JP4943006B2 - シート材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シート材およびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、車両用内装材、住居用内装材、家具、インテリア、テント、カバー、装飾用シートなどの産業資材用途、その他、鞄、靴、袋などの雑貨類用途などの部材として適して用いられるカラーフロップ性(見る角度によって色相が変化する特性)を有するシート材およびその製造方法に関するものである。
車両用内装材、住居用内装材、家具などに模様を付与する方法については、これまでに様々な方法が提案されているが、それらの多くは、基布に積極的に着色をおこなって模様を付与するという考えのものであった。
しかしその様にして模様が付与されたものは、模様を付けた部分とベース(地)となる部分の光沢が全く違うものとなってしまって全体的なバランスが悪く、車両用内装材、住居用内装材、家具などとしては安っぽいイメージのものとなってしまう。そこでこれらの用途においても、落ち着きがあって高級感のある模様付けがなされた無地調の商品の開発が求められている。
その様な無地調のものとして、正面から見ると目立たないが、少し見る角度を変えることにより模様がはっきりと見えてくるようなカラーフロップ性を有するものがある。
具体的には特許文献1には、捺染または染色した布帛上に、無着色樹脂液を模様状に塗布し、乾燥後カレンダー加工をすることにより紋織物様布帛を製造する方法が開示されている。しかしながらこの方法では、樹脂を塗布された部分の耐摩耗性が悪く、模様が布帛から剥がれてしまうという問題がある。
また特許文献2には、剥離層表面に微細凹凸が形成されている工程離型紙を用いることにより、合成皮革表面に微細凹凸を形成して合成皮革に玉虫光沢を付与する方法が開示されている。しかしながらこの方法では、模様の発現が弱いものとなってしまい、模様の視認性に欠けるものとなってしまう。
特開昭59−030973号公報 特開平04−361671号公報
本発明の目的は、これらの課題を鑑みてなされたものであり、カラーフロップ性を有するシート材およびその製造方法を提供するものである。
すなわち、本発明のシート材は、基布と、該基布上に設けられた樹脂皮膜とからなり、
前記樹脂皮膜の表面に微細な凹部が設けられることによって凹凸が形成されており、
前記樹脂皮膜上に設けられた凹部に樹脂を注入することによって模様部と非模様部とを画定し、当該模様部と非模様部との間に光沢差を生じさせることを特徴としている。
前記樹脂皮膜および前記凹部に注入された樹脂がともにポリウレタン樹脂であることが好ましい。
前記非模様部の光沢度が0.5%〜10%であり、前記模様部の光沢度が1%〜15%であり、かつ該非模様部と模様部の光沢度の差が、該非模様部が1に対して該模様部が1.1〜10であることが好ましい。
また、本発明のシート材の製造方法は、
(a)基布に、表面に微細な凹凸を有する樹脂皮膜を設ける工程、
(b)前記樹脂皮膜の凹部にインクジェット方式にて樹脂を注入して模様付けを行う工程、および
(c)前記工程(b)の後、熱処理を行う工程
を含むことを特徴としている。
本発明によれば、耐摩耗性が高くかつ柔らかな風合いを損なうことのないカラーフロップ性を有する、落ち着きがあって高級感のある模様付けがなされた無地調のシート材およびその製造方法を提供することができる。
本発明のシート材は、基布と、該基布上に設けられた樹脂皮膜とからなり、前記樹脂皮膜の表面に微細な凹部が設けられることによって凹凸が形成されており、前記樹脂皮膜上に設けられた凹部に樹脂を注入することによって模様部と非模様部とを画定し、当該模様部と非模様部との間に光沢差を生じさせることによって、模様付けがなされているものである。すなわち、本発明のシート材は、基布上に表面に微細な凹凸を有する樹脂皮膜が形成されており、さらにその凹部に樹脂を存在させ、光沢差を生じさせることにより平面視で模様付けがなされているものである。
以下で、添付図面を参照して本発明のシート材について詳細に説明する。
図1は、本発明のシート材を製造する工程を示す縦断面図である。図1(a)は、樹脂皮膜の表面に凹部が形成されていることを示す模式図である。図1(b)は、樹脂皮膜の表面に形成された凹部に樹脂皮膜とは異なる樹脂が注入されていることを示す模式図である。図2は、本発明のシート材の摩耗試験を示す説明図である。図3は、本発明のシート材の摩耗試験に用いる摩擦子を示す斜視図である。
