JP3460398B2 - 塩素原子含有樹脂を含む廃プラスチックの熱分解処理方法 - Google Patents

塩素原子含有樹脂を含む廃プラスチックの熱分解処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、省資源、省エネル
ギー問題や、環境保全の観点から重要性が増している廃
プラスチックの処理方法に関し、詳細には、塩素原子含
有樹脂を含む廃プラスチックから重質油や軽中質油等の
油化物質を高回収率で得る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、環境に与える負荷や資源の制約
上、プラスチック廃棄物に対する処理方法が問題となっ
ている。既に1970年代の石油危機の時から、各種の
廃プラスチック処理方法が開発されているが、主なもの
としては、熱分解あるいは接触分解によって廃プラスチ
ックを低分子炭化水素に転換する方法であり、得られる
低分子炭化水素は燃料として再利用されている。例えば
特開昭49−62575号には、ポリエチレン廃棄物を
熱分解する際に、高温重質油を分散媒体として熱分解槽
に投入し、プラスチックの低熱伝導性を改良して効率的
に熱分解させる方法が開示されている。
【0003】しかし包装材等に用いられるプラスチック
製品の廃棄物中には、通常ポリオレフィンの他に塩化ビ
ニル樹脂等の塩素原子含有樹脂が含まれており、単純に
上記従来法を適応することはできず、熱分解や接触分解
処理の障害となっていた。また塩素原子含有樹脂が混入
した廃プラスチックは、焼却によって塩素原子含有樹脂
に由来する塩化水素ガスが発生し、焼却炉を腐食させる
ため、焼却処理にも適さない。また焼却するだけでは有
効なリサイクルとは言えないため、やはり熱分解等の処
理によって油化させ、新たな資源として利用する方が有
利である。
【0004】上記観点から、塩素原子含有樹脂を含む廃
プラスチックの分解処理方法について種々の検討が行わ
れており、塩化水素ガス分離工程を組み込んだ熱分解処
理によって油化成分を得る方法が研究されている。塩化
水素ガス分離工程は、例えば塩化ビニル樹脂を含む廃プ
ラスチックを250〜300℃前後に加熱して、樹脂中
の塩素を塩化水素ガスとして脱離させる工程であり、熱
分解工程の前もしくは同時に行われる。公知の油化方法
としては、溶融槽を用いて塩化水素ガス分離を行った
後、熱分解を行い、順次分離工程を経て、最終的には軽
質成分中の回収オイルの取得を目的とする処理方法(特
開昭50−2076号)や、押出機で加熱しながら塩化
水素ガス分離を行う工程、次いで熱分解工程および接触
改質工程等を経る方法(日本エネルギー学会誌、第72
巻、第11号、1081〜1086頁、1993年発
行)が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし上記従来の処理
方法では、目的物以外にコーク状炭化物が固形残渣とし
て残存し、油化分の収率があまり良くないという問題が
ある。この炭化物の生成状況は次の様に考えられる。ま
ず塩化水素ガス分離工程もしくは熱分解工程において、
廃プラスチック中の塩素原子が塩化水素として脱離する
とき、水素原子を引き抜くためプラスチックの主鎖中に
ラジカルが発生する。廃プラスチックは溶融状態では高
粘度でありしかも熱伝導度が低いので、溶融槽内や押出
機内で溶融状態にあっても、その温度分布にはかなりの
ばらつきが生じており、部分的に過加熱されている箇所
が存在している。その結果、特にこの過加熱部分で前記
ラジカルの生成に引き続いて重縮合反応が進行し、高分
子量化したコーク状炭化物(以下単に炭化物という)が
生成してしまうのである。
【0006】一旦炭化物が生成すると、加熱効率がさら
に劣っていくので、上記重縮合反応がさらに促進される
という悪循環に陥り、目的とする重質・軽中質油等の油
化物質の収率が著しく低下してしまう。また炭化物は固
形残渣となるため取扱いにくく、装置の長時間連続運転
