JP4942789B2 - 波長変換レーザ光源 - Google Patents

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本発明は、単一もしくは複数の励起レーザ光を波長変換素子で波長変換して出力する波長変換レーザ光源に関する。
波長変換レーザ光源は、バイオサイエンス研究開発向け光源、共焦点レーザ顕微鏡、フローサイトメータ等に広く利用されている(例えば、非特許文献1を参照。)。通常の波長変換レーザ光源は、1つの箇体から1本のレーザ光が出力されるため、複数の波長のレーザ光が必要な場合には、複数の波長変換レーザ光源をビームコンバイナに配置して、光学的に結合して出力する。この場合には、所望とされる波長個数分の波長変換レーザ光源が必要となる。
一方、励起光発生用の半導体レーザを共用して、同時に2本のレーザ光を出力する波長変換レーザ光源も知られている(例えば、特許文献1を参照。)。その構成について、図7を用いて説明する。レーザ11−1は、波長1310nmの励起光L1を出力する。レーザ11−2は、波長976nmの励起光L2を出力する。励起光L2は光分波器72−2により2方向に分波され、その中の一方は光合波器72−1で励起光L1と合波されて波長変換素子を含む波長変換部14−1に入力され、他方は波長変換素子を含む波長変換部14−2に入力される。波長変換部14−1では、励起光L1と励起光L2の和周波に相当する波長559nmの出力光Loを発生する。また、波長変換部14−2では、励起光L2の第2次高調波に相当する波長488nmの出力光Loを発生する。
このような2つのレーザと波長変換素子を利用する波長変換レーザ光源は、半導体レーザや波長変換素子等の動作条件の変動に伴い、出力光の強度が変動する。このため、従来の波長変換レーザ光源は、出力光の変動を抑制するため、出力光の一部をフォトダイオードでモニタし、その出力が一定となるように半導体レーザの駆動電流を帰還制御していた(例えば、特許文献2を参照。)。
特開2006−227216号公報 特開2007−264149号公報
波長変換レーザーカタログ(販売元:株式会社日本レーザー、製造元:NTTエレクトロニクス株式会社、2008年7月発行)
しかし、従来の波長変換レーザ光源の構成では、レーザ11−2の励起光L2の光強度が、双方の出力光Loの光強度に影響する。例えば、波長変換部14−2の出力光Loの光強度によりレーザ11−2の駆動電流を帰還制御すると波長変換部14−1の出力光Loの光強度も変動することになる。すなわち、従来の波長変換レーザ光源には、同時に2つの出力光の光強度を適正に調整することが困難という課題があった。
そこで、本発明は、複数のレーザの励起光を利用して波長変換を行い出力される複数の出力光の光強度をそれぞれ容易に調整することができる波長変換レーザ光源を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る波長変換レーザ光源は、波長変換素子に結合する単波長光又は合波光の光強度を調整する可変光アッテネータを備えることとした。
具体的には、本発明に係る波長変換レーザ光源は、互いに異なる波長の励起光を出力する複数のレーザと、前記レーザからの励起光を合波して複数の合波光を出力する光合分波器と、前記光合分波器から出力される前記合波光毎に波長を変換する波長変換素子を含む波長変換部と、前記光合分波器と前記波長変換部との間で前記光合分波器が出力する前記合波光のうち少なくとも1つの光強度を減衰する可変光アッテネータと、前記可変光アッテネータを介して前記合波光が結合される前記波長変換部から出力される出力光の光強度を一定に保つように前記可変光アッテネータの減衰量を調整する減衰制御回路と、を備える。
可変光アッテネータは、波長変換素子から出力される出力光の光強度をモニタしており、レーザ出力の変動があっても一定の光強度になるように当該波長変換部に結合する単波長光又は合波光の光強度を調整することができる。つまり、可変光アッテネータは、波長変換部の出力光毎に光強度を調整することができる。
従って、本発明は、複数のレーザの励起光を利用して波長変換を行い出力される複数の出力光の光強度をそれぞれ一定に制御することができる波長変換レーザ光源を提供することができる。
