JP2009288095A - 熱式流量センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】発熱抵抗体および測温抵抗体を用いて被検流体の流量検出を行うように構成された熱式流量センサにおいて、環境温度に対する依存性を排除した上で、定温度差制御を行えるようにする。
【解決手段】発熱抵抗体22を被検流体の温度よりも所定温度だけ高い温度に加熱する定温度差制御においては、被検流体の流量(すなわちセンサ出力)と発熱抵抗体22に供給される電力との間に一定の関係があることに鑑み、発熱抵抗体22に供給される電力を一定にするための定電力制御を、定温度差制御と並行して行う構成とする。これにより、従来のように基準抵抗体を用いることを必要とせずに定温度差制御を行えるようにし、これにより環境温度に対する依存性を排除する。
【選択図】図3

Description

本願発明は、発熱抵抗体および測温抵抗体を用いて被検流体の流量検出を行うように構成された熱式流量センサに関するものである。
従来より、被検流体の流量を検出する流量センサの一形式として、熱式流量センサが知られている。
例えば「特許文献1」には、被検流体の流路に配置された発熱抵抗体(としてのヒータ3)と、その上流側近傍および下流側近傍において流路に配置された1対の測温抵抗体(としての1対の温度センサ4a、4b)とを備えた熱式流量センサが記載されている。
この熱式流量センサにおいては、発熱抵抗体に通電することにより、流路を流れる被検流体を加熱した状態で、1対の測温抵抗体相互間に生じる抵抗差を検出し、この抵抗差に応じた電圧をセンサ出力として得るように構成されている。
その際、この「特許文献1」に記載された熱式流量センサにおいては、流路に配置された基準抵抗体(としての測温抵抗体5)により、流路を流れる被検流体の温度を検出し、発熱抵抗体をこの検出温度よりも所定温度だけ高い温度に加熱するように構成されている。
特開2002−310762号公報
上記「特許文献1」に記載された熱式流量センサのように、発熱抵抗体を被検流体の温度よりも所定温度だけ高い温度に加熱する制御(以下「定温度差制御」ともいう)を行う構成とすることにより、被検流体の流量変化に伴って被検流体の温度が変化したような場合においても、常に一定の感度でセンサ出力を得ることが可能となる。
ただし、これを実現するためには、発熱抵抗体および基準抵抗体として、同一の抵抗温度係数を有するものを用いることが必要となる。しかしながら、これら発熱抵抗体および基準抵抗体の抵抗温度係数を揃えることは容易でない。
そして、発熱抵抗体の抵抗温度係数と基準抵抗体の抵抗温度係数とが異なっていると、環境温度の変化(具体的には、流路を流れる被検流体の温度の変化と熱式流量センサの外部からの熱影響による温度の変化との和)に伴って、発熱抵抗体を上記所定温度と同じ温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力も変化してしまい、上記所定温度からのズレが生じてしまうので、正確なセンサ出力を得ることができなくなってしまう、という問題がある。
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、発熱抵抗体および測温抵抗体を用いて被検流体の流量検出を行うように構成された熱式流量センサにおいて、環境温度に対する依存性を排除した上で、定温度差制御を行うことができる熱式流量センサを提供することを目的とするものである。
本願発明は、定温度差制御においては、被検流体の流量(すなわちセンサ出力)と発熱抵抗体に供給される電力との間に一定の関係があることに鑑み、発熱抵抗体に供給される電力を一定にするための制御(以下「定電力制御」ともいう)を、定温度差制御と並行して行う構成とすることにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
すなわち、本願発明に係る熱式流量センサは、
被検流体の流路に配置された発熱抵抗体と、この発熱抵抗体の近傍において上記流路に配置された測温抵抗体と、上記発熱抵抗体に通電して、この発熱抵抗体を、上記流路を流れる被検流体の温度よりも所定温度だけ高い温度に加熱した状態で、上記測温抵抗体の抵抗値を検出し、この抵抗値に応じた電圧をセンサ出力として得るように構成された検出制御手段と、を備えてなる熱式流量センサにおいて、
