JP4937073B2 - 樹脂塗装金属板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐食性に優れた樹脂塗装金属板と、この樹脂塗装金属板を歩留まりよく製造することのできる製造方法に関するものである。
樹脂塗装金属板は、家電用、建築材料用、自動車用等に多用されている。樹脂塗装金属板の製造方法としては、一般的には、樹脂組成物を金属板に塗布し、加熱乾燥して、樹脂皮膜を形成している。近年は、環境保護のため水系の樹脂組成物が利用されることが多いが、水は、塗料に汎用される有機溶媒に比べて沸点が高く、揮発しにくいという問題がある。
しかし、水系の樹脂組成物を用いた樹脂塗装金属板の製造方法について、塗膜(塗布直後の未乾燥の樹脂膜の意味、以下同じ)の乾燥速度に関してはほとんど検討されておらず、板温(到達温度)や乾燥時間に注視して、乾燥条件が決定されていた。
例えば、特許文献1には、水、または、中和のために用いられる塩基性化合物のうち、沸点が高い方の物質の沸点以上(好ましくは沸点+20℃以上)で、塗膜を加熱処理するとよい([0020])と記載されている。特許文献2には、架橋剤を用いる場合は架橋反応が進行する温度で、ワックスを用いる場合はワックスの軟化点未満の温度で、それぞれ加熱乾燥を行うことが好ましい([0049])と記載されている。特許文献3には、150℃〜280℃の温度で10秒〜30分間焼き付けることが望ましい([0070])と記載されている。特許文献4には、到達板温60〜250℃で焼き付けを行うことが好ましい([0058])と記載されている。特許文献5には、大気温度下の自然乾燥から200℃程度の焼き付け効果の範囲で選択すればよい([0048])と記載されている。
このように、従来技術では、水系の樹脂組成物から得られる塗膜の乾燥条件については、温度や時間が検討されるにとどまっていた。
特開2002−146262号公報 特開2006−272766号公報 特開2006−176696号公報 特開2000−273659号公報 特開平7−304954号公報
水系の樹脂組成物では、樹脂中のカルボキシル基に対し、エポキシ架橋剤を反応させ、緻密に三次元架橋された樹脂皮膜を得て、耐食性の向上を図ることが多い。しかし、加熱乾燥条件次第では、架橋反応の進行が不充分となり、所望の耐食性が得られないことがある。
本発明では、乾燥条件を従来よりも詳細に検討し、カルボキシル基に対するエポキシ基の架橋反応を可能な限り進行させるためには、どのような製造条件が望ましいかを見出すと共に、そのような製造方法で得られる樹脂塗装金属板の特性を明らかにすることを課題として掲げた。
上記課題を解決することのできた本発明は、カルボキシル基含有水系樹脂と水系のエポキシ架橋剤とを含む樹脂組成物から得られる樹脂皮膜を備えた樹脂塗装金属板であって、樹脂皮膜のFT−IR測定で得られる吸収スペクトルにおける1730cm-1付近のエステル結合の吸収強度が、1600cm-1付近のカルボン酸塩の吸収強度の1.5倍以上であることを特徴としている。
上記カルボキシル基含有水系樹脂が、アミンで中和されたものであることが好ましく、アミンとしては3級アミンが好ましい。
本発明の製造方法は、カルボキシル基含有水系樹脂と水系のエポキシ架橋剤とを含む樹脂組成物を金属板に塗布した後、恒率乾燥速度10.0g/m2・s以上で乾燥することを特徴としている。
このとき、熱風を吹き付けることにより乾燥を行うことが好ましい。
耐食性に優れた樹脂塗装金属板を製造することができるようになった。
本発明者等は、中和したカルボキシル基含有水系樹脂と水系のエポキシ架橋剤を含む樹脂組成物を用いて、乾燥過程のレオロジーや水の蒸発速度等を種々検討した結果、水の蒸発速度の違いによって、被膜特性に大きな違いが出てくることを見出した。
カルボキシル基含有樹脂とエポキシ架橋剤との架橋反応は下記スキームの通りである。なお、下記スキームでは、エポキシ架橋剤のもう1個(あるいは2個以上)のエポキシ基はR1の中に含めてあるが、そのエポキシ基も下記スキームと同じように反応するため、2分子(以上)の樹脂がエポキシ架橋剤由来の基を介して架橋することとなる。
