JP4942907B2 - 低レベルホウ素の検出と測定 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は一般に、よくイオン化された錯体を形成する、ホウ酸とよく知られたポリオールの反応に基づいて、脱イオン水中の低濃度のホウ素を検出し測定する方法および装置に関する。このようなよくイオン化された錯体の形成により、脱イオン水の伝導率が急激に増加し、この増加は水中のホウ素濃度と数学的に関連付けられることが見出された。本発明の方法には特に、濃縮されたポリオールの、非常に小さい「一分量(plugs)」あるいはアリコート(aliquots)をホウ素含有および非含有水試料に注入し、ホウ素含有および非含有試料の間の伝導率差を測定することが含まれる。本発明に従ってポリオールに起因する伝導率の増加と温度に対して補正した後、本発明の方法および装置を利用して、低濃度ホウ素の非常に正確な測定値を得ることができる。
【0002】
(発明の背景)
高い正確度と優れた結果の再現性をもって、脱イオン水中の、非常に低濃度のホウ素を検出し測定できることが、最近益々重要になってきている。例えば、半導体製造などのある特定の工業的な応用では、製造に用いられる脱イオン水中の非常に低レベルのホウ素でさえ、得られた製品の品質および性能に重大な悪影響を及ぼす。
【0003】
半導体を製造するプロセスでは、大量の超純水が必要とされる。ホウ素は、非常に低濃度になるまで必ず除去されなければならない汚染物質の1つである。ホウ素は、固体エレクトロニクスの製造に用いられる、半導体のp型ドーパントであり、シリコン結晶での主な電荷キャリアとして機能する。したがって、ホウ素は製造プロセスの間に意図的ではなく偶然には決して加えられてはならない。S.Malhotra等は、「Correlation of Boron Breakthrough versus Resistivity and Dissolved Silica in RO/DI System(RO/DIシステムにおけるホウ素漏出と抵抗率および溶解シリカの相関)」(Ultrapure Water、May/June 1996.13(4):p.22−26)において、ホウ素は、イオン交換樹脂床が薄膜複合体(thin−film−composite、TFC)逆浸透膜に切り換わるときに、イオン交換樹脂床から漏出する最初のイオンであるということを報告した。(酢酸セルロース逆浸透膜に代わる)TFC逆浸透(RO)膜の導入はRO装置を透過するシリカを減らすのに非常に有効であった。しかし、ホウ素の透過は大きく低下しなかった。通常のROによる前処理の後の混床式イオン交換樹脂床から最初に漏れるのは、シリカやホウ素などのわずかにイオン化された化合物である。TFCRO膜を用いると、シリカの透過はホウ素の透過よりずっと少ない。したがって、ホウ素は多くの場合、ROTFC前処理を利用する純水化システムにおける混床式イオン交換樹脂床から漏出する最初のイオンである。供給水が高レベルのホウ素を含む場合に、これは特に正しい。陰イオン交換樹脂へのホウ酸イオンの吸着は、超純水からホウ素を除去する最も一般的な方法である。しかし、樹脂が使い果たされ始めたとき、ホウ酸イオンは漏出する最初のイオンの1つである。このようなホウ酸イオンの漏出は通常、許容される濃度レベルを速やかに超える。
【0004】
このように、半導体製造および他の多くの応用で、水中の非常に低レベルのホウ素を、素早く正確に費用をあまりかけずに、また脱イオン水をオンラインで流したままで、監視できることが求められている。非常に低レベルの、水中のホウ素の信頼できる測定値を得るためには、また、従来の手法における小さな誤差の考えられる多くの原因、例えば、不必要だが起こりうる試料の汚染、流量の変動による測定値への影響、およびホウ酸のイオン化を促進するために添加されるポリオールにより引き起こされる水の伝導率の小さな変化などを解消するか、あるいは少なくとも最少化する方法および装置が必要とされる。過去において、このような小さな誤差の原因は、測定された比較的高濃度のホウ素に対して重要ではないとして大部分無視されてきた。しかし、益々より低濃度のホウ素を測定することが必要になったので、従来技術による測定法に固有の、非常に小さな測定誤差でさえ益々重大になり、パーセンテージで評価すると大きな測定誤差の原因になっている。
【0005】
当技術分野において、伝導性ポリオール−ホウ素錯体を生成させて伝導率測定検出法を利用することは一般に知られている。しかし、これらの従来技術のポリオール−ホウ素錯体伝導率測定法は、従来技術の熱量測定法と同じく、半導体製造で使用される精製水中の非常に低濃度のホウ素を検出するのに十分な感度がない。また、水中の非常に低レベルのホウ素を従来技術の方法を用いて測定するためには、十分に高精度な検出を実現するために、何らかの形で水試料中のホウ素を予備濃縮する必要がある。これらの追加の工程はさらなる誤差と複雑さを測定プロセスに導入する。これら従来技術のホウ素検出プロセスのいくつかならびにそれらの限界と欠点を以下にさらに記載する。
【0006】
従来技術のホウ素測定手法の1つはICP−MSである。予備濃縮工程を伴うICP−MSによるホウ素検出は、現時点で、文献に報告された最も高感度な測定法である。検出限界はBとして約0.005ppbであると報告されている。しかし、予備濃縮しなければ、ICP−MSを用いる検出限界はずっと高く、Bとして約0.050ppbである。ICP−MS装置の価格は非常に高く、この事が障害となって、それはオンラインでリアルタイムでホウ素濃度を測定するために広く使用されていない。
【0007】
ダイオネクス社(Dionex Corporation)はホウ素濃度を測定するためのイオンクロマトグラフィー法を開発した。この方法は予備濃縮のためにポリヒドロキシ官能基が付けられたスチレン系樹脂を用いる。この樹脂のポリヒドロキシ基−ホウ素錯形成定数は、ホウ素−マンニトール錯形成定数より小さい。このために、水試料から樹脂がホウ素を集め、そしてこの収集が完了した後で、100mMマンニトールおよび2mMのH2SO4溶離液を用いて、樹脂からホウ素を除去することができる。濃縮されたホウ素は、樹脂が詰められたイオン分離カラムに移される。分離カラム樹脂は陰電荷をもっている。このためにホウ酸−マンニトール陰イオンのイオン排除分離が可能になる。次に、伝導率測定検出がホウ酸−マンニトール錯体を測定するのに用いられる。予備濃縮カラムを用いてのホウ素検出限界は、Bとして0.050ppbと報告された。しかし、その複雑さのために、このシステムは水中のホウ素のオンライン測定にはうまく適していない。ホウ素分析のこのシステムは1998年のSPWCCでB.Newtonにより報告された(SPWCC、pp.197−216、1998)。
【0008】
P.Cohen等(米国特許第3,468,764号)は、水中のホウ素の分析法および装置の別の案を記載した。この装置では、ホウ素含有水、ならびに周期的に既知のホウ素標準がマンニトール圧縮球床に導入され、そして次に、得られたホウ素−マンニトール錯体の伝導率が測定される。水試料とホウ素標準の間の伝導率差が試料中のホウ素濃度に比例する。この装置は原子力発電産業において広く見出される濃度範囲のホウ素に用いられる。検出器の応答は800から3200ppmの濃度範囲にわたって第1の勾配で線形であり、0〜800ppmの濃度範囲に渡ってもまた線形であるが第2の非常に異なる勾配をもつと報告されている。ホウ素は中性子に対して大きな放射断面積をもち、このために原子炉を制御するのに使用される。Cohen等の‘764特許と本発明の間にはいくつかの違いがある。
【0009】
Cohen等の装置では、正確な低レベルホウ素の測定値を得るために、ポリオール/ホウ素非含有水の伝導率を測定する必要性が考慮に入れられていない。この見落としにより、非常に低濃度のホウ素測定に許容しえない誤差が導入される。
【0010】
Cohen等の‘764特許では、本発明の欠かせない態様である特徴の、ポリオール/ホウ素含有試料の伝導率をポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率と比較するということをしていない。
Cohen等の装置では、試料あるいはホウ素標準をマンニトール球床の上に流すことによりマンニトールが加えられる。対照的に、好ましい実施形態において本発明では、ホウ素含有試料あるいはホウ素非含有試料の微少な流れに、僅かな容積の、濃縮された、飽和してさえいるポリオール溶液が注入される。Cohen等のポリオール添加方法は試料の流量とマンニトール床のその時の表面積に影響されやすい。滞留時間が余りに短いと、マンニトール濃度が変化するであろう。マンニトール濃度が飽和するように流れを制御できれば、その場合マンニトールの濃度は安定するであろう。しかし、このような修正はCohen等により記載されていないし、本発明の構成にも適合しない。さらに、Cohen等の構成は一般にマンニトールの消費が多い。
【0011】
最後に、Cohen等は、ポリオールの伝導性を変えてしまう可能性があるイオンを、ポリオール溶液を水試料へ添加する前に除去するための、ポリオール溶液の脱イオン化について教示しておらず、このためにもやはりホウ素測定値に不一致と不正確さが導入される。
Ikuo Yabe(米国特許第4,204,259号)は、加圧水型原子力発電所の1次冷却水で使用でき、またそれゆえに一般に、比較的高濃度のホウ素測定に関する装置を教示する。この特許では、マンニトール溶液とホウ素含有水試料(あるいはホウ素標準)が合わせて混合される。このホウ素含有水試料(あるいはホウ素標準)の伝導率が、マンニトールが添加される前に、第1の伝導率セルで測定される。マンニトール/ホウ素含有試料は温度補正装置を通り、次いで第2の伝導率測定セルに送られる。この装置では、第1の伝導率セルでリチウム(Li)が測定され、第2の伝導率セルで行われるホウ素測定が、Liの伝導率への寄与に関し補正される。Yabeの‘259特許と本発明の間にはいくつかの違いがある。
【0012】
Yabeの‘259には、マンニトール溶液をホウ素含有試料(あるいはホウ素標準)と連続的に混合するという発明が記載されている。ポリオールを添加するこの方法もまた、試料の流量およびマンニトールの流れの変動に影響をうけやすく、それゆえに測定誤差を導入する。
Yabeの‘259のプロセスでは、連続添加法が用いられているので、大量のマンニトールが消費される。対照的に、本発明でのポリオール添加の好ましい方法では少量のアリコートが注入される。
【0013】
Yabeの‘259では、正確な低レベルホウ素測定値のために、ポリオール/ホウ素非含有試料に帰せられる付加された伝導率に関して補正する必要性が考慮されていない。このために低濃度のホウ素測定値に許容しえない誤差が導入される。
本発明では、ポリオール/ホウ素含有試料の伝導率とポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率が比較される。Yabeの‘259はホウ素測定でのこの欠かすことのできない工程を教示しない。
【0014】
最後に、Yabeの‘259は、ポリオールの伝導率を変えてしまう可能性があるイオンを、ポリオール溶液を水試料へ添加する前に除去するための、ポリオール溶液の脱イオン化について教示しておらず、このためにもやはりホウ素測定値に不一致と不正確さが導入される。
「Flow−Injection Determination of Boric Acid(ホウ酸のフロー・インジェクション測定)」という標題のロシアの雑誌刊行物(O.V.Krokhim等、Zhurnal Analiticheskoi Khimii、Vol.47、No.5、pp.773−775(1992年5月))は、水中の高レベルのホウ素を測定するためにフロー・インジェクション法を使用することを記載する。この手法を用いて線形測定できるホウ素の濃度範囲は10ppm Bから16,000ppm Bであると報告されている。
【0015】
この方法と本発明には、いずれもホウ素濃度測定のためにフロー・インジェクション法を用い、またいずれも溶液中のホウ素量の尺度として、ポリオール/ホウ素含有試料水溶液の伝導率を用いるという点でいくつかの表面的な類似点がある。
しかし、ロシア雑誌の文献に教示される方法と本発明の間にはいくつかの重要な違いがある。Krokhim等により記載された方法はポリオール/ホウ素非含有のバックグラウンドを測定していないので、それは、0.00ppbから1000ppb(1ppm)の非常に低レベルのホウ素を正確に測定することができない。さらに、Krokhim等の方法は10ppm Bから16,000ppm Bの概ね線形の応答範囲を記載する。対照的に、本出願の発明では、0.05ppb B未満から始まり1000ppb B以上までの範囲に渡る、数学的に関連づけられた応答範囲がある。
【0016】
