JP5139172B2 - カラーフロップ性を有する着色布帛 - Google Patents
カラーフロップ性を有する着色布帛 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5139172B2 JP5139172B2 JP2008167789A JP2008167789A JP5139172B2 JP 5139172 B2 JP5139172 B2 JP 5139172B2 JP 2008167789 A JP2008167789 A JP 2008167789A JP 2008167789 A JP2008167789 A JP 2008167789A JP 5139172 B2 JP5139172 B2 JP 5139172B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fabric
- colored
- resin
- carbon fiber
- liquid crystal
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
Description
しかしながら、柔軟性が無く、硬いという難点があった。
この難点を克服するためのものとして、炭素繊維布帛に柔軟性樹脂加工を施した樹脂加工シートが提案されている(特許文献2)。この樹脂加工シートは炭素繊維独特の黒い光沢があり、柔軟で縫製できるという特徴があり、名刺入れや、バッグ等に応用できるが、黒一色のため、カラー展開が望まれていた。
非特許文献1には、コレステリック液晶の干渉色を利用したフルカラー書き換え可能記録媒体が紹介されているが、コレステリック液晶顔料の布帛等への応用と効果については述べられていない。
[1] 暗色の布帛の表面にコレステリック液晶顔料を含むコーティング層が設けられてなることを特徴とするカラーフロップ性を有する着色布帛、
[2] 布帛が、樹脂加工処理したものである前記[1]に記載の着色布帛、
[3] 樹脂が、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エチレン酢酸ビニル共重合体、シリコーン、合成ゴムまたは天然ゴムである前記[2]に記載の着色布帛、
[4] 樹脂が、ポリウレタンである前記[2]に記載の着色布帛、
[5] 布帛が、織物、編物または不織布である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の着色布帛、
[6] 布帛が、織物である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の着色布帛、
[7] 織物が、平織物、綾織物または朱子織物である前記[5]または[6]に記載の着色布帛、
[8] 織物の素材が、炭素繊維であることを特徴とする前記[5]〜[7]のいずれかに記載の着色布帛、
[9] 織物の素材が、炭素繊維とそれ以外の繊維とからなり、かつ炭素繊維の比率が20質量%以上であることを特徴とする前記[5]〜[7]のいずれかに記載の着色布帛、
[10]コーティング層中に、さらに、コレステリック液晶顔料以外の顔料を含むことを特徴とする前記[1]〜[9]のいずれかに記載の着色布帛、
[11] 樹脂加工処理した暗色の布帛の表面にコレステリック液晶顔料以外の顔料を含むコーティング層が設けられており、かつ該コーティング層の表面にコレステリック液晶顔料を含むコーティング層が設けられてなることを特徴とするカラーフロップ性を有する着色布帛、及び
[12] JIS Z 8729におけるL*a*b表色系色度図において、着色布帛の−45°方向から12V100Wのハロゲンランプにて照射し、受光角−80°から80°まで5°おきに彩度C*及び色相角h*を測定した場合、彩度C*の平均値が7以上であり、かつ最大色相角差が90°〜360°である前記[1]〜[11]のいずれかに記載の着色布帛、
に関する。
本発明に使用される布帛は、常法に従い製造することにより得ることができ、市販品を用いてもよい。例えば、布帛として織物を用いる場合、織物の製織方法としては、特に限定されず、例えば、スルザー織機またはレピヤー織機等の公知の織機を用いる方法等が挙げられる。このようにして製織することにより、平織、綾織、朱子織または斜文織等の所望の織物を製造することができる。
前記した暗色の布帛(以下、単に布帛ともいう。)の目付け(単位面積当たりの織物重量)は、通常、20〜600g/m2であり、好ましくは100〜300g/m2である。20g/m2未満の場合、生地が薄く、カバンやバッグ、衣服の部品、壁紙等の用途で引張強度や摩耗強度の面で好ましくない。また、600g/m2より大きい場合、着色布帛が厚く、かつ重くなり、カバンやバッグ、衣服の部品、壁紙等への応用においては適さない。
