JP4936580B2 - アゾ基含有ポリアミドの製造法 - Google Patents

アゾ基含有ポリアミドの製造法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はラジカル重合活性を有するアゾ基含有ポリアミドの製造法に関する。詳しくは、実用的な特性を有するポリアミド単位を構成単位とするアゾ基含有ポリアミドの溶液法による製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アゾ基含有ポリアミドはビニル系ポリマーとポリアミドとの共重合体を製造する際のラジカル重合開始剤や崩壊性ポリマーの一種として知られている。アゾ基含有ポリアミド及びその製造法に関しては、特開昭49−17895号公報、J.Polym.Sci.Polym Chem Ed,Vol.22,1611(1984)や高分子論文集,Vol.33,131(1976)、大阪市工業研究所報告,第84回(1989)などに報告されている。
【0003】
例えば、特開昭49−17895号公報では、一般式(6)
【化6】
Figure 0004936580
(式中、Xはハロゲン原子を、R3及びR4は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はニトリル基を示し、aは0又は1〜6の整数を示す。)
であらわされるアゾ基含有ジカルボン酸ハロゲン化物と炭素数1〜10個の脂肪族、脂環族又は芳香族ジアミン(以降、これらを総称して「ジアミンモノマー」と記載。)とを、脂肪族、脂環族又は芳香族ジカルボン酸ハライドの存在下又は不存在下に、重縮合させるアゾ基含有ポリアミドの製造法が開示されている。
【0004】
特開昭49−17895号公報によるアゾ基含有ポリアミドの製造法は、アゾ基含有ジカルボン酸ハロゲン化物とジアミンモノマーとを重縮合させる方法であり、通常、アゾ基とアミド基との繰返し単位からなるポリアミドが得られる。得られるポリアミドは、分子鎖中に多数のアゾ基が存在するため、熱安定性が悪く、又、機械的性質も高くなく、実用的なポリマー材料としての価値はそれほど高いものではなかった。又、ジカルボン酸ハライドの存在下にアゾ基含有ジカルボン酸ハロゲン化物とジアミンモノマーとを重縮合した場合、アゾ基間に数平均分子量が数千程度の実用的な特性を有するポリアミドが生成することがある。しかし、この場合でも、アゾ基の間に生成するポリアミドの数平均分子量は分布があり、アゾ基間にアミド結合一つだけを含有する構造のものが多数存在するため、実用的な特性の良好なものを得ることは困難であった。又、この重縮合反応の際、生成物として、ジカルボン酸ハライドとジアミンモノマーとの反応による分子鎖中にアゾ基を含有しないポリアミドが生成しやすく、目的とするアゾ基含有ポリアミドの収率が低くなるなどの課題もあった。
【0005】
又、ポリアミド単位を構成するモノマーは、酸ハライド基(酸ハロゲン基)を有する化合物とジアミンモノマーに限られるため、得られるポリアミドの分子構造に制約があった。例えば、アミノカルボン酸やラクラム類から合成されるポリアミド構造を有するアゾ基含有ポリアミドは製造できなかった。
【0006】
アゾ基含有ポリアミドの製造法として、界面重縮合法や溶液法が適用可能と報告されている。しかし、従来法で具体的に開示されている製造法は、工業化への適用が難しいとされている界面重縮合法がほとんどであり、工業化への適用や反応条件の制御が容易な溶液法を用いた製造法については、使用する溶剤や製造条件に関する具体例の記載がなく、示唆もされていない。また、従来法で使用されている酸ハライド基は反応活性が高いため、副反応が起ることがあり、安定した状態でアゾ基含有ポリアミドを製造することは容易とは言えなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、数平均分子量が特定範囲にあるポリアミド単位を構成単位とするアゾ基含有ポリアミドを安定した状態で製造する方法の提供を課題とする。この課題を達成するため、種々検討した結果、特定の溶媒中で、少なくとも一つのアミノ基を有する特定の数平均分子量のポリアミドと活性エステル基を含む化合物とを反応させることにより、本課題が解決されることを見い出し本発明に至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、少なくとも一つのアミノ基を有し、かつ、数平均分子量が500〜40,000である脂肪族ポリアミドと一般式(1)
