JP4936781B2 - 耐候性鋼材の製造方法 - Google Patents

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本発明は、耐候性を有する鋼材の製造方法及び耐候性を有する鋼材に係わり、更に詳しくは鋼材の表面に溶融亜鉛メッキ層とセラミックスコーティング層の複合皮膜を形成することにより相乗的に高い耐候性を有する鋼材の製造方法及びその製造方法によって得られた耐候性を有する鋼材に関する。
近年、ますます設備の拡充がなされている送電鉄塔やパラボラアンテナなどの電力、通信設備をはじめ多くの屋外建築構造物が増加傾向にあるが、これらの屋外建築構造物が亜硫酸ガスや窒素酸化物を成分とする酸性雨に曝され、腐食の度合いが大きくなっていくことが予測される。また、平野部の少ない我が国においては、交通量の増大、輸送力の向上のために建設される新設の高速道路は、山間部や海岸部に設けざるを得ず、そのため山間部では冬季の凍結対策として路面に散布した凍結防止剤(塩化ナトリウム、塩化カルシウムなど)、海岸部では海水による道路施設関係の腐食が激しくなり、従来の溶融亜鉛メッキでは十分に対応できない状態にある。
従来、送電鉄塔や道路施設関係の鋼材、さらには建築構造物の鋼材に耐食性を付与する方法として、溶融亜鉛メッキ処理がよく使用されている。この溶融亜鉛メッキは、簡便な方法であり、鋼材の耐食性を高めるのに優れた処理ではあるが、溶融亜鉛メッキよりも更に耐食性の高い皮膜が要求されようになってきた。溶融亜鉛メッキの白化を防止するために、その表面をクロメート処理することも一般的に行われていたが、6価クロムが公害の原因となるので最近ではクロメート処理は敬遠されるようになってきた。
クロムを含まない溶融亜鉛メッキ表面処理方法が様々提案されているが、これらは高価な金属の使用や乾燥設備が必要であった。溶融亜鉛メッキは非常に安価な防食方法であるため、高価な金属の使用は望ましくない。溶融亜鉛メッキは、特に大型構造物等のメッキ処理に適しているが、大型構造物の乾燥設備を設けることは難しく、通常加熱を伴わない乾燥が望ましい。
特許文献1には、亜鉛メッキされた鋼板を、クロムを用いないで耐食性処理する方法として、水ガラスと少なくともチオカルボニル基含有化合物及びバナジウム酸化合物の少なくとも1種とを含む皮膜層で、亜鉛メッキ鋼板を被覆する方法を開示している。しかし、特許文献1の処理方法は、鋼材をコーティング剤で処理した後、50℃以上で加熱乾燥することが必須であるため、溶融亜鉛メッキした特に大型の鋼材には使用できない技術であった。
本出願人は、特許文献2に開示される鋼材の表面に溶融亜鉛メッキ層とセラミックスコーティング層の複合皮膜を形成する表面処理方法を提案している。具体的には、鋼材表面に溶融亜鉛メッキ層を形成した後、該溶融亜鉛メッキ層の上に、ゾルゲル法によってSi、Al又はTiの酸化物セラミックスで形成されたセラミックスコーティング層を形成してなるものである。ここで、前記セラミックスコーティング層は、Si、Al又はTiの金属アルコキシドを出発原料とし、アルコールの溶液とした後、水と反応させて加水分解し、そのゾル溶液を鋼材表面に付着させてゲル化し、それを乾燥処理するゾルゲル法によって、鋼材の溶融亜鉛メッキ層表面にSi、Al又はTiの酸化物セラミックス皮膜を形成したものである。前述のゾル溶液としては、アルミニウムイソプロポキシドに2−プロパノールを加え、更に塩酸を添加してpHを0〜3に調製し、アルミニウムイソプロポキシドの濃度を0.2〜0.5モル/リットルとしたアルミナ系のゾル溶液を用いている。
しかし、この特許文献2に記載の方法は、ゾル溶液の管理が難しく、そのまま放置していると約3ヶ月程度で固化(ゲル化)して使用できなくなる。その原因の一つに挙げられるのは、溶媒として用いた揮発性を有するアルコールが徐々に蒸発して濃度変化が生じることである。また、ゾル溶液は強酸性であり、使用した塩酸等が溶融亜鉛メッキ層とセラミックスコーティング層との間に残留して耐久性に悪影響を及ぼすことが考えられる。
さらに本出願人は、特許文献3に開示される内容の方法にて腐食性の塩酸などを用いず、且つゾル溶液の管理が容易である、溶融亜鉛メッキ処理された鋼材に高耐候性を付与する方法を提供している。これは、鋼材の表面に亜鉛メッキ層を形成し、そのメッキ層の上にゾルゲル法によってSi、Al又はTiの酸化物セラミックスで形成されたセラミックスコーティング層を形成してなるものである。ここで、前記セラミックスコーティング層は、Si、Al又はTiのアルコキシドを出発原料とし、この原料に水と塩基性触媒の水溶液を添加しながら撹拌し、pH9以上のアルカリ溶液のゾル溶液を調整しそのゾル溶液を鋼材表面に付着させてゲル化し、それを乾燥処理するゾルゲル法によって、鋼材の溶融亜鉛メッキ層表面にSi、Al又はTiの酸化物セラミックス皮膜を形成したものである。