の障害になる上、加熱効率の悪さは塩化水素ガス分離効
率や熱分解効率も低下させるので、熱分解処理反応全体
に種々の悪影響を及ぼすことになり、炭化物の生成抑制
が強く要求されていた。加熱効率向上の目的で、熱分解
工程で生成する高温の液状物(重質油)を塩化水素ガス
分離工程に循環供給することも試みられているが、この
液状物自身が熱分解工程で生成した不安定なラジカルを
大量に有していて炭化物を生成しやすい状態にあるた
め、炭化物生成抑制という点では満足できる効果は得ら
れていない。
【0007】さらに、熱分解中間物質からガソリン等の
低分子油を効率よく得るために通常触媒が用いられる
が、この触媒は塩化水素によって劣化することが多く、
実用上問題となっている。また触媒作用ではなくて熱分
解反応のみで低分子化を進行させるためには500℃を
超える高温処理の必要があるが、高温処理を行うと、ガ
ス生成物や炭化物の生成が促進されて、目的とする油化
物質の収率が低下することが問題とされていた。
【0008】そこで本発明では、炭化物の生成を抑制し
ながら、効率的に加熱でき、かつ重質油や軽中質油等の
再資源化可能な油化物質の回収率を著しく高めることが
できる塩素原子含有樹脂を含む廃プラスチックの熱分解
処理方法を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明は、塩素原子含有樹脂を含む廃プラスチックの熱分
解処理方法において、該廃プラスチックと共に分散媒を
添加して、炭化物の生成を抑制しつつ油化物質を得ると
ころに要旨を有する。分散媒の添加によって、溶融プラ
スチックの流動特性が高められて温度分布の均一化が図
れるため、炭化物の生成抑制が可能になったものであ
る。分散媒として、水素を供与する能力を有する炭化水
素系物質を利用すると、発生したラジカルを安定化させ
る効果を有するため、一層炭化物生成抑制効果が向上す
る。また分散媒として石油系常圧蒸留残渣に含まれる重
質成分や石炭系重質成分を添加すると、これら重質成分
の熱分解も促進されて、効率的に油化物質を得ることが
できる。
【0010】分散媒として水素供与能を有していない炭
化水素系物質を用いるときは、300〜400℃で熱分
解工程を行うことが好ましい実施態様である。また水素
供与能を有する炭化水素系物質の場合は、250〜45
0℃の広範囲な温度域で熱分解処理を行える。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らは、前記した様に、塩
素原子含有樹脂を含む廃プラスチックを熱分解して、再
資源化可能な油化物質を高収率で得ることを課題として
鋭意検討してきた。その結果、溶融プラスチックから塩
化水素ガスが分離しながら熱分解する熱分解工程におい
て、分散媒を共存させることによって、固形残渣となる
高分子量炭化物の生成を著しく抑制し得ることを見出
し、本発明を完成した。
【0012】本発明における「塩素原子含有樹脂を含む
廃プラスチック」とは、「塩素原子含有樹脂を含む樹脂
から成形されたプラスチック廃棄物」と、「塩素原子含
有樹脂を含む樹脂から成形されたプラスチックと他のプ
ラスチックが混合されている廃棄物」の両方を指す。
「塩素原子含有樹脂を含む樹脂から成形されたプラスチ
ック廃棄物」というのは、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビ
ニリデン、また塩化ビニルや塩化ビニリデン等の塩素原
子含有モノマーと他のモノマーとのコポリマー等の塩素
原子含有樹脂のみから成形された廃プラスチック、ある
いはこれらの塩素原子含有樹脂と他の樹脂とのブレンド
物(ポリマーアロイ)から成形された廃プラスチックで
ある。すなわち、可塑剤、安定剤等の公知の添加物を必
要に応じて加えて成形されたプラスチック状態におい
て、塩素原子を含有する熱可塑性のプラスチックであれ
ば全て含有される。
【0013】また「塩素原子含有樹脂を含む樹脂から成
