JP4934926B2 - Itoスパッタリングターゲットおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、透明導電膜製造の際に使用されるITOスパッタリングターゲット、特にノジュール発生のないITOスパッタリングターゲットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ITO(Indium Tin Oxide)薄膜は、高導電性、高透過率といった特徴を有し、更に微細加工も容易に行えることから、フラットパネルディスプレイ用表示電極、太陽電池用窓材、帯電防止膜等の広範囲な分野に渡って用いられている。特に液晶表示装置を始めとしたフラットパネルディスプレイ分野では近年大型化および高精細化が進んでおり、その表示用電極であるITO薄膜に対する需要もまた急速に高まっている。
【0003】
このようなITO薄膜の製造方法は、スプレー熱分解法、CVD法等の化学的成膜法と電子ビーム蒸着法、スパッタリング法等の物理的成膜法に大別することができる。中でもスパッタリング法は大面積化が容易でかつ高性能の膜が得られる成膜法でることから、様々な分野で使用されている。
【0004】
スパッタリング法によりITO薄膜を製造する場合、用いるスパッタリングターゲットとしては金属インジウムおよび金属スズからなる合金ターゲット(以降ITターゲットと略する)あるいは酸化インジウムと酸化スズからなる複合酸化物ターゲット(以降ITOターゲットと略する)が用いられる。このうち、ITOターゲットを用いる方法は、ITターゲットを用いる方法と比較して、得られた膜の抵抗値および透過率の経時変化が少なく成膜条件のコントロールが容易であるため、ITO薄膜製造方法の主流となっている。
【0005】
ITOターゲットをアルゴンガスと酸素ガスとの混合ガス雰囲気中で連続してスパッタリングした場合、積算スパッタリング時間の増加と共にターゲット表面にはノジュールと呼ばれる黒色の付着物が析出する。インジウムの低級酸化物と考えられているこの黒色の付着物は、ターゲットのエロージョン部の周囲に析出するため、スパッタリング時の異常放電の原因となりやすく、またそれ自身が異物(パーティクル)の発生源となることが知られている。
【0006】
その結果、連続してスパッタリングを行うと、形成された薄膜中に異物欠陥が発生し、これが液晶表示装置等のフラットパネルディスプレイの製造歩留まり低下の原因となっていた。特に近年、フラットパネルディスプレイの分野では、高精細化が進んでおり、このような薄膜中の異物欠陥は素子の動作不良を引き起こすため、特に解決すべき重要な課題となっていた。
【0007】
従来のITO薄膜の生産においては、このような薄膜中の欠陥の発生を防ぐために定期的にターゲット表面のノジュールを除去するといった対策が取られていた。しかしこのようなターゲットクリーニングの作業は重大な生産性の低下を引き起こすため、ノジュールの発生の起こりにくいITOターゲットの開発が強く望まれていた。
【0008】
このようなITOターゲットに発生するノジュールを低減させる方法が、これまでいくつか報告され、現在では大規模な生産ラインで焼結密度99%以上を達成し、さらに表面粗さRaやRmaxの低下やボンディング材の変更により、大型のITO薄膜生産ラインにおいても、ほとんどノジュールが発生せず、使用初期からターゲットのライフエンドまでターゲット表面をクリーニングすることなく使用することが可能となってきた。
【0009】
現在、一般的に製造ラインで使用されているITOターゲットは、枚葉式装置用ターゲットとインライン装置用ターゲットに大別され、その厚さは枚葉式装置用で6mm、インライン装置用の板厚の薄い部分で5mm、厚い部分で8mmが主流となっている。
【0010】
一方、最近になって液晶パネルの価格低下が加速度的に進み、その結果、パネル製造に必要とされるコストの低減が強く求められている。パネルの製造コスト削減には、単に材料費を低減させるだけでなく、歩留まりの向上やスループットの向上など、総合的な製造技術の向上が必要とされている。
【0011】
本発明者等は、ITO薄膜製造工程における低コスト化について検討を行った結果、ITOターゲットに使用されるITO焼結体の板厚を厚くすることにでターゲットの交換サイクルを長くすることにより、ITO薄膜の成膜装置の稼働率を向上させることができるとの考えに至った。