Krokhim等により実施された方法では、試料を脱イオン(DI)水流に注入し、次いでこの結果生成した流れを高濃度ポリオール溶液の別の流れと混合することにより、多量のポリオールが消費される。対照的に、本発明では、脱イオン水試料に高濃度ポリオールを直接少量注入する方式であるため、ホウ素濃度測定を行なうために少量のポリオールが消費されるだけである。少量のポリオールを用いる、このような改良された方法により、この手法はオンラインでコンパクトな測定用装備を用いるという、従来技術のホウ素測定プロセスで実現するのは事実上不可能であったことを可能にする。また本発明で試薬の消費効率が向上したことにより、運転コストが低下し、器具の容積が小さくなり、工業的生産現場での設置面積が小さくなる。
Krokhim等により教示される方法は結果的に2つの主な流れの流量比の変動に非常に影響されやすい。対照的に、本発明では、濃縮ポリオール溶液が非常に少量のアリコートとして試料に注入されるのでこの問題がない。混合比は正確に固定されており、そのために試料の流量とは無関係である。
【0017】
Krokhim等はまた、測定値が一致せず不正確になる伝導率のバックグラウンドの変動を最少にするための、ポリオール溶液の脱イオン化を教示していない。
さらに、Krokhim等は、本発明にとって欠かすことのできない工程である、ポリオール/ホウ素含有試料水溶液の伝導率をポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率と比較するということをしていない。
【0018】
「硼素測定方法及び装置並びに超純水製造装置及びその運転方法」という特開平10−62371(1998年3月6日に公開)(以後、「特開平10−62371」とする)は、ホウ素−ポリオール錯体化学を利用する、半導体用超純水中のホウ素測定を教示する。特開平10−62371におけるポリオール溶液は、導電性イオンでポリオールを汚染するかもしれないイオンを除去するために脱イオン化される。このプロセスでは、低濃度のポリオールが試料の流れに添加され、少なくともこのような添加の後に得られた溶液の伝導率が測定される。第1の形態(特開平10−62371の図1)において、ポリオールは貯蔵容器からポンプで送り出され、ポンプを通り、混床式イオン交換樹脂を通り試料の流れに入る。反応生成物は伝導率センサで測定される。第2の変形形態(図2)では、試料の流れの伝導率が、脱イオン化されたポリオール溶液の注入前後に測定される。第3の形態(図3)では、ポリオールはポンプ、混床式イオン交換体、およびポリオール貯蔵タンクを通して連続的に再循環する。電気的制御ユニットからの命令で、第2のポンプとバルブが作動して脱イオン化されたポリオールを再循環ループから取り出し、それを試料の流れに添加する。
【0019】
この手法もまた、特開平10−62371の検出器が半導体産業で必要とされる非常に低レベルのホウ素の測定を想定しており、またポリオールはそれが試料の流れに添加される前に脱イオン化されるという点で、本発明との表面的な類似点がいくつかある。しかし、この出願により教示される装置および方法と本発明の間にはいくつかの重要な違いがある。
第1に、特開平10−62371の検出器は超純水中の低レベルのホウ素の測定を想定しているが、このような検出器の構造と運用における多くの重要な欠点のために、非常に低レベルのホウ素の実際のオンライン分析では、この装置の構造と運用によっては十分に高精度の結果は得られない。
【0020】
このような欠点の1つは、特開平10−62371におけるポリオールの注入は連続的であり、(本発明でのように)小さな内径のチューブへの一分量の注入ではなく、したがって流量の変動により、ホウ素測定値の正確度が変化するということである。第2の欠点は、特開平10−62371は、ポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率で伝導率の表示値を所定の仕方で補正することの決定的な重要性を教示あるいは示唆していないということである。第3の欠点は、特開平10−62371はどうしても必要な高精度を得るために濃縮ポリオール溶液を使用する必要性を教示あるいは示唆していないことである。前記の欠点のために、特開平10−62371の方法および装置では、本発明の非常に低レベルのホウ素濃度をうまくまた正確に測定することができない。
【0021】
このように、特開平10−62371では、ポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率は所定の仕方で測定されていないし、ポリオール/ホウ素含有試料のホウ素の応答を補正するのに使われてもいない。その代わりに、特開平10−62371の手法には、ホウ素を含むポリオール非含有試料の伝導率を測定し、次にこのポリオール非含有の伝導率を、伝導率の補正としてポリオール/ホウ素含有試料の伝導率から差し引くという工程が含まれる。この伝導率補正は実施するのが容易であるかもしれないが、重要なことに、本発明の伝導率補正手順に比べて、非常に異なりまたより不正確な結果を与える。これは、本発明の伝導率補正方法がポリオール/ホウ素非含有試料水溶液に帰せられる伝導効果に関して補正するのに対して、特開平10−62371の方法はそうしていないためである。後に記載される本発明の別の特徴である、かなり高濃度のポリオール溶液を使用することにより、ポリオール/ホウ素非含有試料に帰せられる伝導効果はより一層大きくなるので、本発明の伝導率補正方法の必要性はさらに増す。
【0022】
特開平10−62371のプロセスでは、ホウ素含有試料と混合された後のポリオールの濃度は非常に低く、それらはたいして伝導率を増加させない。特開平10−62371における伝導率セルでのマンニトール溶液の濃度は、0.0060モル・マンニトール/リットルと報告されている。この濃度では、マンニトール/ホウ素非含有試料からの伝導率のバックグラウンド(特開平10−62371には示唆さえされていないが)は測定できない。この事実は、特開平10−62371の表1に、マンニトール添加前(18.2メガオーム・cm)及び添加後(18.2メガオーム・cm)でなぜ同一の伝導率が示されているかを説明する。対照的に、本発明では、マンニトール/ホウ素非含有試料のマンニトールの濃度は0.32モル/リットルである。この50倍の高濃度のポリオールで、伝導率のバックグラウンドは、ポリオールを含まない超純水の伝導率(0.055μS/cm)より大きい5.1μS/cmであり、したがって考慮されなければならず、このことは特開平10−62371により教示も示唆もされていない。しかし、さらなる補正工程を必要とする本発明の高いポリオール濃度と引き換えに、本発明のホウ素の1ppbあたりの伝導率の応答は、特開平10−62371の手法を用いて得られる応答に対して大きく増加している(0.05ppbのホウ素での8倍から10ppbのホウ素での14倍まで)。
【0023】
特開平10−62371ではポリオール溶液の濃度が大変低いためにホウ素の測定は高精度ではなくなる。このように、この出願では、ポリオールを節約して使うために、ポリオールは非常に希薄な濃度で添加される。本出願の図13には、特開平10−62371の装置でのデータと本発明の装置および方法を用いた対応するデータとを比較して、ホウ素の測定に低濃度のポリオールを用いることの重大な影響が示されている。特開平10−62371の装置/プロセスで得られたデータに対する伝導率応答曲線は相対的にフラットであるために、0〜10ppbの範囲に渡る非常に低いホウ素濃度を求めることが決定的に困難になっているということが見て取れる。対照的に、本発明を用いて得られた対応するデータに対する伝導率応答曲線には大きな勾配があるので、伝導率の決定的に有意な変化に基づいて、0.05ppbのように小さなホウ素濃度の違いまではっきりと判別できる。しかし、伝導率測定におけるこのような決定的に優れた感度を実現するためには、ずっと高濃度のポリオール溶液を使用することが必要であるということが見出され、これは前記のように、特開平10−62371により教示された装置の構成と運転に全く合致しない。
【0024】
特開平10−62371は、ポリオール/ホウ素含有試料の伝導率とポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率の間の差が、非常に低レベルのホウ素範囲に渡り、その試料の低レベルのホウ素濃度に数学的に正確に関連づけられるということを教示していない。特開平10−62371はまた、ポリオール溶液の濃度が、正確な低レベルのホウ素測定に必要とされる不可欠な高感度の応答を実現するためには、比較的高くなければならない(すなわち、好ましくは0.05Mポリオール/リットルより大きい)ということも教示していない。特開平10−62371はこれらの手法の両方を組み合わせて用いることを確かに教示していない。
【0025】
特開平10−62371と本発明の間の別の違いは、前者がマイクロリットルの容積の高濃度ポリオールを、ホウ素含有試料に注入することを教示も示唆もしていないということである。さらに、この特許出願は流れ続けている試料の流れにポリオールを連続的に注入することを教示しているが、この手法は大量のポリオール試薬を必要とする。さらに、特開平10−62371の方法は、試料流量に対する注入ポリオール流量の比の変化に影響されやすい。対照的に、本発明は、好ましい実施形態ではポリオールの小さな一分量が試料の流れに挿入され、希釈は装置の微小容積内で層流、表面張力および拡散の組合せにより行われるために、試料の流量の変化に影響されない。
【0026】
さらに別の重要な違いは、本発明では、脱イオン化樹脂床を通してポリオール溶液を再循環させるのにも、また試料がその中を流れ、内径が小さいチューブにポリオールの一微量分量を挿入するのにも、1台のポンプと1個のバルブだけが使用されるということである。比較では、特開平10−62371の図3では、同じ機能を果たすのに2台のポンプが必要とされている。特開平10−62371が(その図1および2に示されているように)1台のポンプのみを使用することを教示する場合、それには脱イオン化樹脂床を通してのポリオールの再循環が含まれていない。前記出願の図1および2に示されるように、ポンプはポリオールをポリオール貯蔵部から、ポンプに通し、脱イオン化モジュールに通し、次に試料の流れへと移送する。結果として、特開平10−62371の図1および2の方法では、正確な流れの測定と制御が必要とされ、それぞれのホウ素分析で大量のポリオールを使う必要がある。
【0027】
本発明では、ポリオールのマイクロパルスが試料に注入されるので、本発明では特開平10−62371よりポリオールの消費がずっと少ない。対照的に、この日本出願では、ポリオールの添加が周期的にのみ行われる場合でさえ、流れ続ける試料に添加される、希薄ポリオールの連続的な流れが用いられている。対照的に、本発明では、ポリオールはたった25μL(Lはリットルを示す)あるいは50μLの微小注入で正確に添加される。特開平10−62371の装置には、そのようなプロセスのために必要な、大量のポリオールを溜める大きなタンクが必要である。特開平10−62371で使用されるポリオールおよび試料の典型的な流量はそれぞれ、1.44L/hr(24mL/min)と15L/hr(250mL/min)である。マンニトールの濃度は12.5グラム/リットル、あるいは12.5/182=0.069モル/Lである。したがって、特開平10−62371の方法では、試料中のホウ素の測定に、0.069M/L×1.44L/hr=0.01モル(18グラム)マンニトール/hrが使用される。比較すると、本発明ではたった50μLの1.0モル(182g/L)マンニトール溶液、あるいは5×10-5モル(0.009グラム)マンニトール/1回の注入を使うだけである。本発明では、典型的な時間あたり12回の注入に基づくと、特開平10−62371のマンニトール消費の約1/180にすぎない、時間あたり6×10-4モル(0.1グラム)のマンニトールを使用する。
【0028】
S.D.Kumar等による、「Determination of Boron by Flow Injection Analysis Using a Conductivity Detector(伝導率検出器を用いるフロー・インジェクション分析によるホウ素の測定)」という標題の別の最近の雑誌論文(Analytical Chemistry、Vol.71、No.13、(July 1、1999)のページ2551〜2553)は、容積100μLのホウ素含有試料を、1mL/minで流れる0.3Mのマンニトールを含む流れに注入するために、注入バルブを使用することを教示する。合わされた流れは混合チューブに、次に伝導率の変化が測定される容積6μLの伝導率セルに流入する。この方法でのホウ素測定の線形範囲はBとして0〜20ppmと報告されており、また検出下限はBとして10ppbであると報告されている。試料中に障害となるイオンがある場合、それらを除去する前処理の手順が用いられている。しかし、この前処理手順では、全てのイオン化した陰イオンをCl型に転化するために、Cl型の強塩基性陰イオン交換樹脂を試料のアリコートと攪拌することが必要である。濾過後、この前処理溶液は、全ての塩化物およびイオン化した陽イオンを除去するために、Ag+型の陽イオン交換樹脂を含むカラムを通される。Kumar等が指摘するように、この方法では酢酸イオン、ギ酸イオンおよび炭酸水素イオンなどの弱酸の陰イオンが定量的に除去されない。
