JP4933124B2 - 免疫賦活作用を有するラクトコッカス属乳酸菌と粘稠性ラクトコッカス属乳酸菌並びにこれらを併用した粘稠性を有する発酵乳の製造方法 - Google Patents

免疫賦活作用を有するラクトコッカス属乳酸菌と粘稠性ラクトコッカス属乳酸菌並びにこれらを併用した粘稠性を有する発酵乳の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、免疫賦活作用を有するラクトコッカス属乳酸菌と、菌体外多糖類を産生して粘稠性を示すラクトコッカス属乳酸菌並びにこれらを併用した粘稠性を有する発酵乳の製造方法に関する。詳しくは、伝統的な発酵乳の1種であるケフィア(Kefir、ケフィールとも呼ばれる)から分離された免疫賦活作用を有するラクトコッカス属乳酸菌と、カスピ海ヨーグルトあるいはフィンランドでビーリ(Villi)と称される発酵乳などの、粘稠な性状を有する伝統的発酵乳から分離した、菌体外多糖類を産生することで発酵乳に粘稠性を付与する性質のあるラクトコッカス属乳酸菌に関し、さらに、これらを併用して免疫賦活作用が期待できる粘稠性を示す発酵乳の製造方法に関するものである。
ケフィアから分離したラクトコッカス属乳酸菌は、免疫賦活作用あるいは免疫賦活作用による抗腫瘍作用が期待できることが明らかにされている(特許文献1)。
ケフィアは、ケフィールとも呼ばれ、ロシアのコーカサス地方を起源とする伝統的発酵乳の1種である。日本では1994年ごろ、ブームとなり、『ヨーグルトきのこ』と俗称された。今日、ケフィアはロシアや東欧諸国を中心に工業的に生産されており、これらの国ではヨーグルト同様に良く知られている。ケフィアの製造には、伝統的にはケフィア粒(ケフィアグレインとも呼ばれる)と称される天然の発酵種がスターターとして用いられる。このケフィア粒は、現在、インターネット等を介して容易に入手可能である。
ケフィア粒は、ケフィアに特徴的な乳酸菌と酵母等の微生物が共生した弾力のある塊で、白色から乳白色、半透明を呈しており、数ミリから数センチの大きさがある。ケフィア粒は牛乳中であたかも1種類の菌のように増殖し、その過程で乳を発酵する。このケフィア粒は代々乳に植え継がれることで今日まで伝えられてきている。ケフィア粒に関する最も古い報告の一つは1881年に刊行されたもの(非特許文献1)である。
ケフィアの典型的な製造方法を示すと以下の通りである。
ケフィア粒を、殺菌して20℃前後まで冷却した乳に適当量(1−10%容量程度)接種する。次いで、20℃前後で1昼夜保持すると、凝乳する。この凝乳を衛生的な金網等で漉し、ケフィア粒を回収する。この濾液が飲用に供するケフィアである。
ケフィア粒は少し増殖しているが、これは次の発酵に用いる。また、この漉しとった濾液をバルクスターターとして、さらに乳を発酵してケフィアとする場合もある。
このケフィア粒の菌叢は複雑で、まだ完全に解明されているわけではない。しかしながら、ケフィア粒から分離される典型的な乳酸菌は、ラクトバチルス・ケフィラノファシェンス(Lactobacillus kefiranofaciens)、 ラクトバチルス・ケフィラノファシェンス・サブスピーシーズ・ケフィールグラナム(Lactobacillus kefiranofaciens subsp. kefirgranum)、ラクトバチルス・ケフィリ(Lactobacillus kefiri)、ロイコノストック・ラクチス(Leuconostoc lactis)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis biovar. diacetylactis)などである。また、ケフィア粒には必ず酵母も数種類存在する(非特許文献2)。
我々は鋭意努力の結果、ケフィアから分離した特定のラクトコッカス属乳酸菌がマウスにおいて経口投与で免疫賦活作用があり、それによる抗腫瘍作用を期待できることを見出している(特許文献1)。
特開2003−047462号公報 Kern、E.Bull.De la societe naturalists de Moscou, LVI (1881) 141−177. 醸協、第93巻、第3号、p176−183(1998)
一方、日本ではラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)が主要な菌叢をなしている粘稠な発酵乳が2001年頃からマスコミやインターネットを通じて広がり、『カスピ海ヨーグルト』と俗称されるようになった。京都大学名誉教授、家森幸男氏の著書「カスピ海ヨーグルトの真実」(株式会社 法研 平成14年9月16日 発刊)によると、家森教授が『1986年に旧ソ連コーカサス地方、いまのグルジア共和国から分析のため持ち帰ったものがもとになっているようです。』と書かれているが、人から人へと広がったため、今となっては起源を特定できない。
家森教授自身も『本当のところ私自身がカスピ海ヨーグルトにどれほどかかわりがあるのか、やはり謎ではあります』と著書中で述べている。現在ではカスピ海ヨーグルトは、全国的に広がり、日本に土着的な発酵乳となっている。種菌を入手するには、もっている人から直接分譲してもらうか、もしくはインターネットを介して種菌入手が可能となっている。
