JP4139897B2 - プラスチックの熱分解方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の種類からなるプラスチック混合物の熱分解方法及び装置に関するものである。
現代社会にあって、廃棄物処理は社会的に必要な重要な基盤技術となっている。廃棄物処理に関しては、単に埋めたてや廃棄処理ではなく、リサイクル、リユースをめざす処理が必要とされている。
プラスチック廃棄物を分解処理することは、プラスチック廃棄物がポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレンなどの単一の種類に限定される場合には、分解温度などの反応条件が特定の範囲とすることができること、得られる分解生成物も特定の成分のものが得られやすいことから、リサイクルを目指す上からは、有意義な技術であると言うことができる。また、これららのプラスチックを処理対象物とする場合に、単一のプラスチックを処理する場合には、得られる生成物の性状は、一定の生成範囲におさまるものであり、好ましいものであるということができる。しかし、廃棄されるプラスチックは各種プラスチックの混合物であることが多く、これらから各種のプラスチックに区分けする操作は煩雑でありことなどから、使用用途が燃料などである場合や分解生成物が種々な混合物であってよい場合には、混合した状態にある複数のプラスチックの処理が、望ましい方向である。
個々のプラスチック及び複数のプラスチックの処理に関しては、以下の処理方法が知られている。
例えば廃棄ポリスチレンの処理についても、従来から研究が進められてきた。
ポリスチレンの熱分解に関しては、330〜370℃において、塊状の状態で分解でき最大で、55%程度のスチレンモノマーが得られることが報告されている(非特許文献1)。
ポリマースチレンに水を共存させて水素化触媒を添加して芳香族炭化水素を製造する方法(特許文献1)、ポリスチレン廃棄物を溶剤に溶解させて、これを加水分解して分解油と分解ガスとし、分解油の一部を溶解工程に溶剤として戻す方法(特許文献2)、ポリスチレンを溶剤に溶解させて,過熱水蒸気雰囲気中で加熱した銅粉末上に滴下することにより熱分解する方法(引用文献3 特開昭49−93326)がある。これらの方法は回収されるモノマーの収率が高くならないことが問題とされてきた。
これらの方法に対して、ポリスチレンを400℃で熱分解し、触媒により得られる回収油を改質する方法(引用文献4)、ポリスチレン樹脂廃棄物を芳香族炭化水素又はその水素化物からなる液状溶媒に溶解させラジカル重合開始剤の存在下に330〜350℃で加熱して熱分解させ、蒸気成分からスチレンモノマーを回収する方法(引用文献5)、熱分熱分解解溶剤や熱分解促進剤の存在下に熱処理してモノマー回収する方法(特許文献6)が知られている。
ポリエチレンの熱分解(非特許文献2)、ポリプロピレンの熱分解(非特許文献3)に記載されている。
ポリオレフイン系プラスチック廃棄物を固体触媒の存在下に熱分解して液体燃料を製造することが知られている(特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11)。
塩化ビニルの熱分解方法に関しては、特許文献12、特許文献13が知られている。
ポリカーボネートの分解に関しては、特許文献14、
ポリアミドの分解に関しては、特許文献15、ポリエステルの分解に関しては、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、ポリウレタンの分解に関しては、特許文献21、特許文献22などが知られている。
また、各種のプラスチック混合物を処理することも知られている。
熱分解生成物を加熱処理して熱分解処理する方法(特許文献23)、ガス化処理に関して、塩化ビニルを含有していない廃プラスチックを液化して、塩化ビニルを含有する廃プラスチックは微粉化して両者を混合してガス化する方法(特許文献24)、各種のプラスチックが混合した状態で加熱溶融させた後、水中に導いて固形燃料とする方法(特許文献25)、解重合して液相と気相に分離して取り出す方法(特許文献26)などがある。
また、プラスチックや重金属などが混在するシュレッダーダストを重油で処理し、塩素などのハロゲン元素含有量が低い有機成分を抽出分離する方法(特許文献27)がある。
これらの熱分解方法は、装置の大型化を避けることができず、熱分解に際し、連続的操業する必要があるなどの問題点が存在する。
