JP2007302788A - 水素化分解生成物の製造方法、プラスチックの処理方法及びベンゼン類の製造方法 - Google Patents

水素化分解生成物の製造方法、プラスチックの処理方法及びベンゼン類の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】塩素を含むプラスチックから、塩素を含まずベンゼン類を含む水素化分解生成物を得ることができる水素化分解生成物の製造方法及びプラスチックの処理方法、並びにその水素化分解生成物から更にベンゼン類を得るベンゼン類の製造方法の提供。
【解決手段】塩素と、プラスチックと、溶剤と、第1塩素固定剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る溶解工程と、前記プラスチック溶解物に第2塩素固定剤を添加した後、水素と反応させ、ベンゼン類を含有する水素化分解生成物を得る水素化分解工程とを具備する、水素化分解生成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ベンゼン類を含む水素化分解生成物の製造方法に関する。
一般廃棄物系プラスチックに代表される塩素を含むプラスチック(塩素を化学的に結合したプラスチックに限らず、塩素含有物質を物理的に含むプラスチックの集合も含む。以下同じ。)を水素化分解して、ベンゼン類(ベンゼン及び/又はベンゼン誘導体を意味する。以下同じ。)を得る従来法として、例えば特許文献1に記載の方法が挙げられる。
特許文献1には、加熱されて液化された廃プラスチックを含む液状の単環又は多環系芳香族化合物に水素を加えて水素化分解反応(水添分解反応)させるとともに、該反応生成物を環化触媒の存在下で反応させてベンゼン等を生成させることを特徴とする廃プラスチックの処理方法が記載されている。
特開2003−321682号公報
しかし、このような従来法においては、塩素を含むプラスチックから、塩素を含まずベンゼン類を含む水素化分解生成物を得ることが困難であった。これは水素化分解生成物中に芳香族塩素化合物が含まれ、これを取り除くことが困難なためである。
このような塩素を含む水素化分解生成物を蒸留等すればベンゼン類、軽質留分、重質留分等が得られるが、これらにも塩素が含まれるので、例えば軽質留分や重質留分であれば、そのまま燃料油やカーボンブラック油として利用することはできなかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、塩素を含むプラスチックから、塩素を含まずベンゼン類を含む水素化分解生成物を得ることができる水素化分解生成物の製造方法及びプラスチックの処理方法、並びにその水素化分解生成物から更にベンゼン類を得るベンゼン類の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ね、以下の(1)〜(6)が上記課題を解決することを見出した。
(1)塩素と、プラスチックと、溶剤と、第1塩素固定剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る溶解工程と、前記プラスチック溶解物に第2塩素固定剤を添加した後、水素と反応させ、ベンゼン類を含有する水素化分解生成物を得る水素化分解工程とを具備する、水素化分解生成物の製造方法。
(2)前記第1塩素固定剤が2価の元素を含有し、前記第2塩素固定剤が1価の元素を含有する、上記(1)に記載の水素化分解生成物の製造方法。
(3)前記第1塩素固定剤が鉄及び/又は酸化鉄を含有する、上記(1)又は(2)に記載の水素化分解生成物の製造方法。
(4)前記第2塩素固定剤が炭酸ナトリウムを含有する、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の水素化分解生成物の製造方法。
(5)塩素と、ポリスチレンと、溶剤と、第1塩素固定剤とを含有する混合物を加熱して前記ポリスチレンを溶解し、ポリスチレン溶解物を得る溶解工程と、前記ポリスチレン溶解物に第2塩素固定剤を添加した後、水素と反応させ、ベンゼン類を含有する水素化分解生成物を得る水素化分解工程と、前記水素化分解生成物からベンゼン類を分離し回収する分離回収工程とを具備する、ベンゼン類の製造方法。
