JP2000327831A - プラスチック廃棄物のモノマーリサイクル法 - Google Patents

プラスチック廃棄物のモノマーリサイクル法

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JP2000327831A
JP2000327831A JP14121099A JP14121099A JP2000327831A JP 2000327831 A JP2000327831 A JP 2000327831A JP 14121099 A JP14121099 A JP 14121099A JP 14121099 A JP14121099 A JP 14121099A JP 2000327831 A JP2000327831 A JP 2000327831A
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solvent
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monomer
pyrolysis
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Takeshi Ikematsu
武司 池松
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、本発明は
高純度のモノマーを、高収率かつ高処理速度で回収する
ことにより、工業的原料に使用し得る実用的なプラスチ
ック廃棄物のモノマーリサイクル法を提供することにあ
る。 【解決手段】 (A)解重合性プラスチック廃棄物 100重量部 (B)熱分解溶剤 10〜10,000重量部 (C)熱分解促進剤 0〜20重量部 から成る混合物を攪拌下に、加熱分解することにより発
生する蒸気から、その沸点によりモノマーを分留、回収
して成るプラスチック廃棄物のモノマーリサイクル法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラスチック廃棄物
の熱分解によるモノマーリサイクル法に関する。特に、
プラスチック廃棄物が解重合性プラスチックである場合
の熱分解によるモノマーリサイクル法に関する。
【0002】
【従来の技術】各種用途に使用後、廃棄されたプラスチ
ックは、従来は埋め立てあるいは焼却処分されるのが通
常であった。しかし、近年埋め立てする場所の不足ある
いは埋め立て地周辺の水質等の環境が問題視される様に
なった。また、プラスチック廃棄物を焼却する場合に
は、その燃焼熱が大きいため焼却炉の温度が上がり、炉
の耐久性が低下を来す等の問題があり、さらには廃ガ
ス、焼却灰処理等の問題が顕在化する様になった。
【0003】このため、廃棄されたプラスチックを何ら
かの方法でリサイクルしようとする試みが数多くなされ
ている。この具体的な例としては、マテリアルリサイク
ル(再使用)、ケミカルリサイクル(例えば、分解油回
収とその化学原料あるいは燃料への使用)およびサーマ
ルリサイクル(例えば、焼却して熱エネルギー回収)等
がある。
【0004】しかし、これらのリサイクル技術は、それ
ぞれに問題を残している。マテリアルリサイクルする場
合、プラスチック廃棄物は劣化や不純物のコンタミが起
こり、何らかの性能低下は避けられない。そのため、一
般にリサイクルしたプラスチック廃棄物は敷石や公園の
柵、ベンチ、あるいは植木鉢といった、さほどに安全上
の性能が要求されない用途に限定されるのが現状であ
る。
【0005】サーマルリサイクルの例として、焼却し、
その焼却熱を電気エネルギーとして回収する方法があ
る。しかし、一般にそのエネルギー回収率は高いものと
はならない。しかも前述の焼却時の廃ガス、焼却灰に伴
う問題の解決が必要であり、さらには炭酸ガス低減要求
への対応も求められている。また、ケミカルリサイクル
においては回収された分解油はその組成、性状により化
学原料としてのリサイクル、あるいは油燃料としてのリ
サイクル等に利用される。この様なプラスチック廃棄物
のケミカルリサイクルはポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン等の種々の熱分解性のプラスチック廃
棄物で技術的に公知なものとなっている。例えば、ポリ