本発明に係る波長変換レーザ光源は、前記光合分波器からの前記合波光が直接結合される前記波長変換部のうち少なくとも1つの出力光の光強度を一定に保つように少なくとも1つの前記レーザの出力を調整する調光制御回路をさらに備えてもよい。本波長変換レーザ光源は、可変光アッテネータが配置されていない光路の光出力も光強度を調整することができる。
本発明に係る波長変換レーザ光源は、互いに異なる波長の励起光を出力し、第1グループ及び第2グループに分類される複数のレーザと、前記第1グループに含まれる前記レーザのうち少なくとも1つからの励起光と前記第2グループに含まれる前記レーザのうち少なくとも1つからの励起光を合波して少なくとも1つの第1端子から合波光を出力し、前記第2グループに含まれる前記レーザからの励起光を単波長光として前記第2グループに含まれる前記レーザに対応する第2端子から出力する光合分波器と、前記光合分波器の第1端子から出力される前記合波光毎に波長を変換する波長変換素子を含む第1波長変換部と、前記光合分波器の第2端子から出力される前記単波長光毎に光強度を減衰する可変光アッテネータと、前記可変光アッテネータで光強度を調整された前記単波長光毎に波長を変換する波長変換素子を含む第2波長変換部と、前記第1波長変換部から出力されるそれぞれの出力光の強度を一定に保つように前記第1グループに含まれる前記レーザ毎に出力を調整する調光制御回路と、前記第2波長変換部から出力されるそれぞれの出力光の強度を一定に保つように前記可変光アッテネータ毎に減衰量を調整する減衰制御回路と、を備えるとしてもよい。
光合分波器は、第2グループのレーザからの光を分岐し、一方を短波長光としてそのまま出力し、他方を第1グループのレーザからの光と合波し、合波光として出力する。可変光アッテネータは短波長光の光強度を調整する。可変光アッテネータで第2グループのレーザの出力を変動させずに第2波長変換部からの出力光の光強度を調整できるため、第1波長変換部からの出力光は光強度が維持される。一方、調光制御回路は第1グループのレーザの励起光の光強度を単独で調整して第1波長変換部からの出力光の光強度を調整する。この際に、第2グループのレーザの出力を変えないため、第2波長変換部からの出力光は光強度が維持される。つまり、本発明に係る波長変換レーザ光源は、波長変換部の出力光毎に光強度を一定に制御することができる。
従って、本発明は、複数のレーザの励起光を利用して波長変換を行い出力される複数の出力光の光強度をそれぞれ一定に制御することができる波長変換レーザ光源を提供することができる。
本発明に係る波長変換レーザ光源の前記第1グループは、出力光の波長が1307nm以上1310nm以下のレーザが含まれており、前記第2グループは、出力光の波長が976nmのレーザが含まれており、出力光の波長が1307nm以上1310nm以下のレーザからの光と出力光の波長が976nmのレーザからの光との前記合波光が結合される前記第1波長変換部は、波長が559nmの光を出力し、出力光の波長が976nmのレーザからの短波長光が結合される前記第2波長変換部は、波長が488nmの光を出力することを特徴とする。本波長変換レーザ光源は、バイオサイエンス研究開発における細胞観察用の蛍光色素を最も効率よく発光させる励起波長を出力することができる。
本発明に係る波長変換レーザ光源は、少なくとも1つの前記レーザからの励起光を変調する変調回路をさらに備える。
変調回路は、レーザの出力光を、矩形波状、もしくは正弦波状に強度変調することが可能である。
本発明に係る波長変換レーザ光源の前記レーザは、ファブリィペロー型レーザダイオードとファイバブラッググレーティングとが接続されている構造、又は分布帰還型レーザダイオードであることを特徴とする。
本発明に係る波長変換レーザ光源の前記光合分波器は、2入力2出力の偏波保持型ファイバカプラを含むことを特徴とする。
本発明に係る波長変換レーザ光源の前記可変光アッテネータは、マイクロマシン型可変光滅衰器であることを特徴とする。
本発明に係る波長変換レーザ光源の前記波長変換素子は、LiNbO、もしくはLiTaOで形成される周期的分極反転構造を有するリッジ導波路であることを特徴とする。