しかし、特許文献3記載の方法も改善の余地を残していた。即ち、特許文献3の方法で処理された鋼材は、乾燥後表面に白化を起こす場合があり、また耐候性の面でも十分改善の余地があった。
特開2000−219976号公報 特許第3334048号公報 特開2006−63358号公報
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとする課題は、溶融亜鉛メッキ処理と、表面のセラミックスコーティング処理とを組み合わせ、両処理の利点を相乗的に発揮させることであって、処理液の管理が極めて容易であり、比較的低温環境下で乾燥させても、鋼材表面に白化を発生せず、且つ処理コストが低い優れた耐候性を有する鋼材を製造する方法を提供することである。
本発明者は、上記課題の解決のために鋭意研究を重ねた結果、溶融亜鉛メッキされた鋼材表面をアルカリ金属ケイ酸塩を主成分とする処理液でコーティングする際に、前記アルカリ金属ケイ酸塩中のアルカリ金属としてナトリウムではなく、カリウム、ルビジウム及び/又はセシウムを主として含有することで、結果としてより効果的な耐候性乃至防錆性を有する鋼材を得ることができることを見出した。さらに本発明者は、前記処理液を用いると、比較的低温条件下でコーティング層を乾燥しても、表面に白化を生じないことを見出した。本発明は、このような知見に基づいて完成したものであり、以下の態様の耐候性鋼材の製造方法を提供する。
1.溶融亜鉛メッキされた鋼材表面を、アルカリ金属ケイ酸塩(アルカリ金属は、カリウム、セシウム及びルビジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む)処理液でコーティングし、50℃未満の温度で乾燥させて前記亜鉛メッキされた鋼材表面上にセラミックスコーティング層を形成することを特徴とする耐候性鋼材の製造方法。
2.前記アルカリケイ酸塩処理液が、組成式;MO・nSiO(Mは、カリウム、ルビジウム、セシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、n=1.5〜5.5)で表される化合物を含む溶液である、項1記載の方法。
3.前記アルカリ金属ケイ酸塩処理液がカリ水ガラス、セシウム水ガラス及びルビジウム水ガラスから成る群から選択される少なくとも1種からなる項1又は2に記載の方法。
4.前記アルカリ金属ケイ酸塩処理液が、アルコキシシランをカリウム、ルビジウム及び/又はセシウム含有塩基性触媒を用いて加水分解することによって調製される項1又は2記載の方法。
5.前記アルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プトキシシラン、テトラ−i−プトキシシラン、テトラ−t−プトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−プトキシシラン及びメチルトリ−t−プトキシシランから選択される1種以上である項4記載の鋼材に耐候性を付与する方法。
6.塩基性触媒が、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウムから選択される1種以上である項4記載方法。
7.項1〜6記載の方法によって製造された耐候性鋼材。
本発明の耐候性鋼材の製造方法は、溶融亜鉛メッキ層の上にセラミックスコーティング層を形成するため、亜鉛メッキ層の信頼性の高い耐食性とセラミックスコーティング層の優れた耐食性乃至耐候性とによる相乗的に高められた耐候性を有する鋼材を製造することができる。また、本発明のコーティング用処理液は、長期間にわたって安定であるので、処理液の管理が極めて容易である。本発明の方法は、加熱等を用いない条件下でセラミックスコーティング層を乾燥させても表面に白化を生じない。この加熱を必要としないセラミックス層形成のための乾燥は、エネルギー消費及びコストの削減の面において有利であるだけでなく、加熱乾燥が現実的に困難な大型及び/又は複雑な形状の鋼材(例えば、送電鉄塔や道路施設に用いる鋼材)をコーティング処理する場合に非常に望ましい。また、乾燥時に従来発生していた表面の白化を効果的に抑えることができるため、本発明の方法によって製造された鋼材は、製品の性能と美観に優れている。本発明の方法は、クロムを使用しないので、六価クロムを原因とする公害が発生する恐れがない。さらに、排水処理が中和処理だけで済むので、その取扱いに優れている。