エチレンの熱分解(村田、他:日本化学会誌、197
3、2414頁)、ポリプロピレンの熱分解(村田、
他:日本化学会誌、1975、192頁)が開示されて
いる。
【0006】ポリスチレンのケミカルリサイクル技術に
限定して言えば、ポリスチレンの熱分解(村田、他:日
本化学会誌、1975、1241頁)が開示されてい
る。記載によると、330〜370℃でポリスチレンを
バルク(溶剤なしの塊状)での熱分解が実施され、回収
油中に最大55%程のスチレンモノマーが含まれていた
ことが報告されている。さらにはモノマーリサイクル法
の改良技術として、水素ガスおよび水添触媒の共存下に
熱分解して、ポリスチレン廃棄物から芳香族炭化水素を
回収する方法(特開昭47−031936号公報)が開
示されている。しかし、この方法でのスチレンモノマー
回収率は9%と極めて低い。これらの熱分解法で回収さ
れた熱分解油を燃料として利用することが提案されてい
るが、重質な油であるあるため使い難く、その利用範囲
は限定されている。
【0007】これに対して、プラスチック廃棄物を何ら
かの溶剤に溶かして、あるいは溶剤に分散して熱分解す
る方法も技術的に公知であった。この方法では比較的高
純度のモノマーが回収できるとの特長がある。例えば、
分解油の一部を溶解工程に返送し、これにポリスチレン
を溶解し、熱分解炉に供給して熱分解する方法(特開昭
49−002878号公報)が開示されている。この方
法により高収率で熱分解油を回収しているが、そのスチ
レンモノマーの含有率は70%程度と未だ低い。また、
ポリスチレンをベンゼン等の溶剤に溶解して熱分解する
ことによるスチレンモノマーの連続製造(特開昭49−
093326号公報)が開示されている。しかし、熱分
解油中のスチレンモノマー濃度は56.6〜78.3%
と低い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】即ち、本発明が解決し
ようとする課題は、本発明は高純度のモノマーを、高収
率かつ高処理速度で回収することにより、工業的原料に
使用し得る実用的なプラスチック廃棄物のモノマーリサ
イクル法を提供することにある。廃プラスチックをその
モノマーに戻すことは環境保護、資源保護、さらにはリ
サイクルによりプラスチック製品の品質低下を招かない
点で、最も好ましいことは明らかである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者はこれらの課題
を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を達成した。例
えば、バルクでポリスチレンを熱分解した場合、一定温
度下では一定のモノマー濃度に達すると飽和して、それ
以上モノマーへの熱分解が進まなくなることが、検討の
結果判明した。このモノマー濃度で重合−解重合は平衡
関係にあるらしく、熱分解促進剤の利用によっても殆ど
変化しなかった。それ故常圧でのバルクで熱分解した場
合、系中の熱分解モノマーを何らかの方法で除去しなけ
れば、熱分解反応はそれ以上進まない。熱分解槽の温度
を徐々に上げると、系中のスチレンモノマーの濃度が増
大し、その蒸気圧が1気圧に達するまで、熱分解槽から
モノマーは留出しない。
【0010】常圧のバルクでポリスチレンを熱分解した
場合、330〜350℃程度以上に加熱しなければモノ
マーの蒸発、留出が起こらないことが実験結果として明
らかとなった。しかし、この条件では熱分解槽に高温で
モノマーが滞留するためか、オリゴマーやその他副生成
物が生成し易く、モノマー回収率の低下を来す。これに
対して特定の有機溶剤を共存させた場合、熱分解時に系
中のモノマー濃度が、バルクの場合に比較して、驚くべ
きことに著しく増大することが判明した。使用する溶剤
の種類や量にもよるが、系中のモノマー濃度はバルクの
場合の3〜4倍にも達する。この関係の概略を図1に示
す。
【0011】しかもバルクに較べて、溶液での熱分解は
粘度が著しく低減するため、攪拌や熱伝導が容易にな
る。また、溶剤と共沸してモノマーが留出するため、熱
分解槽の温度を下げることができる。そのためマイル
ド、かつ均一な熱分解反応となり、高純度のモノマーが
高収率かつ高処理速度で回収できることを見出し本発明
を達成するに至った。