Figure 0004937073
塗膜を形成した後、水分が急速に乾燥する場合は、上記反応だけを考えればよいが、蒸発完了までの時間が長くなると、エポキシ架橋剤は、塗膜の中の水温上昇と共にアミンとの反応によって活性が失われ、上記のカルボキシル基との架橋反応が進行しなくなって、樹脂のカルボキシル基がカルボン酸塩の形で残り、耐食性を劣化させることが見出された。すなわち、アミンの中でも、3級アミンはアンモニアの全ての水素原子を炭化水素残基で置換した化合物であるため、1級や2級アミンとは異なり、エポキシ架橋剤と直接には反応しない。このことから、3級アミンは、カルボキシル基含有樹脂の中和剤として好適に用いられるが、下記スキームに示すようにエポキシ架橋剤の自己縮合に寄与するため、3級アミンが塗膜から速やかに揮発しないと、エポキシ架橋剤の自己縮合の方が多く起こり、上記架橋反応が進行しないことがわかったのである。
Figure 0004937073
さらに、本発明者等が種々検討したところ、恒率乾燥速度を10.0g/m2・s以上にすることで、塗膜から3級アミンや水が速やかに揮散し、エポキシ架橋剤とカルボキシル基との架橋反応がほぼ予定通り進行して、緻密かつ強固な樹脂皮膜が形成され、所望の耐食性が得られることを見出した。そして、上記乾燥条件で乾燥した場合は、エポキシ架橋剤とカルボキシル基との架橋反応が充分進行するため、乾燥後の樹脂皮膜をFT−IR測定で得られる吸収スペクトルにおける1730cm-1付近のエステル結合の吸収強度が、1600cm-1付近のカルボン酸塩の吸収強度の1.5倍以上となることも見出したのである。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の樹脂塗装金属板は、上記の通り、乾燥後の樹脂皮膜をFT−IR測定で得られる吸収スペクトルにおける1730cm-1付近のエステル結合の吸収強度が、1600cm-1付近のカルボン酸塩の吸収強度の1.5倍以上であることが必要である。前記した架橋反応のスキームから明らかなように、樹脂中のカルボキシル基とエポキシ架橋剤が架橋反応すると、樹脂の側鎖にエステル結合が生じる。従って、エステル結合が多いほど、架橋反応が進行したことになる。なお、カルボキシル基ではなくカルボン酸塩との比率を定めているのは、架橋反応に参加せずに残存したカルボキシル基が、後述するコロイダルシリカを安定化するために添加されているNaやAl等と塩を形成しており、樹脂皮膜化後もカルボン酸塩として存在していると考えられるためである。
上記の「1730cm-1付近のエステル結合の吸収強度/1600cm-1付近のカルボン酸塩の吸収強度」(以下、単に比率ということがある)が1.5倍以上であれば、架橋反応が充分に進行し、従来に比べて優れた耐食性を発揮し得る緻密・かつ強固な樹脂皮膜が形成されている。上記比率が1.5倍よりも小さいと、従来レベルまたは従来よりも劣った耐食性皮膜しか得られない。上記比率は2倍以上がより好ましい。
FT−IRの測定条件は以下の通りである。
測定方法:赤外線偏光反射法
比較材:金蒸着ミラー
分解能:4cm-1
積算回数:512回
装置:日本分光社製FT/IR−400 (フーリエ変換赤外分光光度計)
本発明では、波長1730cm-1付近のエステル結合の吸収強度と、1600cm-1付近のカルボン酸塩の吸収強度を、800cm-1付近のシリカの吸収強度で除算してから、比率を算出した。
本発明の樹脂皮膜は、カルボキシル基含有水系樹脂と、水系のエポキシ架橋剤を必須成分とする樹脂組成物を塗布乾燥して得られるものである。カルボキシル基含有水系樹脂にはエステル結合が含まれていないことが好ましい。上記比率で架橋反応の進行度合いを確認する本発明の目的を阻害するからである。カルボキシル基含有水系樹脂の具体例としては、水性アクリル樹脂、水性ウレタン樹脂、水性オレフィン樹脂、あるいはこれらの混合物等を挙げることができる。なお、水系あるいは水性とは、水溶性であるか、水不溶性かつ水分散性を意味する。耐水性の点で好ましいのは、水不溶性かつ水分散性のエマルジョンタイプである。
