JP4939467B2 - ナノファイバ製造方法、ナノファイバ製造装置 - Google Patents

ナノファイバ製造方法、ナノファイバ製造装置 Download PDF

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Description

本願発明は、エレクトロスピニング法(静電爆発)を用いてナノファイバを製造するナノファイバ製造装置に関し、特に、ナノファイバに種々の機能を付加することのできるナノファイバ製造方法、及び、ナノファイバ製造装置に関する。
高分子物質などから成り、サブミクロンスケールの直径を有する糸状(繊維状)物質(ナノファイバ)を製造する方法として、エレクトロスピニング(電荷誘導紡糸)法が知られている。
このエレクトロスピニング法とは、溶媒中に高分子物質などを分散または溶解させた原料液を空間中にノズルなどにより噴射(吐出)させるとともに、原料液に電荷を付与して帯電させ、空間を飛行中の原料液を静電爆発させることにより、ナノファイバを得る方法である。
より具体的には、帯電され噴射された原料液は、空間を飛行中の原料液の粒から溶媒が蒸発するに伴い原料液の体積は減少していく。一方、原料液に付与された電荷は原料液に留まる。この結果として、空間を飛行中の原料液の粒は、電荷密度が上昇することとなる。そして、原料液中の溶媒は、継続して蒸発し続けるため、原料液の粒の電荷密度がさらに高まり、原料液の粒の中に発生する反発方向のクーロン力が原料液の表面張力より勝った時点で高分子溶液が爆発的に線状に延伸される現象(静電爆発)が生じる。この静電爆発が、空間において次々とねずみ算式に発生することで、直径がサブミクロンの高分子から成るナノファイバが製造される(例えば、特許文献1参照)。
前記エレクトロスピニング法により製造されるナノファイバは、糸や不織布の原料として用いられるが、さらに、ナノファイバに触媒や吸湿剤などの機能性物質を担持させ、糸や不織布の機能向上を図る試みがなされている。
例えば、本願出願人は、先に原料液に機能性の担持材を混入させ、当該原料液からエレクトロスピニング法によりナノファイバを製造することで担持材が担持されたナノファイバの製造方法などを出願している。
特開2005−330624号公報
ところが、本願発明者は、前記ナノファイバ製造方法に関しさらに研究を進めたところ、ナノファイバを構成する樹脂の種類や担持させる担持材の種類によっては、所望の性能のナノファイバを製造することが困難な場合があることを見いだすに至った。そして、さらに鋭意研究を進めたところ、担持材がナノファイバの中に含まれてしまっているため担持材の機能が発揮できない場合や、担持材がナノファイバの中に入り込みすぎて、ナノファイバの機械的強度が低下してしまう場合があることを突き止めるに至った。
本願発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、ナノファイバ自体の機械的強度の低下を抑止しつつ担持材の機能を十分に発揮し得るナノファイバの製造方法、及び、製造装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本願発明にかかるナノファイバ製造方法は、ナノファイバの原料となる原料液を空間中に噴射する原料液噴射工程と、原料液に電荷を付与してを帯電させる原料液帯電工程と、帯電され噴射される原料液が静電爆発し、ナノファイバが製造されるナノファイバ製造工程と、ナノファイバに担持させる担持材を前記ナノファイバが帯電する極性とは逆極性に帯電させる担持材帯電工程と、製造された前記ナノファイバと帯電した担持材とを空間中で混合させる混合工程とを含むことを特徴とする。
これにより、製造されたナノファイバと担持材とが所定の空間中で混合される。さらに、ナノファイバと担持材とが相互に逆極性で帯電しているため、ナノファイバの表面に担持材が付着する。従って、ナノファイバの機械的特性に与える影響を抑止しつつ、担持材による新たな機能を付与することが可能となる。しかも、担持材がナノファイバの表面にのみ存在するため、担持材の機能を殺すことなく十分に発揮させることのできるナノファイバを製造することが可能となる。
さらに、製造された前記ナノファイバを気体流により搬送する搬送工程を含み、前記混合工程は、前記搬送工程中のナノファイバと担持材とを混合させることが好ましい。
これによれば、気体流で分散された状態で搬送されるナノファイバに対し担持材が混合されるため、空間全体として均一、かつ、ナノファイバに対しても均一に担持材を担持させることが可能となる。従って、安定して機能を発揮しうるナノファイバを製造することが可能となる。
