JP2009288096A - 熱式流量センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】発熱抵抗体および1対の測温抵抗体を用いて被検流体の流量検出を行うように構成された熱式流量センサにおいて、環境温度が変化した場合であっても、流量検出の精度を十分に確保可能とする。
【解決手段】発熱抵抗体への通電を周期的なオンオフの駆動により行い、1対の測温抵抗体相互間の抵抗差の検出信号であるブリッジ出力Vbに基づいてセンサ出力となる電圧Vsを算出する構成とする。その際、上記オンオフの駆動を、発熱抵抗体への通電をオンにした時点tonからブリッジ出力Vbの値が飽和する前の所定の時点t1までの時間を半周期T/2として行うとともに、上記オンオフの駆動により出力される交流信号の振幅に基づいて、センサ出力となる電圧Vsを算出する構成とする。これにより、被検流体の流量がゼロのときのセンサ出力を、センサ出力の基準として用いることなく、流量検出を行えるようにする。
【選択図】図3
【解決手段】発熱抵抗体への通電を周期的なオンオフの駆動により行い、1対の測温抵抗体相互間の抵抗差の検出信号であるブリッジ出力Vbに基づいてセンサ出力となる電圧Vsを算出する構成とする。その際、上記オンオフの駆動を、発熱抵抗体への通電をオンにした時点tonからブリッジ出力Vbの値が飽和する前の所定の時点t1までの時間を半周期T/2として行うとともに、上記オンオフの駆動により出力される交流信号の振幅に基づいて、センサ出力となる電圧Vsを算出する構成とする。これにより、被検流体の流量がゼロのときのセンサ出力を、センサ出力の基準として用いることなく、流量検出を行えるようにする。
【選択図】図3
Description
本願発明は、発熱抵抗体および1対の測温抵抗体を用いて被検流体の流量検出を行うように構成された熱式流量センサに関するものである。
従来より、被検流体の流量を検出する流量センサの一形式として、熱式流量センサが知られている。例えば「特許文献1」には、被検流体の流路に配置された発熱抵抗体と、その上流側近傍および下流側近傍において流路に配置された1対の測温抵抗体とを備えた熱式流量センサが記載されている。
この熱式流量センサにおいては、発熱抵抗体に通電することにより、流路を流れる被検流体を加熱した状態で、1対の測温抵抗体相互間に生じる抵抗差を検出し、この抵抗差に応じた電圧をセンサ出力として得ることにより、流量検出を行ように構成されている。
また「特許文献2」には、このような熱式流量センサにおいて、広範囲の流量域にわたる流量検出を可能とするため、低流量域では、発熱抵抗体を定電圧で駆動したときに検出される1対の測温抵抗体相互間の抵抗差に基づいて流量検出を行う一方、高流量域では、発熱抵抗体を交流電圧で駆動したときの駆動信号と上記抵抗差の検出信号との位相差に基づいて流量検出を行うように構成されたものが記載されている。
上記「特許文献1」に記載されているような、1対の測温抵抗体相互間の抵抗差に基づいて流量検出を行う熱式流量センサにおいては、これら1対の測温抵抗体の特性が不揃いであると、環境温度の変化(具体的には、流路を流れる被検流体の温度の変化と熱式流量センサの外部からの熱影響による温度の変化との和)に伴って、そのセンサ出力となる電圧にズレが生じてくる。すなわち、環境温度が変化すると、センサ出力の基準となる、被検流体の流量がゼロのときのセンサ出力となる電圧も変化してしまい、このため正確な流量検出を行うことができなくなってしまう。
そこで、このような熱式流量センサにおいては、その温度補償を図るため、センサ出力のゼロ点校正が行われるようになっている。しかしながら、このゼロ点校正を行っている間は、発熱抵抗体への通電が停止された状態となるので、その間は被検流体の流量検出を行うことができなくなってしまう、という問題がある。
このような問題は、上記「特許文献2」に記載された熱式流量センサの構成を採用した場合においても、同様に生じ得る問題である。
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、発熱抵抗体および1対の測温抵抗体を用いて被検流体の流量検出を行うように構成された熱式流量センサにおいて、環境温度が変化した場合であっても、流量検出の精度を十分に確保することができる熱式流量センサを提供することを目的とするものである。
