JP2006063358A - 鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法 - Google Patents

鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 溶融亜鉛めっき処理又は電気亜鉛めっき処理と、ゾルゲル法による表面処理とを組み合わせ、両処理の利点を相乗的に発揮させる表面処理方法であって、ゾル溶液の管理が極めて容易であり、また処理コストが低い鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法を提供するとともに、それによって処理された高耐候性鋼材を提供する。
【解決手段】 鋼材表面に亜鉛めっき層を形成した後、該亜鉛めっき層の上に、ゾルゲル法によってSi、Al又はTiの酸化物で形成されたセラミックスコーティング層を形成する表面処理方法であって、Si、Al又はTiのアルコキシドを出発原料とし、この原料に水と塩基性触媒の水溶液を添加しながら攪拌し、pH9以上のアルカリ領域のゾル溶液を調製し、そのゾル溶液を鋼材表面に付着させてゲル化し、それを乾燥処理して前記セラミックスコーティング層を形成してなる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法に係わり、更に詳しくは鋼材の表面に溶融亜鉛めっき層とセラミックスコーティング層の複合皮膜を形成する表面処理方法に関するものである。
近年、ますます設備の拡充がなされている送電鉄塔やパラボラアンテナなどの電力、通信設備をはじめ多くの屋外建築構造物が増加傾向にあるが、これらの屋外建築構造物が亜硫酸ガスや窒素酸化物を成分とする酸性雨に曝され、腐食の度合いが大きくなっていくことが予測される。また、平野部の少ない我が国においては、交通量の増大、輸送力の向上のために建設される新設の高速道路は、山間部や海岸部に設けざるを得ず、そのため山間部では冬季の凍結対策として路面に散布した凍結防止剤(塩化ナトリウム、塩化カルシウムなど)、海岸部では海水による道路施設関係の腐食が激しくなり、従来の溶融亜鉛めっきでは十分に対応できない状態にある。尚、溶融亜鉛めっきの白化を防止するために、その表面をクロメート処理することも一般的に行われているが、6価Crが公害の原因となるので最近ではクロメート処理は敬遠されるようになってきた。
従来、送電鉄塔や道路施設関係の鋼材、更には建築構造物の鋼材に耐食性を付与する方法として、溶融亜鉛めっき処理が良く知られている。この溶融亜鉛めっきは、簡便な方法であり、鋼材の耐食性を高めるのに優れた処理ではあるが、溶融亜鉛めっきよりも更に耐食性の高い皮膜が要求されようになってきた。
そこで、本出願人は、特許文献1に開示される鋼材の表面に溶融亜鉛めっき層とセラミックスコーティング層の複合皮膜を形成する表面処理方法を提案している。具体的には、鋼材表面に溶融亜鉛めっき層を形成した後、該溶融亜鉛めっき層の上に、ゾルゲル法によってSi、Al又はTiの酸化物セラミックスで形成されたセラミックスコーティング層を形成してなるものである。ここで、前記セラミックスコーティング層は、Si、Al又はTiのアルコキシドを出発原料とし、アルコールの溶液とした後、水と反応させて加水分解し、そのゾル溶液を鋼材表面に付着させてゲル化し、それを乾燥処理するゾルゲル法によって、鋼材の溶融亜鉛めっき層表面にSi、Al又はTiの酸化物セラミックス皮膜を形成したものである。前述のゾル溶液としては、アルミニウムイソプロポキシドに2−プロパノールを加え、更に塩酸を添加してpHを0〜3に調製し、アルミニウムイソプロポキシドの濃度を0.2〜0.5mol/リットルとしたアルミナ系のゾル溶液を用いている。
特許第3334048号公報
しかし、前述の特許文献1に記載の方法は、ゾル溶液の管理が難しく、そのまま放置していると約3ヶ月程度で固化(ゲル化)して使用できなくなるのである。その原因の一つに挙げられるのは、溶媒として用いた揮発性を有するアルコールが徐々に蒸発して濃度変化が生じることである。また、ゾル溶液は強酸性であり、使用した塩酸等が溶融亜鉛めっき層とセラミックスコーティング層との間に残留して耐久性に悪影響を及ぼすことが考えられる。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、溶融亜鉛めっき処理又は電気亜鉛めっき処理と、ゾルゲル法による表面処理とを組み合わせ、両処理の利点を相乗的に発揮させる表面処理方法であって、ゾル溶液の管理が極めて容易であり、また処理コストが低い鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法を提供するものである