さらに、前記気体流と前記担持材を担持した前記ナノファイバとを分離し、前記ナノファイバを堆積させて収集する収集工程を含んでもよい。
これによれば、均一に担持材が担持されたナノファイバを効率よく収集することができ、収集されたナノファイバを不織布の製造や紡糸に供給することが可能となる。
また、ナノファイバの原料となる原料液を空間中に噴射する原料液噴射手段と、前記原料液に電荷を付与して帯電させる原料液帯電手段と、製造されたナノファイバを案内する風洞を形成する案内手段と、前記案内手段内部に前記ナノファイバを搬送する気体流を発生させる気体流発生手段と、ナノファイバに担持させる担持材を前記ナノファイバが帯電する極性とは逆極性に帯電させる担持材帯電手段と、製造された前記ナノファイバと帯電した担持材とを混合させる混合手段とを備えるナノファイバ製造装置を用いることにより、上記方法を実現することが可能となる。
本願発明によれば、製造された、または、製造されつつあるナノファイバの表面にのみ担持材を担持させることができるため、ナノファイバ自体の機械的強度の低下を抑止しつつ担持材の機能を十分に発揮し得るナノファイバを提供することが可能となる。
次に、本願発明にかかるナノファイバ製造装置の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
(実施の形態1)
図1は、本願発明の実施の形態であるナノファイバ製造装置を模式的に示す断面図である。
同図に示すように、ナノファイバ製造装置100は、原料液放出手段200から放出されたナノファイバ301と、担持液放出手段250から放出された担持材311とを空間中で混合し、ナノファイバ301の表面に担持材311を担持させる装置であり、当該ナノファイバを収集する装置である。原料液放出手段200は、原料液噴射手段201と、原料液帯電手段202と、案内手段206と、気体流発生手段203とを備えている。一方、担持液放出手段250は、担持液噴射手段251と、担持材帯電手段252と、第二案内手段256と、第二気体流発生手段253とを備えている。さらに、ナノファイバ製造装置100は、混合手段130と、加速手段230と、収集手段110とを備えている。
原料液放出手段200は、帯電した原料液300や当該原料液300が飛行中に静電爆発により製造されるナノファイバ301を気体流に乗せて放出することができるユニットである。なお、原料液放出手段200の詳細については後述する。
ここで、ナノファイバを製造するための原料液については原料液300と記し、製造されたナノファイバについてはナノファイバ301と記すが、製造に際しては原料液300が静電爆発しながらナノファイバ301に変化していくため、原料液300とナノファイバ301との境界は曖昧であり、明確に区別できるものではない。
混合手段130は、原料液放出手段200から放出されるナノファイバ301(原料液300)と担持液放出手段250から放出される担持材(後述)とを気体流と共に混合させる部材である。混合手段130は、異なる場所場所で発生するナノファイバ301と担持材311とが一箇所で合流するように案内し、合流したナノファイバ301と担持材311とを混合できるようにY字状に接続される管状の部材である。混合手段130は、大径の主円筒体131の端部から小径の副円筒体132が2本連接された構造を有しており、2本の副円筒体132は異なる方向に向いた状態となっている。なお、本実施の形態では主円筒体131および副円筒体132は円筒形状のパイプを用いているが、混合手段130の形状は任意であり、断面矩形の筒体などを採用してもよい。また、混合手段130は、Y字状に接続される管状の部材に限定するものではなく、T字状に接続される管状の部材でもよく、ナノファイバ301と担持材311とが一箇所で合流するように案内できるようになればよい。
収集手段110は、担持材311が表面に付着したナノファイバ301を収集するための装置であり、堆積手段101と、搬送手段104と、吸引手段102と、吸引制御手段105と、領域規制手段103とを備えている。
堆積手段101は、静電爆発により製造され飛来するナノファイバ301が堆積する対象となる部材である。堆積手段101は、気体流により案内されるナノファイバ301を気体流と分離して収集する部材であり、気体流を挿通可能でナノファイバ301を挿通しない微細な孔を多数備えている。本実施の形態の場合、堆積手段101は、堆積したナノファイバ301と容易に分離可能な材質で構成された薄く柔軟性のある長尺のシート状の部材である。具体的には、堆積手段101として、アラミド繊維からなる長尺の網を例示することができる。さらに、堆積手段101の表面にテフロン(登録商標)コートを行うと、堆積したナノファイバ301を堆積手段101から剥ぎ取る際の剥離性が向上するため好ましい。また、堆積手段101は、ロール状に巻き付けられた状態で供給ロール111から供給されるものとなっている。