図1(a)および図1(b)に示すように、基布1上に樹脂皮膜21が形成され、この樹脂皮膜21の表面には微細な凹部2aが形成されている。また、この凹部2aには、樹脂皮膜21と異なる樹脂3が注入されている。このことにより、凹部2aに注入された樹脂3が樹脂皮膜と異なる光沢を持つので、シート材10を平面視で見た際に、樹脂皮膜21と樹脂3との光沢の違いを模様として確認することができる。または、シート材10は樹脂皮膜21の代わりに、表面に微細な凹凸を有するフィルム22を基布1上に接着剤で貼り合わされて、フィルム22の凹部2aが樹脂3で注入されている。
本発明において使用される基布1については、合成繊維や天然繊維で作った布帛が用いられ、織物、編物、不織布など様々な形態のものがあり、組織、目付等においても何ら限られない。具体的な繊維の種類には、ポリアミド系(例えば、ナイロン6、ナイロン66など)合成繊維、ポリエステル系(例えば、ポリエチレンテレフタレートなど)合成繊維、ポリアクリロニトリル系合成繊維、ポリビニル系合成繊維、トリアセテート等の半合成繊維、レーヨン等の再生繊維などが挙げられる。また、例えば、混紡、交織などの形で複数種類の繊維が併用されてもよい。さらにはこれらの繊維布帛以外にも、牛、豚、馬、羊等の天然皮革であってもよく、特に限定されない。
本発明においてはこれらの基布1上に、表面に微細な凹凸を有する樹脂被膜21を形成する。
微細な凹凸については、凹部2aの平均深度が5〜200μmであることが好ましく、さらには10〜150μmであることがより好ましい。またその凹部2aは、樹脂被膜21表面全体に対して20%以上の面積で均一に存在していることが好ましい。
使用される樹脂については、特に限定はされないが、引張り特性、せん断特性、曲げ特性、圧縮特性、耐衝撃性、硬度、耐光性、耐薬品性および耐摩耗性などの観点から総合的に考えて、ポリウレタン樹脂やその共重合体、またポリウレタン樹脂を主成分とした混合樹脂であることが好ましい。また、樹脂の形態としては水系、溶剤系、無溶剤系、ホットメルト系を問わずに使用することが可能である。
その形成方法については、基布1上にダイレクトに樹脂を塗布しても良いし、また離型紙上に樹脂を塗布してフィルム22を形成して後、フィルム22と基布1を貼り合わせても良いし、特には限定されない。また表面に微細な凹凸を形成する方法についても、エンボスロールによるもの、コロナ処理によるもの、凹凸のついた離型紙を用いるものなど得に限定されるものではない。
その1つの好適な方法として、まず凹凸のついた離型紙上に樹脂を塗布して、表面に微細な凹凸を有するフィルム22を作製し、そしてこのフィルム22を基布1に接着剤で貼り合わせる方法がある。
接着剤については、特に限定されず、従来公知のものが使用できる。例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリアクリル、ポリハロオレフィン、ポリジエン、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリイミド、ポリ酸無水物、ポリカーボナート、ポリイミン、ポリシロキサン、ポリホスファゼン、ポリケトン、ポリスルホン、ポリフェニレン等の規則性および不規則性のホモポリマーおよびコポリマーが挙げられ、ポリアミノ酸樹脂、ポリ乳酸樹脂といった生分解性樹脂、および上述記載の樹脂の共重合体や混合物などのポリマーアロイも含まれる。また、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂といった熱的に挙動の異なる樹脂でも共に使用することができる。
凹凸のついた離型紙については、その凹部2aの平均深度が5〜200μmであるものを選ぶことが好ましい。その様な離型紙は、光沢度(JISP−8142鏡面光沢度)が0.5〜6%であるので、この範囲の光沢度をもつ離型紙を目安に選定すればよい。
つぎに本発明においては、このように作製された基布1の表面に微細な凹凸を有する樹脂被膜21面に、さらにインクジェット方式で樹脂により模様付けをおこなう。ノズルから吐出されたインク液滴が、樹脂皮膜21の凹部2aに流れ込み、そこで固着する。これを全体的にみると模様が形成されていることになる。
