JP4019602B2 - ホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は生体適合性を有するリン(P)を分子鎖中に含有するポリアミドブロック共重合体に関する。詳しくは、ポリアミドと側鎖にホスホリルコリン基を有するビニルポリマーとを含むポリアミドブロック共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリアミドは耐熱性、機械的特性、耐薬品性、成形加工性などに優れており、繊維、フィルム、フィラメント、チューブ、射出成形材料などの成形品として、自動車部品、電気・電子機器部品や包装用材料などの有用な材料として使用されている。また、ホスホリルコリン基などのリンを含有するポリマーは生体適合性があり、医療用材料として有用なことが知られている。例えば、特開平3−39309号公報には、2-メタクリロイルオキシエチレンホスホリルコリンとメタクリル酸エステルの共重合体が優れた生体適合性を有する材料であることが開示されている。
【0003】
また、ラジカル重合開始能を有するポリアミドを用い、ポリアミドブロック共重合体を合成する方法は知られている。例えば、特開昭48−17895号公報、特開2000−7781号公報、特開2000−26595号公報に、アゾ基含有ポリアミドをラジカル重合開始剤として、ポリアミドとビニルポリマーとのブロック共重合体を製造する方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来、ポリアミドの優れた特性を有する医療用材料の開発が要望されていたが、ポリアミドは抗血栓性、抗タンパク質付着などの性質が十分でなく、医療用材料としての用途は限られていた。また、生体適合性を有するホスホリルコリン基などを含有するポリアミド共重合体は知られていなかった。
そのため、ポリアミドを医療用材料に適用する目的で、種々の研究が進められている。
【0005】
本発明の目的は、生体適合性を有するポリアミド共重合体の提供およびこの共重合体を使用する医療用材料の提供である。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ラジカル重合開始能を有するポリアミドを使用し、ホスホリルコリン基を有するビニルモノマーを重合させることにより、生体適合性を有するポリアミド共重合体が得られることを見出し、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明の第一の発明は、一般式(1)
【化7】
(式中、R1は、炭素数2〜12の脂肪族基又は芳香族基を示す。)
および/または、一般式(2)
【化8】
(式中、R2およびR3は、炭素数2〜36の脂肪族基又は芳香族基を示す。)
で表されるポリアミドセグメントと一般式(3)
【化9】
(式中、R4、R5、R6は水素原子または炭素数1〜8の脂肪族基を示し、nは2〜4の整数を示す。)
で表されるホスホリルコリン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートポリマーセグメントとを含むことを特徴とするホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体である。
【0008】
また、本発明の第二の発明は、少なくとも一つのアゾ基またはパーオキサイド基を有し
、かつ、一般式(1)
【化10】
(式中、R1は、炭素数2〜12の脂肪族基又は芳香族基を示す。)
および/または、一般式(2)
【化11】
(式中、R2およびR3は、炭素数2〜36の脂肪族基又は芳香族基を示す。)
で表されるポリアミドセグメントを含むポリアミドラジカル開始剤を用い、一般式(3)
【化12】
(式中、R4、R5、R6は水素原子または炭素数1〜8の脂肪族基を示し、nは2〜4の整数を示す。)
で表されるホスホリルコリン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートモノマーをラジカル重合させることを特徴とする請求項1記載のホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体の製造法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、詳細に本発明を説明する。
本発明のホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体は、ポリアミドセグメントとホスホリルコリン基を側鎖に有するビニルポリマーセグメントを含むブロック共重合体である。
このホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体は、少なくとも一つのアゾ基あるいはパーオキサイド基を有するポリアミド(以降、このポリアミドを「ポリアミドラジカル開始剤」と記載する。)を開始剤として、ホスホリルコリン基を側鎖に有するビニルモノマーを重合させることにより、製造することができる。
【0010】
ポリアミドラジカル開始剤は、特開2000−7781号公報、特開2000−26595号公報や特願2000−44622号などに記載の公知の方法で製造することができる。例えば、ω−アミノカルボン酸からなる繰返し単位、ラクタムの開環した繰返し単位、または、ジアミンとジカルボン酸とからなる繰返し単位などから誘導された少なくとも1つ以上のアミノ基を有するポリアミドと酸ハロゲン基または活性エステル基を有するアゾ化合物あるいはパーオキサイド化合物とを溶液反応あるいは界面反応させることにより合成される。
【0011】
ポリアミドラジカル開始剤を構成するポリアミドは、ω−アミノカルボン酸からなる繰返し単位、ラクタムが開環した繰返し単位、または、ジアミンとジカルボン酸とからなる繰返し単位などから誘導される。ω−アミノカルボン酸の具体例としては、5−アミノ吉草酸、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10−アミノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸などを挙げることができ、また、ラクタムの具体例としては、ピロリドン、メチルピロリドン、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカラクタムなどを挙げることが出来る。