前記炭素繊維としては、特に限定されないが、引張強度が1.9GPa以上、望ましくは2.5GPa以上である。例えば、レーヨン系炭素繊維、ポリアクリロニトリル系炭素繊維、リグニンポリビニルアルコール系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。本発明では、前記炭素繊維を、常法に従い製造してもよく、また、市販品を炭素繊維として用いてもよい。なお、市販品としては、例えば“トレカ”(商品名、東レ(株)製)等が挙げられる。
前記炭素繊維は、通常、常法に従い糸条とされて、それぞれ炭素繊維織物のたて糸及びよこ糸に用いられるが、引き揃えや撚り、さらには扁平化等については特に限定されず、種々の糸条が炭素繊維として用いられうる。
本発明の布帛に用いる高強力繊維は、引張強度が1.9GPa以上、望ましくはスーパー繊維といわれる引張強度が2.5GPa以上であることが複合体の強度と剛性の面で望ましく、例えば、パラ系アラミド繊維、ポリアリレート繊維(クラレ(株)製商品名:ベクトラン)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(東洋紡績(株)製商品名:ザイロン)等がある。パラ系アラミド繊維はパラ系全芳香族ポリアミド繊維であり、ポリパラフェニレンテレフタラミド繊維(東レ・デュポン(株)製商品名:ケブラー(R))やコポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタラミド繊維(帝人(株)製商品名:テクノーラ)、高強度ポリビニルアルコール繊維(ユニチカ(株)製商品名 ビニロンの高強度タイプ)、超高分子量ポリエチレン(東洋紡績(株)製商品名:ダイニーマ)等がある。
布帛としての形態は、織物、経て編み又はよこ編み等の編物、フェルト、不織布、紙等であってもよい。中でも糸の繊維軸方向の曲がりが少なく、構造的に生地が伸び縮みしにくい織物が望ましい。
炭素繊維と炭素繊維以外の繊維を混合して使用した布帛としては、例えば炭素繊維とパラ系アラミド繊維とからなる平織物が好適に挙げられる。この交織織物は、引っ張り特性において高弾性率であるが耐衝撃性の低い炭素繊維の問題点を、炭素繊維より耐衝撃性の高いパラ系アラミド繊維が補っている。
前記樹脂加工処理は、高分子化合物(以下、樹脂ともいう。)を含むコーティング剤で布帛を処理することにより行う。高分子化合物を含むコーティング剤で布帛を樹脂加工処理する方法は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。布帛として炭素繊維織物を用いる場合には、炭素繊維織物のたて糸及びよこ糸の互いの拘束の程度が低いので、炭素繊維織物生地を取り扱う場合、たて糸とよこ糸とがずれて部分的に糸密度が不均一になったり、たて糸とよこ糸との相対角が90度を外れたり、目ずれを起こしやすいので、炭素繊維織物表面だけでなく、たて糸とよこ糸との交差部にも高分子化合物を含浸させるのがよい。
このような樹脂加工処理方法としては、例えば、常法に従い高分子化合物を溶剤もしくは水性媒体に溶解もしくは乳化・分散したもの、または非溶媒系の高分子化合物溶液中に前記炭素繊維織物を浸漬し、前記炭素繊維織物に高分子物質を含浸させ、ついで、ナイフコーターやパイプコーター、スリット、ロール等を用いて余分な高分子化合物溶液を掻きとって高分子化合物の含浸量を均一にした後、含浸物を乾燥及び/又は熱処理する方法等が挙げられる。図3にコーターで炭素繊維織物から高分子化合物溶液を掻き取る方法の概略を示す。図4にナイフコーター及びパイプコーターの先端の形状の略図を示す。このようにして前記炭素繊維織物に高分子化合物を含浸させることにより、炭素繊維織物の表面及びたて糸とよこ糸との交差部に高分子化合物を含浸させることができ、摩擦を受けると表面毛羽が発生したり、擦り減ったり、穴があいたりするのを防ぐことができ、さらに、着色布帛の単繊維の切断した端部(毛羽)が、人体の皮膚に触れて皮膚を刺激したり、かゆみを感じさせたりするのを防ぐことができる。
布帛の種類や用途によって、布帛と高分子化合物(樹脂)の適正な比率は異なる。例えば、織物に比べ嵩高性の高い編物は、樹脂の割合を織物より多くすることが好ましい。織物においては、目付けの少ない織物は、目付けの多い織物より樹脂の割合を比較的多くすることが好ましい。目付け50g/m2の織物の場合、樹脂量が5〜300g/m2(織物:樹脂量の比率=90:10〜15:85)が好適である。
