JP2018025454A - 過酸化水素分析装置及び過酸化水素分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 水中の極微量の過酸化水素を簡便且つ高感度に分析できる過酸化水素分析装置を提供する。
【解決手段】 過酸化水素分析装置1は、超純水製造装置のサブシステム2から分析対象となる検水Wを導入するサンプル採取用配管3を有しており、このサンプル採取用配管3は2か所で検水Wを導入する。第一の導入部である第一のサンプル採取用配管3Aは第一の溶存水素計4に連通しており、第二の導入部である第二のサンプル採取用配管3Bは過酸化水素分解手段5に連通しており、この過酸化水素分解手段5の処理水W1の分岐菅6Aは第二の溶存水素計7に連通している。そして、第一の溶存水素計4及び第二の溶存水素計7は、それぞれ演算手段8に測定結果を送信可能となっている。
【選択図】 図1
【解決手段】 過酸化水素分析装置1は、超純水製造装置のサブシステム2から分析対象となる検水Wを導入するサンプル採取用配管3を有しており、このサンプル採取用配管3は2か所で検水Wを導入する。第一の導入部である第一のサンプル採取用配管3Aは第一の溶存水素計4に連通しており、第二の導入部である第二のサンプル採取用配管3Bは過酸化水素分解手段5に連通しており、この過酸化水素分解手段5の処理水W1の分岐菅6Aは第二の溶存水素計7に連通している。そして、第一の溶存水素計4及び第二の溶存水素計7は、それぞれ演算手段8に測定結果を送信可能となっている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、水中の微量な過酸化水素を測定するための装置及び方法に関し、特に水中の微量な過酸化水素を高感度に測定することの可能な過酸化水素分析装置及び過酸化水素分析方法に関する。
従来、過酸化水素の濃度の分析方法としては、試験紙または試験試薬による方法、酸化還元滴定法、比色法などが一般に知られている。このような過酸化水素の濃度分析は、過酸化水素を含む排水設備や、純水や超純水を製造する設備等の水処理プロセス装置で使用することができる。さらに最近の水処理装置では紫外線照射設備等で過酸化水素が発生することが知られており、現場でオンラインにて過酸化水素をモニタリングすることができると便利である。このようなニーズに対して、特許文献1、2には溶存酸素濃度に基づいて連続で高感度に過酸化水素を分析する装置が開示されている。また、高感度で過酸化水素濃度をモニタリングする装置として、酵素を利用した過酸化水素分析装置が提案されている(特許文献3)。
しかしながら、特許文献1及び2に記載された過酸化水素分析装置では、例えば、0.5PPB以下の過酸化水素濃度を精度よく分析することは困難である、という問題点がある。また、特許文献3に記載された過酸化水素分析装置は、0.2ppb程度までの極低濃度の過酸化水素を分析することが可能であるが、この装置は熱に弱い酵素を利用しているため冷却装置を付設する必要があり、冷却試薬を定期的に補充しなければならないため取扱い性が良くないという問題点がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、水中の極微量の過酸化水素を簡便に且つ高感度に分析できる過酸化水素分析装置及び過酸化水素分析方法を提供することを目的とする。
上記目的に鑑み、本発明は第一に、水処理プロセス装置の所定の位置から採取した検水中の過酸化水素濃度を分析するための過酸化水素分析装置であって、前記検水を連続式又は回分式で導入する検水導入手段と、前記検水導入手段により導入された検水中の過酸化水素を分解するための過酸化水素分解手段と、前記過酸化水素分解手段の前段に設けられた水素注入手段と、前記過酸化水素分解手段の処理水と水素注入手段の後の検水の溶存水素濃度とをそれぞれ測定する溶存水素濃度測定手段とを備える過酸化水素分析装置を提供する(発明1)。上記発明(発明1)においては、前記過酸化水素分解手段の処理水溶存水素濃度と水素注入手段の後の検水の溶存水素濃度とから過酸化水素濃度を算出する演算手段を備えることが好ましい(発明2)。
