JP2678673B2 - 新規多糖類、その製法及びその多糖類を有効成分とする抗腫瘍剤 - Google Patents

新規多糖類、その製法及びその多糖類を有効成分とする抗腫瘍剤

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、新規な構造を有する多糖類、その製造方法
及びその多糖類を有効成分とする抗腫瘍剤に関する。
(従来の技術) ストレプトコッカス菌は通性嫌気性、グラム陽性の球
菌であり、酪農用乳酸菌としてチーズや発酵乳のスター
ターに広く用いられている。
これまで、乳酸菌やそれをスターターとして使用した
発酵乳がガン細胞増殖抑制効果があることについては多
くの報告がなされている。
例えば、乳酸菌にガン細胞増殖抑制効果のあること
は、ブルガリアのBogdanovによりはじめて報告され〔Bo
gdanov I.G.et al.FFBS Lett.,57,259−261(197
5)〕、ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricu
s)細胞壁のグルコペプチドが、作用物質として単離さ
れた。
その後、米国のShahaniらは、スイスマウス(Swiss m
ice)にヨーグルトを経口投与してエールリッヒ(Ehrli
ch)腹水ガン細胞増殖への影響を検討している。また、
ラクトバチルス・アシドフィルス(l.acidophilus)や
ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)、ラク
トバチルス・ブルガリクスとストレプトコッカス・テル
モフィルス(Str.thermophilus)を併用して発酵したウ
シ初乳でも16〜40%のガン細胞増殖抑制効果を認めてい
る〔Shahani K.M.et al.J.Food Prot.,46,(5),385
−386(1983)〕。
Takanoらはラクトバチルス・ヘルベチクス・サブスピ
ーシー・ユーグルティ(L.helveticus subsp.jugurti)
とカンディダ・ユチリス(Candida utilis)をスタータ
ーとしてつくった酸乳をラットに与え、大腸ガンの発生
数を検討した。その結果、26週後、酸乳を与えた群では
対照群に比べ、大腸腫瘍の発生数が有意に少なかった
〔Takano T.et al.Bifidobacteria Microflora,
(1),31〜37(1985)〕。
Shackelfordらはラクトバチルス・デルブルッキイ・
サブスピーシー・ブルガリクス(L.delbruckii subsp.b
ulgaricus)あるいはストレプトコッカス・サリバリウ
ス・サブスピーシー・テルモフィルス(Str.salivalius
subsp.thermophilus)でつくった発酵乳の効果を検討
している。そして、発酵乳を与えた群では実験中の志望
率が少なく、また、ストレプトコッカス・テルモフィル
スでつくった発酵乳では、悪性腫瘍の発生が少なかった
という報告がなされている〔Shackelfotd L.A.et al.Nu
tritionand Cancer,5,(3/4),159〜164(1983)〕。Es
serらも、腹腔内にP−338細胞を移植したマウスにラク
トバチルス・ブルガリクスを用いて乳で培養した上清を
イオン交換して得た画分を腹腔内に投与して、延命効果
のあることを認めている〔Esser P.et al.Milchwissens
chaft,38,(5)257〜260(1983)〕。
荒井らは、ラクトバチルス・ヘルベチクス・サブスピ
ーシー・ユーグルティを含むスターターでつくった殺菌
酸乳をICRマウスに経口投与してエールリッヒ(Ehrlic
h)腹水ガン細胞の増殖への影響を検討して42%の増殖
抑制を認めた〔荒井幸一郎ら、腸内ローラーと発癌;学
