JPH11323360A - 廃プラスチックからのポリマー成分の回収方法 - Google Patents

廃プラスチックからのポリマー成分の回収方法

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JPH11323360A
JPH11323360A JP29633598A JP29633598A JPH11323360A JP H11323360 A JPH11323360 A JP H11323360A JP 29633598 A JP29633598 A JP 29633598A JP 29633598 A JP29633598 A JP 29633598A JP H11323360 A JPH11323360 A JP H11323360A
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稔 浅沼
Tsutomu Shikada
勉 鹿田
Tatsuro Ariyama
達郎 有山
Hidenori Yasuoka
秀憲 安岡
Koji Kusumoto
康治 楠本
Takashi Sumikama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多種類の材料からなる無機材料含有廃ポ
リマーから無機材料とポリマー成分を効率よく分離しマ
テリアルリサイクルを可能とする無機材料およびポリマ
ー成分の回収方法を提供する。 【解決手段】 上記課題は、沸点300℃以上、芳香族
指数0.2以上の有機媒体を200〜400℃でその沸
点以下に加熱するとともに、それに無機材料含有廃ポリ
マーを浸漬してそのポリマー成分とその他の成分を分離
し、その後該有機媒体を分離することを特徴とする、無
機材料含有廃ポリマーからの無機材料およびポリマー成
分の回収方法によって解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、廃プラスチック等
の処理方法に関し、特に廃自動車のような金属と多種類
のプラスチックが互いに入り組んだ形状の無機材料含有
廃ポリマーを迅速に簡便に処理して、そこに含まれてい
る金属を金属源として、そしてプラスチックを高炉用還
元剤や燃料等として回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、産業廃棄物や一般廃棄物としてプ
ラスチック等の合成樹脂類が増加しており、その処理が
社会的、環境上、大きな問題となっている。特に、廃自
動車や廃家電製品から発生するシュレッダーダストはさ
まざまな物質からなる混合物であり、プラスチックの
他、金属、皮、ゴム、木、紙、ガラスが含まれ、かつ嵩
密度が0.25g/cm3と非常に低く取り扱い、回収、
処理が困難な廃棄物である。
【0003】その構成成分であるプラスチックは燃焼時
に発生する発熱量が高く、焼却処理した場合に焼却炉の
炉壁を傷める等の問題から専用の焼却設備を必要とする
ことや、ダスト中に含まれる亜鉛や鉛等の有害な金属も
その回収・固定化技術が必要となる等の問題がある。か
かる状況下で現状は投棄処理されているが、投棄は埋立
て地の地盤の低下をもたらすと共に、環境対策上好まし
くない。かつ、昨今では処理費の増加とともに埋め立て
地用の用地確保が社会問題となりつつあり、このため投
棄によらない無機材料含有廃ポリマー、例えばシュレッ
ダーダストの大量処理方法の開発が切望されている。
【0004】この廃プラスチックの処理方法として、2
00℃ないし400℃の融点を有する低沸点金属または
合金を加熱・溶融し、その中に廃プラスチックを一定時
間浸漬、分解する方法が知られている(特開昭50−9
677号公報)。この方法は、ポリ塩化ビニル系樹脂を
焼却炉で処理すると有害な塩化水素が発生するので、焼
却に先立ってこれを脱塩化水素する方法として開発され
たものである。
【0005】また、食用油廃液を溶媒としてポリエチレ
ン等接着性を有する樹脂を金属素材から除去し、金属を