本願発明は、1対の測温抵抗体相互間の温度差自体に基づいて流量検出を行うのではなく、その温度差の変化の度合に基づいて流量検出を行う構成とすることにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
すなわち、本願発明に係る熱式流量センサは、
被検流体の流路に配置された発熱抵抗体と、この発熱抵抗体の近傍において上記流路に配置された1対の測温抵抗体と、上記発熱抵抗体に通電することにより、上記流路を流れる被検流体を加熱した状態で、上記1対の測温抵抗体相互間に生じる抵抗差を検出し、この抵抗差に応じた電圧をセンサ出力として得るように構成された検出制御手段と、を備えてなる熱式流量センサにおいて、
上記検出制御手段が、上記発熱抵抗体への通電を周期的なオンオフの駆動により行う駆動制御部と、上記抵抗差の検出信号に基づいてセンサ出力となる電圧を算出する検出処理部とを備えており、
上記駆動制御部が、上記オンオフの駆動を、上記発熱抵抗体への通電をオンまたはオフにした時点から上記抵抗差の検出信号の値が飽和する前の所定の時点までの時間を半周期として行うように構成されており、
上記検出処理部が、上記オンオフの駆動により出力される交流信号の振幅に基づいて、上記センサ出力となる電圧を算出するように構成されている、ことを特徴とするものである。
被検流体の流路に配置された発熱抵抗体と、この発熱抵抗体の近傍において上記流路に配置された1対の測温抵抗体と、上記発熱抵抗体に通電することにより、上記流路を流れる被検流体を加熱した状態で、上記1対の測温抵抗体相互間に生じる抵抗差を検出し、この抵抗差に応じた電圧をセンサ出力として得るように構成された検出制御手段と、を備えてなる熱式流量センサにおいて、
上記検出制御手段が、上記発熱抵抗体への通電を周期的なオンオフの駆動により行う駆動制御部と、上記抵抗差の検出信号に基づいてセンサ出力となる電圧を算出する検出処理部とを備えており、
上記駆動制御部が、上記オンオフの駆動を、上記発熱抵抗体への通電をオンまたはオフにした時点から上記抵抗差の検出信号の値が飽和する前の所定の時点までの時間を半周期として行うように構成されており、
上記検出処理部が、上記オンオフの駆動により出力される交流信号の振幅に基づいて、上記センサ出力となる電圧を算出するように構成されている、ことを特徴とするものである。
上記「被検流体」は、流体であればその種類は特に限定されるものではなく、例えばメタノールや水等の液体あるいは空気や水素等の気体が採用可能である。
上記「所定の時点」は、上記抵抗差の検出信号の値が飽和する前の時点であれば、その具体的な時点は特に限定されるものではない。
上記「上記オンオフの駆動により出力される交流信号の振幅に基づいて、上記センサ出力となる電圧を算出する」ための具体的な方法は特に限定されるものではなく、例えば、上記交流信号の振幅自体を検出することにより算出する方法、上記交流信号に対して位相検波および平滑化を行うことにより算出する方法、上記交流信号の値を2乗平均することにより算出する方法、等が採用可能である。
上記構成に示すように、本願発明に係る熱式流量センサは、その検出制御手段が、発熱抵抗体への通電を周期的なオンオフの駆動により行う駆動制御部と、1対の測温抵抗体相互間の抵抗差の検出信号に基づいてセンサ出力となる電圧を算出する検出処理部とを備えており、その駆動制御部において、上記オンオフの駆動を、発熱抵抗体への通電をオンまたはオフにした時点から上記抵抗差の検出信号の値が飽和する前の所定の時点までの時間を半周期として行うとともに、その検出処理部において、上記オンオフの駆動により出力される交流信号の振幅に基づいて、上記センサ出力となる電圧を算出する構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、一般に、発熱抵抗体に印加される電圧(以下「駆動電圧」という)をステップ入力により変化させたときの、上記抵抗差の検出信号の変化の度合は、被検流体の流量(正確には流速)が大きくなるほど大きくなる。そこで、発熱抵抗体への通電をオンオフの駆動により行うようにした上で、このオンオフの駆動を、オンまたはオフにした時点から上記抵抗差の検出信号の値が飽和する前の所定の時点までの時間を半周期として行うようにすれば、このオンオフの駆動により出力される交流信号の振幅を、被検流体の流量が大きくなるほど大きい値として得ることができる。したがって、この交流信号の振幅に基づいて、センサ出力となる電圧を算出することにより、流量検出を行うことができる。