本発明は、前述の課題解決のために、鋼材表面に亜鉛めっき層を形成した後、該亜鉛めっき層の上に、ゾルゲル法によってSi、Al又はTiの酸化物で形成されたセラミックスコーティング層を形成する表面処理方法であって、Si、Al又はTiのアルコキシドを出発原料とし、この原料に水と塩基性触媒の水溶液を添加しながら攪拌し、pH9以上のアルカリ領域のゾル溶液を調製し、そのゾル溶液を鋼材表面に付着させてゲル化し、それを乾燥処理して前記セラミックスコーティング層を形成してなる鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法を構成した(請求項1)。
ここで、前記Siアルコキシドが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−1−プロポキシシラン、テトラ−n−プトキシシラン、テトラ−1−プトキシシラン、テトラ−t−プトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−1−プロポキシシラン、メチルトリ−n−プトキシシラン、メチルトリ−t−プトキシシランの内から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい(請求項2)。
また、前記塩基性触媒が、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの内から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい(請求項3)。
更に、前記ゾル溶液を室温にて調製してなること(請求項4)、前記鋼材表面に形成されたゲル皮膜を、室温にて自然乾燥させてなること(請求項5)がより好ましい。
以上にしてなる本発明の鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法は、鋼材表面に溶融亜鉛めっき層を形成した後、該溶融亜鉛めっき層の上にゾルゲル法によってセラミックスコーティング層を形成してなるので、溶融亜鉛めっき層の低いが信頼性の高い耐食性と、セラミックスコーティング層の優れた耐食性による溶融亜鉛めっき層の保護作用との相乗効果を期待できるものであり、またゾル溶液が長期間にわたって安定であるので、ゾル溶液の管理が極めて容易になり、しかも室温での自然乾燥のみによって形成することができるので、工業上有利であり、また大型で複雑な形状の鋼材にも適用することができるものである。実際に、調製後のゾル溶液が10ヶ月に亘って安定であることを確認している。また、この表面処理方法は、セラミックスコーティング層中にCrを含有しないので、六価クロムを原因とする公害が発生する恐れが全くない理想的な表面処理である。しかも、排水処理が中和処理だけで済むので、非常に簡単である。
また、本発明の表面処理方法によって得られた高耐候性を有する鋼材は、表面に溶融亜鉛めっき層とセラミックスコーティング層の複合皮膜が形成されているので、溶融亜鉛めっき層の低いが信頼性の高い耐食性と、セラミックスコーティング層の優れた耐食性による溶融亜鉛めっき層の保護作用との相乗効果による高耐候性を備えたものとなるのである。
次に、本発明の詳細を実施形態に基づき更に詳しく説明する。
(鋼材の溶融亜鉛めっき処理)鋼材の表面に溶融亜鉛めっきを施すには、従来公知の方法を採用することができる。つまり、鋼材を酸洗し、水洗した後、フラックス処理し、それを所定温度に設定した溶融亜鉛浴に所定時間浸漬し、所定速度で引き上げ、空冷又は水冷し、鋼材の表面に所定厚さの溶融亜鉛めっき皮膜を形成するのである。
