JP4395380B2 - サイクロデキストラン高生産微生物とこれを用いたサイクロデキストランの製造法 - Google Patents

サイクロデキストラン高生産微生物とこれを用いたサイクロデキストランの製造法 Download PDF

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Description

本発明は、新規低分子サイクロデキストラン、新規高分子サイクロデキストラン、それらの製造方法およびそれに用いる微生物に関する。詳しくは、グルコース分子がα−1,6結合で結合した構造の新規低分子サイクロデキストラン、新規高分子サイクロデキストラン、その製造法およびそれに用いる新規微生物並びにその用途に関する。
従来、サイクロデキストラン(CI)生産菌はバチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)T−3040(特許文献1参照)およびバチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)U−155(非特許文献1参照)、バチルス・エスピー(Bacillus sp.)330K(特許文献2参照)バチルス・エスピー(Bacillus sp.)350K(特許文献2参照)バチルス・エスピー(Bacillus sp.)360K(特許文献2参照)バチルス・エスピー(Bacillus sp.)860K(特許文献2参照)の6種類のみが報告されている。
このうち、T−3040およびU−155株は、グルコース7分子がα−1,6結合により結合した環状オリゴ糖(サイクロデキストラン)(以下、CI−7という。)、グルコース8分子がα−1,6結合により結合した環状オリゴ糖(サイクロデキストラン)(以下、CI−8という。)、グルコース9分子がα−1,6結合により結合した環状オリゴ糖(サイクロデキストラン)(以下、CI−9という。)等の比較的低分子のサイクロデキストランを生産することが知られている。
一方、330K、350K、360K、および860K株は、主にグルコース10分子がα−1,6結合により結合した環状オリゴ糖(サイクロデキストラン)(以下、CI−10という。)、グルコース11分子がα−1,6結合により結合した環状オリゴ糖(サイクロデキストラン)(以下、CI−11という。)、グルコース12分子がα−1,6結合により結合した環状オリゴ糖(サイクロデキストラン)(以下、CI−12という。)等の比較的高分子のサイクロデキストランを生産し、わずかにCI−7、CI−8およびCI−9も生産することが知られている。
環状オリゴ糖CI−7、CI−8、CI−9、CI−11、CI−12は、抗齲蝕作用と弱い包接能を有し(特許文献2および特許文献3参照)、CI−10は抗齲蝕作用と強い包接能を有していることが報告されている(特許文献2参照)。サイクロデキストランはその分子量の違いにより包接能の有無が異なるなど性質も変化することが示唆されているので、様々なグルコースの重合度を有するサイクロデキストランの製造法の確立が期待されているが、これまでCI−7より低分子の、或いはCI−12より高分子のサイクロデキストランについての報告はない。
また、サイクロデキストランの抗齲蝕作用を利用した抗齲蝕剤が従来から報告されているが、それらはいずれも単体のサイクロデキストランを用いており、多種サイクロデキストラン混合物が用いられたものは知られていなかった。
特開平6−197783号公報 DDBJ/EMBL/Genbank DNAデータベース アクセッション番号D88360 特願2002−337748 特開平8−59484号公報
上述したように、これまで確認されたサイクロデキストランはCI−7、CI−8、CI−9、CI−10、CI−11、CI−12の6種類のみで、これらはすべて抗齲蝕性を有し、CI−10は、抗齲蝕性のほかに高い包接能をも有することが知られている。このように、サイクロデキストランは、その分子量の違いにより性質が異なることから、グルコースの重合度が様々なサイクロデキストランの製造法の確立が期待される。
そこで、本発明は、従来知られているサイクロデキストランよりも低分子またはより高分子のサイクロデキストランを開発することを目的としている。
また、本発明は、従来知られているサイクロデキストランに加え、より低分子またはより高分子の新規なサイクロデキストランを産生する能力を有する微生物の探索と、当該微生物を用いた新規なサイクロデキストランの製造法を提供することをも目的とする。
さらに、本発明は、グルコースの重合度が様々なサイクロデキストランの混合物を用いる抗齲蝕剤を提供することをも目的とする。
そして、本発明は、前記従来知られているサイクロデキストランよりも低分子またはより高分子のサイクロデキストランを利用した水溶性環状オリゴ糖組成物や飲食物を提供することをも目的とする。
本発明者らは、市販の黒糖において採取したサンプルから、サイクロデキストランを産生する能力を有する微生物群を探索することに成功した。
そして、これらの微生物は、パエニバチルス(Paenibacillus sp.)属に属していることを見出すと共に、該微生物が、デキストランから従来知られているサイクロデキストランに加え、グルコース5または6分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規低分子サイクロデキストラン、そしてグルコース13〜33分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規高分子サイクロデキストランを生産する能力を有することを見いだして、本発明を完成するに至った。
請求項1記載の本発明は、グルコース13〜17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規高分子サイクロデキストランである。
請求項2記載の本発明は、パエニバチルス属に属し、請求項1記載の新規高分子サイクロデキストラン生産能を有する微生物をデキストランを含む培地で培養し、培養物から請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランを採取することを特徴とする請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの製造方法である。
請求項3記載の本発明は、パエニバチルス属に属し、請求項1記載の新規高分子サイクロデキストラン生産能を有する微生物をデキストランを含む培地で培養して得た培養上清をデキストランと反応させ、得られる反応物から請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランを採取することを特徴とする請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの製造方法である。
請求項4記載の本発明は、パエニバチルス属に属し、請求項1記載の新規高分子サイクロデキストラン生産能を有する微生物をデキストランを含む培地で培養して得た微生物を溶菌させたものをデキストランと反応させ、得られる反応物から請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランを採取することを特徴とする請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの製造方法である。
請求項5記載の本発明は、グルコース13〜17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの生産能を有するパエニバチルス・エスピー598K株(FERM P−19604)である。
請求項6記載の本発明は、グルコース13〜16分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの生産能を有するパエニバチルス・エスピー591K株(FERM P−19603)である。
請求項7記載の本発明は、微生物として、請求項5記載のパエニバチルス・エスピー598K株および/または請求項6記載のパエニバチルス・エスピー591K株を用いることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの製造方法である。
請求項8記載の本発明は、請求項5記載のパエニバチルス・エスピー598K株および/または請求項6記載のパエニバチルス・エスピー591K株をデキストランを含む培地で培養し、培養物からグルコース7〜12分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランを採取することを特徴とするグルコース7〜12分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの製造方法である。
請求項9記載の本発明は、請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの混合物であって、グルコース13分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース14分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース15分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース16分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン及びグルコース17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの混合物、を有効成分として含有することを特徴とする抗齲蝕剤である。
