JP4943618B2 - 振動モータ、並びにその製造および使用の方法 - Google Patents

振動モータ、並びにその製造および使用の方法 Download PDF

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Description

【0001】
−−発明の背景−−
小さなコンポーネントを動かすために、電磁モータを使用することが多いが、それは、比較的安価だからである。電磁モータは非常に高速に回転し、小さな力を加えるだけなので、実際のアプリケーションに必要な低速動作と大きな出力を発生する変速装置とともに常に使用される。この開示で述べている被駆動素子の動きとは、共通の方向への平行移動(translation)または回転運動のことであり、部品を前後に交互に動かしてその部分を振動させるだけで実質的動きを伴わない運動は含まない。モータは比較的安価であるが、可動部品点数が多く、そのため組立てが複雑で信頼性が低下し、また出力が低く変速装置が必要であるということでアプリケーションが制限されることはないが、多くのアプリケーションではコストが必要以上にかかる。さらに、これらのモータは大きすぎ、その動作もあまり正確でなく、騒音が大きい。そこで、より単純、より静粛、より安価なモータが求められている。
【0002】
他の種類の小型モータとしては、電圧が材料に印加されたときに寸法を変化させることができる材料を使用する圧電モータがある。電気機械式マイクロモータでは、圧電セラミックスを使用して、振動モータと励振物体との間に摩擦接触を生じさせることにより直線運動または円運動を行わせる。これらの圧電モータは、少なくとも1つの機械式共振器と少なくとも1つの圧電アクチュエータで構成される。電気信号を発振することにより電気的に励起されたとき、アクチュエータは機械的振動を発生し、共振器がこの振動を増幅する。共振器を物体に接触させると、これらの振動により物体との接触領域に摩擦力が発生し、物体が動く。その結果生じる機械的出力の速度、方向、機械力は、接触領域内の振動の形態と周波数に左右される。これらの圧電モータが動作すると、所与の電圧について寸法に小さな変化が生じ、毎秒何万サイクルもの振動で運動することができる。こうした小さな運動から有用な力および運動を取り出すために、これまでさまざまな面倒で費用のかかる設計が使用されてきた。
【0003】
圧電モータの一種に進行波モータがあるが、これは圧電材料内を進む波動を利用するものである。これらのモータの代表的なものは基本的に円板状の設計であり、生産コストが高い。これらのモータの形状とコストが応用を制限している。
【0004】
他の種類の圧電モータは、圧電材料を所望の方向に動かすために入力信号の波形を特別な形状の波形にする必要がある。このような種類のモータの1つは、スティックスリップ駆動と呼ばれている。これらのモータは、摩擦で物体を動かすのに十分な比較的遅い速度で支えの上の物体を所望の方向に動かす圧電素子を有する。圧電素子にこの波形が印加されると、圧電物質がすばやく縮み、物体の下からその支えを効果的に引き出し、物体をその支えに対して滑らせる。このプロセスが繰り返され、運動を引き起こす。これらのモータは、動作に鋸歯状のまたは類似の波形が必要なため、複雑な電子装置が必要であり、コストが増大する。
【0005】
さらに、圧電モータはほかに、インパクトドライブというものがあり、動きを与えるために該物体を繰り返し打つ。
【0006】
圧電マイクロモータでは、圧電素子を使用して2つの独立振動モードを共振器内で励起させるのに用いることができる。各モードでは、共振器上の接触領域がある方向に沿って発振させられる。これらのモードは、多くの場合、それぞれの発振方向が互いに垂直になるように選択されている。2つの垂直振動を重ね合わせることで、接触領域がリサジューの図形(Lissajous figures)として知られる曲線に沿って動く。たとえば、両方の振動が同じ周波数を持ち、振動間に相対的位相シフトがない場合、重合せから生じる運動は直線運動である。周波数が同じで、相対的位相シフトが90°の場合、得られる運動は、各振動の振幅が同一であれば円運動であり、そうでなければ楕円運動である。周波数が異なる場合、8の字曲線などの他の運動が生じる。
【0007】
リサジューの図形を使用して8の字運動の駆動方式が製作された。これらの駆動方式では、振動素子の先端が8の字運動で動くように2つの周波数を含まなければならない電気信号を必要とする。その結果の電子装置は複雑で高価なものであり、該8の字運動を使用して物体の有用な運動を創り出すことは困難である。
【0008】
他の物体を動かし、機械的出力を発生するには、円運動または角度の大きい楕円運動(ほとんど等しい半軸)が直線運動よりも好ましかった。そこで、従来技術の圧電マイクロモータは、一般に、約90°の相対的位相シフトを持つ2つの垂直振動モードを採用している。これらのモードは、それぞれの共振周波数に近いところで励起し、その結果得られる機械出力は最大になる。2つのモードの間の相対位相シフトを−90°に変化させた場合、楕円を横断する方向が逆転する。そのため共振器と接触する物体の運動もまた逆転する。しかし、これらのモータは、2つの別々の共振モードを励起するように配置され選択された2つの圧電ドライバを必要とする。これは、2組のドライバ、2組の電子駆動システム、各ドライバの位相を逆転する電子システムを必要とし、基本設計において、コンポーネントの場所が制限されている。
【0009】
そのため従来技術には、棒状共振器に小さな圧電板が取り付けられている電気機械マイクロモータを含む。共振器は、棒の先端で可動体と接触する。アクチュエータは棒の長手方向モードと曲げモードを励起する。励振周波数は、相対位相シフトが90°となるようにそれぞれのモードの2つの共振周波数の間で選択する。位相シフトは、共振器の機械的特性、特に機械的減衰特性により発生する。その結果得られる、共振器の先端の楕円運動は、楕円の半軸の1つと棒軸の位置が揃い、楕円の他の半軸が棒軸に対し垂直である運動になる。第2の圧電アクチュエータは、この楕円を横断する方向を逆転するのに使用され、共振器の別の位置に置かれる。第2の圧電アクチュエータは、同じ2つのモードを相対的位相シフト−90°で励振するような配置である。
【0010】
しかし残念なことに、このアクチュエータは、モータを向かい合う方向に駆動するために2組の電子装置を必要とし、2組の駆動圧電板を有するので、部品点数が多いだけでなく、システムの複雑さも大幅に増し、その結果このような種類のモータではコストが著しく増大する。このモータはさらに、駆動周波数を2つの共振周波数の間に収まるように選択されているため出力にも限界がある。そこで、より単純な電子回路、より少ない部品、より高い効率の振動モータに対する要求がある。
【0011】
他の振動モータでは、圧電素子には素子の異なる部分に配置されたいくつかの電極があり、素子がいろいろな方向に歪むようにしている。そのため、たとえば、矩形圧電セラミック素子の4象限の各々において2つの振動モードを少なくとも2つの別々の独立励起電極により励起することができる。第2の電極の組を使用して、楕円を横断する方向を逆転する。得られる楕円運動は、楕円の半軸の1つとモータの長手方向の軸が揃い、楕円の他の半軸がその軸に対し垂直である運動になる。別のところで述べたように、半軸同士の比は、有利に5:1、10:1または20〜50:1の比を有利に利用することによって、運動を大きくしたり、移動時間を短縮したりするのに使用でき好都合である。
【0012】
しかしやはり、この運動を実施するために電子的接続部がいくつかあり、また部品も多いので、この種のモータはコストが高くなる。従来技術に比べて製造にかかるコストが低く、より製造しやすいマイクロモータを提供することが本発明のいくつかの観点からの所望である。
【0013】
−−要 旨−−
本発明では、単一の圧電素子と機械式共振器を使用して所望の運動を実現する。圧電素子は、一対の電気接点を有する。圧電素子は、正弦波電気信号で励起され、このとき該素子、共振器、およびときには取付システムは、単一信号により少なくとも2つの振動モードが励起されて共振器が動く対象の物体と接触する領域で楕円運動を発生するように構成構成されている。
【0014】
本発明の他の実施形態では、振動素子は、圧電素子と磁場に晒されたときに形状を変える磁歪素子を有する。
【0015】
従来技術と異なり、楕円の半軸は共振器の長軸(長手方向の軸)と揃っておらず、またそれと垂直な方向にもないため有利である。また、2つのモード間の相対的位相シフトは、円形またはほとんど円形−楕円形の経路を得るために90°に近い必要はない。それぞれの振動の振幅は、大きさが異なる場合がある。所与の周波数において、モータ26は物体42を一方向に動かす。別の周波数で動作している場合、モータ26は物体42を別の方向または異なる回転で動かす。好ましくは、物体42を反対方向に動かすが、これは、ユーザの要求条件とモータ26、その支え、および駆動される物体42の設計により異なる。モータ26をさらに高い周波数で動作させ、車軸の回転および/または平行移動(translation)など物体の運動をさらに発生させることが可能である。本開示における駆動される物体42の動きは、共通方向への物体42の平行移動または回転運動を意味し、物体42を環状経路内で前後に交互に動かすだけで実質的平行移動または実質的回転を伴わない物体を揺らす動作を意味しない。
【0016】
圧電素子は、一部機械的共振器の内側に取り付けられ素子を圧縮状態でプリロードする。圧電素子と機械的共振器を組み合わせたものをモータ、または振動素子と呼ぶ。単一駆動周波数により少なくとも2つの振動モードが励起され被駆動物体を駆動するために使用されるモータの所定の位置で第1の方向への楕円運動が発生するように、該素子と共振器との組合せを構成する。特に、振動モードは、通常、モータの長軸にそっており、第2の振動モードはそこを横断し、曲げまたはねじれを生じる。この運動を行わせるには、共振器と圧電素子とを適切な構成に設計するか、または場合によっては、共振器の長軸からのオフセットに駆動圧電素子を配置し軸方向の運動と曲がり運動を組み合わせた運動を発生させる。
【0017】
共振器の遠位端36の遠位縁44での運動は通常最大であり、これを使用するのが好ましいが、モータの他の場所を使用することもできる。モータの反対側の端は近位端35である。その結果、遠位縁は楕円経路内を動くが、これは、モータを第1の周波数で単一信号により励起したときに少なくとも2つの振動モードの組合せから生じる。さらにモータを第2の駆動周波数によりモータ内で2つの共振振動モードが励起されるように構成し、モータの所定の位置が楕円経路内で第1の楕円経路とは反対の方向に回転するようにする。
【0018】
単一圧電素子および共振器はこうして単一の周波数で駆動され、振動モータの所定の場所で第1の楕円運動を発生する。圧電素子が第2の周波数で駆動されて振動モータの2つの共振振動モードを励起する。これにより、所定の位置が第2の楕円運動において第1の楕円運動と異なる、好ましくは反対の方向に、被駆動素子を所望の距離動かすのに十分なだけ動く。2つの楕円運動は通常、重ならない。この運動はモータのさまざまな位置で行わせることができ、しかも振幅も方向も変えられ、そのため、さまざまな配置によりそのモータで他の素子を駆動できる。
【0019】
そのためモータは、物体を2つの反対の方向に動かすために単一圧電ドライバ、単一共振器、および2つの別々の周波数を必要とする。圧電ドライバと共振器の選択および構成の仕方によって、十分な大きさの共振または共振に近い振動を発生させ物体を所定の力で動かすことができる。モータの設計に工夫を加え、設計の簡素化、部品点数の削減、コストの低減、高効率化を達成している。
【0020】
他の実施形態では、モータは駆動される物体に弾力的に押し付けられる。駆動される物体と接触するモータ上の所望の場所で所望の運動を行わせる場合に、取付方法に応じて取付け具は振動する質量の一部になることもあり、モータの共振振動モードに影響を与えることがある。
【0021】
簡素化された振動システムが提供される。該システムは、それの使用時に被駆動素子と係合するように配置されている共振器と駆動的に連絡している振動源を有する。振動源は、圧電素子であるのが好ましいが、電気エネルギーを物理的運動に変換する他の素子、たとえば磁歪デバイスや電歪デバイスを使用することもできる。この説明では便宜上、圧電振動源を通常使用する。
【0022】
振動素子および共振器は、振動素子に供給される第1の周波数の第1の信号により少なくとも2つの振動モードで同時に共振するように共振器を励起したときに、選択された接触部分が第1の楕円運動で動くように構成されている。その結果の楕円運動は、被駆動素子と選択された接触部分が被駆動素子を動かすことができる十分な接触を保ったときに被駆動素子を動かすことができる十分な振幅の運動である。これらの少なくとも2つの振動モードを選択するが、その際に、その少なくとも1つは第1の楕円運動を発生するように共振器の純粋な縦方向(長軸方向)モードまたは曲がりモードを含まないようにする。この開示で述べている被駆動素子の動き(movement)とは、共通の方向への平行移動または回転運動(motion)のことであり、部品を前後に交互に動かしてその部分を振動させるだけで実質的平行移動または回転を伴わない運動のことではない。
【0023】
圧電素子および共振器は、圧電素子に供給される第2の周波数の第2の信号により少なくとも2つの振動モードで同時に共振するように励起したときに選択された接触部分が第2の楕円運動で所望の量だけ動くように構成するのが好ましい。これにより、単一の振動素子による被駆動素子の多自由度運動が可能になる。別の離散周波数で励起された追加振動モードを使用して、同じ選択された接触部分に、または異なる被駆動素子と係合する異なる選択された接触部分に異なる運動を伝えることができる。好ましい実施形態の一バージョンでは、共振器は選択された接触部分がその部材の遠位端の縁に配置される長い部材を有する。
【0024】
この基本的組合せについていくつかのバリエーションを説明し、その後、他の特徴および利点についていくつか説明する。一バリエーションでは、基部と振動素子の間に差し挟まれ、システムの動作時に被駆動素子に対し振動素子を弾力的に押し付けるように配置された弾力性のある素子を有する。第1の周波数で共振器素子上にノードを作る振動モードを有する方法には利点があり、弾力性のある取付具を振動素子のノード部分に接続し、システムの動作時に被駆動素子に対し振動素子が弾力的に押し付けられるように配置する。さらに弾力性のある取付具を振動素子に接続する場所は、システムの動作時に被駆動素子に対し振動素子が弾力的に押し付けられるようにいぜんとして配置されているノード以外とすることもできる。弾力性のある取付けは、さまざまな振動モードの決定に役立つ。
【0025】
圧電素子は、システムの動作時に共振器内に圧縮して保持されると有利である。好ましくは、圧電素子を共振器の開口部に圧入し(即ち、プレス嵌めし)、システムの動作時に圧電素子が圧縮状態になるようにする。このような圧入の他の利点は、システムの動作時に圧電素子を降伏点を超える応力がかかっている共振器の壁により圧縮状態に保つ場合に得られる。さらに他の利点は、壁を湾曲させることで得られる。また、圧電素子が圧電素子の縁の隣に傾斜面を持ち、共振器の開口部内に圧電素子を圧入しやすくなっている場合にも利点が得られる。
【0026】
第1と第2の楕円運動は各々長軸と短軸を持ち、各楕円運動の長軸対短軸の比を約3:1〜150:1の範囲、好ましくは約4:1〜30:1の範囲、理想的には約5:1〜15:1の範囲とすると有利である。とりわけ利点として、高速な運動を可能にでき、またシステム設計の実装が簡単になる。長軸または短軸の1つを被駆動素子の運動の軸に揃えて、運動を最大化でき有利であるが、長軸を揃えるのが好ましい。
【0027】
これらの楕円の長軸を振動素子の主軸に対するある角度で傾斜させ、その傾斜角度を一定範囲の駆動周波数にわたって維持することには利点がある。したがって、長軸と選択された接触部分の被駆動素子の接線との間の運動方向に沿う角度βが約200Hz以上の周波数範囲にわたり第1の周波数のいずれかの側で約25°以下だけ変化するようにシステム構成および傾斜角度を選択することには利点がある。角度βの変化を約10度以下にすると有利である。
【0028】
さらに、システムの設計をしやすくし、とりわけ性能が向上するように角度を変化させることにも利点がある。そこで、選択した接触部分が被駆動素子と係合駆動するときに角度βが約5〜85°の範囲に収まるようにして、楕円運動の長軸を角度βにすることにも利点がある。これらの範囲のほとんどでは、角度βが約0〜5°の範囲のとき、また発生する同じ選択された接触部分を複数の運動に使用するときにその範囲を省略する。しかし、選択された接触部分が被駆動素子の運動の一方向のみを達成する場合、軸をより正確に揃えることができ、また被駆動運動の約0〜5°の範囲内で揃えることができる。
【0029】
本発明の他の特徴として、ある範囲の駆動周波数で所望の運動を行い、コンポーネント使用時の誤差を低くし、コストを低減できるという点があげられる。そこで、共振器を振動させ振動を増幅する振動源を有する振動素子が提供される。共振器は、被駆動素子と係合し、振動素子の使用時に被駆動素子を駆動経路に沿って動かすように配置された選択された接触部分を有する。選択された接触部分は、振動源が第1の周波数で第1の電気信号により励起されたときに、第1の楕円経路内で動く。楕円経路は、第1の周波数が第1の周波数のいずれかの側の変化で約200Hz以上のときに変化が約10°未満の定義済み角度で振動素子の主軸と揃わない長軸および短軸を持つ。定義済み角度の変化は、第1の周波数の変化が200Hzのとき、望ましくは第1の周波数が2.5kHz以上変化したときに、5°未満であるのが好ましい。
【0030】
本発明の他の特徴も、この範囲の駆動周波数で使用できる。そこで、前のように、振動源は圧電素子であるのが好ましいが、他の素子を使用することもできる。運動は、純粋振動モードまたは重ねられた少なくとも2つの振動モードにより引き起こされるが、少なくとも1つの振動モードは純粋な縦モードまたは純粋な曲げモードではないのが好ましい。有利なことに、振動素子は振動素子を使用しているときに選択された接触部分が被駆動素子に弾力的に押し付けられるように配置された弾力性のある支えに接続されている。必要ならば、弾力性のある支えを使用して、楕円運動を発生する振動モードの定義をしやすくできる。
【0031】
本発明の他の態様は、共振はずれ振動モードを使用して被駆動素子を動かすための振動コンポーネントを有する。振動コンポーネントは、振動素子を形成するために共振器に取り付けられた圧電振動源などの振動素子を有する。振動素子は、使用時に選択された接触部分を被駆動素子と係合するように配置されている。複数の圧電素子などさまざまな圧電振動源を使用して、選択された接触部分の所望の楕円運動を行わせることができる。しかし、第1の楕円経路内で動く選択された接触部分は、振動源が第1の電気信号で励起され重ね合わされている少なくとも2つの振動モードが第1の楕円経路を形成するときに長軸と短軸を持つのが好ましい。有利なことに、振動モードのうち少なくとも1つは、純粋な縦モードとは別であり、また純粋な曲げモードとも別である。さらに、この特定の態様については、少なくとも2つの振動モードのうちの少なくとも1つが共振はずれで、第1の電気信号は十分に増幅され、生じる楕円経路が使用時に被駆動素子を動かすことができる十分な増幅度を持つ少なくとも1つの共振はずれ振動モードが選択された接触部分の運動を発生させる。この共振はずれの特徴は、例を挙げると弾力性のある支え、圧入圧電素子、その他の特徴を含む本明細書で説明する他の特徴とともに使用することができる。
【0032】
前の方で言及していないが、本発明のさまざまな実施形態と特徴に適用可能な特徴の1つに、選択された接触部分の楕円運動に大きな縦横比を使用するという方法がある。長軸と短軸の比は、約5:1以上が好ましく、15:1および30:1の比だと、運動を行わせることはできるが、次第に望ましくなくなると考えられる。縦横比が大きくなると、駆動運動は衝撃駆動にさらに似たものとなる。しかしながら、縦横比3:1〜150:1、あるいはそれ以上とすることが可能であり、本開示のさまざまな特徴および実施形態を使用して運動を行わせることができると考えられる。
【0033】
本発明の他の態様の1つに、純粋な縦または純粋な曲げ以外の振動モードを使用する態様がある。そこで、本発明は、振動素子を形成するために共振器に取り付けられている振動源を有する。振動素子は、使用時に選択された接触部分を被駆動素子と係合するように配置されている。選択された接触部分は、振動源が第1の電気信号で励起され、少なくとも2つの振動モードを引き起こし、これらが重ね合わされて第1の楕円経路を形成するときに、長軸と短軸を持つ第1の楕円経路内で動く。この特定の態様では、振動モードのうち少なくとも1つは、純粋な縦モードとは別であり、また純粋な曲げモードとも別である。楕円運動は長軸と短軸を持ち、そのうち一方は第1の方向に被駆動素子の運動を引き起こすのに十分な量だけ方向が揃えられる。
【0034】
別の言い方をすると、振動素子は、選択された接触部分を、各々長軸と短軸を持つ第1と第2の楕円経路内で動かすということである。長軸および短軸の少なくとも1つは、軸が関連づけられている楕円経路から生じる運動の方向と一致しない。純粋な曲げまたは純粋な縦モード以外の振動モードをこのように使用する場合は、例を挙げると弾力性のある支え、圧入圧電素子、その他の特徴を含む本明細書で説明する他の特徴とともに使用することができる。
【0035】
本発明の他の態様は、振動素子と方向が揃わないが、傾斜した駆動素子および被駆動素子を使用する楕円運動を利用するというものである。そこで、少なくとも第1の方向に可動な被駆動素子を含む被駆動素子を動かすための振動システムを実現する。振動源は、振動素子を形成するために共振器に取り付けられ、振動素子は、被駆動素子と係合しそれを動かすために配置された選択された接触部分を有する。この特定の態様については、選択された接触部分は、長軸と短軸を持ち、少なくともその1つが振動素子の長軸と揃っていない第1の楕円経路内で動く。有利なことに、長軸は、選択された接触部分において第1の方向に被駆動素子の接線に対し角度αだけ傾斜している。角度αは、約10°〜80°の範囲であり、これは、選択された接触部分が被駆動素子と係合し駆動しているときのことである。この角度はさらに、後述のように精密化される。このような傾斜軸の使用は、例を挙げると弾力性のある支え、圧入圧電素子、その他の特徴を含む本明細書で説明する他の特徴とともに使用することができる。
【0036】
本発明はさらに、上記の装置および利点を実装するための方法も含む。特に、選択された接触部分が被駆動素子と係合し駆動する振動素子を備え、選択された接触部分を第1の楕円運動内で動かすことにより被駆動素子を動かす振動システムを構成する方法を含む。この方法は、楕円運動の長軸と短軸の少なくとも一方が振動素子の運動の主軸と揃っていない局所座標系内のその楕円運動を分析するステップを含む。この方法では次に、システム設計を変更し、選択された接触部分の運動の方向に被駆動素子の接線に対して楕円軸の少なくとも1つを傾斜させ被駆動素子の許容可能な運動が十分得られる量だけ少なくとも1つの軸を接線により正確に揃える。この傾斜は、楕円運動を変更するか、または振動素子および被駆動素子あるいはその両方の相対的向きを変更することで行う。この傾斜は、振動システムの動作中保持される。
【0037】
局所座標系を接線に関して配向することには利点がある。角度β1で指定されている第1の楕円運動の長軸の傾斜の角度を5°よりも大きい角度に設定し、振動素子と被駆動素子を約5°を超える角度αで互いに対して傾斜させることにも利点がある。
【0038】
この方法はさらに、選択された接触部分が第2の楕円運動で動く振動素子を備えて所望の量だけ第2の方向に被駆動素子を動かすステップも含めることができる。この方法の他のバリエーションとして、第1の楕円運動と類似の方法で第2の楕円運動を分析する方法がある。そのため、第2の楕円運動を、第2の楕円運動の長軸と短軸の少なくとも一方が振動素子の運動の主軸と揃っていない局所座標系内で分析する。システム設計を変更し、選択された接触部分の第2の方向に被駆動素子の接線に対して第2の楕円軸の少なくとも1つを傾斜させ第2の方向に被駆動素子の許容可能な運動が十分得られる量だけ第2の楕円運動の少なくとも1つの軸を第2の方向の接線により正確に揃える。システムを使用するときに第2の楕円軸のその傾斜を維持すると好都合である。第1と第2の楕円軸のうち少なくとも一方の向きは、通常、一方向の被駆動素子の運動の最適さを下げてでも被駆動素子の他の方向への運動を改善するために選択された妥協の産物である。
【0039】
分析方法ではさらに、接線に関して局所座標系を配向し、第1の楕円運動の長軸の傾斜角度を角度β1で指定し、振動素子と被駆動素子を約5°を超える角度αだけ互いに対して傾斜させることができる。第2の楕円運動の長軸の傾斜角度は、角度β2で指定することができ、β1とβ2の少なくとも1つは5°よりも大きい。角度β1とβ2の少なくとも1つは約5〜85°の範囲であるのが好ましい。さらに、この方法では、振動素子の基部への取付けを弾力的なものにすることができる。ここで説明する他の特徴も使用できる。
【0040】
本発明では、簡素化された駆動システムを使用できる。駆動システムの1つでは、圧電素子に取り付けられた誘導コイルを使用し、圧電素子の固有容量との連携により動作しL−C駆動回路を形成する。線コイルを振動素子に組み込み、さらにコイル線を振動素子に直列または並列に電気的接続する手段としても使用できる。
【0041】
また本発明では、単純なドライバ装置を使用して、振動素子が固有容量を持つときの振動素子とその機械的共振器の動作を制御することができる。前述のように、圧電素子は固有容量を持つ。制御装置は、少なくとも1つのスイッチング素子を備え、ここで説明している正弦波信号などの所定の信号を印加することができる。さらに、振動素子を駆動する少なくとも1つの電気的共振器ドライバ回路があり、このドライバ回路は、スイッチング素子に電気的に結合され、そのスイッチング素子によりアクティブになる。最後に、少なくとも1つの誘導コイルがあり、このコイルは電気的に振動素子に結合され、振動素子の容量とともに電気的共振器を形成し、その信号が所定の周波数でドライバ回路を励起する。回路共振は、第1および第2(および他の)楕円運動を発生するために使用される第1と第2の周波数で第1と第2の信号で発生するように選択される。
【0042】
コイルを振動素子に取り付けるか、または振動素子との共通の支えに取り付ける場合に利点がある。コイルが圧電素子または機械的共振器の一部を囲むようにするのが好ましい。さらに、ドライバ回路とスイッチング素子をコイルからの距離の4倍以上圧電素子から離して配置すると便利である。製作をいっそう簡単にするために、さらに、コイルを形成するために使用される同じ導電体で圧電素子をドライバ回路に並列または直列に接続できる。
【0043】
さらに、他の実施形態では、圧電素子を駆動する複数の単方向電気的ゲートを有する圧電共振器ドライバ回路が提供される。ドライバ回路は、制御素子に電気的に結合され、それによって制御されるが、圧電素子は単方向ゲートの1つに電気的に結合されるか、またはペアとなる。誘導コイルなどの少なくとも1つの電磁気エネルギー保存素子を圧電素子に電気的に結合し、その電磁気的エネルギー保存素子が振動素子の容量とともに電気的共振器を形成するようにする。単方向電気的ゲートは、1つまたは複数のダイオードの形態をとり、負の電圧が圧電素子に加わるのを防止する。ドライバ回路は、選択された接触部分が被駆動素子と係合したときに第1の方向に被駆動素子を動かせる十分な振幅で選択された接触部分が振動素子により第1の楕円運動内で動くように選択した変調された所定の第1の共振周波数で共振するのが好ましい。ドライバ回路はさらに、選択された接触部分が被駆動素子と係合したときに第2の方向に被駆動素子を動かすことができる十分な振幅で選択された接触部分が振動素子により第2の楕円運動内で動くように選択した変調された所定の第2の共振周波数で共振するのが好ましい。さらに、抵抗器をインダクタおよび圧電素子および/またはゲート素子に電気的に結合し、圧電素子の入力電圧を所定の動作パラメータの範囲内に維持することができる。圧電素子内に負の電圧が発生するのを防止する向きで抵抗にダイオードを結合すると有利である。
【0044】
制御回路によって実現される制御方法は、広い意味で、圧電素子と電気的に連絡する制御素子、およびインダクタと圧電素子の間で電気信号を交互発生するインダクタを配置するステップを含み、圧電素子はスイッチングされる共振L−C回路として機能する容量を備え、電気信号により第1の周波数で振動素子を共振駆動できる。インダクタの一部を共振器上に形成すると有利である。
【0045】
振動素子の動作を制御する方法は、圧電素子と電気的に連絡する制御素子、およびインダクタと圧電素子の間で電気信号を交互発生するインダクタを配置するステップを含み、圧電素子はスイッチングされる共振L−C回路として機能する容量を備え、電気信号により第1の周波数で振動素子を共振駆動できる。この方法は、さらに、第1の周波数を選択するステップと、選択された接触部分が被駆動素子と係合したときに第1の方向に被駆動素子を動かすことができる十分な振幅で振動素子の選択された接触部分が振動素子により第1の楕円経路内で動くように構成するステップを含むことが好ましい。
【0046】
第1の周波数で圧電素子を駆動する電圧が回路への供給電圧よりも大きいと有利である。さらに、この方法は、抵抗器を圧電素子と電気的に連絡するようにし、圧電素子に供給される電気信号の形状を定めるステップを含む。さらに、この方法で振動素子の一部の周りに少なくともインダクタの一部を形成することが好ましい。最後に、インダクタと圧電素子は、スイッチングされる共振L−C回路として機能する容量(capacitance)を提供して、第2の電気信号により第2の周波数で振動素子を共振駆動できるようにすることことが好ましく、第2の周波数は振動素子とその取付けの構成と併せて選択され、振動素子の選択された接触部分により、選択された接触部分が被駆動素子と係合したときに被駆動素子を第2の方向に動かすことができる十分な振幅で第2の楕円経路内で動く。
【0047】
本発明はさらに、所定の力、所定の進行速度、所定の方法で被駆動素子を動かすことができるように支えられている被駆動素子を動かす振動システムを構成する方法も含む。このシステムでは、振動素子の選択された接触部分が被駆動素子と周期的に係合して、被駆動素子を動かすが、このとき選択された接触部分と被駆動素子のうちの一方が選択された接触部分および被駆動素子と弾力的に接触した状態に置かれた他方に弾力的に押し付けられる。弾力的接触は弾力的支えによって実現され、振動素子は電気エネルギーを直接物理的運動に変換する振動源によって振動させられる。振動素子は、共振器内に取り付けられた振動源を有していて、選択された接触部分は共振器上にある。
【0048】
このシステムを構成する方法は、被駆動素子の所望の動きを行わせる選択された接触部分の所望の楕円運動を定義するステップを含む。振動素子および弾力性のある支えの少なくとも一方が、振動源に送られる第1の周波数の第1の信号により振動源が励起されたときに選択された接触部分が楕円経路内で動く十分な振幅と位相を持つ2つのモードで共振器が振動するように構成されている。楕円経路は、所望の楕円運動に十分近く、被駆動素子の運動は許容範囲にある。
【0049】
この方法は、被駆動素子の第2の所望の動きを行わせる選択された接触部分の第2の所望の楕円運動を定義するステップを含む。振動素子および弾力性のある支えの少なくとも一方が、振動源に送られる第2の周波数の第2の信号により振動源が励起されたときに選択された接触部分が第2の楕円経路内で動く十分な振幅と位相を持つ2つのモードで共振器が振動するように構成されている。第2の楕円経路は、第2の所望の楕円運動に十分近くなるように選択され、被駆動素子の第2の動きは許容範囲にある。振動源は、圧電素子を有するものを選択するのが好ましい。さらに、選択した接触部分の所望の運動を行わせるように共振器を構成したり、所望の運動をするように弾力性のある支えと併せた共振器を構成することができる。
【0050】
振動源が第1の信号により駆動されるときに第1の方向に被駆動素子を動かし、第2の信号により駆動されるときに第2の方向に被駆動素子を動かす選択された接触部分に加えて、選択された接触部分がさらに第1の周波数の単一の正弦波信号が印加されたときに第1の方向に動き、また第1の周波数が主周波数で、これに異なる周波数の複数の正弦波信号が重ね合わされるときに第1の方向に動くことができる場合にも利点が生じる。これら後者の場合、第2の信号は第1の信号と同時に発生しないか、さもなければ第1と第2の信号は同時に発生すれば振幅は実質的に異なる。
【0051】
この方法はさらに、圧電素子を共振器の開口部に圧入することによりシステムの動作時に圧電素子を共振器内で圧縮状態にするステップを含む。これは、降伏点を超えるが、最終的強度点を超えないように共振器の壁に応力を加えることで行うのが好ましい。この方法はさらに、基部と振動素子の間に弾力性のある素子を挿入し、第1の周波数で励起時に被駆動素子に対し振動素子を弾力的に押し付けるステップを含む。上記の特徴および利点を実施する他の方法について以下で詳しく開示する。
【0052】
本発明の他の方法には、振動源を共振器内に配置した振動モータを使用して物体を動かす方法が含まれる。この方法は、単一の電気信号が振動源に印加されたときに選択された接触部分の第1の楕円運動が発生する十分な振幅と位相の2つのモードで共振器が同時に振動するように構成することにより共振器の選択された接触部分を第1の楕円運動内で動かすステップを含む。この方法はさらに、選択された接触部分を被駆動素子と弾力的に接触するようにして被駆動素子を動かすステップを含む。さらに、この方法は、弾力性のある素子を共振器に接続し、被駆動素子に対し共振器を弾力的に押し付けるステップを含む。