形されたプラスチックと他のプラスチックが混合されて
いる廃棄物」とは、上記「塩素原子含有樹脂を含む樹脂
から成形されたプラスチック」が、他のポリエチレン・
ポリプロピレンやポリスチレン等の熱可塑性プラスチッ
クと混在している廃棄物のことであり、包装材分野等で
使用されて廃棄されるプラスチック廃棄物は、通常この
ような汎用プラスチックと塩素原子含有プラスチックと
の混合状態になっている。本発明法は、「塩素原子含有
樹脂を含む樹脂から成形されたプラスチックの廃棄物」
と、「塩素原子含有樹脂を含む樹脂から成形されたプラ
スチックと他のプラスチックが混合されている廃棄物」
のいずれにも適用できる熱分解処理方法であり、両者を
総称して「塩素原子含有樹脂を含む廃プラスチック」と
いう。以下便宜上、「塩素原子含有樹脂を含む廃プラス
チック」を単に「廃プラスチック」ということがある。
【0014】本発明では、熱分解工程において、分散媒
が塩素原子含有樹脂を含む廃プラスチックと共存してい
ることが必須要件である。熱分解工程では、廃プラスチ
ック中の塩素が水素を引き抜いて塩化水素として脱離す
るときにプラスチック主鎖にラジカルが発生し、このラ
ジカルを起点とする重縮合が炭化物となる。分散媒の存
在は、プラスチックの流動特性を高め、ラジカルが発生
しても、重縮合反応が進行していかない様に溶融プラス
チックの温度勾配を低減させる(過加熱部分をなくす)
作用効果を有し、またラジカルの濃度が分散媒によって
希釈されるので重縮合物が高分子量化してコーク状炭化
物となるのを抑制する効果もある。さらに、連鎖移動剤
的働きでラジカルを安定化させる。
【0015】このラジカル安定化効果は、特に分散媒が
水素供与能を有しているときに顕著に現れる。これは、
廃プラスチック中の塩素が塩化水素として分離するとき
に、分散媒から水素が供与されてプラスチック中の水素
引き抜き反応が抑えられ、ラジカルの発生濃度が抑制さ
れることによる。また、生成したラジカルに水素を供与
して安定化させる効果も相乗的に作用し、コーク状炭化
物の生成が著しく抑制されるのである。
【0016】本発明で使用できる分散媒としては、熱分
解工程で液状を呈し、溶融プラスチックを分散させるこ
とのできる炭化水素系の分散媒体であればいずれも利用
可能である。水素供与能のある分散媒としては、テトラ
リン(1,2,3,4-テトラヒドロンフタレン)の様な脂環部
分を有する縮合多環芳香族炭化水素類等の純粋な化合物
の他、石油系重質油、アスファルト、水添アスファルト
等の石油精製工程において生成する常圧蒸留残渣や減圧
蒸留残渣に含まれる重質成分、あるいはコールタールや
タールピッチ、石炭液化油、石炭系重質油や蒸留残渣
等、石炭精製工程において生成する重質成分が利用でき
る。これらの石油系・石炭系重質成分等を用いると、廃
プラスチック熱分解反応時のラジカル安定化の際に分散
媒も液化・低分子化するので、これら分散媒の液化分解
物も油化物質として有効に利用できるため好ましい。特
に石油系重質油やアスファルト(または水添アスファル
ト)等の石油系常圧蒸留残渣中の重質成分は脂環部分を
多く有するため、水素供与能が高く、好ましい分散媒で
ある。
【0017】一方、分散媒が水素供与能をあまり有して
いなくても、廃プラスチックの溶融時の流動特性を高め
て温度勾配をなくして炭化物の生成を抑えるので、この
ような分散媒も使用することができる。水素供与能を有
していない分散媒としては、1−メチルナフタレンの様
な脂環を有していない縮合多環芳香族炭化水素や、パラ
フィン等の炭化水素油類が使用できる。分散媒として、
廃プラスチックの分解中に生成する中・重質油を循環使
用しても良いが、これらが炭化物の生成原因になること
もあるので、循環使用する量は全分散媒の一部とするこ
とが推奨される。
【0018】分散媒の混合比は廃プラスチック重量に対
して、0.5倍以上とすることが好ましい。より好まし
くは1倍以上である。分散媒量が少な過ぎると、溶融プ