本発明は、複数のレーザの励起光を利用して波長変換を行い出力される複数の出力光の光強度をそれぞれ一定に制御することができる波長変換レーザ光源を提供することができる。
本発明に係る波長変換レーザ光源を説明するブロック図である。 本発明に係る波長変換レーザ光源を説明するブロック図である。 本発明に係る波長変換レーザ光源を説明するブロック図である。 本発明に係る波長変換レーザ光源を説明するブロック図である。 本発明に係る波長変換レーザ光源を説明するブロック図である。 本発明に係る波長変換レーザ光源の実施例を説明する概略図である。 従来の波長変換レーザ光源を説明するブロック図である。
以下、具体的に実施形態を示して本発明を詳細に説明するが、本願の発明は以下の記載に限定して解釈されない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の波長変換レーザ光源301を説明するブロック図である。波長変換レーザ光源301は、互いに異なる波長の励起光を出力するレーザ(11−1、11−2)と、レーザ(11−1、11−2)からの励起光(L1、L2)を合波して複数の合波光L3を出力する光合分波器12と、光合分波器12から出力される合波光L3毎に波長を変換する波長変換素子を含む波長変換部(14−1、14−2)と、光合分波器12と波長変換部(14−1、14−2)との間で光合分波器12が出力する合波光L3の光強度を減衰する可変光アッテネータ(13−1、13−2)と、波長変換部(14−1、14−2)から出力される出力光Loの光強度を一定に保つように可変光アッテネータ(13−1、13−2)の減衰量を調整する減衰制御回路(17−1、17−2)と、を備える。以下、可変光アッテネータをVOAと略記する。
レーザ11−1は、波長λ1の励起光L1を発生する。レーザ11−2は、波長λ2の励起光L2を発生する。本実施例では、レーザ(11−1、11−2)は、半導体レーザ(LD)を用いることができる。具体的には、レーザ(11−1、11−2)は、ファブリィペロー型レーザダイオード(FP−LD)にファイバブラッググレーティング(FBG)を結合した狭帯域型の半導体レーザモジュールや、分布帰還型レーザダイオード(DFBレーザダイオード)を用いることができる。また、レーザ(11−1、11−2)は、半導体レーザだけでなく、ファイバアンプや固体レーザでもよい。
波長変換レーザ光源301は、2つのレーザ(11−1、11−2)を備えるが、さらに多くのレーザを備えていてもよい。この場合、レーザの数と波長変換部の数、すなわち出力光Loの数とが一致していなくてもよい。
光合分波器12は、例えば2入力2出力の偏波保持型ファイバカプラを用いることができる。光合分波器12は、入力側の各々別ポートに入力された励起光(L1、L2)を合波して出力側の2つの端子(OP−1、OP−2)から合波光L3を出力する。
光合分波器12の端子OP−1が出力する合波光L3は、VOA13−1を介して、波長変換部14−1に入力される。また、光合分波器12の端子OP−2が出力する合波光L3は、VOA13−2を介して、波長変換部14−2に入力される。ここで、VOA(13−1、13−2)は、例えばマイクロマシン型可変光減衰器を用いることができる。
波長変換部(14−1、14−2)は、波長変換素子を含んでいる。波長変換素子は、例えば、LiNbO、もしくはLiTaOで形成される周期的分極反転構造を有するリッジ導波路である。LiNbOの波長変換素子はPPLN(Periodically Poled Lithium Niobate)導波路と呼ばれている。波長変換素子は、合波光L3から励起光(L1、L2)の和周波(SFG:Sum Frequency Generation)、励起光(L1、L2)の差周波(DFG:Difference Frequency Generation)、あるいは励起光L1又は励起光L2の第2高調波(SHG:Second Harmonic Generation)に相当する波長の波長変換光を生成する。生成光としてSFG、DFG、SHGのいずれかを選択し、その生成光の生成に適した分極反転周期を作成することにより、所望の波長の波長変換光を生成できる。従って、波長変換部(14−1、14−2)は、出力光Loとして励起光(L1、L2)のSFG、励起光(L1、L2)のDFG、励起光L1のSHG、又は励起光L2のSHGを出力する。