【0053】
この方法の他の態様には、振動源用に圧電素子を選択するステップと、圧電素子を共振器の開口部に圧入して圧縮状態にするステップが含まれる。この開口部は、圧電素子が開口部に圧入されたときに弾性限度を超えて応力が加えられた少なくとも2つの向かい合う壁により定義するのが好ましい。壁を湾曲するように選択した場合に利点がある。
【0054】
振動源に圧電素子を使用すると、圧電物質の固有容量が、システム性能を維持したまま簡素化された制御システムを採用するのに役立つ。制御スイッチで振動素子を駆動する共振器ドライバ回路をアクティブにすることができるが、誘導コイルなどの少なくとも1つの電磁気エネルギー保存素子を振動素子に電気的に結合し、ドライバ回路がアクティブになったときに振動素子を駆動するようになっている。振動素子は、電磁気エネルギー保存素子が放電するときに電荷を増やし、コイルは、振動素子が放電しドライバ回路が振動素子をアクティブにしていないときに電荷を増やす。この構造は、基本的に、圧電素子と電気的に連絡する制御素子、およびインダクタと圧電素子の間で電気信号を交互発生するインダクタを配置し、その際に圧電素子はスイッチングされる共振L−C回路として機能する容量を提供し、電気信号により選択された接触部分において所望の楕円運動が生じるように選択した第1の周波数で振動素子を共振駆動できる。これにより、第1の周波数で圧電素子を駆動する電圧が制御素子に供給される電気信号の電圧よりも大きくすることができる。これと同じ回路を使用して、圧電素子の他の振動モードの電気信号を供給することができる。
【0055】
さらに、コイルを振動素子に取り付けるか、または振動素子と同じ支えに取り付けることができる。有利なことに、このコイルは、振動素子の一部を囲むことができる。さらに、コイルは、圧電素子に直列または並列に接続できる。さらに、圧電ドライバ回路は、ダイオードなどの複数の単方向電気的ゲートを有することができ、圧電素子とペアにすることで、圧電素子にかかる負の電圧を防止するか、または少なくとも制限することができる。これらのドライバ回路では、選択された接触部分の所望の運動が行われるような周波数を選択する。
【0056】
本発明ではさらに、被駆動素子を動かすために使用する振動装置の製造および組立ての態様についても改善している。これらの態様では、電気エネルギーを直接物理的運動に変換する振動源を使用している。振動素子を圧縮状態に保つため弾性限界を超えて応力が加えられている少なくとも2つの向かい合う側壁で定められる開口部を持つ共振器が提供される。振動源はその開口部内にあり、振動素子は動作時に定義済みのプリロード下の共振器により圧縮状態に保持される。振動源は開口部に圧入式が有利であり、圧電素子を有する。他の利点は、側壁を湾曲させている場合に得られる。
【0057】
さらに、少なくとも2つの向かい合う縁が傾斜し、開口部の縁と係合するように配置され圧電素子の破損を極力抑えながら圧電素子を開口部に圧入しやすくなっている圧電素子を有すると有利である。損傷を減らすことは、特に、また傾斜した縁がない場合に圧電素子と共振器に発生することがある損傷を考慮すると特に望ましいことである。好ましいのは、開口部を定め、当接する壁に実質的に平行な表面を持つ少なくとも2つの向かい合う縁があり、傾斜した表面がそこから壁の1つに当接する接触面まで延びており、該接触面によりプリロードの力が加わることである。
【0058】
一つの実施形態では、共振器は長軸を持つ開口部を有し、該開口部長軸の向かい合う側の2つの側壁と長軸上の2つの向かい合う端壁で部分的に画定されている。圧電素子は向かい合う端壁により圧縮状態に保持され、各側壁はその弾性限界を超えて応力を加えられ、圧電素子を圧縮状態に保持する。共振器には選択された接触部分があり、これは、圧電素子がここで説明しているさまざまな電気信号により励起されたときに第1の楕円運動で動く。側壁が湾曲していて、しかも前記端壁の少なくとも1つまたは該端壁と係合する圧電素子の両端の2つの側面が圧電素子を開口部に圧入しやすくなるように傾斜していると、圧電素子が端壁の間に圧入され場合に利点となる。側壁をカーブさせ、圧電素子からまたは圧電素子に向かって曲がるようにできる。さらに、共振器を支える弾性素子の一部を端壁の1つと圧電素子の間に挿入できる。
【0059】
本発明はさらに、共振器内で圧電素子を圧縮状態にする方法を含み、共振器は端壁と側壁を持ち、これにより、圧電素子を圧縮状態で受け取り、圧縮状態にするサイズの開口部を定める。この方法は、向かい合う端壁間の距離を長くし、端壁間の圧電素子が開口部の元の状態に戻らないような力で圧電素子を端壁間に力づくで入れ、それにより側壁を弾性限界を超えて押し付けながら圧電素子を圧縮状態にするステップを含む。この方法は、さらに、端壁または圧電素子の対応する縁のいずれか少なくとも1つに傾斜した面を設け、前記の少なくとも1つの傾斜面を係合させる係合させることにより圧電素子を開口部内に押し込むステップを含む。
【0060】
さらに、この方法は、圧電素子を開口部に押し込みながら向かい合う端壁を引き離すステップも含むことができる。他の一実施形態では、この方法は、側壁を互いから離れるように曲げ、向かい合う湾曲した側壁を互いの方向へ押し付け端壁を互いから離し、圧電素子を端壁の間に入れるステップを含む。他の実施形態では、この方法は、側壁を互いの方向へ曲げ、向かい合う湾曲した側壁を押して互いから離して端壁を互いから離し、圧電素子を端壁の間に押し込むステップを含む。さまざまな方法はさらに、圧電素子と端壁の1つとの間に圧電素子用の弾力性のあるマウントを挿入するステップを含めることもできる。
【0061】
さらに、共振器の開口部に圧入されるように構成した圧電素子を有すると有利である。開口部は、開口部を通る長軸の向かい合う側に配置されている側壁で定められ、第1の寸法だけ離されており、向かい合う端壁は長軸上に配置され、第2の寸法だけ離されている。圧電素子の第1の寸法は開口部の第1の寸法よりも小さく、第2の寸法は開口部の第2の寸法よりも大きく、圧電素子をその開口部に挿入したときに弾性限界を超えて側壁に応力が加わるように選択されている。圧電素子は、開口部に挿入するため圧電素子の位置を合わせたときに端壁の縁に位置的に対応する傾斜した縁を有する。また上記のさまざまなバリエーションは、湾曲した側壁、使用時に1つの端壁と圧電素子の間に挿入された共振器の弾力的な支え、および開口部に挿入できるように圧電素子の位置を合わせるときに位置的に端壁の縁に対応する少なくとも1つの傾斜した縁を含むこの実施形態とともに使用できる。
【0062】
また、圧電アクチュエータとともに使用するための共振器24を有すると有利である。該共振器は、圧電素子またはその他の振動源を受け入れられ、その素子を圧縮状態に保持できるサイズであって、連続する壁を有して外部からアクセス可能な開口部を有する。開口部は、任意選択であるが、一部、湾曲した向かい合う側壁で定めるのが好ましい。壁を、開口部およびその中の圧電素子に向けて、あるいはそこから遠ざかるように湾曲させることができる。側壁は、湾曲し、側壁の長さの実質的部分について一様な断面であるのが好ましい。実質的長さとは、長さの半分超、好ましくは、さらにそれより下、理想的には、端壁の接合部に到達するまでの全長である。断面は矩形であるのが好ましい。
【0063】
本開示では、上記の特徴および利点と後述の特徴および利点を実施する他の方法も、当業者にとっては明白なことであろう。さらに、本発明の他の所望および特徴も、全体を通して類似の番号は類似の部分を指している、添付図面に関して行っている次の説明を考慮すると明白であろう。
【0064】
−−図面の説明−−
図1の各図はそれぞれ本発明の第1の実施形態の側面平面図、側面斜視図、端面図、および底面図である。
図2は、図1の振動素子の上面図である。
図3は、図2の端面図である。
図4は、本発明の第2の実施形態の斜視図である。
図5は、C−クランプ構成を使用する本発明の第3の実施形態の側面図である。
【0065】
図6は、複数の素子を駆動する本発明の第4の実施形態の斜視図である。
図7aは、圧入圧電素子を含む本発明の振動素子の斜視図である。
図7bは、組立て時の図7の振動素子の拡大部分の図である。
図8は、圧入圧電素子を有する本発明の第5の実施形態の図である。
図9は、変形前の圧入実施形態の上面図である。
図10は、円柱状楔による変形後の図9の実施形態の上面図である。
【0066】
図11は、図10の11−11に沿った断面図である。
図12は、矩形楔を使用する図9の代替実施形態の上面図である。
図13は、共振器の軸からオフセットされている圧電素子を有する実施形態の図である。
図14は、圧電素子からの力を共振器の中心線からオフセットする挿入物を有する実施形態の図である。
図15は、共振器の軸に対して斜めになっている圧電素子を有する実施形態の図である。
【0067】
図16は、選択的に配置される複数の不活性素子の間に配置され、ねじ山付締め具で押し付けられている圧電素子を有する実施形態の図である。
図17〜19は、振動素子用のピボット付き支えを有する本発明の振動素子のサスペンション構成の図である。
図20〜21は、弾力的な支えを有する本発明の振動素子のサスペンション構成の図である。
図22は、ピボット付き支えを有する本発明の振動素子のサスペンション構成の図である。
【0068】
図23〜24は、部品の長軸が平行であるが、平面からずれている本発明の振動素子および被駆動素子の構成を示す図である。
図25は、部品の長軸がある角度で傾斜している本発明の振動素子および被駆動素子の構成を示す図である。
図26は、図25の構成の端面図である。
図27〜29は、2つの振動素子が平行に配置されているが、被駆動素子の平面に対して平面からずれている構成を示す図である。
【0069】
図30は、2つの振動素子が同じ平面内に配置されているが、被駆動素子を含む平面からずれている構成を示す図である。
図31は、被駆動素子が被駆動素子の上下に、被駆動素子に対して傾斜した角度で、互いに向かい合うように配置されている2つの振動素子および1つの被駆動素子の構成を示す図である。
図32は、被駆動素子が被駆動素子の上下に、被駆動素子に対して傾斜した角度で、同じ方向を向くように配置されている、2つの振動素子および1つの被駆動素子の構成を示す図である。
図33は、被駆動素子が被駆動素子の1つの共通の側面に、被駆動素子に対して傾斜した角度で、同じ方向を向くように配置されている2つの振動素子および1つの被駆動素子の構成を示す図である。
【0070】
図34は、被駆動素子が被駆動素子の1つの共通の側面に、被駆動素子に対して傾斜した角度で、互いに向き合うように配置されている2つの振動素子および1つの被駆動素子の構成を示す図である。
図35は、被駆動素子が被駆動素子の反対側に、被駆動素子に対して傾斜した角度で、同じ方向を向くように配置されている2つの振動素子および1つの被駆動素子の構成を示す図である。
図36は、図35の構成の端面図である。
図37〜40は、3つの振動素子と1つの被駆動素子の構成を示す図である。
【0071】
図41は、6つの振動素子と1つの被駆動素子の構成を示す正面図である。
図42は、図41の構成の左側面図である。
図43は、本発明の選択された接触部分の楕円運動の図である。
図44〜51は、図43に示されている接触部分の楕円運動に影響を及ぼすさまざまな態様のグラフィック表現である。
【0072】
図52は、圧電素子を受け入れるように開口部が形成されている共振器の同じ面の共振器内に溝がある振動素子の斜視図である。
図53は、共振器内に溝があり、圧電素子を受け入れる湾曲した端を有する開口部を有する振動素子の斜視図である。
図54は、共振器内の溝が広くなっている振動素子の斜視図である。
図55は、圧電素子を受け入れるように形成された開口部と異なる共振器の面の共振器内に溝がある振動素子の斜視図である。
図56は、圧電素子を受け入れるH字形開口部を有する振動素子の斜視図である。
【0073】
図57は、共振器内に2つのビーム(beam)を定める溝があり、圧 電素子は一方のビームに配置される、振動素子の斜視図である。
図58は、共振器内に振動素子のパフォーマンスを変える穴がある振動素子の斜視図である。
図59は、共振器の近位端部に大きな質量を持つ振動素子の斜視図である。
図60は、圧電素子が配置される開口部を定める4つの側壁を有する振動素子の斜視図である。
図61は、共振器内の空洞に圧電素子を収納している振動素子の断面図である。
【0074】
図62は、被駆動素子と係合する複数の選択された接触部分を有する振動素子の側面図である。
図63〜66は、本発明の振動素子に電子信号を送るシステムの電気配線図である。
図67は、特別に構成された端部を有する圧電素子の平面側面図である。
図68は、図67の圧電素子の斜視図である。
図69は、図67〜68の圧電素子を形成するために使用されるダイスの側面断面図である。
【0075】
図70は、本発明の別の実施形態の振動する駆動素子と振動する被駆動素子の概略図である。
図71〜72は、複数の位置感知構成の概略図である。
図74は、本発明の共振器素子の断面図である。
図75は、湾曲バネサスペンションシステムを有する振動素子の概略図である。
図76は、圧電素子を共振器の開口部に圧入する手順を示す図である。
【0076】
図77は、本発明の圧電モータアセンブリの引き嵌め(pull-fit)プロセスを示す図である。
図78は、本発明の圧電モータアセンブリの他の実施形態の図である。
図79〜81は、コイルが本発明のモータまたはモータコンポーネントに一体化しているか、または随伴している他の実施形態の図である。
図82は、本発明の選択された接触部分の運動を示す図である。
【0077】
−−詳細な説明−−
本発明のモータのいくつかの実施形態を説明し、その後、モータの動作および設計に関するいくつかの理論上および実用上の側面を説明する。図1〜3を参照すると、さまざまな場所で詳しく説明しているように、圧電モータアセンブリ20は、電気エネルギーを巨視的機械的運動に変換する素子を有する。これを実現するために、単一の電気信号を使用し、振動素子の所定の場所で少なくとも2つの振動運動を発生させる。この少なくとも2つの振動運動の結果、所定の場所で楕円運動が生じる。この楕円運動は、楕円の長軸の方向への行程の少なくとも一部に対応する時間の間、振動素子が被駆動素子と係合し、その反対方向への行程に対応する時間の間、被駆動素子からはずれるか、またはそれを超えてスライドするように選択されている。第2の単一周波数により、第2の楕円運動が反対方向に発生し、被駆動素子を反対方向に動かす。所望の運動は、必要な楕円運動を決定するために使用され、システムのさまざまなコンポーネントは、その運動を実現するように設計されている。単一周波数を使用して楕円運動を発生させるため、得られる設計が簡素化され、したがって、低コスト、高信頼性のモータを製作できる。
【0078】
モータアセンブリ20は、電気エネルギーを直接物理的運動に変換する振動源22を有する。振動源22は圧電素子であることが好ましく、1塊の圧電材料を有してなるか、または多層圧電物質を有してなり、さまざまな素子の運動が組み合わさって所望の方向への動きを高める。圧電物質22の形状はさまざまであるが、長手方向の軸25が運動が最大となる方向に沿っていると有利である。圧電物質22は、共振器24に、好ましくはその内側に取り付ける。圧電物質22および共振器24は、振動素子26、即ちモータ26を有する。
【0079】
圧電材料が好ましいのは、これが印加電圧に素早く反応するからである。所与の電圧に対し生じる偏向は、圧電物質の長さの約.1%以下と小さく、また他の方向にはさらに小さいが、その結果生じる力は大きく、振動共振を得ることができる。
【0080】
振動源22はさらに、電歪材料、磁歪材料(たとえば、ターフェノール
(Terfenol))や、励振に使用できるその他の材料を有することもできる。
【0081】
振動源22は、電気エネルギーを直接物理的運動に変換する材料またはデバイスを有することが好ましい。参照しやすくするため、振動源22を圧電物質22と呼び、ここで説明する。
【0082】
モータ26とモータアセンブリ20とを混同しないようにするために、ほとんどの場合、「振動素子」26という用語を使用して圧電素子22と共振器24の組合せを意味している。
【0083】
共振器24は、さまざまな形状を持つが、形状が矩形断面の直方体であるものとして描かれている。圧電物質22を共振器24の内側に取り付けるために、共振器24内に空洞または開口28を形成し圧電素子22を保持するようにすると有用である。開口28は、共振器24の一部を完全に通り、矩形の開口を形成し、側壁29は開口28の側壁を定め、それらの側壁は開口28を通って延びる長手軸の向かい合う側に配置され、端壁31は開口28を通って延びる長手軸上に配置されるように示されている。こうして、開口28は、該開口を囲む連続する壁により都合よく画定されている。圧電物質22との適切な電気的接続を行うが、該接続は各種の電気的接続でよいが、電線30として示されている。
【0084】
応力が加わっていない圧電物質22に高電圧を印加すると圧電物質が損傷することがある。そこで、圧電物質22を端壁31により少なくともその長軸に沿って圧縮状態に置くと有利である。これによりさらに、プリロードが行われ、圧電物質の寿命と性能が最適化される。しかし、圧縮を必要としない、または圧縮を利用しない他の振動源を使用する場合は、圧縮力を必ずしも使用しない。圧電素子22をプリロードする複数の方法については後述する。
【0085】
圧電素子22を圧縮状態にする作業を簡単にするため、開口28を向かい合う側面で囲むと有利であり、また圧電物質22の長軸の向かい合う末端部で囲むのが好ましい。この配置では、圧電物質22に圧縮力を加えるために使用できる向かい合う面が提供される。圧電物質22をプリロードする方法の1つに、共振器24の近位端35のねじ山付き開口にねじ32を動くように通し、ねじの遠位端を動かして共振器24の開口28の一端に圧電物質22をあてて圧縮する方法がある。圧電材料は脆いため、保護キャップ34をねじ32の遠位端と圧電物質22の隣接する端との間に挿入する。キャップ34は、圧電物質22を壊したりひびを入らせたりしないでねじ32を回転して圧電物質を圧縮することができる保護材料で製作されている。金属製キャップ34が好ましいが、ねじ32が回転することで生じる圧電物質22の少なくとも一部の損傷を避けるためにある種の潤滑油を使用したり、回転適応設計を用いたりすると有利である。ねじおよび/または保護板を持たない圧電物質22の他の締付け方法、たとえば、開口28の伸縮などを利用できる。以下では別の方法を説明するが、本開示によれば当業者は他の方法もわかるであろう。
【0086】
電圧を圧電素子22に印加すると、その圧電素子は長軸25に沿って延び、これによって、部分的に断面積の小さい側壁29を延ばすことにより振動素子26の長さも延ばす。圧電物質22の振動は、振動素子26の縦方向モードを励起し、これにより、ねじ32と反対側の遠位端36は長軸25に沿って往復する。その縦方向の運動に加えて、長軸25を横断する振動素子26の曲げモードが励起される。図に示されている実施形態では、第1の好ましい曲げモードは矢印38で示されている方向に発生し、図1に図解されている紙の平面内の長軸25に垂直である。第2の好ましい横方向曲げモードは、図1に図解され、軸40で示されている、紙に直交する軸に沿って発生する。実際、振動モードは多くの場合、複数の軸に沿った運動および複数の軸を中心とする回転を伴うさまざまなモードの組合せである。
【0087】
本発明のコンポーネントは、さまざまなモードがそれぞれの共振周波数でまたはそれに非常に近い周波数で励起され、長軸25および好ましくは横軸38、40のうち1つのみに沿って運動の振幅が大きくなるように構成すると有利である。後述のように、横方向の曲がりは、共振器24に対する圧電物質22の非対称的な配置または振動素子26上に非対称的に配置された質量、または圧電素子22の取付け、または所望の横方向運動と共振するように共振器24を形作ること、または他のメカニズムにより励起できるが、これらのいくつかについては後述する。
【0088】
図1〜2に示されている実施形態では、横軸38に沿った運動は横軸40に沿った運動よりも実質的に大きいことが好ましい。実質的に大きいとは、3倍の差、好ましくは10倍の差を意味する。
【0089】
被駆動素子42は、振動素子26の選択された接触部分44と接触するように配置されている。図1〜2に示されているように、選択された接触部分44は振動素子の縁を含むが、他の場所も使用可能である。ここで使用しているように、特記しない限り、「縁」という用語は複数の表面が合流するコーナー、たとえば、3つの平面が合流する(かつ3つの縁が合流する)断面が矩形の棒のコーナーを含むと解釈する。さらに、縁以外の接触する表面の他の形状を使用することもできる。たとえば、接触面44が被駆動素子42の係合面と平たく係合するように選択した角度で傾斜している面取りした表面も使用できる。本開示では、多数の構成を派生させ、係合面44で被駆動素子42の運動に必要な係合が保たれるようにする。
【0090】
図に示されているように、被駆動素子42は断面が円柱状の棒を有するが、他の形状の被駆動素子も使用できる。振動素子26の中心線25および棒42の中心線45は同じ平面内にあり、その平面内で測って約30°の角度αだけ離されている。中心線25、45の向きと角度αは、特定の用途により異なる。角度αは、解析的に決定するのが困難であり、モータの設計に応じて調整するのが好ましい。通常は、10°〜80°の範囲であり、好ましくは20°〜60°の範囲である。被駆動素子42は、被駆動素子42の長軸45に沿って動くことができるように支えられている。該被駆動部材は、振動素子26に相対的に動くことができるように支えられており、実際には図に示されている実施形態において静止状態に保持されている。被駆動素子42は、以下に詳述するように、軸45に沿って平行移動する。
【0091】
図に示されているように、被駆動素子42の支えはホイール46で行うことができ、これにより、軸45に沿った運動に対する抵抗を低くしている。この支えは、ここではホイール46上に傾斜した表面を置くことにより実現しており、これは棒状被駆動素子42の湾曲した側面と当接し、棒が軸45に沿って平行移動するとともに回転する。ホイールは、被駆動素子42の選択された接触部分44とは反対側駆動素子に配置され、さらに接触部分44は軸45に沿った方向に2つのホイール46の間に配置され、ホイール46および選択された接触部分44は軸45に沿う方向以外のすべての方向に被駆動素子42の運動を制約する。ホイール46はさらに、図75に示されているように、回転軸65を同軸とするホイールの平たい縁を使用して被駆動素子42と接触することもできる。ホイール46はさらに、被駆動素子42を適宜支え、案内するように被駆動素子42の隣接する部分の羽目合い形状と係合するように構成された輪郭外周を持つ。本開示により、運動可能な支えのさまざまな構成は当業者には明白であろう。
【0092】
振動素子26は、被駆動素子42に弾力的に押し付けるのが好ましく、図1〜2はこれを実現する多数の方法のうちの1つを示す。選択された接触部分44の楕円運動100は、無制限の運動、接触部分44が被駆動素子と係合するかしないかに関係なく発生する運動、および被駆動素子42に押し付けられることに抵抗することに依存しないで行われる運動であるのが好ましい。しかしながら、選択された接触部分44を弾力的に被駆動素子42に押し付け、駆動部分と被駆動部分の駆動による係合を強めると有利である。
【0093】
平坦な長いバネ材料でできているバネ50を向かい合う端50a、50bを持つL字形に曲げる。バネの第1の端50aは基52に留められている。バネの第2の端50bは、振動素子26の端に固定され、これを通して、ねじ32が進み、バネ50の端50b内の穴をねじが通る。端50aを含むバネ50の第1の脚は一般に、振動素子26の長軸に平行であり、端50bを含むバネ50の第2の脚は一般に、軸38に平行であり、この2つの脚は一般に互いに垂直である。バネ50により、振動素子26は被駆動素子42の選択された接触部分44に弾力的に押し付けられる。端50a、50bの取付けの位置を変えることによって、振動素子26が被駆動素子42に押し付けられるプリロードを変化させることができる。後述のように、弾力性のある素子50の形状、断面、場所、および形態はいろいろなものが考えられ、これを使用して、所望の振動モードを実現できる。
【0094】
バネ50は、振動素子26の振動特性を最適化するとともに、十分な柔軟性をもたらして被駆動素子42と振動素子26の間の接触を確実なものとするように設計されている。モータアセンブリ20の寿命を通じてこの接触および、定められている接触圧力範囲が維持される必要がある。バネ50は、製作許容差および不確定性を補正すると有利であり、さらに、選択された接触部分44における振動素子26のサイズを減らすおそれのある摩耗を補償できる。
【0095】
さらに後述するように、動作中の振動素子26は振動のせいで一部の時間しか被駆動素子42に接触しないことがあり、このような場合のためバネ50は適当な係合が確実となるように設計されていることが好ましい。バネ定数およびバネの位置を使用して、接触および非接触時間の割合を調整できる。これにより、設計者は係合する部分44と被駆動素子42の間の係合が十分な力であって、モータアセンブリ20の望む目標を達成するために十分な力で被駆動素子42を動かすことができるようにモータアセンブリ20を構成することができる。さらに、バネ50など、接触部分を弾力的に押し付けて係合させる係合させる取付システムにより、選択された係合部分44と被駆動素子42の係合に影響を与える寸法を変化させることで対応できる。製作許容差がこのように柔軟なので、製作コストを低減し、位置合せ誤差およびコストを縮小できる。
【0096】
図示されている実施形態では、ホイール46は基部52に接続されている軸に回転するように取り付けられている。本開示では被駆動素子42を取り付ける他の方式も可能である。たとえば、基部52が1または2以上の突起を支持するようにし、これらの突起には一直線に並ぶ穴が設けられ、しかもこれらの穴内にはリニアベアリングを配することが好ましいが、これらの穴を通って長い被駆動部材42が延びるようにできる。この構成では、長い被駆動部材42は軸に沿って平行移動するが、他の運動は制約される。モータは、25×25×5mm3程度またはそれ以上小さくすることができる。
【0097】
[動作]:
図1〜2を主に参照すると、適当な周波数、波形、および電圧の電気信号を圧電素子22に印加すると、振動素子26は棒42を動かし始める。図の実施形態では、好ましい波形は正弦波または方形波である。発生する直線運動の方向は、周波数により決定される。たとえば、一方の方向に約35kHz、他方の方向に約60kHzで動作するモータアセンブリ20は、さまざまな潜在的用途に適していると思われる。他の周波数の組も可能であり、モータアセンブリ20の設計に関するさまざまな要因により変化する。動作周波数は、さまざまなコンポーネントの設計を変更することで変更することができ、人間やほとんどのペットの耳には聞こえないような動作周波数を選択する。動作電圧は、圧電物質22またはその他の使用している振動源の種類に応じて異なる。最高最低振幅(peak-to-peak amplitude)6ボルトで動作する多層圧電物質22は、さまざまな用途に有用であると信じられる。
【0098】
圧電素子22の振動により、振動素子26が一方向に振動し、選択された接触部分44は被駆動素子42に対して楕円運動を行う。後述のように、第1の周波数で励起された圧電物質22の振動により、振動素子26が一方向に振動し、選択された接触部分44は被駆動素子42に対して第1の楕円運動100aを行う。楕円運動は、第1の信号で共振器24の2つの共振モードを励起させることで実現され、所望の楕円運動100aを生じるが、この際にこの楕円運動を行わせるのに被駆動素子42と係合させる必要がないのが好ましい。図1に示されているように、第1の楕円運動100aにより被駆動素子は右に動く。
【0099】
さらに、第2の周波数で励起された圧電物質22の振動により、振動素子26が一方向に振動し、選択された接触部分44が楕円運動100aと異なる方向および向きで、好ましくは(ただし任意選択である)、楕円運動100aのとは反対方向に、被駆動素子42に対して第2の楕円運動100bを引き起こす。図示されているように、第2の楕円運動は時計回りであり、図1に示されているように反対方向に、左へ、被駆動素子42を動かす。通常、楕円運動100a、100bは重ならないが、異なる長軸および短軸、振幅、および向きを持つ。楕円運動100a、100bは重なるのが理想的である。楕円運動100a、100bは、選択された接触部分44が被駆動素子42と係合することを必要とせずに行われるのが好ましい。
【0100】
その結果、選択された接触部分44により、振動源が第1の信号で駆動されたときに被駆動素子42は第1の方向に動き、振動源が第2の信号で駆動されたときに被駆動素子は第2の方向に動く。ただし、選択された接触部分がさらに、第1の周波数の単一正弦波信号が印加されたときに第1の方向に動くと有利である。さらに、選択された接触部分44は、第1の周波数が主要な周波数であって、この周波数に異なる周波数の複数の正弦波信号が重ね合わされているときに第1の方向に動くこともできる。この後者の場合、第2の信号は第1の信号と同時に発生しないか、または第1の信号と同時に発生するとしても振幅が実質的に異なるか、のいずれかである。
【0101】
信号振幅が10倍異なると実質的に異なると考えられ、振幅は100倍以上異なることが好ましい。その結果、楕円運動100は単純な正弦波信号で実現できる。別法としては、種々の周波数からなる複雑な信号―たとえば、鋸歯波形を発生するように重ね合わされている複雑な周波数―で実現できる。
【0102】
選択された接触部分44と被駆動素子42との駆動係合の際中は、楕円運動100は、振動素子26が被駆動素子42に押し付けられる位相と、そうではない位相から成り立っていると考えられる。方向が被駆動素子の長軸45に沿っている振動素子の運動成分は、一部、振動素子26と被駆動素子42との間の摩擦により被駆動素子に伝達される。第2の位相では、振動素子26は反対方向に動く。この第2の位相では、振動素子は軸45と平行ないかなる運動成分をも伝達しないが、それは、振動素子26が被駆動素子に押し付けられないからである。
【0103】
他の振動モータの設計とは対照的に、必要な製作許容差は著しく緩いと考えられ、そのため、接触状況と非接触状況との交互発生に正確な製作を必要としない。設計により、特にバネおよび振動素子26の質量を含めて、必要な均衡状態を作り出せる。
【0104】
高い周波数(30kHz超)および小さな運動では、接触を実際に測定することは難しいため、振動素子26と被駆動素子42とは常に接触している可能性があるとも考えられる。そのような状況では、被駆動素子42の運動は、接触部分44の楕円運動により選択された接触部分44で引起こされる力の差により生じると考えられ、該楕円運動は一方向のみ、または主に一方向のみに合成力を提供し、それにより被駆動素子42をその方向に駆動する。この楕円運動およびいくつかの設計態様の詳細は、後述する。
【0105】
実際のメカニズムがどうあれ、被駆動素子は直線運動をし、運動の方向は振動素子26の選択された接触部分44の運動により決定される。接触部分が反時計回りの楕円運動をする場合、被駆動素子42は図1に示されているように右に動く。運動が時計回りの場合、反対方向に動く。
【0106】
振動素子26を軸40に沿って動くように励起することも可能であり、その結果、丸棒状被駆動素子42の回転が生じる可能性がある。選択された接触部分44の運動の相対的大きさに応じて、またその向きと被駆動素子42との接触に応じて、またベアリング支えが適切に配置されている場合には、平行移動と回転の両方とも同時に発生しうる。
【0107】
さらに、図2を参照すると、最大の運動の軸が長軸25となるようにする一方、横軸40を次に大きな、但し他の有意な運動だけの軸として選択することが可能であると考えられる。その場合、モータアセンブリ20により、棒状被駆動素子42の長軸45を中心とする回転が生じる。この回転運動を実現するために、選択された接触部分44が、それの運動の実質的部分が被駆動素子42の軸45にほぼ直交する平面内にある楕円運動を与えて、回転運動を被駆動素子に与える必要がある。回転の方向もまた、選択された接触部分44が楕円の形状をなす方向に依存する。
【0108】
さらに、最大の2つの運動、および有意な運動のみがある軸を横軸38、40として選択することが可能であると考えられる。この場合も、選択された接触部分44が被駆動素子42と係合して該素子42を動きの一部の時間は長軸45の回りを回転させ、また選択された接触部分44の動きの他の時間の間は十分に係合をやめて運動または顕著な有害運動を防止する形で選択された接触部分44の楕円運動を引き起こすことが可能である。
【0109】
代替実施形態は図4に示されており、長い駆動素子42の代わりに、回転可能なホイール60を取り付け、ホイール60の適切に配置された被駆動面62と接触する部分を持つ振動素子26により駆動できるようにしている。この実施形態では、ホイール60はベアリングの回転軸65を中心に回転するように取り付けられている。被駆動面62は、被駆動面62aの場合のように回転軸65に直交する平面内に配置されているホイールの側面64に置くか、または軸65を同心軸とする表面62bに沿って置くのが好ましい。ホイール60は、歯車を含む、さまざまな素子を有することができる。振動素子26の選択された接触部分44は、被駆動面62と係合し、回転軸の回りにホイール60を動かす。ホイール60は、接触部分44がたどる楕円経路の周りを接触点の運動とは反対方向に回転する。そのため、振動素子26の接触部分44が時計回りに動くと、ホイール60は反時計回りに動き、ホイール上にありかつ振動素子上にある接触部分は接触しながら同じ運動を共有する。
【0110】