しかし、家庭で十分な管理を受けないで植え継がれているために、衛生性に大きな危惧があり、また、途中で種菌が途絶えてしまうという問題もある。
一方、このような粘稠な伝統的発酵乳として他に広く知られているものにフィンランド原産のビーリ(Villi)があり、これもラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)が粘稠性の原因の主体をなしていることが分かっている。
ケフィアは免疫賦活作用や抗腫瘍性が期待されるが、前記したように、酵母が存在するので、アルコール発酵してガス発生が起こり、容器が膨らむなどの流通上の問題点がある。
また、ケフィア粒を用いないでもケフィアと同様な免疫に対する効果が期待できる発酵乳を安定的に製造できれば、国民の健康増進に寄与できる。
一方、カスピ海ヨーグルトと俗称される発酵乳は、その独特な粘稠性が魅力である。
そこで、このような粘稠性をもつ乳酸菌とケフィアの免疫調整力が期待できる菌株を組み合わせれば、独特の食感を楽しみながら、しかも免疫調整作用が期待できる独特の発酵乳が開発できると考えた。
しかしながら、カスピ海ヨーグルトは土着的であっても、ブームにすぎないのであって、いつ消失するともかぎらない。本発明を安定的に実施するためには、粘稠性の菌株の正確な分離と同定、保存が必要である。また、ラクトコッカス属のスターターを発酵乳に使用する場合には、製造中にそれに対するバクテリオファージの攻撃を受けやすい。そのための予防のためにも、工夫が必要となってくる。
本発明の目的は、上記発酵乳の製造に適する免疫賦活作用を有するラクトコッカス属乳酸菌と、乳中で菌体外多糖類を産生して粘稠性を示すラクトコッカス属乳酸菌を提供すること、並びにこれら乳酸菌を併用した、免疫賦活作用を有し、かつ粘稠性を有する発酵乳の製造方法を提供することである。
そのために、近年日本国内で流行している「カスピ海ヨーグルト」と俗称されている自然発酵乳およびビーリと呼ばれるフィンランド原産の伝統的発酵乳から粘稠性を有するラクトコッカス属乳酸菌を分離して、この分離株をケフィア由来のラクトコッカス属乳酸菌と併用することが解決する手段となると考えた。これらの乳酸菌は共に発酵温度が20℃前後であり、ケフィアと同じ温度帯で発酵されるので、併用する際に、都合が良い。
また、粘稠性を確実に賦与するためには、特定の粘稠株を分離同定する必要がある。そこで、我々は、自社で植え継いでいた複数のカスピ海ヨーグルト、および自社研究所保存のビーリから粘稠性を有する複数の乳酸菌を分離、同定した。その結果、それらが全てラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)であることを見出した。
さらに、これらの菌株を、マウスにおいて免疫賦活作用があるケフィア分離株であるYRC3780株と併用して発酵乳を試作したところ、いずれの場合も適度に粘稠性を有し、ホエー分離の起き難い、良好な風味を有する発酵乳を作ることができた。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。
請求項1記載の本発明は、発酵乳の製造にあたり、ケフィアから分離した、免疫賦活作用を有する乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)YRC3780株(FERM P−18320)およびラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチス(Lactococcus lactis subsp.lactis biovar.diacetylactis)YRC3784株(NITE P−144)と、菌体外多糖類を産生して粘稠性を示す乳酸菌としてラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)YRC3701株(NITE P−143)と、を組み合わせてスターターとして用いることを特徴とする発酵乳の製造方法である。
請求項2記載の本発明は、菌体外多糖類を産生して粘稠性を示す乳酸菌として、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)YRC3701株(NITE P−143)に追加して、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)YRC3702株(NITE P−174)、同YRC3703株(NITE P−175)、および同YRC3704株(NITE P−176)を用いる、請求項1記載の方法である。

本発明によれば、ケフィアから分離した免疫賦活作用を有するラクトコッカス属乳酸菌と、乳中で菌体外多糖類を産生して粘稠性を示すラクトコッカス属乳酸菌を提供される。さらに、これら乳酸菌を併用してスターターとして用いることにより、免疫賦活作用を有し、かつ粘稠性を有する発酵乳の製造方法が提供される。
