JP4939128B2 - 流体の流速計測装置 - Google Patents
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Description
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、前記計測休止期間をなくし効率の良い計測を可能とするだけでなく、流速0でも計測を可能とする流体の流速計測装置を提供することを目的とする。
また請求項3の発明は、請求項2記載の流体の流速計測装置において、前記ヒータ制御回路は、積分回路を備え、当該積分回路によって定められた時定数で前記ヒータへの通電を制御することを特徴とする。
また請求項4の発明は、請求項3記載の流体の流速計測装置において、前記ヒータへの通電の減少及び増加に伴い生じる前記第1及び第2の感温体での電圧を前記積分回路で定められる時定数と一致するように前記ヒータ制御回路を制御することを特徴とする。
また請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れか1項記載の流体の流速計測装置において、前記ヒータへの通電の停止または減少及び前記ヒータへの通電の開始または増加に伴い生じる前記第1の感温体と前記第2の感温体との電圧差を検出する検出回路を備えたことを特徴とする。
[実施例1]
図1は、本発明による一実施形態に係る流体の流速計測装置の概略構成を示す回路図である。
図中、1及び2は、サーモパイルからなる第1の感温体及び第2の感温体、3は通電することによって発熱する感温抵抗体からなるヒータ、4及び5は所定の電圧V1及びV2を第2の比較機7及び第1の比較機6に供給する電源、8は第1の比較機6及び第2の比較機7からのトリガー信号によって出力パルスを発生するフリップフロップ回路等の論理素子、9は当該出力パルスに応じて前記ヒータへの通電を制御するヒータ制御回路、34は前記出力パルスのパルス間隔を計測して、流体の流速を演算する演算回路、35は演算回路34から出力された流体の流速を表示する表示手段である。
この流体の流速計測装置は、図示していないが論理素子8にパワーONリセット信号(b)などを加える事により開始され、これによって論理素子8の出力(e)がHighになり、ヒータ制御回路9はヒータ3への通電を開始する。通電によりヒータ3は発熱を開始して、ヒータの温度は上昇し、空間を介して第1の感温体1及び第2の感温体2に移動する熱が増加する。この熱移動に伴い、第1の感温体1の温度上昇による出力電圧10がV2に到達する(図2(a)参照)ことで第1の比較機6からトリガー信号(c)が出力され、論理素子8の出力がLowになり、ヒータ制御回路9はヒータ3への通電を停止する。これによって、ヒータ3の温度は低下して行き空間を介して第1の感温体1及び第2の感温体2に移動する熱が減り、第2の感温体2で出力電圧がV1に到達することで第2の比較機7からトリガー信号(d)が出力され、論理素子8の出力がHighになり、ヒータ3への通電が開始される。この動作が繰り返し行われ、論理素子8から出力パルスが出力される。この出力パルスのパルス間隔T1(ON時間)及びT2(OFF時間)を計測することで予め求められているパルス間隔T1及びT2と流体の流速との関係線(検量線)から演算回路34で演算して流速を計測し、表示手段35で流速を表示するものである。
本実施例においては、ヒータ発熱制御時は第1の感温体1の温度上昇速度によって出力パルスのHighの時間を規定し、ヒータ非発熱制御時には第2の感温体2の温度降下速度によって出力パルスのLowの時間を規定するものであるので出力パルスのパルス周期を計測することで計測休止期間が無く流速計測を行う事ができる。
また、本実施例においては、感温体出力の検出レベルV1・V2によってヒータの発熱制御がなされるものであり、V1とV2の電圧レベルを検出可能な必要最低限の大きさとすることで、ヒータから感温体への微小な熱移動が計測でき、これにより上流側の感温体の反応が小さくなる高流速まで計測できるものである。