水性アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸等の親水性モノマーと、アルキル(メタ)アクリレート類等を、ラジカル共重合することにより得られる。重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等が使用できる。
水性ウレタン樹脂は、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のポリエーテルポリオール類と、1,6-ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の低分子量ポリオール類と、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジヒドロキシプロピオン酸等のカルボキシル基含有ポリオール類と、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等のポリイソシアネート類とを反応させて、メチレンジアミン、エチレンジアミン等のジアミン類で鎖延長し、アミン等で中和することにより、エマルジョンタイプのものを得ることができる。
水性オレフィン樹脂は、エチレン等のオレフィンと、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸とを、高温高圧下でラジカル重合し、アミン等で中和することにより、エマルジョンタイプのものを得ることができる。不飽和カルボン酸は、樹脂皮膜と金属板との密着性を向上させるため、および架橋点となるカルボキシル基の量を確保するために用いられる。共重合体中の不飽和カルボン酸量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。しかし、不飽和カルボン酸が過剰になると、耐食性および耐アルカリ性が低下するおそれがあるため、30質量%以下とするのが好ましく、より好ましくは25質量%以下である。
上記中和の際に用いることのできるアミン類としては、プロピルアミン、t−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、1,2−ジブチルプロピルアミン、3−ペンチルアミン等の1級アミン類、N−メチルエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルブチルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルピロリジン、テトラメチルジアミノメタン等の3級アミンが挙げられ、中でも3級アミンが好ましい。エマルジョンの安定性の点から、中和率は30〜60mol%の範囲が好ましい。
本発明の樹脂組成物の必須成分である水系のエポキシ架橋剤としては、水溶性のエポキシ樹脂が好ましい。このようなエポキシ樹脂は市販されており、例えば、ナガセケムテックス社製の「デナコール(登録商標)EX−321L」、「デナコール(登録商標)EX−512」、「デナコール(登録商標)EX−850L」や、ジャパンエポキシレジン社製の「jER(登録商標)828」等が使用可能である。エポキシ架橋剤は、樹脂組成物の固形分100質量%中、3〜10質量%(固形分)程度が好ましい。
本発明で用いられる樹脂組成物には、コロイダルシリカを配合することが好ましい。腐食環境下において、皮膜欠陥部で溶解・溶出し、pHの緩衝作用や不動態皮膜形成作用によって金属板の溶解/溶出を抑制するため、耐食性が向上するからである。コロイダルシリカとしては、例えば、「スノーテックス(登録商標)」シリーズ(日産化学工業社製のコロイダルシリカ)の「C」、「40」、「XS」、「N」、「S」等が好ましい。コロイダルシリカは、樹脂組成物の固形分100質量%中、5〜45質量%(固形分)の範囲で使用すると、良好な耐食性を得ることができる。