かかる発明(発明1,2)によれば、過酸化水素分解手段において、水素が存在している検水を過酸化水素分解手段に供給すると過酸化水素の分解に伴い水素が消費されるので処理水の水素濃度は低下する。そこで、両者の水素濃度の差に基づき過酸化水素濃度を算出することができる。この過酸化水素濃度は、あらかじめ測定しておいた水素濃度の差と過酸化水素濃度との関係に基づき演算手段により連続的に算出することができる。
上記発明(発明1,2)においては、前記水素注入手段の前段に脱気処理する脱気装置を備えることが好ましい(発明3)。また、上記発明(発明3)においては、前記脱気装置が膜式脱気装置であることが好ましい(発明4)。
かかる発明(発明3,4)によれば、検水を脱気して溶存酸素などを除去することにより、該検水中の溶存酸素濃度が高かったり、その変動が大きかったりすることによる検水中の溶存水素濃度の変動を防止して過酸化水素濃度を正確に測定することができる。
上記発明(発明1〜4)においては、前記過酸化水素分解手段は、活性炭、合成炭素系吸着材、イオン交換樹脂及び金属触媒の少なくとも一つを含むことが好ましい(発明5)。
かかる発明(発明5)によれば、これらの素材は検水中の過酸化水素分解する能力を有するとともに変性しにくいので装置の耐久性を優れたものとすることができる。
上記発明(発明1〜5)においては、前記水素注入手段が、水素ガスまたは水素ガス溶解水の添加装置であることが好ましい(発明6)。
かかる発明(発明6)によれば、溶存水素濃度を細かく制御することが可能であり、過酸化水素濃度を精度よく制御することができる。
本発明は第二に、水処理プロセス装置の所定の位置から採取した検水中の過酸化水素濃度を分析するための過酸化水素分析方法であって、前記検水を連続式又は回分式で採取して導入する検水導入工程と、該導入された検水中の過酸化水素を分解するための過酸化水素分解工程と、前記過酸化水素分解工程の前段で検水に水素を注入する水素注入工程と、前記過酸化水素分解工程の後の処理水と水素注入工程の後の検水の溶存水素濃度を測定する溶存水素濃度測定工程とを有する過酸化水素分析方法を提供する(発明7)。上記発明(発明7)においては、前記過酸化水素分解工程の処理水の溶存水素濃度と水素注入工程の後の検水の溶存水素濃度とから過酸化水素濃度を算出する演算工程を有することが好ましい(発明8)。
かかる発明(発明7,8)によれば、過酸化水素分解工程において、水素が存在している検水を過酸化水素分解工程で処理すると過酸化水素の分解に伴い水素が消費されるので処理水の水素濃度は低下する。そこで、検水(初期)の水素濃度と過酸化水素分解工程の処理水の水素濃度との差に基づき過酸化水素濃度を算出することができる。この過酸化水素濃度は、あらかじめ測定しておいた水素濃度の差と過酸化水素濃度との検量線に基づき演算工程において連続的に算出することができる。
本発明によれば、超純水中の過酸化水素を簡便に測定して正確に検量することができる。特に0.1〜10ppb程度の極微量の過酸化水素を高感度で定量することが可能となる。しかも現場でオンラインでの分析も可能となる。
以下、本発明の過酸化水素分析装置の実施形態について図1を参照にして詳細に説明する。
