次に、本願発明にかかるナノファイバ製造装置の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本願発明の実施の形態であるナノファイバ製造装置を模式的に示す断面図である。
同図に示すように、ナノファイバ製造装置100は、放出手段200と、案内体206と、圧縮手段230と、拡散手段240と、収集手段110と、吸引手段102とを備えている。
放出手段200は、帯電した原料液300や製造されるナノファイバ301を気体流に乗せて放出することができるユニットであり、流出手段201と、帯電手段202と、風洞体209と、気体流発生手段203とを備えている。
ここで、ナノファイバを製造するための原料液については、原料液300と記し、製造されたナノファイバについてはナノファイバ301と記すが、製造に際しては原料液300が静電爆発しながらナノファイバ301に変化していくため、原料液300とナノファイバ301との境界は曖昧であり、明確に区別できるものではない。
案内体206は、放出手段200から放出されるナノファイバ301を所定の場所に案内する風洞を形成する円筒体であり、放出手段200のナノファイバ301が放出される側の開口形状と同じ開口形状を備え、放出手段200と一連に、かつ、所定の隙間を開けて配置されている。そして本実施の形態の場合、放出手段200と案内体206との隙間が導入口208となっている。
導入口208は、案内体206外方の雰囲気を案内体206内方に導入する為の開口であり、本実施の形態の場合、放出手段200と案内体206との間に配置され、案内体206の全周にわたって均一に開口している。なお、同図中導入口208の部分に記載されている曲がった矢印は、案内体206の内方に導入される雰囲気を模式的に示したものである。
圧縮手段230は、気体流により搬送されるナノファイバ301が存在する空間(案内体206の内方部分)を圧縮し、ナノファイバ301が空間中に存在する密度を上昇させる機能を備える装置であり、第二気体流発生手段232と、圧縮導管234とを備えている。
圧縮導管234は、案内体206内方を搬送されるナノファイバ301が存在する空間を徐々に狭くしていく筒状の部材であり、第二気体流発生手段232で発生する気体流を圧縮導管234内方に導入することが可能な気体流導入口233を周壁に備えている。圧縮導管234の案内体206と接続される部分は、案内体206の導出側端部の面積に対応する面積で構成されており、圧縮導管234の導出側端部は、前記導出側端部の面積より小さくなっている。従って、圧縮導管234は、全体として漏斗形状となっており、圧縮導管234に導入されたナノファイバ301を気体流と共に圧縮できる形状となっている。
また、圧縮手段230の上流側(導入側)の端部形状は、案内体206の端部形状と合致する円環状である。一方、圧縮手段230の下流側(吐出側)の端部形状は、矩形である。また、圧縮手段230の下流側(吐出側)の端部形状は、堆積手段101の幅方向(同図紙面と垂直方向)全体に渡って延び、堆積手段101の移動方向に対応する長さは、前記幅方向に対して狭い。圧縮手段230は、環状の上流端から矩形状の下流単に向かって徐々に形状が変化するものとなっている。
第二気体流発生手段232は、高圧ガスを圧縮導管234内部に導入することで気体流を発生させる装置である。本実施の形態では、第二気体流発生手段232は、高圧ガスを貯留しうるタンク(ボンベ)と、タンク内の高圧ガスの圧力を調節するバルブ235を有するガス導出手段を備える装置が採用されている。
拡散手段240は、圧縮手段230に接続され、一端圧縮されて高密度状態となったナノファイバ301を広く拡散させ分散させる導管であり、圧縮手段230で加速したナノファイバ301の速度を減速させるフード状の部材である。拡散手段240は、気体流が導入される上流端側の矩形の開口部と、気体流を放出する下流端側の矩形の開口部とを備え、下流端側の開口部の開口面積は、上流端側の開口部の開口面積よりも大きい設定となっている。拡散手段240は、上流端側の開口部から下流端側の開口部に向けて徐々に面積が大きくなるような形状が採用されている。
拡散手段240の小面積の導入端側から大面積の導出端側に向かって気体流が流れると、高密度状態のナノファイバ301が一気に低密度状態となって分散すると共に、気体流の流速は拡散手段240の断面積に比例して落ちていく。従って、気体流に乗って搬送されるナノファイバ301も、気体流と共に速度が減速される。この際、ナノファイバ301は、拡散手段240の断面積の拡大に従い徐々に均等に拡散していく。従って、ナノファイバ301を堆積手段101上に均等に堆積させることが可能となる。