本発明によって、日本国内でカスピ海ヨーグルトと俗称される自家製の発酵乳と、フィンランド原産のビーリと呼ばれる粘稠性の自然発酵乳は、粘稠性株としてラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリスが共通に存在し、これらの菌株は、極め性質が類似しているが、パルスフィールドゲル電気泳動の比較では、菌株としては多種類のものがあることが判明し、菌株として区別可能であることが示された。本発明では、パルスフィールド電気泳動のパターンを比較し、YRC3701株、YRC3702株、YRC3703株およびYRC3704株が株として識別された。
これらの粘稠性株の1種、あるいは2種以上を組み合わせて、ケフィアより分離した免疫賦活力を期待できるラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリスYRC3780株と併用して、発酵乳を製造すると、ホエー分離を抑え、粘稠性を有した良好な風味の発酵乳を作ることができることが分かった。また、粘稠性株のラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリスの配合比を変えることで、発酵乳の粘度を調整することが可能である。
さらに、ケフィアから分離したラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチスYRC3784株が、マウスにおいて脾臓細胞のいくつかのサイトカイン産生を増強し、免疫賦活が期待できることも明らかとなった。この株を本発明のYRC3701株、YRC3702株、YRC3703株あるいはYRC3704株と併用すると、粘稠性を有し、しかも免疫賦活作用を期待できる発酵乳を製造できる。
上記したように、我々はカスピ海ヨーグルトおよびビーリから分離した粘稠性を有する複数の乳酸菌を同定したところ、それらが全てラクトコッカス・ラクチス・サブスピーシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)であることを見出した。
そこで、これらの菌株について、パルスフィールドゲル電気泳動と呼ばれる手法で、菌株の識別を行い、代表的な菌株を選び、カスピ海ヨーグルト分離株をYRC3701、YRC3703、YRC3704と命名し、ビーリ分離株をYRC3702と命名した。これらの菌株YRC3701、YRC3702およびYRC3703、YRC3704はいずれも乳を発酵すると、強い粘稠性を示した。
また、ケフィアから分離したラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis biovar. diacetylactis)YRC3784株では、マウスの経口投与試験によって、マウスの脾臓細胞のNK活性を上げ、幾つかのサイトカインの産生を促進することを実験によって解明した。
そこで、今回分離したYRC3784株とYRC3701株を併用して発酵乳を試作したところ、特有の風味を有し、かつ適度に粘稠性を有し、ホエー分離の起きにくい、良質で、しかもケフィアの良好な風味を有する発酵乳を作ることができた。
このことによって、ケフィアと同等の保健効果が期待できる発酵乳を開発することができた。また、他の粘稠性を有する菌株と組み合わせた場合も同様の結果が得られた。
これらの粘稠性を示す乳酸菌株であるYRC3701株、YRC3702株、YRC3703株、YRC3704株は、いずれも独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託されており、その受託番号は、それぞれNITE P−143、NITE P−174、NITE P−175、NITE P−176である。また、ケフィアから分離したYRC3784株についても同様に寄託されており、その受託番号はNITE P−144である。さらに、前記先願において見出したケフィアの分離株のうち、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)YRC3780株は、独立法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センターに寄託されており、その受託番号はFERM P−18320である。この菌株も本発明に使用できる。
本発明のラクトコッカス属乳酸菌は、一般に製造中にバクテリオファージの攻撃を受けやすい。そういう意味では、このように同じような粘性を示すラクトコッカス属の菌株であっても、起源の異なる複数のラクトコッカス属を組み合わせることで、バクテリオファージの攻撃を受けにくくなるという効果も期待できる。
また、その他の乳酸菌も組み合わせることで、さらに品質の高い、発酵乳を製造できる可能性があることは容易に推測できる。
さらに、本発明における発酵乳は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令)」の発酵乳規格に当てはまるものだけでなく、乳酸菌飲料や殺菌乳酸菌飲料にも容易に応用できる。