採り出す方法が知られている(特開平5−147041
号公報)。同様な方法として、プラスチック材が流動化
する温度250〜300℃の溶融塩を用い、該溶融塩を
加熱によって前記温度に制御し、さらに溶融塩を前記温
度より2℃〜5℃高く加熱した雰囲気中にプラスチック
廃棄物を投入することによりプラスチック廃棄物を分離
し、溶融塩の液面上に流動化したプラスチック材を浮上
せしめるとともに、液面下に金属材やガラス材を沈降さ
せ、プラスチック材と金属材やガラス材をそれぞれ採り
出すプラスチック廃棄物の溶融塩による分離回収方法も
知られている(特開平8−108165号公報)。
【0006】さらに、廃プラスチックを廃エンジンオイ
ル、廃潤滑油、廃洗浄油、廃溶剤等の廃油と混合して1
00〜200℃で30〜120分加熱して廃プラスチッ
ク中に含まれるポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ
スチレンを抽出した後、固液分離を行って固体分を分離
し、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリスチレンと
抽出溶媒の混合液を燃料として用いる廃プラスチックの
処理方法も知られている(特開平9−268297号公
報)。
【0007】シュレッダーダスト処理に関する技術開発
も鋭意検討されており、減容化を始め、発電を含めた焼
却溶融炉による焼却やガス化処理等が開発されつつあ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記先行技術では、特
定の樹脂と金属の複合物から特定の媒体によってプラス
チックを分離し、プラスチックの再利用を行うものであ
る。他方、自動車、家電製品、OA機器などには多種類
のプラスチックの他、ガラス強化複合材料を始め、多く
の複合材料も使用されている。使用されている金属も各
種鋼板、棒鋼等の鋼材の他にアルミニウム、銅、亜鉛、
鉛等多種類に上がる。このような金属樹脂複合廃棄物か
らマテリアルサイクルを行うにはこれらの先行技術では
多くの問題がある。
【0009】例えば、特開昭50−9677号公報のよ
うに溶融金属を溶融液体として使用した場合は金属の精
錬過程で有害となる成分が金属に同伴するため、好まし
くない。また、溶融塩を用いた場合には、回収される金
属に溶融塩の成分であるアルカリが同伴され、溶融炉炉
壁の劣化を引き起こすがその対応は考慮されていない。
【0010】さらに、経済的に金属およびプラスチック
を回収するには溶融液体の効率的な分離、再生が不可欠
であるが上記先行技術ではこの対策も考慮されていな
い。特に、溶融金属を用いた場合にはポリ塩化ビニルの
分解で発生する塩化水素との反応で溶融金属が塩化物と
なるためその再生は極めて非効率的である。
【0011】また、溶融塩の場合は処理する過程で複合
材料として使用されているプラスチックはその密度が高
くなるため溶融塩中にプラスチックが残留し、浮上分離
ができない場合があり、浮上分離しても、その利用には
粉砕工程が必要であり、燃料として利用する場合、多種
類の樹脂、複合材料を含む廃棄物には適用できない。特
に溶融塩はその密度が高く、ガラスなどの無機物の密度
に近いために、シュレッダーダストに含まれる砂やガラ
スを沈降分離しにくく、浮上するポリマーにこれらの無
機物が混入してしまう問題がある。さらに、無機材料含
有廃ポリマーから溶出した金属により溶融塩の粘度等の
物理的性質が変化することも考えられ、これらを除去再
生することも極めて困難である。さらに、ポリプロピレ
ンやポリエチレンは熱安定性に優れるため、400℃以
上の処理温度が必要になり、硝酸塩溶融塩の場合はNO
xが発生するため、作業上に問題がある。
【0012】また、特開平9−268297号に記載の
方法では特定のポリマー(ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン)を溶解可能な炭化水素油にその分解
