成することもある。
第2態様における本発明のベンゼン類の製造方法が具備する環化反応工程は、前記第2水素化分解工程で得られた第2水素化分解生成物を、更に環化反応してベンゼン類を得る工程である。
環化反応工程は、分子の開かれた鎖の一部分が環状構造を形成するために分子の他の部分と結合する化学反応である環化反応を行うことができる工程であれば特に限定されない。例えば従来公知の方法であってよいが、流動床、固定床及びスラリー床から選択した反応器を用いる方法であることが好ましく、固定床反応器を用いる方法であることがより好ましい。
図1に示した実施態様では、プラスチックとして塩素を含むプラスチックである廃プラスチック11を用い、溶剤としてコールタール12を用いている。そして、これらを溶解槽1に投入し、この中で混合して混合物としている。また、この実施態様では、溶解槽1に第1触媒13を投入している。このように第1触媒は、加熱しプラスチック溶解物とする前の混合物に予め含ませておいてもよい。
そして、第1触媒13を含むこの混合物を溶解槽1において150〜400℃の温度に加熱して廃プラスチック11を溶解してプラスチック溶解物を得ている。
この第1水素化分解反応器3には、水素又は水素を主成分とする水素ガス15を供給する。このとき、図1に示すように、経済性向上を指向して第1水素化分解反応器3から排出されるガスの大部分を循環して、水素濃度を所定濃度に維持するように一部を排ガス21として捨て、水素ガス15をメークアップすることが好ましい。ただし、水素の全量を新たに供給し、第1水素化分解反応器3から排出されるガスの全量を捨てる、このプラントの加熱源とする、あるいはほかの用途等に用いる、ということでもよい。
そして、前述のような反応条件(反応形式、反応温度、反応圧力、反応時間等)にて水素化分解反応を行う。
ここで、コールタールでスラリー化した塩素固定剤14を、配管の途中に注入する(スラリー調製槽は図示していない)。
本発明においてこの塩素固定剤は、第1水素化分解工程(図1においては第1水素化分解反応器3)と第2水素化分解工程(図1においては第2水素化分解反応器4)との間のどこに加えても構わない。
そして、この第2水素化分解反応器4には、粉体状の第2触媒(図示せず)及び水素ガス15を供給する。あるいは、粒子状の第2触媒を予め充填しておく、即ち固定床で反応させてもよい。水素ガス15は、上記の第1水素化分解反応器3と同様に供給している。また、上記と同様に、排ガスを循環させることが好ましい。
そして、前述のような反応条件(反応形式、反応温度、反応圧力、反応時間等)にて水素化分解反応を行う。
図2に示す実施態様は、図1で示した実施態様における第1水素化分解反応器3と第2水素化分解反応器4との間に、更に固液分離機(ここでは遠心分離機5)を設けたものである。
更に、蒸留塔6のボトムを減圧蒸留塔で絞ると、固形分が含まれず、より塩素含有率が低い良質のピッチ(水添ピッチ)を取得することができるので好ましい。
図3に示した実施態様において、用いるプラスチック、溶剤、第1触媒は図1で示した実施態様で用いたものと同様である。また、溶解工程及び第1水素化分解工程も同様であり、ベンゼン類を含む第1水素化分解生成物45を得ることができる。
蒸留装置30では、温度180〜280℃に設定した制御温度の下、第1水素化分解生成物45を蒸留し、制御温度以下の留分である軽質油成分46、制御温度を超え538℃以下の留分である中間留分47、及び538℃超留分の3つに分離する。
ここで、制御温度は180〜280℃であることが好ましく、220℃であることがより好ましい。制御温度がこのような範囲であると、処理するプラスチックの性状や処理量等の変動に対応させるべき運転条件を柔軟に制御し、処理効率を最適化しやすい。また、後述する、循環させる水添溶剤51における必要量の確保に好ましく、前記プラスチック溶解物を得るために用いる前記溶剤の量的安定性が高まり、更にベンゼン類の製造に用いる軽質油成分46が好ましい性状となる傾向がある。
ここで温度538℃超留分は主にピッチ成分であり、高温状態においても粘度が高いので、水添溶剤51と同様に用いることには適さない。この温度538℃超留分中から塩素分及び第1触媒13を分離すると、例えば高炉原料として用いることができる。
尚、高温分離器32における制御温度と、前述した蒸留装置30における制御温度とは同程度に設定することが好ましいが、若干相違させることも可能である。この場合、高温分離器32における制御温度を、蒸留装置30における制御温度に対して10〜60℃高めに設定することが好ましい。これは水添溶剤51の水素供与性を増加させることができるからである。また、溶解工程における廃プラスチック11の溶解条件を、常圧下においてより高温とすることができるからである。
<実施例1>
図2に示した態様と同様の処理工程により、本発明を実施した。
まず、ポリスチレン30質量%、ポリエチレン35質量%、ポリプロピレン30質量%及び塩化ビニル5質量%で含むプラスチックを用意した。このプラスチックは都市ごみ系のものを模擬している。
また、溶剤としてアントラセン油、第1触媒として転炉ダスト(Fe2O3を主成分とする)、第2触媒としてNi−W系触媒とCo−Mo系触媒とを2:1(質量比)で混合したもの、塩素固定剤としてアントラセン油でスラリー化したソーダ灰(Na2CO3)(ソーダ灰とアントラセン油との混合比は質量比で1:10)を用意した。
そして、溶解槽1でこれらを0.5hr溶解し(滞留時間が0.5hr)、プラスチック溶解物を得た。
ここで、スラリー化した塩素固定剤14を、遠心分離機5と第2水素分解反応器4との間の配管の途中に、1.1kg/hrで注入した。