図5は、他の実施形態を示している。モータアセンブリ20は、Cクランプ74の形状をした共振器24を含む振動素子26を有する。圧電素子22は、クランプ内に保持される。運動を伝達するために、第1の電気信号により、圧電素子22は振動素子26内で動き、これにより接触部分44は第1の楕円運動100a内で動く。
【0111】
圧電素子22はねじ32で締め付けられ、ねじ32は脚73を通り、挿入板34を押し付けて、圧電素子22を板34とCクランプ共振器74の反対側の脚75との間に押しつける。この締付けにより、圧電素子22内にプリロードが生じ、圧電素子22の寿命と性能が向上し、好ましくは最適化される。
【0112】
圧電素子22を保持しているCクランプの脚73、75の剛性は似たものとすることができるが、異なる剛性だと有利である。
【0113】
一方の脚73は少なくとも向かい合う脚73よりも10倍剛性があると有利である。脚75は、柔軟であるほど、剛性の高い脚73よりも大きな振幅で振動する。選択された接触部分44は、剛性の低い脚73に配置し、選択された接触部分44での運動の振幅が大きくなるようにするのが好ましい。さらに、この構成では、脚73には曲げ応力がかかり、最大の応力は脚の内側端部に隣接する。切り欠き77は、脚75が切り欠き77を中心に旋回する(pivot)ように曲げを局所化するためにその位置の隣に配置することができる。
【0114】
バネ素子50は、第1の端50aが基部52に接続され、第2の端52bが振動素子76に接続され、振動素子と被駆動素子42との接触を保つ。第2の端50bは、ねじ32の頭に接続されているように示されているが、共振器76に対して他の接続方法を使用することもできる。この実施形態では、バネ50は、引っ張りコイルバネとして示されている。共振器74は、穴80を通り、基部52に入るピン78により緩く留められており、共振器74はピン78を中心に旋回できる。ピン78は、バネ50の作用線からはずれており、接触部分44は被駆動素子42に弾力的に押し付けられる。
【0115】
バネ50は、図に示されている構成では張力がかかっている。バネ50の柔軟性は、被駆動素子42と振動素子74の間の接触を確実なものとする十分な範囲にある。モータアセンブリ20の寿命の間この接触および、定められている接触圧力範囲が維持され有利である。バネ50は、選択された接触部分44の振動素子76のサイズを減らすおそれのある製作不確定性および摩耗を補正するように設計されており有利である。
【0116】
被駆動素子42が振動素子76から分離するのを防止するために、基部52に接続されているホイール46は前述のように設けられている。代替方法として、基部52は、被駆動素子42が通る穴がある側壁80を備え、被駆動素子を所望の平行移動軸に沿って動けるようにしながら支えることができる。側壁80の穴は、摩擦を減らせる設計とすると有利であり、被駆動素子42を支えるリニアベアリングを有することができる。側壁80の穴を大きくし被駆動素子42と永続的に接触しないようにした場合、これらは代わりに補助ベアリングとして機能し、被駆動素子42が強制的に外力により振動素子26内に押し込まれるのを防止し、サスペンションだけでなく振動素子26をも破損するのを防止する。
【0117】
適当な周波数、波形、および電圧の電気信号を圧電素子22に印加すると、振動素子46は被駆動素子42を動かし始める。発生する直線運動の方向は、周波数により決定される。後述のようにモータアセンブリ20のさまざまなコンポーネントの構成を変更すると、動作周波数も変化する場合がある。図に示されている例では、丸棒44を駆動するため6Vの最高最低振幅でモータアセンブリ20を動作できる多層圧電素子を使用している。
【0118】
第1の周波数での圧電物質22の振動により振動素子76が一方向に振動し、選択された接触部分44が被駆動素子42に対して第1の楕円運動を行う。楕円運動は、振動素子76を被駆動素子42に押し付ける位相と、そうでない位相とから成り立ち、これについては後で詳述する。図のように選択された接触部分44が反時計回りの楕円経路100aを動く場合、被駆動素子42は図5に示されているように右に動く。
【0119】
第2の周波数で励起された圧電物質22の振動により、振動素子26が一方向に振動し、選択された接触部分44は、楕円運動100aのとは反対の方向に被駆動素子42に対して第2の楕円運動100bを行う。図示されているように、第2の楕円運動は時計回りであり、図5に示されているように反対方向に、左へ、被駆動素子42を動かす。通常、楕円運動100a、100bは重ならないが、異なる長軸および短軸、振幅、および向きを持つ。楕円運動100a、100bは重なるのが理想的である。振動素子26は、第2の楕円運動100bが、たとえば、被駆動素子42を回転するために異なる向きとなるように構成することも可能である。
【0120】
詳細には、圧電素子22の振動により、振動素子76はピン78を中心に発振を開始し、これにより、接触部分44は上下運動、前後運動を楕円経路100に沿って行う。上下運動および前後運動は、位相不一致であり、そのため接触部分44は経路100a、100bのうち一方に沿って楕円運動をする。そのため、棒状の被駆動素子42は運動を開始する。振動素子76の回転は、接触部分44と被駆動素子42との相互作用により生じ、これは、ピンを中心とする角運動量保存と見なすことができる。
【0121】
図5の振動モータ26を図4に示されているように回転する被駆動素子42とともに使用することができ、また他の駆動構成で使用することもできる。
【0122】
図6は、振動素子26が固定状態で取り付けられ、被駆動素子42が弾力的に振動素子に押し付けられる他の実施形態を示している。被駆動素子42が長い場合、また特に柔軟な棒または他の構造でできている場合には、被駆動素子を振動モータ26に対して押し付けただけで、これらの部品は弾力的に押し付けられ接触し得る。それには、被駆動素子の柔軟性により本来弾力的に支えられるような被駆動素子42の支えを必要とする。そうでない場合、被駆動素子42に弾力的な支えを設けるか、または被駆動素子の柔軟性に加えて弾力的な支えを設けることができる。このような弾力的な支えは、バネ50a、50bにより概略が示されており、これらは、振動素子26の選択された接触部分44a、44bに弾力的に押し付けられる。
【0123】
この実施形態では、振動素子26は特別な形状で構成され、複数の、好ましくはいくつかの選択された接触部分44a、44b、...44nを有する。振動素子26の種々の部分を使用して、特定の周波数で励起された自由振動モードから生じる所望の楕円運動100を発生することができると、さまざまな構成が可能になる。複数の別々の励振周波数の各々について、異なる選択された接触部分44を所定の楕円運動100で共振させることができる。代替方法として、同じ選択された接触部分44が異なる励振周波数で共振して楕円運動を但し異なる方向で引き起こしてもよい。該楕円運動は反対方向を向いていて被駆動素子の運動を逆転したものが好ましいが、他の運動もユーザの必要に応じて可能である。その結果、別々のかつ対応する選択された接触部分44a〜42nに弾力的に押し付けられている42a〜42nの複数の被駆動素子を個別に制御できる。
【0124】
たとえば、一方の被駆動素子42aを平行移動させ、他方の被駆動素子42bを回転させることが、それぞれ選択された接触部分44a、44bで適切な向きを有する楕円経路100a、100bを生成する可能であると考えられる。楕円経路100a、100bは、圧電素子22に単一の励振周波数を加えて発生させるのが好ましく、これにより、十分に共振した振動が発生し、楕円経路が生成される。代替方法としては、図の運動100aの発生に第1の励振周波数を必要とし、運動100bを発生させるのに第2の励振周波数を使用する必要があるであろう。圧電物質22で得られるさらに他の励振周波数を使用して、楕円運動の方向を変更して反対方向にたどるようにもできる。
【0125】
さらに、接触部分44a、44bは振動素子26の遠位端36に示されているが、接触部分44は振動素子26のさまざまな場所および向きに置くこともできる。これは、係合部分44nと被駆動素子42nにより図に示されているが、この場合被駆動素子42nは回転し(たとえば、歯車を駆動する)か、または長軸に沿って平行移動する。
【0126】
これらの態様は、図62の実施形態によりさらに例示されており、この図は、選択された接触部分44が振動素子26の遠位端36で発生する必要のないことを示している。図62では、振動素子26は、1つまたは複数の選択された接触部分44eを素子の長軸に沿って素子の周囲に有している。第2の1つまたは複数の選択された接触部分44fは、振動素子の反対側の表面に配置されている。選択された接触部分44は、振動素子26の周囲部よりも少し盛り上がっている領域を有することが好ましい。円柱状シャフトなどの被駆動素子42は、接触部分44eと接触するように置かれる。図の実施形態では、振動素子26と被駆動素子42の軸25、45は、平行に揃えられ、同一平面上にあるが、必ずそうである必要はない。
【0127】
振動素子26が第1の周波数で励起されたときに、接触部分は楕円経路100aで振動し、被駆動素子42の運動が第1の方向に発生する。接触部分44eは、接触部分44fのとは反対の楕円経路内を動く。被駆動素子42の運動をずらす(shift)ために、接触部分44fと被駆動素子42とを接触状態に置く。そのためには、振動素子26と被駆動素子42の一方または両方を動かす。振動素子26の回転は、図の実施形態においては十分なものとなる。こうして、単一の励振周波数により、被駆動素子42の動きの向きが反対になることがある。この実施形態ではさらに、振動素子26と被駆動素子42との接触が複数点接触になる場合のあることも示している。これは単一点接触に限られていない。また、たとえば、ベアリングを1つだけ使用して、駆動される棒42を振動素子26に対し2〜4点で押し付けることも可能である。接触部分44の数が増えると、被駆動素子42との摩擦による係合も強くなり、被駆動素子42にさらに大きな力を加えることができ、そのため、被駆動素子42によって大きな力を加えることができる。
【0128】
代替方法として、複数の被駆動素子42を振動素子26の異なる部分44と接触するようにし、駆動される各物体について異なる運動を行わせることができる。さらに、振動素子26を固定面に押し付けて、さまざまな接触部分44(たとえば、44e、または44f)を選択することにより、振動素子および振動素子に接続されている物体を表面上でさまざまな方向に動かすことができる。
【0129】
[プリロードされたモータの構成]:
多くの場合、多層圧電素子22を使用すると有利である。これらの素子22は、断面形状が矩形であるのが好ましいが、正方形、円形など他の形状を使用することもできる。圧電素子22は、プリントされた電極を有する複数の圧電物質層からなり、これらの層が互いの上に積み重ねられている。多くの場合、多数の圧電コンポーネントは、大きな積み重ねられた板を押圧し切断して多数の単一圧電素子を形成することにより同時に製作される。
【0130】
この製造方法の結果、圧電物質の機械的出力領域は通常、電極層に平行であり、また平坦でもある。多層圧電素子を使用するために、機械的プリロードを加えることが多い。そうすると、圧電素子の動的動き(dynamic movement)での層剥離が防止されるため圧電物質の寿命が延び、また圧電素子22とこの圧電素子が取り付けられている共振器24との間の接触も最適化される。そのため、圧電素子22により発生する機械的運動は、接触ゾーンを通して共振器に効率よく伝達される。
【0131】
プリロードを発生させる方法はさまざまなものがある。2つの部分に分かれる共振器24を使用できる。バネを使用し、圧電素子22と圧縮されたバネを、溶接またはその他の方法で固定した共振器の2つの部分の間に挿入してプリロードを発生させる。この方法により永続的プリロードが発生する。
【0132】
プリロードを発生する他の方法が図1に示されており、そこでは、共振器24で圧電素子22に圧力を加えるようにすることでプリロードを発生させるのが好ましい。圧縮により確実に、圧電素子22の振動は共振器26と選択された接触部分44に伝達される。さらに圧縮により、高電圧が印加されたときの圧電素子22の破損が少なくとも一部回避できる。圧力は、圧電素子22に加えられる軸力を力が作用する面積で割った値に等しい。この面積は、圧電素子22と共振器26の隣接部分との間の接触面積である。接触面積は測定が困難な場合があるため、特徴パラメータとして圧力ではなく力を使用するほうが簡単である。
【0133】
電流が圧電素子22を流れない場合に圧電素子22に加えられる力は、プリロードに反作用する側壁29内の軸力に等しい静的プリロードと駆動される物体42に押し付けられる接触面44から生じる接触力からの荷重成分を含む。これらの力はすべて、変動する電流が圧電素子22内を流れるときに変動する。
【0134】
圧電素子22は、圧電素子22のプリロードが圧電素子22の最も能動的な方向になるように調節することができる。これは振動モータ26が動作するために必要ではないが、この構成により最高の効率が得られる。図1に示されているビーム型振動素子26の場合、最大の運動は、好ましくは長軸25と一致した方向の3−3方向に発生するのが好ましい。
【0135】
ここで説明している圧電素子22のプリロードを発生する方法は、(1)共振器24内の圧電素子22をねじ山付ファスナーまたはその他の押付けメカニズムで締め付ける、(2)シャフトの圧入に似た方法で力を加えて圧電素子22をモータ体の穴に押し込む、および(3)それらの組合せなどである。他のプリロードメカニズムも使用できる。次の開示では、ここまで説明したねじ山付ファスナーについてさらに詳しく説明し、いくつかの圧入メカニズムと方法を説明する。楔を使用する方法と上記方法のいくつかのバリエーションで、この説明を締めくくる。
【0136】
[ねじ付きのプリロードデバイスと方法]:図1および図5は、ねじ山付ファスナーのプリロード方法および装置を示しており、これについて後述する。共振器素子26は、圧電素子22を収納できるように穴、空洞、または開口28が形成されている構成である。共振器は、さまざまな形状、たとえば、断面が丸形、正方形、矩形、または多角形である。開口28は、すべての寸法について圧電素子22よりも大きい。ねじ山付ファスナー32は固定物体の穴を通して延ばされ、ねじ山付ファスナー32の遠位端により圧電素子22が共振器24に押し付けられる。ねじ山付ファスナー32は、共振器のねじ穴を通り、圧電素子22に押し付けられる板34に直接当接すると有利である。
【0137】
部品を組み立てると、ねじ山付ファスナー32を締め付けることで圧電素子22内にプリロードを発生させることができる。ねじ山付ファスナー32を既知のトルクで締め付けることによりプリロードを近似計算できる。ねじ山付ファスナー32は、圧電物質22の長軸と一列に配される必要はないが、さまざまな方法でずらしねじ山付ファスナーを締め付けて2つの物体を互いに押し合うようにして圧電素子22を圧縮することができる。さまざまな他のメカニズムを使用して、圧電素子22を圧縮状態にできる。他のプリロードメカニズムについては後述する。
【0138】
[単軸応力圧入プリロードデバイスおよび方法]:圧電素子22の圧入の複数の態様について、図7aを参照して説明する。共振器24は、圧電素子22の穴または開口28が共振器内に形成される設計であり、側壁29により開口の側面が定められている。開口28は、圧電素子22の軸方向には、圧電素子22と開口28に圧入する他の素子との組み合わせた長さよりも少し小さい。共振器24と開口28に圧入される部品との間の必要な締め代は、すべての部品の幾何学的形状と寸法、さらに共振器24の材質の弾性歪みによって異なる。
【0139】
図7bを参照すると、圧電素子22は直接、共振器24に圧入できる。
【0140】
この圧入は、圧電素子22の少なくとも1つの隣接する縁と開口28の羽目合い部分の共振器24の端壁の間に傾斜した接触領域を配置するテーパ付きの表面82を用意することで簡単に行える。傾斜面82は、オフセット接触型(offset, abutting-type)の締め代を回避し、圧入の開始時に滑り締め代が生じる。この圧入を行うための改善された方法について後述する。このプリロードメカニズムおよび方法では、圧電素子22の接触面に対し大きな剪断応力が発生する。圧電材料は脆いため、圧電素子22にひび割れが生じることがある。このような剪断応力を回避し、圧電素子22を保護するために、あまり脆くない材料84(図7a)、たとえば金属、好ましくは鋼鉄からなるストリップ状の2枚の板の間に圧電素子22をはさんで同時に押し込むことも可能である。材料84のストリップは、圧電素子22および振動素子26の配置構成に適したさまざまな形状をとることができる。保護キャップ84も、圧電素子22を開口28内に導き入れ、それにより部品のテーパを不要にするために使用することができ有利である。材料84のストリップの1つは、振動素子26を基部52に接続するバネ50の端50bを有すると有利である。
【0141】
圧電素子22および任意の端保護材84を開口28に挿入したときに、側壁29は長い素子22と任意の端保護材84を収納できるように引き延ばされる。引き延ばされた側壁29は、バネとして作用し、圧電素子22上のプリロードを維持する。理想的には、圧電素子22へのプリロードは、側壁29の断面寸法を知り、側壁29の弾性歪みを生じる締め代を、即ち側壁内の既知の応力とプリロードを固定することで指定できる。そのため、プリロードは、この応力に側壁29の合計断面積をかけた値に等しい。
【0142】
残念なことに、この方法は、長さが1インチ以下の小さな振動素子26に必要な締め代は、妥当なコストで従来の機械加工プロセスにより得られる許容差を超える、0.0001インチ程度で小さすぎる可能性があるため実用的でない。振動素子が大きい場合、プリロードが大きくなり、寸法を大きくとる必要が生じるが、これらの寸法にするために必要な精度は、同様に小さな許容差を必要とする可能性が高く、したがって、高価な機械加工や研磨作業を必要とする。これは一部、締め代の変動が小さいと、側壁29が応力歪み曲線の弾性部分内にあり、圧電素子22が伸縮したときにバネとして作用する場合に、プリロードの差が大きくなることが原因である。
【0143】
このような欠点があるため、振動素子26の長さ部分と開口28の間の締め代を十分に大きくし、開口28を形成する側壁29に対し降伏強度を超え最終的引っ張り強さ以下の応力が加わるようにし、許容可能な製品寿命が得られる疲労強度以下の十分な量とするのが望ましい。降伏強度を超える応力が加わった場合、側壁29は、開口28または圧電素子22または端保護材84の寸法が変化するとしてもプリロードを比較的一定に保つ。このため、製作許容差が緩められ、製造が大幅に簡素化され、コストが著しく低減される。
【0144】
降伏から、側壁29のネッキングが開始する地点までの応力歪み曲線の塑性部分を使用して、所望のプリロードを発生させることができる。降伏後、ネッキング前に発生する歪みの使用可能な部分は、歪みを生じている弾性部分よりも少なくとも10倍大きい。これは、すべての非鉄金属に適用されることが考えられ、共振器24の好ましい材料であり、アルミニウムが最も好ましい非鉄金属である。鉄金属および一部の非金属材料も使用できる。
【0145】
この方法を使用すると、振動素子26と開口28の間の締まり嵌めの必要な許容差が著しく緩められる。さらに、降伏点よりも上の応力歪み曲線の勾配は弾性部分に比べてかなり小さくなる。そこで、プリロードもまた締め代の大きさにそれほど大きく依存しない。この方法と設計を用いると、プリロードを降伏強度に図の構成の側壁29の合計断面積をかけた値として推定できる。他の構成では、また別の計算が必要になるが、このような計算は当業者であれば知っており、したがってここでは詳述しない。
【0146】
圧入方法は、ねじ山付ファスナーを使用して圧電素子22にプリロードをかけるのに比べていくつかの利点がある。圧入された圧電素子22の性能は、プリロードと接触領域がより適切に定義されるため反復性に優れる。さらに、圧入圧電素子22のプリロードは、簡単に計算でき、製作許容差に大きく依存しない。圧入方法ではさらに、モータ部品の合計点数も減らすことができるが、それは、端50bを使用して圧電素子22を開口28に圧入するときにバネ50を振動素子50に別々に締め付ける必要がないからである。さらに、振動素子26の組立ては、ねじ山付ファスナー32が不要になり、振動時の締付けおよび緩めの不確定性がなくなるため簡単に行える。ねじ山付ファスナー32をなくすと、さらに、テーパ付きの穴も不要になり、製造コストが低減される。
【0147】
図1に示されている振動素子26は、開口28の向かい合う側に2つのまっすぐな側壁29を有する。これらの側壁は、各コーナーのビームなど、異なる構成を有し得る。しかし、これらの構成では、側壁29はまっすぐであり、一般に、圧電素子22の長軸に平行である。そのため、側壁は圧電素子22のプリロードおよび動作時に主に一軸張力がそのままかかる。
【0148】
[圧入プリロードの湾曲ビーム構成]2つの側壁が湾曲して圧電素子からも互いから離れた代替構成にもいくつかの利点がある。これら2つの一般的な種類の振動素子26の圧入動作は違わない。しかし、基本構成から得られる利点は、後述のように大きく異なる場合がある。問題の原因と、いくつかの部分的解決法についてまず説明し、その後、湾曲した側壁29の利点について図8に関して説明する。
【0149】
図7を参照すると、圧電素子22にかかるプリロードは、材料の降伏強度に側壁29の合計断面積を掛けた値として評価されるが、それは側壁にかかる応力が一軸張力だからである。つまり、側壁29の断面全体に同じ応力が加わるということである。側壁29が同じ断面積を持ち、長軸が振動素子26の長軸25と一致するように圧電素子22を押し付けた場合、側壁29もまた同じ力および同じ応力を受ける。側壁29の断面積が一定であれば、応力も振動素子の長軸25に沿って測定された側壁の長さにわたって一定である。
【0150】
圧電素子22は、共振器24と選択された駆動部分44を動かし、被駆動素子42を動かす十分な物理的変位を発生する必要がある。側壁29はバネとして作用し圧電素子22にプリロードを発生させるので、プリロードの一部を克服し、振動素子26を延ばし、選択された接触部分を動かす必要がある。側壁29の剛性が大きすぎる場合、圧電素子22の大きすぎるエネルギーは側壁29に押し付ける際に消費され、選択された接触部分44および被駆動素子42の動きに伝達される振動エネルギーの量が減ることがある。
【0151】
長さ約1インチ(2.54cm)以下と小さな振動素子26では、圧電素子22に最大の力が加わり、また側壁29を降伏領域に置きたいため、側壁29が0.01インチ(.25mm)程度の厚さを持つように構成される。このような寸法またはそれより小さい寸法では、アルミニウムの部品製造が不正確になり、側壁29の厚さの割合が著しく異なることがある。そのため、断面積の小さな領域に大きな応力が加わり、最終的に、最も小さな断面積に応力と歪みが集中することになる。このように応力と歪みが側壁29の短いセクションに集中すると、圧入動作時にこの領域にネッキングが発生する可能性が高まる。
【0152】
ネッキングは、いくつかの理由から望ましくない。モータアセンブリ20の取扱い、温度変化、または動作により発生する側壁29内のすべての他の歪みが非常に短いネッキング領域に集中するため、ネッキング領域に大きな応力および歪みが発生すると、モータアセンブリ20の動作時に疲れ破壊を起こす可能性がある。さらに、ネッキングが発生すると、側壁29および振動素子26の幾何学的形状したがって振動が変化し、モータアセンブリ20の性能が変わる場合がある。
【0153】
側壁29に主に一軸の張力がかかっている振動素子24の疲労破壊は、ネッキングが存在していなくても問題となる。側壁29は降伏状態に置かれるため、モータ動作時の疲労平均応力は材料の降伏強度に近い。30kHz〜90kHzで動作することから圧電素子22により発生するたわみ(deflections)は数百ナノメートル程度であるため応力の振幅は非常に小さい。高い周波数では、動作サイクルが非常に大きくなるが、振幅は非常に小さい。鉄金属は応力疲労限度を持ち、この応力疲労限度以下で動作すると、疲労破壊を被らないで済む。アルミニウム、その他の非鉄金属の疲労限度は観察されていない(少なくとも、1億サイクル以上で)。モータ20は数10キロヘルツの範囲の周波数で動作し、この範囲では低振幅のサイクルであるにもかかわらず、モータが10億応力振幅サイクルを超えるのに数時間を要しないため、モータが小さな応力振幅において究極的に材料に疲労破壊が生じることがあるという問題が残っている。
【0154】
ここで公開されている疲労データは利用できないが、このようなモータでの疲労破壊は10億サイクルを超えるときに認められており、疲労破壊に対する対策を講じることが望ましいことを示している。断面の寸法がほとんど一定の側壁29を製作する製造プロセスを使用した場合、側壁の単に小さな一領域の代わりに側壁29全体が応力および歪みを吸収できるようにすることで疲労特性が改善される。側壁29の表面仕上げを改善する方法も、ひび割れ発生部位の数を減らすことで役立つ。側壁を同じ断面積にし、圧電素子22を中心に置くよう注意することで側壁に対し等しい応力をかけるようにすることでも、疲労破壊を避けられる。
【0155】
図8を参照すると、ここで説明しているモータ22とともに使用できる振動素子26pが示されている。振動素子26pは、湾曲した側壁29pを備え、これは、圧電素子22が共振器26pの開口28pに押し込まれたときに、さらに複雑な応力状態に置かれる。開口28pは、向かい合う平坦な部分31を備え、圧電素子22の端に隣接し、湾曲した側壁29pをなす。そこで開口28pは、一般に円形であるが、2つの向かい合う平面は圧電素子22の長軸に対応する軸25pに直交する配置になっている。共振器24pの残り部分は、選択された接触部分44の望む運動および配置に適したさまざまな構成を持つことができる。ここで、湾曲した側壁29pによって定められる開口28p以外の矩形構成を持つ共振器24pを示す。湾曲した側壁は、湾曲した長さに沿って一様な断面を持ち、図に示された構成は断面が湾曲した側壁の長さに沿って矩形である。湾曲した側壁は、側壁の長さの実質的部分について一様な断面を持つのが好ましい。ここで使用しているように、実質的な長さとは、側壁29の長さの半分を超える長さを指していると有利であり、側壁29の長さの75%を指すのが好ましく、また端壁31の間の側壁29の長さの90%超を指しているのが理想的である。
【0156】
湾曲している側壁29pについても、応力状態は一軸として近似することができるが、側壁の応力は一様でなく、実際には曲げ応力と軸応力の組合せである。これらの応力は、古典的なビーム理論計算を使用して求めることができる。代替方法として、側壁の変形は有限素子法(finite element methods)またはカスティリャーノ(Castigliano)の理論により近似できる。
【0157】
本実施形態では、側壁29も圧電素子22および保護板84の圧入時に塑性変形させて、締まり嵌めの量の差の小ささに関係なく、プリロードをおおよそ一定にすると有利である。しかし、振動素子26pの側壁29pには応力の加わり方が一様でないが、その代わりに、曲げられて湾曲したビームのように応力がかかる。側壁29pの湾曲構成では常に、最大の応力が、共振器24の本体を結合する湾曲した壁29pの端部において側壁29pの外面および内面にかかる。これらの応力は、基本的に、湾曲した壁29pが共振器24本体の残りの部分との結合部で発生する。これらの応力は、開口28pを形成する壁29pの内側、さらに壁29pの外側でも発生する。壁が湾曲しているので、各側壁29pに最大応力86が生じる画定した領域が4個所生じ、そのうち2つは壁の内側に、後の2つは壁の外側に生じる。
【0158】
これは、圧電素子22を開口28pに圧入したときに側壁29の断面全体が同時に塑性変形に到達するのではなく、これらの領域が塑性変形に最初に到達することを意味していることは明白である。この局在的曲げは有利な結果をもたらす場合がある。
【0159】
振動素子26pは、図7aの振動素子26に勝るいくつかの利点を持つ。側壁29pは湾曲しているため、まっすぐな側壁29よりもかなり厚く、それでも、圧電素子22に同じプリロードが発生する。これは、製造にもよく、また振動素子26pの疲労寿命にもよい。壁が厚いほど、疲労寿命が延びるが、それは、小さい材料の欠陥や製造誤差はそれに比例して小さくなるからである。このような材料の欠陥および製造誤差は、疲労破壊に至るひび割れ発生の最も発生確率の高い場所である。
【0160】
さらに、高いサイクル疲労で、疲労寿命の大半はひび割れの発生に費やされ、壁が厚いほどそのひび割れ発生が少なくなる。さらに、疲労ひび割れは、最高の応力がかかっている壁部分から始まる。壁29pでは、最大応力の場所は、上述のように知られており、応力集中を低減するステップを実行できる。たとえば、これらの高応力領域での応力集中を低減するために、側壁29pに隅肉または丸くした接合部88を持たせ、図8に示されているように、壁29pの内側と外側の両方で壁を隣接させるのが好ましい。限界応力領域が知られており、補強するか、または応力除去ステップを適用することができるため、振動素子26pでは、機械加工した表面仕上げ以上のものを必要としなくてよいと考えられる。研磨された表面の費用と労力は必要なものと考えられない。
【0161】
さらに、ネッキングも、振動素子26pでは重大な問題ではない。というのは、側壁29pの厚さに対し非一様な応力が分布しているからである。振動素子26pはさらに側壁29pのバネ定数、軸偏向(かたより)で割った軸力、は図7aの側壁26に比較して低い。バネ定数が小さいと、圧電素子22は側壁29、29pで形成されるプリロードバネに対し押す際にではなく被駆動素子42を動かす際により多くのエネルギーを消費する。こうした理由から、まっすぐな一軸張力側壁29ではなく湾曲した側壁29pを使用すると有利であるのである。側壁29pは、曲率が一様であり、開口28pを通る縦の中心線25pの部分を中心として対称的であるのが好ましい。まっすぐな側壁と比較すると、湾曲した側壁はさらに、開口28を大きく横に広げられる(弾力的にまたは塑性的に)。
【0162】
[楔プリロード法と設計]:
図9〜11を参照し、楔効果を使用した方法と装置を図1の構成の共振器を使用して説明する。そこで共振器24は、矩形開口28が長軸25に沿って対称的に位置が揃えられている矩形体として示されている。他の形状も使用できる。開口24は、図10に反映されているように長軸に沿って測定したときに圧電素子22および保護キャップ84よりもわずかに大きい。少しの圧入であれば許容可能である。穴90は、共振器24を貫いて開口28の一端に配置される。穴90は、ここでは、駆動端44(図1)の反対側の、バネ50(図1)に接続された端に隣接する、共振器24の端に配置されているものとして示されている。
【0163】
図10〜11に示されているように、楔92は穴90に力ずくで押し込まれ、穴92と開口28の隣接する端が十分に変形する。図からわかるように、穴と楔は両方とも円柱状で、開口28の端の隣に配置され、長軸に沿って膨れて開口28に入り、開口28内で圧電素子22を十分に圧縮する。基本的に、楔により、開口28の一方の壁が歪み、圧電物質が圧縮状態になる。介在する保護板34(図1)は、圧電素子22の一端または両端で使用するか、または省くことができる。
【0164】
円柱状の穴および楔の寸法は正確に制御され共振器24上に配置できるため、また部品の材料特性が知られており予測可能であるため、開口28の正確な変形が得られる。側壁29にかかる力を均等に保つ場合、歪みは対称的である必要がある。しかし、圧電素子22の力が共振器24に対して作用する軸を潜在的に傾斜させるためにオフセット圧縮が望ましい場合、穴90を長軸25からずらすことができる。
【0165】
図12を参照すると、穴は円形である必要はなく、矩形の溝を有する有することができ、楔92はそれに対応して、適切なプリロードを発生させるのに必要なだけ穴90を歪ませるように構成される。断面の形状が矩形であるか、または楕円形である楔92を使用できる。楔92の形状が変化し変形した材料の量が増えるにつれ、穴90に楔92を挿入するのに必要な力が増大する。
【0166】
後述のように、圧電素子22が共振器24の長軸25に平行なただしそれからずれている軸に沿って、またはその長軸25に対するスキュー角で力を加えるようなある種の状況では利点がある。図13〜16は、圧電素子22と共振器24との相対的長軸のこのようなずれ(オフセット)と傾斜を得るいくつかの方法を示している。別のバリエーションは図53に関して後述する。
【0167】
図13は、開口28内の圧電素子22のオフセットを示しており、圧電素子22の長軸の中心線95は共振器24の軸25の中心線から横にずれている。このオフセットは、選択された接触部分44の望む運動に応じて、中心線25の上、下、または両側であり得る。
【0168】
図14は、圧電素子22の一端と開口28の隣接する壁の間に挿入された小さな硬化挿入物94を示している。硬化した鋼球または小さな円板を使用できるが、共振器の隣接部分に関してサイズまたは形状を定め、圧電素子22によって加えられる駆動力のもとで挿入物94の許容できない変形が発生しないようにする必要がある。この実施形態では、保護キャップ34を使用して、圧電物質を損傷するおそれのある局部的な力が脆い圧電素子22に加わるのを避けるのが好ましい。挿入物94の場所は、選択された接触部分44の望む運動に応じて、中心線25の上、下、または両側にであり得る。複数の挿入物を使用できる。
【0169】
図15は、圧電素子22の軸95に沿って同方向に合わせられ、両方とも共振器24の長軸25に対してスキュー角で配置されている開口28と圧電素子22を示している。そのため、圧電素子22は共振器24の中心線に対して非対称的に取り付けられる。圧電素子22と共振器24の相対軸のスキューの量は、選択された接触部分44の望む運動により異なる。この構成は、断面が変化する側壁29ができてしまうという不利がある。しかし、本開示では、当業者が共振器24の長軸25と振動素子26にスキュー角で圧電素子22を取り付けることが可能である。小さな挿入物94を圧電素子22の両端上に、かつ長軸25の向かい合う両側に置くことによっても、軸25に対する圧電素子22のスキュー軸が得られる。上述した、または後述する取付システムのさまざまな組合せを使用できる。