が起こらない低温で溶解させるために、油は飽和溶解量
に近づくに従い高粘度になり、固液分離がしだいに困難
になるばかりか、燃料油としてその移送、燃焼法に問題
がある。また、塩化ビニルなどの塩素化合物を含む材料
が混合しているプラスチック類を処理する場合に、11
0〜200℃の比較的低温で処理するため、処理後の液
体成分などに塩素が残留する可能性もあり、その後の処
理工程に問題がある。一般にこの処理には250℃以上
の処理温度が必要なため、この方法では加圧操作が不可
欠であり、廃プラスチックの処理には可能でもシュレッ
ダーダストのように多種類の金属も含むような廃棄物処
理には適さない。
【0013】本発明は、多種類の材料からなる無機材料
含有廃ポリマーから無機材料とポリマー成分を効率よく
分離しマテリアルリサイクルを可能とする無機材料およ
びポリマー成分の回収方法を提供することを目的として
いる。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するべくなされたものであり、沸点300℃以上、芳香
族指数0.2以上の有機媒体を200〜400℃でその
沸点以下に加熱するとともに、それに無機材料含有廃ポ
リマーを浸漬してそのポリマー成分とその他の成分を分
離し、その後該有機媒体を分離することを特徴とする、
無機材料含有廃ポリマーからの無機材料およびポリマー
成分の回収方法によってかかる目的を達成したものであ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】無機材料含有廃ポリマーの無機材
料とは鉄、銅、アルミニウム、亜鉛、鉛、これらのいず
れかを主成分とする合金、等の金属材料、カーボンブラ
ック、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、無機繊維等の
骨材やガラス、砂等の非金属無機材料のいずれであって
もよい。廃ポリマーはポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のプラスチック類のほ
か、ブタジエンゴム、イソプレンゴム等の合成ゴムや天
然ゴムも対象になる。含有形態も各材料が組み合わさっ
た複合材料のほか、各材料がまざり合った混合材料であ
ってもよい。
【0016】本発明を適用し得る無機材料含有廃ポリマ
ーの種類は問わないが、例えば、廃自動車、廃家電製
品、廃OA機器などが適用可能である。これらの無機材
料含有廃ポリマーはそのままでも処理可能であるが、シ
ュレッダー等により細片化したものでも適用可能であ
る。この場合、細片の大きさは0.01〜100mm程
度、特に0.05〜50mm程度とすることが好まし
い。シュレッダーダストとは、廃車や廃家電をシュレッ
ダー、ギロチン、シャーなどで粉砕して金属を回収した
後の破片状の廃棄物である。その主成分はプラスチッ
ク、繊維、鉄、銅、アルミ、ゴム、ガラス等である。
【0017】有機媒体として使用される材料は、無機材
料含有廃ポリマーの浸漬温度で液体として存在し、分離
された金属の溶解時に有害となるアルカリ塩等有害成分
の混入が無く、高炉還元剤や燃料にもなるものである。
そのほか、この浸漬温度では少なくともほとんど分解せ
ずにその粘度等の物理的性質が変化しないこと、かつ分
離された金属やその他の無機材料からの分離が容易なこ
とが必要である。さらに、分離されたポリマーが有機媒
体から浮上分離あるいは均一に分散するような溶媒が望
ましい。均一分散はポリマーの有機媒体への溶解または
溶解しないで分散のいずれの形をとってもよく、両者の
共存であってもよいが、溶解しないで分散するほうが好
ましい。溶解する場合は、有機媒体の粘度変化を伴い、
交換頻度が増すからである。これらの条件を満たすもの
は沸点が300℃以上であり、かつ芳香族指数が0.2
以上を有するものである。好ましくは沸点が250℃以
上、特に好ましくは300℃以上である。一方、沸点の
上限はその熱安定性から定められ、600℃以下、特に
550℃以下であることが好ましい。芳香族指数は全炭