(6)塩素と、プラスチックと、溶剤と、第1塩素固定剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る溶解工程と、前記プラスチック溶解物に第2塩素固定剤を添加した後、水素と反応させる水素化分解工程とを具備する、プラスチックの処理方法。
本発明によれば、塩素を含むプラスチックから、塩素を含まずベンゼン類を含む水素化分解生成物を得ることができる水素化分解生成物の製造方法及びプラスチックの処理方法、並びにその水素化分解生成物から更にベンゼン類を得るベンゼン類の製造方法を提供することができる。
本発明について説明する。
本発明の水素化分解生成物の製造方法及びプラスチックの処理方法は、同様の溶解工程と水素化分解工程とを具備する。また、本発明のベンゼン類の製造方法は、これらと同様の溶解工程及び水素化分解工程に加えて分離回収工程を具備し、更に用いるプラスチックをポリスチレンとした製造方法である。
つまり、溶解工程と水素化分解工程とは共通するので、以下では、本発明の水素化分解生成物の製造方法、プラスチックの処理方法及びベンゼン類の製造方法(以下ではこれらを合わせて「本発明」ともいう。)を合わせて説明する。
初めに、本発明の溶解工程について説明する。
本発明の溶解工程は、塩素と、プラスチックと、溶剤と、第1塩素固定剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る工程である。
ここで、前記混合物中において塩素は、後に説明するプラスチックや溶剤と化学的に結合して存在していてもよいし、塩素含有物質(無機化合物や有機化合物等)として存在していてもよい。また、塩素単独(原子、イオン、分子等)として存在してもよい。
前記混合物中におけるこのような塩素の含有率は特に限定されないものの、通常、0.01〜10質量%である。
また、前記混合物が含有するプラスチックの種類は特に限定されない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンが挙げられる。前記混合物は2種類以上のプラスチックを含有してもよい。
また、プラスチックは、塩化ビニル樹脂等、塩素を化学的に結合したプラスチックであってもよく、塩素含有物質を物理的に含むプラスチックの集合であってもよい。このような塩素を含むプラスチックとしては、例えば、都市ごみや産業廃棄物の廃プラスチックが挙げられる。
また、このようなプラスチックの粒度は特に限定されないが、数ミリ以下であると、後に説明するこのプラスチックの溶解がより容易になり、処理時間を比較的短くできるので好ましい。このプラスチックの粒度が比較的大きい場合や処理時間をより短くしたい場合等では、前記プラスチックを予め粗砕することが好ましい。
また、前記混合物中における前記プラスチックの含有率は特に限定されないものの、通常、4〜40質量%であり、20〜35質量%であることが好ましく、25〜30質量%であることがより好ましい。
また、前記混合物が含有する溶剤は、前記プラスチックを溶解(流動化)することができるものであれば特に限定されない。更に、生成するベンゼン類と分離しない、すなわち複数の相を形成しないものであることが好ましい。
これらの中でも、相溶性があるという点で単環、二環、三環程度の芳香族化合物(各種誘導体も含む)又はこれらの中の2以上を含むものであることが好ましい。
更に、これらの中でも、コールタール及びそれを蒸留して得られるコールタール留分がより好ましい。後述するように前記混合物が熱硬化性樹脂や紙類を含有する場合であってもこれらを流動化できるため、溶解工程で得られたプラスチック溶解物を次工程へポンプ移送することが可能となるからである。
コールタール留分としては、例えば、通常用いられるコールタール蒸留プラントで製造することができるクレオソート油留分、アントラセン油留分等が挙げられる。また、コールタールやその留分はコールタールピッチを含有していてもよい。
また、前記混合物中における前記溶剤の含有率は特に限定されないものの、通常、40〜95質量%であり、60〜75質量%であることが好ましく、55〜72質量%であることがより好ましい。
また、前記混合物が含有する第1塩素固定剤は、塩素を固定することができ、更に塩素を固定した後において、後述するプラスチック溶解物と水素とからベンゼン類を生成させる反応を促進する触媒としての作用を有するものであれば特に限定されない。