ところで、 加熱処理手段として簡便な方法としてマイクロ波を利用する方法が各分野で行われている。マイクロ波による物質の加熱は、被加熱物質固有の誘電率(ε)と誘電体損失角(tanδ)の損失係数(ε×tanδ)に比例して被加熱物質自身が発熱するので、従来の電熱方式に比べると短時間で、均一に比加熱物質を加熱できる。加熱手段としては、家庭用レンジ最もポピュラーな例である。そして、これを用いて化学反応を行うと、反応時間の短縮や選択的な反応の進行や副生成物抑止が可能となるため近年多くの研究が進められている(例えば、特許文献28)。ポリスチレンなどのプラスチックを分解してモノマーを生成させる際にマイクロ波加熱することも知られている(特許文献29)。
この方法では、プラスチックの分解に際してマイクロ波を照射するものであり、場合によりマイクロ波吸収体を存在させるものである。マイクロ波吸収性ということから検討してみると、プラスチックは、マイクロ波吸収性が低く、加熱分解に必要とする熱量をプラスチックには与えることができない。すなわち通常の従来法ではマイクロ波照射による熱分解では無理がある。また、この方法ではマイクロ波吸収体の存在下にマイクロ照射を行う熱分解方法が記載されている。この場合のマイクロ波吸収体の作用に関しては、分解プロセスの促進と記載されているものの、反応に際しては、その使用量などの点でも、質量比でプラスチックに比較して、0.5〜50質量%、好ましくは、0.5〜5質量%とするなどと比較的に少ない量を添加するものである。この反応においては、0.5から5質量%では、反応を短い時間で進めるという点から見て十分ではなく、反応が長引く結果、コーキングを避けることができないことが懸念される。
ポリ塩化ビニルからなる廃棄プラスチックをマイクロ波加熱により塩化水素を遊離させる方法(特許文献30、特許文献31、特許文献32、特許文献33、特許文献34)が知られている。
また、アルカリ水溶液、マイクロ波吸収剤、水素を発生させることができる、金属及び廃プラスチックからなる反応系にマイクロ波を照射する廃プラスチックの脱塩素化処理方法(特許文献35)、プラスチック及び炭化水素混合物分解をマイクロ波処理し、分解ガス化を行う方法(特許文献36)が知られている。
特開昭47−31936号公報 特開昭49−2878号公報 特開昭49−93326号公報 特開平6−220458号公報 特開2001−240696号公報 特開2000−327831号公報 特公昭51−26475号公報 特公昭51−23988号公報 特開平9−302358号公報 特開平10−292178号公報 特開平10−8067号公報 特開平7−157776号公報 特開平9−71683号公報 特開2003−231774号公報 特開2003−171356号公報 特開2003−160521号公報 特開2003−155372号公報 特開2003−147121号公報 特開2003−128600号公報 特開2003−96467号公報 特開2003−160691号公報 特開2003−55500号公報 特開2003−41266号公報 特開2003−246989号公報 特開2003−119481号公報 特開2003−129066号公報 特開2003−154349号公報 特開2003−4544号公報 特表2000−516274号公報 特開平7−157776号公報 特開平9−71683号公報 特開平10−185140号公報 特開平11−94218号公報 特開平11−323005号公報 特開2003―213034号公報 特開平11−152478号公報 日本化学雑誌 1975 1241頁 日本化学会誌 1973年 2414頁 日本化学会誌 1975年 1241頁
本発明の課題は、利用後に回収された複数の種類からなるプラスチック廃棄物や製造工程や成形工程から回収された複数の種類からなるプラスチックにマイクロ波照射を行ってプラスチックを構成する原料物質及び原料物質の複合体からなる生成物(モノマーの二、三量体などの分解生成物、或いはこれらのモノマーが反応して得られる生成物)を生成する方法及び装置を提供することである。
本発明者等は、複数の種類からなるプラスチックに対して、マイクロ波発熱体(マイクロ波吸収物質)の存在下に、マイクロ波照射を行うこと、プラスチックを、相互に十分に接触をさせた状態で、マイクロ波照射を行うことにより、原料物質(モノマー)及び原料物質の複合体からなる生成物(モノマーの二、三量体などの分解生成物、或いはこれらのモノマーが反応して得られる生成物)からなる生成物にまで分解できることを見出した。