【0012】即ち、本発明は特許請求の範囲に示す通り
である。 (A)解重合性プラスチック廃棄物 100重量部 (B)熱分解溶剤 10〜10,000重量部 (C)熱分解促進剤 0〜20重量部 から成る混合物を攪拌下に、加熱分解することにより発
生する蒸気から、その沸点によりモノマーを分留、回収
して成るプラスチック廃棄物のモノマーリサイクル法
[ここに、熱分解溶剤とはプラスチック廃棄物を溶解あ
るいは膨潤し、その沸点が回収モノマーの沸点よりも1
0℃以上高く、かつ熱分解温度で安定な有機溶剤であ
る。]である。
【0013】本発明においては、熱分解装置を特に限定
するものではない。しかし、技術の理解を容易にするた
めに装置およびプロセスの一例を挙げて説明する。本発
明の範囲がこれらに限定するものでないことは当然であ
る。主装置として攪拌器、加熱設備を備えた熱分解槽が
ある。熱分解槽には予め、熱分解溶剤と必要により熱分
解促進剤を仕込んでおく。槽内は不活性ガス、例えば窒
素や炭酸ガスで置換しておくことが好ましい。この熱分
解槽にはプラスチック廃棄物のフィード設備が付属して
いる。プラスチック廃棄物は細かくしてフィードする方
が熱分解反応を容易にできる。プラスチック加工に用い
る押出し機を通してペレット状、かつ連続的ににフィー
ドすることが特に好ましい。
【0014】他方、本熱分解槽には分留塔を通して、冷
却管および回収モノマーのレシーバーを付設しておく。
発生蒸気は分留塔で分留されて、熱分解溶剤を主体とす
る高沸物は熱分解槽に戻される。モノマーを主体とする
低沸物は冷却管で凝縮してレシーバーに貯留される。レ
シーバーに貯留されたモノマーは重合し易いため、少量
の重合禁止剤を添加するのが好ましい。
【0015】通常プラスチック廃棄物は連続的に熱分解
槽に投入され、分解モノマーは連続的に取り出され、熱
分解溶剤および熱分解促進溶剤は分解槽に留まり続ける
ことになる。本発明のプラスチック廃棄物のモノマーリ
サイクル法で処理できるプラスチック廃棄物は熱的な解
重合性プラスチックに限定される。熱的な解重合性とは
化学反応として、加熱することによりポリマーがモノマ
ーに分解し得ることを意味する。熱的な解重合性のプラ
スチックであればいずれでも構わない。良好に処理でき
るプラスチック廃棄物の具体的例はポリスチレン、ポリ
メチルメタアクリレート、ポリアセタールの廃棄物が挙
げられる。またこれらのプラスチックを主成分として含
む混合物であっても構わない。
【0016】さらには、無機フィラーや難燃剤、可塑
剤、顔料、安定剤等の通常の樹脂材料に含まれる添加物
を含むものであっても構わない。本発明のプラスチック
廃棄物のモノマーリサイクル法において用いられる熱分
解溶剤は、プラスチック廃棄物を溶解あるいは膨潤し、
その沸点が回収モノマーの沸点よりも10℃以上高く、
分解温度で熱的に安定な有機溶剤である。
【0017】熱分解溶剤はプラスチック廃棄物を溶解あ
るいは膨潤することが必要である。さらに言えば、熱分
解溶剤はプラスチック廃棄物を完全に溶解することが好
ましい。熱分解溶剤のプラスチック廃棄物に対する親和
性が著しく低い場合、即ち溶解も膨潤もしない場合、熱
分解反応が不均一なものとなり、回収モノマーの純度が
著しく低下して好ましくない。
【0018】熱分解溶剤の沸点は回収モノマーの沸点よ
りも少なくとも10℃以上高いことが必要であり、20
℃以上高いことが好ましい。特に好ましくい熱分解溶剤
の沸点は回収モノマーの沸点よりも30℃高い、もしく
は沸点の絶対値が200℃の何れか高い方以上である。
熱分解溶剤と回収モノマーとの沸点差がこの範囲より小
さい、もしくは溶剤の沸点が回収モノマーの沸点未満だ
と分離が困難になり、回収モノマーに熱分解溶剤が混入
して好ましくない。また熱分解溶剤の沸点の上限は好ま
しくは450以下、さらに好ましくは380℃以下、特
に好ましくは320℃以下である。熱分解溶剤の沸点が
余りに高いことは、熱分解温度が高くなることになり、
モノマー以外の熱分解物の生成が増大し、好ましくな
い。
【0019】熱分解溶剤が分解温度で熱的に安定とは、
熱分解の長期継続において溶剤分解や酸化等の変質をし
ないことを意味する。本技術においては、通常プラスチ
ック廃棄物は熱分解槽に連続的に投入され、分解モノマ
ーは連続的に取り出され、熱分解溶剤および熱分解促進