また、この第1塩素固定剤は2価の元素を含有することが好ましい。この2価の元素としては、例えば鉄が挙げられる。また、第1塩素固定剤は酸化鉄を含むことが好ましく、鉄及び/又は酸化鉄を含むことがより好ましく、鉄及び/又は酸化鉄であることが更に好ましい。鉄、とりわけ酸化鉄は安価であり、後述するプラスチック溶解物と水素とからベンゼン類を生成させる反応を促進する触媒としての性能がより優れているからである。
鉄及び酸化鉄の粒径は特に限定されないものの、平均粒径として0.01〜1mm程度であることが好ましい。
また、前記混合物中における前記第1塩素固定剤の含有率は特に限定されないものの、通常、0.5〜20質量%であり、1〜20質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましく、3〜10質量%であることが更に好ましい。
本発明の溶解工程において混合物は、このような塩素と、プラスチック(本発明のベンゼン類の製造方法においてはポリスチレン)と、溶剤と、第1塩素固定剤とを含有するものであるが、その他の成分、例えば熱硬化性樹脂や紙類等を含有してもよい。このようなその他の成分の前記混合物中における含有率は特に限定されないが、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましい。
本発明の溶解工程では、このような混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る(なお、本発明のベンゼン類の製造方法においては前記混合物を加熱して前記ポリスチレンを溶解し、ポリスチレン溶解物を得るが、このポリスチレン溶解物は前記プラスチック溶解物の一態様であり、他の種類のプラスチックを用いた場合と処理方法、条件等は同様でよいので、以下ではプラスチック溶解物についてのみ説明する。)。
ここで、前記混合物を加熱する方法は特に限定されない。例えば従来公知の方法でよい。また、加熱する際の混合物の温度は、含有する前記プラスチックの少なくとも一部を溶解することができる温度であればよく、その種類や粒度等によって変わる。概ね、150〜400℃程度であることが好ましい。この温度よりも低すぎると溶解速度が遅くなる場合がある。そして、溶解するために用いる設備(例えば溶解槽)を大型化が必要になる場合がある。また、この温度よりも高すぎると前記プラスチック又はコールタール等の溶剤に含有される化合物が重縮合して、ピッチ留分等となる反応が顕著となり操業上不都合となる場合がある。また、250℃超で溶解する場合は、揮発分(軽質留分等)が多くなる場合があるので、密閉容器の中で溶解するのが好ましい。
前記混合物をこのように加熱すると、前記混合物中の前記塩素の多くが前記第1塩素固定剤に固定される。例えば前記第1塩素固定剤が鉄(Fe)の場合であれば、上記のように加熱することで塩素と反応し塩化鉄(FeCl)を形成するので塩素が固定される。
本発明は、このような溶解工程で得られた前記プラスチック溶解物に第2塩素固定剤を添加した後、水素と反応させ、ベンゼン類を含む水素化分解生成物を得る水素化分解工程を具備する。
ここで、第2塩素固定剤は、前記プラスチック溶解物における前記第1塩素固定剤に固定されなかった塩素を固定することができるものであれば特に限定されない。
また、このような第2塩素固定剤は1価の元素を含むことが好ましい。この1価の元素としてはナトリウムが好ましい。また、第2塩素固定剤はソーダ灰(NaCO)を含むことが好ましく、ソーダ灰であることがより好ましい。これは、1価であり、第1塩素固定剤の作用で形成している塩化鉄(塩化第一鉄(FeCl))を壊さない(塩素を引き抜かない)傾向にあるからである。
1価の元素が好ましい理由は、第1塩素固定剤が例えば鉄又は酸化鉄を含む場合、前記混合物に含まれる塩素(Cl)との反応で、FeClを形成するのにFe原子1個とCl原子2個の3原子の反応となり、反応確率が比較的低いが、これに対して第2塩素固定剤が例えばソーダ灰を含む場合、Na原子1個とCl原子1個の2原子の反応のため、比較的反応確率が高いためであると考えられる。すなわち、FeClを形成するときに中間体として考えられ得る[FeCl]が不安定なためと推察される。
このような第2塩素固定剤を前記プラスチック溶解物に添加した後に後述する水素化分解を行うことで、前記プラスチック溶解物中の前記第1塩素固定剤に固定されなかった塩素を第2塩素固定剤に固定することができる。