搬送手段104は、長尺の堆積手段101を巻き取りながら供給ロール111から引き出し、加速手段230の導出口近傍をゆっくりと移動させ、堆積するナノファイバ301と共に堆積手段101を搬送するものとなっている。搬送手段104は、ナノファイバ301が堆積している不織布を堆積手段101とともに巻き取ることができるものとなっている。
吸引手段102は、堆積手段101のナノファイバ301が堆積される側と反対側、すなわち、加速手段230が配置される側と反対側に配置され、原料液放出手段200から加速手段230を経て流れ来る気体流を堆積手段101に強制的に通過させて吸引する装置である。本実施の形態では、ナノファイバ製造装置100は、吸引手段102として、シロッコファンや軸流ファンなどの送風機が採用されており、領域規制手段103からダクト121に向かう気体流を発生させている。また、吸引手段102は、ダクト121と連通状態で配置されており、加速手段230から導出される気体流であって、原料液300から蒸発した溶媒が混ざったほとんどの気体流を吸引し、ダクト121を通過して溶剤回収装置106まで搬送することができるものとなっている。
吸引制御手段105は、吸引手段102と電気的に接続され、吸引手段102の吸引量を制御する装置である。本実施の形態では吸引手段102として送風機が採用されており、吸引制御手段105は、前記送風機の回転数を制御することにより気体の吸引量を制御している。
領域規制手段103は、吸引手段102の吸引領域を規制する機能を有し、堆積手段101のナノファイバ301が収集される側と反対側にあって、堆積手段101と吸引手段102との間に配置される両端が開放状態の筒体である。領域規制手段103の形状は、ナノファイバ301が放出される端部形状に対応することが好ましい。本実施の形態の場合、加速手段230の導出端開口部の形状が矩形であるので、領域規制手段103も前記形状に対応する矩形の筒体が採用されている。なお、前記導出端部の形状が環状であれば、領域規制手段103も円筒形を採用すればよい。
加速手段230は、混合手段130で担持材311と混合され、表面に担持材311を担持したナノファイバ301の飛行速度を高める装置であり、加速流発生手段232と、加速風洞体234とを備えている。
加速風洞体234は、混合手段130の主円筒体131に接続され、混合手段130から放出されるナノファイバ301を堆積手段101まで案内する機能を有する筒状の部材であり、加速流発生手段232で発生する気体流を加速風洞体234内方に導入することが可能な気体流導入口233を周壁に備えている。加速風洞体234の混合手段130と接続される部分は、混合手段130の導出側端部の面積に対応する面積で構成されており、加速風洞体234の導出側端部は、前記導出側端部の面積より小さくなっている。従って、加速風洞体234は、全体として漏斗形状となっており、加速風洞体234に導入されたナノファイバ301を気体流と共に圧縮できる形状となっている。
加速流発生手段232は、高圧ガスを加速風洞体234内部に導入することで気体流を発生させる装置である。本実施の形態では、加速流発生手段232は、高圧ガスを貯留しうるタンク(ボンベ)と、タンク内の高圧ガスの圧力を調節するバルブ235を有するガス導出手段を備える装置が採用されている。
なお、加速流発生手段232が供給するガスは、空気でもかまわないが、酸素含有比率が空気よりも低い安全ガスが望ましい。原料液300から蒸発する溶媒による爆発を回避するためである。安全ガスとしては、空気から樹脂膜(中空糸膜)により酸素をある程度除去した低酸素濃度ガスや、過熱水蒸気を挙示することができる。なお、本記載は酸素の含有がほとんどない高純度なガスなどの使用を除外するものではなく、液体や気体等の状態でボンベに封入された高純度な窒素やドライアイスから供給される二酸化炭素なども利用可能である。
また、加速流発生手段232により発生する気体流を加熱する加熱手段を設けてもかまわない。
図2は、原料液放出手段、及び、担持液放出手段を示す断面図である。
図3は、原料液放出手段、及び、担持液放出手段を示す斜視図である。
これらの図に示すように、原料液放出手段200は、原料液噴射手段201と、原料液帯電手段202と、気体流発生手段203と、案内手段206とを備えている。
原料液噴射手段201は、原料液300を空間中に噴射する装置であり、本実施の形態では、原料液300を遠心力により放射状に噴射する装置である。原料液噴射手段201は、噴射容器211と、回転軸体212と、モータ213とを備えている。