また、波長変換素子は、PPLN導波路の分極反転構造における和周波、差周波、第2高調波発生を用いているが、これに限るものではなく、パラメトリック光増幅など、他の波長変換原理も適用できる。
波長変換レーザ光源301の減衰制御回路17−1は、フォトダイオード(PD)15−1及びVOA制御回路16−1を含み、減衰制御回路17−2は、フォトダイオード(PD)15−2及びVOA制御回路16−2を含む。減衰制御回路17−1について動作を説明する。PD15−1は、波長変換部14−1からの出力光Loの一部を受光し、電気信号をVOA制御回路16−1に帰還する。VOA制御回路16−1は、PD15−1の出力が所定値になるように、すなわち、出力光Loが所定の光強度になるようにVOA13−1の光減衰量を制御する。減衰制御回路17−2の動作も同様である。
従って、波長変換レーザ光源301は、波長変換部14−1からの出力光Loの光強度と、波長変換部14−2からの出力光Loの光強度とを、独立して調整することができる。
本実施形態では、全ての波長変換部の前段にVOAを配置しているが、全ての波長変換部の前段にVOAを配置しなくてもよい。例えば、図1のVOA13−1が無くてもよい。この場合、それぞれの出力光Loの光強度を独立して調整できるように、波長変換レーザ光源は、光合分波器からの合波光が直接結合される波長変換部のうち少なくとも1つの出力光の光強度を一定に保つように少なくとも1つのレーザの出力を調整する調光制御回路をさらに備えることが望ましい。具体的には、この波長変換レーザ光源は、VOAを介さずに波長変換部に結合される合波光に含まれる励起光を出力するレーザの少なくとも1つについて調光制御回路で出力を調整することが望ましい。
(第2実施形態)
図2は、本実施形態の波長変換レーザ光源302を説明するブロック図である。波長変換レーザ光源302は図1の波長変換レーザ光源301で説明した動作と同様に動作するが、以下の点で波長変換レーザ光源301と相違する。図1の波長変換レーザ光源301との相違点は、レーザ(11−1、11−2)に、励起光を変調する変調回路(21−1、21−2)が接続されていることである。
変調回路(21−1、21−2)は、励起光L1や励起光L2を矩形波状又は正弦波状に強度変調することができる。波長変換レーザ光源302は、次のように出力光Loの光強度を制御する。変調回路(21−1、21−2)の変調周期が減衰制御回路(17−1、17−2)の帰還ループの応答時間に比べて十分長い場合には、波長変換レーザ光源302は変調された出力光Loの各点の光強度を所定値とすることができる。例えば、波長変換レーザ光源302は変調周期中の出力光Loのピーク光強度を検出し、ピーク光強度が所定値となるように制御することができる。一方、変調回路(21−1、21−2)の変調周期が減衰制御回路(17−1、17−2)の帰還ループの応答時間に比べて十分短い場合には、波長変換レーザ光源302は変調された出力光Loの光強度の平均が所定値となるように制御することができる。
波長変換レーザ光源302は、図1の波長変換レーザ光源301と同様に波長変換部14−1からの出力光Loの光強度と、波長変換部14−2からの出力光Loの光強度とを、独立して調整することができる。
(第3実施形態)
図3は、本実施形態の波長変換レーザ光源303を説明するブロック図である。図1の波長変換レーザ光源301との相違点は、光合分波器12’を光合分波器12の代替としていること、波長変換部14−1の前段にVOA13−1が配置されていないこと、ならびに波長変換部14−1からの出力光Loの光強度をレーザ11−1の出力で調整していることである。