ラスチックの流動特性を改善できず、また炭化物生成抑
制効果も発揮できないためである。分散媒は、多過ぎて
も特に問題はなく、処理時間の長期化、装置の巨大化、
分散媒のコスト等の点で経済的デメリットが生じなけれ
ばよい。一般的には2〜3倍程度までである。なお分散
媒を多量に使用するときは、廃プラスチックの熱分解に
よって生成した中・重質油を外部添加分散媒(特に水素
供与能のある分散媒)と混合して使用すると、経済的
で、かつ炭化物の生成を抑制することが可能である。
【0019】本発明の熱分解方法を行うときの温度は、
水素供与能のある分散媒は炭化物抑制効果が高いので、
通常、塩素原子含有樹脂を含む廃プラスチックの熱分解
が行われる250〜450℃を採用することができる。
250℃より低温では塩化水素ガス発生反応が起こりに
くく、450℃以上では、プラスチックや分散媒の熱分
解反応が急速に進み過ぎ、ガス状生成物とコーク状炭化
物の生成量が多くなって目的とする油化物質の収量が少
なくなってしまう。より好ましい温度範囲は350〜4
00℃である。
【0020】なお、水素供与能のない分散媒の場合は3
00〜400℃で熱分解を行うことが推奨される。25
0〜300℃の低温領域では、廃プラスチック自体の溶
融粘度が高く、熱伝導性に劣るため、水素供与能のない
分散媒の流動特性改善効果だけでは熱分解を効率良く進
めることができず、400℃を超えると水素供与能のな
い分散媒では炭化物の発生抑制効果が不充分であるた
め、300〜400℃で熱分解を行うことが推奨され
る。この温度範囲では溶融プラスチックの粘度も低下
し、水素供与能のない分散媒であっても、流動特性が改
善され温度勾配がなくなり、炭化物の発生を抑制するこ
とができる。
【0021】以下、図1を用いて本発明の熱分解処理方
法を説明する。まず、2〜3cm以下に粗粉砕した塩素
原子含有樹脂を含む廃プラスチックをホッパー1からフ
ィーダー2を用いて溶融槽3中に一定量切り出し、また
廃プラスチックに対して重量で0.5〜3倍量の前記し
た分散媒の1種または2種以上を他の図示しないホッパ
ー等から溶融槽3へ投入する。溶融槽を密閉状態にし
て、充分な流動状態が得られるまで加熱する。このと
き、加熱温度は220℃以下とすることが好ましい。こ
れは、溶融槽3で塩化水素脱離反応が行われるのを防ぐ
ためである。強力な剪断力で混合できる溶融槽を用いる
場合は、廃プラスチックが10cm程度の大きいもので
も処理できる。また、密閉可能で加熱機構を備えた混練
機、エクストルーダー等を溶融槽に変えて使用すること
もできる。
【0022】次に溶融槽3中の分散媒と溶融廃プラスチ
ックとの混合物を、ポンプ4を利用して、予熱器5を経
て熱分解槽6に連続的に供給し、250〜450℃で熱
分解処理を行う。熱分解反応は、常圧でまたは加圧下で
行われる。操作圧力は使用する分散媒の操作温度におけ
る蒸気圧によって決定すれば良く、例えば沸点350℃
以上の石油残渣を分散媒として用いて350℃で熱分解
する場合は、常圧で良い。
【0023】熱分解槽6で、廃プラスチックが分解され
て生成気化した低分子化合物は、熱交換器8を通すこと
によって軽中質油として凝縮分離される。非凝縮ガスは
HCl吸収缶9によって塩化水素が吸収分離され、炭化
水素ガスとして系外に出される。一方、重質油成分は熱
分解槽6の底部から系外に抜き出される。中質油または
重質油の一部を分散媒の一部として熱分解槽あるいは溶
融槽に循環使用してもよい。なお、溶融槽3を使用せず
に、廃プラスチックと分散媒を直接熱分解槽6に供給
し、上記条件で熱分解することも勿論可能である。
【0024】本発明で得られる油化物質のうち、重質油
は、固形残渣(コーク状の炭化物)が少なく安定である
ため、貯蔵がきき燃料油として価値の高いものである。
また、軽中質油は、化学原料やガソリン等軽質燃料とし
て利用できる。また本発明の熱分解処理方法は、塩素原
子含有樹脂を含む廃プラスチックの水添分解や接触分解
