以下、本発明の実施の一形態としての自動原稿搬送装置および画像形成装置について、図面を用いて説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態としての画像形成装置の要部を示す断面図である。
図2は、ADF300の制御部の構成を示すブロック図である。図3は、第2読取部25の構成を示すブロック図である。
図1において、画像形成装置の本体400には、ADF300が搭載されている。このADF300は、第1読取部40を固定して、読取対象の原稿1を所定の速度で搬送しながら、第1読取部40、第2読取部25の一方または両方で画像を読み取るシートスルー方式(自動搬送モード)と、読取対象の原稿を固定して、第1読取部40を移動させながら画像を読み取る原稿固定読取方式(圧板モード)のいずれにも対応可能なものである。
一方、画像形成装置の本体400は、第1読取部40、図示していない本体給紙装置、現像装置、定着装置等を備え、図示していないホスト装置と所定のインタフェースを介して接続されており、これらが通信システムを構成している。そして、操作部108の操作に基づいて第1読取部40と第2読取部25の一方または両方で読み取られた原稿1の画像形成要求が発生するか、あるいは前記ホスト装置で画像形成要求が発生すると、本体給紙ローラを駆動することにより、前記本体給紙装置に装備した転写紙を1枚ずつ搬送方向へ移動させ、レジストローラに到達すると前記転写紙を一時停止させる。この後、本体制御部111(図2参照)よりレジストローラ駆動開始要求が出されると、前記レジストローラが駆動し、転写紙を搬送方向へ移動させる。次いで、前記現像装置においては、トナーを感光体に付着させて、感光体上に原稿のトナー像を形成させる。次いで、転写ローラにより、転写紙にトナーを付着させる。こうして、転写紙に付着したトナーを定着させるために、転写紙を前記定着装置に移動させ、定着ローラで加熱・加圧処理を施すことになる。
また、図1において、ADF300は、画像形成装置の本体400にヒンジなどの連結部材で連結され、コンタクトガラス21上に開閉自在に搭載されている。ADF300を原稿搬送面に対して開放することで、原稿1をコンタクトガラス21上に載置するか、あるいはコンタクトガラス21上から取り除くことができ、原稿搬送面に対して閉じることで、原稿1をコンタクトガラス21面に押圧できる。画像形成装置の本体400は、コンタクトガラス21の下方に配置された第1読取部40を移動させながら、コンタクトガラス21上に載置された原稿を読み取る原稿固定読取方式と、第1読取部40を固定し、原稿テーブル2に載置された原稿をコンタクトガラス21上に搬送しながら読み取るシートスルー方式とによって原稿を読み取るように構成されている。なお、第1読取部40は、コンタクトガラス21上に載置された原稿に向けて、光源により光を照射し、反射光を第1ミラー、第2ミラー、第3ミラーを経由してレンズによって集光し、コンタクトガラス21上の原稿の像をCCD上に結像するものである。また、第1読取部40は、副走査方向の読み取りを行う際に、前記光源および第1ミラーが図1中、右側に「1」だけ進む間に第2ミラー、第3ミラーは「1/2」だけ進むことにより、前記レンズの光路長を一定に保ちながら走査する構成になっている。一方、第2読取部25は密着イメージセンサを有している。また、画像形成装置の本体400は、図2に示す操作部108の操作により、前述した原稿固定読取方式で原稿を読み取る自動搬送モード(ADFモード)、前述したシートスルー方式で原稿を読み取る圧板モードなどの動作モードが任意に設定できるように構成されている。
また、自動原稿搬送装置300は、読取対象の原稿束をセットする原稿セット部A、セットされた原稿束から一枚毎原稿を分離して給送する分離給送部B、給送された原稿を一次突き当て整合する働きと、整合後の原稿を引き出し搬送する働きのレジスト部C、搬送される原稿を反転させて、原稿面を読み取り側(下方)に向けて搬送する反転部D、原稿の表面画像を、コンタクトガラス21の下方より読み取りを行わせる第1読取搬送部E、読み取り後の原稿の裏面画像を読み取る第2読取搬送部F、表裏の読み取りが完了した原稿を装置外に排出する排紙部G、読み取り完了後の原稿を排紙トレイ29に積載保持するスタック部H、を含む機構部と、この機構部の搬送動作のための駆動を行う駆動部101〜105と、さらに、一連の動作を制御するコントローラ100とから構成されている(図2参照)。
図3に示すように、コントローラ100は、ADF側に配設された第2読取部25に対して電源を供給するとともに、本体制御部111から送信される制御信号に基づいて、第2読取部25に対して読取タイミングを示すタイミング信号を送出し、露光のための光源を点灯/消灯させるようになっている。
なお、第2読取部25は、原稿読み取り時の露光のための光源部(LED)200、原稿の画像面を読み取ってその情報を電気信号(アナログ信号)に光電変換するCCDセンサチップ201、そのアナログ信号を増幅する増幅器202、増幅されたアナログ信号をディジタル信号に変換するA/Dコンバータ203、そのディジタル信号から画情報を生成する画処理部204、その画情報を展開して蓄積するためのフレームメモリ205、フレームメモリ205に蓄積された画情報をインタフェース回路207を介して本体制御部111に送出する出力制御回路206、等を備え、ADF側からのタイミング信号に従って露光処理を行い、取得した画情報を本体側に送出するように構成されている。