以下に、本発明の詳細を実施形態に基づいて更に詳しく説明する。
(鋼材のメッキ) 本発明の方法は、溶融亜鉛メッキ処理された鋼材に更なる加工を施すものである。鋼材表面の溶融亜鉛メッキの一般的な工程は、鋼材を酸洗し、水洗した後、フラックス処理し、それを所定温度(約450℃程度)に設定した溶融亜鉛浴に所定時間浸漬し、所定速度で引き上げ、空冷又は水冷し、鋼材の表面に所定厚みの溶融亜鉛メッキ皮膜を形成するというものである。
亜鉛メッキ皮膜は、着色処理したものであっても良い。この着色処理には、本出願人の特許発明(特許第2920148号公報)を利用することができる。つまり、亜鉛メッキ皮膜を形成した鋼材を、マンガンを主成分とした化成処理液に浸漬して皮膜表面を黒色系に着色する化成処理を施した後、水洗し、次いでクロムを主成分とした後処理液に浸漬して耐食性を賦与する後処理を施してなる亜鉛メッキ皮膜の着色方法であり、具体的には、過マンガン酸カリウム(KMnO4):10〜80g/リットルと、リン酸三ナトリウム(NaPO・12HO):20〜200g/リットルと、水酸化ナトリウム(NaOH):10〜100g/リットルからなる化成処理液を用い、処理液温度30〜70℃、処理時間2〜15分の化成処理条件で亜鉛メッキ鋼材を浸漬する化成処理と、無水クロム酸(CrO):1〜20g/リットルからなり、pH1.0〜4.0に調製した処理液を用い、処理液温度30〜70℃、処理時間1〜10分の処理条件で亜鉛メッキ鋼材を浸漬する後処理と、からなるものである。
(処理液の調製) 本発明のコーティング処理液は、アルカリ金属ケイ酸塩を含む。本発明の好ましい実施形態において、前記アルカリ金属ケイ酸塩におけるアルカリ金属は、主として、カリウム、ルビジウム及びセシウムからなる群から選択される一種以上であるが、形成されるセラミックスコーティング剤の耐候性及び白化を起さない性質を損なわない範囲でナトリウム、リチウム等の他のアルカリ金属を含んでもよい。
本発明のコーティング処理液は、カリ水ガラス、ルビジウム水ガラス、及びセシウム水ガラスから成る群から選択される一種以上を水等で適宜濃度調整することで得られる。なお、カリ水ガラス、ルビジウム水ガラス、及びセシウム水ガラスとは、組成式MO・nSiOで表される組成物において、各々MがK、Rb、及びCsであり、且つnが1以上のものを意味する。
本発明の好ましい実施形態において、アルカリ金属ケイ酸塩処理液は、アルコキシシランをカリウム、ルビジウム及びセシウムを含有する塩基性触媒で加水分解することによって調製してもよい。アルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−t−ブトキシシラン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。これらは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合で使用してもよい。これらの中で特に好ましいのはテトラエトキシシランである。
前記塩基性触媒としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの塩基性触媒は1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合で用いてもよく、さらに他の塩基性触媒と併用してもよい。好ましい塩基性触媒は、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウムである。
本発明における他の塩基性触媒とは、例えば水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロオキサイド、アンモニア、ピロリジン、ピペラジン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の水中で塩基性を示す物質を広く意味する。
2種以上の塩基性触媒が併用される場合、カリウム、ルビジウム及びセシウムの総モル濃度がその他の塩基性物質のモル濃度より高いことが好ましい。その他の塩基性物質のモル濃度が、カリウム、ルビジウム及びセシウムのモル濃度を上回ると、処理後の鋼材表面上における白化の発生はないが、耐食性及び耐候性の低下を生じる。
本発明の好ましい実施形態において、アルカリ金属ケイ酸塩処理液は、室温条件で水に上記塩基性触媒及びアルコキシシランを添加し、撹拌下で溶解し、pHを10以上に調整することによって調製することができる。