図4は、本発明による他の実施形態に係る流体の流速計測装置の概略構成を示す回路図で、実施例1と同一構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
図4中、13及び14は、感温抵抗体からなる感温体で、それぞれ第1の感温抵抗体及び第2の感温抵抗体、15は流体温度検出用の感温抵抗体からなる第3の感温抵抗体、17及び16は、所定の抵抗値を有する第1の固有抵抗及び第2の固有抵抗、18、19、20は、それぞれ第1の感温抵抗体13、第2の感温抵抗体14及び第3の感温抵抗体15と第1及び第2の固有抵抗17、16に供給される定電流源である。
本実施例は、前述の実施例1とは、感温体として、サーモパイルに代えて感温抵抗体を使用した点において相違する。感温抵抗体によるフローセンサでは、ヒータも温度検出素子も同一プロセスで作成でき、更に同一形状にでき、これにより素子間の温度応答速度が同じになることに着目してなされたものであり、本実施例の特徴は、流速計測用の感温抵抗体と同一形状の感温抵抗体を用いて流体温度の基準とし、更には基準となる感温抵抗体に直列に固定抵抗を接続して、この固定抵抗の抵抗値をもって流速計測用の感温抵抗体の温度検出レベルとする温度補償を行ったことにある。
感温抵抗体15には固定抵抗16、17が直列に接続されており、感温抵抗体15と固定抵抗16で生じる電圧V1は、感温抵抗体14で生じた電圧11と比較するための電圧で、感温抵抗体14が流体温度に対して固定抵抗16の抵抗値で規定された分高い温度となるように設定している。また、感温抵抗体15と固定抵抗16と固定抵抗17で生じる電圧V2は、感温抵抗体13で生じた電圧10と比較するための電圧であり、感温抵抗体13が流体温度に対して固定抵抗16、17の合計の抵抗値で規定された分高い温度となるように設定している。ここで、感温抵抗体15で生じる電圧を実施例1でのGNDレベル(基準)として考えると本実施例の動作は、実施例1の図3と何ら変わらない動作となる。
更には、定電流源18、19、20に調整回路を付加し、感温抵抗体13、14、15のばらつきにより生じる電圧差を小さくして、固定抵抗16、17を極小な抵抗値としても良い。これによって、感温抵抗体13、14の温度検出レベルは流体温度に対して微小に高い温度とすることができ、ヒータ3から移動するわずかな熱量を検出することが可能となる。
また、感温抵抗体13での温度は、固定抵抗16と17で規定される温度以上に上昇することは無いため、感温抵抗体15は図5に示すように感温抵抗体13の更に上流に配置することでヒータの熱の影響をほとんど受け無なくなる。感温抵抗体15は、周囲温度によって抵抗値が変化する感温抵抗体の温度補償用に設けたものであり、温度補償用の感温抵抗体15も含めた全ての感温抵抗体を同一形状にすることが可能であり、同一熱容量とすることが出来、これにより温度応答速度も全て同じになるので、流体に急激な温度変化が発生した場合においても誤差無く流速計測が行える。
また、本構成での出力はパルス出力であるため、ADコンバータなどの部品も必要とせず流速に変換することが出来るので本実施例を用いた流速計測装置は安価なものとなる
図7は、本発明による他の実施形態に係る流体の流速計測装置の概略構成を示す回路図で、実施例2と同一構成については、同一符号を付し、説明を省略する。なお、図7中23はランプ積分回路用のリファレンス電源、24はランプ積分回路用の固定抵抗、25はランプ積分回路用のコンデンサ、26はランプ積分回路用のオペアンプ、27はアナログスイッチである。
本実施例においては、前述の実施例2のヒータ制御回路9として、積分回路を用いた構成としており、ヒータの発熱温度の上昇速度を回路時定数で規定したことを特徴とする。本実施例における積分回路はランプ積分回路であり、これによりヒータ3に加える電圧を時間経過に対して直線的に変化するものとしている。図7における動作を図8に示す。図8中(A1)、(A2)、(A3)は、それぞれ、(A)正方向に流れがある時のヒータに印加される電圧と、感温抵抗体13で検出される電圧10及び感温抵抗体14で検出される電圧11と、論理素子8から出力されるヒータ制御信号出力信号とを示し、同様に、(B1)、(B2)、(B3)、(C1)、(C2)、(C3)は、(B)流れが無い時、(C)逆方向に流れがある時におけるヒータに印加される電圧と、感温抵抗体13で検出される電圧10及び感温抵抗体14で検出される電圧11と、論理素子8から出力されるヒータ制御信号出力信号とを示す。