前述した構成において、原稿固定読取方式により原稿画像を読み取る場合に、原稿1または原稿束をコンタクトガラス21上にセットし、ADF300を閉状態にする。このADF300の底部には、原稿固定読取方式で原稿を読み取るときに原稿をコンタクトガラス21に圧接するための圧板(図示せず)が設けられている。前記閉状態で、図2に示す操作部108のプリントキーが押下されると、第1読取部40を左右方向に移動させながら原稿を読み取ることになる。なお、原稿固定読取方式では、例えば、1枚のA4判原稿の読み取りごとに、コントローラ100から第1読取部40に対して後述のゲート信号が送信され、読み取り制御が行われる。
また、シートスルー方式により原稿画像を読み取る場合に、読取対象の原稿束1をセットするときは、可動原稿テーブル3を含む原稿テーブル2上で、原稿面を上向きにした状態でセットする。さらに、原稿束1の幅方向(主走査方向(搬送方向と直交する方向))をサイドガイド(図示せず)によって規制し、幅方向の位置決めを行う。原稿がセットされたこと(セット状態)は、セットフィラー4、セットセンサ5により検知され、図2に示すインタフェース(I/F)107により本体制御部111に送信される。さらに、原稿テーブル面に設けられた原稿長さセンサ30、31(反射型センサまたは、原稿1枚でも検知可能なアクチュエータ・タイプのセンサが用いられる)により原稿の搬送方向長さの概略が判定される。ここでは、少なくとも同一原稿サイズの縦か横かを判断可能なセンサ配置が必要となる。
可動原稿テーブル3は、底板上昇モータ105により図1に示すa、b方向に上下動可能になっている。コントローラ100は、原稿がセットされたことをセットフィラー4、セットセンサ5により検知すると、図2に示す底板上昇モータ105を正転させて、原稿束の最上面がピックアップローラ7と接触するように可動テーブル3を上昇させる。ピックアップローラ7は、ピックアップモータ101の駆動でカム機構により、図1に示すc、d方向に可動テーブル3と共に回動する。また、可動テーブル3は、可動テーブル3上の原稿上面により押されてc方向に回動して上昇し、テーブル上昇センサ8により回動の上限を検知される構成となっている。
ここで、図2に示す操作部108のプリントキーが押下され、本体制御部111からインタフェース107を介して、コントローラ100に原稿給紙信号が送信されると、ピックアップローラ7は、給紙モータ102の正転により回転駆動し、原稿テーブル2上の数枚(理想的には1枚)の原稿をピックアップする。このときの回転方向は、最上位の原稿を給紙口に搬送する方向である。給紙ベルト9は、給紙モータ102の正転により給紙方向に駆動される。この給紙ベルト9と対向するリバースローラ10は、給紙モータ102の正転により給紙と逆方向に回転駆動され、最上位の原稿とその下の原稿を分離して、最上位の原稿のみを給紙する構成となっている。
さらに詳しく説明すると、リバースローラ10は給紙ベルト9と所定圧で接し、給紙ベルト9と直接接しているとき、または原稿1枚を介して接している状態では、給紙ベルト9の回転に連れて反時計方向に連れ回りし、原稿が2枚以上給紙ベルト9とリバースローラ10との間に進入したときには、連れ回り力がトルクリミッタ(例えば、リバースローラ10のローラ軸に設けられている)のトルクよりも低くなるように設定されている。従って、原稿が2枚以上進入したときには、リバースローラ10は本来の駆動方向である時計方向に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをするために、重送が防止される。
給紙ベルト9とリバースローラ10との作用により、1枚に分離された原稿は、給紙ベルト9によってさらに搬送され、突当センサ11によって先端が検知され、さらに進んで停止しているプルアウトローラ12に突き当たる。その後、前記原稿は、突当センサ11の検知情報により予め定められた距離だけ搬送され、結果的には、プルアウトローラ12に所定量撓みを持って押し当てられる。この状態で、給紙モータ102を停止させることにより、給紙ベルト9の駆動が停止する。ここで、コントローラ100は、原稿先端が突当センサ11により検知されると、ピックアップモータ101を回転させ、ピックアップローラ7を原稿上面から退避させる。従って、前記原稿は、給紙ベルト9の搬送力のみで搬送されることになる。このような動作により、原稿先端は、プルアウトローラ12の上下ローラ対のニップ部に進入し、先端の整合(スキュー補正)が行われる。プルアウトローラ12は、スキュー補正機能を有すると共に、分離後にスキュー補正された原稿を中間ローラ14まで搬送するためのローラで、給紙モータ102の逆転により駆動される。また、給紙モータ102の逆転時には、プルアウトローラ12と中間ローラ14とは駆動されるが、ピックアップローラ7と給紙ベルト9とは駆動されていない。
原稿幅センサ13は、奥行き方向に複数個並べられ、プルアウトローラ12により搬送された原稿の幅方向(搬送方向に直交する方向)のサイズを検知する。また、原稿の搬送方向の長さは、原稿の先端、後端を突当センサ11で検知することにより、モータパルスから検出されるように構成されている。プルアウトローラ12および中間ローラ14の駆動により、レジスト部Cから反転部Dに原稿が搬送される際には、レジスト部Cにおける搬送速度が、読取搬送部Eにおける搬送速度よりも高速になるように設定することで、原稿を読取部の読取位置20へ送り込む処理時間の短縮が図られている。原稿先端が読取入口センサ15により検出されると、読取入口ローラ16の上下ローラ対のニップ部に原稿先端が進入する前に、原稿搬送速度を読取搬送速度と同速にするために減速を開始すると同時に、読取モータ103を正転駆動して読取入口ローラ16、読取出口ローラ23、CIS出口ローラ27を駆動する。