また、溶融亜鉛めっき皮膜は、着色処理したものであっても良い。この着色処理には、本出願人の特許発明(特許第2920148号公報)を利用することができる。つまり、亜鉛めっき皮膜を形成した鋼材を、マンガンを主成分とした化成処理液に浸漬して皮膜表面を黒色系に着色する化成処理を施した後、水洗し、次いでクロムを主成分とした後処理液に浸漬して耐食性を賦与する後処理を施してなる亜鉛めっき皮膜の着色方法であり、具体的には、過マンガン酸カリウム(KMnO4):10〜80g/リットルと、リン酸三ナトリウム(Na3PO4・12H2O):20〜200g/リットルと、水酸化ナトリウム(NaOH):10〜100g/リットルからなる化成処理液を用い、処理液温度30〜70℃、処理時間2〜15分の化成処理条件で亜鉛めっき鋼材を浸漬する化成処理と、無水クロム酸(CrO3):1〜20g/リットルからなり、pH1.0〜4.0に調製した処理液を用い、処理液温度30〜70℃、処理時間1〜10分の処理条件で亜鉛めっき鋼材を浸漬する後処理と、からなるものである。
(ゾルの調製)Si、Al又はTiのアルコキシドを出発原料とし、この原料に室温にて水と塩基性触媒の水溶液を添加しながら攪拌し、pH9以上のアルカリ領域のゾル溶液を調製する。前述のゾル溶液は、攪拌を停止すると、白色微粒子が沈澱するが、上澄みは若干白濁した透明溶液となるので、この上澄みを本発明では使用する。
ここで、Siのアルコキシドとして、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−1−プロポキシシラン、テトラ−n−プトキシシラン、テトラ−1−プトキシシラン、テトラ−t−プトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−1−プロポキシシラン、メチルトリ−n−プトキシシラン、メチルトリ−t−プトキシシラン等が挙げられる。この中で、特に好ましいのはテトラエトキシシランである。
また、塩基性触媒としては、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。この中で、特に好ましいのは水酸化ナトリウムである。
pH範囲は、pH9以上のアルカリ領域であるが、pH9.5〜10.5の範囲が実用的である。
(ゾルのコーティング)鋼材の表面にゾルをコーティングする方法としては、刷毛塗り法、スプレー法、浸漬法がある。浸漬法はもっとも簡便ではあるが、大型の鋼材の場合には浸漬槽が必然的に大きくなって多量のゾル溶液が必要になるので、小型で複雑な形状の鋼材の場合以外は、ゾル溶液が少なくて済むことから刷毛塗り法やスプレー法が好ましい。特に、スプレー法は、ゾル溶液を鋼材表面に均一に塗布できるので好ましい。鋼材の表面にゾルをコーティングする場合、何れのコーティング方法でもその皮膜の厚さは略一様にすることが望ましい。浸漬法の場合は、鋼材をゾル槽に一定時間浸漬した後、一定速度で引き上げるのである。その場合、ゾル皮膜の厚さは、ゾルの粘度と引上げ速度の増加とともに厚くなり、ゾルの表面張力と密度の増加とともに薄くなることが知られている。従って、ゾル皮膜の厚さを所定の厚さにするには、ゾルの粘度と引上げ速度を制御することが必要になる。ゾルの粘度の調節は、刷毛塗り法やスプレー法においても重要である。ここで、何れのコーティング方法を採用するにしても、一回の浸漬又は塗布で所定の皮膜厚さを得られるようにすることは、処理効率の点において重要であるが、所定の皮膜厚さが得られない場合には最小限の回数の浸漬又は塗布を繰り返すことになる。
(乾燥処理)鋼材の表面にゾルをコーティングすると、湿潤ゲル膜が形成される。この湿潤ゲル膜を室温にて自然乾燥すると、耐食性に優れたセラミックスコーティング層が形成される。尚、加熱処理を行うと、乾燥ゲル膜中に残存している水分の除去の他に、残留有機物の除去が行われるので必要により加熱処理を行う。
従来のゾルゲル法では、乾燥ゲル膜やエアロゲル膜は、一般的には500℃から1000℃程度の熱処理によってセラミックスコーティング層を形成しているが、本発明では鋼材の表面に下地として溶融亜鉛めっき層を形成していることから、また加熱による鋼材の変質を防止するためにも、可及的に低い温度での乾燥熱処理が好ましいのである。
また、加熱処理の代わりに常温付近の温度でゲル膜の緻密化を行う他の方法として、湿潤ゲル膜に紫外線を照射する方法がある。湿潤ゲル膜は波長185nmの紫外線を吸収する原理を利用するものであり、紫外線源として低圧水銀ランプ(波長:254nmと185nm)が使用できる。