また、本実施例では、感温抵抗体13での温度上昇量は流速を検出できる最小限の熱量に固定(V2の電圧値)されており、これによってヒータ発熱温度の上限値が決定される。言い換えるとヒータ発熱温度は、流速に応じて計測できる最小限の発熱温度に制御されるものである。このように、本実施例においては、無駄にヒータを発熱させず低消費電力の流速計測が実現できるものである。
図9は、本発明による他の実施形態に係る流体の流速計測装置の概略構成を示す回路図で、実施例3と同一構成については、同一符号を付し、説明を省略する。なお、図9中28はオペアンプ、29は固定抵抗、30、31は差動増幅器、36、37、38、39、40は加算機用固定抵抗、41は加算機用オペアンプである。
本実施例においては、前述の実施例3記載のものと基本的には同一であるが、感温抵抗体13、14で検出された出力を差動増幅器30、31を介して入力された信号を加算機で加算してオペアンプ28に入力し、ランプ積分回路の出力を制御して、流速を計測する感温抵抗体13、14の温度上昇・降下速度をランプ積分回路で決められた時定数と同じなるようにヒータ3を制御する事を特徴としている。
より具体的に説明すると、感温抵抗体13、14で発生する電圧10、11を感温抵抗体15と固定抵抗29で発生する電圧12と比較増幅して、ヒータ3から感温抵抗体13、14に移動する熱によって生じる温度上昇・降下による電圧変化を差動増幅器30、31で取り出す。この信号を加算機で合成して、電圧ランプ信号42と比較し、ヒータ3を制御する。電圧ランプ信号42は、感温抵抗体13、14の温度によって制御されるものであるから、おのずとランプ電圧42のスイング範囲は加算機からの出力信号と合致したレベルに安定する。この動作によって感温抵抗体13、14の温度上昇、降下速度は時間経過に対して直線的に変化するものとなる。
本構成によれば、感温抵抗体13、14の温度上昇速度の合成及び温度降下速度の合成が常に一定速度であり、この条件は流速や周囲温度によらず固定される。このことから、感温抵抗体13、14からフローセンサの基台22に流出した熱量に応じてヒータ3から熱が補われるものであり、流速が生じ感温抵抗体13と感温抵抗体14に温度差が生じている場合においてもヒータ3から供給される熱量の比は流速によるものなので、前記基台22に流出する熱量と同量の熱がヒータから供給される。よって、基台22に流出する熱の影響は一切受けなくなる。
図11は、本発明による他の実施形態に係る流体の流速計測装置の概略構成を示す回路図で、実施例4と同一構成については、同一符号を付し、説明を省略する。
本実施例では、基本的な動作は前述の実施例4と同じであり、感温抵抗体13の温度上昇・降下速度をヒータ制御回路9のランプ積分回路で定められた時定数により固定するものである。これによって、感温抵抗体13が基準となり、感温抵抗体14の温度上昇・降下速度が流速によって変化する。その結果、感温抵抗体13、14の温度上昇・降下速度はランプ積分回路の時定数で規定されるので、ヒータ発熱温度の影響が無くなり、これによって温度依存性がなくなり、また流体の熱伝導率の違いなどによる誤差もなくなり、感温抵抗体の経年劣化などによる影響も無くなる。このように、流速に応じてヒータ発熱温度が変化するので低流速から高流速まで安定した出力を得ることができる。さらに、本実施例のものは、実施例4のものに比べ、回路規模が小さくてすむが、感温抵抗体13の温度上昇・降下速度が固定であるため、流速に対する出力パルスの変化は小さくなる。
図12は、本発明による他の実施形態に係る流体の流速計測装置の概略構成を示す回路図で、実施例3と同一構成については、同一符号を付し、説明を省略する。なお、図12中33は差動増幅器である。