【0012】
ジアミンとしては、通常、炭素数2〜36のジアミンが使用できる。このジアミンの具体例としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン、ヘキサデカメチレンジアミン、オクタデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミンやキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、また、ビス−(3−アミノプロピル)−ポリテトラヒドロフラン、ビス−(3−アミノプロピル)−ポリエチレングリコール、ビス−(3−アミノプロピル)−ポリプロピレングリコールなどの分子鎖中に酸素原子を有するジアミンなどが挙げられる。
【0013】
また、ジカルボン酸としては、通常、炭素数2〜36のジカルボン酸が使用できる。このジカルボン酸の具体的例としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカジオン酸、テトラデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘキサデセンジオン酸、オクタデカジオン酸、オクタデセンジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコセンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、ドコサンジオン酸、2,2,4一トリメチルアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4一シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸やテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、キシリレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、ダイマー酸やその水添物などが挙げられる。
【0014】
上記のω−アミノカルボン酸やラクタム、ジアミンとジカルボン酸から誘導される単位はそれぞれ単独で使用しても良いし、2種類以上を適宜組合せて使用しても良い。ポリアミド単位が共重合体から誘導される場合、その構造はランダム共重合体、ブロック共重合体及び交互共重合体のいずれであっても良い。
【0015】
尚、ポリアミドの有するアミノ基数や数平均分子量を調節する必要がある場合、公知の方法によりポリアミド合成の際、モノアミン又はジアミンを添加することにより調節される。添加されるモノアミンは、ラウリルアミン、ステアリルアミンなどの炭素数1〜18の直鎖及び分岐状脂肪族モノアミン、ベンジルアミンやβ−フェニルエチルアミンなどの芳香族モノアミン、シクロヘキシルアミンなどの脂環族モノアミンなどがある。ジアミンは、前述の脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミンなどがある。これらのモノアミン、ジアミンの添加量は、目的とするアミノ基の数や数平均分子量により、適宜決められる。
【0016】
上記のポリアミドの数平均分子量は500〜40,000、好ましくは1,000〜30,000、さらに好ましくは6,000〜25,000である。数平均分子量が40,000より大きくなると、アゾ化合物あるいはパーオキサキド化合物との反応性が低下したり、反応時の溶液粘度が高くなり、均一に反応させることが困難となり、ポリアミドラジカル開始剤の合成が難しくなる。一方、500より小さくなると、ポリアミドの優れた特性が失われるようになる。
【0017】
本発明で使用される一般式(3)
【化13】
(式中、R4、R5、R6は水素原子または炭素数1〜8の脂肪族基を示し、nは2〜4の整数を示す。)で表されるホスホリルコリン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートモノマーの具体例としては、2−アクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−アクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、3−メタクリロイルオキシプロピル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−アクリロイルオキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−メタクリロイルオキシブチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−アクリロイルオキシペンチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、5−メタクリロイルオキシペンチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6−アクリロイルオキシヘキシル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6−メタクリロイルオキシヘキシル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−アクリロイルオキシジエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシジエトキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチル−2’−(2’−トリヒドロキシエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(2’−トリヒドロキシエチルアンモニオ)エチルホスフェート等を拳げることができる。これらの中では、入手の容易さの点から、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましい。