【0012】
この考えに基づき、酸化スズ10重量%を含むITO焼結体(焼結密度:98%)を常法に従って製造した。得られた厚さ10mmの焼結体を無酸素銅からなるバッキングプレートに接合しターゲット化して連続放電試験を実施したところ、ターゲットライフの後半において急激に異常放電が多発し、ライフエンドまで使用することができなかった。ターゲットを装置から取り外したところ、ターゲット表面に多量のノジュールが発生していた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、異常放電やノジュールの増加を成膜に問題ないレベルに低減しつつ、フラットパネルディスプレイの製造コスト低減に大きく寄与できるITOスパッタリングターゲットを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、この厚さ10mmの焼結体に多量のノジュールが発生し、異常放電が多発した原因について詳細に検討したところ、ターゲットの板厚を厚くしたことにより、ターゲットの密度が低下し、この密度低下が原因となってノジュールおよび異常放電が増加したとの結論を得た。
【0015】
この密度低下は、主として焼結体の厚さ方向での中心部で起こっており、結果として焼結体の厚さ方向での密度むらが発生し、結果として焼結体の密度が低下したものであった。このような、厚さ方向での中心部で密度が低下した原因としては、以下2つの理由が考えられる。
【0016】
1)スラリー中のスズの凝集部がそのまま成形体として成形された後、焼成された場合、周囲の母相である酸化インジウムが焼結した後に酸化スズの凝集部で酸化スズの蒸発が起こって空孔が形成される。この空孔を消滅させるには、空孔内のガス成分を焼結体の外部へ放出させる必要があるが、周囲の母相はすでに焼結されているため、拡散によってしか移動できない。従って、焼結体の板厚が厚くなるとこの拡散による気体の放出に必要な距離が特に板厚方向の中心部で長くなるため、板厚方向に密度むらが生じる。
【0017】
2)成形体の焼結は成形体の周囲から進行する。このため、成形体内部の焼結が周囲に比べて遅くなった場合、成形体内部に存在していた空孔内のガス成分は拡散によってのみ外部への放出が可能となる。従って、焼結体の板厚が厚くなるとこの拡散による気体の放出に必要な距離が特に板厚方向の中心部で長くなるため、板厚方向に密度むらが生じる。
【0018】
よって本発明者らは、上記厚さ方向での密度むらを解消させるための検討を行った。その結果、酸化インジウムおよび酸化スズを含有するスラリーに対してビーズミル処理をした後、成形、焼成することにより、焼結体中のスズの凝集部に起因する空孔の形成を低減し、上記1)の理由による密度むらを低減できること、また、好ましくは焼成時の昇温速度を150℃/時間以下とすることによって、上記2)の理由による密度むらもより低減できることを見いだした。
【0019】
即ち、本発明は、実質的にインジウム、スズおよび酸素からなり、相対密度が99%以上でかつ10mm以上の板厚部を有する焼結体からなるITOスパッタリングターゲット、好ましくは、更に焼結体の厚さ方向での中心部の相対密度(%)/焼結体全体の密度(%)≧0.995との式を満足するITOスパッタリングターゲット、および酸化インジウムと酸化スズを含有するスラリーをビーズミルで処理した後成形し、好ましくは昇温速度150℃/時間以下で焼成することを特徴とするITOスパッタリングターゲットの製造方法に関する。
【0020】
なお、本発明でいう焼結密度(D)とは、In2O3とSnO2の真密度の相加平均から求められる理論密度(d)に対する相対値を示している。相加平均から求められる理論密度(d)とは、ターゲット組成において、In2O3とSnO2粉末の混合量をa,b(g)、とした時、それぞれの真密度7.18、6.95(g/cm3)を用いて、
d=(a+b)/((a/7.18)+(b/6.95))
により求められる。焼結体のアルキメデス法によって求められた測定密度をd1とすると、その焼結密度は、D=d1/d×100(%)で求められる。
【0021】
また、本発明でいう焼結体の厚さ方向での中心部の相対密度とは、焼結体の厚さ方向における中間部(1/2の部分)の上側1mm、下側1mmの計2mmの部分に相当する焼結体を切り出して、上述の方法により導き出された値である。