【化7】
Figure 0004936580
(式中、Zは活性エステル基を、R 1 及びR2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はニトリル基を示し、aは0又は1〜6の整数を示す。)であらわされるアゾ基含有活性エステル化合物とを、フェノール系溶剤、フルオロアルコール系溶剤およびハロゲン化無機物含有アミド系溶剤から選ばれた1種類以上の溶剤中で、
アゾ基含有活性エステル化合物の活性エステル基が、一般式(2)であらわされるN−ヒドロキシこはく酸イミドエステル基であり、
【化9】
Figure 0004936580
脂肪族ポリアミドとアゾ基含有活性エステル化合物の合わせた濃度が溶剤100重量部に対し、0.1〜50重量部の範囲であり、かつ、温度0℃〜50℃、アゾ基含有活性エステル化物が末端アミノ基1モル当量に対し、0.5モル当量〜10モル当量の範囲で反応させるアゾ基含有ポリアミドの製造法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、詳細に本発明を説明する。
本発明において、少なくとも一つのアミノ基を有し、かつ、数平均分子量が500〜40,000であるポリアミド(以降、このポリアミドを「原料ポリアミド」と記載する。)は、ジアミンとジカルボン酸とからなる繰返し単位、ω−アミノカルボン酸からなる繰返し単位、又は、ラクタム類が開環した繰返し単位などから誘導される。
【0010】
使用されるジアミンとしては、炭素数2〜24のジアミンが使用でき、具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミンやキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどが挙げられる。
【0011】
ジカルボン酸としては、通常、炭素数2〜24のジカルボン酸があり、具体的には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカジオン酸、テトラデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、オクタデカジオン酸、オクタデセンジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコセンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、ドコサンジオン酸、2,2,4一トリメチルアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4一シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸やテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、キシリレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0012】
ω−アミノカルボン酸の具体例としては、5−アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などを挙げることができ、また、ラクタム類の具体例としては、2−ピロリドン、メチルピロリドン、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカラクタムなどを挙げることが出来る。これらの、ジアミンとジカルボン酸とを組合せたもの、ω−アミノカルボン酸やラクタム類は単独で使用しても良いし、これら2種類以上を適宜組合せて使用しても良い。ポリアミド単位が共重合体の場合、その構造は、ランダム共重合体、ブロック共重合体及び交互共重合体のいずれであっても良い。
【0013】
原料ポリアミドは、上記のジアミンとジカルボン酸、ω−アミノカルボン酸及びラクタム類から選ばれたものを用い、溶融重合、溶液重合、固相重合、界面重合などいずれかの公知のポリアミド合成法により製造される。例えば、等量のジアミンとジカルボン酸とを、又は、ω−アミノカルボン酸を必要ならば少量の水とともに加熱して重縮合させる方法、又、ラクタムを少量の水とともに加熱して開環重合させる方法などにより製造される。
【0014】
本発明で使用される原料ポリアミドは分子末端に少なくとも一つのアミノ基を持つものである。