請求項10記載の本発明は、請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの混合物であって、グルコース13分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース14分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース15分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース16分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン及びグルコース17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの混合物、を有効成分として含有することを特徴とする包接能を有する水溶性環状オリゴ糖組成物である。
請求項11記載の本発明は、請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの混合物であって、グルコース13分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース14分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース15分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース16分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン及びグルコース17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの混合物、を有効成分として含有することを特徴とする飲食物である。
本発明により新規な低分子サイクロデキストランおよび高分子サイクロデキストランが提供される。これらのサイクロデキストランは、パエニバチルス・エスピー591K株、同598K株を培養することにより得られる。
パエニバチルス・エスピー591K株は、従来の高分子サイクロデキストラン生産株と比べてより高分子のサイクロデキストランを生産するので、本発明の新規高分子サイクロデキストランの生産に適している。
パエニバチルス・エスピー598K株は、増殖が従来のサイクロデキストラン生産菌よりも2倍ほど良好で、従来のサイクロデキストラン高生産菌の半分の培養時間で著量のサイクロデキストランを生産するサイクロデキストラン高生産菌であり、また、従来のサイクロデキストラン生産菌よりも低分子のサイクロデキストランを生産するので、本発明の新規低分子サイクロデキストランの生産に適している。また、598株は、新規高分子のサイクロデキストランの他、既知のサイクロデキストランも著量生産するので、広範囲の分子量のサイクロデキストランの生産に適している。
しかも、本発明のパエニバチルス属菌株が生産する新規低分子サイクロデキストランや、新規高分子サイクロデキストランの他、これらと既知のサイクロデキストランとの混合物は、抗齲蝕剤の有効成分として利用できる。また、このようなサイクロデキストラン混合物は、分子量分画を行わなくとも包接能を持ち、かつ等量以下の水に溶解する高い水溶性であることから、食品、医薬品、化成品などに応用できる。
CI混合物の濃度を変えることにより目的の物質を包接する時間を調節することができるが、CI混合物の高い水溶性により、このような調節が容易である。また、サイクロデキストリンよりも極めて水溶性が高いために、不溶性物質の包接による可溶化の効果がサイクロデキストリンよりも高いことが期待できる。
請求項1記載のグルコース5〜6分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規低分子サイクロデキストランおよび請求項2記載のグルコース13〜33分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規高分子サイクロデキストランは、請求項3〜5のいずれかに記載の方法によって製造することができる。
当該サイクロデキストラン生産菌は、いずれもパエニバチルス属に属する。これら微生物は、市販の黒糖から分離した菌株であり、パエニバチルス・エスピー591K株、同598K株などが挙げられる。
以下において本発明を詳しく説明する。
請求項1記載の新規低分子サイクロデキストランは、グルコース5分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる低分子サイクロデキストラン(以下、CI−5という。)、グルコース6分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる低分子サイクロデキストラン(以下、CI−6という。)である。
また、請求項2記載の新規高分子サイクロデキストランは、グルコース13分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−13という。)、グルコース14分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−14という。)、グルコース15分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−15という。)、グルコース16分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−16という。)、グルコース17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−17という。)、グルコース18分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−18という。)、グルコース19分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−19という。)、グルコース20分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−20という。)、グルコース21分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−21という。)、グルコース22分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−22という。)、グルコース23分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−23という。)、グルコース24分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−24という。)、グルコース25分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−25という。)、グルコース26分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−26という。)、グルコース27分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−27という。)、グルコース28分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−28という。)、グルコース29分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−29という。)グルコース30分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−30という。)、グルコース31分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−31という。)、グルコース32分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−32という。)、グルコース33分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる高分子サイクロデキストラン(以下、CI−33という。)である。
上記新規低分子サイクロデキストランおよび新規高分子サイクロデキストラン生産菌であるパエニバチルス属菌株は、例えば特許文献2に記載された方法を応用して取得することができる。
その概要は以下の通りである。まず、市販の黒糖に滅菌水を添加し、懸濁液を作成する。次いで、0.2%のブルーデキストランを含む平板培地(pH7.0)に塗抹し、該平板に生育したコロニーの中から、ブルーデキストランの分解による透明なハローを形成しているコロニーを取得する。
取得したコロニーについて、さらに選抜試験を行って多分岐デキストラン水解酵素(以下HBDaseという)により分解されない環状オリゴ糖であって、しかも既知の環状オリゴ糖であるCI−7よりも低分子、あるいはCI−12よりも高分子のものを生産することのできる菌株を選抜する。
上記特許文献2に記載された方法を応用した本発明に係るパエニバチルス属菌株の取得方法の工程を要約すると、以下の通りである。