以下において、本発明を詳しく説明する。なお、ラクトコッカス属を含む乳酸菌の多糖類産生性に関しては、例えばInternational Dairy Journal 第11巻 (乳酸菌多糖類に関する特集号)、First Symposium on Exopolysaccharides from Lactic Acid Bacteria: from Fundamentals to Applications.(2001年)等の文献に記載されている。また、乳酸菌を分離する手法に関しても、適切な教科書が存在し、誰でも容易に実施可能である(例えば、Skinner, F. A. and Lovelock, D. W.: Identification methods for microbiologists Second edition. Academic Press 1979を参照)。
さらに、本発明の実施に必要なケフィアに由来する乳酸菌株と、カスピ海ヨーグルト由来の多糖類産生性の乳酸菌株やビーリから分離した多糖類産生性の乳酸菌は、前記したように、いずれも所定の機関に寄託されている。
(実施例1) カスピ海ヨーグルトおよびビーリからの粘稠性ラクトコッカス属乳酸菌の分離
よつ葉乳業(株)で植え継いでいるカスピ海ヨーグルト由来の5種類(A、H、K、N、Y)の粘稠性乳酸菌、およびビーリ由来の1種類の粘稠性乳酸菌の分離に用いた培地や培養技術は、特開2003−047462号公報に開示した通りである。粘稠性乳酸菌を分離するのに使用した発酵乳の検体リストを表1に示す。
各検体を段階希釈したものをM17平面培地上に塗抹し、30℃で2日間程度培養後、コロニーを釣菌した。カスピ海ヨーグルト検体A、H、K、Yは生じたコロニーの形態が均一だったので、検体Aについては代表的な1株、それ以外はランダムに各10株ずつ分離し、検体Nについてはコロニー形態が大小の2種類が観察されたので大小(それぞれNL、NSとした)2種類のコロニーを各10株ずつ分離した。また、ビーリにおいても、生じたコロニー形態が均一であったので、3株を分離した。
このように合計54株について画線分離し、純化した。これらを滅菌10%還元脱脂乳に接種し、20℃で一昼夜培養後、撹拌して粘稠性を官能的に比較した。その結果、カスピ海ヨーグルトからの分離株は、A検体は1株から1株、H検体から10株中8株、K検体から10株中9株、N検体からはNL分離株で10株中1株、NS分離株で10株中8株、Y検体からは10株中10株が粘稠性を示し、合計37株が粘稠性を示した。市販ビーリ926−5検体からは3株の全てが粘稠性を示した。
(実施例2) 粘稠性株の同定と性状
各検体から高い割合で、粘稠性を示す株が分離されたので、その代表的な分離株について同定を行った。これらの粘稠性株は全てグラム陽性の球菌でカタラーゼ陰性、15℃で生育し、45℃では生育できないことから、ラクトコッカス(Lactococcus)属と推定された。
代表的な菌株について、後記実施例3で示したように、パルスフィールドゲル電気泳動でパターンを比較した。その結果、粘稠性株は少なくとも、4種類のバンドパターンに類型化できることが分かった。そこで、各検体からそれぞれ代表的な株を選んで、YRC3701株、YRC3702株、YRC3703株、YRC3704株と命名し、これらについて16SrDNA配列に基づく同定を実施した。
その結果、表2に示したように、全てラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)と同定された。また、API50CH(日本ビオメビュー)を用いて定法に従って糖発酵性試験も実施し、各株の基本的性状を調べた。その結果を表2に示す。
これらの株は全て、ガラクトース、グルコース、フラクトース、マンノース、N−アセチル グルコサミン、ラクトースを発酵し、エスクリンについてはYRC3702株のみは発酵するが、他の株は弱く発酵した。また、サリシンに関してはYRC3702株のみ発酵し、その他のYRC3701株、YRC3703株、YRC3704株は発酵しなかった。これらの結果からも、全ての分離株はラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris)であると同定された。
(実施例3) 粘稠性株のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)パターンの比較
各粘稠性株の特徴付けのために、実施例2ですでに言及しているように、YRC3701株、YRC3702株、YRC3703株、YRC3704株についてPFGEで泳動パターンを調べた。測定は、BIO−RAD社製のパルスフィールド電気泳動試薬であるジーンパス試薬キット1(カタログ番号 310−0111C)を用いて実施した。方法はキットに付属しているマニュアル(2002年8月改訂版)に従った。電気泳動装置はCHEF−DRII(BIO−RAD)に2Lの0.5×TBEバッファー(50μMチオ尿素)を入れ、ポンプとチラーを作動させ、泳動バッファーは14℃に設定した。アガロースゲルをストッパーの位置に合わせて置き、アガロースゲルとバッファーの温度を平衡化させた後、200V、パルスタイム 1〜20秒、A/B比1.0、泳動時間16hで電気泳動した。