溶剤は分解槽に留まり続けることになる。このため、熱
分解溶剤が安定であることが、設備の長期連続運転のた
めに特に求められる。
【0020】プラスチック廃棄物がポリスチレンである
場合、その回収モノマーはスチレンとなる。この場合の
具体的な分解溶剤の沸点はスチレンの沸点145℃より
も10℃高い、即ち155℃以上、好ましくは165℃
以上、特に好ましくは200℃以上である。それ故、ス
チレン系プラスチック廃棄物のモノマーリサイクルの熱
分解溶剤の最も好ましい沸点は、200〜380℃の範
囲である。
【0021】好ましい熱分解溶剤は芳香族系溶剤、シク
ロオレフィン系溶剤、ハロゲン化炭化水素溶剤、ニトロ
基置換の芳香族溶剤が挙げられる。また直鎖脂肪族炭化
水素を一部混合することも好ましく利用できる。芳香族
系溶剤の例としては1,4−ジメチルナフタレン、メチ
ルナフタレン、ビフェニル、テトラリン等を挙げること
ができる。シクロオレフィン系溶剤の例としてはデカリ
ンが挙げられる。ハロゲン化炭化水素溶剤の例としては
クロルナフタレンを挙げることができる。ニトロ基置換
芳香族炭化水素溶剤の例としてはニトロベンゼン、2−
ニトロビスフェニルを挙げることができる。直鎖脂肪族
炭化水素の例としてはn−デカン等を挙げることができ
る。
【0022】実用的には、市販の有機熱媒体の一部が本
発明の熱分解溶剤として好ましく利用できる。この具体
例として新日鐵化学が製造するサームエス200S(成
分:アルキルナフタレン、沸点:263℃)、サームエ
ス300(成分:ビフェニルとジフェニルエーテルの共
融混合物)、サームエス600(成分:モノエチルビフ
ェニル、沸点:286℃)、サームエス700(成分:
ジエチルビフェニル、沸点:315℃)、サームエス8
00(成分:トリエチルビフェニル、沸点340℃)、
サームエス900(成分:水素化トリフェニル、沸点3
64℃)、精製トリフェニルミクスチャー(沸点:35
0〜400℃)が挙げられる。
【0023】また、綜研化学が製造するKSK−OIL
260(成分:アルキルナフタレン、沸点266℃)、
KSK−OIL280(成分:アルキルナフタレン、沸
点303℃)、NeoSK−OIL330(成分:ジフ
ェニル系、沸点:331℃)、NeoSK−OIL24
0(成分:アルキルナフタレン系、沸点:244℃)、
NeoSK−OIL170(成分:アルキルベンゼン
系、沸点:170℃)、NeoSK−OILL400
(成分:鉱油系、沸点:440℃)、NeoSK−OI
L1300(成分:ベンジルトルエン系、沸点:291
℃)、NeoSK−OIL1400(成分:ジベンジル
トルエン系、沸点:391℃)を挙げることができる。
【0024】(A)成分の解重合性プラスチック廃棄物
100重量部当たり、(B)成分の熱分解溶剤の使用量
は10〜10,000重量部の範囲である。好ましくは
100〜2,000重量部であり、特に好ましくは20
0〜1000重量部の範囲である。熱分解溶剤の使用量
が余りに少ないと、粘度が著しく上昇して熱分解槽の攪
拌が困難になり、局部的な過加熱が起こるためか、回収
モノマーの純度が低下して好ましくない。また、熱分解
溶剤の使用量が余りに多いと、熱分解槽の容量に比較し
て処理できるプラスチック廃棄物の処理量が、著しく低
下して好ましくない。
【0025】本発明のプラスチック廃棄物のモノマーリ
サイクル法において、必要により熱分解促進剤を使用で
きる。熱分解促進剤とは、モノマーへの解重合反応を促
進する触媒活性を有する物質である。熱分解促進剤の使
用により、一定温度条件での廃プラスチックのモノマー
への熱分解を顕著に促進できる。具体的な例として酸触
媒、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸化物およ
び水酸化物、遷移金属酸化物等を挙げることができる。
【0026】酸触媒はカルボニルイオン機構による触媒
作用を示し、一般には炭化水素化合物の異性化や分解に
用いられる。活性の高い酸触媒については種々の報告が
あるがアルミ、ガリウム、鉄、ジルコニウム、スズ、ホ
ウ素、チタン、亜鉛、アンチモン、バナジウム等の金属
のハロゲン化物が挙げられる。これらは本発明の酸触媒
として好ましく使用できる。より好ましい金属はアル
ミ、ガリウム、鉄であり、最も好ましい金属は鉄であ
る。