(1)自然界よりブルーデキストラン平板培地上でハローを形成する菌の分離、(2)デキストランを含む液体培養液で培養後、培養上清、あるいは溶菌液に再びデキストランを加えてインキュベートし、オリゴ糖を生産する菌の分離、(3)反応液中のオリゴ糖を逆相C18カラムに吸着させ、20%エタノールで溶出する菌の分離、(4)前記20%エタノール溶出画分からHBDaseで分解されない環状オリゴ糖液を生産する菌の分離、(5)前記環状オリゴ糖をAmide−80カラム(4.6mm×25cm)(東ソー社製)を用いてHPLC分析したとき、CI−7が溶出するリテンションタイムよりも前に検出される低分子サイクロデキストラン、あるいはCI−12よりも後ろに検出される高分子サイクロデキストランを生産する株を選抜する。
上記特許文献2に記載された方法を応用した本発明に係るパエニバチルス属菌株の取得方法の詳細について、以下説明する。
市販の黒糖20gを100mLの滅菌水に溶解し、該液を0.2mLをとって、1リットル中にブルーデキストラン(ファルマシア社製)2g、酵母エキス(バクト社製)5g、トリプトン(バクト社製)10g、NaCl 10gを含み、pHを7.0に調整し、寒天15gを加えた平板培地に塗抹し、平板に生育したコロニーの中から、ブルーデキストランの分解によるハローを形成しているコロニーをデキストラナーゼ生産株として一次スクリーニングする。
次に、選抜菌株を1リットル中にデキストラン40(名糖産業社製)またはデキストランT40(ファルマシア社製)5g、酵母エキス(バクト社製)5g、トリプトン(バクト社製)10g、NaCl 10gを含み、pHを7.0に調整した液体培地に接種し、30℃で一晩から2日間振盪培養した後に、菌体を集め凍結して、これに界面活性剤B−PERTM Reagent(PIERCE社製)を加えて溶菌し、これを粗酵素液とする。
この粗酵素液にデキストラン40(名糖産業社製)またはデキストランT40(ファルマシア社製)、10mM 塩化カルシウムを加え、20mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中で40℃で24〜48時間緩やかに振盪しながら反応を行う。
なお、粗酵素液として菌体を取り除いた培養液を用いることもできる。この場合は、菌体を取り除いた培養液に、最終濃度が2%になるようにデキストラン40(名糖産業社製)またはデキストランT40(ファルマシア社製)を、20mM CaCl・2HOを、さらに、40mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を加え、40℃で24〜48時間緩やかに振盪しながら反応を行うこともできる。
これにHBDaseを加え、20mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中で30℃で一晩反応を行い、残存した直鎖のオリゴ糖またはデキストランをすべてグルコースまで分解する。HBDaseは、特開平10−229876号公報記載のスフィンゴバクテリウム・エスピー V−54(FERM P−16086)を培養して得られたものでもよく、また、特開2001−054382号公報記載の大腸菌JM109(pKK223−3−3)(FERM P−17510)等の多分岐デキストラン水解酵素遺伝子を導入した大腸菌形質転換体を培養して得られたものでもよい。
この反応液をSep−Pak C18カートリッジ(ウォーターズ社製)などの逆相カラムに通し、水で洗浄し、吸着しない直鎖のオリゴ糖またはデキストランを除いて、20%エタノールでカラムに吸着している画分を溶出する。
なお、逆相カラム処理とHBDase処理の順番は入れ換えてもよい。
このエタノール濃縮画分について、常法によりエタノールを取り除き、次いで凍結乾燥させた後、50%アセトニトリルに溶かしてさらに遠心し、ごみを取り除いて、高速液体クロマトグラフLC−10ADVP(島津社製)とAmide−80カラム(4.6mm×25cm)(東ソー社製)を用いて50%アセトニトリルにより流速1mL/分で分離し、噴霧蒸発光散乱検出器ELSD−LT(島津社製)および分析ソフトウェアCLASS−VP(島津社製)を用いて分析する。その結果、HBDaseによって分解されないオリゴ糖のピークがCI−7が溶出するリテンションタイムよりも前に検出されれば極低分子環状オリゴ糖(新規低分子サイクロデキストラン)生産菌で、CI−12が溶出するリテンションタイムよりも後ろに検出されれば極高分子環状オリゴ糖(新規高分子サイクロデキストラン)生産菌と推定できる。
後述の実施例1で示すように、本発明者らは上記の取得方法を実施した結果、分解されないオリゴ糖のピークがCI−12が溶出するリテンションタイムよりも後ろに検出される2つの菌株を取得した。そして、このうちの1つは、CI−7が溶出するリテンションタイムよりも前に検出された。したがって、2つの菌株はいずれも極高分子環状オリゴ糖(新規高分子サイクロデキストラン)生産能を有する菌であり、このうちの1つは極低分子環状オリゴ糖(新規低分子サイクロデキストラン)生産能をも有することが明らかとなった。
これらの2菌株は、後記する菌学的性質を有しており、さらに菌体から抽出したゲノムDNAを鋳型とするPCRにより16SリボソーマルRNA遺伝子(16S rDNA)の特定領域を増幅し、塩基配列を決定して既知の配列との相同性を検索した結果、いずれの菌株もPaenibacillus sp.に帰属することが判明したので、本発明者らは、2つの菌株のうち、極高分子環状オリゴ糖(新規高分子サイクロデキストラン)生産能を有する菌株をパエニバチルス・エスピー591K株、極低分子環状オリゴ糖(新規低分子サイクロデキストラン)および極高分子環状オリゴ糖(新規高分子サイクロデキストラン)生産能をも有する菌株をパエニバチルス・エスピー598K株と命名した。
これらパエニバチルス属菌株2株は、いずれも新菌種と認められ、独立行政法人産業技術総合研究所 特許微生物寄託センターに寄託されており、受託番号は、それぞれパエニバチルス・エスピー591K株がFERM P−19603、同598K株がFERM P−19604である。
次に、本発明に係る、グルコース5または6分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規低分子サイクロデキストランまたはグルコース13〜33分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規高分子サイクロデキストランの製造方法について述べる。
本発明の製造方法は、請求項3に記載するように、パエニバチルス属に属し、上記新規低分子サイクロデキストランまたは上記新規高分子サイクロデキストラン生産能を有する微生物をデキストランを含む培地で培養し、培養物から所望のサイクロデキストランを採取することによる。
当該サイクロデキストラン生産菌としては、上記のパエニバチルス・エスピー591K株、同598K株などが挙げられ、新規低分子サイクロデキストランを製造したい場合は598K株を、新規高分子サイクロデキストランを製造したい場合は598K株の他、591K株を用いることができる。
サイクロデキストランの採取は、上記微生物をデキストランを含む培地で培養し、培養物にさらにデキストランを加えることによってサイクロデキストランを多量に生産し、所望のサイクロデキストランを採取することによる。ここで、デキストランを含む培地における培養は、前記の菌の取得方法において挙げたブルーデキストラン平板培地で行うことができる。
培養物からの採取は、詳しくは請求項4に記載するように、培養上清をデキストランと反応させ、得られる反応物から所望のサイクロデキストランを採取することにより行うことができる。さらに、微生物を溶菌させたものをデキストランと反応させることによっても、サイクロデキストランを採取することができる。
具体的には例えば、上記のパエニバチルス・エスピー591K株、同598K株をデキストランを含む培地で培養し、培地中に生育したコロニーの中から、デキストランの分解によるハローを形成しているコロニー(すなわち、微生物)をサイクロデキストラン高生産菌として選抜し、このコロニーを、上述のようなデキストランを含む液体培養液で培養後、培養上清、あるいは溶菌液に再びデキストランを加えてインキュベートし、目的とする新規低分子サイクロデキストランまたは新規高分子サイクロデキストランの生産を行うことができると同時に、グルコース7〜12分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる既知のサイクロデキストランの生産を行うことができる。
こうしてサイクロデキストランの生産を行った後、高速液体クロマトグラフLC−10ADVP(島津社製)とAmide−80カラム(21.5mm×300mm)(東ソー社製)を用いて55%アセトニトリルで流速6mL/分で溶出し、溶出液を6mLずつ分取分画する。それぞれのフラクション(画分)を10μL〜50μLずつとり、再び高速液体クロマトグラフLC−10ADVP(島津社製)とAmide−80カラム(4.6mm×250mm)(東ソー社製)を用いて55%アセトニトリルにより流速1mL/分で分離し、噴霧蒸発発光散乱検出器ELSD−LT(島津社製)と分析ソフトウェアCLASS−VP(島津社製)を用いて、HBDaseによって分解されないオリゴ糖(CIと推定される。)を含むフラクションがどれであるかを、図1〜5のピーク5〜33(それぞれCI−5〜33に相当する。)を参照しながら分析する。それぞれのフラクションにつきおのおの遠心濃縮機またはロータリエバポレーターによりアセトニトリルを除去し、次いで凍結乾燥して、目的のサイクロデキストランを単離することができる。