収集手段110は、拡散手段240から放出されるナノファイバ301を収集するための装置であり、堆積手段101と、移送手段104と、収集電極112と、収集電源113とを備えている。
堆積手段101は、静電爆発により製造され飛来するナノファイバ301が堆積される対象となる部材である。堆積手段101は、堆積したナノファイバ301と容易に分離可能な材質で構成された薄く柔軟性のある長尺のシート状の部材である。具体的には、堆積手段101として、アラミド繊維からなる長尺の布を例示することができる。さらに、堆積手段101の表面にテフロン(登録商標)コートを行うと、堆積したナノファイバ301を堆積手段101から剥ぎ取る際の剥離性が向上するため好ましい。また、堆積手段101は、ロール状に巻き付けられた状態で供給ロール111から供給されるものとなっている。
移送手段104は、長尺の堆積手段101を巻き取りながら供給ロール111から引き出し、堆積するナノファイバ301と共に堆積手段101を搬送するものとなっている。移送手段104は、不織布状に堆積しているナノファイバ301を堆積手段101とともに巻き取ることができるものとなっている。
収集電極112は、帯電しているナノファイバ301を電界(電場)により吸引する部材であり、拡散手段240の下流側端部の開口部よりも一回り小さい矩形の板状の電極である。収集電極112が拡散手段240の開口部に配置された状態では、拡散手段240と収集電極112との間に間隔が生じるものとなっている。収集電極112の拡散手段240に向かう面の周縁部は尖った部分がなく、全体的にアールが施されており、異常放電が発生するのを防止している。
収集電源113は、収集電極112に電位を付与するための電源であり、本実施の形態の場合は直流電源が採用されている。
吸引手段102は、拡散手段240と収集電極112との隙間に配置され、ナノファイバ301と分離状態となり当該隙間から流出する気体流を強制的に吸引する装置である。本実施の形態では、吸引手段102として、シロッコファンや軸流ファンなどの送風機が採用されている。また、吸引手段102は、原料液300から蒸発した溶媒が混ざったほとんどの気体流を吸引し、吸引手段102に接続される溶剤回収装置106まで前記気体流を搬送することができるものとなっている。
図2は、放出手段を示す断面図である。
図3は、放出手段を示す斜視図である。
これらの図に示すように、流出手段201は、原料液300を空間中に流出させる装置であり、本実施の形態では、原料液300を遠心力により放射状に流出させ、誘導電極221の内方に原料液を流出させる装置である。流出手段201は、流出体211と、回転軸体212と、モータ213とを備えている。
流出体211は、原料液300が内方に注入されながら自身の回転による遠心力により空間中に原料液300を流出させることのできる容器であり、一端が閉塞された円筒形状となされ、周壁には流出孔216を多数備えている。流出体211は、貯留する原料液300に電荷を付与するため、導電体で形成されている。流出体211は支持体(図示せず)に設けられるベアリング215により回転可能に支持されている。
具体的には、流出体211の直径は、10mm以上、300mm以下の範囲から採用されることが好適である。あまり大きすぎると後述の気体流により原料液300やナノファイバ301を集中させることが困難になるからであり、また、流出体211の回転軸が偏心するなど、重量バランスが少しでも偏ると大きな振動が発生してしまい、当該振動を抑制するために流出体211を強固に支持する構造が必要となるからである。一方、小さすぎると遠心力により原料液300を流出させるための回転を高めなければならず、駆動源の負荷や振動など問題が発生するためである。さらに流出体211の直径は、20mm以上、100mm以下の範囲から採用することが好ましい。
また、流出孔216の形状は円形が好ましく、その直径は、流出体211の肉厚にもよるが、おおよそ0.01mm以上、3mm以下の範囲から採用することが好適である。これは、流出孔216があまりに小さすぎると原料液300を流出体211の外方に流出させることが困難となるからであり、あまりに大きすぎると一つの流出孔216から流出する原料液300の単位時間当たりの量が多くなりすぎ(つまり、流出する原料液300が形成する線の太さが太くなりすぎ)て所望の径のナノファイバ301を製造することが困難となるからである。