素数に対する芳香族炭素数の比率であり、Brown−
Ladner法(J.K.Brown,W.R.Ladne
r and N.Sheppard,Fuel,39,7
9(1960)で測定することができる。芳香族指数は好
ましくは0.2以上、特に好ましくは0.25以上であ
り、上限は1.0以下、特に好ましくは0.95以下の
ものがよい。具体的に例示すれば、コールタール系の重
質油、ピッチ、石炭液化油、特定の油種(カフジ等芳香
族成分が多いもの)からの石油系の減圧残油、エチレン
ボトム油、改質油、FCCオイル等が挙げられる。特
に、溶解炉の排ガス処理の観点からは硫黄分の少ないコ
ールタール系重質油が望ましく用いられる。また、有機
媒体の性能を大きく低下しない範囲内で廃油、廃潤滑
油、廃オイルなどを一部混合して用いても良い。
【0018】有機媒体はポリマーを分散して分離できる
もので、熱劣化が非常に低いものを使用すると、有機媒
体自身の粘度があまり変化せず、その他の性質が安定し
ているために、繰返しの再利用が可能である。実際に
は、分離したポリマー中に浸透してポリマーと共に分離
槽外に排出される分と、分離された無機成分に同伴して
分離槽外に排出される分の減少分を補充するだけで、非
常に効率的に連続処理ができる。また当初有機溶媒にポ
リマー成分が溶解してしまい固体として得られるポリマ
ー成分量が減少するが、再利用した有機溶媒を用いる事
で新たに溶解するポリマー成分量がほとんど無くなり、
浮上分離されるポリマー成分量が増加するため好まし
い。
【0019】有機媒体へのポリマーの移行を促進するた
めにプラスチック分解触媒を使用することは好ましい。
プラスチック分解触媒としては、ルイス酸、ブレンステ
ッド酸等の酸触媒が使用可能であり、工業的に使用され
ているシリカ・アルミナ系やゼオライト系のFCC触
媒、水素化分解用触媒等の固体酸、アルキル化用触媒で
ある濃硫酸、HF、AlCl3等も使用可能である。分解
触媒は処理後に回収し、再利用することが望ましいが、
工業的に使用済みの触媒をワンウェイで使用することも
好ましい。用いる触媒量は0.5から50wt%程度、
好ましくは1〜30wt%の範囲で用いられる。触媒量
が低い場合は熱分解性能が発現されないためであり、多
い場合は媒体中への触媒分散とその移送が困難となるか
らである。プラスチック分解触媒は通常は無機材料含有
廃ポリマーの浸漬前あるいは浸漬時に有機媒体に加えら
れるが、状況判断等によって後から添加することもでき
る。本発明の方法では、通常はプラスチック分解触媒を
用いてもポリマーが完全分解されるわけではなく、一部
は残存する。
【0020】浸漬温度と時間は通常ポリマーの溶融、分
解が十分に進行するように定められ、これはポリマーの
種類、使用量によって異なるが、200〜400℃程
度、好ましくは250〜350℃で、0.5〜30分間
程度、好ましくは1.5〜15分程度が適当である。ま
た、処理圧力は常圧ないし、有機媒体の処理温度におけ
る自生圧程度の範囲を選定できる。このために処理槽内
の気密性やバルブなど、特別な機構は不必要であり、処
理設備を簡便な装置構成にすることが可能である。この
時、ポリマーの種類により分解挙動は異なるが、おおむ
ね、溶融し、また接触分解によるポリマー主鎖の切断、
低分子化、およびガス化が生起する。ポリ塩化ビニル系
樹脂の場合には塩素はそのほぼ全量がHClとして除去
できる。このため、樹脂中の塩素分は全てガス処理工程
で行うため、分離回収した後のポリマー成分、有機媒体
及び無機材料中には塩素は残らず、その後の利用が容易
である。溶融したポリマーは本発明で使用される有機媒
体中ではその溶解性が低いため浮上分離、あるいは凝
集、分散される。次に浸漬槽から沈降する金属やその他
の無機材料を取り出す。主要金属は通常は鉄分であるの
で、磁選機を用いて浸漬槽から鉄分を選別、回収するの
がよい。取り出した鉄分から付着している有機媒体を熱
風乾燥や水蒸気吹き付けによって除去する。浸漬槽に沈
降する銅や亜鉛等の金属は槽から抜き出して回収する。