なお、上記した本発明に係る新規低分子サイクロデキストラン、新規高分子サイクロデキストランおよび既知のサイクロデキストランの製造方法は、1例であり、この方法に限定されるものではない。
本発明に係る新規低分子サイクロデキストランCI−5およびCI−6、ならびに新規高分子サイクロデキストランCI−13〜CI−33から選ばれる2種以上のサイクロデキストランの混合物は、グルコシルトランスフェラーゼ活性の阻害作用を有しているので、当該物質を有効成分として含有させて抗齲蝕剤として用いることができる。
また、既知のサイクロデキストランであるCI−7〜CI−12についても、従来から抗齲蝕作用があることが知られていることから、上記新規低分子サイクロデキストラン、上記新規高分子サイクロデキストランおよびCI−7〜CI−12からなる群から選ばれる2種以上のサイクロデキストランの混合物(CI混合物)も、抗齲蝕剤の有効成分として用いることができる。
上記新規低分子サイクロデキストラン、上記新規高分子サイクロデキストランおよびCI−7〜CI−12からなる群から選ばれる2種以上のサイクロデキストランの混合物(CI混合物)は、(A)上記新規低分子サイクロデキストラン(CI−5およびCI−6のいずれか、あるいは両方)と既知のサイクロデキストラン(CI−7〜12のいずれか、あるいは2種類以上);(B)上記新規高分子サイクロデキストラン(CI−13〜33のいずれか、あるいは2種類以上)と既知のサイクロデキストラン(CI−7〜12のいずれか、あるいは2種類以上);(C)上記新規低分子サイクロデキストラン(CI−5およびCI−6のいずれか、あるいは両方)と上記新規高分子サイクロデキストラン(CI−13〜33のいずれか、あるいは2種類以上)と既知のサイクロデキストラン(CI−7〜12のいずれか、あるいは2種類以上)、の組み合わせが挙げられる。
このようなCI混合物は、前記本発明の製造方法によって得られるCI単品を適宜混合して調製することができるが、上記(C)の組み合わせのCI混合物を所望する場合は、前記本発明の製造方法で説明したHPLCの前段階であるSep−Pak C−18カートリッジに通しただけのCI標品を用いることができる。このCI標品には、極低分子から極高分子まで様々な分子量のCIが混合しており、ごくわずかの直鎖のオリゴ糖も含まれている。
これらのサイクロデキストラン混合物の抗齲蝕作用は、例えば、後述の実施例に示すように、pH7.0、温度37℃の条件下、0.2%もしくはそれ以上の濃度で、ショ糖10%存在下における齲蝕菌であるミュータンス連鎖球菌のグルコシルトランスフェラーゼが歯垢の原因となるグルカンを合成する作用を阻害することによって明らかである。
このように、当該新規低分子サイクロデキストランから新規高分子サイクロデキストランまでの幅広い分子量のサイクロデキストランからなる混合物を、抗齲蝕剤の有効成分として利用することができる。
さらに、塩基性顔料であるビクトリアブルーに対する包接試験の結果、本発明に係る新規低分子サイクロデキストラン、新規高分子サイクロデキストラン、および既知のサイクロデキストランであるCI−7〜CI−12からなる群から選ばれる2種以上のサイクロデキストランの混合物(CI混合物)は、有効にビクトリアブルーを包接する作用を有する。しかも、これらのサイクロデキストランは、等量以下の水に溶解する極めて高い水溶性を示す。
これらのCI混合物の包接能は、例えば、後述の実施例に示すように、25℃下、0.1%もしくはそれ以上の濃度で、100mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)中の0.32mMの濃度のビクトリアブルーの青色の褪色を抑制することができることによって明らかである。
尚、CI混合物の濃度を変えることにより目的の物質を包接する時間を調節することができる。例えば、CI混合物の濃度を10倍とすることにより、ビクトリアブルーを包接する時間を4〜5倍程度変えることができる。このような濃度の変化による包接時間の調節は、CI混合物の高い水溶性により、容易となるものである。
このように、新規低分子サイクロデキストラン、新規高分子サイクロデキストラン、および既知のサイクロデキストランであるCI−7〜CI−12からなる群から選ばれる2種以上のサイクロデキストランの混合物(CI混合物)は、包接能を有する水溶性環状オリゴ糖組成物の有効成分として利用することができる。
以上説明したように、本発明に係る新規低分子サイクロデキストラン、新規高分子サイクロデキストランは、これらの混合物、或いは既知のサイクロデキストランとの混合物として優れた抗齲蝕作用および包接能を有することから、食品、医薬品、化成品に応用することができる。
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
以下の手順により、新規低分子サイクロデキストランや新規高分子サイクロデキストランを生産する菌株を取得した。
市販の黒糖を入手し、5gを滅菌水45mLに懸濁させた。該懸濁液を1リットル中にブルーデキストラン(ファルマシア社製)2g、酵母エキス(バクト社製)5g、トリプトン(バクト社製)10g、NaCl 10g、寒天(バクト社製)15gを含み、pHを7.0に調整した平板培地に滅菌コンラージ棒で塗抹して30℃で1晩から3日間培養し、平板に生育したコロニーの中から、ブルーデキストランの分解によるハローを形成しているコロニーをデキストラナーゼ生産株として一次スクリーニングした。
上記のようにして取得したコロニーを白金耳で採り、再び新鮮な上記の0.2%ブルーデキストラン平板培地に塗抹し、30℃で1晩から2日間培養する操作をさらに2回繰り返して目的とする菌株を純粋分離した。
試験管に、0.5%デキストランT40(ファルマシア社製)、0.5%酵母エキス(バクト社製)、1%トリプトン(バクト社製)、1%NaCl、2%寒天を加えた組成の培地を加え、121℃で20分オートクレーブした後、斜めに静置し、室温で固めて調製した保存培地とした。この保存培地に上記で得られた菌株を白金耳を用いて画線した。これを30℃で2日間培養し、保存菌株とした。
この保存菌株の1白金耳を、上記の0.5%デキストランT40(ファルマシア社製)を含む液体培地5mLを試験管に入れて121℃で20分オートクレーブ滅菌したものに接種し、振盪しながら30℃で24時間培養した。
次いで、上記菌株を、1リットル中にデキストランT40(ファルマシア社製)5g、トリプトン(バクト社製)10g、NaCl 10gを含み、pHを7.0に調整した液体培地に接種し、30℃で一晩から2日間振盪培養した後に、菌体を遠心分離(10,000rpm)で20分間)で集め、得られた菌体をいったん−80℃で凍結し、これに界面活性剤B−PERTM Reagent(PIERCE社製)3mLを加えて溶菌し、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液に、最終濃度が4%になるようにデキストランT40(ファルマシア社製)1.6gを、最終濃度が20mMになるようにCaCl・2HO 0.12gを、さらに最終濃度が80mMとなるように酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を加え、全量が40mLになるように調整し、40℃で24〜48時間緩やかに振盪しながら反応を行った。
100℃で10分間加熱して反応を終了させた後、冷却し、8,000rpmで20分間遠心し、沈殿を取り除いた。遠心上清に体積の2培量のエタノールを加え、よく攪拌した後、再び8,000rpmで20分間遠心し、沈殿を取り除いた。遠心上清のエタノールをロータリーエバポレーターによって取り除いた。
上記方法で得た反応液にHBDaseを加え、20mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中にて30℃で12時間反応を行い、残存した直鎖のオリゴ糖またはデキストランをすべてグルコースまで分解した。尚、HBDaseは、特開2001−054382号記載の大腸菌JM109(pKK223−3−3)(FERM P−17510)の多分岐デキストラン水解酵素遺伝子を導入した大腸菌形質転換体の培養物から得られたものを使用した。
これを100℃で10分間加熱後冷却し、8,000rpmで20分間遠心し、沈殿を取り除いた。
このようにして得た遠心上清を逆相カラムSep−Pak C−18カートリッジ(ウォーターズ社製)に通し、水で洗浄し、吸着しない直鎖のオリゴ糖またはデキストランを取り除いた。次いで、20%エタノールでカラムに吸着している画分を溶出した。
このエタノール濃縮画分から遠心濃縮機またはロータリーエバポレーターによってエタノールを取り除き、次いで凍結乾燥させた後、50%アセトニトリルに溶かして15,000rpmで10分間遠心し、ごみを取り除いた。
遠心後の反応液を、高速液体クロマトグラフLC−10ADVP(島津社製)とAmide−80カラム(4.6mm×25cm)(東ソー社製)を用いて50%アセトニトリルにより流速1mL/分で分離し、噴霧蒸発光散乱検出器ELSD−LT(島津社製)および分析ソフトウェアCLASS−VP(島津社製)を用いて分析し、HBDaseによって分解されないオリゴ糖のピークがCI−7よりも前に溶出する、またはCI−12よりも後ろに溶出するものを選抜することにより取得した。
上記の取得方法を実施した結果、本発明者らは、下記の2菌株を取得した。