なお、流出体211の形状は、円筒形状に限定するものではなく、断面が多角形状の多角筒形状のようなものや円錐形状のようなものでもよい。流出孔216が回転することにより、流出孔216から原料液300が遠心力で流出可能な形状であればよい。また、流出孔216の形状は、円形に限定することなく、多角形状や星形形状などであってもよい。
回転軸体212は、流出体211を回転させ遠心力により原料液300を流出させるための駆動力を伝達するための軸体であり、流出体211の他端から流出体211の内部に挿通され、流出体211の閉塞部と一端部が接合される棒状体である。また、他端はモータ213の回転軸と接合されている。
モータ213は、遠心力により原料液300を流出孔216から流出させるために、回転軸体212を介して流出体211に回転駆動力を付与する装置である。なお、流出体211の回転数は、流出孔216の口径や使用する原料液300の粘度や原料液内の高分子物質の種類などとの関係により、数rpm以上、10000rpm以下の範囲から採用することが好ましく、本実施の形態のようにモータ213と流出体211とが直動の時はモータ213の回転数は、流出体211の回転数と一致する。
帯電手段202は、原料液300に電荷を付与して帯電させる装置である。本実施の形態の場合、帯電手段202は、誘導電極221と、誘導電源222と、接地手段223とを備えている。また、流出体211も帯電手段202の一部として機能している。
誘導電極221は、自身がアースに対し高い電圧もしくは低い電圧となることで、近傍に配置され接地されている流出体211に電荷を誘導するための部材であり、流出体211の先端部分を取り囲むように配置される円環状の部材である。誘導電極221に正の電圧が印加されると流出体211には、負の電荷が誘導され、誘導電極221に負の電荷が印加されると流出体211には、正の電荷が誘導される。また、誘導電極221は、気体流発生手段203からの気体流を案内体206に案内する風洞体209としても機能している。
誘導電極221の大きさは、流出体211の直径よりも大きい必要があるが、その直径は、200mm以上、800mm以下の範囲から採用されることが好適である。
誘導電源222は、誘導電極221に高電圧を印加することのできる電源である。なお、誘導電源222は、一般には、直流電源が好ましい。特に、発生させるナノファイバ301の帯電極性に影響受けないような場合、生成したナノファイバ301の帯電を利用して、電極上に回収するような場合には、直流電源が好ましい。また、誘導電源222が直流電源である場合、誘導電源222が誘導電極221に印加する電圧は、10KV以上、200KV以下の範囲の値から設定されるのが好適である。誘導電源222に負の電圧が印加される場合には、前記の印加する電圧の極性は、負になる。特に、流出体211と誘導電極との間の電界強度が重要であり、1KV/cm以上の電界強度になるように印加電圧や誘導電極221の配置を行うことが好ましい。なお、誘導電極221の形状は、円環状に限ったものではなく、多角形状を有する多角形環状の部材であってもよい。
接地手段223は、流出体211と電気的に接続され、流出体211を接地電位に維持することができる部材である。接地手段223の一端は、流出体211が回転状態であっても電気的な接続状態を維持することができるようにブラシとして機能するものであり、他端は大地と接続されている。
本実施の形態のように帯電手段202に誘導方式を採用すれば、流出体211を接地電位に維持したまま原料液300に電荷を付与することができる。流出体211が接地電位の状態であれば、流出体211に接続される回転軸体212やモータ213などの部材を流出体211から電気的に絶縁する必要が無くなり、流出手段201として簡単な構造を採用しうることになり好ましい。
なお、帯電手段202として、流出体211に電源を接続し、流出体211を高電圧に維持し、誘導電極221を接地することで原料液300に電荷を付与してもよい。また、流出体211を絶縁体で形成すると共に、流出体211に貯留される原料液300に直接接触する電極を流出体211内部に配置し、当該電極を用いて原料液300に電荷を付与するものでもよい。このような流出体211に直接もしくは原料液に直接電極を配置する場合には、原料液に帯電する電荷の極性は、印加する電圧の極性と同じ極性になる。