【0029】
ここでもやはり、Kumar等の装置および方法と本発明とは、いずれの方法と装置も溶液中のホウ素を測定するためにフロー・インジェクション分析を用い、またマンニトール溶液の濃度が両方の構成で似ているという点で、いくつかの表面的な類似がある。Kumar等はホウ素含有試料を流れているマンニトール溶液に注入するが、本発明では、重要なことに、濃縮マンニトールを流れている試料流に注入する。
Kumar等により教示される方法および装置と本発明の間には多くの重要な違いがある。本発明の分析器のダイナミック・レンジはBとして0〜1000ppbであるが、Kumar等の装置はBとして0〜20ppmを測定する。Kumar等の装置では、検出下限(lower limit of detection、LOD)はBとして10ppbであるが、本発明のLODはBとして0.05ppbの低さである(200分の1の低さ)。応答係数もまた2つの方法の間で決定的に違っている。Kumar等の応答は0.5μS/ppm Bである。対照的に、本発明は、17μS/ppm Bの応答係数を示し、34倍の向上である。
【0030】
さらに別の重要な欠点は、流れている0.3Mのマンニトールの流れに一分量として試料を注入するというKumar等の方法は、試薬の消費という点で効率的でない。測定が10分毎に行われるとすると、6ヶ月で消費されるポリオールの量は、(0.5mL/1回の測定)×6回の測定/hr×24hr/日×182.5日)と計算して、0.3Mマンニトールが13,100mL(720グラムのマンニトール)となるであろう。この方法とは対照的に、本発明の方法では、逆にまた重要なことに、流れている試料の流れに微小な一分量として直接ポリオールが注入される(ホウ素含有水およびホウ素非含有の水のいずれに対しても)。本出願の発明では、1回の測定あたり25μLの容積のポリオールを試料の流れに注入することが必要である。こうして、同じ6ヶ月の期間に使用される1Mのマンニトールの容積はたった655mL(120グラムのマンニトール)にすぎないであろう。この量はKumar等のプロセスに必要とされるものの6分の1のマンニトールであり、20分の1の溶液である。この極めて有効なポリオールの使用は、それが適当な大きさの試薬容器の使用を可能にするので、オンラインでのホウ素測定にとって非常に重要で実際に役立つ。
【0031】
Kumar等は濃縮マンニトール溶液の脱イオン化を教示していない。この工程は、低レベルのホウ素濃度を正確に測定しようとする場合、決定的に重要であることが見出された。Kumar等によるこのような欠陥が恐らく彼らのLODがBとして10ppbにすぎない理由である。
本発明では、Kumar等の装置で用いられたDionex伝導率セルのたった3分の1の容積のマイクロ伝導率セルが用いられる。いずれのセルもセル定数は1である。本発明の伝導率検出器のより小さな容積により、伝導率ピークの分解能、正確度および感度が向上する。Kumar等はまた伝導率測定の温度補正の重要性を教示していないし、ポリオールの脱塩の重要性も教示していない。
このように、当技術分野では、軽量にコンパクトにまた持ち運びできるようにすることができ、また水中の極めて低濃度のホウ素をオンラインで正確に再現性よく測定できる、高価でないホウ素検出測定システムが依然として求められている。本発明の低レベルホウ素検出測定システムはこの要求は応じており、従来技術のホウ素検出の前記の欠点と限界は完全にあるいは部分的に克服される。
【0032】
(発明の目的)
したがって、本発明の主たる目的は、水溶液中の非常に低レベルのホウ素を検出および測定する方法と装置を提供することである。
非常に低濃度、例えば0.050ppb B以下のホウ素の正確で信頼できる測定をすることが求められる半導体製造および他の応用で使用されるホウ素測定システムの方法と装置を提供することが本発明の全般的な目的である。
【0033】
本発明のさらなる目的は、非常に少量の高濃度ポリオール溶液を用いて水中の低レベルのホウ素を測定するための、ホウ素測定システム提供することである
本発明の別の目的は、高濃度のポリオール溶液をホウ素含有水溶性試料に正確に少量で周期的に注入してイオン化錯体を形成させて、非常に低い、例えばBとして0.05ppmあるいはさらに低いホウ素レベルでさえ、試料の電気伝導率を測定できるほどかなり増加させることを利用する、水中の低レベルのホウ素を測定するためのホウ素測定システムを提供することである。
【0034】
本発明のさらなる目的は、(a)ポリオールと混合された、ホウ素含有試料の電気伝導率とポリオール/ホウ素非含有試料の電気伝導率の差、および(b)0.050ppb B未満から約1000ppb Bまでのホウ素濃度範囲にわたる試料のホウ素濃度、の間に数学的に関連づけられた関係がある、水中の低レベルのホウ素の測定のためのホウ素測定システムを提供することである。
本発明のさらに別の目的は、必要なポリオールの量を最少にし、ポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率効果を補正し、さらにホウ素含有試料あるいはポリオール溶液の流量の変動に影響されない、低レベルのホウ素の測定システムを提供することである。
【0035】
本発明の他の目的および利点は、後にそれぞれ明らかになるし、それぞれ記載する。このように、本発明には、これに限定はされないが、以下の説明と添付図面により例示されるように、いくつかの工程と様々な構成部分、ならびに1つまたは複数のこのような工程と構成部分の相互の関係と順序を含む方法および関連する装置が含まれる。本明細書に記載された方法と装置に関する様々な変更および変形は当分野の技術者には明らかであり、このような変更および変形は全て本発明の範囲内にあると考えられる。
【0036】
(発明の概要)
本発明は一般に、脱イオン水中のホウ素の非常に低い濃度を正確に測定するための方法および装置に関する。本発明は、マンニトールあるいは他の類似の化合物のようなポリオールとホウ酸の化学反応を利用して、伝導率および温度の検出器により測定できるイオン化した酸の生成物を生成させる。ホウ酸は純水中で僅かにイオン化しているだけである(pKa=9.23、25℃)。しかし、ホウ酸とマンニトールあるいはソルビトールなどのポリオールとの反応は、より強くイオン化された錯体を生成し(マンニトールの場合、pKa=5.14)、そして、障害となるかあるいは固有でない伝導率に影響を与えうる係数が取り除かれるかあるいは補正されるならば、水中の非常に低レベルのホウ素でさえ測定することができる電気伝導率の急激な増加を引き起こす。
【0037】
驚くべきことに、高濃度ポリオールの非常に小さい一分量あるいはアリコートをホウ素含有およびホウ素非含有水試料の流れに注入し、次にこのホウ素含有およびホウ素非含有試料の間の伝導率差(デルタ伝導率)を測定することにより、水中の非常に低レベルのホウ素を正確に測定することができるということが今見出された。重要なことに、工業的に重要な、低レベルのホウ素濃度範囲に渡って、真のホウ素濃度がこのようなデルタ伝導率測定に依然として数学的に関連づけられているということが確かめられた。これらの新しい本方法および装置で、如何なる従来技術のポリオール伝導率測定法よりもはるかに低いホウ素レベルの、水中のホウ素濃度を正確に測定することができる。この新しい手法は、最も感度のよい従来の(予備濃縮法を行なわない)実験室用ホウ素測定方法、すなわち誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS)あるいはイオンクロマトグラフィーを用いる方法と同程度の感度がある。本発明は、ICP−MSおよびクロマトグラフィー方法と全く同程度の感度でありながら、非常に簡単で、より費用がかからず、熟練度のより低いオペレータがオンラインで容易に操作できる。
【0038】
本発明の別の重要な点は、非常に低レベルのホウ素の正確な測定が、十分に脱イオン化されたポリオール、およびホウ素含有水に添加された後のポリオール試薬の伝導率を考慮に入れる手法の両方を必要とするということの発見である。従来技術の何れのポリオール−ホウ素検出法も、水中の非常に低レベルのホウ素濃度を正確に求めるために、ポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率を測定する工程とおよびポリオール/ホウ素含有試料の伝導率測定値を補正してポリオール自体に帰せられる伝導率の増加を考慮に入れる工程と組合せて、十分に脱イオン化されたポリオールを用いることの重要性を認識していなかった。(感度あるホウ素検出に必要とされる濃度の)ポリオールがホウ素非含有脱イオン水に添加されたとき、このような溶液の伝導率はこの脱イオン水の伝導率より大きい。このような付加される伝導率が考慮されなければ、最終のホウ素測定に誤差が導入される。ただ単に使用前に高濃度ポリオール溶液をイオン交換樹脂に通しても、このような固有の付加された伝導率を無くするのには十分ではない。これは明らかにポリオール自体がわずかにイオン化しているためである。非常に低いホウ素レベルでは、この係数を補正しなければ非常に大きな割合の誤差が生じる。
【0039】
本発明では、ポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率を、ポリオール/ホウ素含有試料の伝導率から差し引いて、「デルタ伝導率」を得て、このデルタ伝導率がホウ素含有試料の真のホウ素濃度に数学的に関連づけられる。従来技術では、脱イオン化されたポリオールが、高濃度脱イオン化ポリオールを流れている脱イオン(DI)水に注入することと、また「脱ホウ素化された」DI水を用いてベース・ラインを確定することと組み合わされていない。このような組合せにより、本発明の装置および方法を用いて得られる、非常に低レベルの正確なホウ素分析が可能になるということが、従来技術によっては明らかでない。
【0040】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は超純水中の非常に低レベルのホウ素を正確に測定し、半導体の製造において特に有用である方法および装置を対象とする。本発明はまた従来技術のプロセスおよび装置の限界を克服することにより、比較的コンパクトで高価でなく、比較的熟練度の低いオペレータがオンラインで運転できる装置で、ホウ素として約0.01から1000ppbの濃度範囲に渡る超純水中のホウ素を速く、大きな費用をかけることなく測定できるようにする。
【0041】
半導体の製造プロセスでは大量の超純水が必要とされる。ホウ素は通常非常に低濃度になるまで除去されなければならない汚染物質である。前記のように、ホウ素はシリコン固体エレクトロニクスの製造に用いられるシリコン半導体用p型ドーパントであり、主たる電荷キャリアとして機能する。したがって、ホウ素は製造プロセスの間に不注意で加えられるべきではない。S.Malhotra等は、彼らの論文「Correlation of Boron Breakthrough versus Resistivity and Dissolved Silica in a RO/DI System(RO/DIシステムにおけるホウ素漏出と抵抗率および溶解シリカの相関)」(Ultrapure Water、1996.13(4):p.22−26)において、ホウ素は、イオン交換樹脂床が薄膜複合体(TFC)逆浸透膜に切り換えられるときに、イオン交換樹脂床から漏出する最初のイオンであるということを報告した。酢酸セルロース逆浸透(RO)膜に代わるTFC逆浸透(RO)膜の導入は透過するシリカを減らす(58分の1)のに非常に有効であったが、ホウ素の透過を減らすのにはそれ程有効ではなかった(1.7分の1)。
【0042】
ROユニットの後の混床式イオン交換樹脂床から最初に漏れるイオンは、溶解したシリカやホウ素などのわずかにイオン化された化合物である。TFCRO膜を用いると、シリカの透過はホウ素の透過よりずっと少ない。したがって、ホウ素は多くの場合、TFCRO膜を利用する純水化システムにおける混床式イオン交換樹脂床から漏出する最初のイオンである。供給水が高レベルのホウ素をその中に含む場合に、これは特に正しい。水酸化物型陰イオン交換樹脂へのホウ酸イオンの吸着は、超純水からホウ素を除去する最も一般的な方法である。使用していて、ホウ酸イオンは樹脂から漏れる最初のイオンの1つであり、急速に許容されないレベルに到達する。