模様付けをおこなう樹脂については、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリウレタン樹脂のポリオールとしては、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、PTMG、ε−ポリカプロラクタン、ポリカーボネート系ポリオールなど特に制限はない。また、これらポリオール2種類以上の共重合体でもかまわない。好ましくは、接着性や樹脂被膜の耐摩耗性に優れ、またその分子構造上、化学的に安定な物質であり、分解や劣化がおこりにくいなどの理由から、ポリオール成分としてポリカーボネート系ポリオールおよび構造中にエステル結合を有するポリオールを用いて合成されるポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。ポリオール成分としてポリカーボネート系ポリオール単独であっても樹脂被膜21の耐摩耗性については向上するが、この場合、布帛との接着性や風合いがやや悪くなるため、ポリオール成分として構造中にエステル結合を有するポリオールを併用することによりこの問題が解消される。
ポリカーボネート系ポリオールとしては、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等と、低級アルコールで置換されても良いエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、シクロヘキサンジオール等の芳香族ジオール等の一種あるいは二種類以上との混合物を反応させて得られたものが挙げられる。
また構造中にエステル結合を有するポリオールとしては、ポリエステル系ポリオールやポリオレフィン系ポリオールが例示できる。
ポリエステル系ポリオールは、低分子グリコールとカルボキシル基を含むポリカルボン酸との反応により得られ、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸等の脂肪族ポリカルボン酸やイソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ポリカルボン酸やこれらの無水物、一種あるいはその組み合わせからなる塩基酸と、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、デカンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル1,5−ペンタジオール、ネオペンチルグリコールなどの一種あるいはその組み合わせからなるポリオールとの反応で得られたものが例示できる。
ポリオレフィン系ポリオールについては、ポリオレフィンを構成するモノマーとして、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン等の炭素原子数2〜20のα−オレフィン等が挙げられる。
また他の反応成分であるイソシアネートおよび鎖延長剤については特に限定されず、従来公知のものが使用できるが、イソシアネートについては特に、構造上二重結合を持たず耐光性に優れている脂肪族イソシアネートを用いることが好ましい。
またポリウレタン樹脂の耐熱性、耐候性、耐加水分解性等をさらに向上させる目的で、従来公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、難燃剤等の各種添加剤を使用することも当然可能である。
また本発明においてはこの樹脂インクに顔料などの着色剤を含有させることも可能であるが、あまり入れすぎると、後述する光沢差が模様部と非模様部との間で有りすぎる(すなわち、大きすぎる)ものとなってしまい、本発明の目的とする落ち着きがあって高級感のある模様付けがなされた無地調のシート材とはならないおそれがある。そのため、着色剤を添加する場合でもその量は微量である。
またポリウレタン樹脂のインクを作成する場合、エマルジョン化してインクとすることが好ましい。エマルジョンを用いる理由については、溶剤系よりも水系のほうが扱いやすいためであり、それをインクジェット方式にて布帛に付与することでバリエーションに富んだ模様を作成することが可能となる。
樹脂の濃度については、固形分で1〜30重量%、さらには5〜15重量%であることが好ましい。樹脂の濃度が1重量%より少ないと布帛への顔料の固着が不充分となるおそれがあり、また樹脂の濃度が30重量%より多いとインクヘッドのノズルが詰まるおそれがある。