本発明で用いられる樹脂組成物には、アジリジン系架橋剤を添加してもよい。アジリジン系架橋剤とカルボキシル基との反応によってもエステル結合が生成するので、前記比率が大きくなるということは、アジリジンとの架橋反応も進行したことを意味する。アジリジン系架橋剤としては、日本触媒社製の水分散タイプの「ケミタイト(登録商標)DZ−22E」(4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン)が好ましい。アジリジン系架橋剤は、樹脂組成物の固形分100質量%中、3〜10質量%(固形分)の範囲で使用することが好ましい。
本発明で用いる樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、ワックス、架橋剤、希釈剤、皮張り防止剤、界面活性剤、乳化剤、分散剤、レベリング剤、消泡剤、浸透剤、造膜助剤、染料、顔料、増粘剤、潤滑剤等を添加しても構わない。
本発明で用いる金属板には、特に限定は無く、例えば非めっき冷延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板(GI)、溶融合金化亜鉛めっき鋼板(GA)、電気亜鉛めっき鋼板(EG)、アルミ板およびチタン板等を挙げることができる。これらの中でも、クロメート処理が行われていない電気亜鉛めっき(EG)に本発明を適用するのが好ましい。
本発明において、金属板上に樹脂組成物の塗膜を形成する方法には特に限定は無く、既知の塗布方法で、表面処理組成物を金属板表面の片面または両面に塗布すればよい。塗布方法としては、例えばカーテンフローコーター法、ロールコーター法、バーコーター法、スプレー法、スプレーリンガー法等を挙げることができる。
ここで、重要なのは乾燥条件である。エマルジョンタイプの樹脂組成物を金属板に塗布し、熱風乾燥炉の中に置いた場合、塗膜は加温されて熱風の湿球温度に到達し、塗膜中に水分が存在する間は、塗膜温度はほぼ一定で流入熱量は全て水分蒸発に使用される。このときの乾燥速度は一定の値を示し、これを恒率乾燥速度という。恒率乾燥速度の推算には下記式(1)(亀井三郎編、「化学機械の理論と計算」、第2版、産業図書)を用いた。
Figure 0004937073
Rc:恒率乾燥速度[g/m2・s]
α :熱伝達率[Kcal/m2・h・℃]
H :湿り比熱容量[Kcal/kg・DA・℃]
χ'S:湿球温度における飽和絶対湿度[kg/kg・DA](DAはドライエア)
χ :絶対湿度[kg/kg・DA]
ここで、熱伝達率αは、乾燥に用いる熱風の温度、乾燥設備における金属板に向けて熱風を吹き出すノズルの条件(ピッチや径)、ノズル出側の熱風速度およびノズルと金属板との距離を測定することにより、下記式(2)で計算される数値である(日本機械学会編、「伝熱工学資料」、社団法人日本機械学会)。湿球温度における飽和絶対湿度は、熱風の温度と圧力(静圧)が決まれば定まる値であり、絶対湿度は熱風の露点を測定する等して熱風中に含まれる水分量を求めることで推算することが可能である。
Figure 0004937073
α :熱伝達率[Kcal/m2・h・℃]
S :ノズルピッチ[m]
Ve:ノズル出側風速[m/s]
D :ノズル径[m]
h :ノズルと金属板との距離[m]
ν :噴流(熱風)の動粘度[m2/s]
λ :熱伝導度[Kcal/m・h・℃]
噴流の動粘度νと熱伝導度λは、「流体の熱物性値集」(社団法人日本機械学会)に記載されており、任意の温度における絶対湿度χは、「化学工学通論I」(疋田晴夫著、朝倉書店)を参考にした。
本発明では、前記したとおり、上記恒率乾燥速度Rcを10.0g/m2・s以上にしなければならない。Rcが小さいと、塗膜からの水分の蒸発速度が遅くなり、エポキシ架橋剤の自己縮合が起こってしまい、有効な架橋密度を確保できなくなるからである。恒率乾燥速度Rcを10.0g/m2・s以上にするには、上記式(1)のαが大きくなるように、上記式(2)の変数を大きくすればよい。
