JP2004131516A - 有機物の熱分解リサイクル方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リサイクルすることが困難であった雑多な有機廃棄物を、コークス炉にて熱分解し、可燃ガス、油分、炭素還元剤などの化学原料としてリサイクルする方法の提供。
【解決手段】コークス炉の炭化室2に、内部高さの80%以上になるように石炭を充填して、石炭揮発物が75%以上放出された後に、コークス5上の空間に、有機廃棄物の集合体6を供給して、乾留する際に、当該集合体の代表長(L)と、当該集合体の乾留時間(T)の関係がT/L>0.3分/ミリメートルの条件にて、効率的に有機物を熱分解する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リサイクルが困難な廃プラスチック、木屑、塗料屑、繊維屑などの有機物が主体の廃棄物をコークス炉で化学原料としてリサイクルする技術に関する。
具体的には、コークス炉内で廃棄有機物を乾留して化学原料としてリサイクルする方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現代社会の消費活動に伴い、使用済み製品や生産時の残渣等の廃棄物が大量に発生している。これらの廃棄物の中には、有機物が主体ある木屑、塗料屑、繊維屑、プラスチック複合体(FRP)などがある。これらの有機廃棄物のうち、幾つかのものは有効にリサイクルされている。例えば、PETボトルの廃棄物は、分別・洗浄されて、繊維や樹脂などの原料にリサイクルされている。また、純度の高い木屑は、燃料やウッドチップなどにリサイクルされている。
しかしながら、純度の低い有機廃棄物が多く発生しているため、これらの低純度の有機廃棄物は、金属や無機物系の異物混合が多く、また、有機物が多い場合であっても、幾種類かの物質の混合物であることが多い。このような事情から、これらにはリサイクルが困難なものが多く、埋立や焼却処理されているものの比率が多い。
【0003】
例えば、FRP製の小型船舶は、合成樹脂とガラス繊維の複合体であり、合成樹脂とガラス繊維を分離することが極めて困難である。したがって、これを破砕して、焼却炉に投入しやすい大きさにして、焼却処理することが多い。また、有機塗料の余りが固まった廃棄物は、付着性が強く、また、水分や異物などを多く含んでいるため、一般的な方法ではリサイクルできない。したがって、これも焼却炉で焼却処理されている。
木屑の場合でも、例えば、純度が低い建築解体物中の木屑は、コンクリート片、壁紙、廃プラスチック類が混入しており、そのままでは、簡単に木製や木・プラスチック混合物製の製品にリサイクルすることはできないことから、一般的な焼却炉で単純焼却されることや、最終処分場に埋立処理されることが多かった。
【0004】
塗料滓の場合は、汚泥状になっているものや、固化して不定形の塊状になっているものが多い。また、無機物の混在物の混入もあり、リサイクルが困難な物質である。このことから、一部の純度の高いものは、燃料化されていたものの、一般的には、焼却処理されていた。
以上に説明した、比較的純度の低く、また、形状や物性が悪い有機物が廃棄されたものは、リサイクルが困難な問題があったため、雑多な有機物でも、熱分解して、可燃ガスや炭化水素油を採取する目的で、コークス炉で熱分解されることが研究されてきた。この方法では、コークス原料である粉炭に、有機物系廃棄物を混合して、コークス炉の炭化室に供給する。
この時の有機廃棄物の大きさは10〜80ミリメートルが一般的である。この方法では、炭化室内で、有機物廃棄物と粉炭の混合物を無酸素雰囲気で徐々に加熱する。この混合物が200℃を越えた時点から、有機物廃棄物から水素、メタン、ベンゼンなどの炭化水素などの揮発分が放出される。この方法では、有機物廃棄物を無酸素で熱分解するため、可燃ガスや油分に転換することができる。有機物のリサイクル率も高く、場合によっては、100%近い物質リサイクル率を達成できる。以上に説明した方法は、特に、廃プラスチックのリサイクルに用いられている。
【0005】
コークス炉で、有機物を多く含む廃棄物を粘結炭と混合して乾留する際には、製造するコークスの品質を低下させないための工夫が必要であった。つまり、廃プラスチックなどの有機物を乾留する際には、所定の反応条件を満たす必要があった。このため、事前処理で十分に形状や化学成分を調整していない有機物の乾留には、以下の2点の問題があった。