この原料ポリアミドの数平均分子量は500〜40,000、好ましくは1,000〜30,000、さらに好ましくは6,000〜25,000である。数平均分子量が40,000より大きくなると、実用的な特性は良好であるが、アゾ基含有活性エステル化合物との反応性が低下したり、反応時の溶液粘度が高くなり、安定した状態で反応させることが困難となる。一方、500より小さくなると、得られるアゾ基含有ポリアミドの実用的な特性は低くなる。
【0015】
尚、原料ポリアミドのアミノ基の数や数平均分子量の調節は、原料ポリアミド合成の際、モノアミン又はジアミンを添加することにより行うことができる。調節のため、添加されるモノアミンの具体例としては、ラウリルアミン、ステアリルアミンなどの炭素数1〜18の直鎖及び分岐状脂肪族モノアミン、ベンジルアミンやβ−フェニルエチルアミンなどの芳香族モノアミン、シクロヘキシルアミンなどの脂環族モノアミンなどがある。ジアミンは炭素数2〜24のジアミンであり、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミンなどの脂環式ジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンなどがある。これらモノアミン、ジアミンの添加量は、合成する原料ポリアミドの数平均分子量により適宜決められる。
【0016】
本発明で使用されるアゾ基含有活性エステル化合物は、一般式(1)
【化8】
Figure 0004936580
(式中、Zは活性エステル基を、R1及びR2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はニトリル基を示し、aは0又は1〜6の整数を示す。)
であらわされる化合物である。
【0017】
このアゾ基含有活性エステル化合物が有する活性エステル基の具体例としては、一般式(2)、(3)、(4)、(5)の化学構造式のものが挙げられる。これらの活性エステル基は、反応活性は良く、酸ハライド基に比べ、安定性が良く、安定した状態で反応させることができるという特徴がある。
【化9】
Figure 0004936580
【化10】
Figure 0004936580
【化11】
Figure 0004936580
【化12】
Figure 0004936580
(ここで,X1〜X5は,水素原子および/または塩素原子あるいはフッ素原子であって、この内、少なくとも3つ以上が塩素原子あるいはフッ素原子である)
【0018】
本発明のアゾ基含有活性エステル化合物は、N−ヒドロキシこはく酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミド、p−ニトロフェノールおよびp−ニトロフェノールの芳香環の水素原子の3つ以上が塩素原子あるいはフッ素原子と置換したハロゲン化フェノールから選ばれた1種類以上の化合物とアゾ基含有ジカルボン酸とを公知の方法で反応させることにより合成される。
【0019】
アゾ基含有活性エステル化合物の合成に使用するアゾ基含有ジカルボン酸の具体例としては、4,4'−アゾビス−シアノバレリアン酸、6,6'−アゾビス−6−シアノヘプタン酸、2,2'−アゾビス−2−メチルプロピオン酸、5,5'−アゾビス−5−メチルカプロン酸、7,7'−アゾビスカプリル酸、4,4'−アゾビス−4−メチルカプロン酸、4,4'−アゾビス−4−プロピルヘプタン酸、3,3'−アゾビスプロピオン酸などが挙げられる。
【0020】
本発明のアゾ基含有ポリアミドは、原料ポリアミドとアゾ基含有活性エステル化合物との縮合反応により製造される。そこで、原料ポリアミドとアゾ基含有活性エステル化合物とが安定した状態で反応する条件を検討した。その結果、原料ポリアミドおよびアゾ基含有活性エステル化合物をともに溶解することができ、かつ、活性エステル基やポリアミドのアミノ基と不活性の溶剤であるフェノール系溶剤、フルオロアルコール系溶剤およびアミド系溶剤にハロゲン化無機物を混合したハロゲン化無機物含有アミド系溶剤などから選ばれた1種以上の溶剤を使用する溶液法で反応させることにより、本発明目的のアゾ基含有ポリアミドが安定した状態で製造できることがわかった。従来、この溶液法に好適な溶媒は知られていなかった。なお、本発明で安定した状態とは、副反応がおこりにくく、主反応中心に反応が進む、好ましくは、主反応が60%以上、より好ましくは、80%である反応のことを言う。