噴射容器211は、原料液300が内方に注入されながら自身の回転による遠心力により空間中に原料液300を噴射することのできる容器であり、一端が閉塞された円筒形状となされ、周壁には噴射口216を多数備えている。噴射容器211は、貯留する原料液300に電荷を付与するため、導電体で形成されている。噴射容器211は支持体(図示せず)に設けられるベアリング(図示せず)により回転可能に支持されている。
具体的には、噴射容器211の直径は、10mm以上200mm以下の範囲から採用されることが好適である。あまり大きすぎると気体流により原料液300やナノファイバ301を集中させることが困難になるからである。一方、小さすぎると遠心力により原料液300を噴射させるための回転を高めなければならず、モータの負荷や振動など問題が発生するためである。さらに噴射容器211の直径は、20mm以上80mm以下の範囲から採用することが好ましい。また、噴射口216の形状は円形が好ましく、その直径は、0.01mm以上2mm以下の範囲から採用することが好適である。
回転軸体212は、噴射容器211を回転させ遠心力により原料液300を噴射させるための駆動力を伝達するための軸体であり、噴射容器211の他端から噴射容器211の内部に挿通され、噴射容器211の閉塞部と一端部が接合される棒状体である。また、他端はモータ213の回転軸と接合されている。
モータ213は、遠心力により原料液300を噴射口216から噴射させるために、回転軸体212を介して噴射容器211に回転駆動力を付与する装置である。なお、噴射容器211の回転数は、噴射口216の口径や使用する原料液300の粘度や原料液内の高分子物質の種類などとの関係により、数rpm以上、10000rpm以下の範囲から採用することが好ましく、本実施の形態のようにモータ213と噴射容器211とが直動の時はモータ213の回転数は、噴射容器211の回転数と一致する。
原料液帯電手段202は、原料液300に電荷を付与して帯電させる装置である。本実施の形態の場合、原料液帯電手段202は、誘導電極221と、誘導電源222と、接地手段223とを備えている。また、噴射容器211も原料液帯電手段202の一部として機能している。
誘導電極221は、自身がアースに対し高い電圧となることで、近傍に配置され接地されている噴射容器211に電荷を誘導するための部材であり、噴射容器211の先端部分を取り囲むように配置される円環状の部材である。また、誘導電極221は、気体流発生手段203からの気体流を混合手段130の副円筒体132に案内する案内手段206としても機能している。
誘導電極221の大きさは、噴射容器211の直径よりも大きい必要があるが、その直径は、200mm以上、800mm以下の範囲から採用されることが好適である。
誘導電源222は、誘導電極221に高電圧を印加することのできる電源である。なお、誘導電源222は、一般には、直流電源が好ましい。特に、発生させるナノファイバ301の帯電極性に影響受けないような場合、生成したナノファイバ301の帯電を利用して、電極上に回収するような場合には、直流電源が好ましい。また、それ以外の場合には、交流電源でもかまわない。また、誘導電源222が直流電源である場合、誘導電源222が誘導電極221に印加する電圧は、10KV以上、200KV以下の範囲の値から設定されるのが好適である。特に、噴射容器211と誘導電極との間の電界強度が重要であり、1KV/cm以上の電界強度になるように印加電圧や誘導電極221の配置を行うことが好ましい。
接地手段223は、噴射容器211と電気的に接続され、噴射容器211を接地電位に維持することができる部材である。接地手段223の一端は、噴射容器211が回転状態であっても電気的な接続状態を維持することができるようにブラシとして機能するものであり、他端は大地と接続されている。
本実施の形態のように原料液帯電手段202に誘導方式を採用すれば、噴射容器211を接地電位に維持したまま原料液300に電荷を付与することができる。噴射容器211が接地電位の状態であれば、噴射容器211に接続される回転軸体212やモータ213などの部材を噴射容器211から電気的に絶縁する必要が無くなり、原料液噴射手段201として簡単な構造を採用しうることになり好ましい。
なお、原料液帯電手段202として、噴射容器211に電源を接続し、噴射容器211を高電圧に維持して原料液300に電荷を付与してもよい。また、噴射容器211を絶縁体で形成すると共に、噴射容器211に貯留される原料液300に直接接触する電極を噴射容器211内部に配置し、当該電極を用いて原料液300に電荷を付与するものでもよい。