高純度の廃プラスチックなどの場合は、80ミリメートル以下の大きさであれば、石炭と均一に混合して乾留することが有効な方法である。しかし、廃棄物が無機不純物などを比較的多く含む場合は、多くの問題があった。特に、無機の異物がコークス内部に残留することから、製品であるコークス強度が低下する問題が大きかった。また、80ミリメートル以上のサイズの大きな有機物を乾留することにも、コークス強度低下などのコークス製造上の問題があった。
有機廃棄物が水分や有機溶剤を多く含む場合は、120℃以下の低温でいっきに大量の水や揮発性有機物の蒸気分が発生する。この現象により、石炭の乾留反応が開始する前に、大量の揮発分が発生する。この結果、この圧力によって、有機廃棄物周囲の石炭の接触状態が悪化して、この部分の乾留反応が終了した後のコークス強度が低下する問題があった。
【0006】
上記の問題を解決するために、特開平10−237454号公報や特開2001−98277号公報などに示されるように、コークス炉炭化室の空の空間や、炭化室に存在するコークスの量を大幅に減らして、このコークスの上部に、廃プラスチックなどの有機廃棄物を供給して、これを乾留する方法が考えられていた。この操作により、有機廃棄物を可燃ガス、タール、コークスなどに転換する方法である。しかしながら、この方法においては、空の炭化室内で乾留する、特開平10−237454号公報の方法においては、この炭化室の内部では、有機廃棄物の乾留中にコークスを全く製造できないことから、コークス炉の生産量が大幅に減少する問題があった。この結果、数年前に発明されているにもかかわらず、現在まで実際の操業は行われていない。
【0007】
また、炭化室内の乾留が行われたコークス上に、廃プラスチックを供給する、特開2001−98277号公報の方法においても、内部の高さの1/4程度に入る量のコークスが存在している炭化室の上部空間に廃プラスチックを供給していた。この廃プラスチックを乾留することにより、タールや可燃ガスを得ることが考えられていた。しかしながら、この方法でもコークス炉の生産量が低下する問題があり、これも実際には操業されていなかった。
このように、いずれの従来法においても、品位が悪く、かつ、形状も理想的でない有機廃棄物をコークス炉で乾留処理することには課題があった。これらの問題を解決する手段である、特開平10−237454号公報や特開2001−98277号公報のような方法でも、コークスの生産量が減少する問題が重大であり、これに対応するための方法がなかった。したがって、上記の問題点を解決するための新しい方法が求められていた。
【0008】
【特許文献1】特開平10−237454号公報
【特許文献2】特開2001−98277号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、従来はリサイクルすることが困難であった有機廃棄物を、コークス炉にて、可燃ガス、油分、炭素還元剤などの化学原料にリサイクルする有機物の熱分解リサイクル方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前述の課題を解決するために鋭意検討の結果なされたものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した下記(1)〜(5)の通りである。
(1)コークス炉内で廃棄有機物を乾留して化学原料(油分、コークス、水素とメタン主体のガスなど)としてリサイクルする方法において、該コークス炉の炭化室中に、該炭化室内部の高さの80%以上になるように石炭を充填して、該石炭の揮発物が75%以上放出された後に、該炭化室に存在しているコークス上の空間に、廃棄有機物が塊状物、凝集物、または、梱包物の形態となった集合体を供給して、該集合体の代表長(L、単位:ミリメートル)と、該集合体の乾留時間(T、単位:分)の関係がT/L>0.3分/ミリメートルの条件で、該集合体を乾留することを特徴とする有機物の熱分解リサイクル方法。
なお、代表長は、有機廃棄物集合体の容積の1/3乗で定義されるものである。
【0011】
(2)前記廃棄有機物の集合体の代表長(L)が20〜350ミリメートルの範囲であることを特徴とする(1)に記載の有機物の熱分解リサイクル方法。
(3)前記コークス炉の炭化室内部で廃棄有機物の集合体の充填されている部分での充填率が62%以下の状態で、該集合体を乾留することを特徴とする(2)に記載の有機物の熱分解リサイクル方法。