その際、本願発明においては、従来のように1対の測温抵抗体相互間の温度差自体に基づいて流量検出を行うのではなく、その抵抗差の検出信号の変化の度合に基づいて流量検出を行う構成となっているので、被検流体の流量がゼロのときのセンサ出力をセンサ出力の基準として用いることなく流量検出を行うことができる。このため、たとえ1対の測温抵抗体の特性が不揃いであり、かつ環境温度が変化するようなことがあっても、センサ出力となる電圧にその影響が及んでしまうおそれをなくすことができ、これにより略正確な流量検出を行うことができる。
このように本願発明によれば、発熱抵抗体および1対の測温抵抗体を用いて被検流体の流量検出を行うように構成された熱式流量センサにおいて、環境温度が変化した場合であっても、流量検出の精度を十分に確保することができる。
しかも、本願発明に係る熱式流量センサにおいては、従来の熱式流量センサにおいて流量検出の精度を確保するために行われているセンサ出力のゼロ点校正が不要となるので、流量検出を連続して行うことができる。
また、本願発明に係る熱式流量センサにおいては、発熱抵抗体への通電を周期的なオンオフの駆動により行う構成となってので、従来の熱式流量センサに比して電力消費量を大幅に削減することができる。
上記構成において、被検流体の種類が特に限定されないことは上述したとおりであるが、被検流体が液体である場合には、発熱抵抗体の駆動電圧をステップ入力により変化させたときに、上記抵抗差の検出信号が略直線的に変化する領域が得られ、かつ、その応答性は被検流体の流量によって異なったものとなるので、被検流体の流量を交流信号の振幅に精度良く反映させることができる。そしてこれにより、センサ出力となる電圧の算出精度を十分に確保して、流量検出をより正確に行うことが可能となる。
上記構成において、検出処理部として、上記交流信号に対して、オンオフの駆動の周期と同一の周期で位相検波を行った後、平滑化を行うことにより、センサ出力となる電圧を算出する構成とすれば、上記交流信号の波形をセンサ出力となる電圧の算出に精度良く反映させることができ、これにより流量検出をより正確に行うことが可能となる。
上記構成において、検出処理部として、位相検波後の平滑化を行う際、上記交流信号に対して、オンオフの駆動の周期と同一の周期で移動平均処理を施す構成とすれば、その平滑化を精度良く行うことができる。
上記構成において、検出処理部として、発熱抵抗体への通電をオンにした直後における上記抵抗差の値と、発熱抵抗体への通電をオフにする直前における上記抵抗差の値との差から、センサ出力となる電圧を算出する構成とすれば、その算出処理を容易に行うことができる。
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る熱式流量センサ10を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施形態に係る熱式流量センサ10は、センサ本体10Aと、このセンサ本体10Aに接続された制御ユニット10Bとからなっている。
図2は、この熱式流量センサ10のセンサ本体10Aを示す斜視図である。
同図に示すように、このセンサ本体10Aは、2枚の基板102、104と共に積層基板ユニット100を構成しており、両基板102、104間に形成される被検流体の流路2に配置された状態で用いられるようになっている。
この積層基板ユニット100は、例えばノート型パソコン等のような小型電子機器用の燃料電池システム(図示せず)の一部として組み込まれるようになっている。その際、この燃料電池システムにおいては、メタノール、空気、水素の各流路と、これら各流路の流量を制御するための電子回路とが、多層基板に組み込まれるようにして形成されている。そして、この多層基板内に形成される流路の一部分が、積層基板ユニット100の流路2により構成されるようになっている。
この積層基板ユニット100の流路2は、上記燃料電池システムにおいて燃料カートリッジ(図示せず)からメタノールを供給するための流路であって、幅2mm、高さ1mmの矩形状断面で、所定長にわたって直線状に延びるように形成されている。なお、同図においては、流路2を2点鎖線で示しており、メタノールの流れる向きを2点鎖線の矢印で示している。この流路2内を流れるメタノールは、分速0.5〜1ミリリットル程度の流速で送液されるようになっている。