乾燥温度が低いと透明性は良好だが、生産性は下がる。また、乾燥温度が高いと生産性は上がるが、透明性が損なわれる。
前記の乾燥物の熱処理は、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されず、常法に従い行われてよい。加熱温度は、通常、80〜200℃であり、好ましくは100〜180℃であり、より好ましくは120〜160℃である。
高分子化合物は、柔軟性を有する着色布帛を製造する場合、製造された柔軟性を有する着色布帛が、JIS L 1096−2002 8.19.2 B法(スライド法)に準じた下記の方法で測定される剛軟性(自重垂下の長さ)が80mm以上であるのが望ましい。
本発明の着色布帛の断片を試験片として採取し、採取した試験片の大きさを2×30cmとし、試験器に取り付ける試験片の長さL=25cmとした以外は、JIS L1096 8, 19.2 B法(スライド法)に準じて、試験片の自由端が移動台から離れる時の値δ(単位:mm)をスケールによって読み、この値δを指標として本発明の剛軟性を定義する。試験片の自由端が移動台から離れる時の値が自由端の垂下長であり、試験片が柔軟であるほど自由端の垂下長は長くなる。剛軟性の測定方法の模式図を図6に示す。
前記高分子化合物には、着色布帛の耐久性、耐薬品性を上げる為に架橋剤を混合してもよい。また、機能性、加工性、柔軟性等を考慮し、紫外線吸収剤、難燃剤、可塑剤等を添加してもよい。さらに、表面の粘着性を考慮し、粘着防止剤等を添加してもよい。
コレステリック液晶顔料による着色は、基布が黒色であると、よりカラーフロップ効果が高い。コレステリック液晶に進入した光は、コレステリック液晶によって反射された特定の波長の光と透過した光に分けられ、表面からは反射された光のみが着色された色として見える。透過した光は、黒色の基布に吸収されるので、反射された光はより強く発色する。
布帛が暗色でない場合は、あらかじめ布帛に暗色系顔料を含むコーティング層を設けておく必要がある。暗色系顔料としては、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されないが、例えばカーボンブラック、アニリンブラックまたは酸化鉄ブラック等が挙げられ、これらの顔料は、1種に限らず2種以上を混合して用いることができる。
前記液晶性物質としては、例えばコレステリック液晶等が好適に挙げられ、具体的には、下記式:
前記液晶性物質は、ネマチック液晶、スメクチック液晶又はディスコチック液晶にキラル物質を添加することにより製造することができ、例えば特開昭58−17119号公報、特開平2−149544号公報等に製造方法が開示されている。キラル物質の性質と割合により、液晶性物質が有するねじれ構造のピッチが決まり、反射光の波長が決まる。前記液晶性物質は、UV〜IRの範囲の光波長に相当するピッチのねじれ構造を有する。この構造体のねじれは、左ねじれでも、右ねじれでもよい。前記の液晶性物質としては、原則として、全てのコレステリック液晶を使用することができる。1種のコレステリック液晶を用いてもよいし、少なくとも2種のコレステリック液晶の混合物を用いてもよい。
本発明における「平均粒子径」は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される値であり、体積基準のメジアン径が累積分布の50%に相当する粒子径(d50)を意味し、例えばCoulter Electronics社(英国)製コールターマルチサイダーを用いて、体積基準により測定できる。
本発明における粒子の「平均厚み(μm)」は、〔4000/水面被覆面積(cm2/g)〕式により求められた値であり、その測定方法は例えば「アルミニウムハンドブック」(昭和47年4月15日発行第9版、社団法人 軽金属協会;朝倉書店)第1243頁に記載されている。
本発明の着色布帛に含まれるコレステリック液晶顔料の量は、着色布帛全体に対して通常0.001〜5質量%程度、好ましくは0.01〜3質量%程度である。
コーティング剤に含まれる液晶顔料の含有量は、通常0.1〜7%(w/w)程度、好ましくは0.3〜5%(w/w)程度である。
また、コーティング剤にコレステリック液晶顔料とコレステリック液晶顔料以外の顔料とを混合して用いる場合、コレステリック液晶顔料以外の顔料の添加量は、通常0.01〜1%(w/w)程度、好ましくは0.1〜0.8%(w/w)程度である。適切な色調の顔料の添加により、彩度が高くなる。
前記の塗布物の乾燥及び熱処理は、上記の樹脂加工処理と同様にして行うことができる。