また、第2塩素固定剤を添加する方法は特に限定されない。例えば前記プラスチック溶解物を開口部のある添加槽等に導入した後、粉体状(例えば平均粒径0.01〜1mm程度)の第2塩素固定剤を、添加槽等に導入する方法が挙げられる。また、水素化分解反応器等へスラリー状(例えばコールタールとのスラリー)の第2塩素固定剤を直接添加してもよい。更に、前記溶解工程から水素化分解反応器等までの間の配管等に、スラリー状の第2塩素固定剤を、例えばポンプ等を用いて注入することもできる。
本発明の水素化分解工程では、このような方法で前記第2塩素固定剤を前記プラスチック溶解物に添加した後、通常の水素化分解反応で適用される温度及び圧力等の条件にて水素を加えることで、ベンゼン類を含む水素化分解生成物を得ることができる。これは前記プラスチック溶解物中の塩素を固定した前記第1塩素固定剤及び塩素を固定しなかった第1塩素固定剤が、ベンゼン類を生成する反応を促進する触媒として作用するためであると考えられる。
前記プラスチック溶解物を水素と反応させる方法としては、例えば前記第2塩素固定剤を添加した前記プラスチック溶解物を密閉容器に投入し、この容器内で、通常の反応条件にて水素化分解反応を行うことができる。水素化分解反応を行う反応条件は通常の範囲であれば特に限定されない。例えば反応温度は300〜500℃程度とすることができ、400〜450℃程度が好ましい。また、容器内圧力は1.0〜20.3MPa(10〜200気圧)程度とすることができ、5.1〜10.1MPa(50〜100気圧)程度が好ましい。また、反応時間は10分〜10時間程度とすることができる。
また、水素化分解反応は液相、気相のいずれで行ってよく、流動床、固定床、スラリー床等のいずれの反応形式で行ってもよい。
このような水素化分解反応を行うことで、塩素を含まずベンゼン類を含む水素化分解生成物を得ることができる。
なお、本発明において「塩素を含まず」又はこれと同様の文言(「塩素を含まない」等)は、塩素を全く含まないもののみならず、塩素をほとんど含まないものも含む概念である。また、「塩素をほとんど含まない」とは、塩素の含有率が概ね0.01質量%以下であることを意味する。
本発明の水素化分解生成物の製造方法及びプラスチック処理方法は、上記に説明した溶解工程と水素化分解工程とを具備する。
なお、前記プラスチックがポリスチレンを含む場合、前記水素化分解工程で行う水素化分解処理を行うことで、ポリスチレンは分子鎖(主鎖)の切断と水素化分解反応が生じ、主にエチルベンゼンが生成する。更には、アルキル鎖の分解・不均化反応でBTX類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)やメタン、エタン等が生成する。
通常、熱分解のみではベンゼン環に不飽和のアルケンが付いているスチレンの生成が多い。しかし、水素化分解反応では反応が温和に進むことと、ポリスチレンの主鎖の切断部分に水素原子が供給されることにより、ベンゼン環にアルキル鎖(飽和炭化水素)が付加しているエチルベンゼンが多くなる。ポリエチレンやポリプロピレンが存在する場合は、主鎖の切断が主体となるため、後述する分離回収工程にて、主にC3〜C4のガス留分を生成する。
また、前記プラスチックがフェノール樹脂で代表される熱硬化性樹脂、ポリエチレンテレフタレート等を含む場合、後述する分離回収工程にて、これらの一部は重質留分(ピッチも含む)となる。一方、コールタール等の溶剤に関しては、ガス中の水素との反応により主として若干の水素化分解が起こることが多いが、ほんの一部は重縮合反応のため、後述する分離回収工程にてピッチ留分を生成することもある。
次に本発明のベンゼン類の製造方法について説明する。
本発明のベンゼン類の製造方法は、前記溶解工程及び前記水素化分解工程に加えて、次に説明する分離回収工程を具備する。
本発明のベンゼン類の製造方法が具備する分離回収工程は、前記水素化分解工程で得られた水素化分解生成物からベンゼン類を分離し回収する工程である。
前記水素化分解生成物からベンゼン類を分離し回収する方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法を適用することができる。従来公知の方法としては、例えば蒸留法が挙げられる。
このように回収したベンゼン類は塩素を含まない。
なお、通常、ベンゼン類と合わせて軽質留分、重質留分、ガス留分等を回収することができる。これらも同様に塩素を含まない。