上記検出制御手段が、
上記流路に上記被検流体の流量が発生していない初期状態において、上記発熱抵抗体の温度を上記所定温度と同じ温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力を、第1の電力値として取得する取得手段と、
上記流路に上記被検流体の流量が発生している駆動状態において、上記発熱抵抗体に供給されている電力の値から、上記被検流体の流量がゼロであるとした場合に上記発熱抵抗体の温度を上記温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力を、第2の電力値として算出する算出手段と、
上記第1の電力値と上記第2の電力値との差に応じて、上記発熱抵抗体に供給される電力が一定となるように上記温度差の値を補正する補正手段とを備えている、ことを特徴とするものである。
上記「被検流体」は、流体であればその種類は特に限定されるものではなく、例えばメタノールや水等の液体あるいは空気や水素等の気体が採用可能である。
上記「所定温度」の具体的な値は、特に限定されるものではなく、例えば2〜10℃程度の範囲内の値に設定することが可能である。
上記「初期状態」とは、熱式流量センサの起動時の状態を意味するものである。
上記構成に示すように、本願発明に係る熱式流量センサは、その検出制御手段により、発熱抵抗体を被検流体の温度よりも所定温度だけ高い温度に加熱する定温度差制御を行う構成となっているので、被検流体の流量変化に伴って被検流体の温度が変化したような場合においても、常に一定の感度でセンサ出力を得ることが可能となる。
その際、上記検出制御手段は、その取得手段により、流路に被検流体の流量が発生していない初期状態において、発熱抵抗体の温度を定温度差制御の際の上記所定温度と同じ温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力を、第1の電力値として取得するとともに、その算出手段により、流路に被検流体の流量が発生している駆動状態において、発熱抵抗体に供給されている電力の値から、被検流体の流量がゼロであるとした場合に発熱抵抗体の温度を上記温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力を、第2の電力値として算出し、そして、その補正手段により、これら第1の電力値と第2の電力値との差に応じて、発熱抵抗体に供給される電力が一定となるように上記温度差の値を補正する、という定電力制御を行う構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、本願発明においては、上記定電力制御を併用することにより、従来のように基準抵抗体を用いることを必要とせずに定温度差制御を行うことができる。このため、従来のように、発熱抵抗体の抵抗温度係数と基準抵抗体の抵抗温度係数とが異なっていることにより、環境温度の変化に伴って、発熱抵抗体を上記所定温度と同じ温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力も変化してしまう、という環境温度に対する依存性を排除することができる。
このように本願発明によれば、発熱抵抗体および測温抵抗体を用いて被検流体の流量検出を行うように構成された熱式流量センサにおいて、環境温度に対する依存性を排除した上で、定温度差制御を行うことができる。そしてこれにより、正確なセンサ出力を得ることが可能となる。
しかも本願発明においては、基準抵抗体が不要となるので、熱式流量センサの小型化および低コスト化を図ることができる。
上記構成において、上記検出制御手段として、流路を流れる被検流体の流量と、発熱抵抗体の温度を上記温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力との関係が、関数式として記憶された記憶手段を備えた構成とすれば、定電力制御における上記温度差の値の補正を容易に行うことができる。