【0021】
フェノール系溶剤の具体例としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾールなどがあり、フルオロアルコール系溶剤の具体例としては,2,2,2-トリフルオロエタノール,1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール,2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブタノール,2,2,3,3,-テトラフルオロプロパノールなどを挙げることができる。
アミド系溶剤の具体例はN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを挙げることができる。ハロゲン化無機物の具体例は塩化リチウム、塩化カルシウム、臭化リチウム、臭化カルシウムなどが挙げられる。アミド系溶剤とハロゲン化無機物との混合割合は、アミド系溶剤100重量部に対して、ハロゲン化無機物5〜20重量部である。
これらの溶剤には、本発明で用いられるポリアミドを溶解できる範囲で、炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤および/または水を混合して用いることができる。
【0022】
本発明のアゾ基含有ポリアミドは、原料ポリアミドのアミノ基と一般式(1)であらわされるアゾ基含有活性エステル化合物の活性エステル基とをモル当量比で1対0.5〜1対10、好ましくは、1対0.7〜1対8となる割合で上記溶剤中に仕込み、60℃以下、好ましくは0〜50℃の温度範囲で0.1時間以上反応させることにより合成される。また、原料ポリアミドとアゾ基含有活性エステル化合物との使用量は、溶剤100重量部に対し、0.1〜50重量部の範囲である。
【0023】
活性エステル基の配合比がアミノ基1モル当量に対して0.5モル当量より少ない場合、又は、10モル当量より多い場合は、目的とするアゾ基含有ポリアミドの収率が低くなるので好ましくない。反応温度が60℃より高いとアゾ基が分解し易くなり、目的のアゾ基含有ポリアミドを得ることが難しくなる。一方、反応温度が0℃より低いと、アミノ基と活性エステル基との反応が遅くなり、反応時間が非常に長くなるので実用的でない。
【0024】
本発明において、原料ポリアミドとアゾ基含有活性エステル化合物との反応促進のため、トリエチルアミン、ピリジン、キノリン、イソキノリンなどの第3級アミンなどを触媒として添加することができる。
【0025】
本発明の溶液法で得たアゾ基含有ポリアミドを含有する反応溶液は、ビニル系モノマーの開始剤として使用する場合、反応終了後の溶液をそのまま使用することができる。又、アゾ基含有ポリアミドを単体として得る場合、反応溶液を多量の貧溶媒に注ぎ込むか、あるいは逆に、貧溶媒を反応溶液に添加することにより、合成したアゾ基含有ポリアミドを析出させ、濾別した後、乾燥させることにより得られる。
【0026】
本発明の製造法で得られるアゾ基含有ポリアミドはメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、イソプレン、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート,ヒドロキシメタクリレートなど種々のビニル系モノマーの重合開始剤として使用できる。
また、アゾ基含有ポリアミド溶液からキャスト法などによりフィルムを製造することもできる。
【0027】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例に記載した特性は次の方法で評価した。
【0028】
(1)ポリアミドの溶液粘度の測定
0.5g/100mlの濃度でm−クレゾールを溶媒として、25℃でウベローデ粘度計を用いて測定し、数式(1)により溶液粘度ηsp/c(単位;ml/g)を求めた。
ηsp/c={(t−t0)/t0}/c (1)
ここで、t;溶液の流出時間(秒)、t0;溶媒のみの流出時間(秒)、c;溶液濃度(g/ml)
【0029】
(2)アミノ基濃度の測定
フェノール/メタノール(4/1;体積比)混合溶媒40mlに試料を溶解し、チモールブルーを指示薬として数滴加えた後、1/20N塩酸を用い室温で滴定した。アミノ基濃度[NH2](単位;モル/g)は数式(2)で計算した。
[NH2]=(L1−L2)×f×10-4/(2×S) (2)