ここで、充填率とは、コークス炉炭化室内で、集合体が存在している部分の容積、つまり、コークス上面から集合体の充填部分の上面までの空間容積、に対する各々の集合体容積の総和との百分率である。
(4)揮発性有機物と水分の合計が15質量%以上の比率であり、かつ、凝結体またはスラッジ状となった前記廃棄有機物を、塊状物、または、集合物として前記コークス炉で熱分解することを特徴とする(1)乃至(3)のいずれか1項に記載の有機物の熱分解リサイクル方法。
(5)凝結体またはスラッジ状となった廃棄有機物を気密性のある合成樹脂、天然樹脂、または、ゴムの袋に詰めることにより集合体とし、該集合体をコークス炉炭化室に供給することを特徴とする請求項4に記載の有機物の熱分解リサイクル方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の有機廃棄物のリサイクル方法は以下の手順で行われる。なお、本発明が適用できる有機廃棄物は、廃プラスチック、塗料屑、木材チップ、廃繊維、その他の乾留時に40質量%程度以上の揮発分(VM)を発生するものである。また、特に、有機溶剤などの150℃程度以下の沸点である揮発性有機物と水分を多く含むものの処理に有効である。なお、有機廃棄物を乾留した際に揮発分を放出した後に、コークス炉内に残る物質は、固定炭素分(FC)と灰分(無機物)である。
【0013】
有機廃棄物を成形体、凝集体、梱包物などの集合体にすることにより、コークス炉で乾留しやすい形状にする。廃プラスチックや化学繊維などの熱軟化性のある物質が含まれているものの場合は、圧縮式の成形装置で、塊とする。木材チップ、天然繊維、ゴムなどの熱軟化性のない物質のみの場合は、有機物製の袋や容器に入れることか、有機バインダーなどの接着性のある物質と混合して、有機廃棄物の集合体(以降、単に集合体と称す)を形成する。
また、スラッジ状となった塗料屑や食品残渣などの場合は、機密性のある有機物の袋や容器に入れることにより、集合体を形成する。一般に、水分と揮発性有機物(シンナーなどの有機溶剤、油類など)を15質量%以上含む場合は、ハンドリング中の液体のこぼれ防止と、集合体を炭化室内に入れた直後の爆発的な蒸発現象を抑制する目的で、このような機密性の袋や容器に密封することが良い。
この目的で使用する袋または容器の有機物の種類としては、ゴム、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンなどが良い。
【0014】
なお、集合体内部の熱伝導を良好にして、乾留時間を短くするためには、集合体の有機廃棄物の充填密度は0.6kg/リットル以上であるといっそう望ましい。つまり、充填密度が高ければ、熱伝導率が非常に小さい空気の比率が低くなり、乾留反応の集合体内部への進行が遅れることがないためである。なお、ここで充填密度とは、集合体の容積に対する固形物と液体の質量の和との比率である。
集合体の処理は、コークス炉において行われる。コークス炉の構造および集合体の供給方法を図1で説明する。まず、上部の石炭供給口1から炭化室2に石炭のみを供給する。供給される石炭の量は、炭化室2の高さの80%以上、望ましくは、85〜90%、になるような量とする。石炭量が炭化室2の内部高さの80%以下である場合は、コークスの生産量が減少する結果となる。このことから、これ以上の量の石炭を炭化室2に入れることにより、有機廃棄物のリサイクル処理を行ってもコークス生産を減少させない。石炭はコークス製造用の原料炭を用いる。耐火物製の隔壁4経由で伝えられる加熱室3のガス燃焼熱で、炭化室2内部の石炭の温度が上がっていく。まず、表面付近の石炭が200℃以上となり、乾留反応が始まり、石炭の揮発分が分離していく。熱は徐々に隔壁4から離れた石炭に伝わって行き、乾留反応が内部に進展していく。ここで、石炭は隔壁4に近い位置からコークス5となる。
【0015】
石炭の乾留を開始してから15時間程度たつと、石炭の乾留が進み、石炭の全揮発分の75%以上が放出される。この時点で、集合体6を石炭供給口1から生成したコークス5の上に供給する。この時点では、石炭の乾留が進んでいることから、炭化室2内部の石炭が減容して、炭化室2の上部に集合体を供給できるだけの空間ができる。この結果、炭化室2内部の石炭装入量を従来コークス炉操業とほぼ同等としながら、つまり、コークス炉の生産量を従来操業と同じ、または、減少量を最小限に抑えながら、有機廃棄物の乾留処理が行える利点がある。この点が本発明の重要な効果である。なお、集合体の供給口は、専用の供給口でも良いが、装置が簡単であることから、本発明の説明では、石炭供給口1を用いた例を示す。集合体6はコークス上に存在しており、揮発分は炭化室2から排気管7を経由して排出される。