図1は本実施形態にかかる過酸化水素分析装置を示す概略図であり、図1において、過酸化水素分析装置1は、水処理プロセス装置としての超純水製造装置のサブシステム2から、分析対象となる超純水を検水Wとして分析装置内に導入する検水導入手段としてのサンプル採取用配管3を有しており、このサンプル採取用配管3は2か所で検水Wを導入する。すなわち、第一の導入部である第一のサンプル採取用配管3Aは溶存水素濃度測定手段としての第一の溶存水素計4に連通しており、第二の導入部である第二のサンプル採取用配管3Bは過酸化水素分解手段5に連通しており、この過酸化水素分解手段5の処理水W1は、分岐菅6A、6Bに流通可能となっていて、分岐菅6Aには溶存水素濃度測定手段としての第二の溶存水素計7が連通している。そして、第一の溶存水素計4及び第二の溶存水素計7は、それぞれパーソナルコンピュータなどの演算手段8に測定結果を送信可能となっている。なお、11A、11B、12A及び12Bはそれぞれ開閉バルブであり、13A、13B、13C及び13Dはそれぞれ流量計である。そして、サンプル採取用配管3の第一のサンプル採取用配管3Aより上流側には、脱気装置としての膜脱気装置14と、水素注入手段としての水素ガス添加装置15とが順次設けられている。
上述したような過酸化水素分析装置1において、膜脱気装置14は、気体分離膜で仕切られた一方の室に被処理水(検水W)を流すとともに、他方の室を減圧することにより、被処理水中に含まれるガスを気体分離膜を通して他方の室に移行させて除去する装置である。この膜脱気装置14は、検水W中の溶存酸素濃度が高い場合や、大きく変動する場合に、溶存水素濃度や過酸化濃度の測定に影響を及ぼすため、高精度で過酸化水素濃度を測定するために有効である。なお、検水W中の過酸化水素濃度が高い場合あるいは高精度での分析が必要でない場合、さらには元々検水W中の溶存酸素濃度が低い場合には、必ずしも膜脱気装置14を設置する必要はない。
また、水素ガス添加装置15としては、脱気膜に水素ガスまたは水素ガスと不活性ガス(例えば窒素)の混合ガスを微量注入する方法(ガススィープ方式)の装置、水素ガスまたは水素ガスと不活性ガス(例えば窒素)の混合ガスをタンクに貯留した超純水にバブリングして飽和させ、このタンク内の水を微量ずつ定量ポンプで注入する方法(タンク水・定量ポンプ注入方式)の装置のいずれでもよいが、水素の濃度を過酸化水素と同じ程度にした方が精度よく過酸化水素濃度を計測できるので、水素濃度を細かく制御できるタンク水・定量ポンプ注入方式の装置を採用するのが好ましい。
過酸化水素分解手段5は、過酸化水素分解能を有する材料を充填したガス透過性が低いステンレス鋼製などの容器またはカラムにより構成することができる。ここで過酸化水素分解能を有する材料としては、水中の過酸化水素を水と酸素とに分解する能力を有するものであれば特に限定されないが、水に溶解せず変性しにくいものが好ましい。このような材料としては、例えば活性炭、合成炭素吸着材、イオン交換樹脂、プラチナやパラジウム等の白金族触媒などを用いることができる。これらのうち、活性炭や合成炭素吸着材などの炭素系の材料は過酸化水素分解能が高く、耐久性に優れているので好適である。また、プラチナやパラジウムなどの白金族触媒も過酸化水素分解能力が高く、耐久性に優れている。特にプラチナは高価であるが高性能であるので好ましい。さらに、イオン交換樹脂は、過酸化水素分解能が使用時間とともに低下しやすいので、長時間の使用機は不向きである。これらの過酸化水素分解能を有する材料は、過酸化水素との接触効率を向上させるために、微粉末状、粒状、繊維状、多孔質体などの表面積の大きいものを用いることが好ましい。
さらに、過酸化水素分析装置1に用いられる配管、特に検水Wを導入するサンプル採取用配管3、第一のサンプル採取用配管3A、第二のサンプル採取用配管3B及び分岐菅6Aは、ガス透過性が低い点でステンレス鋼あるいはナイロン等の材料からなるものが好ましい。ガス透過性が高いと大気中の酸素が配管を通じて大量に検水Wに溶け込み、酸素濃度が上昇し水素と反応して正確な水素濃度の計測ができなくなるためである。
次に上述したような構成を有する過酸化水素分析装置1を用いた過酸化水素の分析方法について説明する。まず、開閉バルブ11Aを開成するとともに開閉バルブ11Bを閉鎖した状態でサンプル採取用配管3からサブシステム2の水(検水W)を採取する。このとき膜脱気装置14は、検水W中の過酸化水素濃度(測定レンジ)にもよるが、例えばサブシステムの超純水の過酸化水素濃度は数10μg/L以下なので、ブランク値を下げるため溶存酸素濃度を5μg/L以下、特に0.1μg/L以下まで脱気(脱酸素)するのが好適である。