さらに、本発明の着色布帛は、コレステリック液晶顔料を含むコーティング剤を常法に従い塗布したのち、次いで透明な高分子化合物を塗布してもよい。
本発明における彩度及び色相角は、L*a*b表色系色度図において、彩度をC*(以下、C*abともいう。)、色相角(色相ともいう。)をh*(以下、h*abともいう。)として表示され、前記彩度C*及び色相角h*は、色度a*及びb*という単位を用いて算出することができ、彩度C*は、下記式(1):
で表される。前記色相角h*は、a*値およびb*値が、a*≧0、かつb*≧0の場合には、下記式(2):
で表され、a*≧0、かつb*<0の場合には、下記式(3):
で表され、a*<0の場合には、
で表される角度(度)を表す。彩度C*及び色相角h*の測定方法は、特に限定されない。彩度C*及び色相角h*は、例えば分光高度計(例えば変角高速分光光度計GSP−2(光源12V100Wハロゲンランプ、(株)村上色彩技術研究所製))で、試料の−45°方向から照射し、受光角−80°から80°まで5°おきに測定することができ、測定した彩度C*から彩度C*の平均値を算出することができ、最大色相角差ΔHは、測定した色相角h*の最大値と最小値の差を示す。但し、一般に、受光角が、照射角±5°の範囲は測定が困難なので、測定点から除外する。
また、本発明の着色布帛の耐光堅牢度(単位:級)は、通常、JIS L 0842 第3露光法に記載の方法に従い測定することができ、例えば紫外線ロングライフフェードメーター(型式:U48、スガ試験機(株)製)を用いて測定することができる。本発明の着色布帛の耐光堅牢度は通常3級以上であり、好ましくは4級以上である。
さらに、本発明の着色布帛は、高分子化合物が炭素繊維の表面及びたて糸とよこ糸の交差部に含浸していることから、着色布帛の裁断加工、縫製加工、壁等への貼り付け加工中の毛羽立ちやホツレを防止することができる。
布帛が不織布、フェルト紙の場合は、繊維と繊維の交差部に高分子化合物が含浸していることから、毛羽やホツレが生じにくい。
また、本発明の着色布帛は、物性面での優れた特長と同時に、表面光沢と黒さを保ち、特に基材の布帛が炭素繊維織物の場合は、その特長であるたて糸、よこ糸の見た目の明度差を損なわないという効果を奏する。
また、着色した合成樹脂フィルム、金属箔等を貼着することもできる。
本発明の着色布帛は、通常、耐摩耗性において、下記(a)の試験方法に従い摩耗試験を行い、下記(b)の判定方法によって判定される外観変化がA級(異常無し)であるという効果を奏する。
(a) 試験方法 JIS L0849−2002 4.1.1
(b) 判定方法 JIS L1096−2002 8.17.3(d)
前記した引き抜きに係る抵抗値の範囲においては、布帛の裁断、縫製加工中のたて糸、よこ糸のほつれや毛羽立ち、縫い目ズレが起こりにくく、取り扱いが良好である。引き抜きに係る抵抗値が0.02N/TEX未満であると摩耗による毛羽立ちが発生しやすく、たて糸、よこ糸のホツレが起こりやすく裁断、縫製において支障をきたし、また、柔軟性を有する着色布帛の場合、縫製によって作られたバッグや、コインケース等の製品も摩耗による毛羽立ちや縫い目ズレ等が起こりやすく、商品として好ましくない。柔軟性を有する着色布帛の場合、引き抜きに係る抵抗値が0.4N/TEX以上であると、着色布帛が硬く縫製によって作られたバッグやコインケースの柔軟性において好ましくない。
また、縫製品では無く凹凸のある物体や、凹凸のある壁面に貼り付ける場合は、剛軟性が80mm以下であっても、カラーフロップ性応用した家具の外装や、建物の内外装、自動車の内外装などに好適である。凹凸のある物体や、凹凸のある壁面へ貼り付ける場合、凹凸への添いやすさから剛軟性は40mm以上が好ましい。
本発明の着色布帛は通常、JIS L 1096 8.21.1 A法に従い測定される縫目滑りの最大孔の大きさが1.0mm以下であり、かばん等の縫製品の使用時に縫目にかかる荷重に対して十分な耐久性能を持つ。
また、本発明の着色布帛は難燃特性を持つ。JIS L 1091E法に従い測定されるLOI値は25〜32であり、燃えにくい素材であるといえる。また、鉄道車両用材料燃焼試験による判定方法では難燃性であった。本発明の着色布帛は、柔軟性を有する着色布帛の場合、はさみ等で容易に裁断でき、柔軟であるので適当な接着剤を用いて板や金属板と張り合わすことが容易である。特に金属板と本発明の着色布帛を貼り合せた複合版は、鉄道車両用材料燃焼試験において着色布帛の表面に炎を当てる試験において不燃性であった。本発明の着色布帛は金属板と複合することにより鉄道車両用材料としても使用できる。貼り合わせる金属板はアルミ板が好適に挙げられる。