油化プロセスの前処理である脱塩素工程としても利用で
き、さらに後工程に、公知あるいは他の新規な方法を適
用しても良い。これらの後工程と組合せることによっ
て、廃プラスチックだけでなく、用いた分散媒も同時に
高品質の燃料や化学原料に転換できる。また後工程でも
軽中質油に転換できなかった重質成分は、分散媒として
再利用すればよく、資源再利用効率が著しく高くなる。
【0025】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例にそってさらに
具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によ
って制限を受けるものではなく、前後記の主旨に適合し
得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であ
り、いずれも本発明の範囲に含まれる。
【0026】実施例1 枝付きフラスコの中に、直径4.40mm、厚さ2.2
2mmのペレット状の塩化ビニル樹脂(以下、単にPV
Cと省略する)75gと、分散媒としてアスファルト7
5gを加え、大気圧下、窒素雰囲気下で撹拌しながら3
50℃まで昇温し、さらに1時間保持した。留出する蒸
気を冷却し凝縮液(軽中質油)として回収すると共に、
非凝縮性ガスをガスバッグに捕集して、HCl量を分析
した。
【0027】反応終了後、容器内の残渣を取り出し、n
−ヘキサン、次いでテトラヒドロフラン(以下、THF
と略す)を用いて抽出し、溶剤分別分析を行った。TH
F不溶物中の有機物が、コーク状の炭化物で固体残渣に
相当する。n−ヘキサンに不溶でTHF可溶物はアスフ
ァルテンに、n−ヘキサン可溶物は重質油分に相当す
る。表1に生成物の収率を示す。なお、収率は、試料と
分散媒の合計重量に対する重量%で示した。また脱塩素
率は、実際に得られたHCl量の、PVC中の塩素原子
が全てHClとして脱離したときに発生するHCl量に
対する重量%である。
【0028】実施例2 実施例1で用いたPVC75gに水添アスファルト75
gを分散媒として加え、実施例1と同一の条件で反応さ
せ生成物を分析した。ここで用いた水添アスファルト
は、無溶媒で鉄・硫黄系触媒を用いて、450℃、30
分の条件で水素化したものであり、単蒸留の結果では、
沸点350℃以下の留分を23.2重量%含むものであ
る。表1に生成物の収率を示す。
【0029】実施例3 実施例2で用いた水添アスファルトから、分画温度35
0℃(常圧単蒸留)で軽質分を留去して得た重質油50
gを、実施例1で用いたPVC50gに加え、実施例1
と同様に処理した。表1に生成物収率を示す。
【0030】比較例1 実施例1で用いたPVC150gを枝付きフラスコに封
入し、大気圧下、窒素気流中で350℃まで昇温後1時
間保持した。生成物の回収および分析は、実施例1と同
様の方法で行った。表1に生成物の収率を示す。
【0031】比較例2(アスファルトのみのブランク実
験) 実施例1で用いたアスファルト150gのみを枝付きフ
ラスコに封入し、大気圧下、窒素気流中で昇温した。2
00℃で撹拌を開始し、350℃まで昇温後1時間保持
した。実施例1と同様の方法で生成物の分析を行った。
表1に生成物の収率を示す。
【0032】
【表1】
【0033】比較例1の結果から、PVC単独で熱分解
を行うと、有用な油化物質は生成せず、多量の炭化物が
生成してしまうことがわかる。アスファルトのみを供し
たブランク実験の生成物は、重質油とアスファルテンで
あり、原料アスファルト組成とほとんど同じであった。
すなわちアスファルトの分解は起こっていない。本発明
の実施例1〜3では炭化物の発生量が著しく低く、比較
例1に比べて炭化物生成抑制効果が顕著に発揮されたこ
とが明らかである。また特に留出油(軽中出油)が多く
生成しており、分散媒が油化物質の生成(PVCの熱分
解)に非常に効果的であることが実証された。
【0034】実施例1と比較例2を比べると、アスファ