【0043】
例えば図12は、TFCRO前処理を用いる、前記S.Malhotra等の論文に報告されているように、半導体工場の混床型イオン交換カラムを通過した水の量の関数として、水の抵抗率、ホウ素濃度、およびシリカ濃度を示す。半導体仕様の超純水中の典型的なホウ酸イオン濃度はBとして0.05から10ppbである。現在このレベルでは、ICP−MS(誘導結合プラズマ+質量分析器)検出器を用いて測定することができるが、このような装置は非常に高価であり、正しい結果を得るためには熟練したオペレータが必要であり、また非常に早く結果を得ることができない。シリコン半導体製造用の水中のホウ素濃度の通常の受入れられる許容上限は、0.1ppbから5ppbである。許容されないレベルまでB(ホウ素)が漏出するということは短時間で起こりうるので、リアルタイムで頻繁に分析したいというこの要求に応えるために、自動化されたオンライン検出器が必要とされている。本発明の以前には、水中の極めて低濃度のホウ素を、リアルタイムで、コストをかけずに正確にオンライン・プロセスで測定するという問題は解決されていなかった。しかし、本発明の分析器および方法は、例えば半導体エレクトロニクス回路を製造するために使用される超純水中のホウ素濃度を、リアルタイムで、迅速に、費用をかけずに、オンラインで測定するのに適している。
【0044】
一般に、本発明の方法には、高濃度(0.1モルより大)の固有(intrinsic)ポリオールからなる非常に小さい一分量(100マイクロリットル未満)を時々、オルトホウ酸および/またはそのイオン化生成物(陰イオン)を分析することが望ましい脱イオン水の流れに注入することが含まれる。この流れは1分あたり約100マイクロリットルで流れている。時々、固有ポリオール注入の前に、この流れは迂回させられ、ホウ酸/ホウ酸イオン選択性(キレート化)陰イオン交換樹脂に通されて、ホウ酸もホウ酸イオンも実質的に含まないが、他の点ではホウ酸/ホウ酸イオン含有の流れと変わらない流れを生成する。ホウ素含有DI水の流れの電気抵抗(あるいは電気的コンダクタンス)は、固有ポリオールの注入後に、ポリオール注入位置からいくらか離れた下流で、頻繁に、例えば1分あたり100回以上測定される。見出されたコンダクタンスの最大値は、ポリオール−ホウ素錯体およびホウ素と錯形成していないポリオールの合計されたコンダクタンスを表すと考えられる。ホウ素と錯形成していないポリオールからのコンダクタンスへの寄与は、同じ容積で同じ濃度の同じ固有ポリオールを、実質的にホウ素を含んでおらず、同じ速さで流れる流れに注入し、上述した同じ方法でコンダクタンスの代表値を測定することにより得られる。そのようにして得られた、ポリオール−ホウ素非含有の流れのコンダクタンスは、ポリオール−ホウ素含有の流れのコンダクタンスから差し引かれて、こうしてポリオール・ホウ素錯体に帰せられるコンダクタンスのみを表す補正されたコンダクタンスを与える。この補正されたコンダクタンスは、10億部の水あたり0.001部のホウ素(ホウ素元素として)、すなわち1リットルのDI水あたり0.001マイクログラムのホウ素(ホウ素元素として)に近いレベルまで、低減した分析されるDI水の真のホウ素含量にすばらしく、精度よくまた定量的に関係づけられることが見出されている。
【0045】
上で使われた「固有ポリオール」は、ポリオール自体の固有のイオン化によるもの以外の如何なるイオンも実質的に含まないポリオールを意味する。これとの関連で、「他の如何なるイオンも実質的に含まない」ということは、ポリオールの測定された伝導率は、測定されるホウ素濃度での精密なホウ素分析のためには如何に意味のある数字が必要とされるかを表現する、ポリオールだけの伝導度であるということを意味する。固有ポリオールは一般に、このようなポリオール溶液を十分に再生された強酸性陽イオン交換体、強塩基性陰イオン交換体およびホウ酸イオン選択性陰イオン交換体の混床に通すことにより得られる。
【0046】
同様に、分析されているDI水の流れに関して、「実質的にホウ酸もホウ酸イオンも含まない」ということは、ホウ素除去の後に得られる流れは、ホウ酸イオン/ホウ酸含量がDI水の流れよりずっと小さく、例えば10分の1程度でなければならないということを意味する相対用語である。したがって、DI水の流れで0.001ppbのBを測定したければ、そのときには相対的にBを含まない同じ流れのホウ素は約0.0001ppb以下にしなければならない。
非常に低レベルのホウ素の精度のある分析値を得るためには、ポリオール固有の解離/イオン化に関する補正をしなければならない。換言すれば、この解離/イオン化は、検出しようとしているホウ素レベルならびに用いられるポリオールの濃度で無視できるものであるべきである。この点では他のポリオールがマンニトールより優れているかもしれない。本発明の教示によれば、当分野の通常の技術者は誰でも、例えば、ポリオール溶液を混床型イオン交換体(図1の16)に通し、カラム3を通過したDI水にそれを注入して、その結果のピーク伝導率を測定することにより、如何なるポリオールのこの固有の解離/イオン化でも容易に測定することができる。
【0047】
本発明は、以下でより詳細に記載される図1〜13を参照することによりよりよく理解される。
図1は、本発明の典型的で好ましい1実施形態の概略的プロセス・フロー図である。図1に見られるように、脱イオン化されているがホウ素を含有する水試料が導管1を通してホウ素測定システム50に流入する。ホウ素非含有の水試料を生成させるために、三方バルブ21を、最初に配置し調節して、試料の流れを導管1から導管2へそらし、好ましくはホウ素特異的であるホウ素除去樹脂カラム3に通し、次に導管4に入れ、三方バルブ21を介して、背圧制限(示されていない)を含む導管5に入れ、最終的には廃液とする。カラム3は、好ましくは、ローム・アンド・ハース社(Rohm and Haas Company、フィラデルフィア、ペンシルバニア州、米国)により製造されたAmberlite IRA−743Tのような特殊なホウ素除去材料ならびに(任意選択であるが好ましさは劣る)強酸および強塩基混合イオン交換樹脂を含む。ホウ素非含有試料の一部分は導管5から導管6に抜き取られる。下流の試料ポンプ19の作用によるか、あるいは流体流量を制御するために導管1への加圧供給と関連して作動する適当な大きさの絞り弁(ポンプ19の代わりに)により、これを行なうことができる。導管6中の抜き取られたホウ素非含有試料は、図1に示されるように6穴注入バルブ24を有利には備える多穴バルブ装置あるいはバルブ・システムを通され、次に遅延コイルでもよい導管8へと送り出され、次に伝導率および温度測定セル23に入れられる。セル23を出るホウ素非含有試料は導管18へと流れ、ポンプあるいは絞り弁19を通り、次に導管20を通り廃液となる。後に記載されるように、6穴注入バルブ24に代えて、6穴注入バルブ24と同じ機能を果たす何らかのバルブの組合せに置き換えてもよい。
【0048】
同時にシステム50の他の部分では、ポリオール溶液が強酸および強塩基混合イオン交換樹脂床16を通して再循環されて、ポリオールを汚染イオンのないように維持している。樹脂カラム16はまた任意選択で、ローム・アンド・ハース社製のAmberlite IRA−743T樹脂のようなホウ素除去樹脂あるいは他の等価なホウ素吸収材料を含んでいてもよい。ポリオール溶液は貯蔵器25に貯えられ、そこからポンプ13に流れ、導管14を通り、絞り弁26に入り、導管15を通り、樹脂カラム16に入り、そして導管17を通り貯蔵器25に戻る。導管14に沿う、ポンプ13と絞り弁26の間で、十分に脱イオン化されたポリオール溶液の一部分が導管9を通して抜き取られ、流体の圧力で6穴注入バルブ24へ押しやられる。バルブ24は最初は第1のバルブ位置に設定されているために、ポリオール溶液は注入ループ7を通して押しやられ、バルブ24に戻り、導管10を通り第2の三方バルブ22へ向かい、次に導管12を通り、導管15に沿う再循環ポリオールの流れに戻る。流体の圧力は導管15より導管14の方が大きく、これらの間のラインにある絞り弁26のためである。6穴注入バルブ24のこの第1の位置では、ポリオールの抜き取られた部分が注入ループ7を通して循環を続ける。次に、バルブ装置を通る流体の流れを変えるために、第1のバルブ設定を第2のバルブ位置に変更するように注入バルブ24が作動させられるか、あるいは他の仕方で再設定される。こうして、ポリオール溶液の流れは導管9を通してバルブ24に入り、バルブ24を通り、バルブ24を出て、直接導管10へ入り、もはや注入ループ7を通らない。ここで導管6のホウ素非含有試料水の一部分がバルブ24に入り、注入ループ7を通って流れる。このことにより、注入ループ7に存在したポリオール部分が導管(あるいは遅延コイル)8へ、さらにそこから伝導率および温度測定セル23へと押しやられ、導管18を通り、ポンプあるいは絞り弁19を通り、次に導管20を通って廃液となる。ホウ素非含有試料−ポリオール混合物(本明細書では、「ポリオール/ホウ素非含有試料」)の電気伝導率は伝導率および温度測定セル23で測定される。
【0049】
ここで、第1のバルブ位置へ戻すために、注入バルブ24が作動させられるか、他の仕方で再設定される。今度はポリオール溶液が注入ループ7に入り、そこを通って前に流れていたホウ素非含有試料水部分を押し出す。次にこのポリオール溶液は導管10に流入する。ホウ素非含有試料を廃液として除くように、三方切換えバルブ22が作動しているか、あるいは設定されている。ホウ素非含有試料が排出されると、三方切換えバルブ22は作動を止めるかあるいは再設定され、効果的に十分に脱イオン化されたポリオールは再び注入ループ7を通して循環し、次にポリオール脱イオン化再循環ループに戻る。この実施形態では、少量のホウ素非含有試料が希釈ポリオール溶液と再循環ループで混ざることを防ぐことにより、時間と共にポリオールが希釈されることを防いでいる。
【0050】
図1のホウ素測定システム50を用いて、ホウ素含有脱イオン水試料を測定するために、試料入口経路の三方バルブ21が、試料の流れがホウ素除去カラム3を通らないように、再配置される。ホウ素含有水試料は、試料入口1から流入し、導管27およびバルブ21を通り、導管5に入るが、一部分は導管6に流入する。このホウ素含有試料部分は、導管6から6穴注入バルブ24を通り、導管8に出て、伝導率および温度測定セル23に入り、導管18を通り抜け、ポンプあるいは絞り弁19を通り、次に導管20を通って流れ廃液となる。このモードの間、ポリオール脱イオン化ループは、ポリオールを、導管9により注入ループ7を通して注入バルブ24に入れ、注入ループ7を通して、注入バルブ24に戻し、導管10を通し、三方切換えバルブ22を通して導管12に入れ、次に脱イオン化ポリオール循環ループに戻して、循環させている。次に、バルブを通しての流体の流れを変えるために、第1のバルブ設定を第2のバルブ位置に変えるように、注入バルブ24が作動させられるかあるいは再設定される。ここで、導管6のホウ素含有試料水部分は注入バルブ24に入って注入ループ7に入ることにより、先に注入ループ7にあるポリオール溶液の一分量が注入ループ7から押し出され、導管8に入り、伝導率および温度測定セル23を通り、導管18を通り、試料ポンプあるいは絞り弁19を通り、そして導管20を出て廃液となる。ホウ素含有試料とポリオールの混合物(本明細書では、「ポリオール/ホウ素含有試料」)が伝導率および温度検出器23を通過するときに、ポリオール/ホウ素含有試料の電気伝導率および温度が測定される。
【0051】
次に6穴注入バルブ24が第1のバルブ位置に戻される。こうして導管6のホウ素含有試料は注入バルブ24に入り、直接それを通過して導管8に出て行き、セル23、導管18、ポンプ/絞り弁19および導管20を通り廃液となる。導管9の脱イオン化ポリオール溶液は注入バルブ24に入り、それを通って注入ループ7を通過し、注入バルブ24に戻り、バルブ24から出て導管10を通る。ここで、注入ループ7に存在したホウ素含有試料は、バルブ22から導管11を通り廃液として取り除かれる。ポリオールが再び切換えバルブ22に入るとき、ポリオールが導管10から、切換えバルブ22を通り、導管12を通って流れ、そして導管12を通して再循環脱イオン化ポリオール・ループに戻るように、このバルブは作動を止めるか再設定される。ここでもやはり、ホウ素含有試料がポリオール・ループに混入して、それが汚染および希釈されることをこのプロセス構成が防いでいる。
【0052】
