JP4939124B2 - フッ素樹脂多孔質膜 - Google Patents

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本発明は、サブミクロンオーダーの微細な粒子を除去する分離膜等として用いられるフッ素樹脂多孔質膜、特にポリテトラフルオロエチレンを素材とするフッ素樹脂多孔質膜に関する。
フッ素樹脂、特にポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」という。)を素材とする多孔質膜(以下、「PTFE多孔質膜」という)は、耐薬品性や耐熱性等のフッ素樹脂自体が本来有している材質的な特徴と、均一で微細な多孔質構造に基づく高分離能や、高い気孔率に基づく高透過性等の構造的な特徴を併せ持つため、燃料電池、メンブレンフィルター、電線の被覆材、分析装置、人工血管、ステント、カテーテル等の用途に好適に使用されている。
しかし、フッ素樹脂多孔質膜は本来撥水性であり、何の処理も施さない場合は、微細な多孔質構造内を水が透過しにくく、水系の分離に使用することは困難である。そこで、フッ素樹脂多孔質膜を親水化する処理が行われている。
例えば、PTFE多孔質膜の微細な多孔質構造の表面へ、ポリビニルアルコール等の親水性樹脂を、吸着やコーティング等の手段により固定する方法が、特公昭53−21270号公報(特許文献1)において提案されている。しかし、この方法により製造された膜の耐熱性、耐薬品性は、親水化処理に用いられたコーティング材料に依存することになり、結果的にPTFEの優れた特性を十分に生かすことができない。また、コーティングにより、当初のPTFE多孔質膜が有していた気孔率や孔径が変化するという問題もある。
また、プラズマビームにより、PTFE多孔質膜の表面に親水性基を導入して親水性(濡れ性)を高める方法も知られている。しかし、この方法にも、耐薬品性や耐熱性が低下するとの問題がある。
このような処理を行わずに、水に可溶性の有機溶媒、例えばエタノールやイソプロパノール(IPA)等のアルコール類を、フッ素樹脂多孔質膜の微細多孔質構造内に含浸させた後、水で置換する方法によっても、親水性が付与され水が透過しやすくなる。そこで、この方法は、水溶液の濾過等にフッ素樹脂多孔質膜を使用する際に広く行われている。
しかし、この処理を施した後、フッ素樹脂多孔質膜が気体に触れた場合や、水溶液中に混入している気泡や溶存ガスがフッ素樹脂多孔質膜に付着する場合は、膜は再び乾燥し、徐々に透過流量(すなわち処理能力)が低下して最後は使用できなくなる。特に、塩酸や過酸化水素水を含むウエハー洗浄液等、分解ガスを生じる液体や発泡性液体の濾過に使用する場合は、この問題が生じやすい(非特許文献1)。
特公昭53−21270号公報 グリーンテクノロジー、1996年6月号、第59頁
多孔質膜が乾燥し処理能力が低下した場合、再度アルコール等を多孔質体内に含浸させた後水に置換して復帰させる操作が必要となる。この操作の間は運転を停止する必要があり、また、濾過システム内に、アルコール等が混入しないようにするための煩雑な操作が必要となる。そこで、気体に触れたり、水溶液中に混入している気泡や溶存ガスが付着しても乾燥しにくい、保水性に優れた(水を保持する作用が大きい)多孔質膜が望まれている。
本発明は、PTFE多孔質膜等、多孔質のフッ素樹脂からなる膜であって、保水性に優れ、気体に触れたり水溶液中に混入している気泡や溶存ガスが付着しても、乾燥しにくい性質を有するとともに、多孔質のフッ素樹脂膜が本来有する優れた性質も併せて有するフッ素樹脂多孔質膜を提供することをその課題とする。
本発明者は、フッ素樹脂多孔質膜の乾燥しやすさについて鋭意検討を行い、フッ素樹脂多孔質膜におけるバブルポイントの大小が、膜の乾燥しやすさに関係しているとの知見を得た。又、フッ素樹脂多孔質膜の両表面を化学的エッチングや粗面化処理をすることにより乾燥しにくくなるとの知見を得た。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
本発明は、その請求項1において、多孔質のフッ素樹脂により形成された膜であって、前記膜の両表面側にある外層及び該外層間にある内層を有し、前記外層のバブルポイントが70kPa以下であり、かつ前記内層のバブルポイントが90kPa以上であることを特徴とするフッ素樹脂多孔質膜を提供する。