波長変換レーザ光源303は、互いに異なる波長の励起光を出力し、第1グループ及び第2グループに分類される複数のレーザ(11−1、11−2)と、第1グループに含まれるレーザ11−1からの励起光と第2グループに含まれるレーザ11−2からの励起光を合波して端子OP−1から合波光L3を出力し、第2グループに含まれるレーザ11−2からの励起光を単波長光としてレーザ11−2に対応する端子OP−2から出力する光合分波器12’と、光合分波器12’の端子OP−1から出力される合波光L3の波長を変換する波長変換素子を含む波長変換部14−1と、光合分波器12’の端子OP−2から出力される単波長光である励起光L2の光強度を減衰するVOA13−2と、VOA13−2で光強度を調整された励起光L2の波長を変換する波長変換素子を含む波長変換部14−2と、波長変換部14−1から出力される出力光Loの強度を一定に保つようにレーザ11−1の出力を調整する調光制御回路31−1と、波長変換部14−2から出力される出力光Loの強度を一定に保つようにVOA13−2の減衰量を調整する減衰制御回路17−2と、を備える。
波長変換レーザ光源303は、2つのレーザ(11−1、11−2)を備えるが、さらに多くのレーザを備えていてもよい。この場合、レーザ11−1のように励起光が他のレーザからの励起光と合波され、出力が調光制御回路で制御されるレーザのグループを第1グループと呼び、レーザ11−2のように励起光がVOAで減衰され、単独で波長変換部に結合されるレーザのグループを第2グループと呼ぶことがある。
光合分波器12’は、励起光L1に励起光L2を合波して端子OP−1から合波光L3を出力し、単波長光として励起光L2を単独で端子OP−2から出力する。このため、波長変換部14−1には合波光L3が結合されるが、波長変換部14−2は、励起光L2のみが結合される。従って、波長変換部14−1は、出力光Loとして励起光(L1、L2)のSFG、励起光(L1、L2)のDFG、励起光L1のSHG、又は励起光L2のSHGを出力する。一方、波長変換部14−2は、出力光Loとして励起光L2のSHGを出力する。
図1の波長変換レーザ光源301と同様に、VOA13−2は、波長変換部14−2の前段に配置され、減衰制御回路17−2で減衰量が制御される。波長変換部14−2からの出力光Loの光強度は、図1の波長変換レーザ光源301と同様に、VOA13−2で制御される。
一方、波長変換部14−1の前段にはVOAは配置されない。図1のVOA13−1及び減衰制御回路17−1の代替として、レーザ11−1に調光制御回路31−1が接続されている。PD15−1は、波長変換部14−1からの出力光Loの一部を受光し、電気信号を調光制御回路31−1に帰還する。調光制御回路31−1は、PD15−1の出力が所定値になるように、すなわち、出力光Loが所定の光強度になるようにレーザ11−1の出力を制御する。
波長変換部14−1の出力光Loの光強度による帰還制御は、レーザ11−1の励起光L1の光強度のみを調整し、波長変換部14−2の出力光Loの光強度を調整しない。一方、波長変換部14−2の出力光Loの光強度による帰還制御は、レーザ11−1の励起光L1の光強度及びレーザ11−2の励起光L2の光強度を調整しない。このため、波長変換レーザ光源303は、波長変換部14−2の出力光Loの光強度を調整しても波長変換部14−1の出力光Loの光強度に影響を及ぼさない。さらに、波長変換レーザ光源303は、波長変換部14−1の出力光Loの光強度を調整しても波長変換部14−2の出力光Loの光強度に影響を及ぼさない。
従って、波長変換レーザ光源303は、波長変換部14−1からの出力光Loの光強度と、波長変換部14−2からの出力光Loの光強度とを、独立して調整することができる。
図5は、図3で説明した波長変換レーザ光源303の具体的な動作を説明するブロック図である。レーザ11−1の励起光L1の波長λ1は1310nm、レーザ11−2の励起光L2の波長λ2は976nmである。波長変換部14−1は、波長λ1(1310nm)と波長λ2(976nm)の和周波に相当する波長λ3(559nm)の出力光Loを出力する。波長変換部14−2は、波長λ2(976nm)のSHGに相当する波長λ4(488nm)の出力光Loを出力する。
(第4実施形態)
図4は、本実施形態の波長変換レーザ光源304を説明するブロック図である。波長変換レーザ光源304は図3の波長変換レーザ光源303で説明した動作と同様に動作するが、以下の点で波長変換レーザ光源303と相違する。図3の波長変換レーザ光源303との相違点は、レーザ(11−1、11−2)に、励起光を変調する変調回路(21−1、21−2)が接続されていることである。