気体流発生手段203は、噴射容器211から噴射される原料液300の飛行方向を案内手段206で案内される方向に変更するための気体流を発生させる装置である。気体流発生手段203は、モータ213の背部に備えられ、モータ213から噴射容器211の先端に向かう気体流を発生させる。気体流発生手段203は、噴射容器211から径方向に噴射される原料液300が誘導電極221に到達するまでに前記原料液300を軸方向に変更することができる風力を発生させることができるものとなっている。図2において、気体流は矢印で示している。本実施の形態の場合、気体流発生手段203として、原料液放出手段200の周囲にある雰囲気を強制的に送風する軸流ファンを備える送風機が採用されている。
なお、気体流発生手段203は、シロッコファンなど他の送風機により構成してもかまわない。また、高圧ガスを導入することにより噴射された原料液300の方向を変更するものでもかまわない。また、吸引手段102や加速流発生手段232などにより案内手段206内方に気体流を発生させるものでもかまわない。この場合、気体流発生手段203は積極的に気体流を発生させる装置を有しないこととなるが、本願発明の場合、案内手段206の内方に気体流が発生していることをもって気体流発生手段203が存在しているものとする。また、気体流発生手段203を有しない状態で、吸引手段102により吸引することで、案内手段206の内方に気体流を発生させるようにすることも気体流発生手段が存在しているものとする。また、気体流発生手段203を有しない状態で、吸引手段102により吸引することで、案内手段206の内方に気体流を発生させるようにすることも気体流発生手段が存在しているものとする。
案内手段206は、気体流発生手段203で発生した気体流を噴射容器211の近傍に案内する風洞体である。案内手段206により案内された気体流が噴射容器211から噴射された原料液300と交差し、原料液300の飛行方向を変更する。
さらにまた、原料液放出手段200は、気体流制御手段204と、加熱手段205とを備えている。
気体流制御手段204は、気体流発生手段203により発生する気体流が噴射口216に当たらないよう気体流を制御する機能を有するものであり、本実施の形態の場合、気体流制御手段204として、気体流を所定の領域に流れるように案内する風路体が採用されている。気体流制御手段204により、気体流が直接噴射口216に当たらないため、噴射口216から噴射される原料液300が早期に蒸発して噴射口216を塞ぐことを可及的に防止し、原料液300を安定させて噴射させ続けることが可能となる。なお、気体流制御手段204は、噴射口216の風上に配置され気体流が噴射口216近傍に到達するのを防止する壁状の防風壁でもかまわない。
加熱手段205は、気体流発生手段203が発生させる気体流を構成する気体を加熱する加熱源である。本実施の形態の場合、加熱手段205は、案内手段206の内方に配置される円環状のヒータであり、加熱手段205を通過する気体を加熱することができるものとなっている。加熱手段205により気体流を加熱することにより、空間中に噴射される原料液300は、蒸発が促進され効率よくナノファイバを製造することが可能となる。
次に、担持液放出手段250について説明する。なお、担持液放出手段250は、前記原料液放出手段200と装置構成が同じであるため、図2、図3を用いて説明する。名称の異なる部材については異なる符号を付し、当該符号は図中において括弧内に記載している。また、同一名称の部材については同一の符号を付している。
担持液噴射手段251は、原料液噴射手段201と同様であり、噴射容器211と、回転軸体212と、モータ213とを備えている。これらについては、上記説明の「原料液300」を「担持液310」と、「ナノファイバ301」を「担持材311」と読み替えれば、同じ説明となるため説明を省略する。
担持材帯電手段252は、担持液310に電荷を付与して帯電させる装置である。担持材帯電手段252は、原料液帯電手段202と同様、誘導電極221と、誘導電源222と、接地手段223とを備えている。また、噴射容器211も担持材帯電手段252の一部として機能している。
第二案内手段256は、案内手段206と同様、第二気体流発生手段253で発生した気体流を噴射容器211の近傍に案内する風洞体である。第二案内手段256により案内された気体流が噴射容器211から噴射された担持液310と交差し、担持液310の飛行方向を変更する。