会出版センター、pp105〜123(1981)〕。
また、馬田らは、マウスのSarcoma−180固形腫瘍を用
いて、14種28株のラクトバチルス(Lactobacillus)の
中から抗腫瘍活性の高い菌株をスクリーニングしている
〔馬田三夫、Jap.J.Dairy & Food Sci.,30,(6),20
5〜217(1981)〕。
Katoらは、こうして選択されたラクトバチルス・カゼ
イ(Lactobacillus casei YIT9018)(LC9018)が同種
(Sarcoma−180)および同系腫瘍(L1210Leukemiaおよ
びMCA K−1 tumor)に対して高い抗腫瘍活性を有するこ
とを見出した〔Kato L.et al.Gann,72,(1)417〜523
(1981)〕。
腸内乳酸菌であるビフィドバクテリウム(Bifidobact
erium)でも抗腫瘍効果が認められている。Kohwiらは、
Meth−A細胞を皮下や腹腔内に移植したマウスにバチル
ス・インファンテス(Bacillus infantis)の菌体を腫
瘍移植部位に投与して、腫瘍の退縮や抑制を認めた〔Ko
hwi Y.et al.BifidobacteriaMicroflora,1,(1),61
〜68(1982)〕。
さらに、乳酸菌の産生する多糖類についての抗腫瘍効
果についても報告されている。神辺、小田らはSarcoma
−180、Ehrlich(腹腔内)、IMC(solid)を移植したマ
ウスに、L.helveticus var.jugurtiの産生する多糖類を
腹腔内に投与して、延命効果が認められることを報告し
ている〔神辺道雄、Jap.J.Dairy & Food Sci.,30
(6),219〜225(1981)〕〔Oda M.et al.Agr.Biol.Ch
em.,47,(7),1623〜1625(1983)〕。
Shiomiらは、Sarcoma−180、Ehrlichを移植したマウ
スにケフィール粒から抽出した多糖を経口投与すること
により、腫瘍細胞の増殖を抑制したとしている〔Shiomi
M.et al.Jap.J.Med.Sci.Biol.,35,(2)75〜80(198
2)〕。
一方、スカンジナビアにはロングフィル(Lngfi
l)、ヴィリー(Viili)、ピーマ(Piim)、テッテ
(Taette)などの伝統的な粘質発酵乳があり、それらの
製造には、スターターとして莢膜産生乳酸球菌を用いる
のが特徴である。
この粘質発酵乳のうちロングフィルから単離されたラ
クトコッカス・ラクチス・サブスペーシーズ・ラクチス
及びラクトコッカス・ラクチス・サブスペーシーズ・ク
レモリスの菌体自体やそれらの培養物に抗腫瘍活性があ
ることが報告されている(特開平1−277484)。
(発明が解決しようとする課題) 本発明者らは、スカンジナビアの伝統的な粘質発酵乳
であるヴィリーから莢膜産生乳酸球菌のストレプトコッ
カス・ラクチス及びストレプトコッカス・クレモリスを
単離し、その生産する多糖類について着目し、分離、精
製を行った。そして、この得られた多糖類を構造解析し
たところ、従来の乳酸菌が産生する多糖類とは明らかに
相違する新規な多糖類であることが判明した。さらに、
この化合物の生理活性について検討したところ、抗腫瘍
活性を有することを見出して本発明をなすに到った。
従って、本発明の課題は、新規多糖類、莢膜産生乳酸
球菌のストレプトコッカス・ラクチス及び/またはスト
レプトコッカス・クレモリスから新規多糖類を製造する
方法及びこの新規多糖類を有効成分とする抗腫瘍剤を提
供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は、上述したように、まず新規多糖類及びその
製造法にある。
本発明の新規多糖類は、例えば、粘質発酵乳ヴィリー
から莢膜性粘質物産生乳酸菌であるストレプトコッカス