本実施形態に係る熱式流量センサ10は、この流路2を流れるメタノールを被検流体として、その流量検出を行うようになっている。
この熱式流量センサ10のセンサ本体10Aは、流路2に配置された発熱抵抗体22と、この発熱抵抗体22の上流側近傍および下流側近傍において流路2に配置された1対の測温抵抗体24、26と、これら発熱抵抗体22および1対の測温抵抗体24、26から流れ方向上流側に離れた位置に配置された基準抵抗体28とを備えてなっている。
このセンサ本体10Aは、矩形状の樹脂フィルム片12と、この樹脂フィルム片12の片面12aに所定の配線パターンで形成された導電膜14と、この導電膜14を部分的に被覆する保護膜16とからなるカード状センサとして構成されている。そして、このセンサ本体10Aにおける導電膜14の一部として、発熱抵抗体22、1対の測温抵抗体24、26および基準抵抗体28が構成されている。その際、これら発熱抵抗体22、各測温抵抗体24、26および基準抵抗体28は、いずれも同じ抵抗値となるように形成されている。
図1に示すように、本実施形態に係る熱式流量センサ10の制御ユニット10Bは、マイクロプロセッサ52と、発熱抵抗体駆動回路54と、基準抵抗体駆動回路56と、差動増幅器58と、A/D変換器60とを備えてなっている。
マイクロプロセッサ52は、駆動制御部62と検出処理部64とを備えている。
駆動制御部62は、発熱抵抗体駆動回路54を介して発熱抵抗体22に接続されるとともに、基準抵抗体駆動回路56を介して基準抵抗体28に接続されている。検出処理部64は、この駆動制御部62に接続されるとともに、A/D変換器60および差動増幅器58を介して1対の測温抵抗体24、26の各々に接続されている。その際、これら1対の測温抵抗体24、26は、ブリッジ回路の一部を構成しており、両者間に生じる抵抗差に応じた電圧が、このブリッジ回路から差動増幅器58に入力されるようになっている。
本実施形態に係る熱式流量センサ10による流量検出は、次のような手順で行われるようになっている。
すなわち、駆動制御部62により、発熱抵抗体駆動回路54を介して発熱抵抗体22に通電し、この発熱抵抗体22を、流路2を流れるメタノールの液温よりも高い温度に加熱する。この発熱抵抗体22の加熱によって、流路2を流れるメタノールの液温が局所的に上昇するが、その際、1対の測温抵抗体24、26は、メタノールに流れがあるため、上流側の測温抵抗体24よりも下流側の測温抵抗体26の方が温度が高くなり、その抵抗値も相対的に高くなる。これら1対の測温抵抗体24、26相互間に生じる抵抗差は、メタノールの流量に応じて変化する。そして、この抵抗差により生じるブリッジ回路の出力電圧は、差動増幅器58で増幅された後、A/D変換器60を介して検出処理部64に入力される。
その際、発熱抵抗体22への通電を、周期的なオンオフの駆動により行い、これにより上記抵抗差の検出信号を交流信号とし、その振幅に基づいてメタノールの流量を示す電圧を算出する。そして、このようにして算出された電圧が、センサ出力として、検出処理部64から外部へ出力される。
なお、この熱式流量センサ10においては、その駆動制御部62により、基準抵抗体駆動回路56を介して基準抵抗体28に通電して、この基準抵抗体28を定電流駆動し、その際印加される電圧により、流路2を流れるメタノールの液温を、発熱抵抗体22よりも上流側において正確に検出するようになっている。そして、このようにして検出された液温を、発熱抵抗体22を加熱する際の基準温度とするようになっている。
図3は、上記流量検出に関連する波形を示す図である。
発熱抵抗体22の加熱は、駆動制御部62による周期的なオンオフの駆動により、同図(a)に示すような矩形波状の電圧Vhを発熱抵抗体22に印加することにより行う。
この周期的なオンオフの駆動により、上記抵抗差の検出信号(すなわちブリッジ回路の出力電圧(以下、単に「ブリッジ出力」という))Vbは、同図(b)に示すような交流信号として出力される。
その際、ブリッジ出力Vbは、ステップ入力に対する応答曲線として、発熱抵抗体22への通電がオンになった立ち上がり時点tonの直後は、ある程度の直線性を持って急激に増大し、その後、2点鎖線で示すように徐々に増大の度合が小さくなって飽和し、一方、発熱抵抗体22への通電がオフになった立ち下がり時点toff の直後は、抵抗差の値がある程度の直線性を持って急激に減少し、その後、2点鎖線で示すように徐々に減少の度合が小さくなって飽和する。