電気泳動後のアガロースゲルはethidium bromideで染色し、DNAのバンドパターンを観察した。その結果、図1に示した結果を得た。なお、SmaI分解物を泳動した。マーカーはDNAラダー(48.5 Kbずつ増える)である。また、対照としてスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)も泳動した。詳細はBio−Rad社製、ジーンパスのキットの説明に従った。
この結果、国内カスピ海ヨーグルト検体Aから分離したYRC3701株、検体Hから分離したYRC3703株、検体NLから分離したYRC3704株のPFGEパターンはそれぞれ異なることがわかった。
YRC3701株と同じパルスフィールド電気泳動パターンを示す粘稠性株はY、K検体からも分離された。
また、よつ葉乳業(株)研究所で管理しているビーリから分離されたYRC3702株ともはっきりと異なる電気泳動パターンを示し、それぞれ株としては異なることが示された。
結論として、このような国内に自然発酵乳として土着化しているいくつかのカスピ海ヨーグルトとフィンランドのビーリ由来の粘稠性を有する乳酸菌は、粘稠性を示すという意味では互いに極めて類似しており、汎世界的に分布しているが、分離源が違うと菌株も異なることが多いと言える。
また、PFGEパターンによって、これらの菌株を株ごとに判別可能なまでに特徴付けすることができた。
この特徴づけられたYRC3701株、YRC3702株、YRC3703株およびYRC3704株は、それぞれ独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託されており、その受託番号は、それぞれNITE P−143、NITE P−174、NITE P−175、NITE P−176である。
(実施例4) 乳酸菌株の粘稠性の比較
YRC3701株、YRC3702株、YRC3703株およびYRC3704株をそれぞれ、10%還元脱脂乳に接種して、20℃一昼夜培養後、粘度計を用いて、粘度を比較した。また、スパチュラで撹拌後の糸曳きを官能的に比較した。対照として強い粘性を示さないYRC3780株を用いた。結果を表3に示す。

注: *糸曳性の評価;+++:強い、++:やや強い、+:弱い、−:ほとんどない。
表3から明らかなように、対照としたYRC3780株に比べると、どの分離株も強い粘性を示し、糸曳き性を示した。それ故、これらの株のどれを用いても、発酵乳の粘性には同等の効果を与えることが推定された。
(実施例5) ケフィアからのラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis biovar.diacetylactis)の分離
ケフィアからのラクトコッカス属乳酸菌については、特開2003−047462号公報において詳細に記載した方法で分離することができる。
ここではさらに、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis biovar. diacetylactis)の分離法を示す。
発酵製品から本菌種を分離することは、一般の成書を参照すれば誰でも可能であるが、特開2003−047462号公報に示された方法でケフィアから、ラクトコッカス属乳酸菌を分離し、これをジアセチラクチス(diacetylactis)株の判別用のKempler&MacKayの培地[Kempler,G.and McKay,L.L.: Improved medium for detection of citrate−fermenting Streptococcus lactis subsp. diacetylactis. Appl. Environ. Microbiol. 39,926−927(1972)]で培養し、濃青色に染色されるコロニーのものはクエン酸資化性を有する乳酸菌である。
ケフィアあるいはケフィア粒を用いて、これを希釈後、本培地に塗抹培養して、生じた濃青色のコロニーを分離しても良い。
本発明では、このようにしてラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis biovar. diacetylactis)YRC3784株を分離した。本菌は乳中に含まれるクエン酸を資化してジアセチルを生産するため、ケフィアを特徴づけるフレーバーの一要素となる。
この株のPFGEパターンを実施例3で示したのと同様な方法で分析し、図2にYRC3701,YRC3780株のPFGEパターンと共に示した。
本菌株は独立行政法人製品評価基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託されており、その受託番号はNITE P−144である。
(実施例6) ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチスYRC3784株の微生物学的特徴