ここで、L1;試料溶液の滴定量(ml)、L2;溶媒のみの滴定量(ml)、f;1/20N塩酸のファクター、S;試料量(g)
【0030】
(3)ポリアミドの数平均分子量(以降、「Mn」で示す。)
Mn(単位;g/mol)は、上記2)の方法で測定したアミノ基濃度[NH2]を用いて、数式(3)により計算した。
Mn=1/[NH2] (3)
【0031】
(4)アゾ基含有ポリアミド及びポリアミド−ビニル系ポリマー共重合体の1H−NMRの測定
日本電子(株)のJEOL EX−270を用いて、重硫酸を溶媒として測定した。
測定周波数;300MHz、測定温度;室温、試料濃度;5重量%、標準物質;トリメチルシラン
【0032】
(5)アゾ基含有活性エステル化合物のIRスペクトルの測定
パーキンエルマー(株)のModel 1710 FT-IRを用いて、KBr法で測定した。
【0033】
(6)アゾ基含有ポリアミドおよびACPA-Osu(4,4'−アゾビス−シアノバレリアン酸とN−ヒドロキシこはく酸イミドとのエステル化物)のUV測定
大塚電子(株)の瞬間マルチ測光システムMCPD−1000を用いて、アゾ基含有ポリアミドはヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を、ACPA-OSuはテトラヒドロフラン(THF)を溶剤として測定した。試料濃度は0.05モル/lである。
【0034】
合成例1:分子末端に一つのアミノ基を有するポリアミド(PA−1)の合成
ε−カプロラクタム11.3重量部、水0.5重量部とステアリルアミン0.6重量部をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、250℃、圧力5気圧で、5時間重合した。温度を保持したまま圧力を大気圧まで降圧した後、窒素気流下、さらに、4時間重合した。その後、重合物を取出し、粉砕、メタノールでソックスレー抽出してから、乾燥し、ポリアミドを得た(以降、この合成法で得たポリアミドを「PA−1」で示す。)。PA−1の溶液粘度は0.26であり、アミノ基濃度から計算した数平均分子量Mnは4,900であった。
【0035】
合成例2:分子末端に一つのアミノ基を有するポリアミド(PA−2)の合成
アジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの等モルの塩15.0重量部とステアリルアミン0.38重量部をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、230℃、圧力15気圧で、4時間重合した。温度を260℃に昇温後、その温度に保持したまま圧力を大気圧まで降圧した後、窒素気流下、さらに、4時間重合した。その後、重合物を取出し、粉砕、メタノールでソックスレー抽出してから、乾燥し、ポリアミドを得た(以降、この合成法で得たポリアミドを「PA−2」で示す。)。PA−2の溶液粘度は0.93であり、アミノ基濃度から計算した数平均分子量Mnは11,000であった。
【0036】
合成例3:4,4'−アゾビス−シアノバレリアン酸(ACPA)とN−ヒドロキシこはく酸イミドとのエステル化物(ACPA-OSu)の合成
ACPA 5重量部とN−ヒドロキシこはく酸イミド 6重量部をテトラヒドロフラン(THF)100重量部に溶解し、10℃に冷却後、THF50重量部に溶解したジシクロヘキシルカルボジイミド8.8重量部を添加して、室温で16時間撹拌した。酢酸を0.5重量部加え、さらに5時間撹拌した後、ろ過した。ろ液を濃縮後、多量の水に投入したのち、析出物を濾別した。析出物を水洗、乾燥して、白色の粉末を得た。IRスペクトルでは、1740cm-1、1785cm-1および1820cm-1にエステルおよびイミドのカルボニル基の吸収が観察された。UV吸収スペクトルでは350nmにアゾ基に基づく吸収が観察された。
【0037】
実施例1
メタノール10重量部とフェノール40重量部とに、20℃で、PA−1を5重量部溶解した。氷冷しながら、ACPA-Osu 0.162重量部を溶解したテトラヒドロフラン(THF)5重量部を滴下した。滴下後、20℃で1時間撹拌しながら、反応させた。反応溶液を多量のメタノール中に注ぎ入れ、反応物を析出させた後、濾別、さらにメタノールで数回洗浄してから、減圧乾燥した。得られた反応物の溶液粘度は0.51であった。また、滴定でアミノ基は検出されなかった。このことは、ポリアミドの末端アミノ基の大部分が反応したことを示す。