【0022】
本発明のターゲットにおいては、焼結体の厚さ方向での中心部の相対密度(%)/焼結体全体の密度(%)の値が、好ましくは0.995以上、より好ましくは0.997以上である。
【0023】
ビーズミルとは、別名攪拌ミルとも呼ばれ、容器中にボールビーズなどの粉砕媒体を入れ、この媒体間に挿入した攪拌機構によって力を伝達し、主として媒体のせん断・摩擦作用によって粉砕を行う微粉砕機である。
【0024】
本発明に関わる焼結体、およびこの焼結体からなるスパッタリングターゲットは以下の方法で製造することができる。
【0025】
はじめに、酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末とを所望の割合でボールミル用ポットに投入し、乾式あるいは湿式混合して混合粉末を調製する。使用する粉末の平均粒径は、1.5μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜1.3μmである。このような粉末を使用することにより、焼結体の密度増加効果が得られる。
【0026】
本発明では、混合粉末中の酸化スズの含有量は、SnO2/(In2O3+SnO2)で5〜15重量%とすることが好ましい。こうすることにより、スパッタリング法により製膜したときに得られる薄膜の抵抗率が低下する。
【0027】
こうして得られた粉末に水および分散材・バインダ等の有機物を加えてスラリーを製造する。スラリーの粘度は200〜4000cPが好ましく、より好ましくは500〜2000cPである。
【0028】
次に得られたスラリーとビーズとをビーズミルの容器に入れて処理する。ビーズ材としては、ジルコニア、アルミナ等をあげることができるが、耐摩耗性の点でジルコニアが好ましい。ビーズの直径は、粉砕効率の点から1〜5mmが好ましい。パス数は2回以上が好ましく、5回以下で十分な効果が得られる。また、処理時間としては、好ましくは10時間以下、更に好ましくは4〜8時間である。
【0029】
このような処理を行うことによって、スラリ−中における酸化インジウム粉末と酸化スズ粉末との混合が良好となり、該スラリーを用いて成形、焼成を行うことにより板厚の焼結体であったも99%以上の高密度化が可能となる。
【0030】
次に、このようにして処理されたスラリーを用いて成形を行う。成形方法としては、鋳込み成形法、プレス成形法のいずれも採用することができる。
【0031】
鋳込み成形を行う場合、得られたスラリーを鋳込み成型用の型に注入して成形体を製造する。ビーズミルの処理から鋳込みまでの時間は、10時間以内とするのが好ましい。こうすることにより、得られたスラリーがチクソトロピー性を示すことを防ぐことができる。
【0032】
プレス成形を行う場合、得られたスラリーにバインダ等を添加し、必要に応じて水分調節を行ってからスプレードライヤー等で乾燥させて粉末とする。得られた粉末を所定の大きさの金型に充填した後、プレス機を用いて100〜300kg/cm2の圧力でプレスを行い成形体とする。
【0033】
この時の成形体の厚みを、この後のCIP工程や焼成工程による収縮を考慮して、厚さ10mm以上の焼結体を得ることができる厚さに設定する。
【0034】
次に、こうして得られた成形体は、必要に応じて冷間等方圧プレス(CIP)による処理を行う。この際、CIPの圧力は十分な圧密効果を得るため1ton/cm2以上、好ましくは2〜5ton/cm2であることが望ましい。
【0035】
得られた成形体に対して300〜500℃の温度で5〜20時間程度で脱バインダー処理を行った後、焼成を行う。昇温速度は、効果的に内部の空孔を外部へ放出させるため150℃/時間以下が好ましく、より好ましくは100℃/時間以下、更に好ましくは80℃/時間以下である。焼結温度は、1500℃以上、1650℃未満、好ましくは、1550〜1620℃とする。こうすることにより、より確実に高密度で厚さ方向で密度むらの少ない焼結体を得ることができ、板厚が10mm以上で、密度が99%以上となる。
【0036】
得られた焼結体を無酸素銅からなるバッキングプレート上の所定の位置にインジウムはんだなどを用いて接合することにより、容易にターゲット化することができる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例をもって更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