即ち、本発明のマイクロ波吸収物質は、熱媒体であると同時に、原料物質(モノマー)、及び原料物質の複合体からなる生成物(モノマーの二、三量体などの分解生成物、或いはこれらのモノマーが反応して得られる生成物)を、従来知られている他の分解方法と比較して多く含んだ状態で得られることから見て、熱媒体は熱媒体として熱を供給するだけの作用を果たすのではなく、触媒としての作用を有していから、原料物質及び原料物質の複合体からなる生成物を得ることができることを、見出して、本発明を完成させたものである。
また、この場合に、分解反応は、マイクロ波発熱体の表面で短時間に行われるので、コーキングを起こすことなく、反応を進行させることができるものと考えられる。
さらに本発明者らは、そのマイクロ波によるプラスチック分解反応において、マイクロ波発熱体に関しては、よく知られているSiCなどのマイクロ波吸収材料よりも非常に効率の良いマイクロ波発熱材料である炭化硼素を粒体で分散させることにより、プラスチック分解反応が特に急速に行われることをみいだし、この作用と合わせて本発明の技術を確立した。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)複数の種類からなるプラスチックにマイクロ波を照射してプラスチックを熱分解させて、熱分解生成物を回収する方法において、プラスチックを粉砕された状態とし、マイクロ波発熱体と相互に十分に接触させた状態とし、マイクロ波照射を行い、プラスチックの原料物質及び原料物質の複合体からなる生成物を製造することを特徴とするプラスチックの熱分解方法。
(2)マイクロ波発熱体が、粉体もしくは粒体である炭化硼素もしくは炭化硼素混合物であることを特徴とする(1)記載のプラスチック熱分解法。
(3)複数のプラスチックにマイクロ波を照射してプラスチックを熱分解させて、熱分解生成物を回収する装置において、粉砕されたプラスチックをマイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせる反応槽及び反応槽にはマイクロ波照射手段が組み合わされていることを特徴とするプラスチックの熱分解装置。
(4)マイクロ波発熱体が、粉体もしくは粒体である炭化硼素もしくは炭化硼素混合物であることを特徴とする請求項3記載のマプラスチック熱分解装置。
本発明によれば、従来の外部加熱による熱分解方法やマイクロ波照射による熱分解方法と比較して、複数の種類からなるプラスチック混合物を処理対象物質に用いて、大規模な分解装置を用いることなく、プラスチックを構成する原料物質(モノマー)及び原料物質の複合体からなる生成物(モノマーの二、三量体などの分解生成物、或いはこれらのモノマーが反応して得られる生成物)を得ることができる方法及び装置が得られる。このように原料物質あるいはこれに類似する物質を生成物として得ることができるので、原料物質の製造工程に戻すことができ、単に燃料などとして使用するのではないので、原料物質として有効に使用することができ有効な方法及び装置を提供する。
本発明による処理対象物質であるプラスチックは、何種類ものプラスチックが混合されているプラスチックである。混合物を構成するプラスチックとしては、
混合物を構成するプラスチックとしては、ポリスチレン、ポリ(α-エチルスチレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、α-オレフイン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンフタレート、ポリイソブチレン、ポリカーボネート、ポリアミドなどである。これらの処理対象物質には、可塑剤や充填材を含有していてもよい。これらの混合物に関しては、すべてを含む必要はなく、例えば、ポリスチレンと、ポリエチレン、ポリプロピレン及びα-オレフインなどの組み合わせであってもよい。また、その他の組み合わせであってもよい。これらのプラスチックは適宜組み合わせてもちいることもできるし、特定のプラスチックを添加することもできる。
これらのプラスチックは、利用後に回収されたプラスチック廃棄物や製造工程や成形工程から回収されたプラスチックが用いられる。
プラスチック廃棄物などの場合には、回収された状態では、各種のプラスチックが混合された状態で回収される場合がある。このような場合には、各プラスチックに分けることなく、そのまま処理対象物質とすることができる。
これらの処理対象物は、マイクロ波照射による熱分解に際して、前処理を行う。
これらの処理対象物が汚れている場合には、洗浄操作により、汚れを除去することが必要である。回収された処理対象物質は、種々な形状のものがあり、処理をほどこすにあたって、均一な処理をほどこすことができず、これらのことから粉砕を行って、ある程度の大きさにそろえることが必要である。