東レ(株)製の炭素繊維(商品名:トレカ)T300−3K糸(繊度198TEX、引張強度3.53GPa、引張弾性率230GPa)をたて糸及びよこ糸に用いて、たて糸密度5(本/cm)、よこ糸密度5(本/cm)で、織物組織が平織の織物を製織して炭素繊維織物を作成した。本織物の目付けは200g/m2、L値は32.4であった。
コーティング第1層;得られた炭素繊維織物にポリウレタン樹脂系クリアーバインダー(商品名:シャインバインダーB−1006、主成分:ポリウレタン樹脂エマルジョン、(株)松井色素化学工業所製)乳化液を水で希釈して調整した20%(w/w)コーティング剤溶液[粘度:10,500mPa・S{測定条件:JIS Z 8803 液体の粘度−測定方法に記載の方法に従う、(株)トキメック製のB形粘度計 ローターNo.4、回転数4rpm、1分、20℃}]に3秒間浸漬したのち、余分な溶剤溶液をパイプコーターで掻き取り一定の含浸率とした。その後、60℃、3分で乾燥を行い、ついで160℃、3分で熱処理を行った。得られた樹脂加工織物(シート)における樹脂含浸量は70g/m2(繊維:樹脂の重量比率=74:26)であった。
コーティング第2層;コーティング層第1層の上に、以下の方法により、第2層目のコーティング層を作製した。前記の粘度調整したポリウレタン樹脂系クリアーバインダーの乳化母液[粘度:10,500mPa・S{測定条件:前記と同一}]に、コレステリック液晶顔料(商品名:“HELICONE HC” Scarabeus、ワッカーケミー社製、販売元:山本通算(株))3%(w/w)を添加した乳化液を作製した。該乳化液中に前記樹脂加工シートを3秒間浸漬したのち、余分な溶剤溶液をナイフコーターで掻き取り一定の含浸率とした。その後、60℃、3分で乾燥を行い、ついで160℃、3分で熱処理を行って、コーティング第1層の表面にコレステリック液晶顔料を含むコーティング第2層が設けられた、ブルー〜グリーンに見える着色された樹脂加工織物(シート)を得た。得られた樹脂加工織物(シート)における合計樹脂含浸量は141g/m2(繊維:樹脂の重量比率=59:41)であった。この樹脂加工シートは、彩度平均値Cav=24.6で高い彩度を持ち、最大色相角差ΔH=184.6で高いカラーフロップ性を示した。剛軟性は、122mmであった。その他の特性は、以下の通りであった。
縫い目滑脱:0.3mm
引き抜き抵抗値タテ: 0.126N/TEX
引き抜き抵抗値ヨコ: 0.126N/TEX
耐摩耗性:表(A)、裏(A)
LOI値:25
コレステリック液晶顔料を“HELICONE HC” Acuarius(SLM90020)(商品名、ワッカーケミー社製、販売元:山本通算(株))とする以外は、実施例1と同様にして着色された樹脂加工織物(シート)を得た。
コレステリック液晶顔料を“HELICONE HC” Jade(ワッカーケミー社製、販売元:山本通算(株))とする以外は、実施例1と同様にして着色された樹脂加工織物(シート)を得た。
コレステリック液晶顔料を“HELICONE HC” Maple(ワッカーケミー社製、販売元:山本通算(株))とする以外は、実施例1と同様にして着色された樹脂加工織物(シート)を得た。
コレステリック液晶顔料の添加量を0.5%(w/w)とする以外は、実施例1と同様にして着色された樹脂加工織物(シート)を得た。
コレステリック液晶顔料の添加量を1.0%(w/w)とする以外は、実施例1と同様にして着色された樹脂加工織物(シート)を得た。
コーティング第2層に用いる乳化液に、コレステリック液晶顔料の他に、さらに顔料(商品名:Ryudye Green FBT、大日本インキ化学工業(株)製)0.5%(v/v)を添加する以外は、実施例1と同様にして着色された樹脂加工織物(シート)を得た。
コーティング第2層に用いる乳化液に、コレステリック液晶顔料の他に、さらに顔料(商品名:Dexcel Black HB、大日本インキ化学工業(株)製)0.5%(w/w)を添加する以外は、実施例1と同様にして着色された樹脂加工織物(シート)を得た。
コレステリック液晶顔料の代わりに、顔料(商品名:Ryudye Green FBT、大日本インキ化学工業(株)製)を用いる以外は、実施例5と同様にコーティング第2層を作製した。さらに、コーティング層第2層の上に、以下の方法により、第3層目のコーティング層を作製した。実施例1に記載のポリウレタン樹脂系クリアーバインダーの乳化母液[粘度:10,500mPa・S{測定条件:実施例1と同一}]に、コレステリック液晶顔料(商品名:“HELICONE HC” Scarabeus、ワッカーケミー社製、販売元:山本通算(株))3%(w/w)を添加した乳化液を作製した。該乳化液中に前記樹脂加工シートを3秒間浸漬したのち、余分な溶剤溶液をナイフコーターで掻き取り一定の含浸率とした。その後、60℃、3分で乾燥を行い、ついで160℃、3分で熱処理を行って、着色された樹脂加工織物(シート)を得た。