また塗布量については、乾燥後の重量が5〜50g/m2であることが好ましい。塗布量が5g/m2より少ないと、画像を形成しても、どの角度からも視覚的に認識されにくく、また塗布量が50g/m2より多いと、模様がにじんだり、シートの微凹部2aからウレタン樹脂があふれてしまうため、ローラー捺染やスクリーン捺染などの従来法により模様付けがなされたもののように、シート全体に樹脂が付着することになる。その結果、角度によって柄の認識性が変化するようなカラーフロップ性が発現しにくくなるおそれがある。
本発明においては、上述したポリウレタンのエマルジョン樹脂溶液の粘度は、1〜10mPa・sが好ましい。さらに好ましくは1〜5mPa・sである。ポリウレタン樹脂エマルジョンを1mPa・s以下とすることは困難であり、また10mPa・s以上であると、ノズルつまりが発生し連続吐出性に問題が発生する。
さらに樹脂インクには、必要に応じて、分散剤、pH調整剤、酸化防止剤、還元防止剤、熱安定剤、消泡剤、防腐剤、浸透剤、レベリング剤、湿潤剤などの添加剤を添加してもよい。
また樹脂インクの凝集効果を高めるために樹脂凝集剤を用いることが好ましい。ポリウレタン樹脂溶液の樹脂凝集剤として、無機塩および、または有機塩の水溶液が使用されることが可能である。まず樹脂凝集剤の役割については、後述する樹脂エマルジョンの樹脂粒子の周りにある水を樹脂凝集剤が水和水として固定することにある。これにより模様の型キワをシャープに見せたり、薄い被膜を布帛の表層にある繊維に形成することが可能になる。
樹脂凝集剤を布帛に付与する方法については、パディング法、スプレー法、浸漬法、コーティング法、ラミネート法、インクジェット法などが挙げられるが、必要な部位に必要量を付与することができることから、なかでもインクジェット方式にて付与することが好ましい。
樹脂凝集剤の濃度については、固形分で1〜40重量%、さらには5〜20重量%であることが好ましい。濃度が1重量%より少ないと樹脂の凝集効果が不充分であり、濃度が40重量%より多いと樹脂凝集剤が析出してインクヘッドのノズルを詰まらせるおそれがある。
さらに樹脂凝集剤には必要に応じて、分散剤、pH調整剤、酸化防止剤、還元防止剤、熱安定剤、消泡剤、防腐剤、浸透剤、レベリング剤、湿潤剤などの添加剤を添加してもよい。
本発明においては上述した工程が完了した後に、樹脂被膜21を形成させる目的で熱処理をおこなう。熱処理の方法としては、染色に用いられる発色機、仕上げに用いられるセッター機およびホットプレートなどが使用可能であり特に限定されない。また熱処理の温度条件については、樹脂の軟化点温度よりも高い温度で処理すればよく、好ましくは、100〜190℃で0.5〜30分である。100℃未満では被膜形成が不十分になるおそれがあり、190℃を超えると記録媒体の熱黄変や被膜の硬化を引きおこすおそれがある。また時間が0.5分未満では被膜形成にバラツキを生じるおそれがあり、模様付けをおこなう記録媒体としては、常法により精練、染色、セットをおこなった布帛を使用する場合、30分を超えると模様付けを行う布帛の退色が進むおそれがある。また、ポリウレタン樹脂溶液の樹脂凝集剤として、無機塩および/または有機塩の水溶液が使用された場合は、熱処理を行った後、塩を洗い落とすためにソーピング処理をおこなう。ソーピング処理については、水洗でも湯洗でもよく、またソーピング剤を添加してもよい。
このようにして作製された本発明のシート材10の光沢度については、反射率測定JISP−8142鏡面光沢度測定75°において、非模様部においては、0.5〜10%であることが好ましく、模様部においては、1〜15%であることが好ましく。非模様部が0.5%未満あるいは模様部が1%未満であると、表面の凹凸がおおきすぎて模様を付与しても視認性が悪くなるおそれがある。また非模様部が10%以上あるいは模様部が15%以上であると、表面の凹凸が小さすぎてインクジェット方式で模様付けした場合、樹脂の粘度が1〜10mPa・sと一般の捺染用に比べ低いため、付与後、その表面張力により樹脂剤は玉状になり、いわゆる斑状となって柄が形成され、型際のシャープ性は損なわれてしまう。