気体流発生手段203は、流出体211から流出される原料液300の飛行方向を案内体206で案内される方向に変更するための気体流を発生させる装置である。気体流発生手段203は、モータ213の背部に備えられ、モータ213から流出体211の先端に向かう気体流を発生させる。気体流発生手段203は、流出体211から径方向に流出される原料液300が誘導電極221に到達するまでに前記原料液300を軸方向に変更することができる風力を発生させることができるものとなっている。図2において、気体流は矢印で示している。本実施の形態の場合、気体流発生手段203として、放出手段200の周囲にある雰囲気を強制的に送風する軸流ファンを備える送風機が採用されている。
なお、気体流発生手段203は、シロッコファンなど他の送風機により構成してもかまわない。また、高圧ガスを導入することにより流出された原料液300の方向を変更するものでもかまわない。また、吸引手段102や第二気体流発生手段232などにより案内体206内方に気体流を発生させるものでもかまわない。この場合、気体流発生手段203は積極的に気体流を発生させる装置を有しないこととなるが、本願発明の場合、案内体206の内方に気体流が発生していることをもって気体流発生手段203が存在しているものとする。また、気体流発生手段203を有しない状態で、吸引手段102により吸引することで、風洞体209や案内体206の内方に気体流を発生させるようにすることも気体流発生手段が存在しているものとする。また、気体流発生手段203を有しない状態で、吸引手段102により吸引することで、風洞体209や案内体206の内方に気体流が発生する場合、吸引手段102が気体流発生手段として機能しているとみなす。
風洞体209は、気体流発生手段203で発生した気体流を流出体211の近傍に案内する導管である。風洞体209により案内された気体流が流出体211から流出された原料液300と交差し、原料液300の飛行方向を変更する。
さらにまた、放出手段200は、気体流制御手段204と、加熱手段205とを備えている。
気体流制御手段204は、気体流発生手段203により発生する気体流が流出孔216に当たらないよう気体流を制御する機能を有するものであり、本実施の形態の場合、気体流制御手段204として、気体流を所定の領域に流れるように案内する風路体が採用されている。気体流制御手段204により、気体流が直接流出孔216に当たらないため、流出孔216から流出される原料液300が早期に蒸発して流出孔216を塞ぐことを可及的に防止し、原料液300を安定させて流出させ続けることが可能となる。なお、気体流制御手段204は、流出孔216の風上に配置され気体流が流出孔216近傍に到達するのを防止する壁状の防風壁でもかまわない。
加熱手段205は、気体流発生手段203が発生させる気体流を構成する気体を加熱する加熱源である。本実施の形態の場合、加熱手段205は、案内体206の内方に配置される円環状のヒータであり、加熱手段205を通過する気体を加熱することができるものとなっている。加熱手段205により気体流を加熱することにより、空間中に流出される原料液300は、蒸発が促進され効率よくナノファイバを製造することが可能となる。
次に、上記構成のナノファイバ製造装置100を用いたナノファイバ301の製造方法を説明する。
まず、気体流発生手段203と第二気体流発生手段232とにより、案内体206や風洞体209の内部に気体流を発生させる。一方、吸引手段102により、案内体206内に発生する気体流を吸引する。案内体206内を通過する気体流により、案内体206内方は案内体206外方よりも圧力が低くなっているため、導入口208から案内体206外方の雰囲気(本実施の形態の場合は空気)が流入する。いわゆるベンチュリ効果である。
次に、流出手段201の流出体211に原料液300を供給する。原料液300は、別途タンク(図示せず)に蓄えられており、供給路217(図2参照)を通過して流出体211の他端部から流出体211内部に供給される。
次に、誘導電源222により流出体211に貯留される原料液300に電荷を供給しつつ(帯電工程)、流出体211をモータ213により回転させて、遠心力により流出孔216から帯電した原料液300を流出する(流出工程)。
流出体211の径方向放射状に流出された原料液300は、気体流により飛行方向が変更され、気体流に乗り風洞体209により案内される。原料液300は静電爆発によりナノファイバ301を製造しつつ(ナノファイバ製造工程)放出手段200から放出される。また、前記気体流は、加熱手段205により加熱されており、原料液300の飛行を案内しつつ、原料液300に熱を与えて溶媒の蒸発を促進している。
以上のようにして放出手段200から放出されるナノファイバ301は、案内体206に導入される。ここで、案内体206の端部に配置される導入口208からは空気が流入しているため、ナノファイバ301は、案内体206の軸心方向に押し付けられながら搬送される(搬送工程)。