第一の菌株が生産するHBDase非分解性オリゴ糖の高速液体クロマトグラフ(HPLC)による測定結果を図1及び2に示す。図1及び2から明らかなように、第一の菌株についてはCI−12よりも後ろのリテンションタイムにオリゴ糖ピーク13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33が観察できることから、この菌株は、グルコース13〜33分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規高分子サイクロデキストランの生産能を有することが明らかとなった。
一方、第二の菌株が生産するHBDase非分解性オリゴ糖の高速液体クロマトグラフ(HPLC)による測定結果を図3及び4に示す。図3及び4から明らかなように、第二の菌株についてはCI−12よりも後ろのリテンションタイムにオリゴ糖ピーク13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23が観察できることから、この菌株は、グルコース13〜23分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規高分子サイクロデキストランの生産能を有することが明らかとなった。
また、第二の菌株について図3及び4に痕跡程度観察できるピーク5と6を集め、Amide−80カラム(4.6mm×25cm)(東ソー社製)を用いてHPLCにより55%アセトニトリルで溶出すると、図5に示すようにCI−7を示すピーク7よりも早いリテンションタイムに2つのピーク5と6が検出される。このことから、この菌株は、グルコース5または6分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規低分子サイクロデキストランの生産能を有することが明らかとなった。
そこで、第一の菌株を591K株、第二の菌株を598K株として、以下の実施例に供した。
実施例1で得られた2菌株について、それぞれ寒天平板培地上でのコロニー形態、顕微鏡観察による細胞形態、グラム染色、胞子の有無、鞭毛による運動の有無およびカタラーゼ、オキシダーゼ、ブドウ糖の酸化発酵(OF)などの観察・試験(細菌同定第一段階試験)を行った。その結果を表1に示す。
Figure 0004395380
表1から明らかなように、グラム染色陽性、カタラーゼ反応陽性、好気条件下での生育性を示す有芽胞桿菌で、Bacillusに類似の性状を示すと考えられ、いずれもBacillus group bacteriumであると分類同定した。
上記2菌株をそれぞれLB Broth(Becton Dickinson, NJ,USA)+寒天培地に植菌し、30℃で1日培養した。培養物より採取した菌体からゲノムDNAを抽出した。ゲノムDNAの抽出には、PrepMan Method(Applied Biosystems,CA,USA http://www.appliedbiosystems.co.jp/website/jp/home/index_g.jsp)を使用した。
抽出したDNAを鋳型としてPCRにより16S リボソーマルRNA遺伝子(16S rDNA)のうち5´末端側約500bpの領域を増幅し、塩基配列をシーケンスして解析に使用した。PCR産物の精製、サイクルシーケンスには、MicroSeq 500 16S rDNA Bacterial Sequencing Kit(Applied Biosystems,CA,USA)を使用した。
サーマルサイクラーには、GeneAmp PCR System 9600(Applied Biosystems,CA,USA)、DNAシーケンサーには、ABI PRISM 3100 DNA Sequencer(Applied Biosystems,CA,USA)を使用した。
また、ゲノムDNA抽出からサイクルシークエンスまでの操作に関しては、Applied Biosystems社のプロトコール(P/N4308132 Rev.A)に従った。
得られた16S rDNAの塩基配列を用いて相同性検索を行い、相同率の上位10株を決定した。さらに検索された上位10株と検体の16S rDNAを用いて近隣接合法により分子系統樹を作成し、検体の近縁種および帰属分類群の検討を行った。相同性検索および系統樹の作成には、Microseq Microbial Identification System Software V.1.4.1)を、相同性検索を行う際のデータベースとしてMicroseq Bacterial 500 Library v.0023(Applied Biosystems,CA,USA)を使用した。MicroSeq Bacterial 500 Libraryでの相同率が97%以下であった場合は、BLASTを用いてDNA塩基配列データベース(GenBank)に対して相同性検索を行った。
配列表の配列番号1に591K株の16S rDNAの塩基配列を、配列番号2に598K株の16S rDNAの塩基配列をそれぞれ示す。
Microseqを用いた解析の結果、591K株の16S rDNAの部分配列は相同率86.80%でPaenibacillus lautusの16S rDNAに最も高い相同性を、598K株の16S rDNAの部分配列は相同率83.58%でBacillus ehimensisの16S rDNAに最も高い相同性を示した。
BLASTを用いたGenBankに対する相同性検索の結果、591K株の16S rDNAは97.4%でPaenibacillus borealis Accession No.:AJ011327株の16S rDNAに対し最も高い相同性を示し、598K株の16S rDNAは98.4%でPaenibacillus daejeonensis AP−37株に対し最も高い相同性を示した。
一方、分子系統樹では、図6に示す通り、591K株はPaenibacillus polymyxaの16S rDNAとクラスターを形成したが、帰属種の推定に有効な近縁種は示されなかった。また、598K株は単独で枝を形成した。
以上の結果から、現時点では、591K株、同598K株の16S rDNAと一致する塩基配列は登録されていないと考えられる。これら2株はいずれもPaenibacillus sp.に帰属する菌株とすることが妥当であると結論された。
本実施例3では、上記実施例2でパエニバチルス属に帰属する菌株であることが明らかとなったパエニバチルス・エスピー591K株、同598K株を用いて新規低分子サイクロデキストラン、新規高分子サイクロデキストランを含むサイクロデキストランの生産を行った。
(1)実施例1の(1)において取得した保存菌株、すなわち、パエニバチルス・エスピー591K株、同598K株の各保存菌株の1白金耳を、それぞれ実施例1で用いたのと同様の、0.5%デキストランT40(ファルマシア社製)を含む液体培地5mLを試験管に入れて121℃で20分オートクレーブ滅菌したものに接種し、振盪しながら30℃で24時間培養した。
(2)次いで、上記菌株を、1リットル中にデキストランT40(ファルマシア社製)5g、トリプトン(バクト社製)10g、NaCl 10gを含み、pHを7.0に調整した液体培地に接種し、30℃で一晩から2日間振盪培養した後に、菌体を遠心分離(10,000rpm)で20分間)で集め、得られた菌体をいったん−80℃で凍結し、これに界面活性剤B−PERTM Reagent(PIERCE社製)3mLを加えて溶菌し、これを粗酵素液とした。
この粗酵素液に、最終濃度が4%になるように、デキストランT40(ファルマシア社製)1.6gおよび最終濃度が20mMになるように、CaCl・2HO 0.12gおよび80mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を加え、全量が40mLになるように調整し、40℃で24〜48時間緩やかに振盪しながら反応を行った。
さらに、粗酵素液として菌体を取り除いた培養液も用意した。この粗酵素液については、最終濃度が2%になるようにデキストランT40(ファルマシア社製)を、20mM CaCl・2HOを、さらに、40mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)を加え、40℃で24〜48時間緩やかに振盪しながら反応を行って前記反応液と合わせた。
次いで、100℃で10分間加熱して反応を終了させた後、冷却し、8,000rpmで20分間遠心し、沈殿を取り除いた。遠心上清に体積の2培量のエタノールを加え、よく攪拌した後、再び8,000rpmで20分間遠心し、沈殿を取り除いた。遠心上清のエタノールをロータリーエバポレーターによって取り除いた。
(3)上記方法で得た反応液にHBDaseを加え、20mM 酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)中にて30℃で12時間反応を行い、残存した直鎖のオリゴ糖またはデキストランをすべてグルコースまで分解した。尚、HBDaseは、特開2001−054382号記載の大腸菌JM109(pKK223−3−3)(FERM P−17510)の多分岐デキストラン水解酵素遺伝子を導入した大腸菌形質転換体の培養物から得られたものを使用した。
これを100℃で10分間加熱後冷却し、8,000rpmで20分間遠心し、沈殿を取り除いた。
(4)このようにして得た遠心上清を逆相カラムSep−Pak C−18カートリッジ(ウォーターズ社製)に通し、水で洗浄し、吸着しない直鎖のオリゴ糖またはデキストランを取り除いた。次いで、20%エタノールでカラムに吸着している画分を溶出した。これを遠心濃縮機またはロータリーエバポレーターによってエタノールを取り除き、次いで凍結乾燥させた後、50%アセトニトリルに溶かして15,000rpmで10分間遠心し、ごみを取り除いた。