粉砕に先立って、プラスチックの成型物などは、かさばるので圧縮することにより容量を小さくして、その後、粉砕する。
形状は、削りくず状、片状、粒状、粉末状、チップ状、シート状のいずれでもよく、組合せでもよい。
破砕粉砕手段は、任意のものを適宜利用できるが、固定刃を備えた回転軸が回転している円筒状内部にホッパーから供給し、回転刃の作用で切断するなどの装置が利用される。
形状の大きさは、装置の規模などに応じて適宜決定する。この大きさは、プラスチックを粉砕された状態とし、マイクロ波発熱体と相互に十分に接触させた状態とすることができることが重要である。
破砕粉砕されたプラスチックの大きさは、マイクロ照射において共存するマイクロ波発熱体と相互に十分に接触をさせた状態に保つ必要があり、そのために、これらの混合物ができるだけ隙間のない状態とするように相互に接触する状態とすることが必要である。また、このように接触する状態にたもつ理由として次の二つがあげられる。すなわち、マイクロ波発熱体が加熱された状態にあるときに、両者の表面が接触している部分を介して、その有する熱量が容易にプラスチックに伝えられること、また、熱分解反応がこれらの接触している状態の部分で生起することなどの理由によるものである。
このようなことから、マイクロ波発熱体に粉砕されたプラスチックが取り囲まれている状態とすることが必要であり、マイクロ波発熱体の粒径に応じたプラスチックの粒径とすることが必要である。
また、本発明では、加熱されたマイクロ波発熱体が有する熱量により、プラスチックを熱分解するために必要な熱量を供給される必要がある。それゆえにマイクロ波発熱体は、必要な熱量を供給するに足る量を分散させ存在させる必要がある。
これらのことから、プラスチックとマイクロ波発熱体の割合は、重量比で1対2から1対6程度の割合に保つことが必要である。また、このような割合の状態で、できるだけ十分に混合している状態に保つために、破砕されたプラスチックと破砕されたプラスチックの間隙が、マイクロ波発熱体による埋められていることが必要であり、マイクロ波発熱体の粒径に応じた大きさにプラスチックを粉砕することが必要である(図1の状態を参照)。
マイクロ波発熱体は、マイクロ波吸収性能を有する物質が用いられる。また、このマイクロ波発熱体は、マイクロ波により加熱され、その加熱状態で有する熱量がプラスチックを加熱して熱分解させて、反応が進行させるものであるから、熱伝導性が良好な物質が用いられる。
このようなことから、炭化硼素、シリコンカーバイド、グラファイト、カーボン、チタン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、鉄の酸化物などの磁性体が用いられる。これらの中でも、炭化硼素は熱媒体としてのみならず、熱分解生成物中に単量体や二及び三量体を多く含むことから触媒的作用を発現させているものと言うことができ、特に有効に用いることができるものである。
前記のように、マイクロ波発熱体は、破砕されたプラスチックが存在させた状態で、その間隙を埋めるようにして充填される。
マイクロ波照射に先立って、マイクロ波発熱体と破砕されたプラスチックが存在させた状態で、その間隙を埋めるようにして充填される状態で、予熱することが、熱分解反応を良好に進めるうえで、好ましい。
予熱には、熱風を、直接―送り込んだり、又は、装置の外部から熱を供給すること、場合によっては、マイクロ波を照射して加熱することにより、行うことができる。予熱することによりポリスチレンを溶融状態とする。
予熱の程度としては、およそ、150℃から200℃程度に加熱することにより行われる。予熱工程を設けることにより、破砕されたプラスチックの間隙は、マイクロ波加熱体によって密に埋め尽くされ、マイクロ波加熱体の有する熱量が破砕されたプラスチックに伝えやすくし、マイクロ波の照射の効果を一層際だたせることができる。
マイクロ波は、一般的な工業規格であるISM周波数を用いる。特に、2.45GHzのマイクロ波発信器は電子レンジ等で広く使用されていることから、これを用いて行うことができる。マイクロ波は、溶融したプラスチックとマイクロ波発熱体が十分に混合したところに照射される。この時照射は、マイクロ波発熱体に均一に照射するように工夫される。ここで、マイクロ波発熱体が発熱し、接触したプラスチックが分子の末端から順次分解される。
ポリ塩化ビニルなどの塩素含有プラスチックがプラスチック中に含まれている場合には、これらの塩素含有プラスチックは、tanδの値(誘電体損失角の値)が、ポリエチレン、ポリプロピレン。ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートの値より高いので、選択的に加熱され温度が上昇するので、塩化水素が発生する。これらは、系中に塩化水素を吸収するNaOH水溶液などを存在させておくことにより塩化水素ガスを吸収し、反応を進行させることができる。