この発明は、検討の結果得られた知見、すなわち、フッ素樹脂多孔質膜においてそのバブルポイントが小さい場合には乾燥しにくく、逆にバブルポイントが大きい場合には乾燥しやすいことに着目してなされたものであり、フッ素樹脂多孔質膜の両方の表面側にバブルポイントが小さい多孔質の層(外層)を配置して膜を乾燥しにくくするとともに、膜の(厚さ方向の)内部にはバブルポイントの大きい多孔質の層(内層)を配置して、高分離能を保持したものである。
本発明の多孔質膜は、その内部に、バブルポイントが90kPa以上の内層(膜の厚み方向の内側の部分)を有し、該内層の両方の表面側に、バブルポイントが70kPa以下の乾燥しにくい外層(膜の表面側の部分)を有することを特徴とする。すなわち、その両表面側を形成する多孔質の層と、その内部を形成する多孔質の層は、乾燥しやすさが異なる多孔質の層であり、その両表面側の部分(外層)を構成する多孔質の層のみで膜を形成したときのバブルポイントは70kPa以下であり、多孔質膜の内部の領域(内層)を構成する多孔質の層のみで膜を形成したときのバブルポイントは90kPa以上である。
ここでバブルポイントとは、具体的には、IPAバブルポイントを意味し、ASTM F316で測定された値である。
本発明の多孔質膜が、バブルポイントが90kPa以上の層を有しない場合は、分離膜としての機能が不十分となり、高分離能を保持しない。一方、両表面側(外層)のバブルポイントが70kPaを越える場合は、乾燥を抑制する効果、すなわち保水性が十分に付与されない。孔径が大きい程バブルポイントが小さくなるので、外層を構成する多孔質の孔径は、内層の多孔質の孔径より大きいと考えられる。
またこのバブルポイントが70kPa以下の層は、膜の片側のみでなく両側の外表面に形成される必要がある。片側のみに形成されている場合は、他の表面側が乾燥しやすいから、乾燥を抑制する効果(保水性)は小さく、本発明の課題が達成されない。
このように、保水性維持の作用に優れるバブルポイントが小さい層を両表面側に配置し、分離膜としての機能を奏するバブルポイントが大きい層を内部に配置させたので、気体に触れたり、水溶液中に混入している気泡や溶存ガスが付着したりしても、乾燥しにくくなるとともに、高い分離能も保持することができる。
本発明は、又、その請求項2において、多孔質のフッ素樹脂により形成され、バブルポイントが90kPa以上である膜の両表面側に、多孔質のフッ素樹脂により形成され、バブルポイントが70kPa以下である膜を積層してなることを特徴とするフッ素樹脂多孔質膜を提供する。
この多孔質膜は、前記請求項1に記載のフッ素樹脂多孔質膜であって、請求項2に記載の特定の方法により製造されたものである。より具体的には、この多孔質膜は、バブルポイントが90kPa以上である多孔質のフッ素樹脂膜の両表面側に、バブルポイントが70kPa以下である多孔質のフッ素樹脂膜を重ね合わせ、両者間を固定した状態で、これらの材質の融点以上(PTFE場合は327℃以上)に加熱して一体化することにより、得ることができる。一体化後、両表面側に重ね合わせられた膜、すなわちバブルポイントが70kPa以下の膜は、前記請求項1のフッ素樹脂多孔質膜における外層となり、バブルポイントが90kPa以上である膜は、前記請求項1のフッ素樹脂多孔質膜における内層となる。
なお、両表面側に積層される膜は、それぞれのバブルポイントが70kPa以下であるとの制限内で、バブルポイントが互いに異なるものであってもよい。(前記請求項1の態様における外層も同様である。)また、バブルポイントが90kPa以上である内側のフッ素樹脂多孔質膜、及びバブルポイントが70kPa以下である両表面側のフッ素樹脂多孔質膜のそれぞれは、2以上の膜を重ね合わせた膜であってもよい。
さらに、前記の内側の膜と両表面側に積層される膜の間に、他の多孔質膜を挟持し、これらを重ね合わせて一体化してもよい。例えば、内側から両表面側に向けて、順次バブルポイントが小さくなるように、さらに多層の多孔質膜を積層した構造の膜が形成されてもよい。