前記原稿の先端をレジストセンサ17にて検知すると、コントローラ100は所定の搬送距離で減速し、前記原稿を読取位置20の手前で一時停止させると共に、インタフェース107を介して本体制御部111にレジスト停止信号を送信する。次いで、コントローラ100は、本体制御部111より読取開始信号を受信すると、レジスト停止していた原稿の先端が読取位置に到達するまでに、所定の搬送速度に立ち上がるように増速して搬送させる。コントローラ100は、読取モータ103のパルスカウントにより検出された原稿先端が第1読取部40上方の読取位置20に到達するタイミングで、本体制御部111に対して第1面の副走査方向有効画像領域を示すゲート信号を送信する。このゲート信号は、第1読取部40上方の読取位置20を原稿後端が抜けるまで送信される。片面読み取りの場合には、読取搬送部Eを通過した原稿は、第2読取部25を経て排紙部Gへの搬送される。この際、コントローラ100は、排紙センサ24が原稿の先端を検知すると、排紙モータ104を正転駆動して排紙ローラ28を反時計方向に回転させる。
また、コントローラ100は、排紙センサ24により原稿の先端が検知されてから、排紙モータ104のパルスをカウントし、原稿後端が排紙ローラ28の上下ローラ対のニップ部から抜ける直前に排紙モータ104の駆動速度を減速させて、排紙トレイ29上に排出される原稿が飛び出さないように制御する。なお、スタック部Hにおいて排紙直前に原稿に対して腰付けする手段を設け、スタック性の向上を図るようにしても良い。両面読み取りの場合には、コントローラ100は、排紙センサ24にて原稿先端を検知してから読取モータ103のパルスをカウントする。次いで、コントローラ100は、第2読取部25に原稿先端が到達するタイミングで第2読取部25に対し、副走査方向の有効画像領域を示すゲート信号を送信する。このゲート信号は、第2読取部25を原稿後端が抜けるまで送信される。第2読取搬送ローラ26は、第2読取部25における原稿の浮きを抑えると同時に、第2読取部25におけるシェーディングデータを取得するための基準白部を兼ねるものである。
なお、スタック部Hには、排紙トレイ29を揺動させるための排紙トレイ揺動機構(図4参照)が設けられ、排紙トレイ29に排紙される原稿の排紙枚数に応じて排紙トレイ29の傾斜角度を変更するようになっている。
次に、前述の排紙トレイ揺動機構について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態としての排紙トレイ揺動機構の概略を示す図である。
図4において、本実施の形態の排紙トレイ揺動機構は、軸29aに支持されて、軸29aを中心として所定の可動域内を揺動可能な排紙トレイ29と、一端が筐体フレームに取付けられ、他端が排紙トレイ29の下面に取付けられて、排紙トレイ29を上方(原稿テーブル2側)へ付勢する弾性部材としてのコイルバネ800と、を有する構成である。
コイルバネ800のバネ係数および配置(排紙トレイ29および筐体フレームへの取付け位置)は、コイルバネ800が排紙トレイ29の排紙許容枚数相当(ここでは、排紙トレイ29の自重によりコイルバネ800が縮み、排紙トレイ29が最下位まで下降したときの排紙枚数に相当する)の重量以下で撓むように設定されている。例えば、前記排紙許容枚数より少ない所定枚数の原稿1が排紙されると、排紙トレイ29は図中、実線で示す位置にあるが、前記所定枚数よりも排紙枚数が増えるに従い、コイルバネ800の弾性により自重に応じて下方に揺動し(沈み込み)、図中、鎖線で示す位置まで下降することになる。
このような本発明の第1の実施形態としての自動原稿搬送装置300によれば、所定のバネ係数を有するコイルバネ800の両端を排紙トレイ29および筐体フレームの所定位置に取付けることにより、特別な駆動源を要せずに、排紙枚数に応じて排紙トレイ29の自重で排紙トレイ29の傾斜角度を変更することができる。よって、自動原稿搬送装置300の全体を大型化することなく、スタック性を維持しながら、排紙許容枚数を調整することができる。
なお、上述した実施形態では弾性部材としてコイルバネ800を用いた場合について説明したが、本発明はこのほかに、上下方向に所定の厚み、弾性定数を有するゴム、ウレタンなどを用いても同様の効果が得られるものである。
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態としての排紙トレイ揺動機構の概略を示す図である。図6は、本発明の第2の実施の形態としての排紙トレイ駆動部(a)および他の実施の形態としての排紙トレイ駆動部(b)の概略を示す図である。図7は、本発明の第2の実施の形態としての積載高センサを示す図である。
なお、本実施の形態は、第1の実施の形態とは排紙トレイ揺動機構を除き、概ね同様の構成を有しているため、同一構成には同一符号を付与して説明を一部省略する。
図5に示すように、本実施の形態の排紙トレイ揺動機構は、軸29aに支持されて、軸29aを中心として所定の可動域内を揺動可能な排紙トレイ29と、排紙トレイ29に排紙されて積載された原稿(原稿束)1aの積載高を検出するための積載高センサ801と、排紙トレイ29の可動域内での変位を検知するための排紙トレイホームポジションセンサ802と、排紙トレイ29を揺動するための排紙トレイ駆動部(図6(a)参照)と、この排紙トレイ駆動部のカム803の変位を検出するためのカムホームポジションセンサ810(図6(a)参照)と、を有する構成である。積載高センサ801は、原稿テーブル2(固定部)上に鉛直下向きに取付けられている。