・ラクチス及び/またはストレプトコッカス・クレモリ
スを分離し、これを培養し、この菌体及び/または培地
から得ることができる。
以下に本発明の新規な多糖類の生産について述べる。
本発明において用いる莢膜性粘質物産生乳酸菌は、粘
質発酵乳ヴィリーからホエートリプチケースペプトン寒
天培地を用いて分離した菌株を培養し、得られる培養液
から沈澱させて得ることができる。
上記粘質発酵乳ヴィリーからの菌株の分離および同定
は、下記手順に従って行った。
(1) 莢膜性粘質物産生乳酸菌の分離 (培地) 20%還元脱脂乳(W/V)を透析膜(36/32)で透析後、
透析外液にトリペプチケースペプトン(BBL)を1%(W
/V)添加し、さらに寒天(OXOID,Agar Bacteriologica
l,Agar No.1)を1%(W/V)添加し、pHを6.8に調整
し、培地(ホエートリプチケースペプトン寒天培地)と
した。本培地を115℃、15分間高圧滅菌後、シャーレに
注ぎ平板を作成した。
(分離法) 10%還元脱脂乳中で活性化させたヴィリー・スタータ
ー1gを光岡の方法によって得られた希釈液を用いて順次
希釈して10-6および10-7の希釈液を調製し、これらの希
釈液をシャーレ1枚当り0.1mlずつ塗抹した。シャーレ
は20および30℃で3〜6日間嫌気培養(ガスパック、BB
L)した。生じたコロニーのうち粘性を有するものを採
取し、墨汁染色法により莢膜菌であることを確認した。
莢膜性粘質物産生菌は、ホエートリプチケースペプトン
寒天培地に順次塗抹鈞菌し、純粋株とした。分離された
莢膜性粘質物産生菌は10%還元脱脂乳に十分分散させ、
急速凍結後、−80℃の冷凍庫に保存した。
(2) 莢膜性粘質物産生乳酸菌の同定 試験は全て2回、くり返し行った。分離菌の培養は分
離した温度で行った。
(染色方法) M17培地で20および30℃で72時間培養した菌体を用いH
uckerの変法によるグラム染色を行った。
(カタラーゼ活性) スライドグラスに3%過酸化水素水を採る。これにM1
7培地で20および30℃で72時間培養した菌を一白金耳加
え、よく混合し、気泡の有無により判定した。
(運動性および酸素要求性) Harriganらの方法によりYeast Glucose Lemco Agarを
用いて20および30℃で72時間培養後、菌の広がりの有無
および菌の生育の有無を観察し、運動性および酸素要求
性を調べた。
(グルコースからのガスの発生) Gibson′s Semi−Solid Tomato Juice Mediumを用い
て20および30℃で7日間培養後培地に生じる亀裂の有無
により判定した。
(生育温度) 10、39.5および45℃で1〜7日間培養し菌の生育を観
察した。
(アルギニンからのアムモニアの産生) M17培地を用い菌を20および30℃で72時間培養後、ネ
スラー試薬を添加してアムモニアの検出を行った。
(耐塩性試験) M17培地に2.4および6.5%(W/V)のNaclを加え、20お
よび30℃で72時間培養後、培養液の濁度を520nmで測定
し、さらにpHを測定することで生育の有無を判定した。
(生成乳酸の旋光性) M17培地で菌を20および30℃で72時間培養後、培地中
のD−およびL−乳酸量をF−キットL−乳酸(製品番
号139084、ベーリンガー・マンハイム、山之内)および
D(−)−乳酸脱水素酵素(製品番号106941、ベーリン
ガー・マンハイム、山之内)を用いて定量した。
(pH9.2での生育試験) M17培地で20および30℃で48時間培養した。
(クエン酸からのガスの発生) Semi−solid Citrate Milk Agarを用いて20および30
℃で72時間培養し寒天中の亀裂の有無でガスの産生を判
定した。
培養終了後、ホエートリプチケースペプトン寒天培地
上に生じたコロニーのうち粘性を示すものを白金耳で拾