(5)上記方法で得た反応液を、高速液体クロマトグラフLC−10ADVP(島津社製)とAmide−80カラム(21.5mm×30cm)(東ソー社製)を用いて55%アセトニトリルにより流速6mL/分で分離し、フラクションコレクターDC1500(東京理科機器社製)で6mLずつ分取分画した。それぞれのフラクション(画分)を高速液体クロマトグラフLC−10ADVP(島津社製)とAmide−80カラム(4.6mm×25cm)(東ソー社製)を用いて55%アセトニトリルにより流速1mL/分で分離し、噴霧蒸発発光散乱検出器ELSD−LT(島津社製)と分析ソフトウェアCLASS−VP(島津社製)を用いて、HBDaseによって分解されないオリゴ糖(CIと推定される。)を含むフラクションがどれであるかを、図1〜5を参照しながら探した。
その結果、パエニバチルス・エスピー591K株については、ピーク10、11、12、13、14、15、16および17(それぞれ順にCI−10、CI−11、CI−12、CI−13、CI−14、CI−15、CI−16、CI−17を含むと推定される)の各フラクションを、同598K株についてはこれらのピークの他、ピーク7、8、および9(それぞれ順にCI−7、CI−8、CI−9を含むと推定される。)の各フラクションを集めて、ロータリーエバポレーターで濃縮し、次いで凍結乾燥して、各フラクションに含まれるオリゴ糖を得た。
こうして得られたオリゴ糖がCIであるかどうかを確認するため、13C NMRにより構造を解析した。
具体的には、各オリゴ糖を、1〜1.5mg/0.6mLの濃度のオリゴ糖溶液になるように重水(DO)(アルドリッチ社製)に溶かし、指標として0.025%3−(trimethylsilyl)−1−propanesulphonic acid(DSS)を加え、600MHzのNMR装置(DRX600)(Bruker社製)により298Kで、完全でカップリングの条件で13C一次元スペクトルを測定した。
対照として、Bacillus sp. 350K株(特許文献2参照)が生産するCI−10について、同じ条件で13C NMRにより解析した。尚、この350K株が生産するCI−10については、既に構造解析がなされ、その結果、10個のグルコースがα−1,6結合で環状に結合した構造をしていることが明らかとなっている。
パエニバチルス・エスピー591K株および同598K株の13C NMRの結果を、それぞれ図7および図8に示す。
図7に示すように、パエニバチルス・エスピー591K株が生産するオリゴ糖のうち、ピーク10、11、12、13、14、15、および16の各フラクションに含まれるものに含まれるものについては、対照であるCI−10と全く同様のα−1,6結合のグルコースを示すシグナルのみ現れた。
また、図8に示すように、パエニバチルス・エスピー598K株が生産するオリゴ糖のうち、ピーク7、8、9、10、11、12、13、14、15、および16の各フラクションに含まれるものについては、対照であるCI−10と全く同様のα−1,6結合のグルコースを示すシグナルのみ現れた。
以上の結果から、パエニバチルス・エスピー591K株および同598K株が生産するオリゴ糖は、グルコース分子がα−1,6結合により結合した環状オリゴ糖、すなわちサイクロデキストランであることが明らかになった。
次に、前記実施例3で得られた各オリゴ糖の質量分析を行った。
各オリゴ糖の凍結乾燥標品それぞれ0.1mg以下をメタノール/HO/酢酸=49/49/2の割合に溶解し、ブルカー・ダルトニクス社製ApexII 70eを用いてSEM法で質量分析を行った。
パエニバチルス・エスピー591K株が生産するオリゴ糖のうち、ピーク10、11、12、13、14、および15の各フラクションに含まれるものの質量分析の結果を図9〜11に、598K株が生産するオリゴ糖のうち、ピーク7、8、9、10、11、12、13、14、15、16および17の各フラクションに含まれるものの質量分析の結果を図12〜17に示す。
サイクロデキストランは、同じグルコース分子よりなる直鎖のイソマルトオリゴ糖よりもHO分子が1分子少ないことから、それぞれのサイクロデキストランの分子量は、CI−7が1134、CI−8が1296、CI−9が1458、CI−10が1620、CI−11が1782、CI−12が1944、CI−13が2106、CI−14が2268、CI−15が2430、CI−16が2592、CI−17が2754と計算される。
質量分析の結果、分子量の小さいピーク(591K株についてはピーク10および11の、598K株についてはピーク7、8、9、10および11)の各フラクションに含まれるオリゴ糖は、1価イオン[M+H](分子量より水素1分子が多い値を示す)が観察された。一方、分子量の大きい(591K株についてはピーク12、13、14および15の、598K株についてはピーク12、13、14、15および16)に含まれる各オリゴ糖については、1価イオンは観察されなかったが、2価イオン[M+2H](分子量より水素2分子が多い値の半分の値を示す)が観察された。598K株のピーク17については、1価のイオンは観察されなかったが、2価のNaイオン[M+2Na](分子量よりナトリウム2分子が多い値の半分の値を示す)が観察された。
これらを踏まえると、図9〜17から明らかなように、いずれの菌株においてもピーク7、8、9、10、11、12、13、14、15、16および17の各フラクションに含まれる各オリゴ糖の質量分析による推定分子量は、ピーク7がCI−7、ピーク8がCI−8、ピーク9がCI−9、ピーク10がCI−10、ピーク11がCI−11、ピーク12がCI−12、ピーク13がCI−13、ピーク14がCI−14、ピーク15がCI−15、ピーク16がCI−16、ピーク17がCI−17の分子量に一致した。
前記実施例3の13C NMR分析、および前記実施例4の質量分析の結果、パエニバチルス・エスピー591K株が生産するピーク10、11、12、13、14、15、および16の各フラクションに含まれるオリゴ糖、および同598K株が原料のデキストランより生産するピーク7、8、9、10、11、12、13、14、15、16および17の各フラクションに含まれるオリゴ糖は、すべてグルコースがα−1,6結合で環状に結合した環状イソマルトオリゴ糖、すなわちサイクロデキストランであり、それらの分子式は下記のように示されることが判明した。
ピーク7 : C427035
ピーク8 : C488040
ピーク9 : C549045
ピーク10: C6010050
ピーク11: C6611055
ピーク12: C7212060
ピーク13: C7813065
ピーク14: C8414070
ピーク15: C9015075
ピーク16: C9616080
ピーク17: C10217085
尚、パエニバチルス・エスピー591K株、同598K株が生産するHBDaseによって分解されないオリゴ糖は、直鎖構造ではなく(HBDaseは全ての直鎖オリゴ糖を分解する)、α−1,6グルカン(デキストラン)から合成される極めて水溶性の高いオリゴ糖であるという観点から、サイクロデキストランであると考えられるので、13C NMR分析および上記の質量分析を行っていないピーク(すなわち、598K株の場合はピーク5および6、ならびに各フラクションもサイクロデキストランであると推定できる。
以上の結果から、パエニバチルス・エスピー591K株はCI−7からCI−33超のサイクロデキストラン、すなわち既知のサイクロデキストラン(CI−7〜CI−12)および新規高分子サイクロデキストラン(CI−13以上)を生産する能力を有すること、および、パエニバチルス・エスピー598K株はCI−5からCI−23超のサイクロデキストラン、すなわち、新規低分子サイクロデキストラン(CI−5、CI−6)、既知のサイクロデキストラン(CI−7〜CI−12)、および新規高分子サイクロデキストラン(CI−13以上)を生産する能力を有する、新規のパエニバチルス属菌株であることが明らかになった。
本実施例5では、パエニバチルス・エスピー591K株および同598K株と、既知のサイクロデキストラン生産菌バチルス・サーキュランスT−3040株(特許文献1)およびバチルス・エスピー330K株(特許文献2)との間で、生育および既存のサイクロデキストラン(既知のサイクロデキストラン(CI−7〜CI−12))の生産性の比較を行った。
まず、各菌株の生育の比較を行った。
実施例1の(1)において取得した保存菌株、すなわち、パエニバチルス・エスピー591K株、同598K株の各保存菌株の1白金耳を、それぞれ1リットル中にブルーデキストラン(ファルマシア社製)2g、酵母エキス(バクト社製)5g、トリプトン(バクト社製)10g、NaCl 10g、寒天(バクト社製)15gを含み、pHを7.0に調整した平板培地に塗抹して30℃で1晩から3日間培養した。
一方、バチルス・サーキュランスT−3040株、バチルス・エスピー330K株の各保存培地より、1白金耳を採取し、同様に培養した。
平板に生育したコロニーの中から、ブルーデキストランの分解によるハローを形成しているコロニーをそれぞれの菌株につき1つ採り、1リットル中にデキストランT−40(ファルマシア社製)20g、酵母エキス(バクト社製)5g、トリプトン(バクト社製)10g、NaCl 10gを含み、pHを7.0に調整した液体培地5mLに白金耳で塗抹して30℃で2日間振盪培養し、これを前培養とした。
50mLの上記の組成の新しい培地に前培養を1%接種し、30℃で4日間振盪培養した。1日毎に少量をサンプリングし、分光光度計で600nmの吸光度を測定した。各菌株の増殖曲線を図18に示す。