続いて、この脱気後の検水Wに水素ガスを添加する。この水素ガスの添加濃度は特に制限はないが、水素の濃度を過酸化水素と同じ程度にした方が精度よく過酸化水素濃度を計測できる一方、あまり低濃度すぎると過酸化水素濃度の分析が困難となるため、10〜500ppb、特に50〜300ppb程度とするのが好ましい。
この水素ガスが溶解された検水Wは、開閉バルブ11Aが開成しているとともに開閉バルブ11Bが閉鎖しているので、第一のサンプル採取用配管3Aに流入し、第一の溶存水素計4に供給して第一の水素濃度を計測する。このとき流量計13Aにより第一の溶存水素計4での測定に好適な流量であることを確認する。この第一の溶存水素計4で計測された水素濃度がブランク値として、演算手段8に記憶される。
次に開閉バルブ11Aを閉鎖するとともに開閉バルブ11Bを閉鎖すると、水素ガスが溶解された検水Wは、第二のサンプル採取用配管3Bに流入し、過酸化水素分解手段5に供給する。このとき流量計13Bにより過酸化水素分解手段5での処理に好適な流量であることを確認する。この過酸化水素分解手段5に供給された検水Wには水素ガスが共存しているので、過酸化水素は下記分解反応(1)、(2)により瞬時に水となる。
2H2O2 → 2H2+O2 ・・・(1)
O2+2H2 → 2H2O ・・・(2)
2H2O2 → 2H2+O2 ・・・(1)
O2+2H2 → 2H2O ・・・(2)
このとき、最初は開閉バルブ12Aを閉鎖し、開閉バルブ12Bを開成して、水質が安定するまで過酸化水素が分解された処理水W1を排出し、しかる後開閉バルブ12Aを開成するとともに開閉バルブ12Bを閉鎖して、過酸化水素が分解された処理水W1を第二の溶存水素計7に供給して第二の水素濃度を計測する。このとき流量計13Cにより第二の溶存水素計7での測定に好適な流量であることを確認する。この第二の溶存水素計7で計測された水素濃度が演算手段8に記憶される。
そして、第一の水素濃度と第二の水素濃度との差(ΔH2濃度)から検水W中の過酸化水素濃度を求めることができる。この過酸化水素濃度は、例えば、検量線を使用することで求めればよい。すなわち、所定の過酸化水素濃度の範囲で濃度の異なる複数の既知の過酸化水素濃度の模擬検水Wをあらかじめ本実施形態の過酸化水素分析装置1で処理する。このとき、模擬検水Wの流速、水温などの諸条件は測定対象となる検水Wと同じく設定する必要がある。こうして測定した第一の水素濃度と第二の水素濃度とからΔH2濃度と過酸化水素濃度との関係に基づいて検量線を作成する。そして、この検量線のデータを演算手段8に記憶させておくことにより、第一の溶存水素計4と第二の溶存水素計7とのデータに基づき、検水W中の過酸化水素濃度を定量することができる。なお、模擬検水Wにおける過酸化水素濃度は、例えば、ドイツ公開特許第4344235号公報などに記載された公知の方法により計測することができる。
上述したような本実施形態の過酸化水素分析装置1は、純水製造装置や超純水製造装置、排水処理設備等の水処理プロセス装置を流通する水、特に超純水製造装置で製造される純水あるいは超純水中の過酸化水素濃度の測定に好適である。例えば、図2に示すように上水タンク21と、この上水タンク21中の上水を処理する前処理装置22と、一次純水装置23と、二次純水装置(サブシステム)24とからなる超純水製造装置であって、サブシステム24として、サブタンク25と熱交換器26、膜脱気装置27、紫外線酸化装置28、過酸化水素除去装置29、非再生式イオン交換装置30及び限外ろ過膜(UF)31を順次配置した構成のものを用い、このサブシステム24で処理した超純水W0をユースポイント(UP)32に供給するものに好適に用いることができる。このような超純水製造装置においては、超純水W0の過酸化水素濃度を保証する必要があることがある。そこで、サブシステム24の所望の箇所にサンプル採取用配管3を接続し、サブシステム2の水を採取して検水Wとして分析する必要がある。