反応物のUVスペクトル測定から350nm付近にアゾ基に基く吸収が観察され、1H−NMR測定からは0.9〜1.5ppm、2.22ppm、3.07ppm付近にナイロン6に基くシグナルが観察され、この反応物はアゾ基含有ポリアミドであることがわかった。
このアゾ基含有ポリアミド2.5重量部を、フェノール−メタノール混合溶媒(フェノール:メタノール=4:1、体積比)200重量部に室温で溶解し、その溶液にメタクリル酸メチル10重量部を加えた。次いで、窒素雰囲気下、60℃、攪拌下に、24時間、重合させた。その後、反応溶液をメタノール中に注ぎ入れ、重合物を析出させ、濾過、減圧乾燥した。得られた重合物は1H−NMRの測定により、ナイロン6のシグナルとポリ(メタクリル酸メチル)のシグナルが観察され、ポリアミドとポリ(メタクリル酸メチル)との共重合体であった。このことからも、得られたアゾ基含有ポリアミドはナイロン6のポリアミド構造を有し、かつ、メタクリル酸メチルの重合開始剤としての機能を持つことが確認できた。
【0038】
実施例2
PA−2を8重量部とトリエチルアミン1.5重量部とをメタノール25重量部とフェノール75重量部からなる混合溶媒200重量部に溶解した。氷冷しながら、ACPA-Osuを0.61重量部溶解したテトラヒドロフラン(THF)15重量部を滴下した。滴下後、20℃で2時間撹拌しながら、反応させた。反応溶液を多量のメタノール中に注ぎ入れ、反応物を析出させた後、濾別、減圧乾燥した。得られた反応物の溶液粘度は0.94であった。また、滴定でアミノ基は測定されなかった。
反応物のUVスペクトル測定からアゾ基が、1H−NMR測定からナイロン66に基くシグナルが観察され、この反応物はアゾ基含有ポリアミドであることがわかった。
このアゾ基含有ポリアミド3重量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法でメタクリル酸メチルを重合させ、重合物を得た。この重合物は1H−NMRの測定により、ナイロン66のシグナルとポリ(メタクリル酸メチル)のシグナルが観察され、ポリアミドとポリ(メタクリル酸メチル)との共重合体であった。
このことからも、得られたアゾ基含有ポリアミドはナイロン66のポリアミド構造を有し、かつ、メタクリル酸メチルの重合開始剤としての機能を持つことが確認できた。
【0039】
【発明の効果】
本発明目的のアゾ基含有ポリアミドは、少なくとも一つのアミノ基を有し、かつ、数平均分子量が500〜40,000であるポリアミドと
一般式(1)
【化13】
Figure 0004936580
(式中、Zは活性エステル基を、R1及びR2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はニトリル基を示し、aは0又は1〜6の整数を示す。)
であらわされるアゾ基含有活性エステル化合物とをフェノール系溶剤、フルオロアルコール系溶剤およびハロゲン化無機物含有アミド系溶剤から選ばれた1種類以上からなる溶剤中で縮合反応させることにより実用的な機械的性質を有するアゾ基含有ポリアミドを容易に製造できる。

Claims (1)

  1. 少なくとも一つのアミノ基を有し、かつ、数平均分子量が500〜40,000である脂肪族ポリアミドと一般式(1)であらわされるアゾ基含有活性エステル化合物とを、
    Figure 0004936580
    (式中、Zは活性エステル基を、R 1 及びR2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はニトリル基を示し、aは0又は1〜6の整数を示す。)フェノール系溶剤、フルオロアルコール系溶剤およびハロゲン化無機物含有アミド系溶剤から選ばれた1種類以上の溶剤の中で、
    上記アゾ基含有活性エステル化合物の活性エステル基が、一般式(2)であらわされるN−ヒドロキシこはく酸イミドエステル基であり、
    Figure 0004936580
    上記脂肪族ポリアミドと上記アゾ基含有活性エステル化合物の合わせた濃度が、溶剤100重量部に対し、0.1〜50重量部の範囲であり、かつ、温度0℃〜50℃、アゾ基含有活性エステル化物が末端アミノ基1モル当量に対し、0.5モル当量〜10モル当量の範囲で反応させることを特徴とするアゾ基含有ポリアミドの製造法。
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