【0016】
石炭の全揮発分の75%以上が放出された時点で、集合体を炭化室2の内部に供給する理由は、乾留反応初期には、石炭からの揮発分の発生が多く、コークス5の上に供給された集合体が物理的に分解される(バラバラになる)ことがあり、この際に飛散した固体が揮発分の洗浄装置でのノズル詰まり現象が起きやすくなる。また、集合体からの揮発分発生のピークと石炭からの揮発分の大量発生との時期が重なってしまい、揮発分の発生量が一時的に過大となり、コークス炉のガス処理装置の構造では、十分にガス処理ができない問題が起きるためである。
したがって、石炭からの揮発分の発生速度が低下する時点、つまり、石炭の全揮発分の75%が放出された時点以降に、集合体を炭化室2内部に供給することが本発明の条件となる。また、さらに、望ましくは、全揮発分の90%以上が放出された時点以降に、集合体の乾留を開始する。
石炭の揮発分の75〜90%が分離した後からコークスを釜出しするまでの時間は、2〜4時間である。本発明は、このような短時間で集合体を炭化室2内部で乾留することから、予定乾留終了時間を正確に把握して、この時間以上で集合体を乾留することが重要である。以下に、本発明において重要な技術である予定乾留終了時間の予測の方法と、実際の対応方法を記載する。
【0017】
700℃以上となった隔壁4とコークス5の表面から熱を受けて、コークス5の上に供給された集合体では、供給された直後から、乾留反応が始まる。一般に、有機物内部の熱伝導率は低いことから、乾留反応は集合体6の表面から徐々に進行する。
本発明者らの実験では、集合体の内部への乾留反応完了部分の内部への進行速度は、全反応時間にわたって、ほぼ一定であった。コークス炉の通常操業条件では、本発明の条件である石炭乾留末期では、乾留反応が終了した部分の深さは、少なくとも1分間当り3ミリメートル程度であった。したがって、集合体の乾留時間は、大きさ1ミリメートル当り0.3分間以上であればよく、集合体の長さ(L:ミリメートル)と乾留時間(T:分)の関係が、0.3分/ミリメートル以上であれば、乾留が完了する。したがって、乾留反応のための時間は、T/L>0.3分/ミリメートルであれば良い。一般的に、集合体の形状は、球状や柱状に近い形状とするが、細かい部分の形状は不規則であり、また、球や円筒などの形状が異なるものの長さの代表値を単純に示すことは困難である。このため、本発明者らは、代表長を容積の1/3乗と定義した結果、本発明の予定乾留時間を決めるための一律な評価ができることを解明した。
【0018】
集合体の代表長は、30ミリメートル以上であることが望ましい。理由は、これ以下の大きさでは、炭化室2内の揮発分の上昇気流で集合体が飛散してしまい、これが原因で、揮発分の洗浄装置でのノズル詰まりなどのトラブルが起きるためである。なお、集合体が扁平な形状である場合は、代表長が30ミリメートル以上であることに加えて、集合体の厚みは、10ミリメートル以上であれば、炭化室2の内部での飛散が防止できることから、これ以上の厚みであることが望ましい。
また、本発明の方法においては、集合体の最大の代表長は350ミリメートル以下が望ましい。つまり、集合体が350ミリメートル以下であれば、前述の予定乾留時間(T/L>0.2分/ミリメートル)が2時間強以下となる。この結果、この代表長以下であれば、前述した乾留実施時間の2〜4時間の時間でも、集合体の乾留が完了する。したがって、集合体の乾留時間が限られるの本発明の方法においては、集合体の代表長を把握し、また、これによって求められる予定乾留時間を正確に把握して、かつ、実際にかけられる時間と比較することにより、集合体の乾留を確実に終了させることができる。
【0019】