【0170】
−振動素子と被駆動素子の取付け−
本開示では、振動素子26および弾性取付システム50のさまざまな取付構成が可能である。この取付構成は、選択された駆動部分44と被駆動素子42の対応する係合部分の位置、ならびにこれらの素子の必要な運動により決定されることが多い。
【0171】
図17を参照すると、振動素子26は、ピボット104を中心に回転する旋回端に旋回するように取り付けられている剛体ビーム102の遠位端に取り付けられている。振動素子26では、選択された接触部分44が被駆動素子42に弾力的に押し付けられる。選択された接触部分44は、振動素子26の遠位端36の内側に示されている。選択された接触部分44の位置は振動素子26上のさまざまな位置とすることができることを繰り返し述べるためである。同じことが、ここで説明した他の取付構成についてもいえる。
【0172】
図17に示されているように、バネ50により部品が弾力的に押し付けられ、これで被駆動素子を動かす運動の望む部分について十分な接触を維持する。バネ50にはさまざまな形態のものがあり、各種の方法で接続できる。駆動される物体42は、形状も、また運動もさまざまである。駆動される物体42の有用な形態として、振動素子26の遠位端に配置された棒、ボール、またはホイールがある。被駆動素子42は、意図した運動が行えるように適切に支える必要があり、またその支えについては、運動が設計により異なるためここには示されていない。
【0173】
図18は、図17に似た配置を示しているが、弾性力が加えられる場所が変更されており、力は旋回する剛体素子102の遠位端に加えられ、振動素子26を押すのではなく引き込んで被駆動素子42と接触させる。弾性力を加えるバネ50は、振動素子26の長軸25に一直線にそろった軸に沿って力を加えると有利であるが、これは任意選択である。
【0174】
図19は、図17〜18に似た配置を示しているが、弾性力が加えられる場所が変更されており、力は剛体素子102の旋回端の隣に加えられる。バネ50によって加えられるような弾性力の場所は、バネの変位に影響を及ぼす場合がある。バネ50がピボット104の近くに配置されたとき、バネ50はあまり動かないが、それは、ピボットとバネの接続箇所との間の実効モーメントアームが少ないからである。
【0175】
振動素子26が堅く取り付けられている場合、ここで説明したような構成を使用して、被駆動素子42を弾力的に押し付けて、固定されている振動素子26との十分な接触を維持し被駆動素子の動きを望むとおり行うことができる。
【0176】
図20は、バネ50のバネ金属の平たいストリップを使用する1つの有利な取付構成を示している。バネ50は、第1の端50aが基部52に取り付けられ、反対側の端50bは振動素子26に接続されている。端50aを含むバネ50の第1の脚は振動素子26の長軸25に平行であり、バネの第2の脚はほぼ直角に曲がっている。振動素子26の遠位端は、被駆動素子42に弾力的に押し付けられる。被駆動素子42は、原則として、十分滑らかな形状を持ちうるが、駆動される物体42の容易に使える形態として、振動素子26の遠位端に配置された棒、ボール、またはホイールがある。被駆動素子42は、意図した運動が行えるように適切に支える必要があり、またその支えについては、運動が設計により異なるためここには示されていない。
【0177】
図21は、一端が堅く基部52に取り付けられ、反対側の遠位端50bが振動素子26に取り付けられているまっすぐな重ね板バネ50aを示している。振動素子26の遠位端は、バネ50により被駆動素子42に押し付けられる。バネ50は他の形状も可能である。
【0178】
図22は、ピボット106を中心に旋回する第1の端とバネ50により被駆動素子42に弾力的に押し付けられる反対側の遠位端を備える振動素子26を示している。選択された接触部分44は、ピボット106と長軸25に沿ったバネ50の接続部の中間にあり、バネ50およびピボット106がそうであるように軸25の反対側に位置している。しかし、選択された接触部分44の軸25に対するさまざまな配置も、所望の運動と部品の構成に応じて、可能である。
【0179】
そこで、選択された接触部分44で少なくとも運動の2成分を発生するための方法と装置が提供される。これら2つの運動成分は、互いに異なる方向を持ち、各成分は圧電素子22が事前決定された周波数で励起されると発振し、これら2つの成分は相互に異なる位相を持つ。これら2つの運動成分は、振動素子26、そのサスペンション50、またはその両方を構成することにより、所望の向きに沿って楕円運動100を発生するような形状である。また、同じ接触部分44または他の接触部分44が圧電素子22のさまざまな励振周波数で適当な楕円100を作り、1つまたは複数の選択された接触部分44と係合する被駆動体42の相互に異なる巨視的運動を発生させる方法と装置が提供され有利である。
【0180】
一実施形態では、振動素子26はバネのような素子50で基部52に取り付けられており、バネは曲げバネ、トーションバネ、空気バネ、エラストマーバネ、またはその他の種類のバネとすることができる。たとえば、バネを電子回路基板の一部から作ることもでき、これは製造上有利である。バネ定数またはバネの柔軟性は、接触部分44と被駆動素子42の係合部分との間の接触領域の摩耗を補正するように調整することができ、また製造時の不正確さを補正することもできる。たとえば、バネ50の伸展性が高いと、接触部分44の曲げたわみが比較的大きくても接触部分44が被駆動素子42に加える弾力的接触力の変動は小さくなる。
【0181】
バネ50は、いろいろな方法で振動素子26に取り付けられる。一実施形態では、振動素子26が有する有する開口28の寸法は、変形していない圧電素子22の対応する寸法とバネ50の厚さの合計よりもわずかに小さい。バネ50と圧電素子22を開口28に挿入するとこの開口は広がり、圧入を生じて、前記振動素子を機能的にバネおよび圧電素子に接続することになる。他の実施形態では、振動素子は、溝などの開口を備え、ここに、バネの末端を押し込むか、接着剤で接着するか、ねじ込むか、その他の方法で留めることができる。溝は、好ましい方法で配向することができる。一実施形態では、溝は振動素子26の長軸25に垂直になるように配向される。他のバリエーションでは、それに平行な配向である。
【0182】
振動素子26をハウジングまたは基部52に接続することに加えて、バネのような素子50も振動素子26の機能拡張とすることができる。適切な調整を行うことで、バネ50により、振動素子の振動をハウジング52から機能的に絶縁することができる。また、バネ50は振動素子26の動的挙動に影響を及ぼし、増幅やその他の動的効果により振動素子26の性能が高まる場合がある。たとえば、バネ50が振動素子26の対称軸と異なる、またはその軸からはずれている対称軸を持つ場合、圧電素子22、振動素子26、およびバネ50で構成されるアセンブリは、動的非対称となり、以前は独立した振動モードであったものの結合が生じる。
【0183】
別の実施形態では、振動素子26は、ハウジングないしは基部52に直接取り付けることができる。これは、ハウジングないしは基部52が機能的に振動素子26の振動を絶縁する場合に好ましい。この実施形態では、ハウジング自体が、可動素子42に振動素子22を押し付ける弾性力を発生する必要がある。これは、ハウジングまたは基部52の設計で接触力を調整し、モータの摩耗を補正するメカニズムを有する有する場合に好ましい。被駆動素子42に関して振動素子26の位置を調整設定するための溝内のねじは一例である。
【0184】
さらに他の実施形態では、振動素子26はハウジング52に堅く接続されており、被駆動素子42は可動素子を支えるベアリングにより振動素子26に弾力的に押し付けられる。この目的のためには、支えがある種のバネまたはその他の圧縮可能な媒体を備えている場合には、弾性力を提供してこれらの部品を接触させることが好ましい。このような状況では、モータアセンブリ20も、被駆動素子42に作用する重力が必要な弾性力を供給できるような位置に取り付けることができる。
【0185】
−駆動素子および被駆動素子の配置−
図23〜36を参照すると、被駆動素子42に関して振動素子26を取り付けるためのさまざまな構成が示されている。これらの図は、概略図であり、望む運動を可能にし、部品を意図した用途に十分かなう接触状態に維持する部品の取付システムを省略している。例示のため、駆動される物体42は断面が円柱状の棒として示されているが、ボールでも、ホイールでも、棒でも、バーでも、歯車でも何でもよい。振動素子26は、ある力と角度で駆動される物体42に押し付ける必要があり、それによって、運動を引き起こすのに必要な接触を得る。これは、前述した、または本開示が与えられている場合は当業者に自明な取付メカニズムにより実現できる。その弾力的接触を行うメカニズムは図に示されていない。また、特定の設計に依存するため、被駆動部分42の望む動きを行うための取り付ける構成も示されていない。次の構成は例にすぎない。他の構成も可能であるが、すべてを説明することはできないので、ここでは説明しない。これらの構成を組み合わせることも可能である。
【0186】
[単一振動素子構成]:図23〜26は、単一の振動素子26を使用する構成を示している。図23では、振動素子26は、被駆動素子42の上にあり、素子26、42の少なくとも1つは弾力的に押し付けられ、選択された駆動部分44と被駆動素子42の選択された係合部分との十分な接触を維持し、所望の運動を行わせることができる。振動素子26と被駆動素子42の長軸は、互いに垂直であるが、さまざまな中間の角度をとることもできる。接触部分44は、遠位端36の内側にあるが、選択された振幅で所望の運動を発生させる振動素子26の長さに沿った位置に置くことができる。そのため接触部分44が所望の楕円運動100を生じる位置にできるように選択すると有利である。運動100は、振動素子26の軸25に大体整列しているように示されているが、これにより、被駆動素子42は軸45を中心に回転する。しかし、そうである必要はなく、コンポーネントの所望の運動と設計に応じて、軸25に直交する平面内に置き、軸45に沿って、またはその間の向きで、平行移動させることもできる。本明細書で使用しているように、0〜5°の並行度は、整合しているとみなされる。
【0187】
図24は、被駆動素子の軸45から垂直方向にずれていて、かつその軸に垂直な長軸25を示している。さまざまな中間傾斜角度が考えられる。選択された接触部分44は、振動素子26の下側周辺端部の遠位端36にある。この配置は、軸45を中心とする被駆動素子42の回転、その軸に沿った平行移動、またはそれらの運動の組合せを発生するのに適している。
【0188】
図25〜26では、長軸25、45は同一平面上にあり、図1の角度αについて説明したように互いに対して角度αだけ傾斜している。選択された接触部分44は、振動素子26の下側周辺縁部の遠位端36にある。この配置は、軸45に沿った被駆動素子42の平行移動、その軸を中心とする回転、またはそれらの運動の組合せを発生するのに適している。図26を参照すると、軸25、45は同一平面上にあるように示されているが、そうでなくてもよく、スキュー角度で交差することもできる。
【0189】
[複数振動素子構成]:連携して被駆動素子42を動かす複数振動素子26を使用する構成が図27〜42に示されている。複数振動素子26を使用する方法には、被駆動素子42を複数の場所で支えるためベアリングをいくつか省くことができ、コストを節約し、通常安価なベアリングやブッシングの場合に生じる摩擦を低減することができるという利点がある。用途によっては、ベアリングを追加しなくても、振動素子26だけを使用して被駆動素子42を吊すことが十分にできる。振動素子26の接触部分の振動により、摩擦支えを低くすることができ、また振動素子26の支え部分の楕円運動は、このような摩擦の低い支えを使用する場合には不要である。
【0190】
さらに、その結果、複数振動素子26を使用すると、力、および/または被駆動素子42を動かす速度を増やすことができる。単一の共通励起信号を各振動素子26に送って電気系統を簡素化したり、別々に信号を送って被駆動素子42の異なる運動を同時に発生させることもできる。
【0191】
特定の数の振動素子26からなる次の構成について説明する。本開示では、複数振動素子26を使用して被駆動素子42のさまざまな自由度を制約する他のさまざまな取付構成を設計できる。
【0192】
[二重振動素子構成]:特に2つの振動素子26と単一の被駆動素子42を使用する構成は、図27〜36に示されている。図27では、2つの振動素子26が被駆動素子42の反対側の側面に弾力的に押し付けられている。この2つの振動素子26は、被駆動素子42の長軸45に垂直な軸25を持ち、これは、その軸45の反対側の側面にある。各振動素子26a、26bの選択された接触部分44は、2つの振動素子の遠位端間の中間にあるのが好ましいが、接触部分44は遠位端36に置くことができるためそうでなくてもよい。振動素子26の軸25は、平行にし、同一平面上に置くことができるが、平行または同一平面のいずれかである必要はない。この配置は、その長軸45に沿った被駆動素子42の平行移動、その軸を中心とする回転、またはそれらの運動の組合せを発生するのに適している。
【0193】
図28は、被駆動素子42の共通の側面に弾力的に押し付けられている2つの振動素子26を示している。この2つの振動素子26は、被駆動素子の長軸45に垂直な軸25を持つが、軸25は軸45に対し傾斜させることもできる。振動素子26の軸25は、同一平面上に置くことができるが、そうである必要はない。接触部分44は、各面36の遠位端にある。接触部分44は、軸45が配置されているように示されている水平面から45°の角度にあるが、その平面の反対側にある。この構成は、その長軸45に沿った被駆動素子42の平行移動、その軸を中心とする回転、またはそれらの運動の組合せを発生するのに適している。
【0194】
図29は、図28に似た構成を示しているが、ただし、振動素子26は向かい合い、長軸に関して被駆動素子42の反対側に配置されている点が異なる。
【0195】
図30は、図24に似た構成を示しているが、ただし、2つの振動素子26が共通軸25上にあって、被駆動素子26の反対側に配置されている点が異なる。各振動素子26の長軸25は一致している必要はないが、同一平面上に置かれ、互いに対して傾斜していてもよい。
【0196】
図31では、2つの振動素子26が被駆動素子42の反対側にあり、素子26は互いに向き合っているが、それぞれ、被駆動素子42の長軸45を通る平面に対して傾斜角度α、βの向きを持つ。角度α、βは、各振動素子26の軸25が平行であるように示されているが、平行である必要はない。これらの角度により、長軸25が被駆動素子42の長軸45と交差するのが好ましいが、そうである必要はない。選択された接触部分44は、各振動素子26の遠位端36にある。
【0197】
図32では、2つの振動素子26が被駆動素子42の反対側にあり、素子26は同じ方向を向き、それぞれ、被駆動素子42の長軸45を通る平面に対して傾斜角度α、βの向きを持つ。角度α、βは、長軸25が被駆動素子42の長軸45と交差するのが好ましいような角度であるが、そうである必要はない。選択された接触部分44は、各振動素子26の遠位端36にある。
【0198】
図33では、2つの振動素子26が被駆動素子42の同じ側にあり、素子26は同じ方向を向き、それぞれ、被駆動素子42の長軸45を通る平面に対して傾斜角度α、βの向きを持つ。角度α、βは、長軸25が被駆動素子42の長軸45と交差するのが好ましいような角度であるが、そうである必要はない。軸25は、同じ平面にある必要はないが、同じ平面にあるのが好ましい。選択された接触部分44は、各振動素子26の遠位端36にある。
【0199】
図34では、2つの振動素子26が被駆動素子42の同じ側にあり、素子26は互いに向き合い、それぞれ、被駆動素子42の長軸45を通る平面に対して傾斜角度α、βの向きを持つ。角度α、βは、長軸25が被駆動素子42の長軸45と交差するのが好ましいような角度であるが、そうである必要はない。軸25は、同じ平面にある必要はないが、同じ平面にあるのが好ましい。選択された接触部分44は、各振動素子26の遠位端36にある。
【0200】
図35〜36は、2つの振動素子26が被駆動素子42の反対側にあり、素子26は同じ方向を向き、それぞれ、被駆動素子42の長軸45を通る平面に対して傾斜角度α、βの向きを持つ構成を示している。角度α、βは、長軸25が被駆動素子42の長軸45と好ましくは交差するような角度であるが、そうである必要はない。軸25は、同じ平面にある必要はないが、同じ平面にあるのが好ましい。軸25は軸45上の共通の位置で交差し、係合部分44は軸45に直交する同じ平面内にあると有利である。
【0201】
この構成では、選択された接触部分44は、各振動素子26の遠位端36にある。各素子26の選択された接触部分44は、被駆動素子42の係合部分の形状と相補し係り合う形状となっている。ここで、棒42の断面が円形であるため、選択された接触部分44は凸面である。この湾曲した係合により、振動素子26は被駆動素子42を支え、これにより該被駆動素子42の軸45に沿った平行移動以外の運動が抑制される。接触部分44に軸45の長さに沿って小さな係合表面がある場合、被駆動素子42は係合部分44を中心に揺れる。接触部分44に軸45の長さに沿って十分な長さを持つ係合表面がある場合、被駆動素子42は係合部分44を中心に揺らさなくても支えることができる。この構成を使用すると、被駆動素子42の取付けを簡素化できる。2つの振動素子26の先端の間で棒を締め付けて振動素子26がベアリングとしても動作するようにする。
【0202】
[三重振動素子構成]:
図37〜40は、3つの振動素子26a、26b、および26cを使用する構成を示しており、文字a、b、およびcはそれぞれ第1、第2、および第3の振動素子のさまざまな対応する部品と関連づけられている。図37は、図27で説明しているような2つの振動素子26a、26bを示しており、各々被駆動素子42の反対側に弾力的に押し付けられている。この2つの振動素子26a、26bは各々、被駆動素子42の長軸に垂直な軸25を持ち、これは、その軸45の反対側にある。各振動素子26a、26bの選択された接触部分44a、44bは、振動素子の遠位端の中間にあるのが好ましいが、接触部分44は遠位端36に置くことができるためそうでなくてもよい。第3の振動素子26cは、被駆動素子42の対向する側面に配置されており、その選択された接触部分44cは、44aと44bの間の軸に沿った接触部分44a、44bの中間、好ましくはそれらから等しい距離にある。被駆動素子42は、Z軸方向に沿った長軸を有する有する。第1と第2の振動素子26a、26bは被駆動素子42と12時および6時の位置で接触し、第3の振動素子26cは被駆動素子42と3時の位置で接触するのが好ましい。他の接触場所も可能である。接触部分44cは、振動素子26cの遠位縁にあり、第3の振動素子26cは軸25a、25bを含む平面に平行な角度αの向きとなるのが好ましい。振動素子26a、26bの軸25は平行であるのが好ましく、軸25a、25b、および25cは同一平面上にあるのが好ましいが、さまざまな軸が平行または同一平面のいずれかである必要はない。この構成では、長軸45に沿った被駆動素子42の平行移動および長軸45を中心とする被駆動素子42の回転が可能であり、その際に振動素子のy軸に沿った両方の方向へのおよび+x方向への平行移動は抑制されるが、−x方向に沿った動きについては可能である。
【0203】
図38は、被駆動素子42の軸45に直交する平面内を延びる半径方向の軸に垂直である長軸25を有する振動素子26を示している。接触部分44は、遠位端36からずれているものとして示されているが、必ずしもそうである必要はない。振動素子26は、角度β、γ、およびαが各々約60°であって等間隔に並べられているものとして示されているが、角度は変化する場合がある。軸25a、25b、25cは同一平面にあるように示されているが、必ずしもそうである必要はない。被駆動素子42は、Z軸方向に沿った長軸を有する有する。この配置では、振動素子26でxおよびy軸に沿った両方向の被駆動素子42の平行移動を制約できる。
【0204】
図39は、被駆動素子の片側にある振動素子26a、26bの2つを配置したもので、軸25a、25bはx軸に平行であり、それぞれの接触部分44a、44bは垂直なy軸に平行な軸に沿った対応する場所で被駆動素子の周辺部と係合している。接触部分は、遠位端36a、36bの縁に置かれている。軸25a、25bは平行でかつ同一平面にあるが、必ずしも同一平面でも平行でもある必要はない。第3の振動素子26cは、被駆動素子42の反対側にあり、軸25cはy軸に平行である。軸25cは、軸25a、25bと同一平面上にあるのが好ましいが、そうである必要はない。被駆動素子42は、Z軸方向に沿った長軸を有する有する。この配置では、振動素子26でxおよびy軸に沿った両方向への被駆動素子42の平行移動を制約できる。
【0205】
図40は、被駆動素子の片側にある振動素子26a、26bの2つを配置したもので、軸25a、25bはx軸に平行であり、それぞれの接触部分44a、44bは垂直なy軸に平行な軸に沿った対応する場所で被駆動素子の周辺部と係合している。軸25a、25bは平行でかつ同一平面にあるが、必ずしも同一平面でも平行でもある必要はない。被駆動素子42は、Z軸方向に沿った長軸を有する有する。第3の振動素子26cは、被駆動素子42の反対側にあり、軸25cはx軸に平行であり、軸25bと同軸になっている。接触部分は、遠位端36a、36b、36cの縁に置かれている。この配置により、振動素子26はx軸とy軸に沿った両方向への被駆動素子42の平行移動を制約できるが、図40に示されているように、水平から45°のスキュー軸の一方向に沿った運動が可能である。
【0206】
複数の振動素子26を使用する上の構成では、各々の振動素子は他の振動素子と同時にアクティブにするのが好ましく、振動素子は連携して被駆動素子42の望む運動を引き起こす。しかし、振動素子26は、異なるときに、または異なる組合せで、または異なる順序で、別々にアクティブにし、被駆動素子の運動を別々に行うことができる。
【0207】
[6個の振動素子]:
図41−42は、6個の振動素子26a〜26fを使用して、長軸45を中心に回転し平行移動できる被駆動素子42を支える構成を示している。振動素子26では各々、一端が好ましくは被駆動素子の長軸45に直交する平面内で被駆動素子42を囲むリング110に取り付けられている。振動素子26の向かい合う遠位端36a〜36fは、被駆動素子42に押し付けられる。振動素子26のうち3つは、図42に最もよく示されているように、他の3つの振動素子と反対の方向に被駆動素子42に向かっている。被駆動素子42の軸45(図41)に直交するx−y平面で見た各振動素子26の相対的位置は、角度α、β、γ、σ、ε、およびρにより決定される。これらの角度は、支えと駆動の力を均等に分配するために60°であるのが好ましいが、角度はこれと異なっていてもよい。振動素子26は、被駆動素子42の長軸45と交差する長軸25を持つと有利であるが、軸25は軸45と交差しないように斜めにすることもできる。振動素子26と被駆動素子42の間の角度は、図面に示されているようにδとφにより定められ、さまざまな部品の寸法および振動素子26の向きにより異なる。リング110が柔軟なので、振動素子26が被駆動素子42に確実に押し付けられる。そのため、棒は6点で吊られる。
【0208】
この構成では、振動素子26で被駆動素子42を支え、被駆動素子42の長軸45に沿ってのみ平行移動でき、またその軸を中心に回転できる。
【0209】
−モータの動作原理−
以下の説明により、上述の実施形態の動作を理解し、またこれらの実施形態およびそのバリエーションを実装するさまざまな方法を理解することができる。
【0210】
本発明のモータでは、1つの電気的励起信号で振動素子26のさまざまな振動モードを励起する圧電素子22を1つだけ使用している。接触部分44の運動は、これらの振動モードにより決定される。特に、このモータでは第1の周波数の正弦波電気的励起信号で第1の方向に接触部分44を楕円経路で動かし、第2の周波数の正弦波励起信号で第2の方向に接触部分44を楕円経路で動かし、その結果接触部分44において運動または速度の必要な力または振幅を与える。第3およびそれ以上の周波数の正弦波励起信号について第3およびそれ以上の方向の接触部分44の楕円経路の動きが可能であることが知られている。
【0211】
モータアセンブリ20は、モータ動作音が人間および大半のペット動物の耳に聞こえないようにするために接触部分44が毎秒数万回の楕円運動をたどるように構成すると有利である。各楕円サイクルの選択されたセグメントで、接触部分44が駆動される物体42の係合面と接触し、そこで、駆動される物体42を対応する方向に少しだけ搬送する摩擦接触力を加える。駆動された物体42の観察された巨視的運動は、個々の搬送ステップの全累積である。
【0212】
この開示の大半は振動素子26の遠位端36に配置され、第1の楕円経路100a内を動いて被駆動物体42を被駆動物体の長軸45の方向に搬送する接触部分44と、第2の楕円経路100b内で動き反対向きの搬送を引き起こす(図2および図5のように)同じ選択された接触部分44について述べているが、第1と第2の選択された接触部分44は同じである必要はなく、また隣接している必要もなく、また遠位端36に位置する必要もない。これらは、同じ振動素子26上に位置するだけでよい。さらに、選択された接触部分44の個数と、各接触部分のそれぞれの楕円経路100の方向(directions)と向き(orientations)は、特定の設計により異なることがある。3つあってもよく、またそれ以上でもよい。したがって、複数の方向に、複数の楕円経路100内で動く振動素子26上に複数の選択された接触部分44があり得る。
【0213】
選択された接触部分44の所望の運動について、単一の方向か複数の方向か、また単一の選択された接触部分44があるのか複数の接触部分44があるのかその組合せがあるかを確認すると有利である。そこでそのような運動を行うようにモータアセンブリ20を設計する。しばしばあることだが、この設計では完全なものを得られないが、その代わりに、所望の運動の許容可能な近似を得ることができる。そのような所望の運動を行わせるためにモータアセンブリ20のコンポーネントを構成するために使用できるいくつかの要因について後述する。
【0214】
[楕円運動の発生]:圧電素子22が正弦波電気信号で励起された場合、図1〜3に振動素子26の長軸25に沿う状態で示されているか、または図15に長軸25に対する傾斜角になっている状態で示されている、長軸95に主に沿った正弦波の力と正弦波変位が発生する。その後、前記の力および変位を使用して、振動素子26の振動モードを励起する。振動素子26は、所定の励振周波数で振動モードのうち少なくとも2つが実質的に励起されるように構成するのが好ましい。モードに長軸25の方向の一様な運動成分しか含まれない場合、これは、縦モードであるとみなされる。モードの運動成分が長軸25に垂直な方向にある場合、モードは曲げモードであるとみなされる。他のよく知られているモードとしては、ねじれモードと剪断モードがある。混合モードは、これらのモードのいずれでもないが、方向25、38、または40のどれかの中の運動またはそれを中心とする回転の成分を持つことができる。励起された各モードにより、正弦波運動成分が接触部分44の運動に加えられる。運動のこれらの成分のうち少なくとも2つが平行でなく、また相互に位相不一致であれば、接触部分44のその結果の運動は楕円であることがわかる。
【0215】
この開示のほとんどでは、長軸95に主に沿った力および変位を発生する圧電素子22について説明しているが、異なる主方向を持つ圧電素子または圧電素子以外の力および変位発生素子を使用することもできる。
【0216】
[楕円運動の利用]:楕円運動を位相から90°ずれて励起される相互に垂直の縦および曲げモードだけで発生させる必要はないが、その代わりに相互に斜めであり、実質的に90°となりうる位相差を持つ少なくとも2つの励起されたモードで楕円運動を発生できるという本発明の利点は従来技術のモータに勝っている。この場合、接触部分44では、半軸が必ずしも方向25、38、または40と揃っていない楕円100を辿り、その結果、振動素子26を駆動される物体42に斜めの角度で取り付けることが有利になる。つまり、長軸25は、角度α(図1)で振動素子26に対し傾斜しているのが好ましいが、この角度は、特定の設計および関連するコンポーネントにより異なる。振動素子26の斜めの取付けにより、楕円100は駆動される物体42に対して回転する。この回転に関連して、座標変換を別のところで公式化するが、これにより楕円経路100を発生する運動の成分間の相対的位相シフトに対する該回転の効果が有益となりかつ高まる。
【0217】
選択された接触部分44の楕円運動100は選択された接触部分44が被駆動素子42と係合していないとしても得られるが、有用な運動を発生させるためには、各楕円サイクル100の一部分で振動素子26の接触部分44を駆動される物体42の係合する面と物理的に接触させる。この部分は、後の各サイクルについて同じままであるのが好ましい。各係合で、振動素子26は駆動される物体42に摩擦力を作用させる。これらの力は、係合している間変化する場合があるが、累積的効果で駆動される物体42が振動素子26に関して搬送される。この搬送は、搬送の方向が駆動される物体42に最も近い楕円の点での接触部分44の運動の方向と一致している場合に最も効率がよいと考えられる。
【0218】
楕円経路100に対して接線方向の接触部分44の速度は、楕円の短軸が楕円経路と交差するときに最大となり、楕円の長軸が楕円経路と交差するときに最小となる。したがって、長軸が駆動される物体42の係合面の接線方向にある楕円は効率のよい搬送メカニズムを実現できると予想される。長軸が駆動される物体42の係合面に対して傾斜している楕円を使用すると有利である。このような状況では、接触部分44は、駆動される物体42に最も近い点を過ぎた後そこから離れる速度と異なる速度で駆動される物体42に向かう。楕円形状に固有のことであるが、より高速な接近は、通常より遅い遠ざかりをもたらし、引込みが遅くなり、その逆もいえる。そのため、被駆動素子42との係合のプロセスをより緩やかまたはより急激のいずれかに選択できる。極端な場合、このような運動は鋸歯運動とも呼ばれる。正確な鋸歯運動を発生するモータは従来技術にある。したがって、本開示の傾斜楕円を意図的に使用すると、これらの鋸歯モータにのみ見られる利点のいくつかが得られる。
【0219】
搬送を効率的にするためには、摩擦係合が十分に大きいこと、および摩擦力が低下するかまたは消滅している間だけ接触部分44が駆動される物体42の所望の搬送の方向に反して動くことが好ましい。接触部分44の一部または全部が駆動される物体42の係合面との接触を失ったときに前記摩擦力の低下または消滅が起る。
【0220】
摩擦と摩耗の大きさは、さらに、摩擦パラメータと、接触部分44に使用される材料の組合せおよび接触部分44のサイズによって決まる。また、これらのパラメータは、モータ20の強度にも影響を及ぼす。通常、摩擦が大きいほど、力は強くなるが、摩耗も増える可能性がある。使用に適当だと信じられる材料の組合せとしては、接触部分の片側に鋼鉄、アルミニウム、およびガラスを使用し、接触のもう一方の側にガラス、グラスファイバ、PMMA、PVC、ABS、または鋼鉄を使用するものがある。ガラス面の摩擦パラメータは、化学的に修正可能であるか、または粒子を加えたり、テクスチャをエッチングすることにより物理的に修正可能である。
【0221】
駆動される物体42の係合面の寸法が正確でなくてよいということと、バリエーションがモータ20の弾性取付システムによって受け入れられるという点はモータアセンブリ20の利点であるが、これについては後述する。さらに、振動による摩耗で、振動素子26の接触部分44が修正され、接触領域が広がる可能性があることが示されている。この効果は、特に、モータの耐用期間の初期に強いものである。この効果は、たちまち弱まり、モータの性能がよくなる。この摩耗の使用は有利であるが、それは、弾力的な取付具50により選択された接触部分44が被駆動素子42に押し付けられ、堅い材料と柔らかい材料との中間の摩耗となり、初期製作許容差を低減できるからである。必要に応じて、摩耗を利用して選択された接触領域44を増やせる。
【0222】
[望ましい楕円運動の発生]:楕円軌道100のサイズと向きは、楕円生成に使用されている振幅と位相によって異なる。十分大きな周波数範囲にわたって接触部分44の有用な楕円軌道100を維持できるかどうかは、モータアセンブリ20の振動設計特性によって決まる。
【0223】
励起の周波数が振動素子26のモードの共振周波数を超えて高くなる場合、該モードは圧電素子22に印加される励起信号に関して−180°の滑らかな位相変化を受けることが知られている。この遷移が発生する周波数範囲の幅は、システム内の機械的減衰の量とともに増える。このような周波数範囲は2つの励起モード間の位相差が広い周波数範囲にわたり0または180°から十分に異なり、また接触部分44の所望の楕円運動を潜在的に維持できるようにするうえで十分に大きいことが望ましい。これにより、モータ20について基本的に製造および動作条件の変動に対する感度が低くなる。特定の場所で望む減衰量とするために、別の減衰素子を振動素子26の一部または機械振動に関与するサスペンションの部分に加えることもできる。しかし、システム設計および材料に固有の減衰を使用するのが好ましい。
【0224】