図6(a)に示すように、前述の排紙トレイ駆動部は、排紙トレイ29の下面の所定位置に接して軸を中心として回転するカム803を備えたカム機構と、カム803を回転させる駆動力を発生する駆動源としての排紙トレイモータ804と、排紙トレイモータ804の駆動をカム803に伝動する伝動ベルト等の駆動伝動部と、を有している。ここでは、排紙トレイモータ804の駆動でカム803が支持軸を中心に回転し、排紙トレイ29を所定の可動域内で上下に揺動して排紙許容枚数を調整するようにしている。図中、カム803が実線位置にあるとき、排紙トレイ29は初期位置(ホームポジション)にあって排紙許容枚数は最小となり、カム803が鎖線位置にあるとき、排紙トレイ29は最下位にあって排紙許容枚数は最大となる。
図7に示すように、積載高センサ801は、発光素子(例えば、赤外発光ダイオード)801aと、受光素子(例えば、位置検出素子(PSD))801bと、受光レンズ801cと、投光レンズ801dと、を有している。赤外発光ダイオード801aは、排紙トレイ29上の排紙原稿の上面Pおよび排紙トレイ29の上面Qに向けて発光(放射)するものである。投光レンズ801dは、赤外発光ダイオード801aからの赤外光を前記上面P、Qへ向けて集光するものである。受光レンズ801cは、前記上面P、Qからの反射光を受光し、PSD801bへ透過するものである。PSD801bは、前記上面P、Qからの反射光に基づいて電気信号(図8の出力電圧レベルに相当する)を出力するものである。
積載高センサ801において、赤外発行ダイオード801aより投光レンズ801dを介して放射された赤外光は、前記上面Pおよび前記上面Qに反射して受光レンズ801cを介してPSD801bで受光される。このとき、両者から反射されてくる赤外光のPSD801bに入射する位置が異なるため、電位差Vが生じる。排紙トレイ29の上下動作を停止している状態では、積載高センサ801から前記上面Qまでの距離L2は一定であるが、積載高センサ801から前記上面Pまでの距離L1は排紙枚数によって変動するので、前記上面Pからの反射光がPSD801bに入射する位置もずれるため、出力電圧Vが変化する。つまり、原稿の排紙枚数に応じて、測距センサとしての積載高センサ801の出力電圧も変化することになる。以上の特性を利用して、図8に示すように、前記出力電圧の変位レベル(出力電圧レベルに相当する)と距離L1(検知距離に相当する)との関係を規定し、この関係に基づいて出力電圧の変位レベルから距離L1の距離情報(例えば、レベル1〜4)を取得し、適正な排紙許容枚数となるよう、排紙トレイ29の揺動量(排紙トレイモータ804の駆動量に相当する)を設定することが可能となる。
なお、前述の排紙トレイ駆動部は、図6(a)に示す構成に限らず、他の実施の形態として図6(b)に示す構成としても良い。この構成は、図6(b)に示すように、排紙トレイ29の下面に接触する接触部805と、接触部805の変位を検出するための接触部ホームポジションセンサ811と、接触部805を上下方向に変位させるためのスパイラル部806と、排紙トレイモータ804の駆動をスパイラル部806に連結されたプーリ807に伝動する伝動ベルト等の伝動部と、を有し、前記積載高センサ801の検出結果に基づいて排紙トレイモータ804を駆動することにより、排紙トレイの揺動を調整するようになっている。
図9は、本発明の第2の実施の形態としての自動原稿搬送装置の制御部を示すブロック図である。
図9に示すように、コントローラ100は、積載高センサ801、排紙トレイホームポジションセンサ802、カムホームポジションセンサ810からの検知信号に基づいて、排紙トレイモータ804を駆動させるようになっている。この駆動により、排紙トレイ29は排紙原稿の積載高に応じて上下方向に揺動し、排紙許容枚数が更新されることになる。
なお、前述の排紙トレイ駆動部として図6(b)に示す構成を用いる場合には、図9に示すカムホームポジションセンサ810に代えて、接触部805の変位を検出するための接触部ホームポジションセンサ811を設けることになる。
以上のように構成された自動原稿搬送装置300について、図10〜図13を用いてその排紙トレイ29の揺動を説明する。
図10は、本発明の第2の実施の形態としての積載高判定制御のフローチャートである。第1積載高判定制御(a)は、初期状態(排紙トレイ29が可動域の上限にあって排紙原稿が未だ積載されていない状態)から排紙センサ24の検知信号に基づいて行われる。第2積載高判定制御(b)は原稿セットセンサ5等の検知信号に基づいて行われる。
図10(a)に示すように、ADF300においてコントローラ100は、排紙センサ24がオフであるか否か判断し(ステップS101)、オフではない(オンである)と判断した場合には、コントローラ100のメモリに設けられた排紙タイマをクリアする(ステップS102)。ここで、排紙タイマは、排紙センサ24の検知後の搬送量(給紙モータ102の駆動パルス数に相当する)を搬送時間として計測するものである。
また、ステップS101において排紙センサ24がオフであると判断した場合には、コントローラ100は、排紙タイマの値が所定値より大きいか否か判断する(ステップS103)。ここで、排紙タイマの値が所定値より大きいと判断した場合には、排紙が完了したものとして、積載高センサ801の出力電圧レベル(図8参照)に基づいて積載高レベル判定を行い(ステップS104)、排紙タイマの値が所定値より大きくないと判断した場合には、第1積載高判定制御を終了する。