本発明者らは、以上の条件を満たしたとしても、炭化室2内部での集合体の充填率が高すぎると、集合体の乾留速度が大幅に低下する可能性のあることを見出した。炭化室2内のコークス5上の集合体が密に充填されすぎていると、集合体が互いの熱伝導を阻害することから、乾留反応が終了する時間が延びる問題が生じる。したがって、本発明の方法を効率的に実施するためには、炭化室4の内部での集合体の充填率を低くする必要がある。そこで、本発明者らは、炭化室2の内部での集合体の充填率を種々かえて実験を行ったところ、コークス上に集合体が2層以上に積まれている場合は、充填率が62%以下であれば、上記の代表長と予定乾留時間の関係が保たれることが判明した。また、充填率は低いほど乾留反応の向上に良い効果がある。なお、充填率が55%以下であれば、いっそう良い結果となる。ここで、集合体の充填率は、コークス炉炭化室内で、コークス上の集合体が存在している部分の容積、つまり、コークス上面から集合体の充填部分の上面までの空間容積、に対する各々の集合体容積の総和との比の百分率である。
【0020】
本発明の方法で、集合体を乾留すると、還元性の強い高温雰囲気の中で処理されることから、有機廃棄物の揮発分がガスとなる。また、有機廃棄物の乾留残分には、炭素と無機物が残る。これは、コークスといっしょに炭化室2から排出されて、回収される。この揮発分のガス中には、水素、メタン、エタン、ベンゼン、タール分などが入っている。このガスは石炭を乾留する際に発生するガス分と混合して、コークス炉出口では900℃程度の高温ガスとなり、回収管からガス水冷部に送られ、ここで、アンモニア含有水で、このガス分は100℃以下に冷却される。このガス分のうち、高沸点の部分がタールとして、冷却水中に回収される。この水とタールの混合物は、タールデカンタに送られて、水からタールを回収する。一方、ガス水冷部で液化しなかった部分は、ガス精製装置に送られて、ここで、水素やメタンを中心とするが室温でガスの部分(コークス炉ガス)と、ベンゼンやオクタンなどの室温で液体の油分とに分離される。また、コークス炉ガスは、脱硫処理されて、高純度の燃料ガスとなる。
以上の方法で回収されたタールと油分は化成工場に送られて、ここで精製されて、化学原料となる。最終的には、タール酸、ピッチコークス、カーボンブラック、タール系塗料、ベンゼン、スチレンモノマーなどの化学製品となる。コークス炉ガスは、水素分離装置に送られて、水素製造に用いられ、または、発電所や工業炉の燃料となる。コークスと混合された乾留残分は、高炉還元剤や燃料となる。
【0021】
【実施例】
炭化室が100門あるコークス炉で、本発明の方法を実施した結果を示す。実施例に用いたコークス炉の炭化室のサイズは、幅0.5メートル、高さ6.7メートル、長さ14.5メートルであった。実施例に使用した有機廃棄物は、表1に示すように、廃プラスチック、塗料滓、FRP廃材の3種類である。成分分析値は、表1に示すとおりであり、揮発分(VM)が62〜83質量%、固定炭素(FC)が5〜15質量%、また、灰分が5〜23質量%であった。また、塗料滓は水分を25質量%含むスラッジ状のものであった。
【0022】
【表1】
Figure 2004131516
実施例1は、表1に示す廃プラスチックをリサイクル処理した例である。この廃プラスチックは、工場から発生したものであり、無機物の異物が5質量%、紙が3質量%の比率で混在したものであった。これを直径100ミリメートルで長さ200ミリメートルに圧縮して、表面を溶融して集合体とした。この集合体の代表長は、116ミリメートルであり、また、この集合体の比重は0.63kg/リットルであった。
コークス炉炭化室内部の高さの85%まで石炭を入れて、この石炭の揮発分の91%が放出された後に、充填率が55%になるように、この集合体を炭化室内に入れた。この集合体の乾留時間は、55分間であった。この結果、T/Lは0.47分/ミリメートルとなり、本発明の条件を満たしていた。この処理では、集合体が完全に反応を終了しており、炭化室内から排出した内容物は全て乾留が完全に完了していた。つまり、T/L>0.3分/ミリメートルの条件を守れば、炭化室内での集合体の乾留反応が完了していた。
【0023】
実施例2は、表1に示す塗料滓をリサイクル処理した例である。この塗料滓は、自動車の塗装に用いられた塗料の残りが水分と揮発油を多くスラッジ状になったものであった。この塗料滓は水分を25質量%、揮発油を8質量%の比率で含むものであった。この塗料滓の揮発性有機物と水分の合計は33質量%であった。この塗料滓をポリエチレン製の袋に詰めて、高さ380ミリメートル、幅200ミリメートル、厚み150ミリメートルの集合体を作った。この集合体の225ミリメートルで、また、この集合体の比重は0.78kg/リットルであった。