分離膜としての機能に鑑みると、内層または内層となる多孔質の膜としては、バブルポイントが100kPa以上のものがより好ましい。また、乾燥を抑制するとの効果に鑑みると、両表面側の多孔質の層、すなわち外層または外層となる多孔質の膜としては、バブルポイントが50kPa以下のものがより好ましい。
本発明は、さらに、その請求項3において、多孔質のフッ素樹脂により形成され、バブルポイントが90kPa以上の膜であって、その両表面に化学的エッチング処理が施されていることを特徴とするフッ素樹脂多孔質膜を提供する。本発明は、さらに又、その請求項4において、前記請求項3のフッ素樹脂多孔質膜であって、さらに、該フッ素樹脂多孔質膜の内部にも化学的エッチング処理が施されていることを特徴とするフッ素樹脂多孔質膜を提供する。
バブルポイントが90kPa以上である多孔質のフッ素樹脂膜の両表面側に、バブルポイントが70kPa以下である多孔質のフッ素樹脂膜を貼り付ける(前記の請求項2の態様)代わりに、バブルポイントが高い多孔質のフッ素樹脂膜に化学的エッチング処理を施すことによっても、分離膜としての機能に優れるとともに、乾燥しにくい保水性の優れた膜を、安価に形成することができる。すなわち、化学的エッチング処理により、フッ素樹脂多孔質膜表面の高い疎水性が弱められ水との親和性が高められる。
化学的エッチング処理としては、アルカリ金属を用いて、多孔質膜を構成するフッ素樹脂を変性し、その変性された部分を除去する酸化分解処理が挙げられる。請求項5は、前記の請求項3又は請求項4のフッ素樹脂多孔質膜であって、化学的エッチング処理が酸化分解処理である態様に該当する。
酸化分解処理は、例えば、有機アルカリ金属溶液を用いて行われる。フッ素樹脂多孔質膜に、有機アルカリ金属溶液により化学的エッチング処理を施すと、表面は変性され親水性が付与されるとともに、褐色化した層(褐色層)が形成される。この褐色層は、フッ化ナトリウム、炭素−炭素二重結合を有するフッ素樹脂の分解物、これらとナフタレン、アントラセンとの重合物等からなるが、これらは、脱落、分解、溶出等により濾過液に混入する場合があるので、除去することが望ましい。これらの除去は、過酸化水素や次亜塩素酸ソーダ、オゾン等による酸化分解によりすることができる。
このような化学的エッチング処理により、表面のフッ素が抜けて親水基等が導入されることは知られている(特開平5−237141号公報)が、本発明者は褐色層を分解除去した後においても保水性が保持されることを見出した。従って、バブルポイントが高い多孔質のフッ素樹脂膜、すなわち分離膜としての機能が優れる膜に、このような化学的エッチング処理を施すことにより、分離能が優れるとともに保水性にも優れた多孔質膜を得ることができる。
前記のように、化学的エッチング処理は、有機アルカリ金属溶液等を用いて行うことができるが、具体的には、有機アルカリ金属溶液にフッ素樹脂多孔質膜を浸漬することにより行うことができる。この場合、多孔質膜の表面側から化学的エッチング処理が行われるので、膜の両表面近傍のみに化学的エッチング処理を施すことも可能である。しかし、膜の保水性をより高めるためには、両表面近傍のみではなく、多孔質膜の内部まで化学的エッチング処理を施し、請求項4の膜を形成する方が好ましい。多孔質膜の内部まで化学的エッチング処理を施しても、分離膜としての機能の低下は小さい。
バブルポイントが高い多孔質のフッ素樹脂膜は、孔径の小さい多孔質膜であるが、孔径が小さくなると乾燥しやすくなるのでより高い保水性が求められる。前記のように、より高い保水性を得るためには、多孔質膜内部まで化学的エッチング処理が施される方が好ましい。しかし、本発明者の検討によれば、孔径が小さくなる程、化学的エッチング処理が多孔質膜の内部まで施されにくくなる。そこで、多孔質膜の孔径が小さい場合であっても、より内部まで化学的エッチング処理が施されるような条件、方法が望まれる。
化学的エッチング処理に用いられる有機アルカリ金属溶液としては、メチルリチウム、金属ナトリウム−ナフタレン錯体、金属ナトリウム−アントラセン錯体のテトラヒドロフラン等の有機溶剤溶液、金属ナトリウム−液体アンモニアの溶液等が挙げられる。