(セラミックスコーティング層の膜厚制御)鋼材の表面に形成されたセラミックスコーティング層の膜厚を制御するには、鋼材をゾル槽に浸漬し、引上げ、乾燥処理までのコーティング工程を所望回数繰り返せば良く、コーティング回数に比例して膜厚は増加する。尚、1回のコーティング工程で膜厚を厚くするには、前述の如くゾルの粘度と引上げ速度を増加させれば良いが、臨界膜厚を超えると、皮膜中からの有機溶媒の揮発に伴って発生する表面に平行に働く引張り応力により皮膜に亀裂が発生するので、1回にコーティングする膜厚を最適に設定しなければならない。それには、ゾルの粘度と引上げ速度をパラメータとして、最適な条件を探せば良い。同様に、ゾル溶液をスプレー法によって塗布する場合も、その塗布回数によって膜厚を制御できる。しかし、工業的には、浸漬法でもスプレー法でも浸漬あるいは塗布回数が少ない方が有利である。
次に、本発明の実施例を比較例との試験結果とともに説明する。先ず、ゾル溶液は、水910gに水酸化ナトリウムを10g添加して室温で溶解させ、この溶液をテトラエトキシシラン(エチルシリケート40)を90g入れたビーカーに250ml/分の割合で室温で攪拌しながら徐々に添加し、添加後室温で15時間攪拌混合して約1000ml合成した。ここで、攪拌を停止すると、白色微粒子がビーカーの底部に沈澱するので、若干白濁した上澄みをゾル溶液として用いる。
供試材として、150×70×2.3mmの溶融亜鉛めっきを施した鋼板を用いた。
そして、ゾル溶液を50℃に昇温し、攪拌しながら前述の供試材を5秒間浸漬し、約4cm/秒の速度で引き揚げ、室温にて自然乾燥させてSi酸化物皮膜を形成した。これを本発明の試験片1とする。
比較例として、供試材に重クロム酸ソーダによってクロメート処理を施したもの(比較試験片2)、5%の水溶性アクリル樹脂処理(セボ:CeBo♯AW-20(東洋薬化学工業株式会社の商品名))処理したもの(比較試験片3)及びブランクのままのもの(比較試験片4)を用意した。クロメート処理とセボ処理は、何れも50℃、1分の浸漬法で行い、処理液の攪拌は行わなかった。
これらの試験片を外観、塩水噴霧試験、複合サイクル試験によって評価した。ここで、複合サイクル試験は、5%塩水噴霧(35℃/2h)、乾燥(35℃−25%RH/4h)、湿潤(50℃−95%RH/2h)を1サイクルとし、これを10回繰り返す試験である。
各試験片1〜3とも、処理前の試験片4とほとんど同様の外観を示し良好であった。表1に処理前の明度と光沢度を光沢度計(日本電色工業株式会社製「PG−10」)で測定した測定値を示し、併せて複合サイクル試験後の明度と光沢度も示している。ここで、光沢度の保持率は、試験前に対する試験後の比率である。
Figure 2006063358
明度に関しては、本発明の試験片1とクロメート処理の試験片2では、試験前後でほとんど変化は認められなかった。セボ処理した試験片3は、試験後に試験面全体が腐食され黒変したために明度の大きな低下が認められた。ブランクの試験片4でも白錆の発生を伴って明度が大きく低下した。光沢度は、クロメート処理の試験片2で最も保持率が高く、次いで本発明の試験片1が高かった。セボ処理した試験片3及びブランクの試験片4では、試験後に光沢度が著しく低下した。
複合サイクル試験後の外観は、表2に示している。本発明の試験片1は試験面全体がうっすら白濁した状態であった。クロメート処理の試験片2では、全体的に金属光沢を保持して良好であったが、部分的に強く腐食を受けて黒変している箇所が認められた。セボ処理した試験片3は、全面的に腐食が認められ、ブランクの試験片4では同様に白錆の発生が認められた。
Figure 2006063358
塩水噴霧試験による耐食性の評価の結果は、表2に示している。塩水噴霧試験24時間後の本発明の試験片1の外観は、クロメート処理の試験片2のそれに匹敵し良好であった。本発明の試験片1は、96時間後でも金属光沢を残す部位が存在した。セボ処理した試験片3は、24時間後に全面に白錆が発生して不良であった。
Figure 2006063358
次に、本発明の処理液として、テトラエトキシシラン(エチルシリケート40)100g/L(リットル)に、水900g/Lとモノエタノールアミン10g/Lの混合液を攪拌しながら徐々に添加し、添加後室温で4時間攪拌混合して合成したゾル溶液を用意した。