本発明は、図1に関する前記の方法および装置の僅かな変更に基づく一層単純化された構成も役立つ。この単純化された構成では切換えバルブ22が省かれる。このような装置の変更は、再循環脱イオン化ループでポリオールの飽和溶液(例えば、1000mLの水に1グラムモル、182グラムのマンニトール)を用いるというさらなる変更により実現することができる。この僅かに変更された実施形態では、余分の固体ポリオールがポリオール貯蔵チャンバ25に保持されている。ホウ素測定システム50の運転中に、ポリオール溶液が伝導率セルに注入された後、注入ループ7に残っている少量の水試料(ホウ素含有およびホウ素非含有のいずれも)がポリオール脱イオン化再循環ループに逆に追加され混入される。ホウ素含有水試料部分に含まれる少量のホウ素は、言うまでもなくポリオールと錯体を形成するが、ホウ素は次に、前記のようにカラム16に充填されたイオン交換樹脂の一部分としての、特殊なホウ素除去用樹脂との平衡により除去される。貯蔵チャンバ25がシステム(ポリオール再循環、ホウ素/ポリオール錯体除去、および脱イオン化ループ)の最も低温の構成部分として維持される限り、ポリオールはホウ素測定システム50の小さなオリフィスに析出しないであろう。
【0053】
前記のように、本発明の鍵となる態様は、ポリオール/ホウ素非含有試料水溶液の伝導率を考慮に入れる方法である。ポリオール−ホウ素検出法の従来技術のどの実践者も、水中の非常に低レベルのホウ素濃度を正確に測定するために、ポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率を測定し、このバックグラウンドとしての伝導率をポリオール/ホウ素含有試料の伝導率測定値から差し引くことと組み合わせて、高濃度で十分に脱イオン化されたポリオールを使用することの重要性を教示しなかった。本発明では、ポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率は、ポリオール/ホウ素含有試料の伝導率から差し引かれ、そしてこの伝導率差(デルタ伝導率)が、ホウ素含有試料の真のホウ素濃度と数学的に関連づけられる。高精度な検出のために決定的に必要であるということを本発明者等が見出した、比較的高いポリオール濃度範囲(好ましくは、少なくとも0.05Mポリオール、より好ましくは、少なくとも0.1Mポリオール、最も好ましくは、少なくとも0.3Mポリオール)のポリオールがホウ素非含有水に添加されたとき、得られた溶液の伝導率は脱イオン水の伝導率よりかなり大きい。この付加された伝導率が考慮に入れられなければ、最終のホウ素測定に誤差が導入される。高濃度ポリオール溶液を試料と混合する前にイオン交換樹脂に通すことは必要であるが、ある付加的な伝導作用を取り除くのには十分でない。これは、明らかにポリオール自体がわずかにイオン化するという事実のためである。低レベルのホウ素では、この係数を補正しなければ誤差は非常に大きいであろう。
【0054】
例えば、25℃でマンニトールのpKaは13.8であり、0.32モル溶液は0.0601μS/cmの伝導率で、脱イオン水の伝導率(0.0550μS/cm)を0.0051μS/cm超えるデルタ伝導率の増加がある。超純水中の非常に低濃度のホウ素測定において、ポリオール/ホウ素非含有のバックグラウンド伝導率は、ポリオール/ホウ素含有試料に対する測定伝導率シグナルのかなりの部分を表す。このように、5ppbの濃度レベルの、水中のホウ素測定に0.32Mのマンニトールを用いた場合、ホウ素非含有マンニトール水溶液の伝導率はこのマンニトール/ホウ素含有試料に対する伝導率シグナルの約8パーセントを占める。0.5ppb Bでは、マンニトール/ホウ素非含有試料によるバックグラウンド伝導率は、マンニトール/ホウ素含有試料に対する伝導率シグナルの半分を超える。0.05ppb Bでは、マンニトール/ホウ素非含有試料によるバックグラウンド伝導率は、マンニトール/ホウ素含有試料の伝導率シグナルの約93%を占める。
【0055】
したがって、超純水中の低レベルのホウ素を正確に測定するためには、ポリオールとホウ素非含有水との混合物の正確な伝導率測定値を、ポリオールとホウ素含有水との混合物の伝導率測定値から差し引かねばならない。より詳細には、ポリオール/ホウ素含有試料およびポリオール/ホウ素非含有試料の間の伝導率差(デルタ伝導率)が、そのホウ素含有試料の真のホウ素濃度に数学的に関連づけられることが見出された。本発明の重要な態様は、図2および3に示されるように、真のホウ素濃度とデルタ伝導率の間のこのような数学的な関係が、ここで関心のあるホウ素濃度範囲、すなわちホウ素として約0.01から1000ppb、より限定するとホウ素として約0.01から10ppbの範囲に渡って存在するという発見である。
【0056】
図2は0.1ppb Bから10ppb Bまでのホウ素測定の結果を示す。縦軸は、ポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率が、ポリオール/ホウ素含有試料の伝導率から差し引かれた後のデルタ伝導率シグナルを示し、デルタ伝導率はナノ−シーメンス/cmで表されている。この応答はわずかに曲がっており、これは伝導率による反応のケモメトリクス的解析により説明される。この解析の基礎になる化学を記述する式は後に記載される。図2に示されたものと同じデータのlog−logプロットが図3に与えられている。図3で、直線の勾配は1.1373であり、切片は1.1264であり、それは0.9991の決定係数(R2)値で決められたように、実質的に直線であり、デルタ伝導率データを数学的に実質的に直線化できるということを示している。
【0057】
経験的にあるいは解析的に反応式から変換式を導くことができる。経験的に求められた変換は図4に示されており、Log(デルタ伝導率)=1.1373Log(ホウ素濃度)+1.1264、あるいは、ホウ素濃度=0.10223(デルタ伝導率)(0.8792)に基づいている。実験で得たデルタ伝導率データ値のこの変換は、図4に見られるように、測定B濃度対真のB濃度を表す、勾配1で切片ゼロの直線となる。同じホウ素分析器による同じデルタ伝導率データの同じ変換が、4つの低濃度ホウ素標準に対して図5に示されている。図5は、非常に低いホウ素濃度でさえ、直線性および正確度が非常によいことを示している。
【0058】
本発明の別の新規な特徴は、ホウ素レベルが本質的にゼロの水からなる参照用の流れを提供するための装置および方法である。本発明に従って正確な低レベルでの結果が得られるように、このホウ素非含有試料は、十分に脱イオン化されたポリオール/ホウ素非含有水によるバックグラウンド伝導率を測定するために、本発明のホウ素検出システムに時々導入される必要がある。ホウ素を引きつける官能基をもつ特殊なホウ素除去用樹脂を使用することにより、ホウ素がゼロ・レベルである水をつくることができる。ローム・アンド・ハース社はこのような樹脂の1つ、Amberlite IRA−743Tを製造している。この樹脂の架橋ポリスチレン担体マトリックスにはポリオール(グルカミン)官能基が付けられている。従来の強塩基性樹脂を超えるこの特殊樹脂の向上したホウ素除去効果は、1996 Semiconductor Pure Water and Chemicals Conference(1996年半導体用純水および薬品会議)の会報(proceedings)のページ98〜107に公表された、M.TanabeとS.Kanekoによる「Application of Boron Selective Resin in an Ultrapure Water System(超純水システムにおけるホウ素選択性樹脂の応用)」、ならびに本明細書に参照により組み込まれる米国特許第5,833,846号に報告されている。
【0059】
本発明のさらに別の重要な態様は、それをオンラインで使用できるようにする際の容易さである。効果的に脱イオン化されたポリオールを試料に添加する装置の構成は、正確な低レベルホウ素測定を実現し、オンライン・プロセス分析に適しているように、特別な特徴をもっていなければならない。実用的で、高価でなく保守管理が容易なオンライン・プロセス分析器は、簡単な構成、信頼性の高い運転、簡単な点検保守管理しか必要でないこと、消費する試薬が少ないこと、試料が少なくて済み熟練したオペレータが必要でないことから多大の利益を得る。本発明では、低いホウ素濃度で測定された場合の試料の伝導率の変化は、脱イオン水の伝導率の0.5%程度である。このように少ない伝導率変化を正確に測定するためには、本質的に脱イオン化されているポリオールを再現性よく添加することが求められる。本発明にうまく適合する1実施形態では、図1に関連して上述したように記載したように、試薬ループ注入装置の一部分として6穴バルブが使用される。結果の再現性とノイズに対するシグナルの応答が最大になるように、ポリオールと水試料との相互混合を制御するために、本発明による、試薬ループおよび下流の遅延コイル配置の注意深い構成が用いられる。水試料へのポリオール一分量の注入は、結果の最もよい再現性を自動的に達成し、またこの測定方法が試料の流量に実質的に影響を受けないようにする、ポリオールと試料の混合条件を生み出すということが見出された。この効果は、実質的に試薬および試料の流量によらない混合を生ずる、層流プロフィール、表面張力、および拡散効果による。
【0060】
このようなループ注入法の別の利点は、試料の流量が影響を与えやすいパラメータではないということである。下の表1は、本発明の注入法を用いた場合、試料の流量が変化しても、(デルタ伝導率のピークに基づく)ホウ素応答がほとんど変わらないことを例示している。
【表1】
Figure 0004942907
【0061】
当技術分野(例えば、Shaefer et al.Z analyt.Chem.121(1941)p.170)では、鉄およびアルミニウムはシス−1,2ジオール付加物の滴定によるB(OH)3の測定の障害になるということが知られている。ホウ素、鉄およびアルミニウムは全て、親電子反応で触媒として有用な電子不足原子である。鉄およびアルミニウムはまた、本発明の方法によるホウ素測定の障害にもなりうる。以下の元素はこの測定の障害となる可能性がある。
【0062】
A.非常に障害となりうるもの:Al+3、Ga+2、Zr+4、Hf+4、Sb+5、Nb+5、Ta+5、Mo+6、Mo+5(Ga+3および/またはGa+2は、GaAs半導体設備からの再循環超純水に、障害となる量で存在しうる)。
B.中程度に障害となりうるもの:In+3、Sb+5、W+6、Re+5、Fe+3、Zn+2;Al+3、Ga+3あるいはSb+5と有機ニトロ化合物との錯体。
C.B(OH)3と対等に競合しうるもの:Sn+4、Ti+4、Re+3、Fe+2、Pt+4
【0063】
本発明の方法および装置が、他の方法および装置(例えば、誘導結合プラズマ原子発光分光法、あるいは誘導結合プラズマ質量分析法)と矛盾する、与えられた何らかの水の非常に低いホウ素レベルでの結果を与える場合には、1種または複数の、前記の電子不足陽イオンの存在を疑いそれを調べてみる価値がある。
別法として、本発明の別の実施形態では、イオン化されていないホウ酸(すなわち、本質的に中性の溶液)が膜を横切って大過剰の有効なポリオールへ拡散するようになっている。このような膜は、イオン化していないホウ酸に対して実質的に透過性で、ポリオール、イオンおよびコロイドに対して実質的に非透過性でなければならない。このような膜の例には、限定はされないが、逆浸透およびナノ濾過膜ならびにパーフルオロスルホン酸膜が含まれる。イオン化していないホウ酸が拡散する駆動力は、ホウ酸自体の活量の勾配である。ホウ酸がこのような膜のポリオール側でほとんど錯体化していれば、その場合そちら側の「遊離」ホウ酸は通常非常に少ない。このポリオール側の伝導率の増加は、この膜の「純粋な」水側での(ずっと低い全)ホウ酸濃度に代表されるものである。このポリオールはそれ自体、伝導率に(既知であるが)僅かな量の寄与をするだけである。
【0064】
伝導率−温度測定用マイクロ・セルが用いられるならば、そのときには、膜−拡散セルも微小(micro)でありうるし、例えば各チャンバ(すなわち、ポリオール・チャンバおよび試料水チャンバ)の厚さはそれぞれ、チャンバ内の拡散を容易にするために、1ミリメートル以下でありうる。チャンバは通常、膜を支えるための、また/あるいは一方のもしくは両方のチャンバ内容物の混合を促進するための構造を含む。膜拡散セルは通常、中空糸、微細中空糸あるいは「スパゲッティ」膜もしくは1つまたは複数のより大きなチューブに内に並べられたこのようなマイクロチューブの束を備える。ポリオール溶液は通常、このようなマイクロチューブあるいはチューブのルーメン側にあり、試料溶液はチューブの外側である。別法として、試料溶液をこのルーメン側を通して流してもよく、この場合ポリオール溶液はマイクロチューブあるいはチューブの外側にある。好ましくは、ポリオール・チャンバはパルス(ストップ−フロー)方式で、またホウ酸側は連続流方式で運転される。この時ポリオールは、膜の試料水側のホウ酸の流入濃度と平衡に(理論的には決して到達しないが)近づく。周期的に(ポリオールが再現性のある到達度、例えば95%あるいは98%平衡に近づいた後)、本明細書の別の所に記載されているので読んで知ることができる伝導率−温度マイクロ・セルを通して、ホウ素混入ポリオールを拍動させて流すことができる。