本菌株は表4に示した性状が特徴である。パルスフィールドゲル電気泳動のパターンは実施例3に他の株と比較して示した通りである。この種の菌株はクエン酸を資化してジアセチルを産生し、発酵乳に芳香を与える。本発明の場合においても、発酵乳として培養すると、ケフィア風の独特の芳香を与える。
(実施例7) ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチスYRC3784株のマウスにおける免疫賦活作用
(1)材料と方法
4週齢(入荷時指定週齢)のSPF、C3H/Hejマウス(♂)(日本クレア製)を使用した。
一群6匹で試験した。飼育は固形飼料(「CA−1」、日本クレア製)を滅菌処理して与えた。通常、設定温湿度:24±1℃、55±5%、高温ストレス期間条件:37±2℃、55±5%の条件で行った。
給水は水道水をフィルター濾過後に自由摂取させることで行った。試験対象物質は、A :ケフィア分離株ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp. cremoris) YRC3780株を培養して得た脱脂発酵乳凍結乾燥物、B :ケフィア分離株ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチス(Lactococcus lactis subsp. lactis biovar. diacetylactis)YRC3784株を培養して得た脱脂発酵乳凍結乾燥物を用いた。
試験群は6匹/群で行った。投与量は全て200mg(凍結乾燥物重量として)/kg(マウス体重)で行った。これは人に換算した場合に、50kg体重の人で発酵乳(全固形分10%と仮定)として約100gを摂取する量に値する。各試験対象物質は、蒸留水に溶解し濃度を調整し、胃ゾンデを用いた強制経口投与にて17日間(高温ストレス負荷期間を含む)連続して行った。なお、対照群には同容量の蒸留水を投与した。
高温ストレスは、市販の保温電球を用いて飼育室を37℃に保ち、14日間の試験対象物質投与翌日より3日間実施した。症状観察、体重測定および摂餌量の測定は、10:00a.m.〜11:00a.m.に毎日実施した。本飼育終了後、頸椎脱臼にて動物を屠殺後、脾臓を摘出した。
NK活性とは、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性を調べるものである。この細胞は抗原や腫瘍細胞を直接攻撃する働きやIFN−γ産生能を持ち、一般に制ガン作用、免疫賦活作用の指標として用いられる。測定方法は、摘出した脾臓を5mlの10%FCS加RPMI−1640ペトリ皿中で、スライドグラス2枚の磨りガラス部分で挟み込みすりつぶし、更に金属メッシュを通しリンパ細胞の浮遊細胞液とした。1600rpm、5℃、2分間の条件で遠心後、10%FCS加RPMI−1640培地中に浮遊させた。
その後、10%FCS加RPMI−1640培地で細胞数を調整し、51Crをラベルした標的細胞YAC−1とE:T比[リンパ細胞数(E)と使用する標的細胞数(T)の比率のこと]50:1で4時間培養し、上清中に遊離した51CrからNK活性を測定した。
(2)サイトカイン産生能の測定
サイトカインとは、免疫調節物質の総称である。IL−2はNK細胞やそれと同様の働きをするマクロファージの活性化作用などを有する。TNF−αのTNFとは、腫瘍壊死因子の略で、その言葉のとおり腫瘍細胞を破壊する働きをするが、他の免疫作用も有するサイトカインである。IFN−γもIL−2と同様に、NK細胞やマクロファージの活性化作用を有するが、特にマクロファージの活性化に重要な因子である。このように、3種類とも、免疫応答に重要なサイトカインであり、NK活性と同様に免疫賦活作用の指標となる。
測定方法は、浮遊させた脾臓細胞を10%FCS加RPMI−1640培地で細胞数を2×106個/mlに調整し、24孔のプレートに2ml/wellずつ分注した。さらに、conA 10μg/ml、LPS 10μg/mlを添加し、37℃、5%CO2インキュベータ中で72時間培養後、その培養上清中のIL−2、IFN−γ、TNF−αおよびIL−2の濃度を測定した。試験結果は平均値±標準誤差で表し、有意差検定はStudent's t−Testを用いた。
(結果)正常マウスにYRC3784株を培養して得た脱脂発酵乳凍結乾燥物を14日間前投与し、その後、高温ストレス負荷を3日間実施し、免疫能を低下させたモデル動物に対する免疫賦活作用について、NK活性およびサイトカイン産生能を測定し検討を行った。
試験結果は平均値±標準誤差で比較した。試験期間中の一般症状は、試験対象物質前投与14日間においては毛並み、行動、排泄物に関して特に異常は観察されなかった。しかし、高温ストレス負荷を開始すると共に、対照群についてはストレスによる運動量の低下、試験対象物質投与群には騒獣行動などの暴れなどが観察された。
体重推移および摂餌量については、高温ストレス負荷1日目以降より全群においてストレス負荷による体重の減少および摂餌量の低下が観察された。しかしながら、YRC3784株の脱脂発酵乳凍結乾燥物では、ストレス2日目以降に摂餌量の回復傾向が観察された。解剖時における観察では、対照群に高温ストレス由来の腸管の白色化と弾力性の低下が観察されたが、YRC3780株およびYRC3784株の脱脂発酵乳凍結乾燥物投与群については、その症状は極めて軽度であった。