本実施例のものでは、上流側と下流側の感温体の出力が流速0の時以外では交差しないことに注目してなされたものであり、前述の実施例2の構成に感温抵抗体13、14で発生する電圧差を差動増幅器33によって検出する構成を付加したものである。この構成の付加によって、感温抵抗体13、14へのゴミの付着を検出可能としたものである。
このゴミ付着の検出について、図13に基づいて説明する。図13中(A1)、(A2)は、それぞれ、(A)正方向に流れがある時の感温抵抗体13で検出される電圧10及び感温抵抗体14で検出される電圧11と、差動増幅器33からの出力(流速0出力)43とを示し、同様に、(B1)、(B2)、(C1)、(C2)、(D1)、(D2)は、(B)流れが無い時、(C)逆方向に流れがある時及び(D)感温抵抗体13にゴミが付着し、且つ流れがないときにおける感温抵抗体13で検出される電圧10及び感温抵抗体14で検出される電圧11と、差動増幅器33からの出力(流速0出力)43とを示す。
Claims (5)
- ヒータと、
該ヒータを挟んで配置された第1の感温体、第2の感温体、及び第3の感温体を備えたフローセンサと、
前記第1の感温体で検出される第1の出力電圧と第1の基準電圧とを比較して前記第1の出力電圧が前記第1の基準電圧に到達したとき信号を出力する第1の比較手段と、
前記第2の感温体で検出される第2の出力電圧と第2の基準電圧とを比較して前記第2の出力電圧が前記第2の基準電圧に到達したとき信号を出力する第2の比較手段と、
前記第1の比較手段と前記第2の比較手段から得られた信号によって出力パルスを発生する論理素子と、
該論理素子から出力される出力パルスに応じて前記ヒータに電流を印加するヒータ制御回路と、を備え、
前記第3の感温体に直列に第1の固定抵抗を接続し、
前記第1の感温体、前記第2の感温体、及び前記第1の固定抵抗と前記第3の感温体に電流を流す電流源を接続し、
前記第1の比較手段は、少なくとも前記第1の固定抵抗と前記第3の感温体で発生した電圧を前記第1の基準電圧として前記第1の感温体で発生した電圧と比較し、
前記第2の比較手段は、少なくとも前記第3の感温体で発生した電圧を前記第2の基準電圧として前記第2の感温体で発生した電圧と比較し、
前記ヒータ制御回路は、前記第1の比較手段からの出力信号によって、前記ヒータへの通電を停止または減少させ、前記第2の比較手段からの出力信号によって前記ヒータへの通電を開始または増加させ、前記ヒータ制御回路に供給される前記出力パルスのパルス間隔を計測することによって前記フローセンサ上を流れる流体の流速を計測することを特徴とする流体の流速計測装置。 - 請求項1記載の流体の流速計測装置において、
前記第3の感温体に直列に、さらに、第2の固定抵抗を接続し、
前記第1の比較手段は、前記第1の固定抵抗と前記第2の固有抵抗と前記第3の感温体で発生した電圧を前記第1の基準電圧として前記第1の感温体で発生した電圧と比較し、
前記第2の比較手段は、前記第2の固定抵抗と前記第3の感温体で発生した電圧を前記第2の基準電圧として前記第2の感温体で発生した電圧と比較することを特徴とする流体の流速計測装置。 - 請求項2記載の流体の流速計測装置において、
前記ヒータ制御回路は、積分回路を備え、当該積分回路によって定められた時定数で前記ヒータへの通電を制御することを特徴とする流体の流速計測装置。 - 請求項3記載の流体の流速計測装置において、
前記ヒータへの通電の減少及び増加に伴い生じる前記第1及び第2の感温体での電圧を前記積分回路で定められる時定数と一致するように前記ヒータ制御回路を制御することを特徴とする流体の流速計測装置。 - 請求項1乃至4の何れか1項記載の流体の流速計測装置において、
前記ヒータへの通電の停止または減少及び前記ヒータへの通電の開始または増加に伴い生じる前記第1の感温体と前記第2の感温体との電圧差を検出する検出回路を備えたことを特徴とする流体の流速計測装置。
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