以上、本実施形態について添付図面を参照して説明してきたが、本発明は前記実施形態に限らず種々の変更実施が可能である。例えば、上記実施形態においては演算手段8を設けているが、一過的に過酸化水素濃度を測定する場合には、あらかじめ検量線を作成しておけば、第一の溶存水素計4と第二の溶存水素計7とのデータに基づき作業者が算出してもよい。また、水処理プロセス装置としては、超純水製造装置に限らず、純水製造装置、排水処理設備等にも同様に適用可能である。さらに過酸化水素分析装置1は、サンプル採取用配管(検水導入手段)3を純水や超純水の製造設備、排水処理設備等の水処理プロセス装置に着脱可能として、必要に応じて取り付けて測定するように構成してもよい。
以下の具体的実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
[実施例1]
まず、図2に示す超純水製造装置を構成し、上水を前処理装置22及び一次純水装置23で処理して得られた一次純水をサブシステム24で処理して超純水W0を製造した。
まず、図2に示す超純水製造装置を構成し、上水を前処理装置22及び一次純水装置23で処理して得られた一次純水をサブシステム24で処理して超純水W0を製造した。
なお、サブシステム24の仕様等は以下のとおりである。
・膜脱気装置27:Liqui Cell社製「G451H」
・低圧紫外線酸化装置28:日本フォトサイエンス社製「JPW−12」
・過酸化水素除去装置29:栗田工業社製「ナノセーバ CC30SSU−HS」
・非再生式イオン交換装置30:栗田工業社製「KR−UM1 CC30SU」
・限外ろ過膜(UF)31:旭化成工業社製「OLT−6036H」
・超純水W0の水温:25℃±1℃
・膜脱気装置27:Liqui Cell社製「G451H」
・低圧紫外線酸化装置28:日本フォトサイエンス社製「JPW−12」
・過酸化水素除去装置29:栗田工業社製「ナノセーバ CC30SSU−HS」
・非再生式イオン交換装置30:栗田工業社製「KR−UM1 CC30SU」
・限外ろ過膜(UF)31:旭化成工業社製「OLT−6036H」
・超純水W0の水温:25℃±1℃
図2に示す超純水製造装置のサブシステム24の熱交換器26の前段で定量ポンプにて窒素で脱気した過酸化水素水を種々の量で添加し、異なる過酸化水素濃度の模擬超純水W0を調製した。これをそれぞれ膜脱気装置27の出口で採取して検水Wとし、図1に示す過酸化水素分析装置1のサンプル採取用配管3に導入して、第一の溶存水素計4と第二の溶存水素計7とで第一の水素濃度と第二の水素濃度とを測定し、ΔH2濃度を計測した。また、検水W中の初期過酸化水素濃度を別途測定し、両者の関係から検量線を作成した。結果を図3に示す。
なお、過酸化水素分析装置1の仕様及び分析条件は以下のとおりである。
・サンプル採取用配管3、第一のサンプル採取用配管3A、第二のサンプル採取用配管3B及び分岐菅6A:SUS製チューブ
・過酸化水素分解手段5:SUS製のカラムに充填剤として栗田工業社製ナノセーバを500mL充填
・第一の溶存水素計4及び第二の溶存水素計7:オービスフェア社製「2956A」
・検水Wの流速;833mL/分(SV100)
・水温:25℃±1℃
・水素添加前の検水Wの溶存水素濃度:0.03ppb未満
・サンプル採取用配管3、第一のサンプル採取用配管3A、第二のサンプル採取用配管3B及び分岐菅6A:SUS製チューブ
・過酸化水素分解手段5:SUS製のカラムに充填剤として栗田工業社製ナノセーバを500mL充填
・第一の溶存水素計4及び第二の溶存水素計7:オービスフェア社製「2956A」
・検水Wの流速;833mL/分(SV100)
・水温:25℃±1℃
・水素添加前の検水Wの溶存水素濃度:0.03ppb未満