上記オンオフの駆動は、立ち上がり時点tonから、ブリッジ出力Vbの値が飽和する前の所定の時点t1までの時間(または、立ち下がり時点toff からブリッジ出力Vbの値が飽和する前の所定の時点t2までの時間)を半周期T/2として行う。これにより、上記交流信号は、オンオフの各ステップ入力に対するブリッジ出力Vbの応答曲線を、周期Tと同じ時間間隔で繋げた略鋸歯状の波形を有するものとなる。その際、同図(b)において破線で示すように、メタノールの流量が大きくなると、ブリッジ出力Vbの応答性が向上するため、これに伴って上記交流信号の振幅も大きくなる。
次に、この交流信号に対して、上記オンオフの駆動の周期Tと同一の周期で位相検波を行う。この位相検波は、立ち上がり時点tonから90°遅れた位相で行う。そして、この位相検波された信号に対して平滑化を行うことにより、同図(c)に示すようなセンサ出力となる一定の電圧Vsを得るようにする。その際、同図(c)において破線で示すように、メタノールの流量が大きくなると、電圧Vsの値も大きくなる。
以上詳述したように、本実施形態に係る熱式流量センサ10は、その検出制御手段としてのマイクロプロセッサ52が、発熱抵抗体22への通電を周期的なオンオフの駆動により行う駆動制御部62と、1対の測温抵抗体24、26相互間の抵抗差の検出信号であるブリッジ出力Vbに基づいてセンサ出力となる電圧Vsを算出する検出処理部64とを備えており、その駆動制御部62において、上記オンオフの駆動を、発熱抵抗体22への通電をオンにした時点tonからブリッジ出力Vbの値が飽和する前の所定の時点t2までの時間(または、立ち下がり時点toff からブリッジ出力Vbの値が飽和する前の所定の時点t2までの時間)を半周期T/2として行うとともに、その検出処理部64において、上記オンオフの駆動により出力される交流信号の振幅に基づいて、上記センサ出力となる電圧Vsを算出する構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、発熱抵抗体22の駆動電圧Vhをステップ入力により変化させたときの、ブリッジ出力Vbの変化の度合は、メタノールの流量(正確には流速)が大きくなるほど大きくなることに鑑み、本実施形態においては、発熱抵抗体22への通電をオンオフの駆動により行うようにした上で、このオンオフの駆動を、オン(またはオフ)にした時点ton(またはtoff )からブリッジ出力Vbの値が飽和する前の所定の時点t1(またはt2)までの時間を半周期T/2として行うようになっているので、このオンオフの駆動により出力される交流信号の振幅を、メタノールの流量が大きくなるほど大きい値として得ることができる。したがって、この交流信号の振幅に基づいて、センサ出力となる電圧Vsを算出することにより、流量検出を行うことができる。
その際、本実施形態においては、従来のように1対の測温抵抗体24、26相互間の温度差自体に基づいて流量検出を行うのではなく、その抵抗差の検出信号(すなわちブリッジ出力Vb)の変化の度合に基づいて流量検出を行う構成となっているので、メタノールの流量がゼロのときのセンサ出力をセンサ出力の基準として用いることなく流量検出を行うことができる。このため、たとえ1対の測温抵抗体24、26の特性が不揃いであり、かつ環境温度が変化するようなことがあっても、センサ出力となる電圧Vsにその影響が及んでしまうおそれをなくすことができ、これにより略正確な流量検出を行うことができる。
このように本実施形態によれば、発熱抵抗体22および1対の測温抵抗体24、26を用いてメタノールの流量検出を行うように構成された熱式流量センサ10において、環境温度が変化した場合であっても、流量検出の精度を十分に確保することができる。
しかも、本実施形態に係る熱式流量センサ10においては、従来の熱式流量センサにおいて流量検出の精度を確保するために行われているセンサ出力のゼロ点校正が不要となるので、流量検出を連続して行うことができる。
また、本実施形態に係る熱式流量センサ10においては、発熱抵抗体22への通電を周期的なオンオフの駆動により行う構成となっているので、従来の熱式流量センサに比して電力消費量を大幅に削減することができる。