図10(b)に示すように、ADF300においてコントローラ100は、全ての原稿の排紙が完了したか否か判断する(ステップS111)。ここでは、例えば、原稿テーブル2において原稿セットセンサ5等の検知信号に基づいて原稿が検出されず、かつ排紙センサ24がオフとなって所定時間経過したか否か判断する。ステップS111において、全ての原稿の排紙が完了したものと判断した場合は積載高センサ801の出力電圧レベルに基づいて積載高レベル判定を行い(ステップS113)、未だ全ての原稿の排紙が完了していないと判断した場合には排紙タイマをクリアする(ステップS112)。
図11は、本発明の第2の実施の形態としての積載高レベル判定のフローチャートであって、図10に示す積載高レベル判定(ステップS104、S113に相当する)の詳細を示すものである。
図11に示すように、ADF300においてコントローラ100は、積載高センサ801の出力電圧レベルが「4」以上であるか否か判断し(ステップS121)、「4」以上であると判断した場合は、排紙トレイ29上の排紙原稿が排紙許容枚数の上限(排紙トレイ29の可動域の最下位で積載可能な排紙原稿の枚数)に達するか超過しているものとして給紙制御を停止し(ステップS122、S123)、操作部108における画面表示等によって排紙原稿を除去するよう、警告を発する(ステップS124)。なお、警告を発するタイミングは、排紙許容枚数に達する直前または直後、あるいは双方としても良い。
また、ステップS121において積載高センサ801の出力電圧レベルが「4」以上ではないと判断した場合に、コントローラ100は、積載高センサ801の出力電圧レベルが「3」以上であるか否か判断する(ステップS125)。ここで、排紙原稿が順次積載され、前記出力電圧レベルが「3」以上であると判断した場合は、排紙トレイ29を下降させるよう、排紙トレイモータ804を制御し(ステップS126)、前記出力電圧レベルが「3」以上ではないと判断した場合には、さらに前記出力電圧レベルが「2」以上であるか否か判断する(ステップS127)。ここで、前記出力電圧レベルが「2」以上ではないと判断した場合には、排紙トレイ29を上昇させるよう、排紙トレイモータ804を制御する(ステップS128)。なお、例えば排紙原稿が積載途中で除去された場合は、前記出力電圧レベルが「2」以上ではないと判断されることになる。
図12は、本発明の第2の実施の形態としての排紙トレイ下降制御のフローチャートであって、図11に示す排紙トレイ下降制御(ステップS126に相当する)の詳細を示すものである。
図12に示すように、コントローラ100は、排紙トレイホームポジションセンサ802がオンであるか否か判断する(ステップS131)。ここで、オンであると判断した場合には、排紙トレイ29が初期位置(可動域の上限位置)にあるものとして、排紙トレイモータ804をCW駆動して排紙トレイ29を下降させる(ステップS132)。このとき、排紙トレイモータ804のCW駆動に応じて前記カム機構のカム803もCW回転することになる。
この後、コントローラ100は、排紙トレイホームポジションセンサ802がオフであるか否か判断する(ステップS133)。ここで、オフであると判断した場合には、次いで所定パルス搬送したか否か判断し(ステップS134)、所定パルス搬送したと判断した場合には、排紙トレイ29が可動域の下限位置に達したものとして、排紙トレイモータ804の駆動を停止する(ステップS135)。
なお、前記所定パルス搬送したか否かの判断は排紙トレイモータ804の駆動量に基づいて行われる。また、前述のカムホームポジションセンサ810によってカム803の変位(図6(a)の実線で示す位置から鎖線で示す位置への変位)を検出することにより、前記所定パルス搬送したことが判断される。
次いで、コントローラ100は、コントローラ100のメモリの所定領域に排紙トレイ下降フラグをセットする(ステップS136)。この排紙トレイ下降フラグは、排紙トレイ29が可動域の下限位置(最下位)にあることを示す情報である。
図13は、本発明の第2の実施の形態としての排紙トレイ上昇制御のフローチャートであって、図11に示す排紙トレイ上昇制御(ステップS128に相当する)の詳細を示すものである。
図13に示すように、コントローラ100は、排紙トレイ下降フラグが前記メモリの所定領域にセットされているか否か判断する(ステップS141)。ここで、排紙トレイ下降フラグがセットされていると判断した場合には、次いで排紙トレイホームポジションセンサ802がオフであるか否か判断する(ステップS142)。ここで、オフであると判断した場合は、排紙トレイ29が可動域の下限位置にあるものとして、排紙トレイモータ804をCCW駆動して排紙トレイ29を上昇させる(ステップS143)。
この後、コントローラ100は、排紙トレイホームポジションセンサ802がオンであるか否か判断する(ステップS144)。ここで、オンであると判断した場合には、次いで所定パルス搬送したか否か判断し(ステップS145)、所定パルス搬送したと判断した場合には、排紙トレイ29が初期位置に達したものとして、排紙トレイモータ804の駆動を停止し(ステップS146)、前記メモリの所定領域にセットされている排紙トレイ下降フラグをクリアする(ステップS147)。
なお、前記所定パルス搬送したか否かの判断は排紙トレイモータ804の駆動量に基づいて行われる。また、前述のカムホームポジションセンサ810によってカム803の変位(図6(a)の鎖線で示す位置から実線で示す位置への変位)を検出することにより、前記所定パルス搬送したことが判断される。
前述した実施の形態では、排紙トレイ29の可動域において設定位置を初期位置と下限位置の2箇所とし、排紙トレイ29の高さおよび傾きを2段階に調節可能とした場合について説明したが、本発明はこのほかに、3段階以上に調節可能としても同様の効果が得られるものである。排紙トレイ29の高さおよび傾きを多段階に調節可能とした場合、排紙原稿のスタック性を維持しながら原稿の給紙枚数(排紙原稿の枚数に相当する)に応じて排紙許容枚数を段階的に増減することが可能となる。