なお、空容積が大きいときは、回収した鉄分を溶解する
溶解炉の効率的使用のためプレス等で適当な大きさまで
圧縮するのがよい。カーボンブラック等の非金属無機材
料粉末は多くは有機媒体中に分散浮遊しているので濾別
するのがよい。
【0021】一方、ポリマーは有機媒体から分離する
か、あるいは有機媒体とともにそのまま濃度を調整して
高炉還元剤や燃料として用いることができる。この際、
塩素はガス処理にて全量除去できているので、高炉還元
剤や燃料として利用しても腐食、環境汚染などの心配は
ない。
【0022】なお、回収された鉄分の溶解は製銑分野で
使用する炉を使用することができ、例えばシフト型溶解
炉、キュプラ等が使用できる。溶解炉には熱源としてコ
ークスが装入されるが、さらに前記で分離されたポリマ
ーおよび有機媒体との燃料油も添加することが可能であ
る。溶解炉への吹き込みは従来の重油吹き込みや固形化
後の微粉炭吹き込み等の方法で可能である。そのほか、
石灰石等をスラグ温度の低下、流動性改善等の目的で適
宜添加される。発生するスラグの量は高炉法よりも少な
いので添加量は高炉の半分以下でよい。また、運転は製
銑に準じた条件で実施すれば良い。
【0023】また、銅や亜鉛は静電分離や風力分別など
従来の方法で回収が可能である。また、銅の場合、アン
モニア抽出法や酸溶解法等も利用できる。
【0024】
【実施例】実施例1 中心に外径20mmφ、長さ20mmの棒鋼を外径30
mmφ、内径20mmφ、長さ20mmのプラスチック
(ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレン)で包
んだ金属複合プラスチックを熱間成型で作製し、これを
無機材料含有廃ポリマー試料として用い本発明方法で以
下のように処理した。
【0025】300℃〜550℃の沸点範囲を有し、か
つBrown−Ladner法で測定した芳香族指数が
0.9であるコールタール重油を窒素流通下、300℃
に加熱、充満させた反応炉に試料を浸漬し、2分間熱処
理を実施した。熱処理後、プラスチックは浮上分離して
いるが、残りの棒鋼を引き上げ、その重量を計測し、プ
ラスチックの分離率を調べた。表1に結果を示す。各種
のプラスチックでも容易に金属の分離が可能であること
がわかる。
【0026】実施例2 有機媒体として350℃以上の沸点を有し、かつ芳香族
指数が0.47である石油系減圧蒸留残油を用いた以外
は実施例1と同様な方法で無機材料含有廃ポリマー試料
を処理してプラスチックの分離率を調べた。表1に結果
を示す。
【0027】実施例3 有機媒体として300℃以上の沸点成分を留去し、かつ
芳香族指数が0.65であるコールタールを用いた以外
は実施例1と同様な方法で無機材料含有廃ポリマー試料
を処理してプラスチックの分離率を調べた。表1に結果
を示す。
【0028】実施例4 有機媒体としてアルキルジフェニル(沸点350℃、芳
香族指数が0.86)以外は実施例1と同様な方法で無
機材料含有廃ポリマー試料を処理してプラスチックの分
離率を調べた。表1に結果を示す。棒鋼と樹脂を含有す
るアルキルジフェニルを得た。
【0029】実施例5 300℃〜550℃の沸点範囲を有し、かつBrown
−Ladner法で測定した芳香族指数が0.9である
コールタール重油に10wt%のシリカ・アルミナFC
C触媒を添加した以外は実施例1と同様な方法で無機材
料含有廃ポリマー試料を処理してプラスチックの分離率
を調べた。表1に結果を示す。プラスチック分解触媒が
プラスチックと金属との分離に有効であることがわか
る。
【0030】実施例6 プラスチック分解触媒として塩化アルミニウムを用いた
以外は実施例5と同様な方法で無機材料含有廃ポリマー
試料を処理してプラスチックの分離率を調べた。表1に
結果を示す。
【0031】実施例7 廃車から取り外したプラスチックを8.5%含有するド
ア(7kg)を本発明方法で以下のように処理した。3
00℃〜550℃の沸点範囲を有し、かつBrown−
