JP4933380B2 - 穴を有する素材の位置決め固定装置 - Google Patents
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Description
即ち、ワーク等の被固定物の下面に開口された穴に挿入されるように基準ブロックのハウジングから上方へ突出させた心柱と、その心柱の筒孔に軸心方向へ移動可能に挿入された出力ロッドと、上記の心柱の外周に配置された内係合具と、その内係合具を先端方向へ付勢するバネと、上記の内係合具の外周に配置されると共に上記の出力ロッドに連結された環状プラグと、その環状プラグの周壁に半径方向へ移動可能に支持されると共に上記の内係合具に上側から楔係合する複数の外係合具とを備えたものである。
その利点を活用するため、本発明者たちは、エンジンのシリンダブロック鋳造品(以下、単にシリンダブロックという)のシリンダ穴を介して位置決め及び固定する装置を、本発明に先立って考えた。
上記の先提案に係る装置では、前記の外係合具を水平方向に向かい合わせに2つ配置し、各外係合具の幅方向の両側に押部を設けてある。そして、合計4つの押部を上記シリンダ穴の内周面に押圧することにより、基準部材としての前記心柱の軸心に上記シリンダ穴の軸心を精密に心合わせするように構成してある。
本発明の目的は、エンジンのシリンダブロック等のように穴を有する素材を、その穴を利用して精密に位置決め固定できるようにすることにある。
上記の穴(3)に挿入されるように上記の基準ブロック(1)のハウジング(14)から先端方向へ突出させた心柱(15)と、その心柱(15)の筒孔(29)に軸心方向へ移動可能に挿入された出力ロッド(30)と、上記の心柱(15)の外周に配置された内係合具(32)と、その内係合具(32)を先端方向へ付勢する進出手段(33)と、上記の内係合具(32)の外周に配置されると共に上記の出力ロッド(30)に連結された環状プラグ(36)と、上記の出力ロッド(30)を挟んで対面するように上記の環状プラグ(36)の周壁(44)に半径方向へ移動可能に支持されると共に上記の内係合具(32)に先端側から楔係合する二つの外係合具(45)(45)とを備える。上記の二つの外係合具(45)(45)のうちの一方の外係合具(45)の外周部には、上記の対面方向に直行する幅方向(W)へ所定の間隔をあけて二つの押部(46)(46)を設け、他方の外係合具(45)の外周部には一つの押部(47)を設ける。
上記の外係合具(45)の内周部と前記の内係合具(32)の外周部のうちの一方にT溝(51)を設けると共に他方にT脚(52)を設けて、上記T溝(51)と上記T脚(52)とを上記の軸心方向および半径方向へ移動可能に嵌合させ、かつ、上記の内係合具(32)及び上記ハウジング(14)に対して上記の外係合具(45)および上記の環状プラグ(36)を上記の幅方向(W)へ移動可能に構成し、上記の外係合具(45)が上記の幅方向(W)へ移動するのを許容するように上記T溝(51)と上記T脚(52)との間に隙間(62)(63)を設ける。
前述した先提案例において位置決め精度が低下する理由は、本発明者たちが実験で検証した結果、以下のように考えられる。
即ち、シリンダブロックのシリンダ穴において、その内周面の凹凸が大きい場合には、2つの外係合具が半径方向の外方へ移動されたときに、4つの押部のうちのいずれか3つの押部が上記内周面を押圧するのに対して残りの1つの押部が上記内周面を十分に押圧しない場合がある。そして、上記シリンダブロックを新たなシリンダブロックに取り替えるごとに、押圧に寄与しない上記の押部が、4つの押部のうちのいずれかへランダムに変化する。換言すれば、新たに位置決めされるシリンダブロックごとに、4つの押部のうちの押圧に寄与する3つの押部がランダムに変化する。このため、上記の押部によって押し動かされる上記シリンダ穴の軸心も不整に変化する。