このような本発明の第2の実施形態としての自動原稿搬送装置300によれば、積載高センサ801により取得された情報に基づいて排紙トレイ29の揺動を制御することにより、排紙トレイ29に積載された排紙原稿の枚数に応じて傾斜角度を変更し、排紙許容枚数を調整することができる。よって、自動原稿搬送装置300の全体を大型化することなく、スタック性を維持しながら、排紙許容枚数を調整することができる。
また、本実施の形態によれば、排紙トレイ29の揺動を駆動する排紙トレイモータ804を要するものの、前述したカム803やスパイラル部806等の簡単な構成で排紙トレイ29の傾斜角度を変更し、排紙許容枚数を調整することができる。
[第3の実施の形態]
図14は、本発明の第3の実施の形態としての排紙トレイ揺動機構の概略を示す図である。図15は、本発明の第3の実施の形態としての自動原稿搬送装置の制御部の構成を示す図である。
なお、本実施の形態は、第2の実施の形態とは排紙トレイ揺動機構の積載高センサ801に代わる残紙センサ808を有する構成、および可動原稿テーブル3(底板)と排紙トレイ29の揺動を連動させる制御(図16〜図18参照)を除き、概ね同様であるため、同一構成には同一符号を付与して説明を一部省略する。
図14に示すように、排紙トレイ揺動機構は、排紙トレイ29にスタックされた排紙原稿1aを検知する残紙センサ808(残紙検知手段)を有している。この残紙センサ808は、例えば反射式フォトセンサであって、排紙トレイ29に設けられた透光部または開口部から排紙原稿1aの原稿束の下面に向けて光を放射し、反射光を入力したときの出力レベルによって排紙原稿の有無を検出するものである。
図15において、コントローラ100は、底板ホームポジションセンサ6およびテーブル上昇センサ8からの検知信号に基づいて、底板上昇モータ105の駆動により可動原稿テーブル3を揺動させ、排紙トレイホームポジションセンサ802、カムホームポジションセンサ810および残紙センサ808からの検知信号に基づいて、排紙トレイモータ804の駆動により前記カム機構のカム803を回転させるとともに排紙トレイ29を揺動させるようになっている。
以上のように構成された自動原稿搬送装置300について、図16〜図18を用いてその排紙トレイ29の揺動を説明する。
図16は、本発明の第3の実施の形態としての底板上昇制御のフローチャートである。
図16に示すように、コントローラ100は、原稿セットセンサ5により原稿1が原稿テーブル2にセットされたことが検知されると(ステップS201)、底板上昇モータ105をCW駆動させて、可動原稿テーブル3を上昇させる(ステップS202)。次いで、コントローラ100は、所定パルス搬送後にテーブル上昇センサ8がオンであるか否か判断する(ステップS203)。ここで、テーブル上昇センサ8がオンであると判断した場合は、可動原稿テーブル3が揺動(回動)の上限に達し、積載原稿の上面が給紙開始のための適正な高さに設定されたものとして、底板上昇モータ105の駆動を停止し(ステップS204)、底板上昇距離を算出する(ステップS205)。
この底板上昇距離は、例えば底板上昇モータ105の駆動パルス数と可動原稿テーブル3の移動距離との関係を予め規定しておき、底板上昇モータ105の駆動開始からテーブル上昇センサ8のオンによる駆動停止までの駆動パルス数に基づいて算出しても良い。
次いで、コントローラ100は、排紙トレイ下降データを設定し(ステップS206)、この前記排紙トレイ下降データに基づいて排紙トレイ29の揺動を制御する(ステップS207)。ここで、排紙トレイ下降データは、前記底板上昇距離に基づいて排紙トレイ29の排紙許容枚数を適正に設定するよう(前記底板上昇距離だけ排紙トレイ29を下降させるよう)、排紙トレイモータ804の駆動を制御するための制御情報である。
なお、テーブル上昇センサ8がオンとなって可動原稿テーブル3に積載された原稿の上面が給紙開始に適した高さに設定されてから数枚が給紙されると、積載原稿の上面の高さが低くなってテーブル上昇センサ8がオフとなる。そこで、再度、底板上昇モータ105を駆動して積載原稿の上面を適正位置とし、当該底板上昇距離だけ排紙トレイ29を下降制御する一連の動作を繰り返すことにより、排紙原稿1a(図14参照)の枚数に応じて、排紙トレイ29の高さを設定することが可能である。
図17は、本発明の第3の実施の形態としての排紙トレイ下降制御のフローチャートであって、図16に示す排紙トレイ下降制御(ステップS207に相当する)の詳細を示すものである。
図17に示すように、コントローラ100は、残紙センサ808がオンであるか否か判断する(ステップS211)。ここで、残紙センサ808がオンであると判断した場合は、排紙トレイ29に排紙原稿が載置されているものとして、排紙トレイモータ804をCW駆動して前記カム機構のカム803を回転させ、排紙トレイ29を下降させる(ステップS212)。また、残紙センサ808がオフであると判断した場合は、例えば、排紙トレイ29に積載された排紙原稿が除去されたものとして排紙トレイ29の上昇制御を行う(ステップS213)。
前述のステップS212に次いで、コントローラ100は、排紙トレイ29が前記排紙トレイ下降データに相当する距離だけ搬送されたか否か判断し(ステップS214)、前記排紙トレイ下降データに相当する距離だけ搬送されたと判断した場合は排紙トレイモータ804の駆動を停止する(ステップS215)。