中でも、ナフタレンを芳香族アニオンラジカルとした金属ナトリウムとの錯体の溶液が一般に広く用いられているが、多孔質膜の内部まで化学的エッチング処理を施こすためには、ベンゾフェノン、アントラセン、ビフェニルを芳香族アニオンラジカルとして用いる方が好ましい。本発明者は、検討の結果、ナフタレンよりも、ベンゾフェノン、アントラセン、ビフェニルを芳香族アニオンラジカルとして用いる方が、多孔質膜の内部まで化学的エッチング処理を容易に行えることを見いだした。請求項6は、この好ましい態様に該当する。
本発明は、さらに、その請求項7において、多孔質のフッ素樹脂により形成され、バブルポイントが90kPa以上の膜であって、その両表面に物理的手段による粗面化処理が施されていることを特徴とするフッ素樹脂多孔質膜を提供する。
バブルポイントが90kPa以上であるフッ素樹脂多孔質膜の両表面に、バブルポイントが70kPa以下である膜を貼り付ける(前記の請求項2の態様)代わりに、物理的手段による粗面化処理を施すことによっても、両表面に、乾燥しにくい、保水性の優れた膜を、安価に形成することができる。物理的手段による粗面化処理として、ヤスリやサンドブラスト等による研磨、プラズマビーム等による表面エッチング、火炎処理等が例示される。
本発明の多孔質膜を構成するフッ素樹脂とは、フッ素を含有する高分子を意味し、PTFEやポリ三フッ化エチレン等の樹脂の他、フッ素ゴム等のエラストマーも含む意味である。このようなフッ素樹脂からなる多孔質膜の中でも、PTFE多孔質膜は、PTFE固有の性質としての優れた耐薬品性や耐熱性を有し、さらに高分離能、高透過性等の構造的な優れた特徴を有するので好ましい。請求項8は、この好ましい態様に該当する。
PTFE多孔質膜は、PTFEを主成分とし、微細な多孔質構造を有する膜であれば特に限定されない。このようなPTFE多孔質膜は、例えば、特公昭42−13560号公報に記載の方法によって製造することができる。
すなわち、先ず、PTFEファインパウダーと潤滑剤との混合ペーストを、シート状等の所定形状に成形する。この成形体を、潤滑剤を除去した後あるいは除去せずに、少なくとも一軸方向に延伸する。延伸後は、通常、PTFEの融点である327℃以上に加熱し、焼結する。
延伸工程では、押出工程で圧着されたPTFEファインパウダー同士が、延伸により離れて裂けるようにしてできた亀裂状の孔間に、糸を引くように微細な繊維が延伸方向に形成される。このような微細繊維状構造により多孔質構造が形成される。PTFEファインパウダーやPTFEディスパージョン液に、溶媒に可溶な粒子を混練して所定形状に成形し、その後、粒子を溶解除去して多孔質化したPTFE多孔質膜、あるいはこれを延伸したPTFE多孔質膜等も使用することができる。
本発明のフッ素樹脂多孔質膜の厚さ、それを構成する前記の内層や両方の外層の厚さ、また請求項2の態様のフッ素樹脂多孔質膜において膜の形成に用いられるそれぞれの多孔質のフッ素樹脂膜の厚さや、多孔質の孔径等は、バブリングポイントが本発明の範囲を満たす限り、特に限定されず、求められる透過性や機械的強度に応じて適宜決定される。例えば、平均孔径0.2μm以下で、内層としてバブルポイントが100kPa以上の膜を用いる場合は、膜厚を30μm以下とすることで高透過性が得られる。
本発明のフッ素樹脂多孔質膜は、吸水する性質は有さないが、アルコール等に浸してから水に置換した後の保水性が非常に高いという特徴を有する。すなわち、気体に触れても、また水溶液中に混入している気泡や溶存ガスが付着しても乾燥しにくい。その結果、使用中に徐々に処理能力が低下し、復帰の操作のために運転を停止する必要がある等の問題が小さい。また、フッ素樹脂多孔質体が本来有する優れた性質、高分離能、高透過性等の優れた特徴も併せて保持する。特に、フッ素樹脂としてPTFEを用いたPTFE多孔質膜の場合は、PTFE固有の耐薬品性、耐熱性等の化学的特性と多孔質構造を損なうことなく、優れた保水性を有して膜の乾燥を抑制することができる。
なお、前記の本発明の多孔質膜はフッ素樹脂からなるものであるが、フッ素樹脂の代わりに、ポリアセタール等の撥水性の高分子材料からなる多孔質膜についても、膜の両外表面側にバブルポイントの小さい乾きにくい膜を配置することにより、本発明と同様な効果が得られる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を、実施例により具体的に説明する。なお、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない限り他の形態へ変更することができる。
