JP4938958B2 - 固定素子マガジン - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,ネジ等の固定素子を担持するための固定素子マガジンに関し,特に,互いに対向しつつ長手方向に平行に延在する一対の側壁を具え,該側壁が,固定素子の収容スペースを形成するよう後壁から突出し,かつ,長手方向に延在する開口部を限定する端部領域を有し,前記収容スペースが,固定素子をその全長の少なくとも一部に亙って担持すると共に,長手方向と交差する方向における固定素子の抜け出しを少なくとも一つの抜け出し防止手段によって防止するマガジンに関するものである。
【0002】
【従来技術】
上述した構成を有する固定素子マガジンは,互いに対向しつつ長手方向に平行に延在する一対の側壁が,固定素子の収容スペースを形成するよう後壁から突出し,かつ,長手方向に延在する開口部を限定する端部領域を有する。収容スペースは,固定素子の少なくとも一部を収容すると共に,マガジンにより担持される固定素子のガイド面を形成する。側壁は長手方向に延在する開口部を限定するための端部領域を含み,この端部領域は後壁に対して直角方向における固定素子の収容スペースからの抜け出しを防止する。使用時には,抜け出し防止手段を解除することにより固定素子をマガジンにおける収容スペースから長手方向に押出す。
【0003】
米国特許第3891014号明細書(特許文献1)は,互いに対向しつつ長手方向に平行に延在する一対の側壁が,固定素子の収容スペースを形成するよう後壁から突出し,かつ,長手方向に延在する開口部を限定する端部領域を有する固定素子マガジンを記載している。この場合,固定素子の収容スペースが固定素子を全長の少なくとも一部に亙って担持するものであり,長手方向の両端部に配置された抜け出し防止手段によってマガジンの長手方向における固定素子の抜け出しを防止する。抜け出し防止手段は,収容スペース内に延在する係止突部を具える。係止突部は弾性的に形成され,収容スペース内に向けて付勢されている。マガジンを押込むと,係止突部が解除機構により弾性力に抗して少なくとも部分的に収容スペースから押出され,収容スペースからの固定素子の押出しを許容する。
【0004】
【特許文献1】
米国特許第3891014号明細書
【0005】
米国特許第3891014号明細書に記載されている既知の固定素子マガジンは,複雑な構造の解除機構が別途必要とされる欠点がある。さらに,抜け出し防止手段が複数の部材を必要とするため,マガジンを経済的に製造することが困難である。
【0006】
【発明の課題】
本発明の課題は,抜け出し防止手段を有するも経済的に製造可能な固定素子マガジンを提案することである。
【0007】
【課題の解決手段】
本発明による固定素子マガジンは,互いに対向しつつ長手方向に平行に延在する一対の側壁を具え,該側壁が,固定素子の収容スペースを形成するよう後壁から突出し,かつ,長手方向に延在する開口部を限定する端部領域を有する。収容スペースは,固定素子をその全長の少なくとも一部に亙って担持すると共に,長手方向と交差する方向における固定素子の抜け出しを少なくとも一つの抜け出し防止手段によって防止する。抜け出し防止手段は,側壁に対して略直角に作用する少なくとも一つの弾性手段を具え,該弾性手段が収容スペースの内幅を少なくとも部分的に狭める構成とされ,弾性手段は,収容スペース内に突出するように側壁の端部領域に配置されたクランプウェブを含み,該クランプウェブは,マガジンの長手方向端部における開口部の幅が固定素子のシャフトの最大径より小さくなるように,側壁に対して直角かつ後壁に対して平行に,開口部内まで延在する
【0008】
本発明によれば,抜け出し防止手段が側壁に対して略直角に作用する少なくとも一つの弾性手段を具え,該弾性手段が収容スペースの内幅を少なくとも部分的に狭める構成とされているため,構成が簡単で経済的に製造することができるマガジン,特にその抜け出し防止手段を容易に実現することが可能である。弾性手段により収容スペースの内幅を少なくとも部分的に狭めるため,固定素子の収容スペースからの不所望の長手方向への抜け出しを効果的に防止することが可能である。弾性手段により,例えば抜け出し防止手段の解除に必要とされる操作力を作用させて,固定素子を収容スペース内にセットし,又は収容スペースから押出すことが可能である。収容スペースの内幅を少なくとも部分的に狭めるためには,例えば,収容スペースの特定部位における内幅を,当該部位における固定素子の幅よりも狭めることができる。