供試材は、115×50×3.2mmの溶融亜鉛めっきを施した鋼板である。この鋼板を、前述のゾル溶液(本発明)、クロメート処理、セボ処理のそれぞれで処理したもの及びブランクのものをそれぞれ3枚用意し(表4参照)、それぞれ3枚ずつ水平に2mm間隔で重ねて置き、60℃に設定した恒温槽上の素面上へ設置し、更に試験片全体が覆われるように蓋を設置した。各試験面は最上面を1面として最下面を6面となるように表裏順に番号付けした。このスタック試験における加温条件は、60℃/3時間、室温/1時間、60℃/3時間とし、各条件への移行時間は考慮せず、全試験時間は7時間とした。
Figure 2006063358
このスタック試験の前後における光沢度変化の結果を表5に示す。光沢度は、各面5点測定の平均値でしめした。クロメート処理した試験片の光沢度保持率が最も高く、次いで本発明の水系シリカで処理したものが高かった。それに対して、セボ処理、ブランクのものは光沢度保持率は低い値となった。
Figure 2006063358
また、表6に、各試験片の各面の外観観察の評価結果を示した。この結果、恒温槽の水面に最も近く水蒸気に直接曝されている6面では、ブランク>セボ>水系(本発明)>クロメートの順に白錆びの発生量が多かった。その他の面では、ブランクを除き、外観上は殆ど大差は認められなかった。各面の評価を点数化して合計したものを総合の欄に記載した。この結果から、外観が良好な順に並べると、クロメート>水系(本発明)>セボ>ブランクの順となった。
Figure 2006063358
以上の高温多湿スタック試験を行った結果、本発明の水系シリカで処理した試験片は、クロメートで処理したそれに次いで高い光沢度保持率を示した。また、外観は、恒温槽水面の最も水蒸気が激しく当る6面で大きな差が生じたが、本発明の水系シリカで処理した試験片は、クロメートで処理したものには若干及ばないものの、良好な結果が得られたことを確認できた。

Claims (6)

  1. 鋼材表面に亜鉛めっき層を形成した後、該亜鉛めっき層の上に、ゾルゲル法によってSi、Al又はTiの酸化物で形成されたセラミックスコーティング層を形成する表面処理方法であって、Si、Al又はTiのアルコキシドを出発原料とし、この原料に水と塩基性触媒の水溶液を添加しながら攪拌し、pH9以上のアルカリ領域のゾル溶液を調製し、そのゾル溶液を鋼材表面に付着させてゲル化し、それを乾燥処理して前記セラミックスコーティング層を形成したことを特徴とする鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法。
  2. 前記Siアルコキシドが、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−1−プロポキシシラン、テトラ−n−プトキシシラン、テトラ−1−プトキシシラン、テトラ−t−プトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−1−プロポキシシラン、メチルトリ−n−プトキシシラン、メチルトリ−t−プトキシシランの内から選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法。
  3. 前記塩基性触媒が、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基類の内から選ばれた1種又は2種以上である請求項1又は2記載の鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法。
  4. 前記ゾル溶液を室温にて調製してなる請求項1〜3何れかに記載の鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法。
  5. 前記鋼材表面に形成されたゲル皮膜を、室温にて自然乾燥させてなる請求項1〜4何れかに記載の鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法。
  6. 請求項1〜5何れかに記載の鋼材に高耐候性を付与する表面処理方法を用いて、鋼材の表面に溶融亜鉛めっき層とセラミックスコーティング層の複合皮膜を形成したことを特徴とする高耐候性を有する鋼材。
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