【0018】
本発明のポリアミドラジカル開始剤を用い、上記のホスホリルコリン基を側鎖に有するビニルモノマーを重合する際、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、メタクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、イソプレンなどのホスホリルコリン基を含まないビニルモノマーの共存下に重合させることもできる。
【0019】
本発明のポリアミドラジカル開始剤を用いたホスホリルコリン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートモノマーの重合は、溶液反応、乳化反応、分散反応、界面反応などの方法で実施されるが、これらの中では溶液反応が好ましい。
【0020】
溶液反応で使用される溶媒は、ポリアミドラジカル開始剤および(メタ)アクリレートモノマーを同時に溶解するものが好ましく使用される。使用される溶媒としては、フェノール系溶剤、フルオロアルコール系溶剤、アミド系溶剤にハロゲン化無機物を混合したハロゲン化無機物含有アミド系溶剤、ギ酸などの有機カルボン酸系溶剤などが挙げられる。
【0021】
フェノール系溶剤の具体例は、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾールなどがあり、フルオロアルコール系溶剤の具体例は、2,2,2-トリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブタノール、2,2,3,3,-テトラフルオロプロパノールなどを挙げることができる。
【0022】
ハロゲン化無機物の具体例は、塩化リチウム、塩化カルシウム、臭化リチウム、臭化カルシウムなどが挙げられ、アミド系溶剤の具体例は、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを挙げることができる。アミド系溶剤とハロゲン化無機物との混合割合は、アミド系溶剤100重量部に対して、ハロゲン化無機物5〜20重量部である。
【0023】
溶液反応で使用される溶媒には、本発明で用いられるポリアミドラジカル開始剤を溶解できる範囲内であれば、炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤および/または水を混合することもできる。
【0024】
本発明において、ホスホリルコリン基を有する(メタ)アクリレートモノマーのラジカル重合の温度範囲は、40〜150℃、好ましくは、50〜140℃であり、重合時間は0.5〜120時間である。反応温度が150℃より高い場合、ホスホリルコリン基の分解などが起ることがあり、一方、反応温度が40℃より低い場合、ラジカル重合反応の速度が遅くなり、反応終了までの時間が長くなるので好ましくない。
【0025】
本発明の溶液反応で合成されたホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体は、ラジカル重合反応溶液を平板上などに流涎して、溶媒などの揮発性分を除去することにより得ることができる。また、ラジカル重合反応終了後の溶液を多量の貧溶媒に注ぎ込むか、あるいは逆に、多量の貧溶媒を反応溶液に注ぎ込むことにより、合成したホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体を析出させ、濾別した後、乾燥する方法で得ることもができる。
【0026】
本発明のホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体は、成形性に優れており、容易にフィルム状、チューブ状、繊維状に成形可能である。例えば、フィルムであれば、溶融キャスト法、溶液キャスト法など公知の方法で、容易に製造することができる。
【0027】
本発明のホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体は、抗血栓性、抗タンパク付着性などの生体適合性を有しており、人工臓器などの医療用材料やバイオセンサーなどの用途への適用が期待される。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、実施例に記載した特性評価は次の方法で行った。
【0029】
(1)ポリアミド、ポリアミドラジカル開始剤の溶液粘度の測定
0.5g/100mlの濃度でm−クレゾールを溶媒として、25℃でウベローデ粘度計を用いて測定し、式(1)により溶液粘度ηsp/c(単位;ml/g)を求めた。
ηsp/c={(t−t0)/t0}/c (1)
ここで、t;溶液の流出時間(秒)、t0;溶媒のみの流出時間(秒)、c;溶液濃度(g/ml)
【0030】
(2)アミノ基濃度の測定
フェノール/メタノール(4/1;体積比)混合溶媒40mlに試料を溶解し、チモールブルーを指示薬として数滴加えた後、1/20N塩酸を用いて室温で滴定した。アミノ基濃度[NH2](単位;モル/g)は式(2)で計算した。
[NH2]=(L1−L2)×f×10-4/(2×S) (2)
ここで、L1;試料溶液の滴定量(ml)、L2;溶媒のみの滴定量(ml)、f;1/20N塩酸のファクター、S;試料量(g)
【0031】
(3)ポリアミドの数平均分子量(以降、「Mn」と記載することがある。)
Mn(単位;g/mol)は、上記(2)の方法で測定したアミノ基濃度[NH2]を用い、式(3)により計算した。
Mn=1/[NH2] (3)
【0032】
(4)ポリアミドラジカル開始剤およびポリアミド−(メタ)アクリレートポリマー共重合体の1H−NMRの測定日本電子(株)のJEOL EX−270を用い、重硫酸を溶媒として測定した。
測定周波数;300MHz、測定温度;室温、試料濃度;5重量%、標準物質;トリメチルシラン
【0033】
(5)ポリアミドラジカル開始剤のUV吸収測定