上記構成において、定温度差制御の帯域幅に対して、定電力制御の帯域幅を、1/10以下の値に設定するようにすれば、両制御が互いに干渉してしまうのを未然に防止することができ、これにより両制御を安定的に行うことができる。その際、定温度差制御の帯域幅に対して、定電力制御の帯域幅を、1/30以下の値に設定することがより好ましく、1/100以下の値に設定することがさらに好ましい。
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
図1は、本願発明の一実施形態に係る熱式流量センサ10の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、本実施形態に係る熱式流量センサ10は、センサ本体10Aと、このセンサ本体10Aに接続された制御ユニット10Bとからなっている。
図2は、この熱式流量センサ10のセンサ本体10Aを示す斜視図である。
同図に示すように、このセンサ本体10Aは、2枚の基板102、104と共に積層基板ユニット100を構成しており、両基板102、104間に形成される被検流体の流路2に配置された状態で用いられるようになっている。
この積層基板ユニット100は、例えばノート型パソコン等のような小型電子機器用の燃料電池システム(図示せず)の一部として組み込まれるようになっている。その際、この燃料電池システムにおいては、メタノール、空気、水素の各流路と、これら各流路の流量を制御するための電子回路とが、多層基板に組み込まれるようにして形成されている。そして、この多層基板内に形成される流路の一部分が、積層基板ユニット100の流路2により構成されるようになっている。
この積層基板ユニット100の流路2は、上記燃料電池システムにおいて燃料カートリッジ(図示せず)からメタノールを供給するための流路であって、幅2mm、高さ1mmの矩形状断面で、所定長にわたって直線状に延びるように形成されている。なお、同図においては、流路2を2点鎖線で示しており、メタノールの流れる向きを2点鎖線の矢印で示している。この流路2内を流れるメタノールは、分速0.5〜1ミリリットル程度の流速で送液されるようになっている。
本実施形態に係る熱式流量センサ10は、この流路2を流れるメタノールを被検流体として、その流量検出を行うようになっている。
この熱式流量センサ10のセンサ本体10Aは、流路2に配置された発熱抵抗体22と、この発熱抵抗体22の上流側近傍および下流側近傍において流路2に配置された1対の測温抵抗体24、26とを備えてなっている。
このセンサ本体10Aは、矩形状の樹脂フィルム片12と、この樹脂フィルム片12の片面12aに所定の配線パターンで形成された導電膜14と、この導電膜14を部分的に被覆する保護膜16とからなるカード状センサとして構成されている。そして、このセンサ本体10Aにおける導電膜14の一部として、発熱抵抗体22および1対の測温抵抗体24、26が構成されている。その際、これら発熱抵抗体22および各測温抵抗体24、26は、いずれも同じ抵抗値となるように形成されている。
図1に示すように、本実施形態に係る熱式流量センサ10の制御ユニット10Bは、マイクロプロセッサ52と、発熱抵抗体駆動回路54と、差動増幅器58と、A/D変換器60とを備えてなっている。
マイクロプロセッサ52は、駆動制御部62と検出処理部64とを備えている。
駆動制御部62は、発熱抵抗体駆動回路54を介して発熱抵抗体22に接続されている。検出処理部64は、この駆動制御部62に接続されるとともに、A/D変換器60および差動増幅器58を介して1対の測温抵抗体24、26の各々に接続されている。その際、これら1対の測温抵抗体24、26は、ブリッジ回路の一部を構成しており、両者間に生じる抵抗差に応じた電圧が、このブリッジ回路から差動増幅器58に入力されるようになっている。
本実施形態に係る熱式流量センサ10による流量検出は、次のような手順で行われるようになっている。