コークス炉炭化室内部の高さの88%まで石炭を入れて、この石炭の揮発分の93%が放出された後に、充填率が51%になるように、この集合体を炭化室内に入れた。この集合体の乾留時間は、120分間であった。この結果、T/Lは0.53分/ミリメートルとなり、本発明の条件を満たしていた。この処理でも、集合体が完全に反応を終了しており、炭化室内から排出した内容物は、乾留が完全に完了していた。気密性のあるポリエチレンの袋を用いたことから、この集合体をハンドリングする際に、集合体からの液漏れがなく、炭化室に供給する操作に問題がなかった。
【0024】
実施例3は、表1に示すFRP廃材をリサイクル処理した例である。このFRP廃材は、ポリプロピレンにガラス繊維を入れて強度を上げたものである。有機物の比率が77質量%、シリカを中心とする無機物の比率が23質量%であった。このFRP廃材の厚みは3.5ミリメートルで、大きさは300〜800ミリメートル角であった。これを最大サイズ400ミリメートルとした後に、接着剤を用いて、高さ400ミリメートル、幅300ミリメートル、厚み250ミリメートルの塊を作った。この集合体の310ミリメートルで、また、この集合体の比重は0.88kg/リットルであった。
【0025】
コークス炉炭化室内部の高さの81%まで石炭を入れて、この石炭の揮発分の78%が放出された後に、充填率が58%になるように、この集合体を炭化室内に入れた。この集合体の乾留時間は、102分間であった。この結果、T/Lは0.32分/ミリメートルとなり、本発明の条件を満たしていた。この処理では、集合体が完全に反応を終了していた。
一方、比較例では、実施例3で製造した集合体を実施例3と同一の条件で乾留したが、乾留時間は87分間の処理であった。この処理ではT/Lは0.28分/ミリメートルとなり、本発明の条件を満たしていなかった。この処理では、炭化室内から排出した内容物のうち、この集合体が反応したものの残分と判断されるものを化学分析したところ、VMが8質量%残留していた。つまり、集合体が完全に反応を終了していなかった。
【0026】
【発明の効果】
本発明の方法を行うことにより、従来はリサイクルすることが困難であった有機廃棄物を、コークス炉にて、可燃ガス、油分、炭素還元剤などの化学原料にリサイクルすることができる。また、有機廃棄物をリサイクルする際にも、コークス生産の減少を最小限に抑えることが可能となるなど、産業上有用な著しい効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】コークス炉の炭化室とその周辺を示す図である。なお、上図は炭化室の側面図であり、下図は炭化室と燃焼室の断面図である。
【符号の説明】
1:石炭供給口、
2:炭化室、
3:加熱室、
4:隔壁、
5:コークス、
6:集合体、
7:排気管

Claims (5)

  1. コークス炉内で廃棄有機物を乾留して化学原料としてリサイクルする方法において、該コークス炉の炭化室中に、該炭化室内部の高さの80%以上になるように石炭を充填して、該石炭の揮発物が75%以上放出された後に、該炭化室に存在しているコークス上の空間に、廃棄有機物が塊状物、凝集物、または、梱包物の形態となった集合体を供給して、該集合体の代表長(L、単位:ミリメートル)と、該集合体の乾留時間(T、単位:分)の関係がT/L>0.3分/ミリメートルの条件で、該集合体を乾留することを特徴とする有機物の熱分解リサイクル方法。
  2. 前記廃棄有機物の集合体の代表長(L)が20〜350ミリメートルの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の有機物の熱分解リサイクル方法。
  3. 前記コークス炉の炭化室内部で廃棄有機物の集合体の充填されている部分での充填率が62%以下の状態で、該集合体を乾留することを特徴とする請求項2に記載の有機物の熱分解リサイクル方法。
  4. 揮発性有機物と水分の合計が15質量%以上の比率であり、かつ、凝結体またはスラッジ状となった前記廃棄有機物を、塊状物、または、集合物として前記コークス炉で熱分解することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の有機物の熱分解リサイクル方法。
  5. 凝結体またはスラッジ状となった廃棄有機物を気密性のある合成樹脂、天然樹脂、または、ゴムの袋に詰めることにより集合体とし、該集合体をコークス炉炭化室に供給することを特徴とする請求項4に記載の有機物の熱分解リサイクル方法。
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