図3から明らかなように、第一の水素濃度と第二の水素濃度との差であるΔH2濃度と過酸化水素濃度との間には、過酸化水素濃度1μg/L以下の範囲内では比例関係にあり、実施例1の純水製造条件及び過酸化水素濃度の分析条件であれば、過酸化水素濃度1μg/L以下であれば、検水W(超純水W0)の過酸化水素濃度を簡単にオンラインで計測することができる。したがって、個別の超純水製造装置ごとにその製造条件に応じて過酸化水素分析装置1の分析条件を設定して検量線を作成することにより、種々の水処理プロセス装置において過酸化水素濃度を分析することができることがわかった。
1 過酸化水素分析装置
2 サブシステム(超純水製造装置:水処理プロセス装置)
3 サンプル採取用配管(検水導入手段)
3A 第一のサンプル採取用配管(第一の導入部)
3B 第二のサンプル採取用配管(第二の導入部)
4 第一の溶存水素計(溶存水素濃度測定手段)
5 過酸化水素分解手段
6A 分岐菅
6B 分岐菅
7 第二の溶存水素計(溶存水素濃度測定手段)
8 演算手段
11A、11B、12A、12B 開閉バルブ
13A、13B、13C、13D 流量計
14 膜脱気装置(脱気装置)
15 水素ガス添加装置(水素注入手段)
W 検水
W1 処理水
2 サブシステム(超純水製造装置:水処理プロセス装置)
3 サンプル採取用配管(検水導入手段)
3A 第一のサンプル採取用配管(第一の導入部)
3B 第二のサンプル採取用配管(第二の導入部)
4 第一の溶存水素計(溶存水素濃度測定手段)
5 過酸化水素分解手段
6A 分岐菅
6B 分岐菅
7 第二の溶存水素計(溶存水素濃度測定手段)
8 演算手段
11A、11B、12A、12B 開閉バルブ
13A、13B、13C、13D 流量計
14 膜脱気装置(脱気装置)
15 水素ガス添加装置(水素注入手段)
W 検水
W1 処理水
Claims (8)
- 水処理プロセス装置の所定の位置から採取した検水中の過酸化水素濃度を分析するための過酸化水素分析装置であって、
前記検水を連続式又は回分式で導入する検水導入手段と、
前記検水導入手段により導入された検水中の過酸化水素を分解するための過酸化水素分解手段と、
前記過酸化水素分解手段の前段に設けられた水素注入手段と、
前記過酸化水素分解手段の処理水と水素注入手段の後の検水の溶存水素濃度とをそれぞれ測定する溶存水素濃度測定手段と
を備える過酸化水素分析装置。 - 前記過酸化水素分解手段の処理水溶存水素濃度と水素注入手段の後の検水の溶存水素濃度とから過酸化水素濃度を算出する演算手段を備える請求項1に記載の過酸化水素分析装置。
- 前記水素注入手段の前段に脱気処理する脱気装置を備える請求項1または2に記載の過酸化水素分析装置。
- 前記脱気装置が膜式脱気装置である請求項3に記載の過酸化水素分析装置。
- 前記過酸化水素分解手段は、活性炭、合成炭素系吸着材、イオン交換樹脂及び金属触媒の少なくとも一つを含む請求項1から4のいずれかに記載の過酸化水素分析装置。
- 前記水素注入手段が、水素ガスまたは水素ガス溶解水の添加装置である請求項1から5のいずれかに記載の過酸化水素分析装置。
- 水処理プロセス装置の所定の位置から採取した検水中の過酸化水素濃度を分析するための過酸化水素分析方法であって、
前記検水を連続式又は回分式で採取して導入する検水導入工程と、
該導入された検水中の過酸化水素を分解するための過酸化水素分解工程と、
前記過酸化水素分解工程の前段で検水に水素を注入する水素注入工程と、
前記過酸化水素分解工程の後の処理水と水素注入工程の後の検水の溶存水素濃度を測定する溶存水素濃度測定工程と
を有する過酸化水素分析方法。 - 前記過酸化水素分解工程の処理水の溶存水素濃度と水素注入工程の後の検水の溶存水素濃度とから過酸化水素濃度を算出する演算工程を有する請求項7に記載の過酸化水素分析方法。
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