これに対して、本発明では、上記シリンダ穴の凹凸が大きい場合であっても、2つの外係合具が半径方向の外方へ移動されたときに、一方の外係合具の2つ押部が上記内周面の所定部分を確実に押圧すると共に他方の外係合具の1つの押部も上記内周面の所定部分を確実に押圧し、3つの押部の全てが押圧に寄与する。このため、上記の押部によって押し動かされる上記シリンダ穴の軸心が不整に変化するのを防止できる。その結果、シリンダ穴の軸心を前記の心柱の軸心に精密に心合わせでき、位置決め精度が向上する。
また、T嵌合という簡素な構成によって本件発明の主要部を構成できるので、その主要部を長期間にわたって高精度で使用できる。
この場合、上記の他方の押部と前記の一方の押部との間隔をほぼ等しくすることが可能なので、位置決め精度がさらに向上する。
この実施形態では、エンジンのシリンダブロック鋳造品(以下、単にシリンダブロックという)を位置決め及び固定する装置に本発明を適用したものを例示してある。
なお、請求項に係る本発明の実施形態は、上記の第2プラグ手段として説明されるものに関する。
上記の治具1は、工作機械のテーブルに固定したベースプレート4を備える。そのベースプレート4には、上記の複数のシリンダ穴3に対応させて、位置決め機能とロック機能との二つの機能を備えた第1プラグ手段11と、同様の二つの機能を備えた第2プラグ手段12とが設けられる。
上記の第1プラグ手段11の外係合具45は、図1及び図2に示すように、治具1に対して軸心方向と半径方向へ移動可能に構成してある。これに対して、第2プラグ手段12の外係合具45は、図3に示すように、治具1に対して軸心方向と半径方向に加えて幅方向Wへも移動可能に構成してある。
上記の二つの外係合具45・45のうちの一方(図2中の左方)の外係合具45の外周部には、上記の対面方向に直行する幅方向Wへ所定の間隔をあけて二つの押部46・46が設けられる。また、他方(図2中の右方)の外係合具45の外周部には、上記の幅方向Wのほぼ中央部に一つの押部47が設けられる。
上記の図1中の左半図のリリース状態では、前記ロック室20の圧油を排出すると共に前記リリース室25へ圧油を供給している。これにより、前記ピストンロッド18が前記の出力ロッド30を上昇させ、その出力ロッド30が前記キャップ39および前記の環状プラグ36を介して前記の外係合具45を上昇させて、その外係合具36が前記T嵌合に従って半径方向の内方の縮径状態へ切り換えられている。前記の内係合具32は、前記バネ33によって進出ストロークだけ上昇して、上記の外係合具45に軽く楔係合するか又は上記の外係合具45に僅かな隙間をあけて対面している。
次いで、前記リリース室25の圧油を排出すると共に前記ロック室20へ圧油を供給する。すると、前記ピストン17が前記の出力ロッド30と前記キャップ39とを介して前記の環状プラグ36を下降させ、その環状プラグ36に支持された前記の外係合具45が下降していく。
図1中の右半図のロック途中状態に示すように、前記バネ33の付勢力によってほぼ上昇位置に保持された内係合具32に対して上記の外係合具45が半径方向の外方へ移動して前記の押部46・46及び47が前記シリンダ穴3の内周面に接当する。次いで、その外係合具45が上記の内係合具32を介して上記バネ33を下方へ圧縮しながら拡径して上記シリンダ穴3に密着し、その外係合具45が前記の内係合具32と前記の心柱15とを介して上記シリンダブロック2を水平方向に位置決めし、これと同時に、その外係合具45が上記バネ33の付勢力に抗して上記の内係合具32を下降させていく。
上記の外係合具45は、上記シリンダ穴3に内周面に密着した後、その内周面に対して摺動しながら下降していく。そして、前述したように、前記の内係合具32が前記の心柱15の前記の受止め部67に受け止められたときに、上記の外係合具45が上記シリンダ穴3に強力に密着して、その外係合具45が上記シリンダブロック2を上記の治具1へ強力に押圧する。