図18から明らかなように、パエニバチルス・エスピー591K株の増殖は、バチルス・サーキュランスT−3040株、バチルス・エスピー330K株と同等のレベルであったが、パエニバチルス・エスピー598K株の増殖は良好で、定常期の吸光度は他の株の2倍以上であった。
次に、各菌株のサイクロデキストラン生産性の比較を行った。
さらに、上記の各培養液を培養1日後および2日後にサンプリングし、各サンプルについて100℃で10分間加熱後冷却し、遠心して沈殿を取り除いた。上清にHBDaseを加えて最終濃度20mM酢酸ナトリウム(pH5.5)とし、30℃で1晩直鎖オリゴ糖およびデキストランの分解反応を行った後100℃で10分間加熱し、遠心し、沈殿を取り除いた。上清に最終濃度50%アセトニトリルで、サンプリングした培養液から4倍希釈になるように調整した後遠心してゴミを取り除き、高速液体クロマトグラフLC−10ADVP(島津社製)とAmide−80カラム(4.6mm×25cm)(東ソー社製)を用いて55%アセトニトリルにより流速1mL/分で分離し、噴霧蒸発光散乱検出器ELSD−LT(島津社製)および分析ソフトウェアCLASS−VP(島津社製)を用いて分析し、HBDaseによって分解されないオリゴ糖のピークを検出した。
図19に、各菌株における培養1日後と2日後のサイクロデキストランCI−7,CI−8,CI−9,CI−10,CI−11,CI−12の生産量を示す。
図19から明らかなように、バチルス・サーキュランスT−3040株は培養1日後ではほとんどCIを生産しないのに比べ、パエニバチルス・エスピー598K株は著量のCIを生産した。また、598K株は、培養2日後でも抗齲蝕能が強いCI−7や包接能が強いCI−10の生産量はT−3040株よりも勝っていた。
一方、パエニバチルス・エスピー591K株は、高分子サイクロデキストラン生産株であるバチルス・エスピー330K株よりも、高分子サイクロデキストラン(CI−10,CI−11およびCI−12)を多量に生産し、しかも330K株ではほとんど生産されなかった低分子サイクロデキストラン(CI−7,CI−8およびCI−9)を生産することが明らかとなった。
次に、本発明に係るサイクロデキストラン(CI)およびそれらと既知のサイクロデキストランとの混合物(CI混合物)の機能について調べた。
はじめに、抗齲蝕能について調べた。実施例3におけるCI精製法では、逆相カラムSep−Pak C−18カートリッジ(ウォーターズ社製)に通し、水で洗浄し、吸着しない直鎖のオリゴ糖またはデキストランを取り除いたのち、HPLCによって直鎖のオリゴ糖を完全に取り除くと同時に分子量分画を行ったが、本実施例6では、実施例3におけるHPLCの前段階のSep−Pak C−18カートリッジに通しただけのCI標品(極低分子から極高分子まで様々な分子量のCIが混じった全CI混合物。ごくわずかの直鎖のオリゴ糖も含まれる。)を凍結乾燥したものについて、ストレプトコッカス・ミュータンス菌由来のグルコシルトランスフェラーゼ(GTF)阻害効果について調べた。
また、この凍結乾燥標品を、さらに高速液体クロマトグラフLC−10ADVP(島津社製)とAmide−80カラム(21.5mm×300mm)(東ソー社製)を用いて55%アセトニトリルで流速6mL/分で分画し、CI−7より前に溶出する画分(CI−7>CI混合物)、CI−12より後に溶出する画分(CI−12<CI混合物)も濃縮して同様にGTF阻害効果について調べた。
さらに、既知のサイクロデキストランCI−9〜12混合物についても、同様にGTF阻害効果を調べた。
GTF阻害試験は、以下のようにして行った。
まず、反応液200μl中に終濃度5%のスクロースを含む20mM 酢酸緩衝液(pH5.5)または20mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)にCI標品を最終濃度0.2〜1%になるように添加した。これにGTFを加え、37℃で18時間酵素反応を行った後、生じた不溶性グルカンを遠心で集めて該グルカンの量をフェノール硫酸法で全糖量を定量することにより測定した。
一方、対照として、実施例3で得られたCI−8について、同様にGTF阻害効果を調べた。
なお、ここで用いたストレプトコッカス・ミュータンス由来のGTFは、Streptococcus mutansを培養することによって得られたものである。
上記の極低分子から極高分子まで様々な分子量のCIが混じった全CI混合物、CI−7より低分子のCI−7>CI混合物、CI−12より高分子のCI−12<CI混合物、既知のサイクロデキストランCI−7〜12混合物ならびに対照としてのCI−8によるGTF阻害試験の結果を図20に示す。
図20から明らかなように、全てのCI混合物は、純品のCI−8と同様に、0.2%もしくはそれ以上の濃度で、生成するグルカンの減少が見られたことから、GTFがグルカンを合成する作用を阻害することが分かる。
このことから、CI混合物は、極低分子から極高分子まで様々な分子量のCIからなるものであっても、また、低分子CI又は高分子CIからなるものであっても、また、既知のCIのみからなるものであっても、既知のサイクロデキストランと同様に抗齲蝕性を有することが明らかである。
次に、ビクトリアブルーに対する包接試験により、本発明に係るサイクロデキストランおよびCI混合物の包接能を調べた。
すなわち、反応液50μl中に終濃度0.32mMのビクトリアブルーB(ワコー社製)、100mM リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、実施例3で得られたCI−13、CI−14、CI−15、またはCI−16を1.2mM、あるいはCI混合物0.1%または1%を加え、室温で保持して620nmにおける吸光度(A620)を測定した。
その結果、図21に示したように、CI−13、CI−14、CI−15、およびCI−16については、無添加の場合に比べてわずかな吸光度減少の抑制しか見られなかったが、CI混合物は0.1%で70分以上、1%では180分経過した後も、反応開始時に比較して60%以上の吸光度を示した。CI−10については、既にビクトリアブルーに対する包接能が報告されているが(特許文献2)、CI混合物も有効に包接物質として利用できることが明らかとなった。しかも、添加するCIの濃度を高くすることにより、ビクトリアブルーの退色を抑制する時間を長くできることから、CI混合物の濃度を変えることにより、包接する時間の調整が可能であることが分かった。
このようにCI混合物が包接能を有する理由は分からないが、CI混合物中にこれまで知られていなかった極低分子および極高分子のCIが含まれていることから、これらの中に包接能を有するCIが存在し、CI−10同様CI混合物の包接能に関与している可能性がある。
本発明により新規な低分子サイクロデキストランおよび高分子サイクロデキストランが提供される。これらのサイクロデキストランは、パエニバチルス・エスピー591K株、同598K株を培養することにより得られる。
パエニバチルス・エスピー591K株は、従来の高分子サイクロデキストラン生産株と比べてより高分子のサイクロデキストランを生産するので、本発明の新規高分子サイクロデキストランの生産に適している。
パエニバチルス・エスピー598K株は、増殖が従来のサイクロデキストラン生産菌よりも2倍ほど良好で、従来のサイクロデキストラン高生産菌の半分の培養時間で著量のサイクロデキストランを生産するサイクロデキストラン高生産菌であり、また、従来のサイクロデキストラン生産菌よりも低分子のサイクロデキストランを生産するので、本発明の新規低分子サイクロデキストランの生産に適している。また、598株は、新規高分子のサイクロデキストランの他、既知のサイクロデキストランも著量生産するので、広範囲の分子量のサイクロデキストランの生産に適している。
しかも、本発明のパエニバチルス属菌株が生産する新規低分子サイクロデキストランや、新規高分子サイクロデキストランの他、これらと既知のサイクロデキストランとの混合物は、抗齲蝕剤の有効成分として利用できる。また、このようなサイクロデキストラン混合物は、分子量分画を行わなくとも包接能を持ち、かつ等量以下の水に溶解する高い水溶性であることから、食品、医薬品、化成品などに応用できる。
CI混合物の濃度を変えることにより目的の物質を包接する時間を調節することができるが、CI混合物の高い水溶性により、このような調節が容易である。また、サイクロデキストリンよりも極めて水溶性が高いために、不溶性物質の包接による可溶化の効果がサイクロデキストリンよりも高いことが期待できる。