【0009】
弾性手段をマガジンの少なくとも一方の長手方向端部に配置し,当該長手方向端部における固定素子の収容スペースからの不所望の抜け出しを防止するのが好適である。好適な実施形態では,抜け出し防止手段をマガジンの両長手方向端部に配置し,マガジンを手持式工具装置のマガジンホルダに対して何れの端部においても係合可能とする。
【0010】
弾性手段により側壁の少なくとも一部に対して,互いに対向する方向に弾性力を作用させ,固定素子を摩擦力によりマガジン内においてクランプ状態で保持するのが好適である。
【0011】
本発明によれば,弾性手段を側壁の少なくとも一部により形成することによりマガジンを経済的に製造することが可能である。例えば,側壁及び/又は後壁の少なくとも一部を弾性材料で形成するのが望ましい。弾性手段の領域内で,その弾性により収容スペースの把持作用が一層確実なものとなり,固定素子の不所望の抜け出しがより効果的に防止される。
【0012】
側壁には,少なくとも一つの固定素子を把持するために収容スペース内に突出する少なくとも一つのクランプウェブを設けるのが好適である。
【0013】
この場合,開口部内に突出するクランプウェブを,側壁における少なくとも一方の端部領域に配置して,例えば抜け出し防止手段を良好なアクセスをもって外部から操作可能とするのが望ましい。
【0014】
クランプウェブをマガジンの長手方向両端部に配置し,かつ,収容スペースからの固定素子の長手方向への抜け出しを阻止するのが,マガジンをより経済的に製造可能とするために望ましい。
【0015】
クランプウェブはノッチにより形成するのが好適である。ノッチはスタンプ加工又は熱変形により形成することができる。好適には,マガジンの外面にもノッチを設け,これにより工具装置に対するマガジンの係合手段を形成する。
【0016】
弾性手段をマガジンの長手方向と平行に延在させ,弾性手段による弾性力が負荷される領域に均等な弾性力を及ぼすのが好適である。
【0017】
本発明によれば,マガジンを容易に操作可能とすると共に経済的に製造可能とするため,弾性手段をマガジンと一体的に形成する。
【0018】
側壁の端部領域にカム素子を配置し,このカム素子をマガジンにより担持された固定素子の長手方向と略平行に延在させるのが好適である。この場合,固定素子のマガジンからの抜け出しを阻止するクランプウェブを,手持式工具装置における供給手段にセットする際に,適当な構成を有する拡開素子又は拡開コアにより押圧変位させ,これによりクランプウェブを固定素子の押出し経路から退去させることが可能である。カム素子は,例えば円筒体として形成することができるが,菱形断面形状を有する柱状体として形成することも可能である。菱形断面形状の柱状体として形成する場合,互いに対向するカム素子の表面により,長手方向端部から離間する方向に向けて間隔の狭まるスロート部を形成して,手持式工具装置における拡開素子のガイドとして機能させるのが好適である。この場合,マガジンを工具装置にセットすると,拡開素子がカムの外面と係合し,カムを介してクランプウェブを弾性手段の弾性力に抗して押圧する。
【0019】
弾性力に抗してクランプウェブを拡開させるための拡開力を最適化するため,少なくとも一方の側壁に少なくとも一つのスリットを設け,該スリットにより側壁を,クランプウェブ及びカム素子を担持する前方の弾性部分と,固定素子を担持する第2部分とに区分するのが好適である。この場合,弾性手段は側壁の端部領域のみに配置される。
【0020】
【実施の形態】
以下,本発明を筋の好適な実施形態について更に詳述する。
【0021】
図1〜図3,及び図7は,本発明によるマガジンの理解に資するための各種参考例を示すものであり,図4〜図6,図8,及び図9は,本発明によるマガジンの各種実施形態を示すものである。本発明によるマガジンは,ネジ等の固定素子1を担持するものであり,互いに対向しつつ長手方向Lに平行に延在する一対の側壁2を具えている。側壁2は,固定素子1の収容スペース4を形成するよう後壁3から垂直に突出し,かつ,長手方向Lに延在する開口部5を限定する端部領域6a,6bを有する。側壁2及び後壁3の長手方向端部により,マガジンの両長手方向端部に端部開口8が形成されている。収容スペース4には,固定素子1をその全長aの少なくとも一部に亙って担持すると共に,長手方向Lと交差する方向における固定素子1の端部開口8からの抜け出しを防止する少なくとも一つの抜け出し防止手段7が設けられている。抜け出し防止手段7は,側壁2に対して直角に弾性力を作用させる弾性手段を有し,この弾性手段により収容スペース4の内幅を狭める構成とされている。