本発明の好ましい実施形態において、アルカリ金属ケイ酸塩処理液のpHは、10以上であることが好ましく、より好ましくはpH10.2〜11である。本発明のアルカリ金属ケイ酸塩処理液の濃度は、通常SiOとして、0.1〜20重量%であり、好ましくは0.3〜5重量%である。本発明の処理液におけるアルカリケイ酸塩を組成式MO・nSiOで表した場合、nの値(即ち、MOとSiOのモル比)は、1.5〜5.5であることが好ましく、より好ましくは、2〜5である。nの値が5.5を越えた場合は、耐食性の低下が生じる。
(コーティング方法) 本発明の処理液を用いて溶融亜鉛メッキされた鋼材をコーティングする方法としては、浸漬法を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて、刷毛塗り法及びスプレー法を用いてもよい。
浸漬法は、鋼材を処理液槽に一定時間浸漬した後、引き上げる。この場合の処理液皮膜の厚みは、処理液の粘度、表面張力及び密度の増加とともに厚くなる。従って、処理液皮膜の厚さを所定の厚さにするには、処理液の粘度と引上げ速度を制御することが必要になる。処理液の粘度の調節は、刷毛塗り法やスプレー法においても重要である。本発明の処理液の密度は、通常1.001〜1.7g/cm(15℃)であり、好ましくは1.05〜1.15g/cm(15℃)である。
一回の浸漬又は塗布で所定の皮膜厚さを得られるようにすることが、処理効率の点において重要であるが、一回の浸漬又は塗布によって所定の皮膜厚みが得られない場合は、最小限の回数の浸漬又は塗布を繰り返すことによって、所望の厚みの層を得ることができる。
(乾燥処理) 上記の方法で鋼材の表面を処理液でコーティングすると、溶融亜鉛メッキされた鋼材表面に湿潤ゲル膜が形成される。この湿潤ゲル膜を室温で乾燥すると、耐食性に優れたセラミックスコーティング層が形成される。尚、加熱処理を行うと、乾燥ゲル膜中に残存している水分の除去の他に、残留有機物の除去が行われるので必要により加熱処理を行う。
従来の亜鉛メッキされた鋼材のコーティング方法では、乾燥ゲル膜やエアロゲル膜は、一般的に500℃から1000℃程度の熱処理によってセラミックスコーティング層を形成しているが、本発明では鋼材の表面に下地として亜鉛メッキ層を形成していることから、また加熱による鋼材の変質を防止するためにも、可及的に低い温度での乾燥熱処理が好ましい。好ましくは、50℃未満の温度下での乾燥であり、より好ましくは、室温条件での乾燥である。
(セラミックスコーティング層の膜厚制御)鋼材の表面に形成されたセラミックスコーティング層の膜厚を制御するには、鋼材を処理液槽に浸漬し、引上げ、乾燥処理までのコーティング工程を所望回数繰り返せば良く、コーティング回数に比例して膜厚は増加する。
1回のコーティング工程で膜厚を厚くするには、前述の如く処理液の粘度と引上げ速度を増加させれば良いが、臨界膜厚を超えると、皮膜中からの溶媒の揮発に伴って発生する表面に平行に働く引張り応力により皮膜に亀裂が発生するので、1回でコーティングする膜厚を最適に設定する必要がある。それには、処理液の粘度と引上げ速度をパラメータとして、最適な条件を探せば良い。同様に、処理液をスプレー法によって塗布する場合も、その塗布回数によって膜厚を制御できる。しかし、工業的には、浸漬法でもスプレー法でも浸漬あるいは塗布回数が少ない方が望ましい。本発明の方法によって得られるセラミックスコーティング層の厚みは、通常10〜2000nmであり、好ましくは50〜1000nmである。
水の硬度成分であるマグネシウム及びカルシウム、又は亜鉛メッキ表面から析出する可能性のある亜鉛などがアルカリ金属ケイ酸塩処理液中に混入すると、ケイ酸マグネシウム塩、ケイ酸カルシウム塩、ケイ酸亜鉛塩として沈殿する可能性がある。これらの析出物はろ過などによって取り除くことができるが、ろ過できない場合などは、キレート効果をもつ金属抑制剤を添加することができる。キレート剤は白錆防止効果や、金属表面の美観を損なわない範囲で特に制限なく使用でき、たとえばエチレンジアミンテトラ酢酸及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩、クエン酸、シュウ酸などである。
亜鉛メッキ表面の濡れ性を改善するために、白錆防止効果や金属表面の美観を損なわない範囲で特に制限なく界面活性剤などの濡れ性向上剤を添加することができる。このような添加剤としては、例えば、アルキルエーテルエチレンオキサイド、エチレンオキサイドアルキルアミン、長鎖脂肪酸又はその塩、アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、アルキル硫酸エステル又はその塩、長鎖アルキルアンモニウム塩、長鎖アルキルピリジニウム塩等を挙げることができる。