炭素繊維織物の代わりに、炭素繊維とパラ系アラミド繊維の交織織物を用いる以外は、実施例1と同様にして、着色された樹脂加工織物(シート)を得た。前記炭素繊維とパラ系アラミド繊維の交織織物の製織方法を以下に示す。
たて糸に東レ・デュポン(株)製のパラ系アラミド繊維(商品名:ケブラー)3300DTEX−T950糸(繊度330TEX、引張強度2.9GPa,引張弾性率71GPa)を使用し、よこ糸に東レ(株)製の炭素繊維(商品名:トレカ)T300−3K糸(繊度198TEX、引張強度3.53GPa,引張弾性率230GPa)を二本引きそろえて繊度396TEXの太さとして使用した。織物密度は、たて糸3.5(本/cm)、よこ糸3.5(本/cm)で、平織りの織物を製織した。得られた交織織物は、繊維素材の割合が、重量比でパラ系アラミド繊維45.5%、炭素繊維54.5%で、目付けは、260g/m2、L値は58.4であった。
実施例1に記載の炭素繊維織物に不飽和ポリエステル樹脂(商品名:ユピカ FLT−125、日本ユピカ(株)製)を次の方法で塗布した。表面が平滑なガラス板の上に不飽和ポリエステル樹脂をスプレーガンで塗布し、その上に前記炭素繊維織物を置き、さらに不飽和ポリエステル樹脂を塗布して炭素繊維織物に前記樹脂をよくしみ込ませ、常温で24時間放置して硬化させたのち、ガラス板から分離して樹脂加工織物(繊維強化プラスチックス板(以下、FRP板と略する))を作製した。得られた樹脂加工織物の目付は、450g/m2で、樹脂含浸量は、250g/m2(繊維:樹脂の重量比率=44:56)であった。
得られた樹脂加工織物(FRP板)の、ガラス板に接していた平滑な面に実施例1と同様にして、コーティング剤を塗布して、着色されたFRP板を得た。得られた着色FRP板の剛軟性(自重垂下の長さ)は、JIS L 1096−2002 8.19.2 B法(スライド法)に準拠した前記方法で測定した結果、75mmであった。
コレステリック液晶顔料の代わりに、顔料(商品名:Dexcel G. Yellow HR、大日本インキ化学工業(株)製)を用い、顔料の添加量を0.5%(w/w)とする以外は実施例1と同様にして、着色された樹脂加工織物(シート)を得た。彩度平均値はCav=19で十分な彩度を持っているが、最大色相角差ΔH=13.4でカラーフロップ性があるとはいえない。
炭素繊維織物の代わりに、パラ系アラミド繊維織物を用いる以外は、実施例1と同様にして、着色された樹脂加工織物(シート)を得た。得られた樹脂加工織物(シート)の彩度平均値はCav=43.7で十分な彩度を持っているが、最大色相角差ΔH=25.5で、カラーフロップ性があるとはいえない。前記パラ系アラミド繊維織物の製織方法を以下に示す。
東レ・デュポン(株)製のパラ系アラミド繊維(商品名:ケブラー)3300DTEX−T950糸(繊度330TEX、引張強度2.9GPa,引張弾性率71GPa)を、たて糸及びよこ糸に使用して、平織りの織物を製織した。織物密度は、たて糸3.5本/cm、よこ糸3.5本/cm、目付は241g/m2、L値は、76.0であった。
炭素繊維の平織物の代わりに、白色のポリエステル生地(ポリエステル100%、たて、よこ糸ともにポリエステル84T−72F−W20,繊度:8.4Tex、たて糸密度:43.3本/cm、よこ糸密度:37.4本/cm、目付け:83g/m2、素材名:ウーリータフタ、東レ(株)製、L値:94.9)を用いる以外は、実施例1と同様にして樹脂付着量が119g/m2の着色された樹脂加工シートを得た。得られた樹脂加工織物(シート)の彩度平均値はCav=6.1で彩度は低く、最大色相角差ΔH=28.2でカラーフロップ性があるとはいえない。
実施例1〜11及び比較例1〜3で得られた着色された樹脂加工織物(シート)を測定試料とし、変角高速分光光度計GSP−2(光源12V100Wハロゲンランプ、(株)村上色彩技術研究所製)で、試料の−45°方向から照射し、受光角−80°から80°まで5°おきにC*、h*を測定し、測定した彩度C*から彩度の平均値Cavを算出し、測定した色相角h*の値から最大色相角差ΔHを算出した。また、JIS L 0842 第3露光法に記載の方法に従い、紫外線ロングライフフェードメーター(型式:U48、スガ試験機(株)製)を用いて耐光堅牢度(級)を測定した。結果を表1に示す。なお、実施例3で得られた着色された樹脂加工織物の彩度C*および色相角h*を代表例として図5に示す。