【0022】
固定素子1は,シャフト11の一端にヘッド12を具える。ヘッド12は,トルク伝達手段として多角形断面部分13を有する。ヘッド12は,シャフト11との接続部にヘッド12と一体の座金部を有する。シャフト11は,その全長の少なくとも一部に亙り,ネジ部を有する。各固定素子1は,その全長aが後壁3に対して直角に延在するようにマガジン内で担持される。長手方向Lに対して直角に測った開口部5の幅は,固定素子1におけるシャフト11の最大径よりも大きく,かつ,ヘッド12の最大径よりも小さく設定されている。後ろ壁3に対して直角に測った収容スペース4の高さは,固定素子1の長手方向に測ったヘッド12の最大寸法よりも大きく設定されている。固定素子1は,マガジンの長手方向Lに変位可能に担持されるものである。
【0023】
図1〜図3に示す第1参考例において,側壁2の各長手方向端部には,後壁3に対して直角に延在すると共に,抜け出し防止手段7として機能するノッチ14,15が設けられている。ノッチ14,15は,図3に示すように,側壁2に対して直角に収容スペース4内に突出する。少なくとも側壁2は,弾性手段を形成するために弾性材料,好適にはプラスチック材料により形成されている。抜け出し防止手段7に隣接する固定素子1が抜け出し防止手段7,特にノッチ14に力Fを作用させると,側壁2におけるノッチ14の領域が変形する。固定素子1から及ぼされる力が十分に大きければ抜け出し防止機能が解除され,固定素子1が収容スペースから外部に押出される。力が作用しなくなると,弾性力が側壁2におけるノッチ14の領域を押圧して,図1及び図3に示す休止位置まで復元させる。
【0024】
図4〜図6に示す第実施形態において,側壁2の各長手方向端部6a,6bには,後壁3に対して直角に延在すると共に,抜け出し防止手段7として機能するクランプウェブ17,18が設けられている。クランプウェブ17,18は,図4及び図6に示すように,後壁3と平行に開口部5内まで延在している。側壁2を弾性的に構成することにより,側壁2は弾性手段として機能する。これにより,クランプウェブ17,18は,側壁2に対して直角方向に変形して抜け出し防止機能を解除することが可能である。
【0025】
図7に示す第2参考例において,弾性手段は,マガジンの全長に亙って長手方向aに向けて延在し,かつ,互いに接近する方向に付勢された側壁2により形成されている。これにより,固定素子1は側壁2の間で摩擦力によりクランプされる。上述した第1参考例及び第1実施形態とは異なり,マガジンにより担持される固定素子1のヘッド12が収容スペース4の外部に配置されるので,マガジンの使用材料を削減し,コンパクトな構造を実現することが可能である。クランプ力を凌駕する十分に大きな力を長手方向に作用させると,固定素子1をマガジンから押出すことができる。
【0026】
本発明によるマガジンは,例えば,固定手段1を基盤に打ち込むための手持式工具装置(図示せず)に適用することができる。このような手持式工具装置は,固定素子の供給手段と打ち込み手段とを具え,固定素子を供給手段により順次に打ち込み手段に供給するのが普通である。供給手段はマガジンの長手方向端部,特に抜け出し防止手段7と協働する交差位置を有する。マガジンを供給手段の交差位置と協働させると,抜け出し防止手段7が解除され,マガジンで担持されていた固定素子1が供給手段まで押出される。空になったマガジンは,手持式工具装置から取り外すことが可能である。
【0027】
図8に示す第実施形態は,開口部5を,側壁2から直角方向に延在する把持面23により狭め,その把持面23に円筒形状のカム20が設けられている点で,図4〜図6に示した実施形態と相違している。カム20は,クランプウェブ17,18の領域内に配置されている。さらに,側壁2及び把持面23はスリット22により二部分24,25に区分されている。その一方の部分25は弾性手段を形成する。クランプウェブをその弾性手段の弾性力に抗して,手持式工具装置における供給手段の拡開部材に押圧すると,抜け出し防止手段7が解除され,工具装置における供給手段に対する固定素子1の押出しが可能となる。手持式工具装置における供給手段の拡開部材は,カム20及び側壁2の弾性手段を形成する側壁2の部分25に係合して押圧力を作用する少なくとも一つの拡開コアを含むものとする。
【0028】