第二気体流発生手段253は、気体流発生手段203と同様、噴射容器211から噴射される担持液310の飛行方向を案内手段206で案内される方向に変更するための気体流を発生させる装置である。第二気体流発生手段253は、モータ213の背部に備えられ、モータ213から噴射容器211の先端に向かう気体流を発生させる。気体流発生手段203は、噴射容器211から径方向に噴射される担持液310が誘導電極221に到達するまでに前記担持液310を軸方向に変更することができる風力を発生させることができるものとなっている。図2において、気体流は矢印で示している。本実施の形態の場合、第二気体流発生手段253として、担持液放出手段250の周囲にある雰囲気を強制的に送風する軸流ファンを備える送風機が採用されている。
次に、上記構成のナノファイバ製造装置100を用いたナノファイバ301の製造方法を説明する。
まず、気体流発生手段203と第二気体流発生手段253とにより、案内手段206や第二案内手段256の内部に気体流を発生させる。一方、吸引手段102により、堆積手段101よりも下流側から前記気体流を吸引する。
次に、原料液噴射手段201の噴射容器211に原料液300を供給する。原料液300は、別途タンク(図示せず)に蓄えられており、供給路217(図2参照)を通過して噴射容器211の他端部から噴射容器211内部に供給される。一方、担持液噴射手段251の噴射容器211に担持液310を供給する。担持液310は、別途タンク(図示せず)に蓄えられており、供給路217(図2参照)を通過して噴射容器211の他端部から噴射容器211内部に供給される。
次に、誘導電源222により噴射容器211に貯留される原料液300に電荷を供給しつつ(原料液帯電工程)、噴射容器211をモータ213により回転させて、遠心力により噴射口216から帯電した原料液300を噴射する(原料液噴射工程)。一方、誘導電源222により噴射容器211に貯留される担持液310に電荷を供給しつつ(担持材帯電工程)、噴射容器211をモータ213により回転させて、遠心力により噴射口216から帯電した担持液を噴射する(担持液噴射工程)。
ここで、原料液300に供給される電荷の極性と、担持液310に供給される電荷の極性は相互に逆極性となっている。
噴射容器211の径方向放射状に噴射された原料液300は、気体流により飛行方向が変更され、気体流に乗り案内手段206に案内されて搬送される(搬送工程)。原料液300は静電爆発によりナノファイバ301を製造しつつ(ナノファイバ製造工程)原料液放出手段200から放出される。また、前記気体流は、加熱手段205により加熱されており、原料液300の飛行を案内しつつ、原料液300に熱を与えて溶媒の蒸発を促進している。一方、担持液310は、噴射容器211の径方向放射状に噴射され、気体流により飛行方向が変更される。担持液310は、静電爆発により微小な液滴に分断されつつ担持液放出手段250から放出される。また、前記気体流は、加熱手段205により加熱されており、担持液310の飛行を案内しつつ、担持液310に熱を与えて溶媒の蒸発を促進している。
次に、原料液放出手段200から放出され静電爆発により製造されたナノファイバ301や原料液300と、担持液放出手段250から放出され静電爆発により微小液滴となった担持液310や担持材311とは、混合手段130により気体流と共に合流して混合状態となる(混合工程)。
ここで、ナノファイバ301と担持液310とは相互に逆極性に帯電しているため、引力が発生し、ナノファイバ301の表面に担持液310や担持材311が付着しながら混合手段130の内方を気体流に乗って搬送される(搬送工程)。この段階で、ナノファイバ301は、担持材311を担持することとなる。
加速手段230内方を通過する担持材311を担持したナノファイバ301は、高圧ガスの噴流により加速されつつ、加速手段230の内方が狭くなるにつれて徐々に圧縮され高密度状態となって堆積手段101に到達する。堆積手段101は、背部(下流側)から気体流が吸引手段102により吸引されているため、フィルタとして機能し、ナノファイバ301と気体流とを分離してナノファイバ301のみを堆積させながら収集する(収集工程)。ナノファイバ301が堆積する堆積手段101は、搬送手段104の巻き取りにより一定の移動速度で移動しており、堆積手段101の上に堆積したナノファイバ301は、不織布を形成しながら堆積手段101と共に移動し、搬送手段104に巻き取られる。
なお、ナノファイバ301を構成する高分子物質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ナイロン、アラミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等を例示できる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は上記高分子物質に限定されるものではない。