さらに、本実施形態に係る熱式流量センサ10においては、その検出処理部64が、上記交流信号に対して、オンオフの駆動の周期Tと同一の周期で位相検波を行った後、平滑化を行うことにより、センサ出力となる電圧Vsを算出する構成となっているので、上記交流信号の波形をセンサ出力となる電圧Vsの算出に精度良く反映させることができ、これにより流量検出をより正確に行うことが可能となる。
その際、検出処理部64は、上記位相検波を、発熱抵抗体22への通電をオンにした時点tonから90°遅れた位相で行う構成となっているので、上記交流信号の波形をセンサ出力となる電圧Vsの算出に最大限に反映させることができる。
しかも、この検出処理部64は、上記位相検波後の平滑化を行う際、上記交流信号に対して、オンオフの駆動の周期Tと同一の周期で移動平均処理を施すようになっているので、その平滑化を精度良く行うことができる。
ところで、本実施形態に係る熱式流量センサ10は、メタノールを被検流体として流量検出を行うように構成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、被検流体がメタノールあるいは水等のような液体である場合には、発熱抵抗体22の駆動電圧Vhをステップ入力により変化させたときに、ブリッジ出力Vbが略直線的に変化する領域が得られ、かつ、その応答性は被検流体の流量によって異なったものとなるので、被検流体の流量を交流信号の振幅に精度良く反映させることができる。そしてこれにより、センサ出力となる電圧Vsの算出精度を十分に確保して、流量検出をより正確に行うことが可能となる。
上記実施形態においては、熱式流量センサ10が、燃料電池システムにおける多層基板の一部として組み込まれるように構成された積層基板ユニット100の内部に形成されるメタノールの流路2に配置された状態で、メタノールの流量検出を行うものとして説明したが、この熱式流量センサ10を、上記多層基板の他の部分に配置された積層基板ユニット100において、その流路2を流れる空気あるいは水素の流量検出を行うものとすることも可能である。あるいは、この熱式流量センサ10を、メタノール以外の水等の液体の流量検出を行うために用いるようにすることも可能である。
以下、この点について、被検流体が液体である場合の例として水を取り上げるとともに、被検流体が気体である場合の例として空気を取り上げて、両者を対比して説明する。
図4は、被検流体の流量に対するブリッジ出力Vbの応答周波数(すなわち、1/応答時間)をグラフで示す図である。
同図において、実線のグラフで示すように、被検流体が水の場合の応答周波数は、流量の増大に比例して増大するのに対し、破線のグラフで示すように、被検流体が空気の場合の応答周波数は、流量が増大しても一定のままである。
図5〜8は、図2に示すセンサ本体10Aを流路2に配置した状態で、この流路2に被検流体を流して、発熱抵抗体22に通電したときの、流量検出の結果を示す図である。
図5は、発熱抵抗体22への通電を常時オンの状態に維持したときの、ブリッジ出力Vbの平衡値(すなわちブリッジ出力Vbが飽和したときの値)を測定した結果を示す図である。その際、同図(a)は、被検流体が水の場合の結果を示しており、同図(b)は、被検流体が空気の場合の結果を示している。
同図(a)に示すように、被検流体が水の場合には、流路2に流量が発生すると、ブリッジ出力Vbが一気に上昇するが、その後は、流量の大小にかかわらず、ブリッジ出力Vbの値は略一定の値に維持される。
一方、同図(b)に示すように、被検流体が空気の場合には、流路2に流量が発生すると、ブリッジ出力Vbの値は比較的急激に上昇し、その後も流量の増大に伴ってブリッジ出力Vbも上昇するが、その上昇率は徐々に減少する。
図6は、発熱抵抗体22への通電を、オンオフの駆動により行ったときのブリッジ出力Vbの値を測定した結果を示す図である。その際、同図(a)は、被検流体が水の場合の結果を示しており、同図(b)は、被検流体が空気の場合の結果を示している。なお、いずれの場合も、オンオフの駆動の周期Tは、T=1秒で行った。
同図に示すように、被検流体が水の場合でも空気の場合でも、その流量が大きくなるほどブリッジ出力Vbの変化の度合は大きくなり、その交流信号の振幅も大きくなる。ただし、その原因は、以下に説明するように、被検流体が水の場合と空気の場合とで異なっている。