パエニバチルス・エスピー591K株が生産する、HBDaseで分解されないオリゴ糖を示すHPLC分析の図である。(a)は分析開始後0〜120分の結果を、(b)は同0〜15分の結果を示す。 パエニバチルス・エスピー591K株が生産する、HBDaseで分解されないオリゴ糖を示すHPLC分析の図である。(a)は分析開始後8〜25分の結果を、(b)は同20〜120分の結果を示す。 パエニバチルス・エスピー598K株が生産する、HBDaseで分解されないオリゴ糖を示すHPLC分析の図である。(a)は分析開始後0〜120分の結果を、(b)は同0〜11分の結果を示す。 パエニバチルス・エスピー598K株が生産する、HBDaseで分解されないオリゴ糖を示すHPLC分析の図である。(a)は分析開始後0〜23分の結果を、(b)は同19〜120分の結果を示す。 パエニバチルス・エスピー598K株が生産する、HBDaseで分解されないオリゴ糖のうち、リテンションタイムがCI−7と同じもの((c):ピーク7)およびこれより早いオリゴ糖((a):ピーク5、(b):ピーク6)を示すHPLC分析の図である。 (a)パエニバチルス・エスピー591K株ならびに(b)同598K株の分子系統樹を示す図である。 パエニバチルス・エスピー591K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖ピーク10、11、12、13、14、15、16および既知のサイクロデキストランCI−10について13C NMR分析した結果を示す図である。 パエニバチルス・エスピー598K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖ピーク7、8、9、10、11、12、13、14、15、16について13C NMR分析した結果を示す図である。 パエニバチルス・エスピー591K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖(a)ピーク10、(b)ピーク11について質量分析した結果を示す図である。 パエニバチルス・エスピー591K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖(a)ピーク12、(b)ピーク13について質量分析した結果を示す図である。 パエニバチルス・エスピー591K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖(a)ピーク14、(b)ピーク15について質量分析した結果を示す図である。 パエニバチルス・エスピー598K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖(a)ピーク7、(b)ピーク8について質量分析した結果を示す図である。 パエニバチルス・エスピー598K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖(a)ピーク9、(b)ピーク10について質量分析した結果を示す図である。 パエニバチルス・エスピー598K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖(a)ピーク11、(b)ピーク12について質量分析した結果を示す図である。 パエニバチルス・エスピー598K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖(a)ピーク13、(b)ピーク14について質量分析した結果を示す図である。 パエニバチルス・エスピー598K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖(a)ピーク15、(b)ピーク16について質量分析した結果を示す図である。 パエニバチルス・エスピー598K株が生産するHBDaseで分解されないオリゴ糖ピーク17について質量分析した結果を示す図である。 パエニバチルス591K株、同598K株、バチルス・サーキュランスT−3040株、バチルス・エスピー330K株の増殖曲線を示す図である。 パエニバチルス591K株、同598K株、バチルス・サーキュランスT−3040株、バチルス・エスピー330K株の培養液中のサイクロデキストラン生産量を示す図である。(a)は1日培養上清の結果を、(b)は2日培養上清の結果を示す。 (a)既知サイクロデキストランCI−8、(b)全CI混合物、(c)CI−7>CI混合物、(d)CI−12<CI混合物、及び(e)CI−7〜12混合物のそれぞれのGTF阻害作用を示した図である。 CI−13、CI−14、CI−15、およびCI−16、並びに既知サイクロデキストランと新規低分子サイクロデキストラン・新規高分子サイクロデキストランの混合物のビクトリアブルーの包接能を示した図である。

Claims (11)

  1. グルコース13〜17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなる新規高分子サイクロデキストラン。
  2. パエニバチルス属に属し、請求項1記載の新規高分子サイクロデキストラン生産能を有する微生物をデキストランを含む培地で培養し、培養物から請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランを採取することを特徴とする請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの製造方法。
  3. パエニバチルス属に属し、請求項1記載の新規高分子サイクロデキストラン生産能を有する微生物をデキストランを含む培地で培養して得た培養上清をデキストランと反応させ、得られる反応物から請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランを採取することを特徴とする請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの製造方法。
  4. パエニバチルス属に属し、請求項1記載の新規高分子サイクロデキストラン生産能を有する微生物をデキストランを含む培地で培養して得た微生物を溶菌させたものをデキストランと反応させ、得られる反応物から請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランを採取することを特徴とする請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの製造方法。
  5. グルコース13〜17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの生産能を有するパエニバチルス・エスピー598K株(FERM P−19604)。
  6. グルコース13〜16分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの生産能を有するパエニバチルス・エスピー591K株(FERM P−19603)。
  7. 微生物として、請求項5記載のパエニバチルス・エスピー598K株および/または請求項6記載のパエニバチルス・エスピー591K株を用いることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの製造方法。
  8. 請求項5記載のパエニバチルス・エスピー598K株および/または請求項6記載のパエニバチルス・エスピー591K株をデキストランを含む培地で培養し、培養物からグルコース7〜12分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランを採取することを特徴とするグルコース7〜12分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの製造方法。
  9. 請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの混合物であって、グルコース13分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース14分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース15分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース16分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン及びグルコース17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの混合物、を有効成分として含有することを特徴とする抗齲蝕剤。
  10. 請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの混合物であって、グルコース13分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース14分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース15分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース16分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン及びグルコース17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの混合物、を有効成分として含有することを特徴とする包接能を有する水溶性環状オリゴ糖組成物。
  11. 請求項1記載の新規高分子サイクロデキストランの混合物であって、グルコース13分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース14分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース15分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン、グルコース16分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストラン及びグルコース17分子がα−1,6結合により環状構造を形成してなるサイクロデキストランの混合物、を有効成分として含有することを特徴とする飲食物。
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