JP4936956B2 - 層間化合物、層間化合物の製造方法及び複合材料 - Google Patents

層間化合物、層間化合物の製造方法及び複合材料 Download PDF

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本発明は、層状無機化合物の層間に有機化合物が挿入されている層間化合物、その層間化合物の製造方法、及びその層間化合物と高分子材料と複合化した複合材料に関する。
層間化合物としては、層状無機化合物の層間に有機化合物を挿入したものが知られている。(特許文献1及び2参照)。特許文献1には、膨潤性層状珪酸塩の層間にトリアジン系化合物誘導体が挿入された珪酸トリアジン塩複合体が開示されている。そして、この珪酸トリアジン塩複合体を熱可塑性樹脂に配合することで、難燃性を有する樹脂複合体が得られている。特許文献2には、メラミンが層間に挿入された層間化合物が開示されている。そして、この層間化合物を高分子材料に配合することで、難燃性を有する複合材料が得られている。
特開平10−81510号公報 特開2006−290723号公報
本発明は、高分子材料の難燃性を高める際に適した層間化合物を見出すことによりなされたものである。本発明の目的は、高分子材料の難燃性を高めることのできる層間化合物、その層間化合物の製造方法、その層間化合物によって難燃性の高められた複合材料を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の層間化合物は、層状無機化合物の層間に有機化合物が挿入されてなり、高分子材料に混合される層間化合物であって、前記有機化合物がカルボン酸無水物及びメラミンであることを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の層間化合物において、前記カルボン酸無水物が無水コハク酸及び無水マレイン酸の少なくとも一方であることを要旨とする。
請求項3に記載の発明の層間化合物の製造方法は、層状無機化合物の層間に有機化合物が挿入されてなり、高分子材料に混合される層間化合物の製造方法であって、前記有機化合物がカルボン酸無水物及びメラミンであり、前記層状無機化合物の層間に、前記カルボン酸無水物を挿入した前駆体を得る第1の挿入工程と、前記前駆体を構成する層状無機化合物の層間に、前記メラミンを挿入する第2の挿入工程とを含むことを要旨とする。
請求項4に記載の発明の複合材料は、層状無機化合物の層間に有機化合物が挿入された層間化合物を高分子材料に混合してなる複合材料であって、前記有機化合物がカルボン酸無水物及びメラミンであることを要旨とする。
本発明の層間化合物によれば、高分子材料の難燃性を高めることができる。本発明の層間化合物の製造方法によれば、高分子材料の難燃性を高めることのできる層間化合物が得られる。本発明の複合材料によれば、層間化合物の混合によって高められた難燃性を発揮することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を詳細に説明する。
本実施形態における層間化合物は、層状無機化合物の層間に有機化合物が挿入されているものであり、その有機化合物はカルボン酸無水物及びメラミンである。こうした層間化合物は高分子材料に混合されることにより、難燃性を発揮する複合材料を得ることができる。
<層状無機化合物>
層状無機化合物は、その層間に存在するイオンによって、陽イオン交換性化合物及び陰イオン交換性化合物に分類される。陽イオン交換性化合物は、層間に交換性の陽イオンが存在している化合物であって、例えば膨潤性雲母(膨潤性マイカ)、スメクタイト族粘土鉱物、バーミキュライト族粘土鉱物、ゼオライト、セピオライト等が挙げられる。
膨潤性雲母としては、Na型テトラシリシックフッ素雲母、Li型テトラシリシックフッ素雲母、Na型フッ素テニオライト、Li型フッ素テニオライト等が挙げられる。スメクタイト族粘土鉱物としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトナイト、スティブンサイト等が挙げられる。バーミキュライト族粘土鉱物としては、3八面体型バーミキュライト、2八面体型バーミキュライト等が挙げられる。
また、陽イオン交換性化合物としては、例えば下記一般式(1)で示される膨潤性層状珪酸塩を挙げることもできる。