モータをより強力なものにするために、これは励起振動モードが励起の望む周波数近くで接触部分44において有意な振幅を示す場合に望ましく、したがって、選択されたモードの共振周波数に近い励起周波数を有する有することが好ましい。接触部分44のモードの振幅もその励起の振幅に依存するため、圧電素子22で発生した機械振動を適宜さまざまなモードに分配するように振動素子26を設計することが好ましい。この分配は、振動素子26の減衰、幾何学的および材料特性、ならびに振動素子26と接触部分44の駆動される物体42との間で発生する力の組合せを使用していくつかの方法で制御された形で行うことができる。概念的には、力の分配に影響を及ぼす方法および修正は、モードの形状と共振周波数に影響を及ぼす方法と異なる。しかし実際には、力の分配に影響を及ぼす修正により、モードの形状およびその共振周波数が修正されることが非常に多い。たとえば、機械エネルギー力を純粋な縦モードと純粋な曲げモードに分配するいくつかの修正では通常、さらに、2つのモードを結合して1つにし混合タイプの新しいモードを作る方法が棒状の振動素子26について知られている。
【0225】
[機械振動の分配]:内部減衰力により、一方のモードを他方のモードに結合することができ、それにより、圧電素子22は潜在的に、第1のモードを駆動でき、さらに第2のモードが減衰により間接的に励起される。この効果は特に、それぞれの共振周波数および励振周波数が寄り固まっている場合に強い。
【0226】
ある周波数で圧電素子22により励起される第1のモードは、さらに接触部分44で発生した接触力により第2のモードを励起できる。特に、接触部分44の楕円運動により、正弦波である力または第1のモードを駆動する同じ周波数で間欠的に発生する力を発生できる。次にこの力により、振動素子26内に他のモードが励起されるとともに、別のところで説明している駆動される物体42の振動モードも励起される。この形態の励起は相互的であり、この効果を故意に利用して以前の独立モードを結合して新しいモードを形成することができる。接触部分44の楕円100と接触力が発生する楕円の一部の向きにより、第1のモードに関して第2のモードを励起する位相が決定される。この位相は、180°の倍数でないのが好ましい。
【0227】
接触で振動素子26のどのモードが励起され、どれだけ励起されるかについても、接触部分44と駆動される物体42の係合面の振動素子26に関する位置と向きにより異なる。接触部分44は、アセンブリ20、振動素子26、弾性取付システム50、または駆動される物体42の対称平面内に置かれるように、またはそうされないように選択することができる。非対称の位置決めを使用すると、使用しなかった場合には圧電素子22単独で励起するのが難しいモード、たとえば、振動素子26のある種の曲げモードやねじれモードを励起できる。同じ目的のために、振動素子26に関する係合面の向きを、いくつかの対称平面に垂直または平行になるように、またはそうならないように選択することができる。
【0228】
[圧電素子の位置と向き]:図1を参照すると、振動素子26は長い棒の形で、開口28がその棒の長軸25に垂直であるのが好ましい。開口28の寸法は、圧電素子22の対応する寸法よりもわずかに小さく、圧電素子を圧入方式で開口28に挿入できる。振動素子26の形状が対称的である場合、圧電素子22が長軸25に関して対称的に挿入される場合、および圧電素子22と振動素子26の間の接触がほとんど完全である場合、主に軸25の方向の縦の振動のみが発生すると予想される。これらの振動は、接触部分44での前述の接触力により曲げまたはその他の振動に変換することができるか、または駆動される物体42に対し振動素子26を押し付ける後述の弾性取付システム50の作用により変換できる。
【0229】
圧電素子22は、素子22が非対称的に開口28に挿入される場合、たとえば圧電素子22の長軸95が振動素子26の長軸に対してずれている(図14参照)かまたは傾斜している(図15参照)場合、あるいは圧電素子22と共振器24との間の接触領域の少なくとも1つが非対称的になっている場合、振動素子26の縦方向の振動以外の振動を直接発生できる。たとえば、図5の振動素子76では、圧電素子22の長軸は共振器74の主長軸からずれている。このずれにより、共振器74と振動素子76のさまざまなモードが結合される。さらに、共振器74はピン78を中心として回転し、これによりさらに、振動素子76の振動モードを修正できる。
【0230】
圧電素子22を非対称に挿入する修正を顕著にするほど、曲げが一層高まり、その他の振動が通常増える。また、このような修正により、通常、以前には独立であった縦および曲げモードが1つに結合され、新しい混合タイプのモードが作られる。棒状の振動素子のねじれモードも励起できる。
【0231】
好ましい実施形態では、圧電素子22は、接触が可能な領域全体に沿って共振器と圧電素子22が完璧な接触状態にならないように、共振器24の開口28に挿入される。挿入プロセスでこのような意図的な部分的接触を実現するために、たとえば、挿入された圧電素子22により開口28の側壁29を変形し、接触可能性のある領域のある部分部分で接触が失われるようにすることができる。代替方法として、部分的接触を実現するのに、圧電物質22の接触可能性のある面をでこぼこにする、たとえば圧電物質を開口28に挿入する前に共振器24の接触領域の材料を所々除去する。図10および図11では、これは、図示の長軸25からずれている位置にピン92を挿入することでも行える。挿入物94(図16)を使用して、挿入の場所に局部的な接触領域を設けることもできる。さらに、上記の方法を組み合わせて、所望の部分的接触を得、所望の接触部分44に横方向および縦方向の運動成分の所望の組合せを引き起こすことができる。
【0232】
[振動素子の形状]:さまざまな振動モードの共振周波数は通常、振動素子26を長くすると低くなり、短くすると高くなる。さらに、共振器24の断面の形状およびサイズも、曲げとねじれを伴う共振周波数およびモードに影響を及ぼす。たとえば、図74を参照すると、共振器24の断面、または共振器24の遠位端の少なくとも一部の断面はI字形とすることもでき、これを利用して、長軸方向の運動および横方向の曲げを伴うモードの相対的剛性および共振周波数を変化させることができるが、それはIビームの断面が一方の横軸に沿って剛性を持ち、この剛性は他方の横軸に沿った剛性とかなり異なるからである。また、共振器24の長さを大幅に増やさなくても低い横方向の曲げ剛性を発生する。図74は、さらに、T字形断面を示しており、Tを長軸に対して非対称にした場合ねじれモードが導かれる可能性がある。C字形断面およびさまざまな他の断面形状を使用して、共振器24および振動素子26の共振モードを変えることができる。他の非対称断面形状も使用可能である。
【0233】
楕円100が振動素子26の長軸25および/または駆動される物体42の係合面に対して傾斜するように、振動素子26の接触部分44に所望の楕円運動100を発生できる振動モードを意図的に得るために、振動素子26で非対称設計を採用すると有利である場合がある。たとえば、共振器24を螺旋状にしたり、アーチ型またはL字形にすることも可能である。他の形状も可能である。このようにして得られた非対称質量分布により、性質上純粋に縦方向にも純粋に横方向にもない振動モードを発生することができるが、これは傾斜した楕円運動100を発生するのに有利な方法である。
【0234】
さらに、図78を参照すると、好都合な設計の特徴を有する有する他の実施形態が示されている。この実施形態では、まっすぐでない共振器24が示されている。さらに、被駆動素子と交差しない軸に沿った圧電素子22の場所も示されている。さらに、圧電素子22と共振器24の異なる位置合せおよび向き設定も示されている。これらの軸は、互いに対して傾斜しており、圧電素子22の軸は一般に、被駆動素子42の軸45と平行である。共振器24の軸25は、2本の軸95、45の間の間隙を橋渡しするように傾斜している。選択された接触面44は、棒状の被駆動素子42上の隣接する接触領域の形状に一致する曲面をなしている。この曲面は製作することもできるが、モータが動作する過程で生じる自然な摩耗により発生することもある。この弾性取付システムは、棒42を動かす選択された接触面44の運動を受け入れられるようになっている。
【0235】
弾性取付システムは1つまたは複数のバネ50を有する有すると有利である。図の実施形態で、棒42が水平面にある場合、圧電物質の軸95を通り長軸45に垂直な(ただしそこからずれている)水平面内で位置を揃えたバネ50aにより、弾性取付システムが形成される。共振器24の反対側に2つのバネ50aが突き出て、対称的な弾力的な取付けになるようにすると有利であるが、バネ50aは1つだけ使用できる。バネ50aは、圧電素子22と共振器24内の開口28との間にバネ50aの遠位端を挿入することにより共振器24に接続されていることが示されている。別々のバネ50aの代わりに、真ん中が圧電素子22に当接する単一の重ね板バネ素子を使用することも可能である。
【0236】
バネ50aの代わりに、またはバネ50aに加えて、バネ50bを共振器24の水平面に直交する軸内の端35に隣接する位置に接続する。バネ50a、50bの相対的剛性と、これらのバネの相対的位置に応じて、被駆動素子42のさまざまな運動が得られる。この運動は、軸45を中心とする回転と軸45に沿った平行移動との組合せであるのが好ましいが、駆動される物体42の純粋な回転または純粋な平行移動も可能である。
【0237】
[サスペンション]:弾性取付システム50は、サスペンションと呼ばれ、振動素子26に接続され、選択された接触部分44が首尾一貫して被駆動素子42の係合部分に押し付けられ、接触部分44の楕円運動100により被駆動素子42を搬送できるようになっている。被駆動素子42が弾力的に吊られていて代わりに接触部分44に押し付けられている場合も同様の原理が適用される。この一貫した弾性力は、被駆動素子の表面の滑らかさや構成が変わったとしても、また接触部分44が摩耗の兆候を示したとしても維持されるのが好ましい。弾性力が小さい場合、これらのモータは駆動される物体42を素早く搬送するが、力が弱いことが示されている。弾性力が大きい場合、搬送速度は下がるが、搬送力は強くなる。大きすぎる弾性力を選択した場合、駆動される物体は通常停止する。
【0238】
選択された接触部分44の位置と1つまたは複数の振動素子26が配置されている構成(たとえば、図23〜42によって、異なるサスペンションシステムが必要になる。さまざまなサスペンションシステムが図1、2、5および図17〜22に示されており、サスペンションシステムの一部について、「振動素子と被駆動素子の取付け」のセクションで説明している。ここで説明しているサスペンションシステムは、主に、バネを使用するサスペンションシステムであるが、これに限定されているわけではない。サスペンションには、重ね板バネ、コイルバネ、その他の種類のバネを使用することができ、またたとえばエラストマーバネや圧縮ガスバネなどの弾力的な材料を使用することもできる。サスペンションシステムが振動素子26の振動モードに及ぼす影響は、使用する特定の種類のサスペンションシステムとその配置により異なる。
【0239】
たとえば、図75は、第1の端188aが基部52に接続され反対側の端188bが振動素子26に接続されている湾曲した薄板バネ188を使用するサスペンションシステムを示している。図の実施形態では、バネ188は、圧電素子22の一端と開口28を定める隣接する壁の間に挿入されている。振動素子26は、駆動される物体42の係合面に対して角度αだけ傾斜している。湾曲したバネ188では、サスペンションに必要な空間を小さくできるため、モータアセンブリ20を小型化できる。ホイール46は、図75に示されているように、回転軸65を同軸とするホイールの平たい縁を使用して被駆動素子42と接触することができる。ホイール46はさらに、被駆動素子42を適宜支え、案内するように被駆動素子42の隣接する部分の相補的対応形状と係合するように構成された輪郭外周を持つ。本開示により、可動性支えのさまざまな構成は当業者には明白であろう。
【0240】
他の例は図1に示されているが、振動素子26は、端50aが基部52に取り付けられている位置に取り付けられそこを中心に動く。選択された接触部分44は、基部52へのバネ端50aの取付けに関連して配置される結果、ほぼ垂直な軸が取付点50aと接触部分44の両方を通る。
【0241】
対照的に、図5のCクランプ構成では振動素子76はピン78を中心にして回転する。接触部分44を通る垂直軸は、旋回ピン78を通る垂直軸からずれている。このずれだけでなく、圧電素子22の非対称的な配置のせいで、異なるサスペンションシステムは異なる特性を持つ。
【0242】
弾性サスペンションシステムの一部は通常、振動素子26の振動に関与し、したがって、振動モードに影響を及ぼす。サスペンションシステムの設計は、選択された接触部分44の所望の運動が高められるようなものが有利である。
【0243】
バネ50などの弾性サスペンションシステムは振動素子26の動作周波数で振動のノードに接続されている場合は、この振動には関与しない。しかし、弾性サスペンションシステムを選択された動作周波数で振動のノード以外の場所に接続した場合には、そうでない場合には独立している、振動素子26のさまざまな振動モードと結合し得る非対称を生じる。この結果生じる選択された接触部分44での楕円運動100は、特に、駆動される物体42の係合面が振動素子42に対して傾斜している場合に有用である。
【0244】
たとえば、図5の実施形態では、振動素子76はピン78を中心に発振し、これにより、接触部分44は上下運動を楕円経路100に沿って行うことができる。振動素子46、76の取付けにより、モータアセンブリ20のさまざまな振動モードおよび接触部分44のさまざまな動きが可能になる。
【0245】
さらに、図78を参照すると、被駆動素子のねじれ運動または回転運動で使用するのに適している他の実施形態が示されている。この実施形態では、被駆動素子42は長軸45を中心として回転する。圧電素子22の長軸95は、共振器24の長軸25と軸が揃っていない。これらの軸は、互いに対して傾斜しており、圧電素子22の軸は、被駆動素子42の軸45とほぼ平行である。共振器24の軸25は、2本の軸95、45の間の間隙を橋渡しするように傾斜している。選択された接触面44は、棒状の被駆動素子42上の隣接する接触領域の形状に一致する曲面をなしている。この弾性取付システムは、長軸45を中心に棒42を回転する選択された接触面44の運動を受け入れられるようになっている。
【0246】
弾性取付システムは1つまたは複数のバネ50を有する有すると有利である。図の実施形態で、棒42が水平面内にある場合、圧電物質の軸22を通り長軸45に垂直な(ただし該軸からずれている)水平面内に揃えられたバネ50aにより、棒42の回転運動が可能である。共振器24の反対側に2つのバネ50aが突き出て、対称的な弾力的な取付けになるようにすると有利であるが、ばね50aは1つだけ使用できる。バネ50aは、圧電素子22と共振器24内の開口28との間にバネ50aの遠位端を挿入することにより共振器24に接続されていることが示されている。
【0247】
別々のバネ50aの代わりに、真ん中が圧電素子22に隣接する単一の重ね板バネ素子を使用することも可能である。
【0248】
バネ50bを端35に隣接させて共振器24の水平面に直交する軸内に接続すると有利であるが、任意選択である。バネ50a、50bの相対的剛性と、これらのバネの相対的位置に応じて、被駆動素子42のさまざまな運動が得られる。この運動は、長軸45を中心とする主にまたは純粋に回転する運動であるが、軸45を中心とする回転および軸45に沿った平行移動の組合せも可能である。
【0249】
図78はさらに、振動素子26および共振器24が非対称にできることを示している。また、バネ50はさまざまな配置、構成、および向きを持つことができることも示している。実際、バネ50は曲げバネまたはねじりバネとすることができ、各々システムのまたは振動素子26のサスペンションおよび共振振動モードに影響を与える可能性がある。図78はさらに、バネ50を圧電素子22に接続する必要がないことも示している。さらに、共振器24の主要振動部分の軸25は、圧電物質を通る軸95に平行である必要もない。さらに、接触部分44は、被駆動素子の隣接する表面に一致するように成形することもできる。この成形は、共振器24内で実施するか、または切断あるいはその他の方法で共振器24内に入れるか、または摩耗および慣らしで形成することができる。
【0250】
[摩擦を減じる動作モード]:
動作周波数でないある周波数で励起したときに、接触部分44に変化する接触力を発生させ、場合によっては、駆動される物体44上の実効摩擦保持力を低減することができる離昇(liftoff)を引き起こすことは、本開示のモータの追加特徴である。つまり、これらの周波数で動作させ、モータをオフにしたときに、モータを通じて駆動される物体を引っ張るのが簡単であるということである。この選択的に減じられる摩擦の特性は、用途によって有用な場合がある。
【0251】
−理論的設計態様−
圧電物質22と共振器26は、被駆動素子42を動かす選択された接触部分44の所望の運動を発生するように構成されている。接触部分44は、図1に示されているように楕円経路100内で動くのが好ましい。共振器26の運動の2つの矩形成分の位相および振幅の変化とその楕円運動を発生する重合せについてここで説明する(斜角について類似の結果を導くことができる)。位相と振幅を修正することにより、モータアセンブリ20の本出願に有用な楕円のいくつかの特性をよく理解できるであろう。これらの特性には、選択された接触部分44が好ましくは辿る経路である楕円の短半軸と長半軸の向きと長さが含まれる。他の関連する特性としては、さらに、接触部分44の速度と相関する楕円を横断する速度および被駆動素子42が動く際の速度が考えられる。この設計には、圧電モータアセンブリ20内のいくつかの寸法許容差に合わせる楕円の半軸の方向を必要とする場合がある。この設計ではさらに、楕円100の半軸の長さがいくつかの定義済み限界を超えないことも必要になる場合がある。さらに、楕円100の半軸の比は、運動が大きくなるように、または高速な運動になるように選択すると有利であり、軸の比は5:1とすると有利であり、10:1だと好ましく、10〜50:1とすると理想的である。
【0252】
図43を参照すると、楕円100はとりわけ図1および図5に示されているように振動素子26の接触部分44の潜在的運動を表す。楕円100は、運動の2つの成分により発生し、第1の成分はEx方向(図1の被駆動素子42の長軸45に沿った運動に対応する)で作用する。運動の第2の成分は、Ey方向に作用し、これはEx方向に垂直である。運動の2つの成分Ex、Eyは、モータアセンブリ20の選択された接触部分44で発生する。運動の成分を発生するのに使用されるメカニズムは、以下の開示に影響を与えない。楕円100の局所的な長軸および短軸ex、eyもそれぞれ示されている。
【0253】
例示のため、運動の第1の成分と第2の成分Ex、Eyは、振幅AとBを持つ正弦波であり、それぞれ位相差がφ=π/2+Δφ[rad]であると仮定する。ただし、他の波形も使用できる。図1に示されているような共振器24の縁に配置されている選択された接触部分44の位置ベクトルrは、時間の関数として、以下の式で表される。
【0254】
r=Acos(ωt+φ)Ex+Bsin(ωt)Ey
この式の中のωは、発振の周波数である。図44は、A=1、B=0.5、ω=1、およびφ=π/6[rad]の運動の部分的成分の一例を示している。図43の楕円100は、|Δφ|<90°では反時計回りに横断し、90°<|Δφ|<270°では時計回りに横断する。
【0255】
次に長半軸と短半軸の長さ2aおよび2bを以下の式からそれぞれ計算する。
【0256】
【数1】
Figure 0004943618
【0257】
図45は、b/BがΔφおよび比B/Aにどのように依存しているかを示している。図46は、a/Aの依存性を示している。b/Bの依存性はB/A<=0.3の比については実質的に変化しないことに注意することが重要である。
|Δφ|<50°およびB/A<=0.3に対するこの依存性の、よい近似は次の関数で与えられる。
【0258】
【数2】
Figure 0004943618
【0259】
向き角度α(図43)は、値atan(B/A)を超えることができない(図47を参照)。設計規則として、B/A<0.5について以下の式がある。
【0260】
【数3】
Figure 0004943618
【0261】
十分に小さな比B/Aについては角度αを以下の式で近似できる(図48を参照)。
【0262】
【数4】
Figure 0004943618
【0263】
以下の例は、前の材料の使用例である。B/A=0.3と仮定する。図47から、atan(B/A)≒15であることがわかる。次に図48から、Δφ=45°についてα≒0.8*15°=12°が成り立つ。図45〜46は、b/B≒0.7およびa/A≒1.025であることを示している。
【0264】
この情報は、楕円100のさまざまな特性を保存するまたはそのような特性が得られるような方法でA、B、およびΔφをいっしょに変更する方法を例示している。前の例では、変更を加えて、振動素子26の長軸25間の傾斜角度α(図1)が12°に近い値になるようにし、被駆動素子42の平行移動を大きくとることができる。また変更を加えて、楕円100(図1、図43)の短軸の長さである2bが所与の値よりも大きいままで、被駆動素子42の不要な動きを避けるだけでなく被駆動素子42の許容できない摩耗も十分避けられるように、振動素子26により、選択された接触部分44が被駆動素子42からはずれるようにすることもできる。比較的広いパラメータ範囲にわたって、本発明の被駆動素子42を動かすのに特に有用な所望の楕円100が得られる。上の例では、被駆動素子42は、Ex方向に12°の角度で配向するのが好ましい。しかし、当業者には、最適な角度が一般にこの値に制限されることはないことは明白であろう。
【0265】
図1、43、および図49〜51を参照すると、軸の位置が振動素子26の長軸25と合わされている座標系から選択された駆動部分44の楕円運動に対応する座標系への座標変換の影響を考慮すると有利である。これは、周波数応答曲線(frequency response curves)、したがってモータアセンブリ20の性能および設計に対する影響が有用なものであることを示す場合がある。図43は、軸ExおよびEyにより定められたモータ座標系を示しており、Ex軸は被駆動素子42(図1)の長軸45に対応する。楕円100は、図1の振動素子26上の選択された駆動部分44の第1と第2の運動成分により発生すると考えられる。楕円100の局所的な軸は、軸exとeyで表される。
【0266】
たとえば、運動の第1の成分がEx方向にあり、選択された周波数の近傍で一定の増幅係数g1(s)=Aで近似できる伝達関数(transfer function)を持つと仮定する。運動の第2の成分がEy方向にあり、選択された周波数の近傍でラプラス変換
【0267】
【数5】
Figure 0004943618
【0268】
で与えられる二次の共振器により近似できる伝達関数を持つ。
【0269】
ここで、ω0は(減衰していない)共振周波数で、eは機械システム、つまりこの場合のモータアセンブリ20での減衰から固有に発生する無次元の減衰パラメータである。
【0270】
1(s)とg2(s)の重合せにより、伝達関数G1(s)およびG2(s)がそれぞれexおよびey方向に得られる。例示のため、A=1かつω0=1となる例を取り上げる。図49〜51は、k=0.01およびα=25°についてのG1(s)およびG2(s)を示している。パラメータeは、図49〜50〜51へと増大する。これら2つの信号を組み合わせると、G1(s)とG2(s)との位相差Δφが間欠的変化を受け、この変化はシステムの減衰が増大するとともに丸められる挙動が生じる。この効果により、相対的位相差が0〜180°の範囲となり有用な楕円形状の運動を生じる共振周波数を見つけやすいような拡大された周波数範囲が得られる。この周波数範囲は、単純な二次発振器の伝達関数で得られる範囲よりもかなり広い。このような特に広がっている位相範囲を、他の設計態様とともに使用すると、選択された駆動周波数が変化したときに得られる楕円100の形状と向きを選択しやすくなる。
【0271】
上の座標変換の影響は、G1(s)とG2(s)を高次のより現実的な伝達関数で置き換えると圧電モータアセンブリ20から発生するため高まる。このような伝達関数により、いっそう広い周波数範囲において0〜180°で変動するG1(s)とG2(s)との間の相対的位相シフトΔφが得られ、モータアセンブリ20が製作許容差、材料特性、温度変化、その他の製造要因および基準に依存する度合いがますます低くなる。
【0272】
縦方向の運動と横方向の運動の間のこのような位相シフトを使用して所望の楕円運動を得る。3°〜177°の位相シフトは、選択された接触部分44で有用な運動を得るのに十分適していると考えられる。位相シフトが90°だと、振幅が等しい場合円運動になる。この位相シフトにより、選択された接触部分44が非円運動をし、楕円運動の長軸に沿って大きく動くのが好ましいが、任意選択である。
【0273】
x軸の下の楕円100の部分は、駆動部分44と被駆動素子42との係合を反映するものと考えられる。楕円100の形状を変えることで(つまり、exおよびeyに沿って測定した2a、2b)、係合の持続時間を変化させ、ある程度その係合の圧力を変化させることができる。さらに、楕円100の向きを変えることにより(つまり、被駆動素子の軸45と楕円の長軸との間の傾斜角度α)、係合の持続時間を変えることができる。傾斜角度αがex軸とEx軸との位置合せに近づくと、駆動部分44と被駆動素子42との接触の持続時間が増える。
【0274】
実用上の理由から、被駆動素子42の長軸は多くの場合、2つの軸Exとexの間に置くことがある。しかし、さらに重要な態様では、これらの式は、圧電物質22の励振周波数が変化したときに選択された駆動部分44の振幅と位相(つまり、楕円100)が変化することを示している。これは、楕円100の振幅と向きを変え、したがって、被駆動素子42を駆動する運動の特性を変化させることができることを示している。さらに、これらの式は、振幅および周波数の広い範囲にわたってこのような変化をもたらし、以前には利用できなかった圧電物質22の機能設計特性の柔軟性をもたらすことができることを反映している。さらに、これらの式は、製作許容差を圧電ドライブを使用した既存のモータの多くのものと比べて小さくでき、かつ潜在的に著しく小さくできる十分な範囲で係合の基準を変えることができることを反映している。
【0275】
従来、このようなさまざまな製造基準は正確であったため、圧電振動素子26の製造コストが高くなり、モータの動作範囲および基準は狭いものであった。そこで、基準を緩和すれば、広い範囲の動作パラメータを使用できるようにしながら、モータ製作時のコスト低減を大幅に進めることができる。
【0276】
被駆動素子42の運動の方向は、被駆動素子42の相対的向きと、楕円経路100を周回するときの選択された接触部分44の方向に依存する。振動素子26の異なる点は、異なる振動形状を示す場合がある。通常、楕円経路100を周回する時計回りおよび反時計回りの運動が発生する領域は、振動素子26の長さに沿って交互に切り替わる。棒形の振動素子26の駆動方向は、通常、振動素子を長軸25を中心に180°回転させることで反転できる。
【0277】
接触点44の運動の形は、本発明にとって重要である。この形状では、駆動力はある方向が他の方向よりも勝っていなければならない。これは通常、被駆動素子42が動いた方向に選択された接触部分44が動いている間に接触圧力を増大させることにより実現される。接触部分44が反対方向に動くと、接触圧力は小さくなるか、または接触部分44と被駆動素子42との接触がいっそう緩いものとなる。1つの重要な態様として、適切な運動を発生させる方法がある。
【0278】
機械のノイズや不要な振動があるため、その形または楕円は必ずしも理想的な理論的経路を辿るわけではない。したがって、選択された接触部分44はときに、望ましくない運動、たとえば8の字形の運動を生じることがある。しかしながら、これらの運動は振動素子26では恒常的に出現することがある。しかし、これらは被駆動素子42を駆動するのには使用していない。これは、接触部分44の3次元振動形状の説明において明確になる。
【0279】
この説明では、振動の2次元形状のみ取り上げる。実際、接触部分44は3次元では幾分小さい運動をし、その方向は、軸25に沿った駆動力の方向および振動素子26と被駆動素子42との間の軸45にほぼ沿っている接触力の方向の両方に垂直である。これらの振動もまた、高い周波数成分を含むことがある。そのため、接触部分44の運動は、いくつかの平面内に射影された場合に8の字型運動のように見えることがある。この8の字型運動が認められても、被駆動素子42を駆動する振動素子26の動作には関係がなく、単に未使用の運動の副作用にすぎない。
【0280】
性能最適化のため楕円運動100の長軸は被駆動素子42が動く方向と完全に揃うようにするのが理想的である。方向が完全に揃うことは、いろいろな理由から困難であり、たとえば、製作許容差や性能の変動がある。さらに、楕円経路100であっても完全には楕円でなく、時間とともに変化することがある。たとえば、電圧、電流の変化、停電、または変動、時間による低下、電気的ノイズ、機械的ノイズ、電磁干渉は、楕円経路100の形状および滑らかさに影響を及ぼす。そこで、製造コストおよび組立コストを低減し、環境変動やシステム使用中に発生するその他の変化に対応できるシステムを生産するために実用的変動範囲に適応できるシステムを構成することが望ましい。このような変動があるため、0〜5°程度の整列は揃っているとみなすが、ほとんどの場合、完全な整列からずれていてもここで開示しているシステムの性能には実質的に影響を及ぼさないというのがその理由の一端である。
【0281】
振動素子26は、選択された接触部分44の動きの進行波に依存しない。しかし、材料内に存在する力学的な波もそこを通って進行する。本発明では、このような波は振動素子26の一部で反射され、最初の波と重なり合う他の進行波が生じる。したがって、定常波が生じ、場合によっては、この定常波を選択された接触部分44とともに使用できる。いくつかの従来技術のモータでは、定常波でない、むしろ、進行波とともに動くまたは進行波によって動かされる駆動される物体とともに進行する波を必要とする。この進行波は、定常波と異なる。
【0282】
[実用上の設計態様]:
接触部分44は、駆動される物体を動かすために駆動される物体42と接触する振動素子26の点である。この接触部分は、通常、共振器26の一部であり、共振器の遠位端36上にあるのが好ましい。重い被駆動素子42を動かすことができるモータアセンブリ20の出力およびモータアセンブリ20の効率は、接触部分44の周期的運動と、接触部分44および被駆動素子42の間の力との関数になっている。選択された接触部分44の空間的運動は、モータの複数の振動モードの重合せの結果である。これらのモードはすべて圧電素子22により発生する同じ周波数で励起されて、振幅および相対的位相を変化させる。接触部分44の所望の運動に対するこれらの寄与と接触部分44によって加えられる力は、相対的大きさと、これらの複数の振動モードの各々の相対的位相角との関数になっている。さらにこれらの振動モードは、モータの幾何学的形状、構成関係式(constitutive relations)、および材料特性の関数となっている。
【0283】
モータアセンブリ20の性能を高めるために、以下のガイドラインに従うとよい。モータアセンブリ20の性能を最適なものとするために以下のガイドラインをすべて選択された接触部分44において同時に満たしているのが好ましいが、できあがったモータが満足な性能を有する有する場合はこれらのガイドラインの1つまたは複数について妥協してもよい。
【0284】
選択された接触部分44の運動は、それぞれ長さaおよびbの長軸および短軸を持つ楕円である。ここで使用しているように、また特に断りのない限り、楕円運動または楕円といった場合、長軸と短軸が等しい楕円、つまり円も含む。また楕円運動または楕円に言及した場合、長軸または短軸のいずれかが他方の軸に比べて短い楕円を意味し、直線に近いような引き延ばされた楕円も含む。
【0285】
楕円の長軸は、被駆動素子42の駆動方向と位置が揃っているのが好ましい。長軸と短軸の長さaおよびbは両方とも所望の用途にかなった十分な大きさであり、選択された用途に最適な性能を十分発揮できる大きさであるのが好ましい。一般に好ましい楕円形状では、速くするために短軸「b」に比べて長い長軸「a」を持ち、次に説明するように楕円の戻り部分で被駆動部材42から接触部分44の係合をはずすのに十分な短軸「a」を有する有する。上述のように、3:1〜150:1、あるいはそれ以上の比を使用できると思われるが、この比が高いと、運動の直線性が増し、被駆動素子での衝撃運動が大きくなる。
【0286】
被駆動素子42上の接触面の法線方向にある選択された接触部分44での力は、接触部分44が駆動方向に動いたときに大きく、接触部分44がそれと反対方向に動いたときに小さく(または0に)なる。力が0の場合、接触部分44は駆動される物体42との接触を失っている。この接触を失うケースでは、振動素子の後方への運動26の先端は非常に効率よいが、モータアセンブリ20はさらにその期間にトラクションを失う。このトラクション喪失は、モータの効率および強度を評価する際に考慮する必要がある。接触部分44が駆動方向の反対に動くときに法線力が大きすぎると、被駆動素子は駆動方向に適切に搬送されない場合があり、性能が失われる。
【0287】
さらに、選択された接触部分44と被駆動素子42との間の法線接触力は、接触部分44と駆動される物体42との間の摩擦力の測定基準である。法線力が大きいほど、モータアセンブリ20のスラストは強くなる。しかし、数千サイクルの楕円経路進行から繰り返し接触することで生じる摩耗も考慮する必要がある。接触部分44の接触面積が広いほど、接触部分44と係合する被駆動素子42の表面に発生する瑕疵を許容できるという利点がある。
【0288】