った。ヴィリーの20および30℃培養寒天培地から菌株を
採り、それぞれSBT1209、SBT0495と記号を与えた。墨汁
染色の結果、全て莢膜性粘質物産生菌であることが判明
した。
上記の分離菌は通性嫌気性、グラム陽性で無芽胞の運
動性のない連鎖球菌でカタラーゼ活性はなかったことか
ら、ストレプトコッカス属に分類された。さらに、グル
コースからの炭酸ガスの産生もないことから、Homo型乳
酸菌であり、生育温度をみると、10℃では両株とも生育
し、45℃では生育せず、39.5℃ではSBT0495は生育しな
かった。耐塩性を見ると、2%Naclでは両株とも生育し
たが、4%NaclではSBT1209のみ生育した。6.5%Naclで
は何れも生育しなかった。アルギニンからのアムモニア
の産生およびpH9.2における生育はSBT1209で認められ
た。
以上の結果からSBT1209はストレプトコッカス・ラク
チス(Streptococcus lactis)、SBT0495はストレプト
コッカス・クレモリス(Streptococcus cremoris)と同
定した。
以上の結果を表1に示した。
なお、上記微生物は下記受託番号により寄託されてい
る。菌 株 受託番号 ストレプトコッカス・クレモリス SBT0495 微工研菌寄第10053号 (Streptococcus cremoris) ストレプトコッカス・ラクチス SBT1209 微工研菌寄第8308号 (Streptococcus lactis) 本発明では、上記の寄託菌に限らず、北欧の粘質醗酵
乳ロングフィル,ヴィリー,ピーマ,テッテから分離さ
れる莢膜性粘質物生産性のストレプトコッカス・クレモ
リス及びストレプトコッカス・ラクチスであれば、いず
れの分離株でも用いることが出来る。
次にこのようにして得られた莢膜性粘質物産生乳酸菌
の培養法及び多糖類の分離法を記す。
ストレプトコッカス・クレモリスSBT0495株及びスト
レプトコッカス・ラクチスSBT1209株の培養基は、乳成
分を含む培地、これを含まない合成・半合成培地等、菌
の増殖が良好で、多糖類の生産が良好な培地であれば、
何れの組成のものを用いてもよい。培養法は、静置培養
またはpHを一定にコントロールした中和培養で行い、通
常、18℃、24時間培養を行うが、多糖類が生産される条
件であれば、どのような培養方法及び条件でも構わな
い。
培養物を遠心分離して、菌体を除去し、粘稠性を有す
る上清液を得る。この上清液に等量のアルコールを添加
して沈澱物を得る。この沈澱物は、必要に応じてアルコ
ール沈澱を繰り返し、純度を高めることが出来る。ま
た、高度に精製した試料を必要とする場合には、SDS−P
AGE法、セバッグ等適当な除蛋白操作を行う。このよう
にして調製した試料を凍結乾燥して、無臭の精製多糖類
を得る。
以上の様にして製造された多糖類は、次のような理化
学的性状を有している。この理化学的性状は、実施例2
によって製造した多糖類のものである。
(1) 分子量 アサヒパックGS−710を用いたゲルパーミエーション
・クロマトグラフィーによって得られた分子量分布を、
第1図に示した。第1図の中に示すプルラン(スタンダ
ードプルランキット・P−82)を標準多糖類とする較正
曲線と比較して分子量を決定したところ、約170万であ
った。
(2) 化学的性状 フェノール硫酸反応、および、アンスロン硫酸反応、
α−ナフトール硫酸法、システイン硫酸法を行ったとこ
ろ糖の呈色反応を示した。また、フィスケ・サバロウ法
によりリンの呈色反応を示した。ローリーフォリン法、
BCA法による蛋白質の呈色反応は示さない。また、カル
バゾール・硫酸法によるウロン酸、3−メチル−2−ベ
ンゾチアゾロン・ヒドラゾン・ヒドロクロライド法によ
るヘキソサミン、レゾルシノール・硫酸法によるシアル
酸の呈色反応を示さない。
(3) 元素分析の結果は以下のとおりである。