2:外側舌片
3:中央舌片
4:コーター
5:繊維布帛
6:布の進行方向
7:コーティングする樹脂液
8:ナイフコーター先端部断面形状
9:パイプコーター先端部断面形状
10:試験片
11:試験器
12:移動台
13:自重垂下の長さ
14:試験片の長さ
Claims (2)
- 炭素繊維を素材とする布帛の表面が、ウレタン系熱可塑性エラストマーのエマルジョンを当該布帛に均一に含浸させて乾燥および/又は熱処理することにより平滑化されたものであって、上記平滑化された布帛の表面にコレステリック液晶顔料を含むコーティング層が設けられてなることを特徴とするカラーフロップ性を有する着色布帛。
- 炭素繊維に代えて、20質量%以上の炭素繊維と他の繊維とを混合したものを用いることを特徴とする請求項1に記載の着色布帛。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008167789A JP5139172B2 (ja) | 2008-06-26 | 2008-06-26 | カラーフロップ性を有する着色布帛 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008167789A JP5139172B2 (ja) | 2008-06-26 | 2008-06-26 | カラーフロップ性を有する着色布帛 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010007204A JP2010007204A (ja) | 2010-01-14 |
JP5139172B2 true JP5139172B2 (ja) | 2013-02-06 |
Family
ID=41588006
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008167789A Expired - Fee Related JP5139172B2 (ja) | 2008-06-26 | 2008-06-26 | カラーフロップ性を有する着色布帛 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5139172B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6507001B2 (ja) * | 2015-03-25 | 2019-04-24 | スターライト工業株式会社 | 炭素繊維強化樹脂加工シート |
JP7083713B2 (ja) * | 2018-07-05 | 2022-06-13 | パイロットインキ株式会社 | 難燃性変色体 |
CN109440466A (zh) * | 2018-09-30 | 2019-03-08 | 江南大学 | 一种液晶纤维及其制备方法 |
KR102659605B1 (ko) * | 2023-02-14 | 2024-04-19 | 주식회사 드림워커 | 의류용 탄소섬유 코팅소재 및 이를 제조하는 방법 |
Family Cites Families (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS6166639A (ja) * | 1984-09-10 | 1986-04-05 | 豊田合成株式会社 | 植毛製品 |
JPS61215777A (ja) * | 1985-03-18 | 1986-09-25 | 藤井毛織株式会社 | 基材への液晶塗布方法 |
JPH08192502A (ja) * | 1995-01-18 | 1996-07-30 | Toyo Cloth Kk | カラーフロップ性塩ビシートおよび塩ビレザー |
JP2004136237A (ja) * | 2002-10-18 | 2004-05-13 | Nippon Paint Co Ltd | 外光により色相外観が異なる塗膜の形成方法及び塗装物 |
JP4118171B2 (ja) * | 2003-03-11 | 2008-07-16 | 日本ペイント株式会社 | 光輝性塗膜形成方法、塗装物およびアルミホイール |
JP2005146452A (ja) * | 2003-11-13 | 2005-06-09 | Itoyoshi:Kk | 装飾織布及びその製造方法 |
JP4958524B2 (ja) * | 2005-11-28 | 2012-06-20 | 平松産業株式会社 | 樹脂加工した炭素繊維シートおよびその製造方法 |