平均粒径0.5μmの酸化インジウム粉末90重量部と平均粒径0.5μmの酸化スズ粉末10重量部とをポリエチレン製のポットに入れ、乾式ボールミルにより72時間混合し、混合粉末を調製した。
【0038】
得られた粉末に水、分散剤およびバインダを添加してスラリー化した。得られたスラリーの粘度は1000cPであった。
【0039】
次に得られたスラリーをジルコニア製の直径3mmのビーズを入れたビーズミルに入れ2パス処理した。処理時間は6時間であった。
【0040】
スラリー処理から10分後、このスラリーを鋳込み成形用の鋳型に鋳込んで厚さ14.7mmの成形体を製造した。この成形体を3ton/cm2の圧力でCIPによる処理を行った。次にこの成形体を純酸素雰囲気焼結炉内に設置して、以下の条件で焼結した。
(焼結条件)
昇温速度:100℃/時間、焼結温度:1600℃、焼結時間:6時間、雰囲気:昇温時800℃から降温時400℃まで純酸素ガスを炉内に、(仕込重量kg/酸素流量l/min.)=0.8で導入、降温速度:1600℃から1200℃までは、100℃/時間、以降50℃/時間
得られた焼結体の板厚は10.8mm、アルキメデス法により測定した密度は99.6%であった。焼結体の厚さ方向の中央部(5.4mm部分)から、上下1mm部分に相当する厚さ2mmの小片(厚さ4.4〜6.4mm部分)を切り出して、密度を測定したところ99.5%であった。焼結体の厚さ方向における中心部の相対密度(%)/焼結体全体の密度(%)の値は、0.999である。
【0041】
この焼結体を湿式加工法により4×7インチ、厚さ10mmの焼結体に加工し、インジウム−スズ半田を用いて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングしてターゲットとした。このターゲットを以下のスパッタリング条件で連続的に放電させてノジュールおよび異常放電の発生量を調べた。
(スパッタリング条件)
DC電力:300W、ガス圧:7.0mTorr、スパッタリングガス:Ar+酸素、スパッタリングガス中の酸素ガス濃度(O2/Ar):0.05%、放電時間:120時間(ターゲットの残厚は約1mm)ここで、酸素ガス濃度は、得られる薄膜の抵抗率が最も低下する値に設定した。
【0042】
異常放電の発生回数は200回で、ターゲット表面の20%にノジュールが発生していた。ここで、ノジュール発生量は放電終了後のターゲットの外観写真をコンピューターを用いた画像処理を用いて計算した。
【0043】
放電終了後のエロージョン最深部のターゲット残厚は0.9mmであった。
(実施例2)
昇温速度を70℃/時間とした以外は、実施例1と同じ方法でITOターゲットを製造した。得られた焼結体の板厚は10.4mm、アルキメデス法により測定した密度は99.7%であった。実施例1と同様に、焼結体の厚さ方向の中央部から、厚さ2mmの小片を切り出して、密度を測定したところ99.6%であった。焼結体の厚さ方向における中心部の相対密度(%)/焼結体全体の密度(%)の値は、0.999である。
【0044】
この焼結体を湿式加工法により4×7インチ、厚さ10mmの焼結体に加工し、インジウム−スズ半田を用いて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングしてターゲットとした。このターゲットを実施例1と同じスパッタリング条件で連続的に放電させてノジュールおよび異常放電の発生量を調べた。
【0045】
異常放電の発生回数は200回で、ターゲット表面の19%にノジュールが発生していた。
【0046】
放電終了後のエロージョン最深部のターゲット残厚は0.9mmであった。
(実施例3)
実施例1と同じ粉末を用い、実施例1と同じ方法でビーズミル処理済みのスラリーを製造した。スラリー処理から10分後、このスラリーをスプレードライヤーで乾燥してプレス成形用粉末を調製した。
【0047】
得られたプレス用粉末を金型に充填して200kg/cm2の圧力でプレスし、成形体を製造した。この成形体を3ton/cm2の圧力でCIPによる処理を行った。 次にこの成形体を純酸素雰囲気焼結炉内に設置して、実施例1と同じ条件で焼結した。
【0048】