すなわち、駆動制御部62により発熱抵抗体駆動回路54を介して発熱抵抗体22に通電し、この発熱抵抗体22を、流路2を流れるメタノールの液温よりも所定温度(具体的には5℃程度)だけ高い温度に加熱する。この発熱抵抗体22の加熱によって、流路2を流れるメタノールの液温が局所的に上昇するが、その際、1対の測温抵抗体24、26は、メタノールに流れがあるため、上流側の測温抵抗体24よりも下流側の測温抵抗体26の方が温度が高くなり、その抵抗値も相対的に高くなる。これら1対の測温抵抗体24、26相互間に生じる抵抗差は、メタノールの流量に応じて変化する。この抵抗差により生じるブリッジ回路の出力電圧は、差動増幅器58で増幅された後、A/D変換器60を介して検出処理部64に入力される。そして、この検出処理部64に入力された電圧が、メタノールの流量検出結果を示すセンサ出力として、検出処理部64から外部へ出力される。
上記流量検出の際、発熱抵抗体22をメタノールの液温よりも所定温度だけ高い温度に加熱するための定温度差制御が行われるが、本実施形態においては、この定温度差制御と並行して、発熱抵抗体22に供給される電力を一定にするための定電力制御が行われるようになっている。
図3は、本実施形態において行われる定温度差制御および定電力制御の様子を示す、制御系のブロック線図である。
同図に示すように、定温度差制御においては、発熱抵抗体22にこれを加熱するための電力を供給するにあたり、発熱抵抗体22の抵抗値を検出し、この抵抗値から算出した温度差と、温度差の目標値との偏差に応じた電力を、発熱抵抗体22に供給するようになっている。そしてこれにより、発熱抵抗体22を、メタノールの液温よりも所定温度だけ高い温度に加熱するようになっている。
この定温度差制御においては、発熱抵抗体22の温度に対して、環境温度の変化が外乱として作用するが、この環境温度が変化すると、これによる発熱抵抗体22の抵抗値の変化が、温度差の算出値に反映されてしまうこととなる。このため、発熱抵抗体22に供給される電力の値が所期の値からずれてしまい、これにより定温度差制御を正確に行うことができなくなってしまうこととなる。
そこで、このような定温度差制御の環境温度に対する依存性を排除するため、この定温度差制御と並行して定電力制御が行われるようになっている。
同図に示すように、この定電力制御においては、発熱抵抗体22に供給される電力の値を検出し、この値に対して所定の演算処理を施すことにより、温度差の補正値を算出し、この補正値を入力側へ戻して、温度差の目標値を補正するようになっている。そしてこれにより、環境温度が変化した場合においても、発熱抵抗体22に供給される電力を一定に維持するようになっている。
この定電力制御を行うため、制御ユニット10Bの駆動制御部62は、図4に示すように、取得手段72と、算出手段74と、補正手段76と、記憶手段78とを備えた構成となっている。
取得手段72は、流路2にメタノールの流量が発生していない初期状態(すなわち熱式流量センサ10の起動時)において、発熱抵抗体22の温度を定温度差制御の際の上記所定温度と同じ温度差ΔTの分だけ上昇させるのに必要な電力Pを、第1の電力値P0sとして取得するようになっている。
算出手段74は、流路2にメタノールの流量が発生している駆動状態において、発熱抵抗体22に供給されている電力の値から、メタノールの流量がゼロであるとした場合に発熱抵抗体22の温度を温度差ΔTの分だけ上昇させるのに必要な電力Pを、第2の電力値P1sとして算出するようになっている。
補正手段76は、これら第1の電力値P0sと第2の電力値P1sとの差ΔPsに応じて、発熱抵抗体22に供給される電力が一定となるように上記温度差ΔTに対する補正値を算出して、この補正値を入力側へ戻すようになっている。
流路2を流れるメタノールの流量Qと、発熱抵抗体22の温度を温度差ΔTの分だけ上昇させるのに必要な電力Pとの間には、図5に示すグラフのような関係がある。
記憶手段78は、この流量Qと必要な電力Pとの関係を、環境温度Tをパラメータとして、高次の関数式P=f(Q)に近似させて記憶している。
次に、上記定電力制御の具体例について説明する。
図5において実線で示すグラフP0は、環境温度TがT=T0のときの流量Qと電力Pとの関係を示すグラフである。
同図において、流路2にメタノールの流量Qが発生していない初期状態において、環境温度TがT0であったとする。このとき、発熱抵抗体22の温度を温度差ΔTの分だけ上昇させるのに必要な電力Pは、第1の電力値P0sとなる。この状態から、流路2にメタノールの流量Qが発生している駆動状態に移行すると、仮に環境温度TがT0のままであったとすれば、必要な電力Pの値はグラフP0に沿って変化することとなる。