これまでに開示した実施形態では、選択した接触部分44は多くの場合、振動素子26の遠位端36の一方の縁に配置されるように示されているが、所望の楕円運動がその場所で容易に発生させられるというのが一部理由となっている。さらに、このような縁の位置であれば、接触面積を狭め、摩擦係合を適切なものにできる。しかし、選択した接触部分を縁に配置する必要があるというわけでは必ずしもない。さらに、通常ある程度の材料摩耗により、縁が摩滅し、一定期間使用した後接触面44が平たくなる。このような摩耗は通常、モータアセンブリ20の動作または使用には影響しない。別のところで説明しているように、接触部分44はさらに、振動素子26上の他の場所に配置することもできる。たとえば、接触部分44は、図62のように振動素子26の側面に配置することもできる。選択された接触部分44は、点接触である必要はない。特定の用途では、選択された接触部分44のサイズおよび位置が影響を受ける。
【0289】
駆動方向にの接触部分44の変位と法線接触力は位相が同じでない。これら2つの数量を変位力図にプロットすると、楕円が描かれる。この楕円の長軸の変位軸に関する向きから、他の設計パラメータは得られる。この向きに応じて、最大接触力が先端の前進運動の前または後に発生する。ある意味で、これは、幾分鋸歯状の動きに似たものとして解釈できる。有用な運動は楕円経路100の一方の半楕円軸が、互いよりも5倍、10倍、またはそれ以上大きいとき発生するので、比較的小さな運動であっても半軸の1つに潜在的に使用できることがある。
【0290】
選択された接触部分44の運動は、モータアセンブリ20全体とそのコンポーネントの振動の結果である。選択した接触部分44の運動は、励起周波数がシステムの共振周波数に近く、また選択した接触部分44が大きな振幅の発生する場所にある場合に大きくなる。選択した接触部分44の運動を多方向にわたって大きくなるようにするには、選択した周波数範囲に複数の共振振動が集まるようにモータアセンブリ20を設計すると有利である。たとえば、曲げモードの自然周波数が縦モードのそれに近く、また励起周波数がこれらの曲げモードおよび縦モードを励起する周波数の間にある場合、選択した接触部分44の結果の運動は適度に大きな振幅を持つ。選択した接触部分44の運動が楕円となる性質は、それぞれの運動の位相差により生じる。この位相差は、システム内の減衰により一部発生する。これらの要因をさまざまに組み合わせて用いることで、接触部分44の所望の運動を引き起こし、電力、信頼性、摩耗などのモータアセンブリ20の他の基準を設定できる。
【0291】
共振周波数の絶対的位置および相対的位置、ならびにモータアセンブリ20の振動モードは、複数のパラメータの影響を受ける。次の要因は、モータアセンブリ20の許容可能な設計を構成する際に使用できる。
【0292】
低い振動モードは、一般に、高い振動モードよりも強いが、それは、低い振動モードは比較的小さな弾性エネルギーを保存し、さらに多くのエネルギーを選択した接触部分44を通じて物体42を駆動するために残すからである。
【0293】
周波数の図の振動素子26の縦共振の場所は、主に圧電物質22および共振器24の長さ、ならびに部品の材料特性の影響を受ける。最初の縦モードははるかに最も強く、したがって、使用するのが望ましいモードである。
【0294】
周波数の図における振動素子26の縦方向共振の位置はさらに、モータのサスペンション、つまり、バネの鋼鉄製支え50(図1)または振動素子26をハウジングに接続するその他のメカニズムの影響を受ける。バネ50などの支えの自然(共振)周波数を振動素子26の縦方向共振周波数に近づけると、縦方向周波数を互いに近い2つの周波数に分割する効果を生じる。モードの位相は、これらの共振領域内で0〜180度まで強く変動する。したがって、共振分割を使用して、モータの作業領域を広い周波数範囲に分散し、モータをより堅牢なものにすることができる。
【0295】
0度と180度以外の位相差は、減衰メカニズムにより生じる。この効果を広い周波数領域に広げるために、減衰層などの追加減衰素子を振動素子26に追加するか、またはモータアセンブリ20のさまざまな部分に追加できる。さらに、内部減衰は、圧電物質22と共振器24の材料特性および組立方法の影響を受ける。これらの要因はさらに、材料の履歴、つまり製造プロセスの影響を受けることがある。
【0296】
さらに、減衰がシステム材料に内在するのか、あるいは設計コンポーネントによって加えられるのかに関係なく、減衰を利用することにより、主共振モードを使用して二次振動モードを励起し、経路100に沿って選択された接触部分44の所望の楕円運動を発生する。楕円半軸は振幅の比が5、10またはそれ以上であり、減衰により励起される振動モードは主振動モードから生じる振幅1/5、1/10などの振幅を持つだけでよいことに注意されたい。減衰により振動モードを結合できるため、減衰を使用して、選択された接触部分の所望の楕円運動を引き起こすことができる。
【0297】
曲げ共振振動モードは主に、圧電物質22と共振器24の長さ、断面積、および形状の影響を受け、またさらに部品の材料特性の影響も受ける。低い共振振動モードは、高い共振振動モードよりも強い。共振縦振動モードの配置と分割のガイドラインは曲げモードにも通用する。
【0298】
剪断共振振動モードは、選択された接触部分44の縦方向運動に寄与する場合があるが、特に接触部分44が振動素子26の遠位端36および遠位端の縁に置かれている場合である。共振器24の断面の形状は、共振器24に関する圧電物質22の配置の場合のようにこれらの共振振動モードを左右する。さらにたとえば、図2を参照されたい。圧電物質22の長軸が共振器24の長軸から適宜ずらされている場合、遠位端36の縁は剪断共振を持ち、遠位端36の向かい合う縁は軸40を中心に旋回する。モータの中心線に近い材料を取り除くと、特にこの共振モードに強い影響を与えることがある。材料を中心線に沿って取り除いた一構成を図52に示し、これについては後述する。
【0299】
ねじれ共振振動モードを使用して、選択した接触部分44の選択された、好ましくは垂直の運動を支えることができるが、ただし、接触部分44が振動素子26の側面に近い場合である。ねじれ共振振動モードは、通常、他の振動モードに比べて大きさが小さいが、振動素子26の長さに沿ってさまざまな部分を使用することでさまざまな物体を駆動できる可能性がある。ねじれ共振振動モードは、図23、25、27、28、29、30、32などの実施形態の被駆動素子42を回転するのにも使用できる。またねじれ共振振動モードは、図38〜40の実施形態の被駆動素子42を平行移動するのにも使用できる。
【0300】
断面収縮から生じる共振振動モードは、図1に示されている棒状の被駆動素子42など、長くした被駆動素子の場合にはほとんどメリットはない。断面収縮で見られる周波数は、高すぎて、振幅を容易に使用することはできない。断面収縮は、ポアソン効果に支配されている。この効果は、圧電素子22または共振器24モータの縦の歪みが最も高い場合、つまり応力が最も高い場合に最も強い。したがって、断面収縮は、圧電素子22が共振器に接続されている場合、またはフレームで圧電素子と大きい力が働いているその接続部を保持している場合に大きい。この収縮により、共振器24の薄い側壁29(図1)の曲げ振動が駆動できる。側壁29の曲げ共振振動モードが振動素子26の縦振動モードに同調すると、自然振動周波数のさらに別の分割が発生することができ、上述と同様の利点がある。
【0301】
圧電素子22は、取り付けられている共振器24内に主に縦方向の力を発生させる。振動素子26からのこれらの縦方向の力を結合して長軸25と別の方向にすると、曲げ、剪断、ねじりなど、振動素子26内に他のいくつかの振動モードが生じる可能性がある。縦運動と振動素子26内の他の振動運動との結合の強さにより、振動素子26のさまざまなモードの相対的振幅が決定され、したがって、選択された接触部分44の運動に対するその相対的寄与を決定できる。結合は、振動素子26のコンポーネント、主に圧電素子22および共振器24内の材料特性、幾何学的形状面の不完全さ、および非対称性により発生する。
【0302】
これらの結合の効果の一部は、たいていの場合、あまりよく定義されず、分析が困難であり、また測定や設計も難しい。したがって、きちんと定義されたメカニズムが好ましい。これらのメカニズムは、長軸25の中心から外れたところに、または振動素子26の長軸25に対しある角度で圧電素子22を取り付けることや、バネ50または類似の素子などの振動素子26に柔軟な取付具を使用することを含む。バネ50の場合、振動素子26の縦方向運動により、バネ50の曲げが発生する。振動素子26に固定されたバネの端50bを力ずくで曲げるか、または場合によってはねじる。この曲げまたはねじりで、曲げモーメントが振動素子26内に発生する。バネ40の構成を使用して、たとえば、曲がり、縁、および類似の修正を平坦な金属バネに加えることにより振動モードを変化させることができる。さらに、設計に役立つ場合、指定した位置でバネ50の柔軟性を大きくし、柔軟な部分を中心とする回転の軸を適切に定義することができる。圧電素子22を選択または構成または励起して純粋な縦運動以外の運動を行うようにした場合、振動素子26内の振動モードを結合することができる。
【0303】
振動素子26とモータ22を構成する際にいくつかの追加要因を考慮するのが好ましい。これらの要因には、何にも接触していない場合に選択した接触部分44が動く楕円100の向き、被駆動素子42と接触している場合に接触部分44の力変位楕円の向き、および被駆動素子42と接触している場合に選択した接触部分44で発生する機械力の推定値がある。
−方向の反転−
第1の周波数で一方向に駆動される物体42を搬送するという振動素子26の動作の原理が知られている場合、第2の周波数で同じ動作原理を使用して駆動される物体を反対方向に搬送することが望ましい。このような設計は、楕円運動を使用して動作する振動素子に有用なだけでなく、他の原理で動作する振動素子にも有用である。第1の周波数で接触部分44の搬送運動を発生する振動素子26の振動モードは必ずしも、第2の周波数で搬送運動を発生するものと同じでないし、また必ずしも同じ種類でもない。
【0304】
振動素子26が適切に設計されているとすると、単方向の動きに必要な同じ機械コンポーネントを使用して2つの異なる動作周波数で双方向の動きを行うことができるということは、このような多方向設計の利点である。特に、単一振動源20、たとえば、圧電素子で十分である。
【0305】
多方向設計の実現は、振動素子26の軸25が被駆動素子42の搬送の方向に対して斜めの場合に単純になる。さらに、多くの場合、いずれかの動作周波数での接触部分44の運動の形状は、搬送の最大の力または速度を得るのに最適とはいえない場合があり、適当な双方向性能を達成するための妥協に過ぎない。さらに、振動素子が一方向に搬送する周波数範囲は必ずしも、他の方向に搬送する周波数範囲と同じ広さではない。テストしたところ、被駆動素子を反対方向に動かしまたは搬送するのに第1の周波数で5kHzの周波数範囲、第2の周波数で少なくとも300Hzが可能であることがわかった。
−図で例示した設計−
振動素子22の性能を高めるために圧電素子22を保持している共振器24の設計に対するさまざまな修正が可能である。可能なものとして以下の実施態様がある。以下の実施形態の組合せおよび従来の実施形態の組合せも可能である。圧電素子22を留める方法とさまざまな取付方法のすべての組合せも可能と思われる。
【0306】
図52〜55は、溝112が空洞28の隣から遠位端36の隣へ延び、共振器を通り長軸25の方向に沿って延びる、共振器24を有する有する振動素子26を示している。溝112は、端が丸く、側面が平行であるのが好ましい。しかし、溝は端が矩形であってもよい。図54に示されているように、幅広の溝に比較して長くて幅が狭い溝112を使用する方法には利点がある。溝112が狭いと、ビーム114は寸法を大きくとれるため、製作許容差は結果の振動に対しあまり影響しないことになる。溝112が広いと、壁114は通常、寸法が小さくなるため、製作の誤差が振動性能に及ぼす影響が大きくなる。
【0307】
溝112は、開口28のように共振器24の同じ表面に対し開いているのが好ましい。しかし、必ずしも必要なことではないので、望んでいる振動モードおよび構成に応じて溝が共振器24の他の表面に開いていてもよい。図55は、開口28の向きから180°回転した横方向の表面に開いている溝112を示している。特に共振器24が円柱状物体形状の場合にさまざまな角度方向が可能である。溝112は、2つのビームセグメント114a、114bを有する有する共振器を溝の向かい合う側面に作り、各々共振器24の一部を形成する。
【0308】
図52〜54で、近い振動モードおよび周波数を持つおおよそ等しい寸法の側面ビーム114を製作するために溝112は比較的対称的に配置されているように示されている。しかし、溝112は図55に反映されているように対称的に配置されている必要はなく、また寸法が非常に異なり共振周波数が異なるビーム114a、114bができるように配置できる。さらに、複数の溝112を使用できる。
【0309】
したがって、共振器24内の溝112は、共振器内に数多くのビームを作成でき、しかも、各ビームは固有振動数で振動し、まさしくその理由により選択されている。固有振動数が高いと、共振器24内の振動の位相シフトの数が増える。固有振動数が非常に近いほとんど同一の2つのビーム114a、114bを用意することで、高い振幅を持つ広い周波数範囲を得ることもできる。
【0310】
溝112はさらに、共振器の質量分布、共振器の曲がり、および共振器24の剪断剛性も変える。これらの変化は各々、共振器24および振動素子26の共振周波数および共振振動モードに影響を及ぼす。これにより、製作許容差を低くしながら広い範囲の周波数で振動素子26の必要な振動モードを励起できる柔軟な設計を行える。
【0311】
図53では、圧電素子22の開口28は、圧電素子22に隣接する部分の上の端が平坦ではなく丸くなっている。圧電素子の断面が正方形または矩形の場合に、圧電素子22と開口28の端との間の接触領域は2本のラインを含む。これにより、接触がより明確なものとなる。開口28が圧電素子22に隣接する壁で形成される場合、その壁は通常、完全には平坦でなく、また完全には長軸25に直交していない。さらに、圧電素子22の端は完全には平坦でなく、また完全には中心線(たとえば、長軸25)に直交していない。そこで、圧電素子22の端が開口28を定める壁(たとえば、端壁31)に隣接する場合、圧電物質がその中心線に沿って圧縮されず、その結果圧電物質がオフセット軸またはスキュー軸に沿って圧縮されるようにすることが可能である。オフセット軸またはスキュー軸により、振動モードが変化する場合がある。この接触位置を解決する他の方法を図9〜16について説明する。
【0312】
図56は、2つの溝が圧電素子122に沿って開口28の各側面にある実施形態を示している。溝112は、開口28内に開いており、「H」の中心に取り付けられた圧電素子122で「H」形状の構成を形成する。この構成を使用すると、圧電素子122を共振器24に圧入するのが容易になるが、それはネッキングが開始する前に側壁29を大きく変形できるからである。
【0313】
図57は、開口28が中心に配置された溝112によって定められる一方の脚114内に形成され、脚114aがその長さの一部分についてさらに脚114cに分割される実施形態を示している。このような構成は、選択した接触部分44の運動に剪断力に関して大きく寄与する可能性があり、これは脚114aの軸に沿って位置を合わせているものとして示されている。脚114b上の異なる選択された接触部分44bを使用して、脚114aの駆動モードをアクティブにするために使用されているのと異なる周波数で異なる素子を駆動することもできる。脚114上の第3の潜在的接触部分44cは、アクティブにされたときにさらに別の被駆動素子に対しさらに別の周波数を表すことができる。これは、もう1つの図であって、選択された接触部分44は必ずしも、振動素子26上の同じ位置にある必要はないが、ただし振動素子26の個数、構成、および配置、ならびに被駆動素子のモータアセンブリ20の構成など、さまざまな要因に依存する。
【0314】
図58は、共振器24で穴116を有する有する実施形態を示している。穴は、振動素子26の長軸25に沿って延びているように示されているが、軸はずれ、またはその軸25に対して斜めに配置することができる。穴116は、遠位端36上に開いているように示されているが、共振器26のどの表面にでも形成できる。穴116は、円柱状が好ましく、精密許容差で穴を開けた結果をこのような穴で安価に維持できる。しかし、他の形状も使用することができ、ドリル穴は、さまざまな断面形状となるように開けることができる。穴116の直径は、望む効果により異なり、材料が取り除かれるため穴によって質量分布が変化し、また穴を形成した後残っている材料の剛性も変化する。
【0315】
図59は、大きな質量が、圧電素子122の背後にあり、圧電素子122と遠位端36の反対側にある共振器24の近位端35との間に配置されている実施形態を示している。この余分な質量により、振動素子26の遠位端36の振動が高まり、選択した接触部分44が遠位端36にあるときに有用である。
【0316】
図60は、複数の側壁29がある実施形態を示している。堅い側壁29を圧電素子22の隣に置くだけでなく、さらに複雑な側壁構成を用意することも可能である。
【0317】
図61は、圧電物質が実質的にフレームに封じ込まれ囲まれている他の実施形態を示している。この構成は、バッテリをフラッシュライトに挿入する作業に似通っている。開口28は、端が閉じた穴を持ち、穴の端120は穴を開けるのに使用したドリルに応じて円錐形状または平坦な形状である。キャップ122は、穴28の端の対応するねじ山と係合し、穴の中に置かれた圧電素子22を圧縮する。キャップ122は、圧電素子22の隣接する端上でキャップ34と隣接する湾曲した端124を備え、点接触を発生するように示されている。1つまたは複数の小さな穴126を、開口28を定める側壁29内に形成し、電線30を圧電素子22に接続できるようにするのが好ましい。しかし、電気接続に他の方法を考案することもできる。底部120が平坦な場合に圧電素子22が隣接する端120で面接触を形成し、圧電物質または保護キャップ34(図に示されていない)の断面が正方形の場合に4点接触を形成し、圧電物質または保護キャップ34(図に示されていない)の断面が丸形の場合に線接触を形成する。
【0318】
共振器24は、機械加工するか、または非鉄金属、好ましくはアルミニウムで鋳造するのが好ましい。共振器は、適切な材料を焼結したものでもよい。さらに、共振器は2つの別々のセクションを適切な接着剤で圧電素子22の向かい合う側面に結合したものを有する有することもできる。さらに、共振器24は、適当なセラミック材料で形成することもできる。焼結したセラミック材料で形成した場合、共振器は共振器24の焼結中に圧電物質に直接焼結することもできる。
【0319】
被駆動素子のサスペンション:被駆動素子42は、振動素子26に関して動き、所望の荷重を支えるか、または動けるように吊すのが好ましい。通常、荷重は、荷重、たとえば、リニアモータアセンブリ20でハウジングに相互に出入りするCDトレイに接続されているグラスファイバの棒に対し被駆動素子42の一部を押し付けることで動かされる。しかし、状況によっては、被駆動素子42自体が所望の荷重である場合がある。被駆動素子42は、ベアリング上に吊すこともできる。あまりコストがかからない方法では、小さなホイール上の被駆動素子を吊し、ブッシングをリニアベアリングとして使用する。ブッシングは、棒状の被駆動素子42で正常に動作すると思われる。ブッシングとガラスまたはグラフファイバの棒の間の低摩擦およびスティクション係数で、摩擦によるモータアセンブリ20の性能喪失が低減される。自己潤滑ベアリングがあると、さらに摩擦喪失を低減できるため望ましい。他の方法も可能である。ホイールやボールなどの他の駆動される物体も、車軸上に簡単に吊り下げられる。
【0320】
被駆動素子42が棒を有する有する場合、その棒が直線上を動けるように少なくとも4個のボール上に吊すこともできる。デルリンボールを使用したこのような取付けのスティクションは、4つのボールベアリングを使用した場合よりも小さいと考えられる。好ましくは、ボールを溝の中に走らせて、棒によってボールに加えられる半径方向負荷を伝達する必要がある。したがって、モータアセンブリ20を棒を平行移動する構成としたときに、棒に溝を切って被駆動素子42に縦方向溝を付けることができる。溝の向きは、棒または被駆動素子42の所望の動きに応じて変化する。さらに、溝の長さにより、棒の運動を制限することもできる。
【0321】
振動素子26によって駆動される板はさらに、少なくとも3つのボールで吊すことができる。これにより、板の運動の自由度を3とすることができる。他の方法も可能である。
【0322】
被駆動素子42は、振動素子26を取り付けるために上で説明した原理を用いて選択された接触部分44に弾力的に押し付ける方法で吊すことができる。弾力的な支えの1つを上の図6に関して説明する。
−電子装置−
入力信号のパワースペクトルが選択された接触部分44の所望の運動を行わせるのに十分な所望の駆動周波数でかなりの量の振動エネルギーを供給する限り、モータ26は圧電素子22に加えられたさまざまな異なる信号形状で機能するため、振動素子26の圧電素子22を駆動するのにいくつかのさまざまな電子回路を使用できる。これは、特別な波形、たとえば鋸波波形などを発生する専用の高価な電子回路を必要とする従来技術のモータに対し利点を持つ。ドライバ回路の具体例は図63〜66に示されている。
【0323】
図63は、好ましくはFairchild Semiconductor社から市販されているNDS8858Hハーフブリッジなどのハーフブリッジ152を使用するドライバ回路の例を示している。ディスクリートハーフブリッジもまた、適当なものであると考えられるが、サイズ面から好ましいとはいえない。指定周波数の矩形入力タイマー信号150を使用して、ハーフブリッジ集積回路152の入力を繰り返し切り替えることができる。このプロセスにより、圧電素子22を表すキャパシタ154に振動波形が発生する。ただし、ハーフブリッジ152を切り替えることができる必要なしきい値に到達する限り、信号150は矩形である必要はない。したがって、信号150は、マイクロコントローラまたはその他の適当な信号発生器、たとえば、National Semiconductor社が市販しているLM555タイマー回路により生成できる。入力タイマー信号150を使用して、ハーフブリッジ153の入力を切り替える。前記入力の1つがハーフブリッジの出力に接続されている期間は、入力信号150によって決定され、適宜選択できる。通常、供給電圧(VCC)がハーフブリッジの出力に接続されるサイクルは時間の約50%以下を占め、この回路および圧電素子22のエネルギー効率を最適化する。信号150がHighレベルの場合、ハーフブリッジ152内のnチャネルトランジスタ153aは導通し、キャパシタ154を放電する。この放電が終わった後、信号150はLowレベルに変化し、ハーフブリッジ内のpチャネルトランジスタ153bが代わりに導通し、キャパシタ154を充電する。このプロセスは、無限に繰り返すことができ、したがって、キャパシタ154は圧電素子22を表すので、圧電素子22、したがって振動素子26(図1)の振動運動を発生する。
【0324】
代替方法として、ドライバ回路内のトランジスタ153a、153bの1つをコンポーネント156、たとえば、抵抗器などの受動素子または定電流ダイオードなどの能動素子で置き換えることができる。このような代替実施形態は、図64に示されており、トランジスタ153bは抵抗器などのコンポーネント156で置き換えられている。
【0325】
具体的実施形態によれば、図63、64のドライバ回路には、たとえばマイクロコントローラの一部として、集積回路内に実装できるという利点がある。
【0326】
図65は、キャパシタ154(圧電素子22)、電磁気エネルギー蓄積デバイス、たとえば誘導コイル158や、並列に接続されたオプションの抵抗器156を有する有するスイッチング共振回路を使用する圧電素子22の他のドライバ回路を示している。共振回路を使用して圧電素子22を駆動する方法の利点の1つに、圧電素子22の動作に必要な高電圧を維持しながら供給電圧(VCC)をバッテリレベル(たとえば、3V)まで下げることができるという点があげられる。さらに、回路全体は、圧電素子22を表すキャパシタ154のほかに3つの電子部品のみで構成されている。
【0327】
図65では、入力信号150(図63のハーフブリッジドライバ回路ですでに説明しているものと似ている)を使用して、きちんと決定されている方法でトランジスタなどの制御素子153のオン、オフを切り替える。通常、トランジスタ153が導通状態になっているサイクルは、圧電素子22のエネルギー効率が最高になるように約50%以下に選択される。入力信号150がHighレベルのときに、トランジスタ153は導通し、コイル158を通る電流を増やしながらキャパシタ154の充電を反転する。コイル158内の電流は、キャパシタ154が完全に充電したときに最大に達する。その時点で、コイル158は最大量のエネルギーを電磁場に蓄積しており、これは入力信号150がLowレベルに設定されトランジスタ153がもはや導通状態でなくなった場合に好ましい。コイル158に蓄積されたエネルギーは、電流の流れを維持し、さらにこれは、キャパシタ154の充電を反転し、キャパシタ154間の電圧を高め、したがって、圧電素子22の電圧が高くなる。
【0328】
キャパシタ154がその充電を完全に反転したときに、回路調整が正しければ、コイル158内のエネルギーによりキャパシタ154間の電圧が供給電圧(VCC)を超えて高くなる。コイル158がそのエネルギーを放出すると、キャパシタ154間の電圧は最高に達し、キャパシタ154はシステムの電気エネルギー全体を蓄積する。次に、コイル158を流れる電流が反転し、さらにこれによりキャパシタの充電が反転する。この時点またはその後まもなく、サイクルを繰り返せるように入力信号150が再びHighレベルに切り替わった場合に好ましい。
【0329】
抵抗器156は、図65の回路の動作に必要ないが、キャパシタ154の波形を整形し、トランジスタ153を通る電流の高速スイッチングから発生する可能性のあるピーク電圧を遮断し、それにより潜在的電磁干渉とともに振動エネルギーが望ましくない周波数スペクトルに漏れるのを抑える方法を提供する。代替方法として、さらに抵抗器をインダクタ158と直列に接続することもできる。また別の代替方法として、誘導コイル158をキャパシタ154と直列に接続し、別のタイプの電気的共振回路を形成することも有用である。この回路の共振周波数をモータの動作周波数に十分近くなるように選択した場合、電力消費を比較的低く維持しながら圧電素子22での電圧を高くできる。前述のように、インダクタ158はさらに、キャパシタ154を接続しているのと同じワイヤでできているワイヤコイルとすると有利である。
【0330】
さらに、図79〜81を参照すると、たとえば、絶縁電線を振動素子26に巻き付けて図79に示されているように誘導コイルを形成することにより、コイル158、さらに抵抗器156さえも、直接振動素子26に一体化することも可能である。このような実施形態では、図80に示されているようにワイヤコイル158の2つの端を圧電素子への電気的リードとして同時に使用することができる。図30に示されているようにワイヤコイル158を共振器24に巻き付けるか、または図81に示されているように別にすることができる。これらの構成では誘導コイル158をキャパシタ154と並列に接続し、追加配線を節約できるが、コイル185は、減衰抵抗、ハーフブリッジ、または単一トランジスタありまたはなしで直列に接続することができる。
【0331】
さらに、誘導コイル158を、電気的共振器回路を形成するために使用する圧電素子22の近くに取り付けることができる。圧電素子22およびコイル158を物理的に近づけることで、部品の電気的接続部に固有の電気的抵抗を減らすことができ、また特に、モータを駆動するために使用される電流の大半はこの電気的共振器内で発振するため回路をより効果的にできる。その結果、コイル158および圧電素子22で構成される電気的共振器から出て信号発生ユニットにつながっている電線の直径を小さくし、また長さを長くして、電気的干渉を低く抑えることができる。
【0332】
信号発生器などの電気的信号発生源は、振動素子26およびさまざまな道たとえば1対の電線30を通る振動運動22の発生源に電気的に接続されている。駆動される物体42を第1の方向に動かすために、信号発生器は、主周波数が対応する動作周波数であるスペクトルを持つ電気的信号を出力する。代表的な使用可能な信号としては、純粋な正弦、三角、および矩形の波形があるがこれらに限られるわけではない。同様に、主周波数が第2のまたは第3の動作周波数であるスペクトルを持つ信号により、駆動される物体42は第2のまたは第3の方向に動く。
【0333】
ここで説明するさまざまな振動モータがさまざまな波形で高い信頼性により動作できるということは、正弦波以外の特別な波形、たとえば、鋸波波形で機能する必要があり、純粋な正弦波形では信頼できる機能をしない従来技術のモータに勝る利点となっている。したがって、圧電素子22に印加される信号の品質は、従来技術のモータに比べて低くてもよいため、信号発生器はその構造を単純にすることができ、その結果、モータシステム全体のコストを下げることができる。
【0334】
さらに、信号発生器によって発生したすべての電気信号を、振動素子26、特に圧電素子22にたとえば電線30で接続している同じ電気的接続部を通して伝達することが望ましい。すべての信号が同じ電気的接続部を通じて伝達される場合、さまざまな選択された接続を切り替えるユニットを必要としない。このため、さらに、従来技術のモータに比べて振動モータが簡素化される。さらに、一部の従来技術のデバイスでは、2つの電気信号の間で位相シフトを発生し、別々の電気的コネクタを通じて個別に信号を少なくとも1つの圧電素子に伝達するが、このより簡素化された電気的接続ではそのようなさらに複雑な設計を回避することができる。そのため、一部の従来技術のモータに比べてモータのコストを低減することができる。
【0335】
図79〜81に示されているように、圧電素子22は、開口28を形成する壁と係合する部分を越えて延びるサイズに設定できる。したがって、圧電素子22は、端壁31を越えて延びるように示されている。圧電素子の寸法がこのように変化することを利用して、キャパシタ154の値を変化させ、図65に示されている回路などの制御回路の性能を変えることができる。
【0336】
図65および図79〜81のドライバ回路の潜在的欠点の1つは、キャパシタ154間に出現する負の電圧によるものである。負の電圧は、有極電機部品である圧電素子22に損傷を与えることがある。圧電素子が負の電圧の影響を受けやすいという状況に対処するために、図66に関して説明しているような回路の修正を提示することができる。
【0337】
図66は、負の電圧により敏感であると考えられる圧電素子22とともに使用するのに適しているドライバ回路を示している。この回路では、第2の物理的キャパシタ154bを圧電素子22(キャパシタ154aで表されている)に追加され、または図に示されているように電気的に分割される複数の圧電層を持つ場合は、多層圧電素子22を2つのキャパシタ154aと154bで表すことができる。また、既存の抵抗器156aに加えて、回路にもう1つの抵抗器156bを入れる。抵抗器156とキャパシタ154に並列に、2つのダイオード160a、160bを追加する。
【0338】
ダイオード156aの向きにより、2つの抵抗器156a、156bの間のノードの電圧が供給電圧(VCC)以下に下がるのが防止される。そのため、キャパシタ154a間の電圧は、導通ダイオード間の標準的電圧降下よりもさらに負の方向に下がることはありえない(約0.5〜0.7ボルト)。このような小さい負の電圧は、ほとんどの圧電素子で維持できる。
【0339】
前と同じ方法で、入力信号150で回路を励起して共振させる場合、圧電素子22(キャパシタ154aで表されている)間の発振電圧の振幅は供給電圧(VCC)よりも大きくできるが、電圧は負になりえない。物理的キャパシタ154bについても同様のことがいえ、有極電気部品もそこで選択できる。さらに、圧電素子が複数の圧電層を持ち、2つのキャパシタ154aと154bで表されるように電気的に分割される場合、図66のドライバ回路は圧電素子を駆動するのに単一の制御信号150のみあればよく有利である。
【0340】
圧電素子22への電気入力信号の所与の電圧振幅について、圧電素子の電流消費は振動素子26のある共振周波数のすぐ下の励起周波数で急激に上昇し、そのような共振周波数のすぐ上で急激に降下することが観察されている。棒状の振動素子26では、これらの周波数は通常、縦方向モードに対応する。この電気的効果を利用すると、レーザ振動計などの専用測定機器を使用しなくても特定の振動モードを安価にまた素早く決定することができる。ある共振周波数のすぐ上で電流が急激に減少する現象を利用すると、モータアセンブリ20をこれらの周波数で作動させることができる場合に、振動ユニット26を駆動するのに必要な電力を低減することができる。また、電流の降下を自動的に検出し、その降下が発生した周波数を追跡するように電子回路を構成すると、フィードバックが得られるため有利である。このフィードバックを使用して、温度や湿度など変化する外部影響に最適な動作周波数を合わせることができる。また、この種のフィードバックを使用して、モータで動かさなければならない機械的負荷を検出することもできる。
−特別構成の圧電素子−
圧電素子22を共振器の開口28に圧入するいくつかの実施形態では、この開口28を定める壁は圧入プロセス時に弾力的にかつ/または塑性的に変形するため、大きな圧電素子22を受け入れ、プリロードを発生することができる。圧入時に圧電物質に剪断力が発生しないようにし、また圧電物質が破壊しないようにする方法の1つに、圧電物質の機械的接触面に金属層を追加する方法がある。しかし、この方法に対する時間と労力はコストを押し上げる。