樹脂皮膜の付着量(厚み)は、乾燥後において、0.2〜2.5g/m2が好ましい。薄すぎると、金属板への均一塗工が難しく、加工性、耐食性、塗装性等、目的とするバランスのとれた皮膜特性を得難い。しかし、付着量が2.5g/m2を超えると、プレス加工の際に樹脂皮膜の剥離量が多くなって、金型への剥離皮膜の付着蓄積が起こり、プレス成形に支障を生じる上、製造コスト的にも無駄である。より好ましい樹脂皮膜付着量の下限は0.5g/m2であり、上限は2.0g/m2である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
実験例1(実施例1〜4,比較例1〜3)
厚さ0.8mmの鋼板の表面に、電気めっき法により付着量20g/m2の亜鉛めっきを施した電気亜鉛めっき鋼板をアルカリ脱脂してから水洗、乾燥したものを原板として使用した。
オートクレーブに、水626質量部(以下、単に「部」という)と、エチレン−アクリル酸共重合体(ダウ・ケミカル社製「プリマコール(登録商標)5990I」:アクリル酸由来の構成単位20質量%:質量平均分子量(Mw)20,000:メルトインデックス1300:酸価150)160部とを加え、さらに、エチレン−アクリル酸共重合体のカルボキシル基100モル%に対して40モル%となるように、トリエチルアミン(3級アミン)を添加した。150℃、5気圧の雰囲気下で高速撹拌し、エチレン−アクリル酸共重合体のエマルジョンを得た。
続いて、アジリジン系架橋剤として、4,4’−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン(日本触媒社製「ケミタイト(登録商標)DZ−22E」)を、樹脂組成物の固形分100質量%中、固形分で5質量%となるように添加し、さらに、エポキシ架橋剤(ナガセケムテックス社製「デナコール(登録商標)EX−321L」)を樹脂組成物の固形分100質量%中、固形分で5質量%となるように添加し、撹拌した。
次に、コロイダルシリカ(「スノーテックス(登録商標)−XS」;日産化学工業社製)を、樹脂組成物の固形分100質量%中、固形分で40質量%となるように添加し、よく撹拌して、樹脂組成物を得た。
前記金属板に、バーコート法で、付着量(乾燥皮膜質量)で0.6g/m2となるように塗布し、乾燥条件を種々変更して樹脂塗装金属板を作製した。
長手方向に50mm間隔で6本ノズルを配置し、この列を、幅方向に50mm間隔で5列配置した熱風加熱装置を用いた。ノズルピッチ50mmで、ノズル総本数は5×6=30本となる。ノズル内径はφ9.4mmである。熱交換機により加熱炉の排ガスと熱交換することで、空気(30℃で相対湿度100%)を加熱した。表1に示したように条件を変えて、上面から樹脂塗膜付き金属板を加熱し、樹脂塗装金属板を得た。
なお、前記式(1)における湿球温度は、乾燥工程での樹脂塗膜付き金属板の温度プロフィールを測定しながら、塗膜表面の水膜が消失する時点(光って見える水膜がなくなったとき)の温度を読み取ることで決定した。
得られた樹脂塗装金属板について、下記方法で、耐食性の評価とFT−IR分析を行った。加熱乾燥条件を表1に、評価結果を表2に示した。また、実施例1で得られた樹脂皮膜のFT−IRスペクトルを図1に示した。
[耐食性]
JIS Z2371に基づいて塩水噴霧試験を実施して、白錆発生率(100×白錆が発生した面積/供試材の全面積)が1%になるまでの時間を測定した。◎は、360時間以上、○は264時間以上360時間未満、△は240時間以上264時間未満、×は240時間未満である。なお、△が従来レベルである。
[FT−IR分析法]
測定方法:赤外線偏光反射法
比較材:金蒸着ミラー
分解能:4cm-1
積算回数:512回
装置:日本分光社製FT/IR−400 (フーリエ変換赤外分光光度計)