炭素(C):34.5% 水素(H):6.0% 窒素(N):0.5%以下 リン(P):3.1% (4) 構成糖および化学構造 多糖類を2N塩酸に溶解し、100℃、6時間加水分解
し、TMS化またはアルジトール・アセチル化し、ガスク
ロマトグラフィーで分析した。その結果、多糖類の構成
糖は、ガラクトース(Gal)、グルコース(Glc)、ラム
ノース(Rha)であった。
さらに多糖類をフッ化水素酸で0℃、2日間加水分解
し、分解物をトーヨーパールHW−55Sによるゲル濾過ク
ロマトグラフィーに供したところ第2図に示した溶出パ
ターンであった。このうちピーク2は無機のリンであ
り、ピーク3はガラクトースであった。また、ピーク1
をメチル化法、n.m.r.法で構造を解析したところ、以下
の構造であった。
(式中の数字は結合部位を、mは0〜3の整数を、nは
繰り返し単位をそれぞれ示す。) 以上の結果を総合して、本発明の多糖類は、以下の構
造を持つ新規な多糖類であると判断した。
(式中の数字は結合部位を、mは0〜3の整数を、nは
繰り返し単位をそれぞれ示す) 次に、本発明は、上記新規多糖類を有効成分とする抗
腫瘍剤に関する。
本発明における有効成分として用いる多糖類は、その
精製物であってもよく、またその粗製物、例えば前記し
たアルコール沈澱物であってもよい。
上記の理化学的性状を持つ多糖類を抗腫瘍剤として用
いるには、そのままの粉末状態、または、適当な粉末状
倍散剤、賦活剤、結着剤と混合し、各種の投与ルートで
投与され、用いられる。
例えば、粉末状態のままあるいはこれに乳糖等の賦形
剤を加えて粉剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤とし
て経口投与することができる。また、蒸留水、生理食塩
水等に溶解して静注、筋注等の注射剤として用いること
もできるし、また慣用の手段で坐剤にして用いてもよ
い。
投与量は、投与対象者の症状、年令等を考慮してそれ
ぞれ個別に適宜決定されるが、通常成人1日当り0.5〜
5.0gであり、これを1日数回に分けて投与するとよい。
次に試験例を示して、本発明の抗腫瘍活性について述
べる。
〔試験1〕エタノール沈澱画分の抗腫瘍試験 牛乳ホエーの限外濾過通過液を主成分とするパーミエ
ト培地でSBT1209株を培養し、実施例2の方法によって
得られたエタノール沈澱画分について、抗腫瘍剤活性を
検討した。
抗腫瘍活性の試験は以下の方法で行った。
Sarcoma−180腫瘍細胞3×106個をマウスの腋下部皮
下に移植する。翌日よりPBSに溶解した上記エタノール
沈澱画分を1日1回、連続10日間腹腔内投与した。投与
量は1mg/kg及び5mg/kgとした。対照群には、PBSのみを
投与し、移植後21日目に腫瘍を摘出、その湿重量を測定
し、以下の式で平均腫瘍抑制率を求めた。
腫瘍抑制率(%)=(1−試験群の平均腫瘍重量/対照
群の平均腫瘍重量)×100 また、試験期間中にマウスの状態を観察した。
得られた結果を第1表に示す。
本表から明らかなように、SBT1209株培養上清中のエ
タノール沈澱画分には、51〜63%の強い抗腫瘍活性が認
められた。
また、実施例1において得られるSBT0495株の培養物
のエタノール沈澱画分について同様の試験を行ったとこ
ろ、ほぼ同じ抗腫瘍活性が認められた。
〔試験例2〕精製多糖類画分の抗腫瘍試験 〔試験例1〕と同様の方法に従い、SBT0495株を用
い、実施例1に示した方法で調製した精製多糖類を投与
した時の抗腫瘍効果の結果を第2表に示す。
以上に示したように、SBT0495株及び/またはSBT1209
株の培養上清中から得られるエタノール沈澱画分、ある
いは、これから得られる精製多糖類には、明らかな抗腫
瘍効果が認められた。また、何れの試験においても、実
験期間中にマウスの死亡は認められず、急性毒性はみと
められなかった。