NK活性では、対照群2.8±0.27%に比較して、YRC3780株の脱脂発酵乳凍結乾燥物投与群で5%の危険率で有意に上昇し、YRC3784株で1%の危険率で有意な上昇を示した(表5)。
各サイトカイン産生に対する影響では、YRC3780株ではIL−2産生、TNF−α産生において対照に対してそれぞれ5%の危険率で有意に増加し、IFN−γの産生においては有意な増加は見られなかった(表5)。一方、YRC3784株においてはIL−2の産生においては対照に比べて5%の危険率で有意に増加し、TNF−αの産生とINF−γの産生においてはそれぞれ1%の危険率で増加した(表5)。
YRC3780株に関しては、すでに特開2003−047462号公報に記載したように、免疫賦活作用があることが示されているが、本発明のYRC3784株の脱脂乳培養物についても免疫賦活作用を有する物質であることが確認された。

注: *危険率5%で有意。**危険率1%で有意
(実施例8) 発酵乳の粘稠性とホエー分離に与えるスターター乳酸菌株の組み合わせの影響
まず、発酵乳の原材料は無脂乳固形分9%、乳脂肪分3%になるよう調製し、砂糖を4.5%加えた(表6)。この原材料を表6に示す配合割合で配合し、均質化してから、殺菌(90℃、30分)し、22℃まで冷却後、表7に示した組み合わせになるように粘稠性のYRC3701株のスターターを0.1%〜0.4%(重量)、ケフィア分離株であるYRC3780株を用いて調製したスターターを2.6〜2.9%(重量)の割合で添加し、A、B、C、Dの合計4種類の発酵乳を試作した。
それぞれ、発酵温度22℃において14時間培養を行った。発酵終了後、攪拌しながら3時間かけて10℃まで冷却し、ゲルを破砕して均一化した。
これらのサンプルを用いて評価を行った(表8)。すなわち、粘稠性株を配合した割合による相違を官能評価によって比較した。粘度は 東機産業RB80型粘度計を用いて、回転数60rpm ローターNo.13あるいは14を用いて、測定30秒後の測定値をもって粘度とした。単位:cP(センチポアズ)。粘稠性を示さない発酵乳の代表例として市販のケフィア(よつ葉乳業製)を比較対照とした。

注;+++:強く感じる、++:程よく感じる、+:やや弱く感じる、±:弱く感じる、−:感じない。ND:測定しない。
表8の結果から明らかなように、粘稠性のYRC3701株スターターの配合量が多いものは粘性が高く、少ないものは粘性が低い傾向が見られた。よって、YRC3701株の添加量に応じて粘性が高まることが分かった。
ホエーの分離性に与える影響を調べるために、実施例8で調製した発酵乳について、ゲルの破砕後すぐに10℃まで冷却したサンプルと、ゲルの破砕後攪拌しながら3時間かけて10℃まで冷却したサンプルについて、10℃で21日間保存し、分離しているホエーの量を計量し、その重量の全体に対する割合をもってホエーの分離程度として算出した。
結果を表9に示す。
その結果、粘稠性のYRC3701株スターターをYRC3780株と併用して培養することで、粘稠性を与え、保存中のホエー分離を抑制することができた。A,B,C間では大きな差がなかったが、YRC3701株の添加割合が低いDに比べてはホエーの分離程度は低かった。
(実施例9) ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチスYRC3784株とラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリスYRC3701株を発酵乳に併用した場合の効果
YRC3784株は、本発明の後記実施例10に示したYRC3780株の代わりに、本乳酸菌をスターターとしてYRC3701株と併用すると、YRC3784株によるジアセチル生産性によって、フレーバーが強くなり、ケフィア風味が賦与された。
YRC3701株もYRC3784株もそれぞれ単独で乳酸発酵し、乳を凝固させるから、YRC3701株に対するYRC3784株の割合を多くすればするほど、その添加割合に応じてジアセチル芳香臭は強くなる。YRC3784株は、実施例7で示したように、マウスの経口投与において、免疫賦活作用が期待できるから、当然ながら、YRC3701株と併用して発酵乳を作成した場合においても、その菌数の割合に応じて免疫賦活作用が期待できる。
(実施例10) YRC3702株、YRC3703株、及びYRC3704株をYRC3780株と組み合わせた場合の発酵乳の試作結果
主にYRC3701株を使用して、YRC3780株またはYRC3784株と組み合わせた例を実施例8と9で示したが、ここでは、YRC3701株に加えて、他のYRC3702株、YRC3703株、YRC3704株とYRC3780株またはYRC3784株と組み合わせた発酵乳を試作した。組み合わせ、および発酵物の評価を表11に示した。

注: *糸曳性の評価;+++:強い、++:やや強い、+:弱い、−:ほとんどない。