Ladner法で測定した芳香族指数が0.9であるコ
ールタール重油を窒素流通下、300℃に加熱、充満さ
せた処理炉にドアを浸漬し、2分間熱処理を実施した。
熱処理後、ドアを引き上げ、洗浄チャンバーに移送し、
密閉下で水蒸気を吹き付けて溶媒を除去した。なお、こ
のドアに付着した炭素量は0.1%以下であった。コー
ルタール重油から浮上しているプラスチックをろ過分別
した。回収された樹脂量はドアに含有されるプラスチッ
クに対して90%の収率であった。
【0032】実施例8 有機媒体として300℃以上の沸点成分を留去し、かつ
芳香族指数が0.65であるコールタール蒸留物を用い
た以外は実施例7と同様な方法でドアを処理して残留物
とプラスチック含有コールタール蒸留物を得た。コール
タール蒸留物からろ過分別したプラスチック量はドアに
含有されるプラスチックに対して91%の収率であっ
た。さらに濾過で回収したコールタール蒸留物を用いて
再度、同様な処理を繰り返したところ、2回目、3回目
のプラスチックの回収率はそれぞれ93.94%であっ
た。
【0033】実施例9 300℃〜550℃の沸点範囲を有し、かつBrown
−Ladner法で測定した芳香族指数が0.9である
コールタール重油にプラスチック分解触媒としてFCC
触媒を10wt%添加した以外は実施例7と同様な方法
でドアを処理して残留物とプラスチック含有コールター
ル蒸留物を得た。コールタール蒸留物からろ過分別した
プラスチック量はドアに含有されるプラスチックに対し
て97%の収率であった。さらに濾過で回収したコール
タール蒸留物を用いて再度、同様な処理を繰り返したと
ころ、2回目、3回目のプラスチックの回収率はそれぞ
れ97.98%であった。
【0034】実施例10 プラスチックを40wt%、鉄を10wt%含有するシ
ュレッダーダストを本発明の方法で以下のように処理し
た。350℃〜550℃の沸点範囲を有し、かつBro
wn−Ladner法で測定した芳香族指数が0.9で
あるコールタール重油を300℃に加熱、充満させた浸
漬槽に窒素雰囲気中、シュレッダーダストを投入し、2
分間熱処理を実施した。熱処理後、磁選別機を用いて鉄
分を回収した。洗浄チャンバーに移送し、密閉下で水蒸
気を吹き付けて溶媒を除去した。回収された鉄分は原料
中に含まれる鉄分の95%であった。処理後のコールタ
ール重油に浮遊するプラスチックおよびコールタール重
油中に溶解しているプラスチックを分析したところ、そ
の量はそれぞれ、65%、20%の回収率であった。さ
らに実施例10と同様に濾過で回収したコールタール重
油を用いて再度、同様な処理を繰り返したところ、コー
ルタール重油の2回目の使用では浮遊するプラスチック
およびコールタール重油中に溶解しているプラスチック
はそれぞれ75%、10%の回収率であった。さらに3
回目の使用では浮遊するプラスチックおよびコールター
ル重油中に溶解しているプラスチックはそれぞれ80
%、5%の回収率であった。また、4回以上の繰り返し
使用も可能であり、例えば10回目の使用では浮遊する
プラスチックおよびコールタール重油中に溶解している
プラスチックはそれぞれ82%、3%の回収率であっ
た。
【0035】実施例11 有機媒体として300℃以上の沸点を有し、かつ芳香族
指数が0.28である石油系減圧蒸留残油を用いた以外
は実施例10と同様な方法でシュレッダーダストを処理
して鉄分とプラスチック含有残油を得た。回収率はそれ
ぞれ鉄分が91%、浮遊分離されたプラスチックが51
%、残油に溶解しているプラスチックは33%であっ
た。
【0036】実施例12 シリカ・アルミナ系FCC触媒を10wt%分散させた
以外は実施例10と同様な方法でシュレッダーダストを
処理して鉄分とプラスチック含有コールタール重油を得
た。回収率はそれぞれ鉄分が95%、浮遊分離されたプ
ラスチックが68%、コールタール重油中に溶解してい
るプラスチックは30%であった。
【0037】実施例13 ポリエチレンを30wt%含有し、50mmに切断され