次に、本発明の実施態様について図1、図2を用いて説明する。なお、これらは一実施態様であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態を示す概略図である。
この図1に示す実施態様では、プラスチックとして塩素を含むプラスチックである廃プラスチック、溶剤としてコールタールを用いている。
この図1に示す本発明においては廃プラスチック11と、コールタール12と、第1塩素固定剤13とを溶解槽1に投入し、この中で混合して混合物とする。そして、溶解槽1においてこの混合物を150〜400℃の温度に加熱して廃プラスチック11を溶解して、プラスチック溶解物を得ることができる。
次に、得られたプラスチック溶解物をポンプにより配管を通じて水素化分解反応器3に送液する。
ここで、コールタールでスラリー化した第2塩素固定剤14を、配管の途中に注入する(スラリー調製槽は図示していない)。
本発明においてこの第2塩素固定剤は、前記混合物を溶解する部位(図1においては溶解槽1)と水素化分解する部位(図1においては水素化分解反応器3)との間のどこに加えても構わない。例えば、溶解槽1の後段に別途添加槽を設けてよい。この場合、第1塩素固定剤が前記混合物中の塩素をより固定し、固定されない塩素が比較的少なくなり、第2塩素固定剤の添加量を比較的少なくすることができるので好ましい。
そして、水素化分解反応器3には、水素又は水素を主成分とする水素ガス15を供給する。このとき、図1に示すように、経済性向上を指向して水素化分解反応器3から排出されるガスの大部分を循環して、水素濃度を所定濃度に維持するように一部を排ガス21として捨て、水素ガス15をメークアップすることが好ましい。ただし、水素ガス15の全量を新たに供給し、水素化分解反応器3から排出されるガスの全量を捨てる、このプラントの加熱源とする、あるいはほかの用途等に用いる、ということでもよい。
そして、上記のような反応条件(反応形式、反応温度、反応圧力、反応時間等)にて水素化分解反応を行う。
このような水素化分解を行うことで、水素化分解反応器3において、第1塩素固定剤の触媒効果により、ベンゼン類を含む水素化分解生成物を得ることができる。また、第2塩素固定剤の作用で、配管及び/又は水素化分解反応器3においてプラスチック溶解物から塩素を引き抜き固定して、塩素を含まずベンゼン類を含む水素化分解生成物を得ることができる。
このようにして生成した水素化分解生成物の少なくとも一部が蒸留塔6へ送られ、C3〜C4を主体とするガス留分22、ベンゼン類(BTX類)留分23、クレオソート油・アントラセン油等を軽質化したものに相当する水添タール留分である軽質留分24、及び重質留分25に分留(分離)し、回収することができる。
なお、図1では、蒸留塔6は1つであるが、常圧蒸留塔と減圧蒸留塔とを併設して、分留を細分化してもよい。軽質留分24は製品としてもよいが、一部又は全部を溶解槽1へリサイクルして溶剤としてコールタール12に含有させ利用しても構わない。
次に、図2を用いて本発明の別の一実施態様について説明する。
図2に示す実施態様は、図1で示した実施態様における水素化分解反応器3と蒸留塔6との間に、更に固液分離機(ここでは遠心分離機5)を設けたものである。
このような固液分離機を設けると、水素化分解反応器3で得られた水素化分解生成物中の残渣(残渣26)を容易に取り除くことできるので好ましい。残渣には、塩素を固定した第1塩素固定剤13、塩素を固定しなかった第1塩素固定剤13、第2塩素固定剤14、その他未反応物質等が含まれる。
更に、蒸留塔6のボトムを減圧蒸留塔で絞ると固形分が含まれない良質のピッチ(水添ピッチ)を取得することができるので好ましい。
本発明の実施例及び比較例を示す。
<実施例1>
図2に示した態様と同様の処理工程により、本発明を実施した。
まず、ポリスチレン30質量%、ポリエチレン35質量%、ポリプロピレン30質量%及び塩化ビニル5質量%で含むプラスチックを用意した。このプラスチックは都市ごみ系のものを模擬している。
また、溶剤としてアントラセン油、第1塩素固定剤として転炉ダスト(Feを主成分とする)を用意した。
次に、これらプラスチック11、溶剤12、第1塩素固定剤13を200℃に保持した溶解槽1に供給した。供給量はプラスチックが9.6kg/hr、溶剤が20.0kg/hr、第1塩素固定剤が1.5kg/hrとした。