図2で説明したように、変調回路(21−1、21−2)は、励起光L1や励起光L2を矩形波状又は正弦波状に強度変調することができる。さらに、変調回路(21−1、21−2)の変調周期と調光制御回路31−1及び減衰制御回路17−2の帰還ループの応答時間との関係により、波長変換レーザ光源304は変調された出力光Loの各点の光強度を所定値にする、あるいは出力光Loの光強度の平均が所定値となるようにすることができる。
波長変換レーザ光源304は、図3の波長変換レーザ光源303と同様に波長変換部14−1からの出力光Loの光強度と、波長変換部14−2からの出力光Loの光強度を、同時に所定値となるように制御することができる。
(第5実施形態)
図6は、図3で説明した波長変換レーザ光源303の具体的な実施例を説明する概略図である。電源313は、波長変換レーザ光源303に電力を供給する。レーザ11−1は、波長1310nmのFP−LDモジュールに波長1307nmのFBGが接続された構造であり、波長λ1(1307nm)の励起光L1を出力する。レーザ11−2は、波長980nmのFP−LDモジュールに波長976nmのFBGが接続された構造であり、波長λ2(976nm)の励起光L2を出力する。
光合分波器12’は2×2偏波保持型ファイバカプラである。レーザ11−1は2×2偏波保持型ファイバカプラの入力側ファイバの一方に接続されている。レーザ11−2は2×2偏波保持型ファイバカプラの入力側ファイバの他方に接続されている。
2×2偏波保持型ファイバカプラの出力側ファイバの一方は、559nm和周波光発生用のPPLN導波路チップを含む波長変換部14−1に接続される。2×2偏波保持型ファイバカプラの出力側ファイバの他方は、MEMS型VOA13−2に接続され、励起光L2を減衰する。VOA13−2は波長変換部14−2に接続される。波長変換部14−2は、1307nmの励起光L2を遮断し976nmの励起光L1のみを透過させるフィルタと488nmのSHG用のPPLN導波路チップを含む。
波長変換部(14−1、14−2)の出力側に、ビームスプリッタと、PD(15−1、15−2)が設置されている。PD(15−1、15−2)は出力光Loの一部を受光し、その強度をモニタする。PD15−1の出力は1310nmのFP−LDの駆動電流制御回路(不図示)に接続される。この1310nmのFP−LDの駆動電流制御回路が図3の調光制御回路31−1に相当する。一方、PD15−2の出力はVOA13−2の駆動電流制御回路(不図示)に接続される。このVOA13−2の駆動電流制御回路が図3の減衰制御回路17−2に相当する。なお、980nmのFP−LDは定電流制御(不図示)で駆動される。
図6の波長変換レーザ光源303において、976nmFBGから出力される励起光L2の出力が300mWになるように980nmFP−LDの駆動電流を設定した。また1307nmFBGから出力される励起光L1の出力が100mWになるように1310nmFP−LDの駆動電流を設定した。2×2偏波保持型ファイバカプラの976nm及び1307nmカプラ損失は共に0.4dB、488nm側分岐比は0.66、559nm側分岐比は0.34であった。VOA13−2の波長976nmにおける挿入損失は0.4dBであった。波長変換部14−2ヘの976nm励起光L2の入力強度は165mWであった。また波長変換部14−1ヘの976nm励起光L2の入力強度は93mWであり、1307nm励起光L1の入力強度は91mWであった。波長変換部14−2では、PPLN導波路チップのSHG効率888%/W、結合効率0.5、モジュールとしてのSHG変換効率は222%/Wであった。また、波長変換部14−1では、PPLN導波路チップのSFG効率2500%/W、結合効率0.53、モジュールとしてのSFG変換効率は702%/Wであった。以上のような構成で、488nmの出力光Lo、及び559nmの出力光Loの強度はともに60mWであった。図6の波長変換レーザ光源303は、1310nmのFP−LDの駆動電流制御回路及びVOA13−2の駆動電流制御回路を備えることで、10℃から40℃まで環境温度が変化しても、両出力光Loについての光強度の変動率は5%以内であった。
(第6実施形態)
本実施形態は、図6の波長変換レーザ光源303において、レーザ11−1の励起光L1の波長λ1を1319nmに、レーザ11−2の励起光L2の波長λ2を1064nmに変えたものである。波長変換部14−1は、波長λ1(1319nm)と波長λ2(1064nm)の和周波に相当する波長λ3(589nm)の出力光Loを出力する。波長変換部14−2は、波長λ2(1064nm)のSHGに相当する波長λ4(532nm)の出力光Loを出力する。波長λ3(589nm)の出力光Lo、及び波長λ4(532nm)の出力光Loの光強度はともに50mWであった。なお、本実施形態の構成は、図6において、FP−LDの波長、FBGの波長、PPLN導波路チップの変換波長の変更以外は同様である。
図6の説明のように、本波長変換レーザ光源は、波長変換部14−1の出力光Loの光強度をレーザ11−1のFP−LDの駆動電流に帰還するとともに、波長変換部14−2の出力光Loの光強度をVOA13−2の光減衰量に帰還している。本波長変換レーザ光源は、レーザ11−1のFP−LDの駆動電流制御回路及びVOA13−2の駆動電流制御回路を備えることで、10℃から40℃まで環境温度が変化しても、両出力光Loについての光強度の変動率は5%以内であった。
(第7実施形態)
本実施形態は、図6の波長変換レーザ光源303において、レーザ11−1の励起光L1の波長λ1を1308nmに、レーザ11−2の励起光L2の波長λ2を940nmに変えたものである。波長変換部14−1は、波長λ1(1308nm)と波長λ2(940nm)の和周波に相当する波長λ3(547nm)の出力光Loを出力する。波長変換部14−2は、波長λ2(940nm)のSHGに相当する波長λ4(470nm)の出力光Loを出力する。波長λ3(547nm)の出力光Lo、及び波長λ4(470nm)の出力光Loの光強度はともに50mWであった。なお、本実施形態の構成は、図6において、FP−LDの波長、FBGの波長、PPLN導波路チップの変換波長の変更以外は同様である。
図6の説明のように、本波長変換レーザ光源は、波長変換部14−1の出力光Loの光強度をレーザ11−1のFP−LDの駆動電流に帰還するとともに、波長変換部14−2の出力光Loの光強度をVOA13−2の光減衰量に帰還している。本波長変換レーザ光源は、レーザ11−1のFP−LDの駆動電流制御回路及びVOA13−2の駆動電流制御回路を備えることで、10℃から40℃まで環境温度が変化しても、両出力光Loについての光強度の変動率は5%以内であった。
上記の実施形態では、2個のレーザを励起光源として共用し、2本の波長変換光を発生させ、その出力強度を定出力制御するものであるが、本発明の原理を適用すれば、さらに複数個のレーザを励起光源として共用し、複数の波長変換光を発生させる構成においても、それらの変換光強度を定出力制御することができる。従来、複数本の安定したレーザ光を得るには、各々、個別に出力安定化制御されたレーザ光源をレーザーコンバイナに設置する必要があり、装置的に大きくかつ複雑になり、製造工程も煩雑で、相応の経済的費用が必要であった。しかしながら、本発明により、複数本の安定したレーザ光を必要とする需要に対して、装置的に小さくかつ単純な構成になり、製造工程数も減少し、経済的費用を軽減できる。この効果は、波長変換レーザ光源を組み込む共焦点レーザ顕微鏡やフローサイトメータ等を高性能化、低価格化、小型化、及び長寿命化することができる。
11−1、11−2:レーザ
12、12’:光合分波器
13−1、13−2:可変アッテネータ(VOA)
14−1、14−2:波長変換部
15−1、15−2:フォトダイオード(PD)
16−1、16−2:VOA制御回路
17−1、17−2:減衰制御回路
21−1、21−2:変調回路
31−1、31−2:調光制御回路
72−1:光合波器
72−2:光分波器
L1、L2:励起光
L3:合波光
Lo:出力光
OP−1、OP−2:端子
301〜307:波長変換レーザ光源

Claims (9)

  1. 互いに異なる波長の励起光を出力する複数のレーザと、
    前記レーザからの励起光を合波して複数の合波光を出力する光合分波器と、
    前記光合分波器から出力される前記合波光毎に波長を変換する波長変換素子を含む波長変換部と、
    前記光合分波器と前記波長変換部との間で前記光合分波器が出力する前記合波光のうち少なくとも1つの光強度を減衰する可変光アッテネータと、
    前記可変光アッテネータを介して前記合波光が結合される前記波長変換部から出力される出力光の光強度を一定に保つように前記可変光アッテネータの減衰量を調整する減衰制御回路と、
    を備える波長変換レーザ光源。
  2. 前記光合分波器からの前記合波光が直接結合される前記波長変換部のうち少なくとも1つの出力光の光強度を一定に保つように少なくとも1つの前記レーザの出力を調整する調光制御回路をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の波長変換レーザ光源。
  3. 互いに異なる波長の励起光を出力し、第1グループ及び第2グループに分類される複数のレーザと、
    前記第1グループに含まれる前記レーザのうち少なくとも1つからの励起光と前記第2グループに含まれる前記レーザのうち少なくとも1つからの励起光を合波して少なくとも1つの第1端子から合波光を出力し、前記第2グループに含まれる前記レーザからの励起光を単波長光として前記第2グループに含まれる前記レーザに対応する第2端子から出力する光合分波器と、
    前記光合分波器の第1端子から出力される前記合波光毎に波長を変換する波長変換素子を含む第1波長変換部と、
    前記光合分波器の第2端子から出力される前記単波長光毎に光強度を減衰する可変光アッテネータと、
    前記可変光アッテネータで光強度を調整された前記単波長光毎に波長を変換する波長変換素子を含む第2波長変換部と、
    前記第1波長変換部から出力されるそれぞれの出力光の強度を一定に保つように前記第1グループに含まれる前記レーザ毎に出力を調整する調光制御回路と、
    前記第2波長変換部から出力されるそれぞれの出力光の強度を一定に保つように前記可変光アッテネータ毎に減衰量を調整する減衰制御回路と、
    を備える波長変換レーザ光源。
  4. 前記第1グループは、出力光の波長が1307nm以上1310nm以下のレーザが含まれており、
    前記第2グループは、出力光の波長が976nmのレーザが含まれており、
    出力光の波長が1307nm以上1310nm以下のレーザからの光と出力光の波長が976nmのレーザからの光との前記合波光が結合される前記第1波長変換部は、波長が559nmの光を出力し、
    出力光の波長が976nmのレーザからの短波長光が結合される前記第2波長変換部は、波長が488nmの光を出力することを特徴とする請求項3に記載の波長変換レーザ光源。
  5. 少なくとも1つの前記レーザからの励起光を変調する変調回路をさらに備えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の波長変換レーザ光源。
  6. 前記レーザは、ファブリィペロー型レーザダイオードとファイバブラッググレーティングとが接続されている構造、又は分布帰還型レーザダイオードであることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の波長変換レーザ光源。
  7. 前記光合分波器は、2入力2出力の偏波保持型ファイバカプラを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の波長変換レーザ光源。
  8. 前記可変光アッテネータは、マイクロマシン型可変光滅衰器であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の波長変換レーザ光源。
  9. 前記波長変換素子は、LiNbO、もしくはLiTaOで形成される周期的分極反転構造を有するリッジ導波路であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の波長変換レーザ光源。
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