前記のように分解しているとき、モノマーなどの軽質分解生成物はその温度ではガスとなって系外に出る。この時、効率よくガスを取り出すため、窒素などのパージガスを吹き込むのはより好ましい。
液状体が付着したマイクロ波発熱体は、ナフサなどの炭化水素又はTHFなどの炭化水素溶剤と接触させることにより、両者を分離することができる。炭化水素溶剤により洗浄した場合には、分離されたプラスチック分解性生成物と炭化水素溶剤の混合物は、反応生成物であるプラスチック熱分解生成物に混合させ、熱分解生成物とすることができる。又は、液状体が付着したマイクロ波発熱体を、加熱して液状体を気化させてマイクロ波発熱体と分離することもできる。この場合には、気化された液状体は炭化水素であり、これを再び冷却することにより、気化された炭化水素は回収することができる。
マイクロ波発熱体は、再び粉砕されたポリスチレンと混合して再使用することができる。
プラスチックの組み合わせは、ポリエチレンとポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフイン混合物、ポリエチレンとポリプロピレン、ポリブテンなどのオレフイン混合物にポリスチレンやポリエチレンフタレートやポリカーボネートなどの芳香族炭化水素基を含む重合体からなる混合物、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンを含むポリエチレンとポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフイン混合物、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレートにポリエチレンとポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフイン混合物、ポリアミドに、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレートにポリエチレンとポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフイン混合物、或いはこれらすべての重合体物質を混合した混合物質などがある。
これらの原料物質を用いた場合の反応生成物は、プラスチックの原料物質及び原料物質の複合体からなる生成物が得られる。
ポリエチレンとポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフイン混合物を原料物質とした場合には、エチレンやプロピレンやブテンなどのプラスチックの原料物質及びこれらの原料物質のニ量体、三量体であるオレフイン類、及びポリエチレンの分解性生物であるエチレンとポリプロピレンの分解性生物であるプロピレンが反応したペンテン化合物及びその同族体と見られる生成物の組み合わせなどである。ポリエチレンとポリプロピレン、ポリブテンなどのオレフイン混合物にポリスチレンやポリエチレンフタレートやポリカーボネートなどの芳香族炭化水素基を含む重合体からなる混合物の場合は、原料物質のオレフイン及びベンゼン、スチレンなど、芳香族置換の脂肪族炭化水素、及びオレフイン及びベンゼン、スチレンなどとの反応生成物のなどの原料物質の複合体からなる生成物が得られる。
ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンを含むポリエチレンとポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフイン混合物では、塩化水素が脱離したオレフイン、ポリオレフインからのオレフイン、及びこれらの反応生成物が得られる。
ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレートにポリエチレンとポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフイン混合物では、アクリレート、メチルアクリレート、原料のオレフイン物質、及び原料のオレフイン物質とアクリレートやメチルアクリレートと反応して得られる反応生成物などである。
ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンフタレート、ポリイソブチレン、ポリカーボネート、ポリアミドなどを分解する場合には、アクリレート、メチルアクリレート、原料のオレフイン物質、芳香族置換の脂肪族炭化水素、脂肪族アミンなどのプラスチックの原料物質及びこれらの生成物が反応した原料物質の複合体が得られる。