原料液300に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン、水等を例示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は上記高分子物質に限定されるものではない。
さらに、原料液300に骨材や可塑剤などの添加剤を添加してもよい。当該添加剤としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、耐熱性、加工性などの観点から酸化物を用いることが好ましい。当該酸化物としては、Al23、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B23、P25、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb23、As23、CeO2、V25、Cr23、MnO、Fe23、CoO、NiO、Y23、Lu23、Yb23、HfO2、Nb25等を例示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は上記高分子物質に限定されるものではない。
溶媒と高分子との混合比率は、溶媒と高分子により異なるが、溶媒量は、約60%から98%の間が望ましい。
なお、担持材311としては、機能性を備える物質であれば特に限定されるものではない。例えば、光活性金属酸化物等を挙示することができる。例えば、酸化亜鉛及び酸化チタン等である。光活性金属酸化物は、可視光(例えば、酸化亜鉛)や紫外線(TiO2)などの光により、活性化して触媒機能を発揮する。従って、本願発明のようにナノファイバの表面に光活性金属酸化物の微粒子が付着し、当該ナノファイバが不織布状態となっていれば、光をその微粒子に効率よく到達させることができ、光活性金属酸化物の効果を十分に発揮させることができる。
また、担持材311としては、活性炭等の匂いの成分を吸収するものや、銀や銅など抗菌や殺菌性能のあるもの、親水性や疎水性を付与するものなどを列挙できる。
上記装置構成、及び、方法により、表面にのみ担持材311が担持されたナノファイバ301を製造することが可能となる。従って、担持材311のナノファイバ301内部への混入によってナノファイバ301の機械的強度が低下することがなく、しかも、図4に示すように、担持材311がナノファイバ301の表面にのみ担持されているため、担持材311の性能を十分に発揮することが可能となる。
しかも、ナノファイバ301と担持材311とが相互に逆極性で帯電しているため、ナノファイバ301の表面に担持材311が強固に担持される。
また、静電爆発で製造されるナノファイバ301に対し、静電爆発で微小液滴となった担持液310、または、担持材311が分散状態で混合されるため、均等に混ざり合い、全体的に性能の安定したナノファイバ301を製造することが可能となる。
(実施の形態2)
次に、本願発明にかかる他の実施の形態について説明する。
図5は、本願発明の実施の形態であるナノファイバ製造装置を模式的に示す断面図である。なお、上記実施の形態1と同じ機能を有する部材、装置等には同じ符号を付し、説明を省略する。
同図に示すように、ナノファイバ製造装置100は、原料液放出手段200と、混合手段130と、担持材噴霧手段270と、加速手段230と、収集手段110とを備えている。なお、原料液放出手段200と、加速手段230と、収集手段110とは上記と同じであるため、その説明を省略する。
担持材噴霧手段270は、担持材311を含む担持液310を超音波や2流体ノズルを用いて噴霧し、噴霧された担持液310に含まれる担持材311をイオナイザで帯電しているナノファイバ301の極性と逆の極性に帯電させる装置である。担持材噴霧手段270は、後述の混合手段130に臨んで取り付けられており、混合手段130内部に帯電した担持液310を噴霧できるものとなっている。
ここで、イオナイザとは、空間中に存在する微粒子を帯電させることができる装置であり、具体的には、コロナ放電方式や電圧印加方式、交流方式、定常直流方式、パルス直流方式、自己放電式、軟X線方式、紫外線式、放射線方式など任意の方式等を挙示することができる。
混合手段130は、原料液放出手段200から放出されるナノファイバ301と担持材噴霧手段270から噴霧される担持液310とを混合する部材である。本実施の形態の場合、混合手段130は、原料液放出手段200と加速手段230とをまっすぐ結ぶ円筒形の管体であり、ナノファイバ301を原料液放出手段200から加速手段230に向けて搬送する気体流を案内する案内管体である。また、混合手段130は、周壁に担持材噴霧手段270が取り付けられている。