上記の外係合具45が上記シリンダ穴3の内周面に密着した後、その密着状態の外係合具45が上記シリンダ穴3を介して前記シリンダブロック2を下向きに引っ張る。そして、前述したように、前記の内係合具32が前記の心柱15の前記の受止め部67に受け止められたときに、上記の外係合具45が上記シリンダ穴3の内周面に強力に密着して、その外係合具45が上記シリンダブロック2を上記の治具1へ強力に押圧する。
前記の他方の外係合具45の外周部に設けた一つの押部47は、前記の幅方向Wのほぼ中央部に設けることに代えて、その中央部から幅方向Wへ離れた位置に設けてもよい。
上記の外係合具45の内周部は、前記の内係合具32の外周部に直接に嵌合させることに代えて、別の部材を介して間接的に嵌合させてもよい。上記の外係合具45の外面は、上下方向にストレートに形成することに代えて、鋸刃状または凹凸状に形成してもよい。
前記T溝51を外係合具45に設けると共にT脚52を内係合具32に設けることに代えて、上記T溝51を内係合具32に設けると共にT脚52を外係合具45に設けることも可能である。さらには、上記溝51と脚52との嵌合は、平面視でT字状の嵌合に代えてV字状の嵌合であってもよい。
また、前記の出力ロッド30を駆動する手段は、例示した油圧複動式に代えて、単動バネ復帰式であってもよく、電動機などの他の種類のアクチュエータを利用したものであってもよく、さらには、駆動ネジ等を利用した手動操作式であってもよい。
本件発明は、エンジンのシリンダブロック2に適用することに限定されるものではなく、穴を有する他の種類の素材に適用できることは勿論である。
Claims (3)
- 穴(3)を有する素材(2)を基準ブロック(1)に位置決め及び固定する装置であって、
上記の穴(3)に挿入されるように上記の基準ブロック(1)のハウジング(14)から先端方向へ突出させた心柱(15)と、その心柱(15)の筒孔(29)に軸心方向へ移動可能に挿入された出力ロッド(30)と、上記の心柱(15)の外周に配置された内係合具(32)と、その内係合具(32)を先端方向へ付勢する進出手段(33)と、上記の内係合具(32)の外周に配置されると共に上記の出力ロッド(30)に連結された環状プラグ(36)と、上記の出力ロッド(30)を挟んで対面するように上記の環状プラグ(36)の周壁(44)に半径方向へ移動可能に支持されると共に上記の内係合具(32)に先端側から楔係合する二つの外係合具(45)(45)とを備え、
上記の二つの外係合具(45)(45)のうちの一方の外係合具(45)の外周部には、上記の対面方向に直行する幅方向(W)へ所定の間隔をあけて二つの押部(46)(46)を設け、他方の外係合具(45)の外周部には一つの押部(47)を設け、
上記の外係合具(45)の内周部と前記の内係合具(32)の外周部のうちの一方にT溝(51)を設けると共に他方にT脚(52)を設けて、上記T溝(51)と上記T脚(52)とを上記の軸心方向および半径方向へ移動可能に嵌合させ、かつ、上記の内係合具(32)及び上記ハウジング(14)に対して上記の外係合具(45)および上記の環状プラグ(36)を上記の幅方向(W)へ移動可能に構成し、上記の外係合具(45)が上記の幅方向(W)へ移動するのを許容するように上記T溝(51)と上記T脚(52)との間に隙間(62)(63)を設けた、
ことを特徴とする、穴を有する素材の位置決め固定装置。 - 請求項1に記載した穴を有する素材の位置決め固定装置において、
前記の他方の外係合具(45)の外周部には、前記の幅方向(W)のほぼ中央部に一つの押部(47)を設けた、
ことを特徴とする、穴を有する素材の位置決め固定装置。 - 請求項1又は2に記載した穴を有する素材の位置決め固定装置において、
前記の素材(2)は、所定の間隔をあけて配設された穴(3・3)を有し、
上記の穴(3・3)の軸心を結ぶ直線と前記の幅方向(W)がほぼ一致している、
ことを特徴とする、穴を有する素材の位置決め固定装置。
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