しかしながら、実際には、環境温度Tは一定ではなく変化するので、必要な電力Pの値は、実線で示すグラフP0上から外れてしまうこととなる。
その際、環境温度Tが、初期状態のT0よりも高いT1になっていたとすると、その温度差に対応する電力分だけ発熱抵抗体22への電力供給が不要となるので、実際に発熱抵抗体22に供給されている電力の値は、グラフP0上の値よりも小さくなる。このとき、メタノールの流量Qの値がQ1で、実際に供給されている電力の値がP1fであったとする。
仮に、このときの環境温度T1のまま、流量Qが変化したとすると、必要な電力Pの値は、電力値P1fから2点鎖線で示すグラフP1に沿って変化することとなる。その際、この2点鎖線で示すグラフP1は、実線で示すグラフP0と同様、発熱抵抗体22の温度を温度差ΔTの分だけ上昇させるのに必要な電力Pを示すグラフであって、実際に供給されている電力値P1fを含むように、グラフP0に対して一定の係数を乗じたものである。なお、この係数は、環境温度T1がT0よりも高ければ1よりも小さい正の値となり、低ければ1よりも大きい値となる。
そして、このときの環境温度T1のまま、流量Qがゼロになるまで減少したと仮定すると、このときの必要な電力Pの値が、第2の電力値P1sとなる。
補正手段76は、第1の電力値P0sと第2の電力値P1sとの差ΔPs(ただし、ΔPs=P1s−P0s)の値を蓄積して、その移動平均の値を用いて温度差ΔTの補正値を算出するようになっている。
この定電力制御の帯域幅は、定温度差制御の帯域幅に対して、1/10以下の値に設定されている。具体的には、定温度差制御が1kHz程度の高速で行われるのに対し、定電力制御は1Hz程度の低速で行われるようになっている。
図6は、環境温度Tと発熱抵抗体22の温度との関係をグラフで示す図であって、温度差ΔTの補正値を算出する過程を説明するための図である。
同図に示すように、初期状態の環境温度T0では、発熱抵抗体22の温度は、環境温度T0と同じO点の温度よりも温度差ΔTだけ高いA点の温度に制御される。このとき発熱抵抗体22の温度を温度差ΔTの分だけ上昇させるのに必要な電力Pである第1の電力値P0sは、P0s=ΔT・Kとなる(ただし、Kは定数)。
定温度差制御だけの場合、環境温度Tが変化しても、温度差ΔTの基準となる温度は、O点の温度のままである。したがって、環境温度Tが初期状態の環境温度T0から駆動状態の環境温度T1に上昇しても、発熱抵抗体22の温度は、A点と同じ温度であるB点の温度に制御されることとなる。
このときの温度上昇量は、温度差ΔTよりもTcだけ小さい温度差ΔTbとなり、その差TcはT1−T0の値に等しくなる。このため、発熱抵抗体22に供給される電力が第1の電力値P0sのままでは、発熱抵抗体22の温度を所期の温度(すなわち、駆動状態の環境温度T1よりも温度差ΔTだけ高いC点の温度T1+ΔT)に制御されなくなってしまう。
これに対し、定電力制御が加わると、初期状態の環境温度T0における第1の電力値P0sと、駆動状態の環境温度T1における第2の電力値P1s(すなわち、流量がゼロであるとした場合における必要な電力Pの値)との差ΔPsに基づいて、発熱抵抗体22に供給される電力が一定となるように、温度差ΔTの補正が行われる。
その際、第2の電力値P1sは、第1の電力値P0sよりも小さく、その差ΔPs(=P1s−P0s)は負の値となるので、温度差ΔTの補正は、発熱抵抗体22に供給される電力を増大させる方向に働く。すなわち、この補正は、ΔT・K=ΔTb・K+ΔTc・Kとなるまで行われる。そしてこれにより、発熱抵抗体22の温度は、環境温度T1よりも温度差ΔTの分だけ高いC点の温度T1+ΔTに制御される。
その後、環境温度Tが変化しても、発熱抵抗体22に供給される電力が、常にΔT・Kに制御されることにより、発熱抵抗体22の温度は、環境温度Tよりも温度差ΔTだけ高い所期の温度に保持されることとなる。