〔A(X)(Si4−dAl)O10(OH2−e)〕 …(1)
一般式(1)中におけるaの値は0.2≦a≦1.0、bの値は0≦b≦3、cの値は0≦c≦2、dの値は0≦d≦4、及びeの値は0≦e≦2である。
一般式(1)中のAは、交換性陽イオンを示し、アルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンからなる群から選ばれる少なくとも1個の陽イオンである。Aで示される交換性金属イオンの金属原子としては、例えばLi、Na等が挙げられる。
一般式(1)中におけるX及びYは、膨潤性層状珪酸塩の構造内における八面体シートに入る陽イオンであって、XはMg、Fe、Mn、Ni、Zn及びLiから選ばれる少なくとも一つの金属原子が構成する陽イオンであり、YはAl、Fe、Mn及びCrから選ばれる少なくとも一つの金属原子が構成する陽イオンである。
陰イオン交換性化合物は、層間に陰イオンが存在している化合物であって、例えばハイドロタルサイト、及びハイドロタルサイト状化合物を含むハイドロタルサイト類が挙げられる。ハイドロタルサイト類は、層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide:LDH)の一種であって、例えば下記一般式(2)で示される。
〔M2+ 1−x3+ (OH)x+〔An− x/n・yHO〕x− …(2)
一般式(2)中におけるM2+は二価の金属原子、M3+は三価の金属原子、An−はn価の交換性の金属イオン、x=0.2〜0.33、yは環境湿度によって変化するため特に限定されないが、例えば0<y<1である。M2+としては、例えばMg2+、Mn2+、Ni2+、Zn2+等が挙げられる。M3+としては、例えばAl3+、Cr3+、Fe3+、Co3+等が挙げられる。An−としては、例えばOH、Cl、NO 、SO 、CO 2−等が挙げられる。なお、ハイドロタルサイトはMgAl(OH)16CO・4HOで示される。
<有機化合物>
有機化合物としてのカルボン酸無水物は、高分子材料の難燃性を高める層間化合物を得るために、メラミンとともに層状無機化合物の層間に挿入される。カルボン酸無水物としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸等が挙げられる。カルボン酸無水物の中でも、無水コハク酸及び無水マレイン酸の少なくとも一方が好ましい。無水コハク酸及び無水マレイン酸は、無水酢酸及び無水プロピオン酸よりも、取り扱い性が良好であるという利点を有する。有機化合物としてのメラミンは、加熱により不燃性のガスを発生する。こうした不燃性のガスは、高分子材料の燃焼を抑制する。すなわち、メラミンは高分子材料に難燃性を付与する化合物である。
<層間化合物>
層間化合物を構成する層状無機化合物の層間には、カルボン酸無水物及びメラミンが介在している。こうした層間化合物の製造方法は、層状無機化合物の層間に、カルボン酸無水物を挿入した前駆体を得る第1の挿入工程と、その前駆体を構成する層状無機化合物の層間に、メラミンを挿入する第2の挿入工程とを含む。
第1の挿入工程では、層状無機化合物とカルボン酸無水物とを固体状態で接触させるとともにそれら層状無機化合物及びカルボン酸無水物に対して、剪断力、衝撃力等の運動エネルギーを加える。すなわち、層状無機化合物の層間に存在するイオンのイオン交換を利用せずに、層状無機化合物及びカルボン酸無水物に外力を加えることで、層状無機化合物の層間にカルボン酸無水物を挿入する。なお、こうして得られた前駆体では、その層間において、層状無機化合物の有している交換性のイオン量が保持されている。そして前駆体を構成する層状無機化合物の層間には、非イオン化状態で挿入されたカルボン酸無水物が介在している。こうしたカルボン酸無水物の介在によって、前駆体を構成する層状無機化合物の層間距離は、層状無機化合物単体の層間距離よりも拡張されている。
第1の挿入工程において、層状無機化合物に対するカルボン酸無水物の配合量は、層状無機化合物100質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.1〜70質量部、さらに好ましくは0.1〜50質量部である。層状無機化合物100質量部に対するカルボン酸無水物の配合量が0.1質量部未満の場合、カルボン酸無水物の層間挿入量を十分に確保することが困難となるおそれがある。一方、層状無機化合物100質量部に対するカルボン酸無水物の配合量が100質量部を超える場合、層間挿入量の向上率の低下を招くため、不経済となるおそれがある。