バブルポイント120kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.2μm、商品名:ポアフロンHP−020−30、住友電工ファインポリマー(株)製)の両表面側に、バブルポイント15kPa、厚さ100μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径5μm、商品名:ポアフロンWP−500−100、住友電工ファインポリマー(株)製)を重ね合わせ、固定した状態で、340℃で20分間加熱、一体化させてPTFE多孔質膜を得た。
バブルポイント120kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.2μm、商品名:ポアフロンHP−020−30、住友電工ファインポリマー(株)製)の両表面側に、バブルポイント40kPa、厚さ100μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径1μm、商品名:ポアフロンWP−100−100、住友電工ファインポリマー(株)製)を重ね合わせ、固定した状態で340℃で20分間加熱、一体化させて、PTFE多孔質膜を得た。
バブルポイント120kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.2μm、商品名:ポアフロンHP−020−30、住友電工ファインポリマー(株)製)の両面を、1000番の紙ヤスリを用いて研磨し、PTFE多孔質膜を得た。
バブルポイント120kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.2μm、商品名:ポアフロンHP−020−30、住友電工ファインポリマー(株)製)を収縮しないようポリプロピレン製治具に固定し、金属ナトリウム−ナフタレン錯体溶液(商品名:テトラエッチ、潤工社(株)製)に0.5秒間漬けた後、IPA、次いで蒸留水を用いて洗浄した。このとき、多孔質膜の表面は褐色化していたので、さらに、濃度30%の過酸化水素水に80℃で24時間漬けて、褐色部分を分解除去してPTFE多孔質膜を得た。
金属ナトリウム−ナフタレン錯体溶液に漬ける時間を0.5秒から2秒に変えた以外は実施例4と同様にしてPTFE多孔質膜を得た。
(比較例1)
バブルポイント120kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.2μm、商品名:ポアフロンHP−020−30、住友電工ファインポリマー(株)製)そのものを用いた。
(比較例2)
バブルポイント120kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.2μm、商品名:ポアフロンHP−020−30、住友電工ファインポリマー(株)製)の両面に、バブルポイント80kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.45μm、商品名:ポアフロンHP−045−30、住友電工ファインポリマー(株)製)を重ね合わせ、固定した状態で、340℃で20分間加熱、一体化させてPTFE多孔質膜を得た。
(比較例3)
バブルポイント120kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.2μm、商品名:ポアフロンHP−020−30、住友電工ファインポリマー(株)製)の片面だけに、バブルポイント15kPa、厚さ100μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径5μm、商品名:ポアフロンWP−500−100、住友電工ファインポリマー(株)製)を重ね合わせ、固定した状態で、340℃で20分間加熱、一体化させて、PTFE多孔質膜を得た。
(比較例4)