得られた焼結体の板厚は10.4mm、アルキメデス法により測定した密度は99.5%であった。実施例1と同様に、焼結体の厚さ方向の中央部から、厚さ2mmの小片を切り出して、密度を測定したところ99.4%であった。焼結体の厚さ方向における中心部の相対密度(%)/焼結体全体の密度(%)の値は、0.999である。
【0049】
この焼結体を湿式加工法により4×7インチ、厚さ10mmの焼結体に加工し、インジウム−スズ半田を用いて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングしてターゲットとした。このターゲットを実施例1と同じスパッタリング条件で連続的に放電させてノジュールおよび異常放電の発生量を調べた。
【0050】
異常放電の発生回数は230回で、ターゲット表面の21%にノジュールが発生していた。
【0051】
放電終了後のエロージョン最深部のターゲット残厚は0.9mmであった。
(比較例1)
ビーズミルによる処理を行わなかった以外は、実施例1と同じ方法でITO焼結体を製造した。得られた焼結体の板厚は10.8mm、アルキメデス法により測定した密度は98.7%であった。実施例1と同様に、焼結体の厚さ方向の中央部から、厚さ2mmの小片を切り出して、密度を測定したところ97.9%であった。焼結体の厚さ方向における中心部の相対密度(%)/焼結体全体の密度(%)の値は、0.992である。
この焼結体を湿式加工法により4×7インチ、厚さ10mmの焼結体に加工し、インジウム−スズ半田を用いて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングしてターゲットとした。このターゲットを実施例1と同じスパッタリング条件で連続的に放電させてノジュールおよび異常放電の発生量を調べた。
【0052】
異常放電の発生回数はライフの後半から急激に増加し、最終的には830回にも達した。また、ターゲット表面のノジュール量は38%にも達していた。
【0053】
放電終了後のエロージョン最深部のターゲット残厚は0.9mmであった。
(比較例2)
ビーズミルによる処理を行わなかった以外は、実施例2と同じ方法でITO焼結体を製造した。得られた焼結体の板厚は10.4mm、アルキメデス法により測定した密度は98.5%であった。実施例1と同様に、焼結体の厚さ方向の中央部から、厚さ2mmの小片を切り出して、密度を測定したところ97.4%であった。焼結体の厚さ方向における中心部の相対密度(%)/焼結体全体の密度(%)の値は、0.989である。
この焼結体を湿式加工法により4×7インチ、厚さ10mmの焼結体に加工し、インジウム−スズ半田を用いて無酸素銅製のバッキングプレートにボンディングしてターゲットとした。このターゲットを実施例1と同じスパッタリング条件で連続的に放電させてノジュールおよび異常放電の発生量を調べた。
【0054】
異常放電の発生回数はライフの後半から急激に増加し、最終的には940回にも達した。また、ターゲット表面のノジュール量は44%にも達していた。
【0055】
放電終了後のエロージョン最深部のターゲット残厚は0.9mmであった。
【0056】
【発明の効果】
本発明のITOターゲットを用いることにより、異常放電やノジュールの増加を成膜に問題ないレベルに低減できる。また、ターゲットライフが飛躍的に向上するために、ターゲットの交換サイクルが長くなり、ひいては成膜装置の稼働効率を向上させることができるので、ITO薄膜形成にかかるコストを低減することが可能となる。
Claims (2)
- 実質的にインジウム、スズおよび酸素からなり、相対密度が99%以上でかつ10mm以上の板厚部を有する焼結体を含み、以下の式(1)を満足することを特徴とするITOスパッタリングターゲット。
式(1):焼結体の厚さ方向における中心部の相対密度(%)/焼結体全体の密度(%)≧0.995 - 酸化インジウムおよび酸化スズを含有するスラリーをビーズミルで処理したのち、成形、焼成し、かつ焼成時の昇温速度が150℃/時間以下であることを特徴とする請求項1に記載のITOスパッタリングターゲットの製造方法。
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JP2007254282A (ja) | Ito焼結体の製造法 |
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