ルトから留出油への転換率が実施例1では増大してお
り、塩化水素脱離時に生成するラジカルによってアスフ
ァルト自身の低分子化反応が起こっていることがわか
る。実施例2および実施例3では、アスファルトよりも
さらに水素供与能の優れた水添アスファルトを用いてい
るため、PVCの油化が促進され、水添アスファルト自
身も低分子化するという相乗効果によって、軽中質油の
収率増加が著しい。またいずれの実施例においても、分
散媒を用いていない比較例1に比べて脱塩素率が向上し
ており、分散媒の存在によって加熱効率が改善されたこ
とが大きく寄与している。
【0035】実施例4 反応容器にオートクレーブを用い、これに実施例1で用
いたPVC50gとテトラリン150gを封入し、窒素
を封入して5MPaに加圧した。その後撹拌しながら所
定の温度(250℃および350℃)まで加熱し、30
分間保持した。反応終了後、空冷して内容物を回収し、
生成物収率を調べた。結果を表2に示す。
【0036】実施例5 実施例1で用いたPVC50gと、1−メチルナフタレ
ン150gをオートクレーブに封入し、実施例4と同一
の条件で熱分解を行った。結果を表2に示す。
【0037】実施例6 実施例1で用いたPVC50gと軽油150gをオート
クレーブに封入し、実施例4と同一の条件で熱分解を行
った。結果を表2に示す。
【0038】比較例3 実施例1で用いたPVC50gをオートクレーブに封入
し、実施例4と同一の条件で熱分解を行った。結果を表
2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】実施例4、5および6は 分散媒の性質の
影響を明らかにするものであり、水素供与能の高いテト
ラリン(実施例4)と、非水素供与系の1−メチルナフ
タレン(実施例5)や、軽油(実施例6)をそれぞれ分
散媒として用い、350℃と250℃での熱分解処理を
行った結果である。350℃では、いずれの実施例も、
分散媒を用いない比較例3に比べて炭化物(THF不溶
物)の生成が抑制されていることがわかる。しかし25
0℃の場合、水素供与能の高いテトラリン(実施例4)
だけが、PVCの脱塩素と油化物質生成(THF可溶
物)に成功した。これは、比較的低温の250℃ではP
VCの熱分解は起こりにくいが、水素供与能のあるテト
ラリンでは水添分解反応が進行したのに対し、非水素供
与系分散媒ではPVC分解が起こらなかったため油分へ
転化させることができず、PVCがTHF不溶物として
残存したものと考えられる。
【0041】実施例7 実施例1で用いたPVC10gと、粒状のポリエチレン
(PEと略す)25gおよび粒状のポリスチレン(PS
と略す)25gに、アスファルト90gを分散媒として
加え、熱分解温度を400℃とした以外は実施例1と同
様に熱分解を行い、生成物を分析した。結果を表3に示
した。
【0042】実施例8 実施例7において、アスファルト90gを、アスファル
ト60gと軽油30gに変更した以外は実施例7と同様
に熱分解を行い、生成物を分析した。結果を表3に示し
た。
【0043】比較例4 実施例7において、PVCを50g、PEを50g、P
Sを50gとし、分散媒を使用しない以外は実施例7と
同一の条件で熱分解した。表3に生成物収率の結果を示
した。
【0044】
【表3】
【0045】実施例7および8、比較例4は包装材分野
で用いられる代表的なプラスチックであるPEとPSと
PVCとの混合廃プラスチックの熱分解結果である。実
施例7は、分散媒としてアスファルトのみを添加した例
であるが、比較例4に比べ炭化物の発生量は非常に低く
抑えられていることが明らかである。またアスファルト
の水添分解(鉄・硫黄系触媒存在下、400℃、水素圧
15MPa)を行うと、6〜7重量%の炭化物生成が認
められることから、実施例7においては、PVCに由来
する炭化物と、アスファルトに由来する炭化物の両者の
生成抑制に成功していることがわかる。PSは400