バブルポイント120kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.2μm、商品名:ポアフロンHP−020−30、住友電工ファインポリマー(株)製)の片面だけを、1000番の紙ヤスリを用いて研磨し、PTFE多孔質膜を得た。
上記、実施例及び比較例で得たPTFE多孔質膜は、すべて、そのまま水に漬けても水を弾いてしまい、吸水することはなかった。
上記、実施例及び比較例で得たPTFE多孔質膜を、47mm径のディスク状に打ち抜き、各試験体とする。試験体をフィルターホルダーに固定して、50kPaの圧力でIPAを通しIPA流量を測定した後、試験体をビーカーに溜めた純水中に浸漬して、IPAを純水に置換する。
次に、試験体を純水中から取り出し1分間外気に暴露する。多孔質膜が乾燥すると、膜は濡れている半透明状態から乾燥状態の白っぽい色に変化してくる。再度、乾燥したフィルターホルダーに固定し、直ぐに50kPaの圧力で純水を通しその水流量を測定する。
こうして得られたIPA流量及び水流量の比により、乾燥のしやすさを定量的に表すことができる。すなわち、乾燥しやすい膜では、IPA流量に対する水流量の比の値が極端に低くなるのに対し、乾燥しにくい膜では、IPA流量に対する水流量の比の値が高い。測定結果を表1に示す。なお表1には、下記の方法で測定した各PTFE多孔質膜のIPAバブルポイントを併せて示してある(IPA−BPと表示)。
IPAバブルポイントの測定方法: ASTM F316の方法で行う。すなわち、イソプロパノールに含浸し、管壁の孔内をイソプロパノールで充満した後、一方の面より徐々に空気圧を負荷した時に、初めて気泡が反対面より出てきたときの圧力である。
Figure 0004939124
実施例1〜5の結果より、PTFE多孔質膜の両表面側に、バブルポイントの低い膜の貼り付け、化学的エッチング、又は粗面化、の処理を施すことにより、水流量の低下を抑制でき、保水性が保持(乾燥が抑制)されていることが明らかである。
一方、このような処理を施さなかった場合(比較例1)、両表面側へ貼り付けた膜のバブルポイントが本発明の範囲(70kPa以下)を越える場合(比較例2)、前記の処理を片面のみに施した場合(比較例3、4)では、優れた保水性が得られないことが示されている。
また、参考例1〜4を以下に記す。
(参考例1)
バブルポイント180kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.1μm、商品名:ポアフロンHP−010−30、住友電工ファインポリマー(株)製)そのものを用いた。
(参考例2)
バブルポイント80kPa、厚さ30μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径0.45μm、商品名:ポアフロンHP−045−30、住友電工ファインポリマー(株)製)そのものを用いた。
(参考例3)
バブルポイント40kPa、厚さ100μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径1.0μm、商品名:ポアフロンWP−100−100、住友電工ファインポリマー(株)製)そのものを用いた。
(参考例4)
バブルポイント15kPa、厚さ100μmのPTFE多孔質膜(延伸PTFE製多孔質膜、孔径5.0μm、商品名:ポアフロンWP−500−100、住友電工ファインポリマー(株)製)そのものを用いた。
各参考例についても、前記実施例、比較例と同様な測定を行い、その結果を表2に示す。なお、参考例2〜4では、水流量/IPA流量は優れているが、これらは、分離膜の微粒子の捕捉機能については、前記の実施例のフッ素樹脂多孔質膜より劣るものである。
Figure 0004939124



Claims (1)

  1. 多孔質のポリテトラフルオロエチレンにより形成された膜であって、、IPAバブルポイントが90kPa以上である膜の両表面に、多孔質のポリテトラフルオロエチレンにより形成され、IPAバブルポイントが70kPa以下である膜を重ね合わせ、327℃以上に加熱して一体化してなることを特徴とするフッ素樹脂多孔質膜。
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