ポリスチレンとオレフイン混合物のマイクロ波による熱分解
ポリスチレンとオレフイン混合物をペレット状に粉砕して得られる1gを、500μm以下に微粉した。炭化硼素粒子(平均粒子径1.5mm)3gと混合して、マイクロ波照射用反応容器に充填した。また、中央部に、ホウ珪酸ガラス製の5ccバイアル瓶に入れて、ガラススリーブで被覆したファイバー温度計を反応容器中央部に設置し、反応中の温度を測定できるようにした。バイアル瓶は導波管中央に配置し、積極的に強電界にさらすようにした(図1)。
炭化硼素とポリスチレンの混合物に熱風を吹き付けて、150℃以下の状態で溶融固化処理を施した。
マイクロ波照射は、周波数2.45GHzのマイクロ波発信器を用い、マイクロ波の導入は矩形導波管(WRJー2)により行った。反応容器は導波管途中に設けたアプリケータ部に配置した。
アプリケータ前段でスリースタブを用いて反射波をなくし、導波管終端部には水負荷を配して試料には進行波のみが照射されるようにした。
反応時間は10分で、中央部の温度履歴が次に示すハンダ浴槽の温度履歴にあうようにマイクロ波パワーを調整した。その昇温履歴は、図2に示すとおりであった。
反応に際して中央部の温度は375℃、外壁部の温度も375℃であり、反応に際して温度は同一に制御されていることを確認した。
得られた反応生成物についてのポリスチレンの残さ分の重量測定を行うと共に、残さ分をTHFに溶解させて、GPCにより分子量分布を求め、分布の変化から熱分解反応の進行の様子を調べた。また、反応生成物の気化成分は窒素ガスを吹き込みながら系外に取り出し、冷却によって回収した。その成分をガスクロマトグラフイーより分析を行った。
反応生成物の分析結果は以下の通り。
マイクロ波照射による気化成分のガスクロマトグラフイーの分析結果では、スチレン及びオレフインモノマーがほとんどであり、重量収率は70%であった。
GPC分析による残差物の分子量分布の結果は、図3の通りであった。図3によると、マイクロ波照射による熱分解反応では、ポリスチレンの低分子化及び重合化は起こっていない。原料ポリスチレンの分子量分布のままで量が減少している。すなわち、これは低分子化された部分がいきなりモノマーに移行した結果であろうと予想できる。
比較例
ハンダ浴槽に、試料瓶に同様にポリスチレン及びオレフイン混合物を炭化硼素を充填し、同じく温度計を設置して、加熱処理を行った。試料瓶の中心部が375℃になるように槽の温度を調節したため、試料瓶外壁は400℃であった。これは、マイクロ波加熱と同じ条件は作れないため、少なくとも反応温度がマイクロ波加熱より下回らない、すなわち、より分解が進む方向で、設定したものである。 温度計による昇温履歴は、図2に示すとおりであった。
GPC分析の結果は、図3の通りであった。
実施例と比較して、ポリスチレンの高分子領域が低分子量に移行しており、絶対量はそれほど減っていないことが分かる。これは、スチレン全体が加熱され、分子の切断が確率的にあらゆる所で生じていることを表している。反応は10分程度であったため、モノマーが充分生成するところまでいっていないとともに、コーキングもそれほど進行しなかったと考えられる。
マイクロ波照射によるプラスチックの分解装置(右半分)を示す。参照のため左半分にハンダ槽による分解加熱装置を示す。 マイクロ波加熱およびハンダ槽加熱による温度変化,マイクロ波加熱によるマイクロ波パワーの変化を示す。 マイクロ波加熱およびハンダ槽加熱によるポリスチレンの分子量分布の変化を示す。
符号の説明
1 反応容器
2 半田槽容器
3 光フアイバー温度計
4 ガラススリーブ

Claims (2)

  1. 複数の種類からなるプラスチックにマイクロ波を照射してプラスチックを熱分解させて、熱分解生成物を回収する方法において、プラスチックを粉砕された状態とし、これに粉体もしくは粒体のマイクロ波発熱体を、粉砕されたプラスチックとマイクロ波発熱体の割合が重量比で1対2以上となるように混合して、粉砕されたプラスチックとマイクロ波発熱体を相互に十分に接触させた状態マイクロ波照射を行い、プラスチックの原料物質及び原料物質の複合体からなる生成物を製造することを特徴とするプラスチックの熱分解方法。
  2. マイクロ波発熱体が、炭化硼素もしくは炭化硼素混合物であることを特徴とする請求項1記載のプラスチック熱分解法。
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