以上の構成によれば、原料液放出手段200から放出されたナノファイバ301が加速手段230に向けて搬送されている間に、担持材噴霧手段270から噴霧された微小な担持液310が混合される。ここで、ナノファイバ301と担持材311とは相互に逆極性で帯電しているため、表面に担持材311が担持されたナノファイバ301を簡易な方法で製造することが可能となる。
上記実施の形態では、担持材311を含む液体を微細化してナノファイバ301の表面に担持させたが、本願発明はこれに限定されるわけではない。例えば、担持材311の微粉末を固体のまま帯電させ、空間中に分散させてナノファイバ301と混合させてもよい。
本発明は、光触媒や脱臭など機能性を備えた繊維や不織布などの製造に利用可能である。
本願発明の実施の形態であるナノファイバ製造装置を模式的に示す断面図である。 原料液放出手段、及び、担持液放出手段を示す断面図である。 原料液放出手段、及び、担持液放出手段を示す斜視図である。 担持材を担持したナノファイバを模式的に示す図である。 本願発明の実施の形態であるナノファイバ製造装置を模式的に示す断面図である。
符号の説明
100 ナノファイバ製造装置
101 堆積手段
102 吸引手段
103 領域規制手段
104 搬送手段
105 吸引制御手段
106 溶剤回収装置
110 収集手段
111 供給ロール
121 ダクト
130 混合手段
131 主円筒体
132 副円筒体
200 原料液放出手段
201 原料液噴射手段
202 原料液帯電手段
203 気体流発生手段
204 気体流制御手段
205 加熱手段
206 案内手段
211 噴射容器
212 回転軸体
213 モータ
216 噴射口
217 供給路
221 誘導電極
222 誘導電源
223 接地手段
230 加速手段
232 加速流発生手段
233 気体流導入口
234 加速風洞体
235 バルブ
250 担持液放出手段
251 担持液噴射手段
252 担持材帯電手段
253 第二気体流発生手段
256 第二案内手段
270 担持材噴霧手段
300 原料液
301 ナノファイバ
310 担持液
311 担持材

Claims (6)

  1. ナノファイバの原料となる原料液を空間中に噴射する原料液噴射工程と、
    原料液に電荷を付与して帯電させる原料液帯電工程と、
    帯電され噴射される原料液が静電爆発し、ナノファイバが製造されるナノファイバ製造工程と、
    ナノファイバに担持させる担持材を前記ナノファイバが帯電する極性とは逆極性に帯電させる担持材帯電工程と、
    製造された前記ナノファイバと帯電した担持材とを空間中で混合させる混合工程と
    を含むナノファイバ製造方法。
  2. さらに、
    製造された前記ナノファイバを気体流により搬送する搬送工程を含み、
    前記混合工程は、
    前記搬送工程中のナノファイバと担持材とを混合させる
    請求項1に記載のナノファイバ製造方法。
  3. さらに、
    前記気体流と前記担持材を担持した前記ナノファイバとを分離し、前記ナノファイバを堆積させて収集する収集工程を含む
    請求項2に記載のナノファイバ製造方法。
  4. ナノファイバの原料となる原料液を空間中に噴射する原料液噴射手段と、
    前記原料液に電荷を付与して帯電させる原料液帯電手段と、
    製造されたナノファイバを案内する風洞を形成する案内手段と、
    前記案内手段内部に前記ナノファイバを搬送する気体流を発生させる気体流発生手段と、
    ナノファイバに担持させる担持材を前記ナノファイバが帯電する極性とは逆極性に帯電させる担持材帯電手段と、
    製造された前記ナノファイバと帯電した担持材とを混合させる混合手段と
    を備えるナノファイバ製造装置。
  5. さらに、
    前記気体流と前記担持材を担持した前記ナノファイバとを分離し、前記ナノファイバを堆積させて収集する収集手段を備える
    請求項4に記載のナノファイバ製造装置。
  6. さらに、
    担持材を含む液体である担持液を空間中に噴射する担持液噴射手段と、
    前記噴射された担持液、または、担持材を案内する風洞を形成する第二案内手段と、
    前記第二案内手段内部に前記担持液、または、担持材を案内する気体流を発生させる第二気体流発生手段とを備え、
    前記担持材帯電手段は、前記担持液に電荷を付与することにより担持材を帯電させる
    請求項4に記載のナノファイバ製造装置。
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