【0065】
温度−伝導率測定の後、ホウ素混入ポリオールを、強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂の混床ならびにホウ素特異的イオン交換樹脂床を通して流して、本質的に固有ポリオールを生成させることにより、リサイクル/再使用することができる。別法として、このような混床およびこのホウ素特異的樹脂を合わせて混合してもよい。
ポリオールが高価でなく、生分解性で毒性がなければ、伝導率−温度測定の後に廃液にしてもよい。しかし、このような膜−拡散システムの利点は、ポリオールをリサイクル/再利用できるので、高価であるが非常に有効なポリオール、例えばシクロヘキサンヘキソン水和物を使用できることである。
【0066】
低レベルのホウ素を感度よく測定するためには、ホウ素非含有ポリオール溶液の伝導率を測定することが必須であるということが本明細書で指摘された。前記の膜−拡散セルではこれは容易に実施される。前もって、あるいはその溶液がその膜−拡散セルに流入するとき、あるいは好ましくは、ホウ素混入ポリオールを測定するのに使用されるものと同じ伝導率−温度マイクロセルにより、固有ポリオール溶液の伝導率および温度を測定することができる。後者の場合、ホウ素混入ポリオールが固有ポリオール溶液により膜−拡散セルから追い出されたときに、測定された最大の伝導率がホウ素混入ポリオールに相当し、最低の伝導率が固有ポリオール溶液に相当する。
別法として、膜−拡散マイクロセルの1つのチャンバを拍動的に流れるポリオール溶液の代わりに、ホウ素含有水の流れに対して反対方向の流れにして、ポリオール・チャンバを連続的に運転してもよい。ポリオール溶液は通常反対方向の水の流れより遅い速度、ずっと遅い速度の流れである。拍動的あるいは連続的であるかどうかによらず、膜−拡散セルの2つのチャンバは直線状、あるいは、例えば螺旋状もしくは曲がりくねった流路の形に構造化されていてよい。
【0067】
このような膜−拡散マイクロセルを含むように、図1の装置を容易に変更することができる。望ましければ、何らかのホウ素測定の意味および/正確度のさらなるチェックとして、ホウ素除去用樹脂床3および三方バルブ21を残してもよい。ホウ素除去床3は、一般にホウ素特異的樹脂のみを含んでおり、ホウ素のみおよび、もしあれば、ポリオール−ホウ酸測定で障害となりうるイオンを含む少量の他の電解質を除去する。すでに指摘したように、膜−拡散セルは、他の利点を有すると同様、このような如何なる障害も除去するであろう。
前記の膜−拡散マイクロセルの膜を通して、イオン化されていないホウ酸が拡散することに加えて、ポリオール溶液により生ずるいくらかの浸透圧差に応じて、水も膜を通して拡散するであろう。例えば、マンニトールあるいはソルビトールの1モル溶液は約25気圧の浸透圧をもつ。ポリオール溶液の拍動が制御された時間に基づいて実施されるならば、拡散する水の量とポリオールの如何なる希釈にも再現性があるであろう。別法として、このようなストップ・フロー・モードでは、膜−拡散セルのポリオール・チャンバの各端のバルブにより(例えば、ソレノイド・バルブにより)、流れを止めてもよく、この場合に膜を挟んでの圧力が急速に浸透圧まで上昇し、膜を横切る水の流れが止まるであろう(ホウ酸の流れはそうではない)。
【0068】
前記のように、図1のホウ素除去用樹脂3の目的は、通常、他の電解質は除去せず、ホウ素だけを除去して、ホウ素含有水試料の伝導率を補正するために使用されるホウ素非含有水試料を供給することである。他方、ホウ素含有水試料は、非常に低レベルのホウ素を正確に測定する障害となるのに十分な濃度の非ホウ素電解質を含むか、および/またはここで記載されたように、障害となるイオンを含んでいることがある。いずれの場合でも、図1の試料入口1で、ホウ酸およびその陰イオン以外の全ての電解質を少なくとも部分的に除去することが(本発明の別の実施形態によれば)好ましい。この実施形態によれば、試料の流れを、ホウ酸を吸収しないがホウ酸より強い遊離の酸を吸収する、強酸性陽イオン交換体と陰イオン交換体からなる混床樹脂に通すことにより、ホウ素を含有するが障害となる成分を実質的に含まない試料の流れを調製できるということがここで開示される。N−(アクリルアミドプロピル)−N,N−ジメチルアミン系のAmberlite IRA68(ローム・アンド・ハース社、フィラデルフィア、ペンシルバニア州、米国)はこのような交換体の例である。それはいわゆる弱い塩基性陰イオン交換樹脂の中では塩基性が最も強いと言われており、CO2(炭酸)と塩を形成するのには十分に塩基性であるが、SiO2(ケイ酸)、したがってまたホウ酸とも塩を形成しない。当分野の技術者は、他の陰イオン交換樹脂が、希薄なホウ酸を実質的に吸収しないがホウ酸より強い酸を実質的に吸収するかどうかを決めるための、長年の間当技術分野でよく知られた方法により、それらを容易に試験することができる。Amberlite IRA68はゲル・タイプの陰イオン交換体である。極微量の障害となるコロイドの除去を改善するために、多孔性の(マクロ網状体(macro−reticular)と呼ばれることもある)IRA68相当物を使用することには利点がありうる。同様に、微多孔性の強酸性陽イオン交換体をこのような前処理床で用いることには利点がありうる。
【0069】
本発明のこの態様によるこの前処理に従えば、この前処理の流れを2つの小部分に分けることが好ましく、1つはポリオール−ホウ素測定用ユニットそれ自体に直接通り、第2の部分は、図1のホウ素除去手段3を通る。
前記の(ホウ酸より強い電解質を除去するための)前処理システムの陽イオン交換樹脂には、また、陽イオン・キレート化陽イオン交換樹脂、リン酸あるいはホスフィン酸基あるいはカルボン酸基さえ含む陽イオン交換樹脂を含めてもよい。
【0070】
有利には、本発明の方法および装置には、非常に低い既知濃度のホウ酸の標準、較正および/または試験試料を、2者択一的に供給する装置および方法を組み込むことができる。適切な装置および方法は米国特許第5,837,203号および同第5,976,468号に記載されており、これらはそれらを参照することにより全体として本発明に組み込まれる。本質的にこれらの出願は入口と排出口の間を流れる流体を分析する分析装置に関し、その装置は、
(a)アセンブリにより部分的に定められる流体領域に隣接するアセンブリであって、流体入口と、流体領域および流出穴に流体連結する流入穴と、中空の内部を有する第1の導管、流体領域の入口端部および流体領域から離れたの出口端部により定められる流出穴とを含むアセンブリ、および
(b)流体の流れにオンラインで連結する分析器であって、第1の導管の出口端部に流体連結する分析器入口を含む分析器を含み、分析用流体の流れの経路は、流体入口から順次、入口穴、流体領域および第1の導管の入口端部、第1の導管の中空の内部、第1の導管の出口端部、分析器の入口さらに分析器までと定められている。
【0071】
前記アセンブリ及び関連する構成部品は言うまでもなく、ホウ酸あるいはその陰イオンを吸収せず、ホウ酸あるいはその陰イオンを増加させず、あるいはホウ素分析されている水の電解質の濃度を別な仕方で変えない材料で作られていなければならない。ポリフッ化ビニリデンおよびポリプロピレンは適切な材料であると思われる。ガラスは適切ではないように思われる。
比較により、ポリオールを用いるホウ素伝導率検出器での従来技術の連続ブレンドあるいは混合方法は、ポリオール反応物あるいはホウ素含有水試料の流れのいずれかの流量の変動に比較的影響されやすい。標準流量計と計量バルブが通常、2つの流れの配分を決めるために使用される。試薬および試料の非常に小さな流量を制御することは困難で費用がかかるために、このような他の方法では大量のポリオール試薬が必要とされる。本発明のポリオール注入法に比べて、ブレンドされた流れで必要とされるポリオールの量はより多く、またオンラインでのホウ素測定の実現可能性に否定的に作用する。対照的に、本発明に組み込まれる試薬ループ注入法は、すでに記載したように、非常に小さな容積の、通常1回の注入あたり25〜50マイクロリットル未満程度のポリオール試薬のみを必要とする。このように小さいポリオール容積により、優れた検出感度を実現するために、相応する小さな注入バルブ、小さな内径の試料チューブ、小さな混合ティー(tee)、小さな遅延コイル、ならびに伝導率および温度マイクロセンサを用いることが可能で、実際に必要である。
【0072】
本発明で使用される伝導率セルは、応答ピークを十分正確に検出するのに十分な伝導率ピークの分解能を実現しかつ試薬の消費を最少化するために、非常に小さくなければならない。本発明でデータを取るために使用される伝導率セルの試料チャンバ容積は、例えば、2マクロリットルであり、伝導率セルの流路の内径は0.5mmである。セル定数は1.0cm-1である。
本発明で用いられる電子機器は伝導率の小さな変化を非常に正確に測定しなければならない。例えば、0.05ppmホウ素の検出下限を実現するためには(測定標準偏差の3倍に基づいて)、電子機器と伝導率センサは、標準偏差が最低でも約±0.03nS/cmでなければならない。このレベルの精度を、例えば2極式パルス伝導率測定法を用いることにより実現することができる。このタイプの伝導率測定を記載する参考文献には、Geiger,R.F.による「Microcomputer−Controlled Instrumentation for Analytical Conductance Measurements using the Bipolar−Pulse Technique(2極式−パルス技術を用いる分析的コンダクタンス測定のためのマイクロコンピュータ制御計測法)」(Urbana−Champaignにあるイリノイ大学の博士論文、1983年)があり、この出版物は参照により本明細書に組み込まれる。
【0073】
前記のように、半導体産業で使用される超純水を監視するために実際に使用するのに十分な感度がある、商業的に実用的なオンライン・ホウ素分析器の構築には、低容積伝導率セル、非常に感度がよく非常に安定な電子機器、微小容積ポリオール注入装置、および温度の関数として伝導率データを補正する方法が必要とされる。本発明によるこのようなホウ素分析器は小さく、大量の試薬を消費しないように構成されている。この構成のホウ素分析器は、例えば、3ヶ月間に渡るオンライン運転で、330mLのポリオール試薬を使用する。この量の試薬は分析器の一部分として容易に収納される。本発明のこの特徴は、従来技術のホウ素分析器で必要とされる大量の試薬と著しい対照をなす。
【0074】
本発明の別の新規な態様には、二酸化炭素および炭酸水素塩などの他の全てのイオン源による残留伝導を無くすために、脱イオン化樹脂を通してポリオールを再循環することが含まれる。図1のカラム16内に強酸および強塩基混合イオン交換樹脂を使用した試験では、CO2および炭酸水素塩が効果的に除去されることが示された。ポリオールのpKaは通常12から14程度であり、このため強い酸および塩基の混合イオン交換樹脂によっては効果的に除去されない。再循環ポリオールの濃度は、好ましくは、できるだけ高く維持され、その濃度は溶解性あるいは粘度の制限によってのみ限定される。好ましい実施形態においては、固体ポリオールがポリオール貯蔵タンク25内に常に存在しており、再循環、脱イオン化ポリオール試薬溶液と平衡状態にある。この実施形態により、この装置の3方バルブ(図1のバルブ22)を除去できるが、細いオリフィス、バルブ、あるいはチューブでポリオールが析出するリスクが増大する。分析される水試料がポリオールの注入により、より少ししか希釈されないので、より高濃度のポリオール溶液の、より小容積の注入が望ましい。
【0075】
本発明のさらに別の新規な態様には、ポリオール注入希釈係数を最適化することにより伝導率ピークを最大化することが含まれる。ポリオール試薬の一分量あるいはアリコートが遅延コイル(図1の導管8)に注入されるとき、伝導率および温度測定セル(図1の参照番号23)に延びる遅延あるいは反応コイル中でポリオールの分散が起こる。この分散によりポリオールが試料に混ざるとき、その濃度が低下する。この低下したポリオール濃度により、今度は伝導率ピークの低下が起こる。希釈(D)をD=C2/C1としてモデル化することができ、C1は元のポリオール溶液の濃度であり、C2は分散後のポリオールの濃度である。ホウ素含有試料のホウ素濃度も、ポリオールがそれに分散するとき、明らかに希釈されるであろう。最初のホウ素濃度がBtであるとすると、希釈された分散体の濃度は(Bt)(1−D)であろう。ポリオールの初期濃度がLであるならば、それが伝導率セルで水試料に分散した後のその濃度は(L)(D)であろう。これらの式を化学の数学的モデルに組み入れると、最適な希釈係数を計算することができ、図6および7に示されるようにプロットすることができ、これは、希釈係数により決まる、ホウ素検出器の最大の応答係数あるいは感度に対する最適な混合比を示す。このような最適な希釈係数は本発明の重要な特徴である。