得られた吸収スペクトルの波長1730cm-1付近のエステル結合の吸収強度と、1600cm-1付近のカルボン酸塩の吸収強度を、800cm-1付近のシリカの吸収強度で除算してから、比率を算出した。
Figure 0004937073
Figure 0004937073
表1および表2から明らかなとおり、恒率乾燥速度が10.0g/m2・s以上の本発明実施例は、いずれも耐食性が良好であり、波長1730cm-1付近のエステル結合の吸収強度と、1600cm-1付近のカルボン酸塩の吸収強度との比率も、1.5を上回っていた。しかし、恒率乾燥速度が10.0g/m2・s未満の比較例は、いずれも耐食性に劣り、吸収強度の比率も、1.5を下回るものであった。
実験例2(近赤外線加熱)
ハロゲンランプが組み込まれた近赤外線加熱ユニット(ウシオ電機社製;AKS−2;パラボラタイプ)を4セット並べた。このランプの定格消費電力は2000W/本、定格電圧220V(AC)、発光長は350mm、加熱面積は432mm×200mmである。ランプと金属板の距離が30mmとなるようにして、樹脂塗膜付き金属板(乾燥前板温20℃)を2秒間加熱乾燥した。入熱量は定格電圧220Vで45kW/m2であり、到達板温は60℃であった。
耐食性の評価結果は×であった。1730cm-1付近のエステル結合の吸収強度は0.80と少なく、1600cm-1付近のカルボン酸塩の吸収強度は1.50と多かった。エステル結合とカルボン酸塩との吸収強度の比率は0.53であった。熱風が供給されないため、水の蒸発速度が遅くなって、エポキシ架橋剤とカルボキシル基の反応があまり進行しなかったためと考えられる。
実験例3(誘導加熱)
銅管製コイル(φ10mm、21巻)に、高周波電源(ジェミックス社製;HFIH−20KW)を用いて高周波の交流電流20kWを流し、金属板に誘導電流を発生させ、そのジュール熱により、樹脂塗膜を2秒間加熱乾燥した。コイル一巻きの長径(内径:水平方向の長さ)は260mm、短径(内径:高さ方向の長さ)は60mm、コイル部分の全長は330mmであり、入熱面積は0.066m2である。入熱量は3kWであり、到達板温は60℃であった。
耐食性の評価結果は×であった。1730cm-1付近のエステル結合の吸収強度は0.82と少なく、1600cm-1付近のカルボン酸塩の吸収強度は1.46と多かった。エステル結合とカルボン酸塩との吸収強度の比率は0.56であった。近赤外線加熱の場合と同様に、熱風が供給されないため、水の蒸発速度が遅くなって、エポキシ架橋剤とカルボキシル基の反応があまり進行しなかったためと考えられる。
本発明の樹脂塗装金属板は、耐食性に優れているので、自動車、家電製品、建材等に好適に用いることができる。
実施例1のFT−IRスペクトルである。

Claims (5)

  1. カルボキシル基含有水系樹脂と水系のエポキシ架橋剤とを含む樹脂組成物から得られる樹脂皮膜を備えた樹脂塗装金属板であって、樹脂皮膜のFT−IR測定で得られる吸収スペクトルにおける1730cm-1付近のエステル結合の吸収強度が、1600cm-1付近のカルボン酸塩の吸収強度の1.5倍以上であることを特徴とする樹脂塗装金属板。
  2. 上記カルボキシル基含有水系樹脂が、アミンで中和されたものである請求項1に記載の樹脂塗装金属板。
  3. 上記アミンが3級アミンである請求項2に記載の樹脂塗装金属板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂塗装金属板を製造する方法であって、カルボキシル基含有水系樹脂と水系のエポキシ架橋剤とを含む樹脂組成物を金属板に塗布した後、恒率乾燥速度10.0g/m2・s以上で乾燥することを特徴とする樹脂塗装金属板の製造方法。
  5. 熱風を吹き付けることにより乾燥を行う請求項4に記載の樹脂塗装金属板の製造方法。
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