図9に示す第実施形態は,カム20が菱形断面形状を有する点で図8に示した実施形態と相違している。カム20の外面21は互いに所定の角度をなして配置され,開口部5の中央面内で交差する配置とされている。本実施形態で採択したカム20の菱形断面形状は,手持式工具装置における供給手段の拡開部材の拡開コアが,マガジンの長手方向に対して斜めに延在するカム20の外面21と係合し,クランプウェブ17,18を弾性手段の弾性力に抗して互いに押圧する場合に特に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるマガジンの理解に資するための第1参考例を示す平面図である。
【図2】図1に示すマガジンの側面図である。
【図3】図1及び図2に示すマガジンの要部を示す斜視図である。
【図4】本発明によるマガジンの第実施形態を示す平面図である。
【図5】図4に示すマガジンの側面図である。
【図6】図4及び図5に示すマガジンの要部を示す斜視図である。
【図7】本発明によるマガジンの理解に資するための第2参考例を示す断面図である。
【図8】本発明によるマガジンの第実施形態の要部を示す斜視図である。
【図9】本発明によるマガジンの第実施形態の要部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 固定素子
2 側壁
3 後壁
4 収容スペース
5 開口部
6a,6b 端部領域
7 抜け出し防止手段
14,15 ノッチ
17,18 クランプウェブ
20 カム素子
21 表面
22 スリット
23 把持面
25 側壁の突出部分

Claims (6)

  1. それぞれシャフト(11)の一端にヘッド(12)を有する複数の固定素子(1)を担持するための固定素子マガジンであって,該マガジンが,後壁(3)と,該後壁(3)から突出し,かつ,互いに対向しつつマガジンの長手方向(L)に平行に延在する一対の側壁(2)とを具え,該側壁(2)及び前記後壁(3)が,固定素子(1)のヘッド(12)を収容するための収容スペース(4)を形成し,前記側壁(2)が,マガジンの長手方向(L)に延在する開口部(5)を限定する端部領域(6a,6b)を有し,マガジンの長手方向(L)に対して直角に測った前記開口部(5)の幅が,固定素子(1)におけるシャフト(11)の最大径より大きく,かつ,ヘッド(12)の最大径よりも小さく設定され,前記マガジンが,前記収容スペース(4)からの固定素子(1)の,前記長手方向(L)への抜け出しを防止するための抜け出し防止手段(7)を更に具え,該抜け出し防止手段(7)が,マガジンの長手方向端部に配置され,かつ,側壁(2)に対して略直角方向に作用することにより前記収容スペース(4)の内幅を部分的に狭める弾性手段を含み,該弾性手段が,前記収容スペース(4)内に突出するように前記側壁(2)の端部領域(6a,6b)に配置されたクランプウェブ(17,18)を含み,
    前記クランプウェブ(17,18)は,前記マガジンの長手方向端部における前記開口部(5)の幅が前記固定素子(1)の前記シャフト(11)の最大径より小さくなるように,前記側壁(2)に対して直角かつ前記後壁(3)に対して平行に,前記開口部(5)内まで延在することを特徴とするマガジン。
  2. 請求項に記載のマガジンにおいて,前記側壁(2)の端部領域(6a,6b)にカム素子(20)が設けられ,該カム素子(20)が,前記開口部(5)を限定する把持面(23)から,前記長手方向(L)と交差する方向に突出することを特徴とするマガジン。
  3. 請求項に記載のマガジンにおいて,前記カム素子(20)が菱形断面形状を有することを特徴とするマガジン。
  4. 請求項又はに記載のマガジンにおいて,前記カム素子(20)が,前記側壁(2)の両端部領域(6a,6b)に配置されていることを特徴とするマガジン。
  5. 請求項又はに記載のマガジンにおいて,互いに対向するカム素子(20)の表面(21)が,スロート部を形成しており,該スロート部が,マガジンの長手方向端部から離間する方向に向けて間隔を狭めていることを特徴とするマガジン。
  6. 請求項1〜の何れか一項に記載のマガジンにおいて,少なくとも一方の前記側壁(2)にスリット(22)が設けられ,該スリットにより側壁(2)が二部分(24,25)に区分され,その一方の部分(25)により前記弾性手段が形成されていることを特徴とするマガジン。
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