【0076】
希釈係数を直接測定するために、NaCl溶液の注入を利用することができ、次にポリオールの特定の濃度に対する混合比を最良のものにするために、経験的に混合コイルの長さと内径を調節することにより、これを変えることができる。図8および9は、希釈係数が時間の関数としての伝導率ピークの形状に及ぼす希釈係数影響を例示する。図8の悪く規定されたピーク形状により精度が低下し、図9のよく規定されたピーク形状はホウ素分析器の精度を向上させる。
【0077】
本発明のさらに別の新規な態様には、ポリオール/ホウ素含有溶液のポリオールの濃度を最適化することにより伝導率の増加を最大化することが含まれる。本発明者等は、ホウ素と錯体が形成されるとき、最大の伝導率増加を与える、それぞれのポリオール化合物に対する最適の濃度があるということを見出した。さらに、本発明者等は、より小さな最適混合比により、ホウ素非含有試料ポリオール溶液参照値測定でより小さい伝導率が得られるので、正確度が増し、検出限界が改善されるということを見出した。表2はこれらの関係を例示する。
【表2】
Figure 0004942907
【0078】
2種の非常に弱い酸性の分子、特にホウ酸およびある特定のポリヒドロキシ(「ポリオール」)化合物が反応してより多く解離した酸性種を形成する能力が、以下に示されるように、本発明による、脱イオン水中のホウ素の、高感度(好ましくは温度補正される)伝導率測定検出にとっての基礎である。
3つの直線の各接合点には炭素(C)原子があるということが理解されるであろう次の式で示されるように、この反応をメタホウ酸陰イオンBO2 -とジオールの間の反応と見なすのが都合がよい。
【化1】
Figure 0004942907
あるいは簡潔に表すと、
3LH2O+2B-⇔LB-2O+L2-+2H2
であり、
【化2】
Figure 0004942907
は、記号ではC2(OH)2あるいはLH2Oであるポリオールを表し、「L」は「C2O」部分、すなわち
【化3】
Figure 0004942907
を表し、また簡潔に表した式における「B-」はメタホウ酸陰イオンBO2 -を表す。
【0079】
水酸基がシス配置であるポリオール分子は通常、ホウ酸および/またはその陰イオンと反応して伝導率に大きな変化を生ずる主な要件を備える。これらの要件を満たし、本発明で有効なポリオールには、限定はされないが、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、アラビトール、α−マンニタン、N−エチル−メソ−タルタルイミド(tartarimide)、シス−2−メチル−2,3−ジヒドロキシテトラメチレンスルホン、シス−1,4−ジメチル−2,3−ジヒドロキシテトラメチレンスルホン、水和トリキノイル(シクロヘキサンヘキソン水和物)、カテコール、3−ニトロカテコール、ピロガロールおよびヘキサヒドロキシベンゼンが含まれる。多くの適切な他のポリオールが当技術分野でよく知られている。例えば、Steinberg編「Organo−boron Chemistry(有機ホウ素化学)」の第661から675頁を参照。Steinbergに列挙されているポリオールの中で、約0.5モルの濃度で少なくとも約100のΔ(デルタ)をもつものが好ましく、この濃度で少なくとも約300のΔをもつものがより好ましく、この濃度で少なくとも約600のΔをもつものが最も好ましく、ここでΔはSteinbergに次のように定義されている。Δは、Kohlrausch−Holburn単位×106で表した、ポリオール−ホウ酸溶液の伝導率から個別のポリオールおよびホウ酸溶液の伝導率の合計を差し引いたものである。
【0080】
本発明のホウ素測定システムで用いるためには、溶液の本来の(固有の)電気伝導率が非常に小さく、ホウ酸および/またはその陰イオンに対する会合定数が大きいポリオールを選択することが好ましい。このような性質は、バックグラウンドの電気伝導率を小さくし、検出下限を改善する。水への溶解性が大きく、好ましくは少なくとも0.1グラムモル/リットル、より好ましくは少なくとも0.3グラムモル/リットル、最も好ましくは少なくとも0.5グラムモル/リットルであるポリオールを使用することもまた好ましい。特別に好ましいのは、1グラムモル/リットル以上の溶解性があるポリオールである。ポリオールの濃度が増加すると、好ましいように、ポリオールが固有である、すなわちポリオール自体の固有の(本来の)解離により生ずるもの以外の如何なるイオンも実質的に含まない場合には、応答係数および検出下限が改善される。このような固有でない(異質の)イオンは、ポリオールのこの固有の解離により生ずるイオンの約10分の1以下の濃度で好ましくは存在する。
【0081】
ポリオールはまた安価で、毒性が無く安定でなければならない。
本発明のホウ素測定システムの基礎となる化学反応をモデル化して、少なくとも定性的に、ポリオールをホウ素含有水に添加することによる伝導率応答を、ポリオールおよびホウ素濃度の関数として予測することができる。ポリオール−ホウ素非含有試料水に対するポリオール/ホウ素含有水の伝導率増加に基づいて、ホウ素濃度を計算/評価するには式を逆に用いることができる。
基礎となる式を次のように書くことができる。
【0082】
1.
HBO2⇔BO2 -+H+、あるいは簡潔に、BH⇔B-+H+
前記では、メタホウ酸HBO2としてホウ酸を、またメタホウ酸陰イオンBO2 -としてその陰イオンを表すと好都合であることが見出された。代わりとなる表示には次の式が含まれる。
(b)H3BO3⇔H2BO3 -+H+
(c)B(OH)3+H2O⇔B(OH)4 -+H+
(d)B(OH)3+2H2O⇔B(OH)4 -+H3+、他
当分野の技術者は最も扱いやすい前記のいずれか(あるいは何らかの変形)を選択することができる。
【0083】
2.
【化4】
Figure 0004942907
あるいは簡潔に、
2(OH)2⇔C22-+H+、あるいは好ましくは、
LH2O⇔LOH-+H+、ここで「L」は「C2O」を表す記号である。
【0084】
3.
【化5】
Figure 0004942907
あるいは簡潔に、
-+LH2O→BLH2-
前記の式は、ポリオールと反応する化学種がメタホウ酸陰イオンBO2 -であると仮定することの都合で例示している。当分野の技術者は、好ましいと思えば、BO2 -の代わりにH2BO3 -あるいはB(OH)4 -として、前者の場合には1分子のH2Oをさらなる反応生成物として加え、後者の場合には2分子のH2Oを加えて、式3を書くことができる。
ホウ酸陰イオンで書かれる式3は、さらなるH+を生成せず、全反応スキームは、前記の式1(あるいはそれに相当するもの)のみがH+を生成すると仮定しているので、式3に従ってホウ酸イオンを除去して、式1はポリオールの添加により右方向に進行する。好ましければ、式1および3を合わせて圧縮し、
【化6】
Figure 0004942907
あるいはその何れかの等価物もしくは簡潔な表示式に書ける。
【0085】
4.
【化7】
Figure 0004942907
あるいは簡潔に、
-+2LH2O⇔BL2 -+2H2
前記の式1を書くのに置かれた仮定に基づいて、式4もまたH+を生成せず、代わりに、BO2 -を除去することにより式1を右に進行させるように作用するのに寄与していることに注意する。
【0086】
5.
2O⇔H++OH-、あるいは好ましければ、
2H2O⇔H3++OH-
前記の記号式において、
BH=中性のメタホウ酸、HBO2
-=メタホウ酸陰イオン、BO2 -
LH2O=ポリオール、
【化8】
Figure 0004942907
LOH-=ポリオール陰イオン、
【化9】
Figure 0004942907
BLH2-=ホウ素ポリオール錯体、
【化10】
Figure 0004942907
BL2 -=ホウ素−ポリオール錯体
【化11】
Figure 0004942907
t=全ホウ素
+=水素イオン=ヒドロニウムイオン=H3+
OH-=水酸化物陰イオン
このシステムをモデル化するのに用いられた反応平衡、質量バランス、電荷バランスおよび伝導率の式は次の通りであり、
【化12】
Figure 0004942907
ここでK2は、式9の右辺の括弧内に示されるように、水の活量の逆2乗を含んでいる。1モルのマンニトール溶液で水の活量はほとんど純水のそれであると評価される。しかし、ポリオールの濃度がより高いときは、やはり本発明で有用であり、水の活量は通常実質的に低下している。
【0087】
10.Kw=[H+][OH-](=Kw’[H2O])あるいは
w=[H3+][OH-](=Kw”[H2O]2
11.(Bt)=(B-)+(BLH2-)+(BL2 -)+(BH)
12.(H+)=(B-)+(BLH2-)+(BL2 -)+(LOH-)+(OH-
上記において、「[]」は活量を表し、「()」は濃度を表す。関心のある多くの(全てはないが)場合、活量と濃度は実質的に等しいと想定することはたぶん理に適っているということを既に指摘している。
13.S={(H+)∧H++(OH-)∧OH-+(BLH2-)∧BLH2O-+(BL2 -)∧BL2-+(B-)∧B-+(LO2 14-)∧LO2H-
上の式の第3項の意味は、「BLH2-の濃度とBLH2-のモル・コンダクタンス、すなわち∧BLH2O-を掛けたもの」である。上の式の他の項は同様の意味をもつ。出版された大抵の当量伝導率(前記の「∧」)の表では、その値はシーメンス・cm2/グラム当量で表されており、この場合の濃度「()」はグラム当量/cm3で表されなければならず、そのとき比伝導率「S」はシーメンス/cmで表される。しかし、このような表のいくつかはモル伝導率、すなわちシーメンス・cm2/グラムモルでの値を列挙している。当分野の技術者は様々な単位が用いられている可能性に注意を払うべきである。
【0088】
式13において無限希釈での様々な等量伝導率は、LH2O=マンニトールあるいはソルビトールでは、ほぼ以下のようである。
H+ :349.8
OH- :198.3
LO2H-:24(近似値)
B- :70(近似値)
BLH2O- :23(近似値)
BL2- :16(近似値)
全て、25℃、無限希釈での値で、シーメンス・cm2/グラム当量で表されている。それらはポリオールによる粘度で補正されなければならず、マンニトールあるいはソルビトールでは粘度は近似的に次の通りである。
モル濃度 粘度 センチポイズ
1 1.88
0.9 1.76
0.8 1.65
0.7 1.55
0.6 1.46
0.5 1.37
0.4 1.29
0.3 1.22
0.2 1.15
0.1 1.09
前記で、Ka、KL、K1、K2、KW(平衡定数)は温度の関数で、これらに対する補正は、適切な全体としての温度補正に組み込むことができる。当量伝導率もまた温度の関数で、これらに対する補正もこのような全体的な温度補正に含めることができる。
【0089】
当分野の技術者は、長年当技術分野でよく知られている方法を用いて、如何なるポリオールの如何なる溶液の必要なK、∧および粘度でも容易に測定することができる。好ましくは、このような測定は、用いられようとしている濃度のポリオールを用いて行われる。別法として、一連の伝導率測定(好ましくは、pHも)により、必要な定数ならびにポリオール濃度および温度によるこれらの変動が計算できる。
ポリオール/ホウ素含有試料に対する伝導率応答、ポリオール/ホウ素非含有試料に対する伝導率応答、温度、希釈係数、およびポリオール濃度の関数として、試料のホウ素濃度を計算するために、前記の式を変形することができる。上の式13は、ポリオールおよび水試料は他の如何なるイオンも含まないということを前提にしていることに注意する。
【0090】
本発明のホウ素測定システムの主たる利益の1つは、容易に検出でき正確に測定できる最小のホウ素濃度のめざましい改善である。ポリオール/ホウ素非含有試料による伝導率バックグラウンド補正と、ホウ素含有およびホウ素非含有試料に非常に少量のアリコートとして注入される固有ポリオールの高い濃度とを併用する、前記の好ましい本発明の実施形態を用いることは、ポリオール/ホウ素伝導率検出を利用する従来技術の装置および方法より1から3桁小さい値の濃度のホウ素を測定することができる。図10は、本発明によるホウ素分析器での典型的な検出下限が、1兆部あたりホウ素として約50部(0.05ppb)の低さであることを示す。本出願の教示によるホウ素分析器をさらに最適化することにより、検出限界は1兆部あたりホウ素として1〜10部の低さまで下がり、実際の下限領域は1兆部あたり約1〜50部のBである。
【0091】