従って、ナノファイバ301は案内体206の内壁に付着することなく案内体206の軸心に沿って案内される。
次に圧縮手段230内方を通過するナノファイバ301は、高圧ガスの噴流により加速されつつ、圧縮手段230の内方が狭くなるにつれて徐々に圧縮され高密度状態となって拡散手段240に到達する(圧縮工程)。
拡散手段240にまで搬送されたナノファイバ301は、ここで急速に速度が低下すると共に、均一に分散状態となる(拡散工程)。
この状態において、拡散手段240の開口部に配置されている収集電極112は、ナノファイバ301の帯電極性とは逆極性の電圧を印加しているため、ナノファイバ301を引きつける。ナノファイバ301と収集電極112との間には堆積手段101が存在しているため、収集電極112に引きつけられるナノファイバ301は、堆積手段101上に堆積していく(収集工程)。
一方、収集電極112と拡散手段240との隙間近傍に配置される吸引手段102は、蒸発した蒸発成分である溶媒と共に気体流を吸引する(吸引工程)。
以上により、原料液300に含まれる溶媒の蒸発は、案内体206の内方で発生するが、案内体206内方は気体流が存在し吸引手段102に吸引されて回収されるまで常に流れているため、案内体206内方に溶媒の蒸気が滞留することはない。従って、案内体206内方は、爆発限界を超えることがなく、安全な状態を維持しながらナノファイバ301を製造することが可能となる。
さらに、引火性のある溶媒を用いることが可能となるため、溶媒として用いることができる有機溶剤の種類の幅が広がり、人体に体して悪影響の少ない有機溶剤を溶媒として選定することも可能となる。また、蒸発効率の高い有機溶剤を溶媒として選定し、ナノファイバ301の製造効率を向上させることも可能となる。
さらに、ナノファイバ301は拡散手段240により均一に拡散し分散した後に収集電極112により引きつけられるため、ナノファイバ301は、堆積手段101上に均一に堆積する。従って、堆積したナノファイバ301を不織布として利用する場合には、面全体に渡って性能が安定した不織布を得ることが可能となる。また、堆積したナノファイバ301を紡糸する場合においても、性能が安定した糸を得ることが可能となる。
ここで、ナノファイバ301を構成する高分子物質としては、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリ−m−フェニレンテレフタレート、ポリ−p−フェニレンイソフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン−アクリレート共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−メタクリレート共重合体、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステルカーボネート、ポリアミド、アラミド、ポリイミド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリ酢酸ビニル、ポリペプチド等およびこれらの共重合体を例示できる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は上記高分子物質に限定されるものではない。
原料液300に使用される溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジベンジルアルコール、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−プロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトン、ヘキサフルオロアセトン、フェノール、ギ酸、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、塩化メチル、塩化エチル、塩化メチレン、クロロホルム、o−クロロトルエン、p−クロロトルエン、クロロホルム、四塩化炭素、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエタン、ジクロロプロパン、ジブロモエタン、ジブロモプロパン、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、酢酸、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、シクロペンタン、o−キシレン、p−キシレン、m−キシレン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホオキシド、ピリジン、水等を例示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は上記溶媒に限定されるものではない。