【0027】またそのハロゲン配位子はフッ素、塩素、
臭素およびヨウ素であり、より好ましくはフッ素および
塩素である。酸触媒として用いる金属のハロゲン配位子
は、添加当初から結合している必要はなく、熱分解反応
槽中で酸触媒を生成させても同様な効果を達成できる。
具体的には、別途添加した前述の金属化合物とハロゲン
化合物とを熱分解槽中で反応させ、酸触媒を生成させる
ことができる。金属化合物としては、これら前記の金属
の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、フェノー
ル塩あるいは金属そのもの等が使用できる。ハロゲンソ
ースとなるハロゲン化合物としてはハロゲン化アルキル
化合物、ハロゲン化芳香族化合物、有機酸クロライド化
合物等を挙げることができる。
【0028】アルカリ金属およびアルカリ土類金属の酸
化物および水酸化物の好ましい例としてはナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムの酸化
物および水酸化物が挙げられる。遷移金属酸化物の例と
して鉄、ニッケル、コバルト、チタン、バナジウム、ク
ロム、ジルコニウム等の酸化物が挙げられる。これらの
熱分解促進剤の使用量は、熱分解槽内のポリマー滞留量
100重量部当たり0〜20重量の範囲である。好まし
くは0.01〜10重量部、特に好ましくは0.1〜5
重量部の範囲である。余りに多く使用しても、さらなる
熱分解の促進効果は期待できない。
【0029】本発明のプラスチック廃棄物のモノマーリ
サイクル法においては、廃プラスチックに金属腐食性物
質が混入している場合、その対策として無機中和剤を混
合して、熱分解処理することができる。金属腐食性物質
とは具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ネオプレン、さらには難燃剤として使用されるハロ
ゲン化合物等である。無機中和剤とはこれらが分解して
発生する強酸性物質、即ち塩素、塩化水素、臭素あるい
は臭化水素等と反応して、塩を作る無機化合物である。
好ましい無機中和剤は、IA、IIAあるいはIIIB
金属の酸化物、水酸化物あるいは炭酸塩である。特に好
ましい具体例としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化カルシウム、
水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウ
ム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化アル
ミ、水酸化アルミおよび炭酸アルミを挙げることができ
る。最も好ましい無機中和剤は酸化カルシウム、水酸化
カルシウム、炭酸カルシウムである。
【0030】無機中和剤の必要使用量は、一般に該プラ
スチック廃棄物に含まれるハロゲンの中和に要する化学
当量数の0.1〜100倍、好ましくは0.5〜10
倍、特に好ましくは1〜5倍量である。これより少ない
とハロゲンの中和効果が低減し、これより多いと処理コ
ストの増大や熱分解残渣の量が増大して好ましくない。
また無機中和剤の粒径は一般に小さい程好ましい。これ
は、ハロゲンの中和反応が粒子表面で起こるため、粒子
が小さい程表面積が大きくなり、中和反応が速いためと
理解できる。好ましい粒径1000μm以下、さらに好
ましくは100μm以下、最も好ましくは30μm以下で
ある。
【0031】熱分解時の熱分解槽内部は、基本的に熱分
解ガスが充満する。それ故、熱分解開始前の槽内部のガ
スは空気であっても特に障害とはならない。しかし、熱
分解槽内を予め炭酸ガスや窒素ガス等の不活性ガスで置
換することは、安全上および初期の熱分解物の酸化を防
ぐ上でさらに好ましい。熱分解槽の圧力は常圧であるこ
とが設備上最も容易である。しかし、熱分解槽内の圧を
上げて分解ガスの気化を押さえることは、槽内の液滞留
を増大させて熱分解槽内容物の粘度を下げることにな
る。その結果として攪拌、伝熱を容易にして場合によっ
ては好ましい。また逆に、槽内の圧力を下げることは、
槽内の液や分解ガスの滞留を減少させるためか、熱分解
の副反応を押さえることになる。場合によっては好まし
いものとなる。
【0032】
【発明の実施の形態】以下に実施例を挙げて本発明を具