たポリエチレン被覆銅線(1mmφ、100g)を、有機
媒体として300℃〜550℃の沸点を有し、かつBr
own−Ladner法で測定した芳香族指数が0.8
であるコールタール蒸留物を350℃に加熱、充満させ
た処理炉に浸漬し、5分間熱処理した。熱処理後、処理
炉に沈降している銅線とコールタール蒸留物表面に浮上
するポリエチレンを得た。分析の結果、銅線には0.5
wt%の炭素が付着していた。また、回収したポリエチ
レンの収量は88wt%であった。
【0038】実施例14 ポリエチレン30wt%、光ファイバー70wt%より
なるポリエチレン被覆光ケーブル(1mmφ、50m
m、100g)を有機媒体としてアルキルジフェニル
(沸点350℃、芳香族指数が0.86)を350℃に
加熱、充満させた処理炉に浸漬し、5分間熱処理した。
熱処理後、沈降している光ファイバーとコールタール蒸
留物表面に浮上するポリエチレンを得た。分析の結果、
光ファイバーには0.5%の炭素が付着していた。ま
た、回収したポリエチレンの収量は92wt%であっ
た。
【0039】実施例15 カーボンブラック30wt%、スチールワイヤ8wt
%、ゴム60wt%、その他2wt%を含有する廃タイ
ヤを50×50mmに破砕した廃タイヤチップ(100
0g)を本発明方法で以下のように処理した。
【0040】350℃以上の沸点を有し、かつBrow
n−Ladner法で測定した芳香族指数が0.9であ
るコールタール蒸留物を300℃に加熱、充満させた処
理炉に浸漬し、20分間熱処理を実施した。熱処理後、
浮上分離したゴム、および沈降したスチールワイヤを回
収した。溶媒中にはカーボンブラックが均一に分散して
いた。200℃で溶媒を濾過しカーボンブラックを回収
した。ゴム、スチールワイヤおよびカーボンブラックの
回収率はそれぞれ、80、98、70wt%であった。
なお、このスチールワイヤに付着した炭素量は1.0%
以下であった。
【0041】実施例16 有機溶媒として300℃以上の沸点を有し、かつ芳香族
指数が0.4である石油系減圧蒸留残油を用い、廃ゴム
製品としてカーボンブラック25wt%、スチールワイ
ヤ10wt%、ゴム60wt%、その他5wt%を含有
する廃ゴムベルトコンベアを50×50mmに破砕した
ゴムベルトチップ(1000g)を実施例1と同様な方
法で処理してゴム、スチールワイヤおよびカーボンブラ
ックを得た。回収率はそれぞれ、85、90、65wt
%であった。なお、このスチールワイヤに付着した炭素
量は1.0%以下であった。
【0042】比較例1 有機媒体として280℃以上の沸点を有し、かつ芳香族
指数が0.15である石油系減圧蒸留残油を用いた以外
は実施例1と同様な方法で無機材料含有廃ポリマー試料
を処理して棒鋼とプラスチック含有油を得た。結果を表
1に示す。本実施例に比べ、プラスチックの分離性が悪
い。また残油は非常に粘調な液体であった。
【0043】比較例2 有機媒体として280℃の沸点を有し、かつ芳香族指数
が0.15である石油系減圧蒸留残油を用いた以外は実
施例7と同様な方法で処理してドアとプラスチック含有
残油を回収した。ろ過分別したプラスチック量はドアに
含有されるプラスチックに対して55%の収率であっ
た。これはドアを処理炉から引き上げる時に溶解された
樹脂が分離できないためである。また、残油は非常に粘
調な液体であった。用いた石油系減圧蒸留残油はプラス
チックとの分離が容易でないためにその繰り返し使用は
困難であった。
【0044】比較例3 熱媒として溶融塩(KNO3−NaNO2−NaNO3)を
用いた以外は実施例6と同様な方法でドアを処理した。
ろ過分別したプラスチック量はドアに含有されるプラス
チックに対して30%の収率であった。なお、ドアには
未溶融の樹脂、内部には溶融塩が残存していた。
【0045】比較例4 有機媒体として280℃の沸点を有し、かつ芳香族指数
が0.15である石油系減圧蒸留残油を用いた以外は実
施例10と同様な方法でシュレッダーダストを処理して
残留物とプラスチック含有残油を得た。磁選で分離した