試料を5mmol/100mlとなるように2,2,2-テトラフルオロエタノールに溶解し、大塚電子の瞬間マルチ測光システムMCPD−1000を用いて室温で測定した。
【0034】
(6)牛血漿アルブミン(以降、「BSA」と記載する。)の付着量の測定
ポリマー膜を蒸留水に浸し,そのまま3時間静置した。ポリマー膜を水から取出した後、4.5g/dlに調製したBSA水溶液 800μlに浸し、37℃の恒温槽中で1時間放置した後、BSA水溶液からポリマー膜を取出した。このポリマー膜を1mlの1/15Mリン酸緩衝溶液(pH 7.4)で30秒〜2分分洗浄し、次いで、蒸留水で数分洗浄した。この洗浄操作を5回繰り返した。次いで、表面に吸着したタンパク質を溶出させるため、1重量%のドデシル硫酸ナトリウム水溶液1mlを注ぎ、30分そのまま静置後、超音波洗浄器で15分間超音波処理した。ビシンコニン酸法に基づくタンパク質分析キット(microp BCA protein assay reagent kit, #23235、 Pierce、 Rockford、 IL、USA)を用い、溶液中のBSA濃度(μg/ml)を求め、その結果から、ポリマー膜1cm2に吸着したBSA量(μg/cm2)を求めた。
【0035】
合成例1:アゾ基含有ポリアミドラジカル開始剤の合成
ε−カプロラクタム11.3重量部、水0.5重量部とステアリルアミン0.11重量部をオートクレーブに仕込み、窒素置換後、窒素ガス雰囲気下、250℃、圧力5気圧で、5時間重合した。温度を250℃に保持したまま圧力を大気圧まで降圧した後、窒素気流下、さらに、4時間重合した。その後、重合物を取出し、粉砕、メタノールでソックスレー抽出してから、乾燥して、ポリアミドを得た。得られたポリアミドの溶液粘度は1.95であり、アミノ基濃度から計算した数平均分子量Mnは24,000であった。
メタノール10重量部とフェノール40重量部とからなる溶液に、得られたポリアミド5重量部を20℃で溶解した。氷冷しながら、4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸クロリド)を0.1重量部溶解したテトラヒドロフラン(THF)5重量部を滴下した。滴下後、20℃で3時間撹拌しながら、反応させた。反応溶液を多量のメタノール中に注ぎ入れ、反応物を析出させた後、濾別、さらにメタノールで数回洗浄してから、減圧乾燥した。得られたポリアミドラジカル開始剤の溶液粘度は1.98であった。また、滴定でアミノ基は検出されなかった。
反応物のUVスペクトル測定から350nm付近にアゾ基に基く吸収が観察され、1H−NMR測定からは0.9〜1.5ppm、2.22ppm、3.07ppm付近にナイロン6に基くシグナルが観察され、この反応物はアゾ基含有ポリアミドであることがわかった。
【0036】
実施例1
合成例1で得られたポリアミドラジカル開始剤5重量部を、フェノール−メタノール混合溶媒(フェノール:メタノール=2:1、体積比)200重量部に室温で溶解し、その溶液に2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(以降、「MPC」と記載する。)6重量部を加えた。次いで、窒素雰囲気下、60℃、攪拌下に、24時間、重合させた。その後、反応溶液をメタノール中に注ぎ入れ、重合物を析出させ、濾過、減圧乾燥した。さらにメタノールで6時間ソックスレー抽出を行い,MPCの単独重合物を除去し、乾燥して重合物を得た。得られた重合物は1H−NMRの測定により、ナイロン6のシグナルとポリ(MPC)のシグナルが観察され、ポリアミドとポリ(MPC)との共重合体であった。
得られた重合物1重量部を1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール10重量部に溶解し、縦15cm、横20cmの平板上に流涎、室温で乾燥して厚さ50μmのフィルムを得た。得られた膜のBSA吸着量は0.15μg/cm2であった。
【0037】
実施例2
重合溶媒としてギ酸を用いた以外は実施例1と同様にして重合物を得た。得られた重合物は1H−NMRの測定により、ナイロン6のシグナルとポリ(MPC)のシグナルが観察され、ポリアミドとポリ(MPC)との共重合体であった。
得られた重合物1重量部を1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール10重量部に溶解し、実施例1と同様にして、厚さ50μmのフィルムを得た。得られた膜のBSA吸着量は0.22μg/cm2であった。
【0038】
比較例1
合成例1で得られたポリアミド1重量部を1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール10重量部に溶解し、実施例1と同様にして、厚さ50μmのフィルムを得た。得られた膜のBSA吸着量は0.53μg/cm2であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明のホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体は、ポリアミドセグメントとホスホリルコリン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートポリマーセグメントとを含み、抗血栓性、抗タンパク付着性などの生体適合性を有している。この共重合体は、ポリアミドラジカル開始剤を用い、ホスホリルコリン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートモノマーを重合させることにより製造される。
Claims (4)
- ポリアミドセグメントの数平均分子量が500〜40,000であることを特徴とする請求項1記載のホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体。
- 請求項1または2記載のホスホリルコリン基含有ポリアミドブロック共重合体から得られる医療用材料。
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