JP4943006B2 (ja) * | 2006-01-06 | 2012-05-30 | セーレン株式会社 | シート材およびその製造方法 |
-
2008
- 2008-06-26 JP JP2008167789A patent/JP5139172B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010007204A (ja) | 2010-01-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5676055B2 (ja) | 互いに異なる液状シリコンゴムコーティング液を利用した合成皮革の製造方法 | |
JP6334571B2 (ja) | リバーシブル迷彩材料 | |
JP4958524B2 (ja) | 樹脂加工した炭素繊維シートおよびその製造方法 | |
CN103060999B (zh) | 一种防水织物及其制备方法 | |
JP5139172B2 (ja) | カラーフロップ性を有する着色布帛 | |
TWI726912B (zh) | 著色纖維布帛及著色纖維布帛之製造方法 | |
WO2008041570A1 (fr) | Matière fibreuse pour teinture en pièce | |
JP2019052391A (ja) | 複合布帛 | |
Kovačević et al. | Coated textile materials | |
KR100901199B1 (ko) | 휘도와 강도가 개선된 시인성 형광/축광 폴리우레탄 필름의제조 방법 | |
JP3735657B2 (ja) | 編織組織が透視可能な光輝性複合膜材 | |
JP6581261B2 (ja) | 布帛 | |
TW201907075A (zh) | 絨毛狀人工皮革 | |
EP2905375B1 (en) | Method for producing a fabric with a skin-like appearance, similar to leather, and corresponding fabric produced | |
JP2008238461A (ja) | コーティング布帛 | |
CA2504071A1 (en) | Flame retardant camouflage material for military applications | |
KR100747702B1 (ko) | 시인성이 우수한 직물 및 이의 제조방법 | |
US12043956B2 (en) | Napped artificial leather | |
JPS6164447A (ja) | 積層体 | |
KR101854301B1 (ko) | 히든 재귀반사 원단 및 이의 제조방법 | |
CN1434887A (zh) | 以平幅形式染色后具有无方向表面特征的正面整理织物 | |
KR100721993B1 (ko) | 인조가죽사 제조방법 및 인조가죽사 | |
CN1844560A (zh) | 反光布的制作方法 | |
CN107696619A (zh) | 一种高分子多层防水晴雨伞布料 | |
JP3209650U (ja) | 炭素繊維強化樹脂加工シート |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20101221 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120221 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120420 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120703 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120710 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121113 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121115 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151122 Year of fee payment: 3 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |