JP4939710B2 - 無溶剤型ラミネーション接着剤組成物及びラミネート方法 - Google Patents

無溶剤型ラミネーション接着剤組成物及びラミネート方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックフイルム同士またはプラスチックフイルムとアルミニウム等の金属箔、さらには金属蒸着フイルム等を複合化させるための無溶剤型ラミネーション用接着剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラミネートフイルムは、食品、医薬品、洗剤等の包装材料として多岐わたり使用されている。フイルム同士の貼り合わせにおいては、これまでの多くは有機溶剤に溶解した接着剤をフイルムに塗工し、オーブンを通過する過程で有機溶剤を揮発させ、別のフイルムを貼り合わせるドライラミネーション方式が主流であったが、労働作業環境対策や有機溶剤に起因する様々な問題から脱溶剤化の動きが活発化している。しかしながら、無溶剤型接着剤は、これらの環境等に関する問題が解消されるものの、塗工適性を向上させる為に、接着剤組成物の分子量を低くし低粘度化する方法をとる必要がある。この場合、低粘度化した低分子量接着剤は低粘度、低分子量故、フイルム同士の貼り合わせにおいては特に貼り合わせ直後の強度が不十分であるといった課題が残されている。また、フイルムの種類や印刷フイルムのインキ種類、さらには、要求される耐熱性等から、2液型接着剤においては、主剤と硬化剤の配合比を意図的に変化させることが多々ある。無溶剤接着剤において、主剤、硬化剤の各々の粘度が異なる場合、配合比変化は、接着剤粘度をも著しく変化させることに繋がる。無溶剤型接着剤の塗工においては、塗工機の性質上、特に塗工時の粘度に依存して、塗布量が変化する性質があり、配合比変化や2液の供給ブレ発生は、粘度変化をもたらし、特に、貼り合わせ直後の接着能や塗布量ブレ等による様々な不具合を発生するのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記問題点を解決すべく、塗工適性が満足され、且つ、貼り合わせ直後の巻きずれが発生しない、さらに、主剤、硬化剤の配合比変化による粘度変化が殆どなく塗工安定性に優れ、十分なる接着強度が得られる極めて実用性の高い無溶剤型ラミネーション用接着剤を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、塗工安定性、レベリング性に優れ、貼り合わせ直後の接着能を高める方法を鋭意研究した結果、ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)が、それぞれ80℃での粘度が3000cP以下であり、40℃から30℃への温度降下時に3000cP/℃以上粘度上昇し、25℃での粘度が75000cP以上である2液無溶剤型ラミネーション接着剤組成物が本課題を解決する方法であることを見いだした。即ち、接着剤を塗工する温度においては、塗工適性が十分である流動性とレベリング性を示し、貼り合わせ後には、室温付近に冷やされた接着剤の接着力が高まりラミネート複合体の巻きずれが発生しない、さらに硬化後のラミネート強度をも満足させることができる2液無溶剤型ラミネーション接着剤組成物を提供するものである。より詳細に述べるならば、ポリエステルポリオール(A)が、原料として使用する芳香族多価カルボン酸が30重量%以下であるポリエステルポリオール(a)と、30〜50重量%であるポリエステルポリオール(b)との混合物であり、イソシアヌレート骨格含有およびビューレット結合含有のポリイソシアネート成分の群から選ばれる少なくとも1種以上を含むポリイソシアネート(B)成分を硬化剤として配合使用する無溶剤型ラミネーション接着剤組成物であり、80℃に加熱された接着剤組成物の粘度が3000cP以下の低粘度であるために塗工適性に優れ、且つ40℃から30℃への温度変化時に3000cP/℃以上粘度上昇し、25℃で75000cP以上の特徴を併せ持つことで、ラミネート直後の強度に優れ、特に巻きズレ防止効果をも発揮させることができる新たな2液無溶剤型ラミネーション接着剤組成物並びに同接着剤を用いたラミネート方法を開発したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に係わるポリエステルポリオール(a)および(b)は、この業界にて公知の反応により製造することができる。具体的には、多価アルコールと多価カルボン酸や酸無水物との脱水縮合反応やエステル交換、開環反応により得ることができる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等のジオール成分や、グリセリン、トリエチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコールが使用できる。また、多価カルボン酸としては、脂肪族多価カルボン酸と芳香族多価カルボン酸に大別され、脂肪族系では、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸や、場合によってはこれらのメチルエステルや酸無水物であったり、芳香族系では、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等や、場合によってはこれらのメチルエステルや酸無水物等が使用できる。
【0006】
ポリエステルポリオール(a)および(b)を成分別に記載すると、ポリエステルポリオール(a)は上記の芳香族多価カルボン酸が仕込み原料全体の30重量%以下で、望ましくは15〜30重量%であり、ポリエステルポリオール(b)は芳香族多価カルボン酸が仕込み原料全体の30〜50重量%であり、望ましくは35〜45重量%である。また、各ポリエステルポリオール(a)および(b)の樹脂酸価は、特に限定は無いが、(a)の酸価は5mgKOH/g以下が好ましい。5mgKOH/g以上の場合、塗工時のレベリング性が悪くなる場合が有る。ポリエステルポリオール(b)の樹脂酸価は2〜20mgKOH/gが好ましく、特にアルミニウム箔に対する接着力や耐レトルト性の向上に寄与する。但し、20mgKOH/g以上の場合、耐水性や耐アルカリ性に悪影響をおよぼすことがある。各ポリエステルポリオール(a)および(b)の分子量は、本発明に規定される各粘度の範囲であれば特に限定されないが、(a)の数平均分子量は500〜5000であり、望ましくは800〜2000である。(b)の数平均分子量は400〜2000であり、望ましくは600〜1500である。
【0007】
また、ポリエステルポリオール(a)および/または(b)は、必要に応じてポリイソシアネートにて予め鎖長させることもできる。使用できるポリイソシアネートは特に限定はなく、例えば、ジイソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、α、α、α’α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等や、さらに多官能性ポリイソシアネートとしては、これらのビューレット体、ヌレート体、さらにはトリメチロールプロパンアダクト体等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができるものである。但し、有機溶剤に希釈されたポリイソシアネートは予め、有機溶剤を除去しておくことが必須である。
【0008】
かくして得られたポリエステルポリオール(a)および(b)の混合物であるポリエステルポリオール(A)は、80℃での粘度が3000cP以下(より具体的に望ましくは、3000cPから800cPの範囲内)であり、40℃から30℃への温度降下時に3000cP/℃以上(より具体的に望ましくは、3000cPから50000cPの範囲内)の粘度上昇、25℃での粘度が75000cP以上(より具体的に望ましくは、75000cPから500000cPの範囲内)の各条件を満たしていることが必要である。
このポリエステルポリオール(A)を構成するポリエステルポリオール(a)および(b)が、それぞれ、当該各粘度/温度条件を満たしている場合、特に(a)と(b)の配合には制約はないが、(a)および(b)の少なくとも何れか一方が各条件から外れる場合であっても、ポリエステルポリオール(A)全体として、上記の各粘度/温度条件を満足するものであればよい。例えば、レベリング性と貼り合わせ直後の接着能を高める必要がある場合に、(a)および(b)の何れか一方若しくは双方が各条件から外れるものを使用するものであっても、ポリエステルポリオール(A)全体として上記の各粘度/温度条件を満たすように配合することができる。配合は(a):(b)=1:4〜4:1の重量比の範囲内で各条件を満たす場合が多いが、配合に際しては、各粘度/温度条件内において、80℃での粘度がより低くなり、40℃から30℃への温度変化時の粘度上昇がより大きく、25℃での粘度がより高くなるように配合比を調整することが望ましい。
以上、本願発明のポリエステルポリオール(A)は、上記ポリエステルポリオール(a)および(b)の混合物として実施することが好ましいが、1種類のポリエステルポリオールや、3種以上のポリエステルポリオールの混合物として実施することもできる。
【0009】
さらに本発明により得られたポリエステルポリオール(A)(上記ポリエステルポリオール(a)および(b)の混合物(A))には、必要に応じて公知の接着付与剤として知られるシランカップリング剤、リン酸類、粘着付与剤や反応促進剤等を適宜加えることもできる。
【0010】
シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランやこれらのエトキシ誘導体が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができるものである。
【0011】
リン酸類としては、オルトリン酸、メタリン酸、ポリリン酸やそれらのエステル誘導体が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができるものである。
【0012】
粘着付与剤としては、ロジン系、テルペン系、石油系の何れもが使用可能である。
【0013】
これらの添加剤類は、本発明の各粘度/温度条件の範囲内で加えることができる。
【0014】
反応促進剤としては公知のものが使用でき、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒や、1 ,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の3級アミンや、トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができるものである。
【0015】
次に硬化剤成分であるポリイソシアネート(B)について記載する。使用できる硬化剤は、単なる希釈剤としての有機溶剤が含有していないポリイソシアネートであることが必須であり、さらに、イソシアヌレート骨格含有およびビューレット結合含有のポリイソシアネート成分の群から選ばれる少なくとも1種以上を含むポリイソシアネート(B)成分であることが望ましい。
【0016】
有機溶剤を含有するポリイソシアネートについては予め脱溶剤化を図る必要が有る。この場合、有機溶剤の除去を目的として、薄膜蒸留等の処理をすることが望ましいが、完全なる脱溶剤は困難な為、出来る限りポリイソシアネートの製造においては溶剤を使用しない方がより好ましい。
【0017】
イソシアヌレート骨格またはビューレット結合を含有するポリイソシアネートとしては、その母体となるジイソシアネートの種類は特に限定はないが、耐熱性、汎用性を考慮すると、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネートからの誘導体が挙げられる。
【0018】
これらのイソシアヌレート骨格含有およびビューレット結合含有のポリイソシアネート成分は、単体や混合で使用することもできるし、ポリオールと反応させたポリイソシアネート体として使用することも可能である。さらには、ジイソシアネートとイソシアヌレート骨格あるいはビューレット結合含有のポリイソシアネート成分をポリオールと反応させたポリイソシアネート体の使用ができるものである。
【0019】
ジイソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、α、α、α’α’−テトラメチル−m−キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができるものである。
【0020】
硬化剤であるポリイソシアネート(B)の製造に使用できるポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,8−オクタメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の2価アルコールや、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール等や、これらのポリオールと多価カルボン酸から得られるポリエステルポリオールや、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができるが、特に、本発明により得られるポリエステルポリオール(a)および/または(b)をイソシアネート変性した硬化剤や、さらには(a)および/または(b)に上記ポリオールを加えた後にイソシアネート変性した硬化剤が望ましい。
【0021】
さらにポリイソシアネート(B)の製造は、官能基数を調整する目的で、モノオール成分を反応させることもできる。モノオールとしては特に限定はなく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができるものである。
【0022】
硬化剤製造時にも、公知の触媒が必要に応じて使用できるものであり、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができるものである。
【0023】
硬化剤であるポリイソシアネート(B)の粘度は、ポリエステルポリオール(A)と同様の80℃で3000cP以下、40℃から30℃への温度降下時の粘度上昇が3000cP/℃以上、25℃で75000cP以上の規定内である(より具体的に望ましい範囲としても、上記のポリエステルポリオール(A)と同様である)。ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)の粘度が同一の場合、特に配合比変化に伴う粘度変化を考慮する必要がないので、ラミネート条件を同一で行うことが可能であるし、配合比変化によって発生する初期強度不足や、ラミネート外観の不具合等が解消される。一般にフイルム種、ラミネート環境の湿度等の変化に対応させる目的により主剤/硬化剤の配合比を変化させることが余儀なくされているが、こうした配合比変化にも対応できるために、(A)と(B)を同一の粘度規定内にすることは極めて有効である。但し、配合比変化を伴わない塗工条件であれば、(A)と(B)とを同一の粘度規定内に定める必要はなく、(A)と(B)との配合直後の粘度が本発明の粘度規定内であればよい。
【0024】
ラミネート方法としては、塗工時の配合接着剤の温度が50〜100℃が望ましく、より好ましくは50〜80℃程度の温度であり、配合直後の接着剤粘度が3000cP以下であることが望ましく、それ以上の粘度の場合、塗工安定性が悪くなり、外観不良や接着強度面での不具合が発生することがある。
【0025】
塗布量については、0.5〜5g/m2 程度、好ましくは1.5〜3.5g/m2 程度である。塗布量が0.5g/m2 未満の場合、接着性能の十分な発現が損なわれたり、カスレ等の外観不良等支障をきたすことがある。また5g/m2 を越える場合は、経済性において不利となる。一般的に、ラミネートされたフイルムは、通常室温〜50℃で2日〜5日間の養生が必要である。
【0026】
【実施例】
以下に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない
【0027】
主剤:ポリエステルポリオール(a)−1の合成
撹拌機、温度計、窒素ガス導入管、精留塔、コンデンサーを取り付けたフラスコに、ネオペンチルグリコール(180.3部)、エチレングリコール(53.8部)、1,6−ヘキサンジオール(204.6部)、イソフタル酸(287.8部g)、アジピン酸(273.5g)を仕込み加熱した。原料が融解し始めたら攪拌を行い、精留塔上部の温度が100℃を越えないように酸価が10mgKOH/g以下になるまで内温240℃にて反応を行った。さらに、酸価が3mgKOH/g以下になるまで30mmHgにて反応を続けた。得られたポリエステルポリオール(a)−1の酸価は3mgKOH/g。
【0028】
その他のポリエステルポリオール(a)−2、(b)−1、(b)−2は表1の仕込み量にて最終酸価の値になるまで(a)−1と同様の反応を行い合成した。各ポリエステルポリオールの合成に使用した芳香族多価カルボン酸の仕込み原料中の重量%を表1に併せて示す。
【0029】
硬化剤:ポリイソシアネート(B)−1の合成
窒素導入装置および温度計を備え付けたフラスコに、先に得られたポリエステルポリオール(a)−1(170.0部)と旭化成社製TPA−100(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体)(300.0部)を仕込み、窒素雰囲気下で内温80℃で3時間反応を行った。
【0030】
硬化剤であるポリイソシアネートの比較例として、旭化成工業社製デュラネートTPA−100(1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート体)を用いた。
【0031】
評価
ポリエステルポリオール(a)および(b)各々単独と、(a)と(b)の混合物と、ポリイソシアネート(B)を表2の配合比で調整し各粘度を測定した。また、40℃から30℃への温度変化に伴う粘度測定は、毎分1℃温度を下げながら、連続して粘度測定を行った。40℃から30℃への温度変化時の粘度上昇は、(40℃粘度−30℃粘度)/10の計算により導いた。
【0032】
初期強度の測定
表3に示すように、主剤(A)と硬化剤(B)を配合し、初期強度の測定を測定した。この初期強度の測定方法は、ラミネート後の巻きズレ対策を考慮して、図1に示すように、フィルム1とフィルム2とを貼り合わせ部分の部分3の面積が1inch×1inchとなるようラミネートした。フイルム1にはONyを用い、フィルム2にはLLDPEを用いた。塗布量は3.0g/m2 。ラミネート後直ちに25℃にて、引っ張り試験機を用いてクロスヘッド速度5mm/minでラミネートフイルムの長手方向の引っ張り強度を測定した。
【0033】
常態強度の測定
表2に示すように、主剤(A)と硬化剤(B)を配合し、ONyとLLDPEのラミネーションを行った。塗布量は3.0g/m2 。これを、40℃にて3日間養生し、15mm巾でのラミネート部のT型剥離強度を25℃で引っ張り試験機を用いてクロスヘッド速度300mm/minにて測定した。
【0034】
試験に使用した材料および機器は以下の通り。
ONyフイルム:ユニチカ社製 エンブレム ONRT ONBC−RT 25μm
LLDPEフイルム:東セロ社製 TUX−FCD 60μm
引っ張り試験機:島津製作所社製オートグラフAG−2000C
粘度測定器:RS−150(独国HAAKE社製粘弾性測定装置)
【0035】
表3に本発明により製造、配合した接着剤の評価結果を示す。
各評価結果から明らかなように、本発明の実施例は、比較例に比して、外観、初期強度、常態強度の何れの点においても、良好な結果を示した。特に、実施例3と4との結果から明らかなように、ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)との配合比率を変化させた場合にあっても良好な結果を示すことが確認された。
【0036】
【表1】
Figure 0004939710
【0037】
【表2】
Figure 0004939710
【0038】
【表3】
Figure 0004939710
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る無溶剤型ラミネーション用接着剤組成物にあっては、ポリエステルポリオール(A)およびポリイソシアネート(B)が、それぞれ80℃での粘度が3000cP以下の低粘度であり、塗工安定性、レベリング性が良く、ラミネート外観が優れる。また、主剤/硬化剤配合比変化に伴う粘度変化が殆どないことから、配合比変化させた場合でも同一塗工条件にてラミネートが可能である。また、40℃から30℃への温度降下時の粘度上昇が、3000cP/℃以上であり、25℃の粘度が75000cP以上であることから、貼り合わせ直後の接着力が高く、ラミネート後の巻きズレ対策としても効果を発揮する。このように、本発明の無溶剤型ラミネーション用接着剤組成物は、(1)高温域で低粘度、(2)低温への温度変化で粘度上昇が高い、(3)主剤と硬化剤とを同じ粘度にしても最終物性を得ることができるという特徴を有するものであり、ひいては、(1)優れたライン適性、レベリング性、(2)巻き取り時の巻きズレ防止効果、(3)より安全で丈夫なラミネート加工の実現という、同時解決が困難な3つの課題を、無溶剤型ラミネート用接着剤並びに同接着剤を用いたラミネート方法において実現することができたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】初期強度の測定方法の説明図であり(A)は正面図、(B)は縦断面図である。
【符号の説明】
1 フィルム
2 フィルム
3 貼り合わせ部分

Claims (4)

  1. ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを配合して用いる無溶剤型ラミネーション接着剤組成物において、
    前記ポリエステルポリオール(A)は、その原料の組成が、28.78質量部のイソフタル酸、27.35質量部のアジピン酸、5.38質量部のエチレングリコール、18.03質量部のネオペンチルグリコール、20.46質量部の1,6−ヘキサンジオールからなるもの、もしくは、その原料の組成が、36.72質量部のイソフタル酸、17.39質量部のアジピン酸、5.28質量部のエチレングリコール、20.53質量部のネオペンチルグリコール、20.08質量部の1,6−ヘキサンジオールからなるものであって、且つ、
    80℃の粘度が3000cP以下、
    40℃から30℃への温度降下時の粘度上昇が3000cP/℃以上、
    25℃の粘度が75000cP以上のものであり
    前記ポリイソシアネート(B)は、前記ポリエステルポリオール(A)によって変性されたポリイソシアネートであって、且つ、
    80℃の粘度が3000cP以下、
    40℃から30℃への温度降下時の粘度上昇が3000cP/℃以上、
    25℃の粘度が75000cP以上のものであることを特徴とする無溶剤型ラミネーション接着剤組成物。
  2. ポリエステルポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを配合して用いる無溶剤型ラミネーション接着剤組成物において、
    前記ポリエステルポリオール(A)は、原料成分として、イソフタル酸、アジピン酸、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールを含むものであり、上記イソフタル酸が30質量%以下のポリエステルポリオール(a)と、原料成分として、イソフタル酸、アジピン酸、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールを含むものであり、上記イソフタル酸が30質量%を超えて50質量%未満のポリエステルポリオール(b)とを、(a):(b)=1:4〜4:1の質量比の範囲内で混合した混合物であって、前記ポリエステルポリオール(a)の分子量は、500〜5000であり、前記ポリエステルポリオール(b)の分子量は400〜2000であり、その(A)が、
    80℃の粘度が3000cP以下、
    40℃から30℃への温度降下時の粘度上昇が3000cP/℃以上、
    25℃の粘度が75000cP以上のものであり、
    前記ポリイソシアネート(B)は、前記ポリエステルポリオール(a)及び/又は(b)によって変性されたポリイソシアネートであって、且つ
    80℃の粘度が3000cP以下、
    40℃から30℃への温度降下時の粘度上昇が3000cP/℃以上、
    25℃の粘度が75000cP以上のものであることを特徴とする無溶剤型ラミネーション接着剤組成物。
  3. ポリイソシアネート(B)成分が、イソシアヌレート骨格含有およびビューレット結合含有のポリイソシアネート成分の群から選ばれる少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1またはに記載の無溶剤型ラミネーション接着剤組成物。
  4. 請求項1〜の何れかに記載の無溶剤型ラミネーション接着剤組成物を用い、塗工時の配合接着剤の温度が50℃以上の条件で塗工することを特徴とするラミネート方法。
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