図18は、本発明の第3の実施の形態としての排紙トレイ上昇制御のフローチャートであって、図17に示す排紙トレイ上昇制御(ステップS213に相当する)の詳細を示すものである。
図18に示すように、コントローラ100は、排紙トレイホームポジションセンサ802がオフである場合に(ステップS221)、排紙トレイモータ804をCCW駆動して前記カム機構のカム803を回転させ、排紙トレイ29を上昇させる(ステップS222)。この後、コントローラ100は、排紙トレイホームポジションセンサ802がオンとなって所定パルス数搬送されると(ステップS223、S224)、排紙トレイモータ804の駆動を停止する(ステップS225)。ここで、排紙トレイ29は初期位置(図6(a)の実線で示す位置)に戻ることになる。
このような本発明の第3の実施形態としての自動原稿搬送装置300によれば、可動原稿テーブル3の上昇距離に応じて排紙トレイ29を上下に揺動させる動作を繰り返すことにより、給紙された原稿の枚数に相当する排紙原稿の枚数に応じて、排紙トレイ29の排紙許容枚数を柔軟に調整することができる。よって、自動原稿搬送装置300の全体を大型化することなく、スタック性を維持しながら、排紙許容枚数を調整することができる。
また、本実施の形態によれば、排紙トレイ29の揺動を駆動する排紙トレイモータ804を要するものの、前述したカム803やスパイラル部806等の簡単な構成で排紙トレイ29の傾斜角度を変更し、排紙許容枚数を調整することができる。
[第4の実施の形態]
図19は、本発明の第4の実施の形態としての排紙トレイ揺動機構の概略を示す図である。図20は、本発明の第4の実施の形態としての排紙トレイ高さと底板高さの関係を示す図である。
なお、本実施の形態は、第3の実施の形態とは排紙トレイ29および可動原稿テーブル3を共通の駆動手段(傾斜変更駆動手段)としての底板上昇モータ105の駆動で揺動させる構成、制御を除き、概ね同様であるため、同一構成には同一符号を付与して説明を一部省略する。
図19に示すように、排紙トレイ揺動機構は、排紙トレイ29にスタックされた排紙原稿1aを検知する残紙センサ808と、排紙トレイ29を揺動させるための駆動力を発生する底板上昇モータ105と、この底板上昇モータ105の駆動を排紙トレイ29に伝達する伝動ベルト161、プーリ162、可動接片165およびローラ166等の伝動部材と、を有している。
一方、可動原稿テーブル3の軸側には、可動接片154の一端が接触している。可動接片154の他端は伝動ギヤ151の軸に取付けられている。伝動ギヤ151には、プーリ153および伝動ベルト155等の伝動部材を介して底板上昇モータ105の駆動が伝達されるようになっている。したがって、底板上昇モータ105の駆動が伝動ギヤ151に伝達され、伝動ギヤ151の回転に応じて可動接片154が回動し、可動接片154の回動に応じて可動原稿テーブル3が上下方向に揺動することになる(矢印a、bで示す)。
すなわち、底板上昇モータ105の駆動が伝動ベルト155、プーリ153、伝動ギヤ151および可動接片154等の伝動部材によって可動原稿テーブル2に伝動されるとともに、伝動ベルト161、プーリ162、ローラ166および可動接片165等の伝動部材によって排紙トレイ29に伝動されるので、可動原稿テーブル2と排紙トレイ29とが底板上昇モータ105の駆動で上下に揺動することになる。
本実施の形態では、図20に示すように、可動原稿テーブル3の高さL1と排紙トレイ29の高さL2とが反比例の関係となるようにしている。例えば、底板上昇モータ105の駆動を可動原稿テーブル2へ伝動する伝動部材と、底板上昇モータ105の駆動を排紙トレイ29へ伝動する伝動部材と、において、伝動ギヤの個数を奇数個(例えば、1個)異ならせることにより、双方の揺動方向を逆にしても良い。
なお、本実施の形態では、底板上昇モータ105の駆動を排紙トレイ29へ伝動しているので、排紙トレイ29を駆動するための前記カム機構、カムホームポジションセンサ802および排紙トレイモータ804を要しない。また、可動原稿テーブル3と排紙トレイ29が連動するので、独立に排紙トレイ29を揺動する制御(例えば、図17、図18参照)を要しない。
このような本発明の第4の実施形態としての自動原稿搬送装置300によれば、可動原稿テーブル3と排紙トレイ29が同一の駆動源としての底板上昇モータ105によって駆動され、連動して揺動する構成を有し、かつ可動原稿テーブル3(底板)の高さL1と排紙トレイ29の高さL2とが反比例の関係となるようにしたことにより、底板上昇モータ105の制御だけで、給紙枚数に相当する排紙原稿の枚数に応じ、排紙トレイ29の排紙許容枚数を柔軟に調整することができる。よって、自動原稿搬送装置300の全体を大型化することなく、スタック性を維持しながら、排紙許容枚数を調整することができる。
また、本実施の形態によれば、前述した伝動部材を設けることにより、排紙トレイ29の揺動を駆動する排紙トレイモータ804や排紙トレイ29の積載高を検知する積載高センサ801等を要さず、かつ前述したカム803やスパイラル部806等に比べて簡素な構成で排紙トレイ29の傾斜角度を変更し、排紙許容枚数を調整することができる。
[第5の実施の形態]
図21は、本発明の第5の実施の形態としての給紙枚数カウントのフローチャートである。なお、本実施の形態は、第3の実施の形態と概ね同様の構成を有するため、図14、図15を用いるとともに同一構成には同一符号を付与して説明を一部省略する。また、本実施の形態は、第3の実施の形態の可動原稿テーブル3(底板)と排紙トレイ29の揺動を連動させる制御(図16〜図18参照)に代えて、給紙枚数に応じて排紙トレイを揺動させる制御(図21参照)を行い、ここで第3の実施の形態の排紙トレイ上昇制御(図18参照)および排紙トレイ下降制御(図17参照)を行うため、図17、図18を用いるとともに説明を一部省略する。