図7は、図6に示す波形を、その(最大−最小)が1になるように規格化して示す図である。その際、同図(a)は、被検流体が水の場合の波形を示しており、同図(b)は、被検流体が空気の場合の波形を示している。
同図(a)に示すように、被検流体が水の場合には、流量の大小によって波形が異なっており、流量が大きくなるほどオンオフの駆動に対する応答性が向上していることが分かる。
一方、同図(b)に示すように、被検流体が空気の場合には、流量の大小にかかわらず波形はほぼ重なっており、オンオフの駆動に対する応答性は略一定であることが分かる。
図4および5から、図6に示すブリッジ出力Vbの流量の大小による変化は、被検流体が水の場合には、ブリッジ出力Vbの応答周波数の変化により生じ、一方、被検流体が空気の場合には、ブリッジ出力Vbの平衡値の変化により生じていることが分かる。なお、オンオフの駆動により生じるブリッジ出力Vbの振幅は、近似的にブリッジ出力Vbの平衡値と応答周波数の積に比例する。
図8は、交流信号として得られたブリッジ出力Vb(図6参照)に対して位相検波および平滑化を行うことにより得られたセンサ出力となる電圧Vsと、被検流体の流量との関係をグラフで示す図である。その際、同図(a)は、被検流体が水の場合の関係を示しており、同図(b)は、被検流体が空気の場合の関係を示している。
同図(a)に示すように、被検流体が水の場合には、センサ出力となる電圧Vsの流量依存性を示すグラフは、図4に実線で示す特性に似た形状となる。特に、流量が小さい領域では、図4に実線で示す特性が強く反映された略直線形状となり、熱式流量センサとして望ましい特性を示すものとなる。
一方、同図(b)に示すように、被検流体が空気の場合には、図5(b)に示す特性に似た形状となる。
なお、図8(a)に示すセンサ出力となる電圧Vsは、上記位相検波を、発熱抵抗体22への通電をオンにした時点tonから90°遅れた位相で行うことにより得られたものである。その際、このような位相で位相検波を行うようにしたのは、図6(a)に示す交流信号の波形をセンサ出力となる電圧Vsの算出に最大限に反映させるためである。
一方、図8(b)に示すセンサ出力となる電圧Vsは、上記位相検波を、発熱抵抗体22への通電をオンにした時点tonから35°遅れた位相で行うことにより得られたものである。その際、このような位相で位相検波を行うようにしたのは、図6(b)に示す交流信号の波形をセンサ出力となる電圧Vsの算出に最大限に反映させるためである。
上記実施形態においては、交流信号として得られるブリッジ出力Vbに対して位相検波および平滑化を行うことにより、センサ出力となる電圧Vsを算出するものとして説明したが、これ以外の算出方法を採用することも可能である。
例えば、図3において、発熱抵抗体22への通電をオンにした直後(すなわち、立ち上がり時点tonの直後)におけるブリッジ出力Vbの値と、発熱抵抗体22への通電をオフにする直前(すなわち、立ち下がり時点toff の直前)におけるブリッジ出力Vbの値との差(すなわち、同図(b)に示す波形(あるいは、図6(a)、図6(b)に示す波形)における(最大−最小)の値)から、センサ出力となる電圧Vsを算出する構成とすれば、その算出処理を容易に行うことができる。
上記実施形態においては、熱式流量センサ10が、積層基板ユニット100の一部として組み込まれた状態で用いられるものとして説明したが、この熱式流量センサ10を、これ以外の態様で用いることももちろん可能である。
上記実施形態においては、1対の測温抵抗体24、26が、発熱抵抗体22の上流側近傍および下流側近傍に配置されているものとして説明したが、被検流体の流量発生により1対の測温抵抗体24、26相互間に温度差が生じ得る配置であれば、これ以外の配置を採用することも可能であり、その際、発熱抵抗体22の上流側または下流側の一方のみに両測温抵抗体24、26が配置された構成とすることも可能である。
なお、上記実施形態において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
2 流路
10 熱式流量センサ
10A センサ本体
10B 制御ユニット
12 樹脂フィルム片
12a 片面
14 導電膜
16 保護膜
22 発熱抵抗体
24、26 測温抵抗体
28 基準抵抗体
52 マイクロプロセッサ(検出制御手段)
54 発熱抵抗体駆動回路
56 基準抵抗体駆動回路
58 差動増幅器
60 A/D変換器
62 駆動制御部
64 検出処理部