電気伝導率に基づく正確なホウ素濃度測定には、温度補償が必要である。この原則は非常に低レベルのホウ素測定ではなお一層重要である。化学平衡、酸解離定数、および各イオンのモル・コンダクタンスは全て温度に影響を受ける。図11は、ホウ素含有水試料に0.1ppbホウ素を注入している間の伝導率の生データの出力への温度変動の大きな効果を示す。温度変化による伝導率の変動のレベルは、ポリオール注入および低濃度ホウ素との反応で誘起される伝導率信号と同程度である。図11は、ポリオール/ホウ素含有試料が温度に強く影響されることを明白に示している。同じ図は、正確な低レベルホウ素濃度分析を実現するために、選ばれたホウ素分析に対して適切な温度補正手順が必要であることを際立たせて示している。
【0092】
本発明のポリオール/ホウ素分析伝導率測定への温度変動の影響を制御するために、3つの方法が好ましく用いられる。第1の方法では、精密に制御されたレベルに温度を固定することが求められる。こうすることで伝導率測定によるホウ素検出は、変わるかあるいは異なる試料および雰囲気温度に依存しなくなる。この方法は、本発明で実施されるような小型化された装置の小さな熱質量により大きな利益を得る。第2の方法は反応速度と化学反応を温度の関数として記述する数学的モデルを利用する。測定プロセスの機能性を正確に示す流体力学的およびケモメトリクス的モデルは、温度変化を予測し補正することができる。第3の好ましい方法は、様々な温度で濃度標準へのホウ素検出器の応答を測定し、次にこの経験的なデータを数学的な関係式で表し、温度および測定されたままの伝導率をその式に代入し、温度補正されたホウ素濃度を得る。このような第3の方法が差伝導率信号(ポリオール/ホウ素含有試料の伝導率からポリオール/ホウ素非含有試料の伝導率を引いたもの)に適用される場合、補正は、温度に影響を受けやすい、水およびオリオール混合物の伝導率の相殺により自働的に行われる。本発明者等は、ホウ素/ポリオール錯体伝導率は実際に用いられる定常状態にある温度に大きくは依存しないということを確認した。この場合、25℃から45℃の通常の定常状態温度範囲に渡って、温度補正はほとんどあるいは全く必要でない。
【0093】
低レベルのホウ素検出および測定のための前記の装置および方法に、本明細書の本発明の範囲から逸脱することなく他の変更および修正をなしうるということが当分野の技術者には明らかであろうし、前記の説明に含まれる全ての事項は、例示としてであって限定ではないと解釈されると意図する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい1実施形態の概略的プロセス・フロー図である。
【図2】 ホウ素として約0〜10ppbの範囲におけるホウ素濃度に対するデルタ伝導率のデータの例示的プロットである。
【図3】 ホウ素濃度に対するデルタ伝導率のデータの例示的log−logプロットである。
【図4】 ホウ素濃度に対する線形化された応答データの例示的グラフである。
【図5】 ホウ素として約0〜2.5ppbの非常に低いホウ素濃度でのホウ素濃度に対する濃度応答の例示的グラフである。
【図6】 ポリオールとして0.5Mのマンニトールを用いた希釈係数に対してプロットされた応答係数の例示的グラフである。
【図7】 ポリオールとして1Mのマンニトールを用いた希釈係数に対してプロットされた応答係数の例示的グラフである。
【図8】 最適ではない希釈係数および0.5Mのマンニトールを用いて得られた、最適ではないピーク形状を示す(本発明には含まれない)比較のための例示的グラフである。
【図9】 最適化された希釈係数および1Mのマンニトールを用いて得られた最適なピーク形状を示す例示的グラフである。
【図10】 1Mのマンニトールおよび0.32の希釈係数を用いたホウ素検出レベルを示す例示的グラフである。
【図11】 ホウ素濃度が0.1ppbでの伝導率と温度のプロットを示す例示的グラフである。
0
【図12】 従来技術から抜粋された、イオン交換カラムの漏出データを示す例示的グラフである。
【図13】 従来技術のプロセスを用いて得られたデルタ伝導率のデータと本発明の方法および装置を用いて得られたデルタ伝導率のデータとを比較する例示的グラフである。

Claims (27)

  1. 又は他の溶剤中の非常に低濃度のホウ素を測定する装置であって、
    (a)ホウ素を含んでいる可能性のある又は他の溶剤のの供給源と、
    (b)ホウ素を含んでいない水又は他の溶剤の試料の供給源と、
    )実質的に固有のポリオール溶液の供給源であって、該ポリオールホウ酸及び又はホウ酸イオンと錯体を形成することができるポリオール溶液の供給源と、
    (i)前記固有ポリオール溶液の一部分を前記ホウ素を含んでいる可能性のある水又は他の溶剤の試料と断続的に接触させて前記ポリオールと前記水又は他の溶剤とを含む第1の液体を生成させるとともに、(ii)前記固有ポリオール溶液の一部分を前記ホウ素を含んでいない水又は他の溶剤の試料と断続的に接触させて前記ポリオールと前記ホウ素を含んでいない水又は他の溶剤とを含む第2の液体を生成させるための接触システムと、
    )前記第1の液体の電気的コンダクタンスと第2の液体の電気的コンダクタンスを二者択一的に測定するためのコンダクタンス測定ユニットと、
    )前記水又は他の溶剤中のホウ素濃度を、前記第1の液体の電気的コンダクタンス及び第2の液体の電気的コンダクタンスと相関させるための相関システム
    を備える装置。
  2. 前記接触システムが、
    注入ループ、
    多穴注入バルブ、
    遅延ライン、及び
    接触システムの第1の面で前記ホウ素を含んでいる可能性のある水又は他の溶剤の試料又はホウ素を含んでいない水又は他の溶剤の試料のための流路に並接し、かつ接触システムの第2の面で前記固有ポリオール溶液の流路に並接する半透膜であって、ホウ酸及び/又はホウ酸陰イオンに実質的に透過性であり、かつ前記ポリオールには実質的に非透過性であって、前記第2の面で前記第1の液体又は第2の液体を二者択一的に生成する半透膜からなる群から選択される少なくとも1つの要素を備える請求項1載の装置。
  3. 前記固有ポリオール溶液酸型の陽イオン交換樹脂と塩基型の陰イオン交換樹脂を備える請求項1載の装置。
  4. 前記固有ポリオール溶液ホウ素特異性交換樹脂を備える請求項1載の装置。
  5. 前記固有ポリオール溶液所定のポリオール濃度を維持するための、濃度制御サブシステムを備える請求項1載の装置。
  6. 前記ポリオールが、約0.5モルの濃度で少なくとも約100のΔを有する(ただし、ΔはKohlraush−Holborn単位×106で表した、ポリオール−ホウ酸溶液の伝導率から、ポリオールの伝導率とホウ酸溶液の伝導率の合計を減じた差である。)、請求項1載の装置。
  7. 前記ポリオールが約0.5モルの濃度で少なくとも約300のΔを有する請求項6載の装置。
  8. 前記ポリオールが約0.5モルの濃度で少なくとも約600のΔを有する請求項6載の装置。
  9. 前記水又は他の溶剤のの供給源が、該試料から、中性溶液中のホウ酸よりも強くイオン化される電解質を除去するための電解質除去システムを含み、前記電解質除去システムが実質的にホウ酸及び又はホウ酸イオンを除去しない請求項1載の装置。
  10. 前記水又は他の溶剤のの供給源が、該試料から、ホウ素の定の障害となる1種又は複数の物質を除去するための障害物質除去システムを含み、前記障害物質除去システムが実質的にホウ酸及び又はホウ酸イオンを除去しない請求項1載の装置。
  11. 前記コンダクタンス測定ユニットが2極式パルス伝導率測定要素である請求項1載の装置。
  12. 前記コンダクタンス測定ユニットが電極を含む請求項1載の装置。
  13. 前記コンダクタンス測定ユニットが電極を含まない請求項1載の装置。
  14. 前記コンダクタンス測定ユニットが温度測定のための温度測定要素を含む請求項1載の装置。
  15. 前記コンダクタンス測定ユニットが前記ユニットの温度を予め決められた温度に制御するための温度制御システムをさらに備える請求項1載の装置。
  16. ホウ素として約0.001ppbから約1000ppbの非常に低濃度の、水溶液中のホウ素の正確な測定のための請求項1載の装置であって、(a)少なくとも2つの供給液体を少なくとも2個のバルブ流入導管から受入れ、液体の流れを少なくとも2個のバルブ流出導管へ流出し、そして2つの供給液体の1つ又は別の1つを、2者択一的にバルブ流出導管の1つ又は別の1つへ循環させるための注入ループに、前記の1つ又は別の1つの供給液体を2者択一的に送ることができる多穴バルブアセンブリを備える試料注入システム(b)ホウ素含有試料水部分又はホウ素非含有試料水部分を、前記試料注入システムに2者択一的に供給するための試料水配給システム(c)ポリオール溶液の一部分を前記試料注入システムに供給するためのポリオール供給システム(d)液体の電気的コンダクタンスを測定するためのコンダクタンスセル、及び(e)前記試料注入システムの前記注入ループから前記コンダクタンスセルへ流体を送るための導管、を組合せて備える置。
  17. 流体流動制御装置を前記伝導率セルの下流にさらに備える請求項16載の装置。
  18. 前記試料水配給システムが、試料水入口試料を前記試料水入口から、ホウ素除去樹脂を通して、又は2者択一的に前記ホウ素除去樹脂を迂回するように送るための導管前記試料が前記ホウ素除去樹脂を通るか又は迂回するかどうかを制御するための少なくとも1個のバルブ、及び前記試料供給システムを前記注入システムの流入導管に結合する流体導管を備える請求項16載の装置。
  19. 前記ポリオール供給システムが、濃縮ポリオール溶液の貯蔵容器前記ポリオール溶液を樹脂床に通して循環させて、イオン性汚染物質を除去するための導管システム、及び前記ポリオール供給システムを前記注入システムの流入導管に結合する液体導管を備える請求項16載の装置。
  20. 前記注入システムの流出導管を前記ポリオール供給システムに結合する液体導管をさらに備える請求項19載の装置。
  21. 又は他の溶剤中の非常に低濃度のホウ素を測定する方法であって、請求項1乃至請求項20のいずれか1項記載の装置を準備し、
    (a)ホウ素を含んでいる可能性のある水又は他の溶剤の試料を供給する工程と、
    (b)前記固有ポリオール溶液の一部分を前記ホウ素を含んでいる可能性のある水又は他の溶剤の試料と断続的に接触させて前記ポリオールと前記水又は他の溶剤とを含む第1の液体を生成させる工程と、
    (c)前記第1の液体の電気的コンダクタンスを測定する工程と、
    (d)ホウ素を含んでいない水又は他の溶剤の試料を供給する工程と、
    (e)前記固有ポリオール溶液の一部分を前記ホウ素を含んでいない水又は他の溶剤の試料と断続的に接触させて前記ポリオールと前記ホウ素を含んでいない水又は他の溶剤とを含む第2の液体を生成させる工程と、
    (f)前記第2の液体の電気的コンダクタンスを測定する工程と、
    (g)前記水又は他の溶剤中のホウ素濃度を、前記第1の液体の電気的コンダクタンス及び第2の液体の電気的コンダクタンスと相関させる工程と
    を含む方法。
  22. (a)ホウ素含有試料水部分と注入された少量のポリオール溶液アリコートとを混合して、得られたポリオール/ホウ素含有試料水溶液のコンダクタンスを測定する工程(b)ホウ素非含有試料水部分と注入された少量のポリオール溶液アリコートとを混合して、得られたポリオール/ホウ素非含有試料水溶液のコンダクタンスを測定する工程(c)ポリオール/ホウ素含有試料水溶液のコンダクタンスとポリオール/ホウ素非含有試料水溶液のコンダクタンスの間の差に基づきコンダクタンス差を求める工程、及び(d)前記コンダクタンス差をホウ素含有試料水部分のホウ素濃度に関係づける工程、
    を含む、ホウ素として約0.001ppbから約1000ppbの非常に低濃度の、水溶液中のホウ素の正確な測定のための請求項21記載の方法。
  23. さらに、前記ポリオール溶液が少なくとも0.05Mポリオール/リットルの濃度を有する請求項22記載の方法。
  24. さらに、前記注入された少量のポリオール溶液のアリコートのそれぞれの容積が約50マイクロリットル以下である請求項22記載の方法。
  25. ホウ素含有又はホウ素非含有試料水部分へ注入する前に、前記ポリオールを脱イオン化樹脂に通す工程をさらに含む請求項22記載の方法。
  26. ホウ素含有水試料の一部分をホウ素除去樹脂に通して前記ホウ素非含有試料水部分を得る工程をさらに含む請求項22記載の方法。
  27. コンダクタンス応答を調節する工程、ならびに前記ポリオール溶液のポリオールの濃度を最適化することにより、ポリオール/ホウ素含有試料水溶液の前記コンダクタンス応答を最大化する工程をさらに含む請求項22記載の方法。
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