【0341】
図67〜69は、凹み28に圧入する構成になっている特別形状の端170を持つ圧電素子22を示している。端170により追加金属層が不要になるため、コストが節約されるだけでなく、機械的接触面が少なくなり、したがって、性能が向上する。新しい圧電物質形状ではさらに、よりはっきりした接触領域を作ることができる。
【0342】
成形した端170は、少なくとも、圧電物質の縁に隣接する1つの平坦部172、好ましくは成形された端170の向かい合う縁の2つの平坦部172を持つ。この平坦部172の内側端は、傾斜またはテーパ174を結合し、圧電素子22が圧入される穴28を広げる役目を果たす。テーパ174により、平たい中央の接触領域176が結合される。
【0343】
成形された端170は、圧電素子22の2つの向かい合う端に配置すると有利であり、これは、開口28を定める壁に隣接し、圧電素子のプリロードを発生する端である。向かい合う端170上の平坦部172は、選択した距離だけ間を開けて並べられ、圧電素子22を変形していない開口28に挿入できるようになっている。そのため、圧電物質の位置を決めやすい。傾斜174により、圧電物質を開口28に圧入しやすくなっている。傾斜した表面174は、十分な長さと傾斜であり、圧電素子22に許容できないほどの損傷を与えることなく挿入できる。具体的な長さと傾斜角度は、用途ごとに異なる。中央の接触領域176により、開口28の最終的な寸法が定められ、プリロードが設定され、さらに、局所的な接触領域が設けられて、開口28が形成される共振器24との係合を駆動する際の領域が減る。したがって、係合と励起の接触領域および軸を見つ、係合を改善しやすい。端170の形状は、中心軸25を中心に対称的であるため、圧電物質を2方向から圧入できるが、そうする必要があるわけではない。
【0344】
圧電素子22は、圧電素子を製作する焼結プロセスの後グラインダにかけ、テーパ174および平坦部172の成形を行うことができる。代替方法として、圧電素子を形成するプレス処理時にテーパを付けることもできる。プレス処理は、通常、圧電物質作成シーケンスの積層処理の後に行う。この方法では、追加処理ステップは不要である。この方法はさらに、電極面がグラインドされその結果圧電効率が低下する危険性はないという点でグラインドに勝る利点を持つ。
【0345】
図69を参照すると、以下のプロセスはこの圧電素子を作成するのに適していると考えられるが、当業者であれば本開示により他の方法を考案することができる。積層装置は、下のダイスから開始し、第1の圧電層を上に置く。他のすべての層は通常のレイアッププロセスとまったく同様に続く。最後に、上のダイスが積み重ねられ、積重ね全体がプレスされる。このプレス処理中、圧電素子22に力が加えられダイスの形状を受け入れる。
【0346】
ダイス178は、図示されている表面輪郭を生じる構成の形状を持つ。そのためダイス178は、平坦部172、傾斜面174、および中心平坦部176を、これらの面がダイスで製造されるプレスされ焼結された圧電素子上に形成するように配置している。ダイス178の輪郭を必要に応じて修正し、圧電素子の形成時に発生する可能性のある収縮および変形に対応する。
【0347】
組み合わせた表面輪郭を、ダイスに配置される圧電素子22の数だけ繰り返す。電極180の相対的位置がダイスの位置に一致することが重要である。積層機械により、適切な位置合せを確実なものとすることができる。積み重ねられた素子はプレスされ、図67〜69に示されている圧電素子のグループを作成する。
【0348】
プレス処理に続いて、圧電素子は通常のように切断され処理される。切断時、安定と位置合せのためダイスを積重ねに付けたままにすると有利である。その結果が、前記利点を持つ圧電素子である。
【0349】
圧電物質が図67〜68に示されているように成形された場合、さらに利点がある。通常、電極180は、圧電素子22の各側にプリントされる。多層キャパシタを作るために通常使用される機械を使用した場合、電極180は部分的に隣接する側面の縁を覆い、ここではそれは、凹んだ平面172の上の電極の一部を含む。この表面172は変形せずに開口28に収まるようなサイズなので、追加された電極層のわずかな厚さは取付けに影響しない。しかし、電極層180が開口28を定める壁に対し圧入される圧電素子の通常の正方形の端壁にあった場合、圧電物質の縁は電極層を欠いている中心よりも大きくなり、圧入がさらに困難になる。したがって、図67〜68の圧電物質の形状により、よけいな電極材料を取り除く必要がなくなる。
【0350】
さらに、圧電物質の分極化によって生じる変形の原因となるように圧電素子を作成するダイスを形成することも可能である。分極した場合、平坦な接触領域176は外側にわずかにふくらみ、圧電素子22に対して凸形になる。この分極するふくらみを相殺するために、ダイス178を接触面176でわずかに凸になっている表面で形成し、得られる圧電素子22が接触面176でわずかに凹んだ表面を持つようにすると有利である。圧電素子22が分極した後、接触面176が平坦になるように曲率の大きさを選択する。曲率の大きさは、関連する圧電素子の特定の設計により異なる。
【0351】
図76は、潜在的な圧入挿入手順を示している。任意選択で、最初にテーパ付きプラグ182を開口28に挿入して、開口28の挿入縁を少し塑性的に変形し、開口の羽目合い縁の一部を広げるのが好ましい。図の実施形態では、端壁31は圧電素子22と係合し、圧電素子を圧縮状態にする。テーパの形成時に側壁29を伸ばしすぎ、破壊しないようにするために、端壁31の挿入縁を2段階のステップで個々に成形するか、またはフレーム全体を軸変形に対し強制できるようにする。
【0352】
プラグ182を取り外すときに、形成された端170を持つ圧電素子22の位置を開口28に揃える。平坦部172は、プラグ182によって作成される幅広の縁ありまたは縁なしで開口28に入ることができると好ましい。開口28を定める端壁31に形成された傾斜した縁は圧電素子22上の傾斜面174と合わさり、スライドさせて挿入する方法で開口28内の圧電素子の位置を決定することができる。テーパ付き端壁は便利であるが、圧入の実施には必要ない。しかし、望ましい場合は、共振器に非対称性を持ち込むという利点が加わる。側壁29が圧電素子22と係合し、圧縮力を印加するとすれば、傾斜面を側壁29に形成したり、または圧電素子22の対応する縁に形成したりできる。
【0353】
上の説明では、圧電素子22が複数の圧電層を含むと説明した。端170が特別な形状になっている単一圧電性結晶またはセラミックブロックを形成できるので、必ずしもそうである必要はない。
【0354】
図77は、圧電素子22を共振器24の開口28に圧入する他の有利な方法を示している。わかりやすくするため、所望、問題、そして解決策について簡単に説明する。
【0355】
振動モータ26の性能の反復性については、一貫したプリロードを圧電素子22に印加する必要がある。圧電素子22の寸法の変化に対応するために、同じプリロードを行いながら、側壁29を塑性変形することができる。応力歪み曲線の勾配は塑性領域では非常に小さく、圧電素子22の長さが変わったときのプリロードの変化は非常に小さい。このため、最も短い圧電素子22と最も大きい開口28、最も長い圧電素子22と最も小さい開口28との組合せにより、圧電素子に対し本質的に同じプリロードがかかる。
【0356】
しかし、圧電素子22を開口28に圧入すると、これは、摩擦力を受け、圧電素子に対し高い剪断力が発生する。圧電材料は脆いので、剪断力は圧電材料の隣接層を剥離する作用をする場合がある。剪断力が圧電物質に作用するのを防止するために、保護板34、84を追加して剪断力を受け止めることができる。これは、圧電素子22に対する応力を緩和するだけでなく、板34、84が圧電物質を開口28に誘導するときに圧入を助ける働きもする。
【0357】
振動モータ26のコストを軽減し、さらに圧電素子22と共振器24との間の機械的結合を改善するために、板34、84などの鋼鉄製保護層なしで圧電素子22を圧入するのが望ましい。以下のプロセスでは、圧入作業時に圧電物質に作用する力を一定の低レベルにまで下げて、圧入プロセスを制御しやすくし、したがって自動化しやすくするという方法をとっている。
【0358】
目標は、圧電物質を開口28に強制的に入れることでは側壁29の伸張のほとんどが行われず、他の機械でその伸張を行うようにすることである。この機械では、共振器24を図77に示されているような力Pで引っ張り、側壁29を引き延ばす。テーパ付き縁82を持つ圧電物質は、共振器24の開口28の上に据え付けられ、力Fで開口28に圧入されるが、この力は一定であるのが好ましく、また圧電物質が穴に独りでに押し込まれるほど強くはない。力Fは、さらに、圧電素子22に損傷が生じるほど強くもなく、特に圧電物質を剥離する剪断力を発生するほど強くもない。
【0359】
側壁29を伸張するある時点で、力Pを増やすことで、圧電物質22は力Fのもとで穴の中にスライドして入り始める。力Fを指定値に設定すると、圧電素子22と共振器24との間の剪断力は、その結果の法線力に摩擦係数を掛けた値に制限される。こうして得られた法線力は、所望のプリロード力から力Pを差し引いた値に等しい。
【0360】
圧電素子22が開口28へのスライドを開始したら、機械により側壁29の伸張を停止する必要があるが、それは、停止しないと、圧電物質にかかるその結果のプリロードが減少するからである。
【0361】
力Pを印加する牽引装置は、負荷制御または変位制御の2つの原理のうちの1つで制御することができる。負荷制御とは、印加された負荷を制御し、その結果の変位を測定することを意味している。変位制御は正反対であって、変位を制御し、結果の負荷を測定する。側壁29の引き延ばしすぎを防止するために、この用途には変位制御を使用するのが好ましい。
【0362】
たとえば、ねじメカニズムを使用するか、あるいは空気圧または油圧シリンダーを使用して牽引力Pを印加することができる。コイルなどの1つまたは複数のバネを使用して力を印加する方法を使用すると有利である。押す力Fを印加する場合も類似のメカニズムを使用できる。圧電素子が開口28内にスライドし始めたら、力Fはもはや一定である必要はない。このときに、力Fを大きくして、挿入プロセスをスピードアップすると有利である。
【0363】
側壁29は、開口28を通る長軸25に向かって、またはそこから離れる方向に、湾曲させることができる。側壁29が開口28を通る長軸25から離れるように湾曲する場合、反対向きの力を向かい合う側壁29に印加することにより、側壁31を力で引き離し、圧電素子22が開口28に挿入されるようにできる。湾曲している側壁29を互いに押し合う力を取り除いた後、圧電素子22は圧縮状態になる。湾曲した側壁29を押し付けて端壁31間のスペースを拡大する際に、側壁29はその弾性限界を超える応力が加えられ、ここで説明している利点が得られ有利である。
【0364】
同様に、側壁29が互いに向かって湾曲する場合、力を側壁に印加して押し離すことにより、端壁31を互いから離し、圧電素子22が開口28に挿入されるようにできる。湾曲している側壁29を互いから押し離す力を取り除いた後、圧電素子22は圧縮状態になる。湾曲した側壁29を押し離して端壁31間のスペースを拡大する際に、側壁29はその弾性限界を超える応力が加えられ、ここで説明している利点が得られ有利である。
【0365】
傾斜面82(または174、(図67〜69)を適用することにより圧電素子22にテーパを付ける代わりに、開口28の縁にテーパを付けることも可能である。また、両方の部品にテーパを付けることも可能である。圧電素子22も開口28もテーパがついていない場合、圧電素子22は圧電素子とが同じサイズである地点でスライドして中に入り始める。このため、位置合せの問題が生じ、側壁29の引き延ばしすぎを回避するために非常に正確な制御を必要とする。したがって、少なくとも1つの羽目合い部品にテーパを付けることが望ましい。
【0366】
ここで説明した圧入方法はさらに、他のすべての圧入にも適応させることができる。圧電素子22と共振器24またはフレームを有する振動モータ26を例として使用する。
−ステッパモータの近似−
図70を参照すると、振動素子26は、モータアセンブリ22の通常動作に使用される周波数と一致しない、したがって指定された方向に被駆動素子42を搬送しないが、被駆動素子42それ自体の振動モードをむしろ励起する、選択された励起周波数で動作することができる。これは図70に示されており、棒形の被駆動素子42の誘起されたモードはノード190を持つ。被駆動素子が図4に示されているような回転物体である場合も同様のノードが観察される。
【0367】
この状況では、接触部分44がノード190を中心とするように棒42がその位置をシフトする傾向がある。接触部分44にどのノードが最も近いかにより、棒42の前進運動または後退運動が生じる。したがって、被駆動素子42に沿って特定の位置を探すことにより、モータアセンブリ22はステッパモータのインクリメンタルな動きと配置の態様が得られる。ステップのサイズは、被駆動素子42内で励起されている特定の振動モードにより自然に決定され、励起されているモードとともに変化する。
【0368】
被駆動素子42の中心を既知のノード190とすることで、被駆動素子42を定義済みの位置に動かすことができる。このため、振動モータ26の通常動作時に累積する可能性のある位置決め誤差がなくなるので、これを使用すると、位置のフィードバックの必要なくモータの精度と反復性を高めることができる。この動作モードでは、被駆動素子42の実際の位置を所望のノード190までのある距離内とする必要があり、そのため共振振動により所望のノードに向けた動きを生じる。
【0369】
被駆動素子42のサスペンションは、被駆動素子42の自然な振動モードの周波数とノード位置に影響を及ぼす。したがって、被駆動素子42のステッピング動作のために、ノード190によって達成されるこのような配置活動を行うため適切な励起周波数を選択する際にサスペンションの影響を考慮する必要がある。逆に、サスペンションの設計は、特定の励起周波数が必要であるということの影響を受けることがあり、そのような周波数に対応するように設計することができる。したがって、駆動される物体の振動ノードを使用して駆動される物体を較正のため既知の位置に搬送する方法と装置が提示されている。
−位置の感知−
振動素子26に関する被駆動素子42の位置を正確に知ることが望ましい状況がある。図71を参照すると、説明されている実施態様では、圧電素子22からの振動または音響パルスの特徴的な進行持続時間を使用して被駆動素子の位置を監視する。振動素子26に関する被駆動素子42の位置は、機械的振動パルスが振動素子26から被駆動素子42内に進行し、またその逆に進行するのに要する時間を測定することにより決定することができる。振動パルスは、圧電素子22により振動素子26内に、あるいはソレノイド、バネ式衝撃メカニズム、またはその他の機械式もしくは電子式メカニズムなどのその他の何らかの発生メカニズム198により被駆動素子42内に発生できる。
【0370】
被駆動素子42の遠位端に隣接する被駆動素子上の既知の場所に取り付けられた受信装置196、たとえば、圧電セラミックマイクを使用して、圧電素子22から発生したパルスを感知できる。このパルスは選択した接触部分44で衝撃振動を発生させるのに十分なものである。代替方法として、圧電素子22を使用して発生器198で発生した振動パルスを感知できるが、その際に、機械的運動(たとえば、選択した接触部分44の)を電気信号に変換する圧電材料固有の能力を活用する。
【0371】
圧電素子22はすでに発生した振動パルスを感知することも可能である。これは、振動素子26と被駆動素子42を通るパルス進行が被駆動素子42の遠位端など被駆動素子42上のある場所で反射し、圧電素子22に戻ってそこで感知される必要がある。同様にして、反射により、センサ196は発生器198で発生したパルスを感知することが可能である。
【0372】
振動パルスは、そのパワースペクトルが被駆動素子42を動かす可能性のある周波数の有意な振動エネルギーを含まないように選択できる。代替方法として、振動パルスは、圧電素子22への動作入力信号に組み込むことができ、たとえば、短いポーズなどである。振動素子26と被駆動素子42の幾何学的形状および材料特性が知られており、また振動素子26の接触部分44の位置が知られているため、パルス発生から感知までの監視されている時間差は、圧電素子22と受信装置196または被駆動素子42の遠位端の間の距離を表すまたはその特性を示している。
【0373】
さまざまな位置感知を行う実施形態のうちいくつかでは、望ましくない振動が弱められるように位置感知前に圧電素子22を一時的に無効にすることが望ましい。その後で、指定信号を放射し、検出して、それから、振動素子26の動作が再開するようにできる。圧電素子22がアクチュエータとともにセンサとしても使用される場合、被駆動素子42を動かすだけでなく位置のフィードバックも行うのに単一の圧電素子だけあればよいというのがこれらの実施形態の利点である。
【0374】
圧電素子22または発生器198のいずれかで発生するパルスは、機械インピーダンスが急に変化する表面で反射される。これらの表面としては、振動素子26の向かい合う端と被駆動素子42の向かい合う端200がある。これらの反射は一部望ましくなく、マスクするか、または他の方法で位置決定パルスから区別できる必要がある。このための方法には、被駆動素子42の遠位端200bなどのある種の反射面を傾斜する、減衰する、または粗くすることにより望ましくない反射信号の品質を落とすことが含まれるが、これに限定するわけではない。本開示では、位置感知方法およびシステムで使用するために端から反射される信号を区別できるよう端200を交互にする他の方法を考案することができる。
【0375】
図72は、一体型ポテンショメータの動作方法に似た方法で駆動される物体の位置を監視するために、抵抗性の駆動される物体の特性抵抗を使用する抵抗位置測定方法を使用する異なる位置感知実施形態を示している。被駆動素子42の長さに沿って選択された接触部分の位置により、検出され、素子の相対位置を定めるために使用される抵抗が変化する。
【0376】
例示のため、被駆動素子42は円柱状の棒を有する。被駆動素子42は、電気的抵抗材料で製作するか、または電気的抵抗材料204で全部または一部コーティングした電気的絶縁材料で製作する。カーボンプラスチック材料がいずれの使用にも適当であると考えられる。振動素子26の選択された接触部分44と棒42の向かい合う端のいずれかとの間の電気的抵抗は棒42に関する接触部分44の位置に左右されるため、この位置は、棒42の向かい合う端の一方と振動素子26との間の導電度つまり電気的抵抗を測定することにより決定できる。
【0377】
電気的抵抗を測定するのに必要な電圧は小さい場合があり、振動素子26と被駆動素子42の遠位端との間に印加できる。しかし好ましくは、駆動される物体42の一端を正の供給電圧に接続し、他端を負の供給電圧に接続することである。振動素子26のところの電圧をたとえば電圧計204で測定することにより、正確な位置情報を取得できる。
【0378】
必要な電圧を直接、駆動される物体42の端200a、200bに印加する代わりに、この電圧を被駆動素子42を支えるホイールまたはベアリング46に印加することもできるが、ただし、ホイールまたはベアリング46は導電性材料から作られ、また互いにかつ振動素子26から電気的に絶縁されているものとする。このような実施形態では、ベアリング46と被駆動素子26の間の電気的接触抵抗を考慮する必要がある。
【0379】
説明されている実施形態で使用するために適当にコーティングした非導電性の駆動される物体42を、あらかじめ導電性塗料に浸して乾かしてある十分に厚いプラスチック板から切り出すことができる。これにより、板の外面に導電層が形成される。この板をさらに、いくつかの細長い板に切り取り、導電層を持たない2つの向かい合う縁を作る。したがって、板の縁から形成した細長い板または棒を除いて、有利なことに、切断プロセスにより、非導電性プラスチックが駆動される物体(細長い板または棒)の伸ばされた側に露出し、導電性塗料が長い抵抗器202を形成し、これが駆動される物体の長軸を巻いている。この実施形態は、さらに、被駆動素子の端200a、200bの一方から導電層を除去することにより修正できる。位置は、振動素子26と1つの接触点たとえばベアリング46aまたは46bとの間の抵抗を測定して決定できる。
【0380】
導電性の駆動される物体42はさらに、その適切な部分が最初に絶縁層でコーティングされ、その後電気的抵抗層でコーティングされている場合に位置感知実施形態でも使用できる。たとえば、絶縁層をベアリングに面する金属製棒状の駆動される物体42のその側に塗布することができる。この層の上に、電気的抵抗層202を塗布し、基盤の金属が棒42の端でのみ接触するようにする。位置依存の抵抗は、ベアリングと棒42の端の間に置く。
−その他のバリエーションと利点−
従来技術の圧電モータと比べて、このモータ26は、運動を発生するのに圧電素子22を1つだけと電気的励起を1回だけ必要とする。共振振動モードを使用して単一励起周波数による楕円運動100を発生するので、圧電素子22は他の双方向圧電モータの場合よりも小さくでき、またモータ26全体もさらに小さくできる。
【0381】
本発明は、被駆動素子42の直線運動を実現するために非常によく機能する。従来の解決方法では、モータをラックピニオン配置を駆動するギヤボックスで使用する。このモータアセンブリ20は、さらに単純な配置を備え、従来技術のモータに比べてより安価な配置となっている。選択した接触部分44は、摩擦により被駆動素子42と係合するため、被駆動素子が外力で押されモータが逆転する場合でもモータ20は損傷しない。対照的に、このような運動では、従来の電気モータからギヤがはぎ取られる。
【0382】
本発明は、特に低コスト用途に適している。設計が単純であるため、高精度の製造要件も付帯のコストも不要になる。低コストの製造方法と安価な圧電素子を使用できる。その引き替えとして、この設計は、他の圧電モータに比べてパワーが小さくまた効率も低い。しかし、使用可能な電力と低コストであることにより、本発明の実施形態は特に、おもちゃ、事務機器、およびホームオートメーションなどの多くの従来の市場に適している。振動モータ26の使用例を以下で説明する。しかし、このモータの著しい利点の1つは、そのサイズと単純さにあり、そのため低コストを実現できるのである。
【0383】
振動モータアセンブリ20は、サイズが.4×.4×.8インチ(1×1×2cm)と小さくでき、被駆動素子42を0.5〜10インチ/秒(1.3〜25cm/秒)の速度、0.1〜3Nの力で動かすことができると考えられる。回転駆動ユニットは、.6×.8×.8インチ(1.5×.2×2cm)と小さなサイズにできると考えられ、トルクおよびRPMは回転駆動される物体42の直径に依存する。振動モータアセンブリの電圧は、回路設計と必要な電力によって異なるが、電圧範囲は3V、6V、12V、24V、48V、110V、または220Vである。他のカスタム設定の電圧も使用できる。したがって、振動モータ26に使用できる動作電圧の範囲は広い。
【0384】
振動素子26のサイズは非常に小さくでき、素子は2×3×10mm3と小さくすることが可能と考えられる。振動モータ20のコストは、競合する電気モータの半分になると思われる。モータ26は、直線運動、回転運動、直線と回転の両方の運動、電源オフ時の力の阻止が可能である。これらのモータは、0.6ミリ秒とほとんど遅延なく始動停止し、ギヤがないため反動がなく、高速な運動を可能にしながら、しかもギヤを使わずに低速運動が可能になっている。超音波範囲で駆動されるため、音がしない。これらのモータは、潤滑油を必要とせず、有毒物質もまったく使用しない。非常に精度が高く、必要な場合にマイクロメータ範囲で動くことができる。電源オンの時間を制御することにより、さまざまな速度および距離を達成できる。磁場を発生せず、ブラシ放電もなく、誘導ピーク電圧もない。
【0385】
振動モータ26はCD−ROMドライブのトレイのアクチュエータとしての使用、スキャナではライトバーや回転素子の運動、プリンタおよびコピー機では、用紙の搬送および誘導に非常に適しているという利点がある。ホームオートメーションの用途では、この振動モータ26で空調素子、自動ブラインド、照明制御およびスイッチ、ダスト感知装置のダスト防止ドア、オートロック、または運動検出器内の素子を作動させることができる。振動モータ26は、さらに、遠隔操作カメラ、たとえばセキュリティカメラの位置決め、パン、チルト、ズームに使用できる。
【0386】
直接ガラスと係合し駆動できるため、振動モータ26を使用して家庭、小売店、劇場、画廊、美術館、ホテル、およびレストランのアクセント照明の位置と焦点を制御できるという利点が得られる。自動車用途では、振動モータ26を使用して、鏡、ヘッドライト、および空調の通気口の位置決めを行い、オートロックを作動させることができる。モータアセンブリ20のステッパに似た動作により、鏡の位置などの機械設定を、コンピュータの指示のもとで複数の運転者のそれぞれについて記憶し、取り出すことができる。
【0387】
位置決め可能なモータ20に関する位置情報を格納するコンピュータを組み合わせると、その位置を自動的に調整するセンサにさまざまな可能性が見つかる。このようなものとして、光センサ、このようなセンサ用のレンズクリーニングメカニズム、振動モータ26を使用して開閉する保護カバー、自動位置合せメカニズム、近接レーザ、および単純なモータで小さな部品を動かす必要のあるさまざまな製品の調整がある。
【0388】
振動モータ26は、特に、低コスト、小サイズ、および低ノイズであることが有利なおもちゃに有用である。人形には、モータ26によって動く手足と作動する瞼を有することができる。遠隔制御車両には、モータ26で制御するステアリングを有することができる。アニメーショントイブックも用意できる。鉄道モデルは、移動式のフォーク、クレーン、信号、鉄道ゲート、その他の作動コンポーネントを有することができる。さらに、振動モータ26は、適切な修正を加え、コーティングを行うことで水などの液体に耐久性があるようにでき、また複数の運動も可能である。出力が低いため、怪我の心配があまりない。また、圧電素子22に供給される電気的動作信号を動作していないが聞こえる周波数スペクトルを含む電気信号と混ぜることも可能である。このような実施形態では、圧電モータ20も音および音楽を発生するための単純なデバイスとして使用することもできる。
【0389】
したがって、匹敵するパワーと速度を持つ従来のモータに比べて生産コストが低いモータアセンブリ20を有利に実現できる。モータアセンブリ20のサイズおよび重量は小さく、本発明を利用すれば、モータの小型化をいっそう進めることができる。このモータは、被駆動素子42のステッパに似た運動を達成することができ、被駆動素子の位置決めは、被駆動部品上の位置決めセンサを使用せずに可能である。モータアセンブリ20では、高速または低速の駆動速度を使用でき、ギヤボックスを必要としない。モータにギヤを使用していないため、ギヤトレインに関連するような反発がない。モータアセンブリ20では、被駆動素子42を平行移動運動させたり回転させたり、またその両方の運動を行わせることができる。被駆動素子42の位置決めの精度は1μmである。動作周波数は、人間には聞こえない周波数を選択することができ、モータの動作は無音である。磁場または火花放電がないので、モータアセンブリ20およびその振動素子26は、電磁干渉または火花に敏感な環境で使用するのに適している。モータアセンブリ20の反応時間が短く、2値状態コントローラで制御することができ、これは、PIDコントローラに比べて簡単に実装でき、また費用も安い。
【0390】
本発明はさらに、圧電駆動素子22と、駆動素子22を圧縮状態に保持する共振器24とを持つ振動素子26を有するため有利である。この振動素子はバネ10などの弾力性のあるサスペンションシステムを組み合わせることができるため、コンポーネントをユーザの裁量でさまざまな被駆動素子に適用するユーザにとって有利である。これらの部品は、1つまたは複数の特定の用途についてまたは1つまたは複数の汎用の用途について選択した駆動部分44に楕円経路100を発生する連係動作をするように設計され構成されており有利である。この組合せは、一体として提供することができ、バネ50を有することも備えないこともできる。したがってユーザは、これらのコンポーネントを使用して、さまざまな被駆動素子42を駆動することもできる。
【0391】
代替方法として、振動素子26およびバネ50などの弾力性のある取付具だけでなく、振動素子26とのあらかじめ定められた関係で支えられている被駆動素子42も含む完全なモータアセンブリ20をユーザに提供することができる。このような他の状況では、モータアセンブリ20は、吊られている駆動される物体42、たとえば、リニアモータの棒とともにハウジングに収納するのが好ましい。このような他の状況では、モータアセンブリ20および被駆動素子42は、ユーザが装着を確認しながらすぐに取り付け使用することができる。このアセンブリは、他のモータで使用されている被駆動素子とともに使用することも、またはコンポーネントと使用するように構成されている製品の一部として使用することもできる。駆動素子とサスペンション素子を用意することで、ユーザはアプリケーションに大きな柔軟性をもたらしながら低コストの駆動メカニズムを獲得できる。
【0392】
駆動される物体42は、選択した駆動部分44と係合するように配置された滑らかで堅い表面を持つのが好ましい。被駆動素子42は、比較的一定した接触力を選択された接触部分44と被駆動素子42との間で維持できる限り、さまざまな形状をとることができ、たとえば、円板、棒、ホイール、ギヤ、ビーム、ボールなどが考えられる。このため、設計者はモータアセンブリ20の実装方法としてさまざまな方法を利用することができる。
【0393】
モータアセンブリ20は、汚れ、他の外部の接触および潜在的損傷から保護するためハウジングに収納すると有利である。ハウジングは、射出成形プロセスでプラスチックから製造するか、または鋼板で作ることができる。スナップジョイントを使って組み立てられるように設計するのが好ましい。この組立ては、ねじ山付ファスナーを含む高価な方法は取らず、完全自動組立てに適している。
【0394】
したがって、エンドユーザが安価な小型モータユニットを用意することができ、設計に簡単に作り込める。使用する上での柔軟性を高めるために、基部10またはハウジングにクランプ用の穴またはその他のクランプメカニズムを備え、エンドユーザの製品に簡単に取り付けられるようにする。特定の指定基部52またはハウジングの体積が十分であれば、ユーザの取付けニーズに合わせて基部52および/またはハウジングユニットを特別に構成することができる。
【0395】
そこで、第1の半軸と第2の半軸を持つ楕円100を生成するメカニズムと方法を提示しているが、第1の半軸の長さは選択した接触部分44と被駆動素子42の係合面との摩擦力の差を発生するのに使用し、その際に、運動成分は楕円経路100に沿った進行の方向にある。この楕円運動は、楕円経路100を発生する少なくとも2つの振動モードを生じる圧電素子22に供給される単一の励起周波数によって与えると有利である。この楕円運動100は、少なくとも2つの振動モードを励起することにより得られ、そのうち少なくとも1つ、または好ましくは両方が純粋な縦モードまたは純粋な曲げモードでなく、これらのモードを重ね合わせて選択した接触部分で楕円運動を発生する。この楕円運動100は、選択した接触部分44を被駆動素子42と接触状態にせずに行えて有利である。
【0396】
純粋な縦モードおよび純粋な曲げモード以外のモードがある場合の実際の結果として、選択した接触部分44の楕円経路100を定義する長軸は、振動素子26の長軸25に対してある角度をなす。楕円経路100の長軸と短軸は、従来技術の振動デバイスと共通であるため共振器の長軸25と位置が揃っていない。長軸25に関する楕円経路100の長軸の角度は、0°近くまたは90°の倍数でないのがよい。説明を簡単にするため、図1の第1象限内の部品の向きに関して説明するが、当業者であれば、他の象限を通じて部品を回転することができるか、またはここで説明している相対的角度を変更せずに部品の向きを変更できることは理解するであろう。
【0397】
最大の運動および最も速い進行は楕円経路100の長軸を被駆動素子42の進行経路に合わせたときに生じるため、振動素子26は被駆動素子42に対してある角度にし軸をそろえるのが好ましい。楕円経路100の長軸の位置が被駆動素子42の長軸と揃っている場合、この上述の角度は、上記の角度αとみなすことができる。楕円経路100の長軸と被駆動素子42の長軸を完全に合わせる作業は多くの場合、実用上の理由から妥協である。
【0398】
楕円運動100は共振器24の長軸25に対してある角度をなしているため、大きな縦横比を持つ楕円運動を使用できる。楕円経路100の長軸対短軸の比は、5を超えると有利であり、10を超えるとさらに有利であり、20:1を超えるのが好ましい。しかし、半軸が小さすぎるときには、選択した接触部分は、楕円を被駆動素子と位置を合わせたときに被駆動素子から適切にはずすことができず、30:1以上の比は達成が困難であり、特に低コストでは難しい。さらに、比が増えると、性能は衝撃駆動振動素子の性能に近づく。こうして、150:1およびさらには30:1の比でさえ、実現が難しく、使用しにくい。最も有用なサイズの楕円経路100は縦横比が約3:1〜150:1であると考えられるが、好ましくはこの比は約4:1〜30:1で、理想的には約5:1〜15:1である。150:1までとそれ以上の縦横比を使用する場合、得られるアプリケーションは主に衝撃駆動タイプのデバイスで使用される。
【0399】
選択した接触部分44で楕円経路100を得るのに必要な振幅は、小さな入力信号を何倍も大きくして得るのが好ましい。そのためには、振動の共振モードを選択した入力信号に十分近くなるように選択あるいは作成し、使用可能な振幅を得る必要がある。圧電素子22への電圧入力ごとに選択した接触部分44は楕円経路100の長軸に沿って0.3〜0.5ミクロンの運動を発生できると有利である。電圧入力ごとに、楕円経路100の長軸に沿った運動は1マイクロメートル以上であるのが好ましい。これらの運動は、運動を少なくとも100倍に、また通常は1000倍以上に増大する共振振動モードの増幅の結果である。