体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0033】
【実施例1】分留塔、それに続いて冷却管および攪拌を
備えた500mlの石英製の三口フラスコを準備した。
プラスチック廃棄物として50gのポリスチレンペレッ
ト、熱分解促進剤として微細な酸化バリウム0.5gを
仕込み、フラスコ内を窒素置換した。その後、熱分解溶
剤としてジメチルビフェニル450gを仕込み、室温下
に攪拌しながら、ポリスチレンを溶解した。
【0034】溶解後、マントルヒーターにて攪拌しなが
ら徐々に昇温した。内温が260℃になるとリフラック
スが開始し、さらに加熱すると分留塔を通して、冷却管
へスチレンモノマーが留出した。留出温度がスチレンモ
ノマーの沸点146℃になる様にマントルヒーターでの
加熱を調整した。スチレンモノマーの留出が終わると、
急激に留出液温度が上昇する。スチレンモノマーの留出
開始からこの時点までの時間を分解完了時間とした。全
留出液の重量の仕込みポリスチレンに対する割合を分解
油回収率とした。
【0035】実験結果を表1に示す。
【0036】
【実施例2〜10】熱分解促進剤種、熱分解溶剤種およ
び量、熱分解温度(基本的に溶剤の沸点近辺)を振り、
その他の条件は実施例1と同様に実施した。なお実施例
8においては熱分解促進剤の使用はない。実験条件およ
び結果を表1に示す。
【0037】
【比較例1】比較例1は熱分解促進剤なし、熱分解溶剤
としてp−キシレン400部での実験結果を示す。この
実験では熱分解溶剤の沸点がスチレンモノマーの沸点よ
りも低いため、スチレンモノマーを選択的に熱分解槽か
ら取り出すことができなかった。また、3時間熱分解の
後、熱分解槽内のポリスチレンはほぼ全量が未分解のま
ま残っていた。
【0038】
【比較例2】比較例2は熱分解促進剤なし、熱分解溶剤
なしのバルクでの熱分解結果を示すす。この場合、35
0℃近辺からモノマーの留出が始まり、徐々に昇温する
ことによって、最終的には450℃まで温度を上げた。
熱分解終了後は炭素化したポリスチレン分解物が残り、
その仕込み量に対する割合は7重量%であった。結果を
表1に示す
【0039】
【表1】
【0040】
【発明の効果】本発明はプラスチック廃棄物の熱分解に
よるモノマーリサイクル法である。本発明の方法により
高純度のモノマーを、高収率かつ高処理速度で回収する
ことができる。回収されたモノマーは工業原料として、
モノマーリサイクルすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は横軸に熱分解温度、一定温度で熱分解を
継続して飽和した時点の熱分解スチレン濃度を、縦軸に
示している。バルクの熱分解の飽和スチレン濃度とは、
ポリスチレンおよびスチレンモノマーの全量に対するス
チレンモノマーの重量含率を示す。溶液での熱分解の飽
和スチレン濃度とは仕込みポリスチレン100部、溶剤
としてのジメチルビスフェニル400部の熱分解での、
モノマーを含む全量に対する熱分解スチレンモノマーの
重量含率を示す。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)解重合性プラスチック廃棄物 100重量部 (B)熱分解溶剤 10〜10,000重量部 (C)熱分解促進剤 0〜20重量部 から成る混合物を攪拌下に、加熱分解することにより発
    生する蒸気から、その沸点によりモノマーを分留、回収
    して成るプラスチック廃棄物のモノマーリサイクル法。
    [ここに、熱分解溶剤とはプラスチック廃棄物を溶解あ
    るいは膨潤し、その沸点が回収モノマーの沸点よりも1
    0℃以上高く、かつ熱分解温度で安定な有機溶剤であ
    る。]
  2. 【請求項2】(A)成分である解重合性プラスチック廃
    棄物がポリスチレン廃棄物であることを特徴とする請求
    項1記載のプラスチック廃棄物のモノマーリサイクル
    法。
  3. 【請求項3】(B)成分である熱分解溶剤の沸点が20
    0〜380℃の範囲にあることを特徴とする請求項1お
    よび2記載のプラスチック廃棄物のモノマーリサイクル
    法。
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