第2の挿入工程では、前駆体とメラミンとを固定状態で接触させるとともに、それら前駆体及びメラミンに対して、剪断力、衝撃力等の運動エネルギーを加える。こうした第2の挿入工程により、前駆体を構成する層状無機化合物の層間にメラミンが挿入されることで、上述した層間化合物が得られる。ここで、前駆体を構成する層状無機化合物の層間は、カルボン酸無水物の挿入によって予め拡張されている。このため、第2の挿入工程においては、メラミンが層間挿入され易くなり、メラミンの層間挿入量を増大させることが可能である。
第2の挿入工程において、メラミンの配合量は、第1の挿入工程にて用いた層状無機化合物100質量部当たりの配合量で、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは0.1〜70質量部、さらに好ましくは1〜50質量部である。層状無機化合物100質量部当たりのメラミンの配合量が0.1質量部未満の場合、メラミンの層間挿入量を十分に確保することが困難となるおそれがある。一方、層状無機化合物100質量部当たりのメラミンの配合量が100質量部を超える場合、層間挿入量の向上率の低下を招くため、不経済となるおそれがある。
第1の挿入工程及び第2の挿入工程には、例えばボールミル、ハンマーミル、ジェットミル、ニーダー等の装置が好適に使用される。
<複合材料>
複合材料は、上述した層間化合物と高分子材料とを混合することにより複合化した材料である。高分子材料は複合材料の母材として含有され、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂及びゴム類に分類される。熱可塑性樹脂としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、スチレン・アクリロニトリル系樹脂の他、ポリカーボネート、ポリサルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等が挙げられる。オレフィン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等が挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、各種ポリエステル系エラストマー等が挙げられる。ポリアミド系樹脂としては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、非晶性ポリアミド、ポリメタクリルイミド等が挙げられる。スチレン・アクリロニトリル系樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。
ゴム類としては、ウレタンゴム、シリコーンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴム、天然ゴム等が挙げられる。
これらの高分子材料は、単独で使用してもよいし、複数種を組み合わせたポリマーアロイやブロック共重合体として使用してもよい。
複合材料中における層間化合物の含有量は、高分子材料100質量部に対して、好ましくは0.1〜200質量部、より好ましくは0.5〜100質量部、さらに好ましくは1〜60質量部である。高分子材料100質量部に対する層間化合物の配合量が0.1質量部未満の場合、複合材料の難燃性が顕著に向上され難くなるおそれがある。一方、高分子材料100質量部に対する層間化合物の配合量が200質量部を超える場合、複合材料の成形性が十分に得られないおそれがある。
この複合材料には、層間化合物以外の成分として充填剤、腐食防止剤、着色剤、制電剤、湿潤剤等を必要に応じて含有させることもできる。
高分子材料と層間化合物との複合化は、高分子材料に層間化合物を配合し、高分子材料と層間化合物とを混合することによって行うことができる。なお、複合材料は、高分子材料と層間化合物とを複合化したマスターバッチとして構成し、そのマスターバッチを高分子材料で希釈して使用してもよい。
高分子材料と層間化合物とを混合する装置としては、バンバリーミキサー、プラネタリーミキサー、グレンミル、ニーダー等の公知の混合機の他に、ディゾルバー、各種押出機を使用することが可能である。上記混合に際して、加熱が必要な場合には、加熱装置を備えた装置を使用する。