100 積層基板ユニット
102、104 基板
10 熱式流量センサ
10A センサ本体
10B 制御ユニット
12 樹脂フィルム片
12a 片面
14 導電膜
16 保護膜
22 発熱抵抗体
24、26 測温抵抗体
28 基準抵抗体
52 マイクロプロセッサ(検出制御手段)
54 発熱抵抗体駆動回路
56 基準抵抗体駆動回路
58 差動増幅器
60 A/D変換器
62 駆動制御部
64 検出処理部
100 積層基板ユニット
102、104 基板
Claims (5)
- 被検流体の流路に配置された発熱抵抗体と、この発熱抵抗体の近傍において上記流路に配置された1対の測温抵抗体と、上記発熱抵抗体に通電することにより、上記流路を流れる被検流体を加熱した状態で、上記1対の測温抵抗体相互間に生じる抵抗差を検出し、この抵抗差に応じた電圧をセンサ出力として得るように構成された検出制御手段と、を備えてなる熱式流量センサにおいて、
上記検出制御手段が、上記発熱抵抗体への通電を周期的なオンオフの駆動により行う駆動制御部と、上記抵抗差の検出信号に基づいてセンサ出力となる電圧を算出する検出処理部とを備えており、
上記駆動制御部が、上記オンオフの駆動を、上記発熱抵抗体への通電をオンまたはオフにした時点から上記抵抗差の検出信号の値が飽和する前の所定の時点までの時間を半周期として行うように構成されており、
上記検出処理部が、上記オンオフの駆動により出力される交流信号の振幅に基づいて、上記センサ出力となる電圧を算出するように構成されている、ことを特徴とする熱式流量センサ。 - 液体を上記被検流体として、流量検出を行うように構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の熱式流量センサ。
- 上記検出処理部が、上記交流信号に対して、上記オンオフの駆動の周期と同一の周期で位相検波を行った後、平滑化を行うことにより、上記センサ出力となる電圧を算出するように構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の熱式流量センサ。
- 上記検出処理部が、上記交流信号に対して、上記オンオフの駆動の周期と同一の周期で移動平均処理を施すことにより、上記平滑化を行うように構成されている、ことを特徴とする請求項3記載の熱式流量センサ。
- 上記検出処理部が、上記発熱抵抗体への通電をオンにした直後における上記抵抗差の値と、上記発熱抵抗体への通電をオフにする直前における上記抵抗差の値との差から、上記センサ出力となる電圧を算出するように構成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の熱式流量センサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008141383A JP2009288096A (ja) | 2008-05-29 | 2008-05-29 | 熱式流量センサ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008141383A Pending JP2009288096A (ja) | 2008-05-29 | 2008-05-29 | 熱式流量センサ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009288096A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012093155A (ja) * | 2010-10-26 | 2012-05-17 | Denso Corp | 流量測定装置 |
-
2008
- 2008-05-29 JP JP2008141383A patent/JP2009288096A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012093155A (ja) * | 2010-10-26 | 2012-05-17 | Denso Corp | 流量測定装置 |
US8909486B2 (en) | 2010-10-26 | 2014-12-09 | Denso Corporation | Flow measuring device |
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