このようにして第2水素化分解生成物を得た。
実施例1における塩素固定剤14を用いなかったこと以外は、全て実施例1と同様とした操作及び分析を行った。分析結果を第1表に示す。
尚、比較例1では安定な状態に固定されていない塩素のため第2触媒が劣化して、脱窒素及び脱硫がほとんど進行しなかったものと推察される。
図3に示した態様と同様の処理工程により、本発明を実施した。
まず、実施例1と同じプラスチック11を用意した。
また、溶剤としてクレオソート油、第1触媒として転炉ダスト(金属鉄および酸化鉄を主成分とする。)を用意した。尚、溶剤はスタートアップ時のみ用い、水添溶剤51が生成された後は、これのみを溶剤として用いた。
このような処理により0.999kg/hrの第1水素化分解生成物45を得て、これを蒸留装置30へ供給した。
220℃超538℃以下の留分が中間留分47である。この中間留分47を第2水素化分解反応器4へ供給した。
このような処理により0.722kg/hrの第2水素化分解生成物50を得て、これを高温分離器32へ供給した。
3・・・第1水素化分解反応器
4・・・第2水素化分解反応器
5・・・遠心分離機
6・・・蒸留塔
11・・・廃プラスチック(プラスチック)
12・・・コールタール(溶剤)
13・・・第1触媒
14・・・塩素固定剤
15・・・水素ガス
21・・・排ガス
22・・・ガス留分
23・・・ベンゼン類留分
24・・・軽質留分(水添タール留分)
25・・・重質留分
26・・・残渣
30・・・蒸留装置
32・・・高温分離器
34・・・環化反応器
38・・・残渣
45・・・第1水素化分解生成物
46・・・軽質油成分
47・・・中間留分
50・・・第2水素化分解生成物
51・・・水添溶剤
52・・・軽質油成分
53・・・ベンゼン類
Claims (9)
- 塩素と、プラスチックと、溶剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る溶解工程と、
前記プラスチック溶解物を第1触媒の存在下で水素と反応させ、水素化分解反応を行い、第1水素化分解生成物を得る第1水素化分解工程と、
前記第1水素化分解生成物が含有する塩素を塩素固定手段及び/又は塩素除去手段によって固定及び/又は除去する塩素分固定・除去工程と、
前記塩素分固定・除去工程で得られた塩素を固定及び/又は除去した第1水素化分解生成物を第2触媒の存在下で水素と反応させ、塩素を含まない第2水素化分解生成物を得る第2水素化分解工程と
を具備し、
前記第1触媒が鉄触媒、前記第2触媒がNi−Mo系触媒、Co−Mo系触媒、Ni−W系触媒および固体超強酸触媒からなる群から選択される少なくとも1種の触媒である、水素化分解生成物の製造方法。 - 前記塩素固定手段が、前記第1水素化分解生成物への塩素固定剤の添加である、請求項1に記載の水素化分解生成物の製造方法。
- 前記塩素固定剤が炭酸ナトリウムを含有する、請求項2に記載の水素化分解生成物の製造方法。
- 前記塩素除去手段が、前記第1水素化分解生成物の蒸留及び/又は遠心分離である、請求項1〜3のいずれかに記載の水素化分解生成物の製造方法。
- 前記第2触媒として、Ni−W系触媒とCo−Mo系触媒とを併用する、請求項1〜4のいずれかに記載の水素化分解生成物の製造方法。
- 前記第2水素化分解生成物の少なくとも一部を、前記溶解工程において前記溶剤として用いる、請求項1〜5のいずれかに記載の水素化分解生成物の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の水素化分解生成物の製造方法によって製造した前記第2水素化分解生成物を、更に環化反応してベンゼン類を得る環化反応工程を具備する、ベンゼン類の製造方法。
- 塩素と、ポリスチレンと、溶剤とを含有する混合物を加熱して前記ポリスチレンを溶解し、ポリスチレン溶解物を得る溶解工程と、
前記ポリスチレン溶解物を第1触媒の存在下で水素と反応させ、水素化分解反応を行い、第1水素化分解生成物を得る第1水素化分解工程と、
前記第1水素化分解生成物が含有する塩素を塩素固定手段及び/又は塩素除去手段によって固定及び/又は除去する塩素分固定・除去工程と、
前記塩素分固定・除去工程で得られた塩素を固定及び/又は除去した第1水素化分解生成物を第2触媒の存在下で水素と反応させ、塩素を含まずベンゼン類を含む第2水素化分解生成物を得る第2水素化分解工程と、
前記第2水素化分解生成物からベンゼン類を分離し回収する分離回収工程と
を具備し、
前記第1触媒が鉄触媒、前記第2触媒がNi−Mo系触媒、Co−Mo系触媒、Ni−W系触媒および固体超強酸触媒からなる群から選択される少なくとも1種の触媒である、ベンゼン類の製造方法。 - 塩素と、プラスチックと、溶剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る溶解工程と、
前記プラスチック溶解物を第1触媒の存在下で水素と反応させ、水素化分解反応を行い、第1水素化分解生成物を得る第1水素化分解工程と、
前記第1水素化分解生成物が含有する塩素を塩素固定手段及び/又は塩素除去手段によって固定及び/又は除去する塩素分固定・除去工程と、
前記塩素分固定・除去工程で得られた塩素を固定及び/又は除去した第1水素化分解生成物を第2触媒の存在下で水素と反応させる第2水素化分解工程と
を具備し、
前記第1触媒が鉄触媒、前記第2触媒がNi−Mo系触媒、Co−Mo系触媒、Ni−W系触媒および固体超強酸触媒からなる群から選択される少なくとも1種の触媒である、プラスチックの処理方法。
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