本実施形態の複合材料は、難燃性を発揮する複合材料であって、例えば電気・電子分野、自動車分野、建築分野等の各種成形品を成形する複合材料として使用することができる。
次に、本実施形態の層間化合物の作用について説明する。
高分子材料に層間化合物を混合して複合材料を調製する際に、層間化合物には剪断力が加わることになる。また、層間化合物は、高分子材料の極性等の化学的な影響を受けることになる。そして、複合材料を成形する際にも同様に、層間化合物には剪断力が加わったり、層間化合物が化学的な影響を受けたりする。一般に、層間化合物は、有機化合物の挿入によって層間が拡張されていると、高分子材料と混合する際に加わる剪断力、又は化学的な影響を要因として、層間剥離が進行し易い。本実施形態の層間化合物を構成する層状無機化合物の層間には、カルボン酸無水物及びメラミンが挿入されているため、層間剥離の進行は抑制されるようになる。このため、例えば複合材料の調製時等において、層状無機化合物の層間に介在するメラミンの割合が高められる。
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1) 複合材料の調製時、又は複合材料の成形時において、層間化合物が層間剥離すると、層状無機化合物に挿入されていたメラミンが露出することになる。露出したメラミンは、高分子材料中において単独で分散すると推測される。メラミンは昇華性を有する有機化合物であるため、分散したメラミンは高分子材料の加熱に伴って昇華する。こうした昇華を通じて、メラミンは高分子材料から放出されてしまう。このようにメラミンが高分子材料から放出されてしまうと、複合材料及びその複合材料から得られた成形体では、メラミンの配合量に応じた難燃性が得られ難くなる。本実施形態の層間化合物では、層状無機化合物の層間に、カルボン酸無水物及びメラミンが挿入されているため、例えば高分子材料と混合するに際して、層間化合物の層間剥離が抑制される。このため、複合材料の調製時、又は複合材料の成形時において、メラミンが高分子材料から放出する現象を抑制することができる。従って、メラミンの配合量に応じた難燃性が発揮され易い。よって、カルボン酸無水物の存在しない層間化合物を配合したときよりも、高分子材料の難燃性を高めることができる。
(2) カルボン酸無水物は、無水コハク酸及び無水マレイン酸の少なくとも一方であることが好ましい。無水コハク酸及び無水マレイン酸は、取り扱い性が良好であるという利点を有するため、層間化合物の取り扱い性が良好になる。また、層間化合物の原料の取り扱い性が容易であることから、層間化合物の製造設備を簡略化することができる。
(3) 層間化合物の製造方法は、層状無機化合物の層間に、カルボン酸無水物を挿入した前駆体を得る第1の挿入工程と、その前駆体を構成する層状無機化合物の層間に、メラミンを挿入する第2の挿入工程とを含む。この製造方法によれば、層状無機化合物の層間は予めカルボン酸無水物によって拡張される。このため、層状無機化合物の層間に対するメラミンの挿入量を増大させることができる。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記層状無機化合物が、膨潤性雲母、スメクタイト族粘土鉱物、バーミキュライト族粘土鉱物、ゼオライト、セピオライト、及びハイドロタルサイト類から選ばれる少なくとも一種である層間化合物。
・ 前記層状無機化合物と有機化合物とを固体状態で接触させるとともにそれら層状無機化合物及び有機化合物に対して運動エネルギーを加えることにより、前記挿入を実施する層間化合物の製造方法。
次に、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明する。
(実施例1−A)
層状無機化合物として合成マイカ[Na型テトラシリシックフッ素雲母:ソマシフ(商品名)ME−100、コープケミカル(株)製]100質量部に対して、無水コハク酸10質量部を配合し、ボールミルを用いて室温(25℃)で45分間混合することにより、合成マイカの層間に無水コハク酸を挿入した(第1の挿入工程)。この第1の挿入工程により得られた前駆体とメラミンとを同じくボールミルを用いて室温(25℃)で120分間混合することにより、層間化合物を調製した(第2の挿入工程)。この第2の挿入工程において、前駆体に対するメラミンの配合量は、合成マイカ100質量部当たりの配合量で、37.8質量部である。