また非模様部と模様部の光沢度の差は、非模様部が1に対して模様部が1.1〜10となることが好ましい。1.1未満であると、模様の視認性が悪くなるおそれがあり、また10より大きくなると、模様部が極端にギラツキのある光沢となってしまい求めるものが得られないおそれがある。
次に本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明は必ずしもその実施例に限定されるものではない。
評価方法を以下に示す。
(1)凹凸の深度測定
シート材10の模様様付けされた領域、模様様付けされない領域の断面をSEM式走査型電子顕微鏡を用いて撮影し、布帛表面に有る凸部から凸部の最小に接線を引き、凹部の最深部からの距離を測定した。また得られた電顕写真により、単位面積あたりの深さ5μm以上の凹部の割合を計算し、樹脂皮膜全体に対しての凹部の割合を求めた。
(2)画像の光沢度測定
測定方法:模様付けされた領域および模様付けされていない領域をJISP−8142鏡面光沢度測定にて測定した。試料1点に対して5点以上測定し、その平均値を求めた。
測定機器:Σ−80 日本電色工業株式会社製
(3)摩耗耐久性測定
幅70mm、長さ300mmの大きさでタテ、ヨコ各方向から試験片をそれぞれ1枚採取し、裏面に幅70mm、長さ300mm、厚み10mmの大きさのウレタンフォームを添える。固定具Fに固定した試験片に綿布Wをかぶせた摩擦子41に荷重9.8Nを印加して摩耗する(図2〜3参照)。試験は平面摩耗試験機40を用いて行う(図2参照)。摩擦子41は試験片の表面上140mmの間を60往復/分の速さで10,000回往復摩耗する。なお、試験に使用した摩擦子の幅(移動方向に対して垂直方向の幅)Aは20mmであり、試験片と当接する部位の曲率半径は10mmであった(図3参照)。評価は、下記のように行った。
5級・・・シート材10に状態変化がないもの。
4級・・・シート材10にやや亀裂はあるものの、模様ははっきり認識できるもの。
3級・・・シート材10に亀裂はあるものの、模様ははっきり認識できるもの。
2級・・・シート材10に亀裂が多くみられ、模様も確認しずらいもの。
1級・・・シート材10に破れ等が発生し、模様も残っていないもの。
(4)布帛の風合い
模様付けされた布帛の風合いを触手で評価した。
○ ‥ 手触りがやわらかく、風合いが良好である。
△ ‥ 手触りが多少、硬い。
× ‥ 手触りが硬く、柔軟性がない。
実施例1
基布1としては、常法により精練、染色、セットをおこなったポリエステル100%の編物染色布を用いた。
次にクリスボンNY324(ポリウレタン樹脂、ポリオール成分:ポリカーボネート系ポリオール、固形分20%:大日本インキ製)を71.5重量部、DMF28.5重量部を混ぜ合わせミキサーにて攪拌ろ過をして樹脂を作製し、この樹脂を1.93%の光沢度をもつ工程離型紙(R−131:リンテック製)に塗布、乾燥して、表面に微細な凹凸を有するフィルム22を作製した。得られたフィルム22を編物染色布に下記処方の接着剤を用いて貼り合わせた。
〔接着剤処方〕
クリスボンTA−205 100重量部
(ポリウレタン系接着剤、固形分70%、大日本インキ製)
バーノックDN−950 10重量部
(架橋剤、ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分75%、大日本インキ製)
ジメチルホルムアミド、メチルエチルケトンの1:1溶液 70重量部
ACU14−3N-20C(ポリウレタン樹脂エマルジョン、ポリオール成分:ポリカーボネート系ポリオールおよびポリエステル系ポリオール、平均粒径90nm、固形分37%、軟化点80〜120℃、明成化学(株)製)を21重量部、プロピレングリコールを1.5重量部、尿素を0.5重量部および純水77重量部を混ぜ合わせミキサーにて攪拌ろ過をしてインクを作製した。
作製したインクをインクジェット方式にて、準備した基布の表面に微細な凹凸を有するフィルム22面側に、マトリクス柄で模様付けをおこなった。インクの付与量については、10g/m2(乾燥質量)であり、その他の条件は以下の通りである。
〔プリント条件〕
イ)ノズル径 : 70(μm)
ロ)印加電圧 : 50(V)
ハ)パルス幅 : 20(μs)
ニ)駆動周波数: 1(kHz)
ホ)解像度 : 360(dpi)
つぎに模様付けされた布帛を120℃*5分で熱処理をおこなった。
布帛には、見る角度により発現する模様が得られ、その模様は落ち着いた光沢を有していた。