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
組成式MO・nSiOにおけるアルカリ金属Mが下表1に示されるように、カリウム、ルビジウム、及びセシウムのいずれかであり、且つnの値が、下表1に示される値である、本発明のアルカリ金属ケイ酸塩処理液を作製し、溶融亜鉛メッキ処理された試験片をコーティングして、15時間かけて自然乾燥し、セラミックスコーティング層を作り、得られた試験片の表面における白化及び防錆性(耐候性)について試験した。表1中、試験No.1及び2で使用したアルカリ金属ケイ酸塩処理液は、市販の水ガラスから調整した。試験No.3〜11については、水に塩基性触媒としてアルカリ金属Mの水酸化物(MOH;Mは、カリウム、ルビジウム、又はセシウム)とテトラエトキシシランを表1のモル比になるように加え、60℃に加温し、30分間攪拌した。テトラエトキシシランが水相から上部に分離した状態から、均一、透明な状態になったことを確認して、処理液とした。試験片には、85×50×1mmの溶融亜鉛メッキを施した鋼板を用いた。
以上のようにして作成されたセラミックスコーティング層を有する試験片の15時間かけた自然乾燥後の外観を、以下の基準に従って評価した。
15時間自然乾燥した後の外観の評価基準
5点:白化現象は全くなく、良好である。
4点:わずかな白化が認められる。
3点:白化が認められる。
2点:明らかに白化している。
1点:全面が白化している。
また、防錆性(耐候性)については、塩水噴霧試験(JIS Z 2371の試験方法に準ずる)の24時間後の白錆の発生状況によって点数評価した。
塩水噴霧試験の24時間後の白錆発生評価基準
10点:異常なし
9点:白錆発生面積が10%以下
8点:白錆発生面積が20%以下
7点:白錆発生面積が30%以下
6点:白錆発生面積が40%以下
5点:白錆発生面積が50%以下
4点:白錆発生面積が60%以下
3点:白錆発生面積が70%以下
2点:白錆発生面積が80%以下
1点:白錆発生面積が80%を超える
試験結果は、表1に示す通りである。
Figure 0004936781
比較例1
アルカリ金属ケイ酸塩処理液のアルカリ金属がナトリウムである処理液を用いて試験片をコーティングし、セラミックス層を形成し、その評価を実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。尚、試験No.12及び13で使用された処理液は、テトラエトキシシランを用いて調製され、比較試験No.14及び15で使用された処理液は、市販の水ガラスを用いて調製された。
Figure 0004936781

Claims (6)

  1. 溶融亜鉛メッキされた鋼材表面を、アルカリ金属ケイ酸塩処理液でコーティングし、50℃未満の温度で乾燥させて前記亜鉛メッキされた鋼材表面上にセラミックスコーティング層を形成すること
    前記アルカリケイ酸塩処理液が、組成式;M O・nSiO (Mは、カリウム、ルビジウム、セシウムからなる群から選択される少なくとも1種であり、n=1.5〜5.5)で表される化合物を含む溶液であること、
    を特徴とする耐候性鋼材の製造方法。
  2. 前記アルカリ金属ケイ酸塩処理液がカリ水ガラス、セシウム水ガラス及びルビジウム水ガラスから成る群から選択される少なくとも1種からなる請求項に記載の方法。
  3. 前記アルカリ金属ケイ酸塩処理液が、アルコキシシランをカリウム、ルビジウム及び/又はセシウム含有塩基性触媒を用いて加水分解することによって調製される請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記アルコキシシランが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プトキシシラン、テトラ−i−プトキシシラン、テトラ−t−プトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−プトキシシラン及びメチルトリ−t−プトキシシランから選択される1種以上である請求項記載の鋼材に耐候性を付与する方法。
  5. 塩基性触媒が、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸水素ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸水素セシウムから選択される1種以上である請求項記載方法。
  6. 請求項1〜記載の方法によって製造された耐候性鋼材。
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