そして、溶解槽で0.5hr反応させ(滞留時間が0.5hr)、プラスチック溶解物を得た。
次に、得られたプラスチック溶解物を配管を通じて水素化分解反応器3へ送液した。また、この配管にて、第2塩素固定剤14としてソーダ灰(NaCOを主成分とする)とアントラセン油とを含むスラリーを2.5kg/hrで注入した。ここで、ソーダ灰とアントラセン油との混合比は質量比で0.1:2.4とした。
そして、このように第2塩素固定剤14が加えられたプラスチック溶解物を水素化分解反応器3にて水素化分解した。ここでの反応温度は450℃、反応圧力は10.1MPa(100気圧)、滞留時間は1hrとした。また、水素化分解反応器3への水素ガス15の供給は2.5Nm/hrとした。
次に、このようにして得られた水素化分解生成物を、遠心分離機5で残渣26を除去した後、蒸留塔6へ送り、C3〜C4を主体とするガス留分22、沸点が200℃までのBTXを主体とするベンゼン類留分23、水添タール留分(軽質留分)24、及び水添ピッチ留分を主体とする重質留分25に分留した。そして、更に水添タール留分24を、沸点が200〜300℃の留分、300〜400℃の留分、及び400℃以上の留分に分けた(蒸留装置は図示せず)。また、ベンゼン類留分について、ガスクロマトグラフ装置を用いてベンゼン類、すなわちベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の存在を確認した。また、各留分中に含まれる塩素分を定量した。分析結果を第1表に示す。
<比較例1>
実施例1における第2塩素固定剤を含むスラリーを供給せず、溶解槽に20.0kg/hrで供給した溶剤(アントラセン油)を22.4kg/hrで供給したこと以外は、全て実施例1と同様とした操作及び分析を行った。分析結果を第1表に示す。
Figure 2007302788
第1表に示した分析結果から、実施例1に係る水素化分解生成物中の塩素量が低下していることがわかる。
図1は、本発明の構成を模式的に示す概略図である。 図2は、本発明の別の構成を模式的に示す概略図である。
符号の説明
1・・・溶解槽
3・・・水素化分解反応器
5・・・遠心分離機
6・・・蒸留塔
11・・・廃プラスチック
12・・・コールタール(溶剤)
13・・・第1塩素固定剤
14・・・第2塩素固定剤
15・・・水素ガス
21・・・排ガス
22・・・ガス留分
23・・・ベンゼン類留分
24・・・軽質留分
25・・・重質留分
26・・・残渣

Claims (6)

  1. 塩素と、プラスチックと、溶剤と、第1塩素固定剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る溶解工程と、
    前記プラスチック溶解物に第2塩素固定剤を添加した後、水素と反応させ、ベンゼン類を含有する水素化分解生成物を得る水素化分解工程と
    を具備する、水素化分解生成物の製造方法。
  2. 前記第1塩素固定剤が2価の元素を含有し、前記第2塩素固定剤が1価の元素を含有する、請求項1に記載の水素化分解生成物の製造方法。
  3. 前記第1塩素固定剤が鉄及び/又は酸化鉄を含有する、請求項1又は2に記載の水素化分解生成物の製造方法。
  4. 前記第2塩素固定剤が炭酸ナトリウムを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の水素化分解生成物の製造方法。
  5. 塩素と、ポリスチレンと、溶剤と、第1塩素固定剤とを含有する混合物を加熱して前記ポリスチレンを溶解し、ポリスチレン溶解物を得る溶解工程と、
    前記ポリスチレン溶解物に第2塩素固定剤を添加した後、水素と反応させ、ベンゼン類を含有する水素化分解生成物を得る水素化分解工程と、
    前記水素化分解生成物からベンゼン類を分離し回収する分離回収工程と
    を具備する、ベンゼン類の製造方法。
  6. 塩素と、プラスチックと、溶剤と、第1塩素固定剤とを含有する混合物を加熱して前記プラスチックを溶解し、プラスチック溶解物を得る溶解工程と、
    前記プラスチック溶解物に第2塩素固定剤を添加した後、水素と反応させる水素化分解工程と
    を具備する、プラスチックの処理方法。
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