以下に実施例を示す。しかし、本発明はこの実施例の
記載に限定されるものではない。
実施例1 アクチナーゼEで完全加水分解した脱脂乳を限外濾過
(旭化成・SEP−1013)し、そのリンテート液を培地と
した。この培地を用い、10容ジャーファーメンターに
滅菌した培地9.8を無菌的に分注した。SBT0495株の前
培養液を5%接種後、培地のpHを5.5に保ちつつ(アン
モニア水を中和剤として用いる)、20℃、24時間培養し
た。培養物を遠心分離し、上清液を得た。この上清液に
等量のエタノールを添加し、沈澱物を回収、さらにこれ
を0.2N食塩水に溶解してエタノール沈澱を繰り返した。
さらにこの沈澱物をSDS化し、SDSゲル電気泳動に供し、
ゲル内に浸透しない部分を回収した。回収した画分を透
析した後、DEAE−トーヨーパール650Mを用いたイオン交
換クロマトグラフィーを行い吸着部分として精製多糖類
を得た。得られた試料を凍結乾燥したところ、粉状の精
製多糖類類は700mgであった。
実施例2 SBT1209株を用いたことを除き、実施例1と同一の方
法で多糖類を精製し、550mgを得た。
実施例3 実施例1または実施例2で得られた精製多糖類10gを
精製蒸留水1に溶解し、これを10mlのアンプルにつめ
て殺菌を行って静注用注射剤を得た。
実施例4 実施例1または実施例2で得られた精製多糖類1gを乳
糖5gと混合し、顆粒状に成型して顆粒剤を得た。
(発明の効果) 本発明は、新規な多糖類及びその製造法を提供するも
のである。
さらに、本発明は、新規な抗腫瘍剤を提供するもので
あり、本発明の抗腫瘍剤は、毒性及び副作用がきわめて
少く、抗腫瘍活性がすぐれている点で有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の多糖類のゲルパミェーションクロマ
トグラフィーによる溶出曲線を示す。 また、第1図中に示される図は、標準に用いたプルラン
の較正曲線を示す。 第2図は、本発明の多糖類のフッ化水素酸分解物のゲル
濾過による溶出曲線を示す。 −●−は、糖の溶出曲線を、−■−はリンの溶出曲線を
それぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:46)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の構造式で示される新規多糖類 (ただし、式中Glcはグルコース残基を、Galはガラクト
    ース残基を、Rhaはラムノース残基をそれぞれ示す。ま
    た、式中の数値はそれぞれの結合部位を、mは0〜3の
    整数を、nは繰り返し単位をそれぞれ示す。)
  2. 【請求項2】莢膜性粘性物産生乳酸菌のストレプトコッ
    カス・ラクチス(Streptococcus lactis)及び/または
    ストレプトコッカス・クレモリス(Streptococcus crem
    oris)を培養し、菌体及び/または培地から次の構造式
    で示される新規多糖類を分離し、採取することを特徴と
    する新規多糖類の製造法 (ただし、式中Glcはグルコース残基を、Galはガラクト
    ース残基を、Rhaはラムノース残基をそれぞれ示す。ま
    た、式中の数値はそれぞれの結合部位を、mは0〜3の
    整数を、nは繰り返し単位をそれぞれ示す。)
  3. 【請求項3】次の構造式で示される新規多糖類を有効成
    分とする抗腫瘍剤 (ただし、式中Glcはグルコース残基を、Galはガラクト
    ース残基を、Rhaはラムノース残基をそれぞれ示す。ま
    た、式中の数値はそれぞれの結合部位を、mは0〜3の
    整数を、nは繰り返し単位をそれぞれ示す。)
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