以上詳述したように、本実施形態に係る熱式流量センサ10は、その検出制御手段としてのマイクロプロセッサ52により、発熱抵抗体22をメタノールの液温よりも所定温度だけ高い温度に加熱する定温度差制御を行う構成となっているので、メタノールの流量変化に伴ってメタノールの液温が変化したような場合においても、常に一定の感度でセンサ出力を得ることが可能となる。
その際、上記マイクロプロセッサ52においては、その取得手段72により、流路2にメタノールの流量Qが発生していない初期状態において、発熱抵抗体22の温度を定温度差制御の際の上記所定温度と同じ温度差ΔTの分だけ上昇させるのに必要な電力Pを、第1の電力値P0sとして取得するとともに、その算出手段74により、流路2にメタノールの流量Qが発生している駆動状態において、発熱抵抗体22に供給されている電力の値P1fから、メタノールの流量Qがゼロであるとした場合に発熱抵抗体22の温度を上記温度差ΔTの分だけ上昇させるのに必要な電力Pを、第2の電力値P1sとして算出し、そして、その補正手段76により、これら第1の電力値P0sと第2の電力値P1sとの差ΔPsに応じて、発熱抵抗体22に供給される電力が一定となるように上記温度差ΔTの値を補正する、という定電力制御を行う構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態においては、上記定電力制御を併用することにより、従来のように基準抵抗体を用いることを必要とせずに定温度差制御を行うことができる。このため、従来のように、発熱抵抗体22の抵抗温度係数と基準抵抗体の抵抗温度係数とが異なっていることにより、環境温度Tの変化に伴って、発熱抵抗体22を上記所定温度と同じ温度差ΔTの分だけ上昇させるのに必要な電力も変化してしまう、という環境温度Tに対する依存性を排除することができる。
このように本実施形態によれば、発熱抵抗体22および1対の測温抵抗体24、26を用いてメタノールの流量検出を行うように構成された熱式流量センサ10において、環境温度Tに対する依存性を排除した上で、定温度差制御を行うことができる。そしてこれにより、正確なセンサ出力を得ることが可能となる。
しかも、本実施形態においては、基準抵抗体が不要となるので、熱式流量センサ10の小型化および低コスト化を図ることができる。すなわち、本実施形態に係る熱式流量センサ10において、そのセンサ本体10Aとして、仮に基準抵抗体を備えた構成とすると、例えば、図2に2点鎖線で示すような基準抵抗体28が設けられることとなるが、本実施形態においては、この基準抵抗体28が不要となるので、その分だけセンサ本体10A小型化および低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態に係る熱式流量センサ10においては、そのマイクロプロセッサ52が、流路2を流れるメタノールの流量Qと、発熱抵抗体22の温度を温度差ΔTの分だけ上昇させるのに必要な電力Pとの関係が、関数式P=f(Q)として記憶された記憶手段78を備えているので、定電力制御における温度差ΔTの値の補正を容易に行うことができる。
その際、本実施形態においては、定温度差制御の帯域幅に対して、定電力制御の帯域幅が、1/10以下の値に設定されているので、両制御が互いに干渉してしまうのを未然に防止することができ、これにより両制御を安定的に行うことができる。
上記実施形態においては、定温度差制御の際、発熱抵抗体22を、流路2を流れるメタノールの液温よりも5℃程度だけ高い温度に加熱するものとして説明したが、これ以外の温度に加熱するものとしてよいことはもちろんである。
上記実施形態においては、熱式流量センサ10が、燃料電池システムにおける多層基板の一部として組み込まれるように構成された積層基板ユニット100の内部に形成されるメタノールの流路2に配置された状態で、メタノールの流量検出を行うものとして説明したが、この熱式流量センサ10を、上記多層基板の他の部分に配置された積層基板ユニット100において、その流路2を流れる空気あるいは水素の流量検出を行うものとすることも可能である。あるいは、この熱式流量センサ10を、メタノール以外の水等の液体の流量検出を行うために用いるようにすることも可能である。