本実施の形態の排紙トレイ揺動機構は、排紙トレイ29にスタックされた排紙原稿1aを検知する残紙センサ808を有している(図14参照)。また、コントローラ100は、当該メモリの所定領域に、原稿テーブル2に積載された原稿1の束の給紙枚数をカウントする給紙枚数カウンタを有している。この給紙枚数カウンタは、原稿テーブル2に積載された原稿束から原稿1が1枚ずつ分離、給紙される度に、例えば、突当センサ11の通過に基づいて給紙枚数をカウントし、所定値(例えば、原稿テーブル2の積載許容枚数)に達するとカウント値をクリアするようになっている。
以上のように構成された自動原稿搬送装置300について、図21を用いて排紙トレイ29の揺動動作を説明する。
本実施の形態では、原稿セットセンサ5により原稿1が原稿テーブル2にセットされたことが検知されると、コントローラ100は、底板上昇モータ105の駆動で可動原稿テーブル3を上昇させ、本体制御部111から原稿給紙信号が送信されると、給紙モータ102の駆動でピックアップローラ7、給紙ベルト9等を回転させる。給紙モータ102の駆動により、原稿テーブル2に積載された原稿1を取り出して分離給紙する動作が開始される。
図21に示すように、コントローラ100は、原稿テーブル2に積載された原稿1の給紙が開始されたか否か判断する(ステップS301)。ここで、原稿1の給紙が開始されたと判断した場合には、1枚ごとに給紙枚数カウンタを1加算する(ステップS302)。次いで、コントローラ100は、給紙枚数カウンタのカウント値が所定値に達したか否か判断し(ステップS303)、所定値に達したと判断した場合には、給紙枚数カウンタをクリアする(ステップS304)。次いで、コントローラ100は、残紙センサ808がオンであるか否か(排紙トレイ29に排紙原稿がスタックされているか否か)判断し(ステップS305)、残紙センサ808がオンであると判断した場合は、排紙トレイ下降制御を行い(ステップS306)、残紙センサ808がオフであると判断した場合は、給紙完了までに排紙原稿が排紙トレイ29から除去されたものとして排紙トレイ上昇制御を行う(ステップS307)。
前述の排紙トレイ下降制御において、コントローラ100は、排紙トレイ29に排紙原稿がスタックされているものとして、排紙トレイモータ804をCW駆動して前記カム機構のカム803を回転させ、排紙トレイ29が前記排紙トレイ下降データに相当する距離だけ搬送された(下降した)と判断した場合には、排紙トレイモータ804の駆動を停止する(図17参照)。
また、前述の排紙トレイ上昇制御において、コントローラ100は、排紙トレイホームポジションセンサ802がオフである場合に、排紙トレイモータ804をCCW駆動して前記カム機構のカム803を回転させ、排紙トレイ29を上昇させる。この後、コントローラ100は、排紙トレイホームポジションセンサ802がオンとなって所定パルス数搬送されると、排紙トレイモータ804の駆動を停止し、排紙トレイ29を初期位置(図6(a)の実線で示す位置)に戻す(図18参照)。
前述した実施の形態では、排紙トレイ29の可動域において設定位置を初期位置と下限位置の2箇所とし、排紙トレイ29の高さおよび傾きを2段階に調節可能とした場合について説明したが、本発明はこのほかに、3段階以上に調節可能としても同様の効果が得られるものである。排紙トレイ29の高さおよび傾きを多段階に調節可能とした場合、排紙原稿のスタック性を維持しながら原稿の給紙枚数(排紙原稿の枚数に相当する)に応じて排紙許容枚数を段階的に増減することが可能となる。
このような本発明の第5の実施形態としての自動原稿搬送装置300によれば、給紙枚数カウンタのカウント値に基づいて排紙トレイ29の揺動を制御することにより、可動原稿テーブル3の高さL1や排紙トレイ29の高さL2に関する情報を取得することなく、前記取得のためのセンサ類を要せず、給紙枚数に相当する排紙原稿の枚数に応じ、排紙トレイ29の排紙許容枚数を柔軟に調整することができる。よって、自動原稿搬送装置300の全体を大型化することなく、スタック性を維持しながら、排紙許容枚数を調整することができる。
なお、前述した本発明の実施の一形態において、例えば、可動原稿テーブル3、原稿テーブル2が原稿載置台に相当する。例えば、ピックアップローラ7、給紙ベルト9、リバースローラ10が搬送手段に相当する。例えば、排紙トレイ29が原稿排紙台に相当する。例えば、コイルバネ800、カム803、スパイラル部806が排紙傾斜変更手段に相当する。例えば、排紙トレイモータ804が排紙傾斜変更駆動手段に相当する。例えば、積載高センサ801が排紙原稿高さ検知手段に相当する。例えば、コントローラ100が排紙駆動制御手段に相当する。例えば、コントローラ100が搬送制御手段に相当する。
例えば、操作部108の表示画面が警告手段に相当する。例えば、底板上昇モータ105が傾斜変更駆動手段に相当する。例えば、伝動ギヤ151、伝動ベルト155、161、プーリ153、162、可動接片154、165が伝動手段に相当する。例えば、テーブル上昇センサ8、底板ホームポジションセンサ9が載置原稿高さ検知手段に相当する。例えば、コントローラ100が駆動制御手段に相当する。例えば、コントローラ100の給紙枚数カウンタが計数手段に相当する。例えば、ADF300が原稿搬送手段に相当する。
例えば、第1読取部40が画像読取手段に相当する。例えば、画像形成装置の本体400の現像装置、定着装置が画像形成手段に相当する。