鉄分にはプラスチックや繊維等が付着しており分離が困
難であった。また、プラスチックは浮上分離せず、残油
は非常に粘度が高かった。用いた石油系減圧蒸留残油は
プラスチックとの分離が容易でないためにその繰り返し
使用は困難であった。
【0046】比較例5 無機材料含有廃ポリマーとしてポリエチレン被覆銅線を
用いた以外は比較例1と同様な方法でポリエチレン被覆
銅線を処理した。分析の結果、回収した銅線には9.5
%の炭素が付着していた。また、回収したポリエチレン
の収量は25wt%であった。また、残油は非常に粘調
な液体であった。
【0047】比較例6 被覆線材としてポリエチレン被覆光ケーブルを用いた以
外は比較例1と同様な方法でポリエチレン被覆光ケーブ
ルを処理した。分析の結果、光ファイバーには9.5%
の炭素が付着していた。また、回収したポリエチレンの
収量は25wt%であった。また、残油は非常に粘調な
液体であった。
【0048】比較例7 無機材料含有廃ポリマーとして実施例15と同様な廃タ
イヤチップを用いた以外は比較例1と同様な方法で廃タ
イヤチップ処理してゴム、スチールワイヤおよびカーボ
ンブラックを得た。回収率はそれぞれ、55、65、3
0wt%であった。分析の結果、スチールワイヤには6
%の未分離のゴムが付着していた。これはスチールワイ
ヤを処理炉から引き上げる時に溶解されたゴム成分が分
離できないためである。また、残油は非常に粘調な液体
でありゴム、カーボンブラックの回収並びに燃料油とし
ての移送等の取り扱いに問題があった。
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】本発明では有機媒体として300℃以上
の沸点を有し、かつ芳香族指数が0.2以上である有機
溶剤を使用することにより、従来の方法に比べ、無機材
料含有廃ポリマーから金属およびプラスチックの回収が
容易となる。また、プラスチック分解触媒の作用により
分離効率がよくなる。さらに、本溶媒を用いる事によ
り、繰返し使用が可能で、経済的な金属複合廃プラスチ
ック処理が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有山 達郎 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 安岡 秀憲 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 楠本 康治 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 炭竃 隆志 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沸点300℃以上、芳香族指数0.2以
    上の有機媒体を200〜400℃でその沸点以下に加熱
    するとともに、それに無機材料含有廃ポリマーを浸漬し
    てそのポリマー成分とその他の成分を分離し、その後該
    有機媒体を分離することを特徴とする、無機材料含有廃
    ポリマーからの無機材料およびポリマー成分の回収方法
  2. 【請求項2】 有機媒体中にプラスチック分解触媒を含
    有させることを特徴とする、請求項1に記載の無機材料
    含有廃ポリマーからの無機材料およびポリマー成分の回
    収方法
  3. 【請求項3】 分離された有機媒体を無機材料含有廃ポ
    リマーを浸漬してそのポリマー成分とその他の成分を分
    離する有機媒体として再使用することを特徴とする、請
    求項1または2に記載の無機材料含有廃ポリマーからの
    無機材料およびポリマー成分の回収方法
  4. 【請求項4】 無機材料含有廃ポリマーがシュレッダー
    ダストである、請求項1、2または3に記載の無機材料
    含有廃ポリマーからの無機材料およびポリマー成分の回
    収方法
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