実施例4で示したように、YRC3701,YRC3702,YRC3703及びYRC3704株はそれぞれ、単独で培養しても粘稠性を示す株であるが、これらを表11に示したように組み合わせてYRC3780株あるいはYRC3784株と併用しても発酵乳は強い粘度(粘着力)を示した。
特に複数の粘稠株を併用した方がやや粘度が高く、糸曳き性も強い傾向が示唆されたが、どの試作品においても風味が良好で、発酵乳として総合評価を行っても、良好であった。また、ラクトコッカス属乳酸菌は、一般的に極めてバクテリオファージに攻撃されやすい。バクテリオファージに攻撃されると、pHの低下の遅延が起こり、商業的な発酵乳生産では致命的な経済的損失を被る可能性がある。それ故、由来の異なる粘稠性株を複数併用することによって、ファージに対する抵抗性が高くなることが期待できる。
本発明によれば、乳中で多糖類を産生して粘稠性を示す乳酸菌と、免疫賦活作用を有する乳酸菌が提供され、さらに、これらを用いることにより、免疫賦活作用が期待できる粘稠性を有する発酵乳の製造法が提供される。それ故、本発明は、発酵乳に限らず、広く乳酸菌飲料や殺菌乳酸菌飲料などを含む食品分野に有用である。
国内のカスピ海ヨーグルトから分離した粘稠性株とビーリから分離した粘稠性株のパルスフィールドゲル電気泳動パターンである。 国内のカスピ海ヨーグルトから分離した粘稠性株YRC3701株とケフィアから分離したYRC3780株、YRC3784株のパルスフィールドゲル電気泳動パターンである。
符号の説明
[図1]
レーン1:分子量マーカー(Lambda ladders、 Bio−Rad社製、ジーンパス グループ1)
レーン2:スタフィロコッカス・アウレウス(Bio−Rad社製、ジーンパス グループ1)(比較対照用)
レーン3:ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリスYRC3702株(ビーリからの分離株:分離株名926−5−1)
レーン4:ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリスYRC3703株 (国内カスピ海ヨーグルト H―1検体から分離)
レーン5:ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリスYRC3701(国内カスピ海ヨーグルトA検体から分離)
レーン6:ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリスYRC3704(国内カスピ海ヨーグルトNL検体から分離したNL―7株)
レーン7:サイズマーカー
[図2]
レーン1:ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリスYYRC3701(国内カスピ海ヨーグルトA検体から分離)
レーン2:ケフィア分離株ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリスYRC3780株
レーン3:ケフィア分離株ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチスYRC3784株
レーン4:スタフィロコッカス・アウレウス(Bio−Rad社製、ジーンパス グループ1)(比較対照用)
レーン5:分子量マーカー(Lambda ladders、 Bio−Rad社製、ジーンパス グループ1)

Claims (2)

  1. 発酵乳の製造にあたり、ケフィアから分離した、免疫賦活作用を有する乳酸菌ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)YRC3780株(FERM P−18320)およびラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・ラクチス・ビオバー・ジアセチラクチス(Lactococcus lactis subsp.lactis biovar.diacetylactis)YRC3784株(NITE P−144)と、菌体外多糖類を産生して粘稠性を示す乳酸菌としてラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)YRC3701株(NITE P−143)と、を組み合わせてスターターとして用いることを特徴とする発酵乳の製造方法。
  2. 菌体外多糖類を産生して粘稠性を示す乳酸菌として、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)YRC3701株(NITE P−143)に追加して、ラクトコッカス・ラクチス・サブスピシーズ・クレモリス(Lactococcus lactis subsp.cremoris)YRC3702株(NITE P−174)、同YRC3703株(NITE P−175)、および同YRC3704株(NITE P−176)を用いる、請求項1記載の方法。
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