得られた布帛を前記した評価方法にて評価した結果を表1に示す。
実施例2
実施例1の工程離型紙を2.54%の光沢度を持つ工程離型紙(FN:リンテック製)に替えた以外は、実施例1と同様にした。
得られた布帛を前記した評価方法にて評価した結果を表1に示す。
実施例3
実施例1の工程離型紙を2.04%の光沢度を持つ工程離型紙(CPM103:リンテック製)に替えた以外は、実施例1と同様にした。
得られた布帛を前記した評価方法にて評価した結果を表1に示す。
比較例1
基布1としては、常法により精練、染色、セットをおこなったポリエステル100%の編物染色布を用いた。
次にクリスボンNY324(ポリウレタン樹脂、ポリオール成分:ポリカーボネ−ト系ポリオール、固形分20%:大日本インキ製)を71.5重量部、DMF28.5重量部を混ぜ合わせミキサーにて攪拌ろ過をして樹脂を作製し、この樹脂を6.26%の光沢度を持つ工程離型紙(TPD:リンテック製)に塗布、乾燥して、フィルム22を作製した。得られたフィルム22を編物染色布に実施例1の接着剤を用いて貼り合わせた。
得られた布帛を前記した評価方法にて評価した結果を表1に示す。
比較例2
基布1としては、常法により精練、染色、セットをおこなったポリエステル100%の編物染色布を用いた。カラーフロップ性を有する転写フィルム(A40852ポラライト:KURZ社製)を編物染色布に実施例1の接着剤を用いて貼り合わせた。得られた布帛は、見る角度により発現する模様が得られ、その模様はギラツキついた光沢を有していた。
得られた布帛を前記した評価方法にて評価した結果を表1に示す。
以上により、本発明のシート材10によれば、基布1上に表面に微細な凹凸を有する樹脂皮膜21が形成されており、さらにその凹部2aに樹脂3を存在させ、光沢差を生じさせることによりシート材10の表面に模様付けがなされている。このことにより、耐摩耗性が高くかつ柔らかな風合いを損なうことのないカラーフロップ性を有する、落ち着きがあって高級感のある模様付けがなされた無地調のシート材を得ることができる。
Figure 0004943006
本発明のシート材を製造する工程を模式的に示す縦断面図であり、(a)は、樹脂皮膜の表面に凹部が形成されていることを示す模式図である。(b)は、樹脂皮膜の表面に形成された凹部に樹脂皮膜とは異なる樹脂が注入されていることを示す模式図である。 本発明のシート材の摩耗試験を示す説明図である。 本発明のシート材の摩耗試験に用いる摩擦子を示す斜視図である。
符号の説明
1 基布
21 樹脂皮膜
22 フィルム
2a 凹部
3 樹脂
10 シート材
40 平面摩耗試験機
41 摩擦子
W 綿布

Claims (4)

  1. 基布と、該基布上に設けられた樹脂皮膜とからなり、
    前記樹脂皮膜の表面に微細な凹部が設けられることによって凹凸が形成されており、
    前記樹脂皮膜上に設けられた凹部に樹脂を注入することによって模様部と非模様部とを画定し、当該模様部と非模様部との間に光沢差を生じさせ
    前記樹脂皮膜が、凹凸のついた離型紙上に樹脂を塗布して、表面に微細な凹凸を有するフィルムを作製し、該フィルムを基布に接着剤で貼り合わせたものであることを特徴とするカラーフロップ性を有する無地調のシート材。
  2. 前記樹脂皮膜および前記凹部に注入された樹脂がともにポリウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1記載のシート材。
  3. 前記非模様部の光沢度が0.5%〜10%であり、前記模様部の光沢度が1%〜15%であり、かつ該非模様部と模様部の光沢度の差が、該非模様部が1に対して該模様部が1.1〜10であることを特徴とする請求項1または2記載のシート材。
  4. (a)基布に、表面に微細な凹凸を有する樹脂皮膜を設ける工程、
    (b)前記樹脂皮膜の凹部にインクジェット方式にて樹脂を注入して模様付けを行う工程、および
    (c)前記工程(b)の後、熱処理を行う工程
    を含み、
    前記樹脂皮膜を、凹凸のついた離型紙上に樹脂を塗布して、表面に微細な凹凸を有するフィルムを作製し、該フィルムを基布に接着剤で貼り合わせて形成することを特徴とするカラーフロップ性を有する無地調のシート材の製造方法。
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