【0400】
小さな共振倍率を使用し、代わりに大きな入力信号を供給し、選択した接触部分44で許容可能な楕円経路100を発生するのに必要な振幅を得ることが可能であるが、あまり望ましいことではない。使用可能な楕円経路100を生じる振動モードの1つが共振からずれている場合、圧電素子22への電気入力信号を十分大きくし、使用可能な楕円運動を発生することができ、十分な運動で被駆動素子42を動かす。したがって、用途によっては、圧電素子22への1つの電圧入力で20〜50ナノメートルの楕円経路の長軸に沿って運動を引き起こすことが適当であると思われるが、動きは100ナノメートル以上が望ましい。
【0401】
こうして、選択された接触部分44は、圧電素子22などの振動源が第1の電気信号で励起されたときに長軸と短軸を持つ第1の楕円経路内で動き、この第1の電気信号により、重ね合わされている少なくとも2つの振動モードが第1の楕円経路100を形成する。振動モードのうち少なくとも1つは、純粋な縦モードとは別であり、また純粋な曲げモードとも別であるのが好ましい。2つの振動モードのうちの少なくとも1つが共振はずれの場合、第1の電気信号が十分に増幅されることで少なくとも1つの共振はずれ振動モードにより、結果の楕円経路100が使用時に被駆動素子42を動かすことができる十分な振幅を持つ選択された接触部分44の運動が発生する。ここで使用しているように、共振はずれ振動モードといった場合、その結果の運動が使用可能な楕円運動を発生せず、運動は被駆動素子42を駆動するのに不十分であるような、共振モードから十分に離れている振動モードのことである。
【0402】
所望の楕円運動100は、選択された接触部分44が被駆動素子42と係合せずに行われると有利である。係合の角度に応じて、これは角度αによって反映されているが、この係合により、衝撃または曲げが生じ、楕円経路100または被駆動素子42の結果の運動に影響を及ぼすことがあるため、このような影響に対する適切な補正を行うことができる。
【0403】
上述のように、選択した接触部分の楕円経路100が発生していることは、振動素子26の長軸25に揃っていない局所座標系内で最も簡単に判別される。楕円経路100の1つの軸が振動素子26とまたは好ましくは被駆動素子42と位置が揃うように運動の位置を合わせる座標変換により、楕円経路100の実用的な使用を評価できる。
【0404】
被駆動素子42の複数の運動を単一の振動素子26から発生することが望まれる場合、選択した楕円経路100はさまざまな周波数で、望ましい場合は複数の選択した接触部分44でいくつかの潜在的楕円経路間の妥協の産物となる可能性がある。複数の運動を単一の圧電素子22から発生させることが望まれる場合、異なる楕円運動を発生するために使用する周波数を周波数とその結果の運動とを明確に区別できるだけ十分に異なったものとすることが好ましい。別々の運動の周波数は、実質的に一様な楕円運動100が発生する周波数範囲と少なくとも同じマージンで分けることが好ましい。したがって、たとえば、第1の楕円運動100を第1の周波数のいずれかの側で2.5kHzの周波数範囲で発生する場合、合計の範囲が5kHzであれば、第2の周波数が第1の周波数から少なくとも5kHzであると有利であり、それ以上であるのが好ましい。
【0405】
楕円運動100の長軸は被駆動部分42が動く際に沿う軸と揃うようにするのが理想的である。図1に示されているように、その位置合せ角度は振動素子26の長軸25と棒状の被駆動素子42の軸45とがなす角度αに対応している。この位置合せは、被駆動素子42を一方向にのみ動かした場合に達成可能である。しかし、同じ振動素子26を使用して被駆動素子42を反対方向に動かすときには、相対的位置合せは、特に両方向に、実施するのが困難かまたは不可能である。さらに、後述の双方向運動に関する位置合せの考慮事項は、被駆動素子42の運動の単一方向のみを使用する場合であっても利用すると有利である。
【0406】
図82は、この位置合せの考慮事項を示すために使用される。図82は、第1の方向に被駆動素子42を動かすための長軸ex1を有する第1の楕円経路100aと、被駆動素子を第2の反対方向に動かすための長軸ex2を有する第2の楕円経路100bを示している。長軸ex1は、被駆動素子42の軸45に対して角度β1で傾斜しており、長軸ex2は、その軸45に対して角度β2で傾斜している。軸45は、選択した接触部分44で被駆動素子42の運動方向において被駆動素子42の接線に平行であるとみなすことができる。第1の方向に沿った運動、楕円100aから生じる運動は、通常最も簡単なものと考えられ、通常、楕円100aの長軸ex1は被駆動素子42の軸45と位置を最も正確に合わせられるが、長軸ex2はその軸45とはそれほど正確には合わせられない。したがって、β1は通常、β1が最初に選択されたときβ2よりも小さい。しかし、楕円経路100a、100bの最終的な選択はここで説明したようないくつかの要因の妥協の結果であるため必ずしもそうである必要はない。
【0407】
楕円経路100の長軸または短軸ができる限り接近して被駆動素子42の所望の運動と揃うようにβ1とβ2は0であるのが理想的であるが、多方向運動について実現するのは困難である。同じ運動が望まれているが、方向が異なる双方向運動では、β1とβ2の範囲は選択された接触部分44で、被駆動素子42の運動の方向に沿って、被駆動素子42の接線に対して5°〜40°であると考えられる。これらの角度を40°〜45°とすることは可能であるが、あまり望ましいこととは思われない。被駆動素子の運動の方向に角度β1とβ2を楕円経路100a、100bの長軸と完全に合わせることは非常に望ましいが、0°〜5°の範囲内で合わせするのが好ましい。ここで使用しているように、部品の向きにより角度が水平軸に対して90°の倍数ずつ増えるので、指定された角度は絶対的な数値としてではなく相対的な角度として解釈すべきである。したがって、たとえば、長軸と被駆動経路を0°〜5°の範囲内に合わせるといった場合、図面に示されているように水平X軸の向かい合う側面の角度が含まれる。そのため、共通測定軸に対して360°〜365°の絶対角度を含む。
【0408】
図82に示されているように、角度は、平行移動する棒42の角度45に関する角度である。しかし、被駆動素子42は、回転する円板を有することができる(たとえば、図4)。β1およびβ2の範囲が選択した接触部分44の場所にある被駆動素子の接線から見て約5°〜85°の範囲の場合に、使用できるが、ときには望ましくない性能が得られることがあると思われる。好ましい性能レベルは、β1およびβ2の範囲が約5〜35°および55〜85°で得られ、最高の性能は、β1およびβ2の範囲が約15°〜25°および65°〜75°の範囲のときに得られると思われる。
【0409】
上述のようにもしくは暗示しているように、0°〜90°の軸に関する対称性を考慮しているため、上記の範囲は原点の共通軸に対して絶対値の90°増分で変えることができる。上記の説明と角度範囲は、多方向運動に適用されると思われる。
【0410】
所望の角度β1およびβ2を得るために、角度αを前述の範囲内で維持する必要があると思われる。使用されるβ1とβ2の特定の組合せは通常、楕円経路100の長軸ができる限り接近して被駆動素子42の軸と合うように選択される。位置合せが近いほど、振動素子26から被駆動素子42への運動45の選択した軸に沿った運動の伝達の効率が高まる。
【0411】
しかし、説明したさまざまな角度から、角度β1とβ2で配向された楕円経路100に沿った使用可能な振動運動を生じる共振器24の選択した振動モードは、純粋な縦モードでも純粋な曲げモードでもないということがみてとれる。したがって、選択した接触部分44に楕円運動100を発生する際に、角度β1および/またはβ2は、楕円経路100a、100bの長軸および短軸が振動素子26の共振器24の長軸と位置が揃わないような角度である。さらに、角度β1および/またはβ2は、楕円経路100a、100bの長軸および短軸が、たとえば図1の軸38、40に沿って、その振動素子26の純粋な曲げモードと揃わないような角度である。振動素子26などの駆動素子と被駆動素子42との間の角度αを変化させて、長軸および短軸を被駆動素子42に望ましい運動の方向に有利に合わせることができる。
【0412】
これもまた、選択した接触部分44に楕円経路100a、100bを発生する動素子26の振動モードが、軸25に沿って純粋な縦振動モードでなく純粋な曲げモードでない少なくとも1つの振動モードを持つ(たとえば、図1に示されている構成の軸38、40に沿って)。したがって、たとえば、楕円経路100aを生成するように選択されている2つの振動モードは、共振器24の純粋な縦モードまたは純粋な曲げモードを含まず、選択された接触部分44の第1の楕円運動100aを発生するが、第2の楕円経路100bを発生する振動モードについても同じことがいえる。純粋な縦モードまたは純粋な曲げモードを使用して第1の楕円経路100aを発生する場合、第2の楕円経路100bに使用する振動モードは、楕円経路100bを発生するために必ずしも共振器24の純粋な縦モードまたは純粋な曲げモードを含むわけではない。さらに、軸25に沿って純粋な縦振動モードを含む振動モードを使用する場合、軸25を被駆動素子42に対し、0°〜90°またはその倍数以外の角度αで傾斜するのが望ましいが、約5°〜85°およびその倍数であるのが好ましい。
【0413】
角度β1およびβ2が被駆動素子42に対して大きくなると、接触により、選択した接触部分44と被駆動素子42との間の衝撃も大きくなる。楕円経路100a、100bの一方または両方の縦横比が大きくなり、一方の軸が他方の軸よりもかなり大きくなると、接触は衝撃駆動のそれに近づく。楕円経路100a、100bの一方に最高の縦横比、得られる運動を効果的に衝撃駆動であると十分に見なせるほどの高い縦横比を設定し、他の楕円経路に非衝撃駆動を発生する低い縦横比を設定することが可能であると思われる。有利なことに、純粋な衝撃タイプの駆動を発生する楕円経路100の縦横比は避けられる。
【0414】
さらに、本開示の教示を使用して反対方向に非常に高い縦横比の楕円運動100a、100bを持つ振動素子26を構成することができると考えられる。楕円の長軸と短軸との縦横比が十分に大きい場合、楕円経路の周囲の運動の特定の方向は、被駆動素子の動きの方向を決定しない。その代わりに、被駆動素子に関する長軸の傾斜角度βは運動の方向を決定する際の決定的要因となる。したがって、同じ(または異なる)選択した接触部分44で2つの高い縦横比の楕円経路100a、100bを使用し、同じ方向に被駆動素子42を動かす衝撃駆動を発生できると思われる。実際、本開示の原理を使用することで、単一圧電素子24により、各々衝撃駆動で使用される2つの異なる周波数の2つの縦共振モードを発生することが可能である。
【0415】
高い縦横比の楕円運動を使用して純粋な衝撃駆動を近似するかどうか、または衝撃駆動を実装するために純粋な直線運動を得るかどうかに関係なく、被駆動素子42の運動を2つの別々の周波数で発生することができる。しかし、2つの周波数を使用すると、被駆動素子の進行速度が異なる場合がある。異なる周波数を使用することによる進行速度の差は、楕円の進行方向(たとえば、時計回りと反時計回り)が変化する、または角度βが変化する高い縦横比の楕円運動を使用する場合に高められる。さらに、本発明の教示は、複数の単一圧電素子22を使用して衝撃タイプの運動の複数の周波数を発生したり、振動素子26の主に縦の共振を使用して実際の衝撃運動を発生する場合でさえ利用できる。
【0416】
角度β1およびβ2は、振動する駆動素子22に対する励起周波数のできる限り広い範囲にわたって十分一定するようにするのが望ましい。たとえば、圧電素子22に対する2kHz範囲の励起周波数信号により選択した接触部分で楕円運動100を生じ、角度β1の変化が5°以下の場合、振動システムの設計が簡単になり、また性能パラメータの許容差が大きいコンポーネントを使用するのが簡単になる。角度β1またはβ2の変化は、できる限り大きな励起周波数範囲にわたって、10°未満が望ましく、5°未満が好ましく、3°未満が理想的である。これにより、振動素子26の主軸25と被駆動素子42の運動軸45との間の傾斜角度αを妥当な許容差で設定することができ、また手頃な価格で利用できる許容差のコンポーネントを使用し、受け入れ可能な運動を発生することができる。このため特に、ここで述べているように、広範な商業応用製品で低コストモータを利用できる。
【0417】
したがって、選択した接触部分44をおおよそ同じ楕円運動100内で動かせることが望ましく、圧電素子22への駆動信号入力の周波数は選択した周波数のいずれかの側で200Hzと変化が小さい。おおよそ同じ楕円経路100は、駆動信号の周波数が選択した周波数から2.5kHz以上の変化のときに得られるため有利である。したがって、振動源22への励起周波数の変化は選択した周波数のいずれかの側で2.5kHzであるのが望ましく、またそれ以上であるのが好ましいが、それでも、傾斜角度β1およびβ2で楕円経路100の適当な振幅を出力する。相対的に、選択した励起周波数の5〜10%の範囲で適当な楕円経路100を発生できるのが望ましく、その際に傾斜角度β1とβ2の変化は25°未満であり、その周波数範囲で10°未満が好ましく、また約5°以下が理想的である。そのようにできるかどうかは、特定の設計基準と性能要件にかかっている。
【0418】
傾斜角度β1とβ2を妥当な広い範囲の励起周波数にわたって十分一定に保つ方法の1つに、ここで説明しているようようにモータのさまざまな設計パラメータを変えてみる方法がある。上述の角度25°、好ましくは10°、理想的には約5°以下は、各々、十分一定とみなされ、約5°以下の角度が最も好ましく、最も一定して妥当と思われる。これらの傾斜角度を十分一定に保つことは、角度β1とβ2に対する相対的位相変化の影響で角度に対する振幅の変化の影響を補正することにより、最も簡単に実現できる。そのために、位相と振幅について適当な運動方向と周波数応答曲線を持つ一組の振動モードを選択するとよい。さらに、局所的な向きで楕円運動100を表示し分析するために座標変換を使用しても、設計は容易になる。
【0419】
ここで使用しているように、主軸を使用して、振動素子26と選択した接触部分44の楕円経路100との間の傾斜角度を示している。主軸は、振動素子26の幾何学と形状、および振動素子26の選択した接触部分44の位置と向きにより異なる。選択した接触部分44が図1に示されているように遠位端に置かれている引き延ばされた振動素子26では、主軸は長軸25であるか、またはそれに直交する軸であるか、またはそのような軸を中心とする回転である可能性が高い。選択した接触部分44が図78に示されているように遠位端に置かれているまっすぐでない振動素子26では、主軸は遠位端を通る長軸25であるか、またはそれに直交する軸であるか、またはそのような軸を中心とする回転である。図6に示されているように長さに沿って置かれた、または振動素子26の中間部分に置かれた選択した接触部分44nでは、主軸はやはり遠位端36aを通る長軸であるか、またはそれに直交する軸であるか、またはそのような軸を中心とする回転である。特定の主軸は一部、選択した接触部分44と、選択した接触部分44で被駆動素子42により楕円経路100の位置合せを行うために振動素子を配向するのに簡単に使用できる振動素子26の隣接する軸との運動により変わる。
【0420】
組み立てた後モータ20の品質をテストするために、圧電素子22を使用してモータの少数の電気機械特性を測定すると有利であり、またコスト効果がある。これらの特性には、所定の入力信号について圧電素子22によって引き込まれる電流、および振動素子26で適切に励起された後オフになったときに圧電素子により発生する電気的信号があるが、これらに限られるわけではない。また、モータ20の耐用期間中にそれらの特性を追跡し、そうして、レーザ振動計などの専用機器がなくてもモータの効率を監視できる。
【0421】
上記の説明では、単一電気信号を使用して単一の圧電素子22を励起し、共振器24の主駆動軸(たとえば、長軸25)に対し傾斜している選択した接触部分44で楕円運動100を発生する方法を重点的に取り上げた。楕円運動100は、選択された接触部分44の制約のない運動であり、接触部分44が被駆動素子42と係合するかしないかに関係なく発生する。しかし、その傾斜した楕円運動100は、共振器24の複数の単一圧電電素子22を使用して発生することができる。本発明は、したがって、複数の圧電素子22を使用して共振器24の主駆動軸(たとえば、長軸25)に対して傾斜した楕円運動100を発生する振動素子26の広い範囲にわたる応用性がある。したがって、たとえば、図82に示されているように、第1と第2の圧電素子22a、22bは、共振器26(または図2に示されているように共振器26内の1つまたは複数の開口28を定める接触している異なる配置の壁)の異なる部分または側面に配置することも可能である。第3の圧電素子22cは、さらに共振器の他の部分に置き、選択された接触部分44の異なる楕円運動100bを発生させることができる。複数の圧電素子22a〜22cを使用する場合、複数の複雑な電子回路が必要になり、そのため、欠点があり、本開示のいくつかの態様の応用性を制限する場合がある。しかし、本開示のいくつかの態様では、ここで説明したような単一圧電素子22とともに使用する以上の応用性を持つことが示されている。
【0422】
上記の説明は、例としてあげており、制限ではない。上の開示により、当業者であれば、本発明の範囲と精神に従いバリエーションを考案できるであろう。さらに、本発明のさまざまな特徴を単独で使用できるし、また互いのとのさまざまな組合せでも使用でき、したがって、ここで説明している特定の組合せに限定する意図はない。そこで、本発明は、図の実施形態により制限されず、また最も広い妥当な方法で読みとったときに以下の請求項により定義され、請求項の有効性を保存する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 各図はそれぞれ本発明の第1の実施形態の側面平面図、側面斜視図、端面図、および底面図である。
【図2】 図1の振動素子の上面図である。
【図3】 図2の端面図である。
【図4】 本発明の第2の実施形態の斜視図である。
【図5】 C−クランプ構成を使用する本発明の第3の実施形態の側面図である。
【図6】 複数の素子を駆動する本発明の第4の実施形態の斜視図である。
【図7a】 圧入圧電素子を含む本発明の振動素子の斜視図である。
【図7b】 組立て時の図7の振動素子の拡大部分の図である。
【図8】 圧入圧電素子を有する本発明の第5の実施形態の図である。
【図9】 変形前の圧入実施形態の上面図である。
【図10】 円柱状楔による変形後の図9の実施形態の上面図である。
【図11】 図10の11−11に沿った断面図である。
【図12】 矩形楔を使用する図9の代替実施形態の上面図である。
【図13】 共振器の軸からオフセットされている圧電素子を有する実施形態の図である。
【図14】 圧電素子からの力を共振器の中心線からオフセットする挿入物を有する実施形態の図である。
【図15】 共振器の軸に対して斜めになっている圧電素子を有する実施形態の図である。
【図16】 選択的に配置される複数の不活性素子の間に配置され、ねじ山付締め具で押し付けられている圧電素子を有する実施形態の図である。
【図17〜19】 振動素子用のピボット付き支えを有する本発明の振動素子のサスペンション構成の図である。
【図20〜21】 弾力的な支えを有する本発明の振動素子のサスペンション構成の図である。
【図22】 ピボット付き支えを有する本発明の振動素子のサスペンション構成の図である。
【図23〜24】 部品の長軸が平行であるが、平面からずれている本発明の振動素子および被駆動素子の構成を示す図である。
【図25】 部品の長軸がある角度で傾斜している本発明の振動素子および被駆動素子の構成を示す図である。
【図26】 図25の構成の端面図である。
【図27〜29】 2つの振動素子が平行に配置されているが、被駆動素子の平面に対して平面からずれている構成を示す図である。
【図30】 2つの振動素子が同じ平面内に配置されているが、被駆動素子を含む平面からずれている構成を示す図である。
【図31】 被駆動素子が被駆動素子の上下に、被駆動素子に対して傾斜した角度で、互いに向かい合うように配置されている2つの振動素子および1つの被駆動素子の構成を示す図である。
【図32】 被駆動素子が被駆動素子の上下に、被駆動素子に対して傾斜した角度で、同じ方向を向くように配置されている、2つの振動素子および1つの被駆動素子の構成を示す図である。
【図33】 被駆動素子が被駆動素子の1つの共通の側面に、被駆動素子に対して傾斜した角度で、同じ方向を向くように配置されている2つの振動素子および1つの被駆動素子の構成を示す図である。
【図34】 被駆動素子が被駆動素子の1つの共通の側面に、被駆動素子に対して傾斜した角度で、互いに向き合うように配置されている2つの振動素子および1つの被駆動素子の構成を示す図である。
【図35】 被駆動素子が被駆動素子の反対側に、被駆動素子に対して傾斜した角度で、同じ方向を向くように配置されている2つの振動素子および1つの被駆動素子の構成を示す図である。
【図36】 図35の構成の端面図である。
【図37〜40】 3つの振動素子と1つの被駆動素子の構成を示す図である。
【図41】 6つの振動素子と1つの被駆動素子の構成を示す正面図である。
【図42】 図41の構成の左側面図である。
【図43】 本発明の選択された接触部分の楕円運動の図である。
【図44〜51】 図43に示されている接触部分の楕円運動に影響を及ぼすさまざまな態様のグラフィック表現である。
【図52】 圧電素子を受け入れるように開口部が形成されている共振器の同じ面の共振器内に溝がある振動素子の斜視図である。
【図53】 共振器内に溝があり、圧電素子を受け入れる湾曲した端を有する開口部を有する振動素子の斜視図である。
【図54】 共振器内の溝が広くなっている振動素子の斜視図である。
【図55】 圧電素子を受け入れるように形成された開口部と異なる共振器の面の共振器内に溝がある振動素子の斜視図である。
【図56】 圧電素子を受け入れるH字形開口部を有する振動素子の斜視図である。
【図57】 共振器内に2つのビーム(beam)を定める溝があり、圧 電素子は一方のビームに配置される、振動素子の斜視図である。
【図58】 共振器内に振動素子のパフォーマンスを変える穴がある振動素子の斜視図である。
【図59】 共振器の近位端部に大きな質量を持つ振動素子の斜視図である。
【図60】 圧電素子が配置される開口部を定める4つの側壁を有する振動素子の斜視図である。
【図61】 共振器内の空洞に圧電素子を収納している振動素子の断面図である。
【図62】 被駆動素子と係合する複数の選択された接触部分を有する振動素子の側面図である。
【図63〜66】 本発明の振動素子に電子信号を送るシステムの電気配線図である。
【図67】 特別に構成された端部を有する圧電素子の平面側面図である。
【図68】 図67の圧電素子の斜視図である。
【図69】 図67〜68の圧電素子を形成するために使用されるダイスの側面断面図である。
【図70】 本発明の別の実施形態の振動する駆動素子と振動する被駆動素子の概略図である。
【図71〜72】 複数の位置感知構成の概略図である。
【図74】 本発明の共振器素子の断面図である。
【図75】 湾曲バネサスペンションシステムを有する振動素子の概略図である。
【図76】 圧電素子を共振器の開口部に圧入する手順を示す図である。
【図77】 本発明の圧電モータアセンブリの引き嵌め(pull-fit)プロセスを示す図である。
【図78】 本発明の圧電モータアセンブリの他の実施形態の図である。
【図79〜81】 コイルが本発明のモータまたはモータコンポーネントに一体化しているか、または随伴している他の実施形態の図である。
【図82】 本発明の選択された接触部分の運動を示す図である。

Claims (27)

  1. 被駆動素子(42)を動かす振動システム(20)であって、
    前記システム(20)の使用中に前記被駆動素子(42)と係合するように配置されている選択した接触部分(44)を有する共振器(24)と駆動連絡している圧電素子(22)を有する振動素子(26、26a-f)を有し;
    該圧電素子(22)および該共振器(24)は、該共振器(24)が前記圧電素子(22)に供給される第1の周波数の第1の信号により少なくとも2つの振動モードで同時に共振するように励起されたときに、第1の楕円運動で前記選択された接触部分(44)を動かすように構成されており;
    得られた運動は、前記被駆動素子(42)と選択した接触部分とが十分な接触を維持して前記被駆動素子(42)の所望の運動を発生するときに、前記被駆動素子(42)を動かすのに十分な振幅を持っており;
    前記少なくとも2つの振動モードが、少なくとも1つは前記共振器(24)の純粋な縦モードまたは曲げモードを含まないように選択されて、前記第1の楕円運動を発生するものであり、
    前記圧電素子(22)は前記共振器(24)の開口部(28)にプレス嵌めされており、この際に、前記開口部(28)は、前記共振器(24)の長軸(25)の対向する側にある2つの側壁(29)と、該長軸上の2つの対向する端壁(31)とによって部分的に画定されており、そして、該2つの側壁(29)はそれらの弾性限界を超える応力を加えられて前記圧電素子(22)を圧縮状態に保持する、
    ことを特徴とする上記の振動システム。
  2. 請求項1に記載の振動システムであって、前記第1の楕円運動の長軸と短軸のうちの一方が前記選択した接触部分において前記被駆動素子の運動の方向に沿って前記被駆動素子の接線に対して角度βで傾斜し、前記角度βは前記選択した接触部分が前記被駆動素子と駆動的に係合しているときに約5〜35°または55〜85°の範囲であることを特徴とする上記の振動システム。
  3. 請求項1または2に記載の振動システムであって、前記圧電素子および共振器は、圧電素子に供給される第2の周波数の第2の信号により少なくとも2つの振動モードで同時に共振するように励起したときに前記選択した接触部分が第2の、好ましくは楕円の、運動で動くように構成されていることを特徴とする上記の振動システム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の振動システムであって、振動モードにより振動素子にノードを作成し、さらに前記ノード以外の場所で前記振動素子に接続され、前記システムの動作時に前記被駆動素子に対し前記振動素子を弾力的に押し付けるように配置された弾性取付具を有することを特徴とする上記の振動システム。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の振動システムであって、前記圧電素子が共振器に圧縮状態に保持されることを特徴とする上記の振動システム。
  6. 請求項5に記載の振動システムであって、前記圧電素子が前記共振器の壁により圧縮状態に保持され、前記壁の少なくとも1つが湾曲していることを特徴とする上記の振動システム。
  7. 請求項3に記載の振動システムであって、前記振動素子は、圧電素子に印加される第2の周波数の第2の信号により好ましくは少なくとも2つの振動モードで同時に共振するように励起されたときに、前記選択した接触部分が第2の、好ましくは楕円の、運動内で動くように構成されていて、前記第1の周波数の場合とは異なる、前記被駆動素子の運動の方向を発生するようになっていることを特徴とする上記の振動システム。
  8. 請求項3に記載の振動システムであって、前記振動素子は、圧電素子に印加される第2の周波数の第2の信号により好ましくは少なくとも2つの振動モードで同時に共振するように励起したときに前記選択した接触部分を好ましくは第2の楕円運動内で動かし、システムの動作時に前記選択した接触部分が前記被駆動素子を駆動し係合するときに前記第1の方向と反対の方向に前記被駆動素子を動かすことを特徴とする上記の振動システム。
  9. 請求項3に記載の振動システムであって、前記第2の楕円運動が軸に対して角度β2で傾斜する長軸をもち、角度β2は、前記選択した接触部分がシステムの動作時に前記被駆動素子と係合して駆動するときに約5〜85°の範囲であることを特徴とする上記の振動システム。
  10. 請求項3に記載の振動システムであって、前記第2の周波数が前記駆動素子に印加される少なくとも1kHzだけ第1の周波数と異なることを特徴とする上記の振動システム。
  11. 請求項3に記載の振動システムであって、前記第2の、好ましくは楕円の、運動の長軸が前記選択した接触部分において前記被駆動素子の接線に対して角度β2で前記被駆動素子の運動の方向に傾斜し、前記角度β2が約5〜35°または55〜85°の範囲であることを特徴とする上記の振動システム。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の振動システムであって、前記共振器は前記選択した接触部分が部材の遠位端の縁に置かれている長い部材を有することを特徴とする上記の振動システム。
  13. 請求項4に記載の振動システムであって、前記振動素子および弾性取付具の少なくとも1つは、圧電素子に供給される第2の周波数の第2の信号により少なくとも2つの振動モードで同時に共振するように励起されたときに、前記選択した接触部分を第2の、好ましくは楕円の、運動で動かすように構成されることを特徴とする上記の振動システム。
  14. 被駆動素子(42)を動かす振動装置であって、
    電気的エネルギーを直接物理的運動に変換する圧電素子(22)と、前記振動素子(26)を圧縮状態に保持するためその弾性限界を超えて応力がかけられる少なくとも2つの対向する側壁(29)により画定された開口部(28)を持つ共振器(24)とを備えてなり、
    前記圧電素子(22)はその開口部内に置かれて、前記振動素子(26)を画定されたプリロードのもとで共振器(24)により圧縮状態に保持されるようになっており、
    前記圧電素子(22)により共振器(24)が少なくとも第1のモードで振動して共振器(24)上の選択された接触部分(44)が所定の仕方で動くようになっており、
    前記圧電素子(22)が前記共振器の開口部(28)にプレス嵌めされている、
    ことを特徴とする上記の振動装置。
  15. 請求項14に記載の装置であって、少なくとも2つの側壁が湾曲していることを特徴とする上記の装置。
  16. 請求項14〜15のいずれか一項に記載の装置であって、圧電素子に少なくとも2つの向かい合う縁があり、これらの縁は傾斜し、開口部の縁と係合するように配置されており、前記圧電素子の破損を極力抑えながら前記圧電素子を前記開口部にプレス嵌めしやすくすることを特徴とする上記の装置。
  17. 請求項14〜16のいずれか一項に記載の装置であって、前記共振器内の前記開口部が少なくとも2つの向かい合う縁で定められ、これらの縁は傾斜し、前記圧電素子を前記開口部にプレス嵌めしやいように配置されていることを特徴とする上記の装置。
  18. 請求項14〜17のいずれか一項に記載の装置であって、圧電素子に印加される第1の電気的信号により第1のモードを励起し、これにより、前記選択した接触部分が、前記装置が前記装置の使用時に被駆動素子と係合するときに第1の方向に前記被駆動素子を動かす十分な振幅を持つ楕円運動で動くことを特徴とする上記の装置。
  19. 請求項14〜18のいずれか一項に記載の装置であって、圧電素子に印加される第2の電気的信号により共振器を励起し、これにより、前記選択した接触部分が、前記装置が前記装置の使用時に被駆動素子と係合するときに第2の方向に前記被駆動素子を動かすのに十分な振幅を持つ第2の、好ましくは楕円の、運動で動くことを特徴とする上記の装置。
  20. 請求項15に記載の装置であって、前記側壁が前記開口部から湾曲して離れることを特徴とする上記の装置。
  21. 請求項15に記載の装置であって、前記湾曲した側壁は、前記側壁の長さの実質的部分について一様な断面を持つことを特徴とする上記の装置。
  22. 請求項15に記載の装置であって、前記湾曲している側壁が矩形の断面を持つことを特徴とする上記の装置。
  23. 請求項15〜22のいずれか一項に記載の装置であって、前記開口部は前記開口部の長軸上に向かい合う端壁を備え、前記側壁は前記長軸の向かい合う側にあることを特徴とする上記の装置。
  24. 共振器(24)内に圧電素子(22)を圧縮状態で置く方法であって、前記共振器(24)は前記圧電素子を受け入れ圧縮されプレス嵌めされた状態にするような大きさにされた開口部(28)を画定する端壁(31)と側壁(29)を有するものである該方法にして、
    原状態の開口部(28)内では該端壁(31)間でそれ自体では前記圧電素子(22)を押すことができなかった力で前記圧電素子(22)を前記端壁(31)間で押しつけるのを可能にするのに十分な程度に対向する端壁(31)間の距離を増加させ、それにより前記側壁(29)にそれらの弾性限界を超えて応力を加えながら前記圧電素子(22)を圧縮状態に置くステップ、
    を含むことを特徴とする上記方法。
  25. 請求項24に記載の方法であって、さらに前記端壁または前記圧電素子の対応する縁の少なくともいずれか1つに傾斜した面を設け、前記の少なくとも1つの傾斜面を係合させることにより前記圧電素子を前記開口部内に押し込むステップを含むことを特徴とする上記の方法。
  26. 請求項24または25に記載の方法であって、前記側壁が湾曲していることを特徴とする上記の方法。
  27. 請求項24〜26のいずれか一項に記載の方法であって、前記共振器は前記開口部を通る長軸を持ち、前記側壁はその軸の向かい合う側面にあり、端壁は長軸にあることを特徴とする上記の方法。
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