原料として用いた合成マイカ及び層間化合物について、X線回折によって層間距離の分析を行った。図1及び図2には、それぞれ合成マイカ及び層間化合物のX線回折パターンを示している。これらX線回折パターンにおいて、合成マイカのピーク位置は2θ=9°付近である一方で、層間化合物のピーク位置は2θ=7°付近である。すなわち、層間化合物のピーク位置は、合成マイカのピーク位置よりも低角側にシフトしているため、層間化合物の層間距離は、無水コハク酸及びメラミンの挿入によって拡張されていることがわかる。
(比較例1−A)
比較例1−Aにおいては、第1の挿入工程を省略した以外は、実施例1−Aと同様にして合成マイカにメラミンを挿入することにより、層間化合物を調製した。図3には、比較例1−Aにおける層間化合物のX線回折パターンを示している。このX線回折パターンにおいて、メラミンの挿入に基づくピークが2θ=7°付近に発現している。
(実施例1−B)
実施例1−Bにおいては、ポリアミド6(1011FB、宇部興産(株)製)100質量部に対して、実施例1−Aの層間化合物を3質量部配合した後、二軸押出機を用いて樹脂温度250℃、スクリュー回転数50回転/分の条件で混練することにより、複合材料を調製した。図4には、実施例1−Bにおける複合材料のX線回折パターンを示している。このX線回折パターンにおいて、層間化合物の層間距離を示すピーク(2θ=7°付近)が残留していることが確認されることから、複合材料を調製した後であっても、層間剥離していない層間化合物が存在していることがわかる。
(比較例1−B)
比較例1−Bにおいては、実施例1−Aの層間化合物を比較例1−Aの層間化合物に変更した以外は、実施例1−Bと同様にして複合材料を調製した。図5には、比較例1−Bにおける複合材料のX線回折パターンを示している。このX線回折パターンにおいては、層間化合物の層間距離を示すピーク(2θ=7°付近)が、2θ=6°よりも低角側にシフトしていることが確認されているため、この複合材料では、層間化合物の層間剥離が実施例1−Bよりも進行していることがわかる。
(難燃性の評価)
実施例1−B及び比較例1−Bにおける複合材料の難燃性について、米国アンダー・ライターズ・ラボラトリーズ・インク(Under Writers Laboratories Inc)によって制定された規格であるUL94に準拠した垂直燃焼試験により評価した。実施例1−Bの複合材料では、厚さ1/32インチ及び厚さ1/64インチのいずれの試料おいても、V−0の基準の難燃性を有していた。一方、比較例1−Bの複合材料では、厚さ1/32インチの試料においてV−0の難燃性を有していたものの、厚さ1/64インチの試料においてはV−0の難燃性は有していなかった。このように実施例1−Aの層間化合物を混合した複合材料では、難燃性が高まることがわかる。
層状無機化合物のX線回折パターンを示す図。 実施例1−Aにおける層間化合物のX線回折パターンを示す図。 比較例1−Aにおける層間化合物のX線回折パターンを示す図。 実施例1−Bにおける複合材料のX線回折パターンを示す図。 比較例1−Bにおける複合材料のX線回折パターンを示す図。

Claims (4)

  1. 層状無機化合物の層間に有機化合物が挿入されてなり、高分子材料に混合される層間化合物であって、前記有機化合物がカルボン酸無水物及びメラミンであることを特徴とする層間化合物。
  2. 前記カルボン酸無水物が無水コハク酸及び無水マレイン酸の少なくとも一方であることを特徴とする請求項1に記載の層間化合物。
  3. 層状無機化合物の層間に有機化合物が挿入されてなり、高分子材料に混合される層間化合物の製造方法であって、
    前記有機化合物がカルボン酸無水物及びメラミンであり、
    前記層状無機化合物の層間に、前記カルボン酸無水物を挿入した前駆体を得る第1の挿入工程と、
    前記前駆体を構成する層状無機化合物の層間に、前記メラミンを挿入する第2の挿入工程とを含むことを特徴とする層間化合物の製造方法。
  4. 層状無機化合物の層間に有機化合物が挿入された層間化合物を高分子材料に混合してなる複合材料であって、
    前記有機化合物がカルボン酸無水物及びメラミンであることを特徴とする複合材料。
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