さらに、原料液300に骨材や可塑剤などの添加剤を添加してもよい。当該添加剤としては、酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、珪化物、弗化物、硫化物等を挙げることができるが、耐熱性、加工性などの観点から酸化物を用いることが好ましい。当該酸化物としては、Al2O3、SiO2、TiO2、Li2O、Na2O、MgO、CaO、SrO、BaO、B2O3、P2O5、SnO2、ZrO2、K2O、Cs2O、ZnO、Sb2O3、As2O3、CeO2、V2O5、Cr2O3、MnO、Fe2O3、CoO、NiO、Y2O3、Lu2O3、Yb2O3、HfO2、Nb2O5等を例示することができる。また、上記より選ばれる一種でもよく、また、複数種類が混在してもかまわない。なお、上記は例示であり、本願発明は上記添加剤に限定されるものではない。
溶媒と高分子物質との混合比率は、溶媒と高分子物質により異なるが、溶媒量は、約60重量%から98重量%の間が望ましい。
上記のように、溶媒蒸気が気体流により滞留することなく処理されるため、原料液300は、上記のように溶媒を50vol%以上含んでいても十分に蒸発し、静電爆発を発生させることが可能となる。従って、溶質である高分子が薄い状態からナノファイバ301が製造されるため、より細いナノファイバ301をも製造することが可能となる。また、原料液300の調整可能範囲が広がるため、製造されるナノファイバ301の性能の範囲も広くすることが可能となる。
なお、上記実施の形態では、原料液300を遠心力を用いて流出させたが、本願発明はこれに限定されるわけではない。例えば、図4に示すように、断面矩形の風洞体209の一壁面を流出孔216が多数設けられた流出体としてのノズルヘッド210を配置し、風洞体209の対向面に誘導電極221を配置して前記流出孔216と誘導電極221間に電位差を持たせることで電界を発生させて前記原料液を帯電させることで、帯電手段202とする。また、風洞体209の開口端の一方には気体流発生手段203を設ける。また、このような放出手段200と所定の間隔を隔てて、風洞体209と同じ断面形状の案内体206を配置してもかまわない。この場合放出手段200と案内体206との隙間が導入口208となる。
また、図5に示すように、一端が閉塞される円筒形の風洞体209の端部に導電性の物質で形成される2流体ノズル(2流体ノズルは、原料液300を流出する穴とその近傍に設けた高圧ガスを流出する穴を設けて構成され、原料液300に高圧ガスを吹きかけることで原料液300を噴霧状にするようになっている。)を貫通状態で設け、当該2流体ノズルを囲むように円環形状の誘導電極221を設ける。2流体ノズルの内側の管は原料液300が流出される流出手段201として機能し、外側の管は、原料液300を霧状にすると共に、風洞体209、及び、案内体206の内方に気体流を発生させる気体流発生手段203として機能するものである。以上のような構成の放出手段200であってもかまわない。
また、圧縮手段230は、必要に応じ適宜省略することが可能である。すなわち、案内体206から拡散手段240に直接接続して、帯電したナノファイバ301を収集手段110により収集してもよい。
収集電極112は、収集電源113と接続を行っているが、収集電極112を接地して、帯電したナノファイバを収集するようにしても、本願発明に記載した効果は得られる。
また、導入口208は、環形状ばかりでなく、図6に示すような矩形の開口や、その他円形の開口など任意の形状であってもかまわない。この場合、導入口208の並びを中心として一方側を案内体206とし、他方側を風洞体209とみなせばよい。
また、図7、図8に示すように、導入口208の近傍に、案内体206の外方の雰囲気の案内体206への導入方向を制御する制御翼225を備えてもかまわない。同図に示す制御翼225は、案内体206の導入口208側の端部外周壁に取り付けられた漏斗形状の部材である。これによりベンチュリ効果によって導入される雰囲気の流入状態を制御することができる。例えば、案内体206軸心部近傍よりも圧力の高い層流を案内体206の内壁近傍に形成することも可能である。このような層流を形成することで、ナノファイバ301が案内体206に付着するのを効果的に抑制することが可能となる。