℃、1時間の熱分解で、ほとんど軽中質油に分解する
が、比較例4に比べPSの少ない実施例7の軽中質油の
収率が比較例4と同等であることから、実施例7では廃
プラスチックとアスファルトの低分子化反応が進行した
ことが確認できた。
【0046】実施例8では軽油を分散媒として使用して
いるため、生成した軽中質油量も多くなっているが、実
施例7と同様に、分散媒(アスファルトと軽油)の存在
によって炭化物の発生を抑制しながら、油化物質の回収
率を高め得ることがわかった。これらの結果から、PV
Cと他のプラスチック混合系においても分散媒の添加効
果が発揮されることが確認された。
【0047】
【発明の効果】以上のように、本発明の熱分解処理方法
では分散媒を利用するので、塩素原子含有樹脂を含む廃
プラスチックから効率良く塩素を除去でき、炭化物の生
成を抑えて、高収率で有用な油化物質へ分解することが
できた。これは、分散媒の添加によって系内の熱伝導
性、流動特性が改善され、効率的な加熱が可能となって
温度勾配がなくなり過加熱による炭化物の生成が抑制さ
れたこと、塩素が脱離する際に生じるラジカルを分散媒
によって安定化させ得たこと、重縮合反応の確率を希釈
効果によって減らしたこと、等の効果が相乗的に働いた
結果である。特に水素供与能のある分散媒では、著しい
炭化物生成抑制効果が認められ、さらに重質油やアスフ
ァルトを分散媒として利用すれば、分散媒自身の分解も
促進され、軽中質油収率が増加する効果も享受できる。
【0048】また分散媒の廃プラスチックの混合比や温
度条件等を操作することによって粘度や装置システムへ
の付着性を制御できるため、ハンドリングが改善される
だけでなく、製品油の輸送、貯蔵にも便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱分解処理方法の一例を示すチャート
図である。
【符号の説明】
1 ホッパー 2 フィーダー 3 溶融槽 4,7 ポンプ 5 予熱器 6 熱分解槽 8 熱交換器 9 HCl吸収缶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 弘隆 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18 号 株式会社神戸製鋼所 神戸本社内 (72)発明者 斎藤 彰 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18 号 株式会社神戸製鋼所 神戸本社内 (72)発明者 多田 俊哉 兵庫県神戸市中央区脇浜町1丁目3番18 号 株式会社神戸製鋼所 神戸本社内 (56)参考文献 特開 平8−91685(JP,A) 特開 昭61−159489(JP,A) 特開 平7−53765(JP,A) 特開 平7−316562(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 11/00 - 11/28 B29B 17/00 - 17/02 C10G 1/10

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩素原子含有樹脂を含む廃プラスチック
    を熱分解して処理する方法において、該廃プラスチック
    と共に分散媒として水添アスファルトまたはテトラリン
    を添加して、炭化物の生成を抑制しつつ油化物質を得る
    ことを特徴とする熱分解処理方法。
  2. 【請求項2】 上記分散媒の混合比を、廃プラスチック
    重量に対して0.5倍以上とする請求項1に記載の熱分
    解処理方法。
  3. 【請求項3】 250〜450℃で熱分解処理を行う請
    求項1または2に記載の熱分解処理方法。
  4. 【請求項4】 350〜400℃で熱分解処理を行う請
    求項1または2に記載の熱分解処理方法。
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