上記実施形態においては、熱式流量センサ10が、積層基板ユニット100の一部として組み込まれた状態で用いられるものとして説明したが、この熱式流量センサ10を、これ以外の態様で用いることももちろん可能である。
上記実施形態においては、熱式流量センサ10が、発熱抵抗体22の上流側近傍および下流側近傍において流路2に配置された1対の測温抵抗体24、26を備えているものとして説明したが、これら1対の測温抵抗体24、26のうちの一方のみを用いて流量検出を行う構成とすることも可能である。このようにした場合には、発熱抵抗体22の温度(所定温度)と測温抵抗体で検出される温度(測定温度)との差から流量検出を行うこととなる。
なお、上記実施形態において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
本願発明の一実施形態に係る熱式流量センサの構成を示すブロック図 上記熱式流量センサのセンサ本体を示す斜視図 上記実施形態において行われる定温度差制御および定電力制御の様子を示す、制御系のブロック線図 上記定電力制御を行うための、上記熱式流量センサの制御ユニットにおける駆動制御部の構成を示すブロック図 上記熱式流量センサにおいて、流路を流れるメタノールの流量と、発熱抵抗体の温度を温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力との間の関係を、グラフで示す図 上記熱式流量センサにおいて、環境温度と発熱抵抗体の温度との関係をグラフで示す図であって、温度差の補正値を算出する過程を説明するための図
符号の説明
2 流路
10 熱式流量センサ
10A センサ本体
10B 制御ユニット
12 樹脂フィルム片
12a 片面
14 導電膜
16 保護膜
22 発熱抵抗体
24、26 測温抵抗体
52 マイクロプロセッサ(検出制御手段)
54 発熱抵抗体駆動回路
58 差動増幅器
60 A/D変換器
62 駆動制御部
64 検出処理部
72 取得手段
74 算出手段
76 補正手段
78 記憶手段
100 積層基板ユニット
102、104 基板

Claims (3)

  1. 被検流体の流路に配置された発熱抵抗体と、この発熱抵抗体の近傍において上記流路に配置された測温抵抗体と、上記発熱抵抗体に通電して、この発熱抵抗体を、上記流路を流れる被検流体の温度よりも所定温度だけ高い温度に加熱した状態で、上記測温抵抗体の抵抗値を検出し、この抵抗値に応じた電圧をセンサ出力として得るように構成された検出制御手段と、を備えてなる熱式流量センサにおいて、
    上記検出制御手段が、
    上記流路に上記被検流体の流量が発生していない初期状態において、上記発熱抵抗体の温度を上記所定温度と同じ温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力を、第1の電力値として取得する取得手段と、
    上記流路に上記被検流体の流量が発生している駆動状態において、上記発熱抵抗体に供給されている電力の値から、上記被検流体の流量がゼロであるとした場合に上記発熱抵抗体の温度を上記温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力を、第2の電力値として算出する算出手段と、
    上記第1の電力値と上記第2の電力値との差に応じて、上記発熱抵抗体に供給される電力が一定となるように上記温度差の値を補正する補正手段とを備えている、ことを特徴とする熱式流量センサ。
  2. 上記検出制御手段が、
    上記流路を流れる上記被検流体の流量と、上記発熱抵抗体の温度を上記温度差の分だけ上昇させるのに必要な電力との関係が、関数式として記憶された記憶手段を備えている、ことを特徴とする請求項1記載の熱式流量センサ。
  3. 上記発熱抵抗体を上記被検流体の温度よりも上記所定温度だけ高い温度に加熱する制御の帯域幅に対して、上記発熱抵抗体に供給される電力が一定となるように上記温度差の値を補正する制御の帯域幅が、1/10以下の値に設定されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の熱式流量センサ。
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