JP4933101B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

この発明は、スロットマシン等の遊技機に関する。
スロットマシン等の遊技機は、遊技者が所定の枚数のメダルを遊技機に投入してゲームを楽しむことができる。遊技に必要なメダルは、遊技ホール内に設けられたメダル貸機等で借りることができ、所望の遊技機のメダル投入口に投入することによりゲームを開始することができる。遊技機は、投入されたメダルを判別するとともに、その枚数を計数するためのメダルセレクタを備えている。
投入されたメダルは遊技機内部のメダルセレクタで選別される(不良メダルは返却される)とともに、投入されたメダルの枚数が計数される。この計数値がメダルの投入枚数として扱われ、この範囲内で遊技者は遊技を楽しむことができる。メダルを投入した後であっても、遊技によりクレジットを消費する前であれば投入したメダルの返却を求めることができる。返却操作のために遊技機の前面パネルにキャンセルボタンが設けられている。(図2の符号138参照)。
この種のメダルセレクタは、メダル投入口から投入されたメダルが転動する、下り傾斜したメダル通路を備えている。メダル通路の出口近傍には、メダルを計数するためのセンサ(例えばフォトインタラプタ)が設けられ、ここで投入されたメダルの枚数が計数される。現在の遊技機のメダルセレクタには2つのセンサが設けられていて、メダルの検知は2つのセンサの検出順序により行われている。投入されたメダルが所定枚数に達するとゲームを開始することができる。追加で投入されたメダルはクレジットとして扱われる。
図11はスロットマシンが備える従来のメダルセレクタの斜視図である。図12(a)及び(b)は従来のメダルセレクタの動作説明図である。図11及び図12(a)において、1はメダルセレクタ、11はこれに設けられたメダル通路、12はメダルセレクタ1のメダル出口、S1及びS2はメダル通路11に設けられたフォトインタラプタ(メダル検出のためのセンサ)である。なお、Mは投入されたメダルを示す。メダルセレクタ1の上部から投入されたメダルMは、メダル通路11に沿って落下し、途中で進行方向を斜め横に変えられ、メダル出口12から排出される。なお、大きさが異なる非正規のメダルはメダル通路の途中で落下し、メダル返却口に戻る。
メダル出口12の近傍には2つのメダル計数センサS1,S2がメダルの進行方向に沿って並んで設けられている。図12(b)はメダルMが通過したときのセンサS1,S2の出力信号のタイミングチャートを示す。手前側に設けられているセンサS1の信号の位相は、S2のそれよりも進んでいる。センサS1,S2により途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。S1,S2を2つ隣接させて設けているので、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これらに基づきメダル枚数だけでなく、メダルの逆流を検出することができる。また、メダル計数センサS1,S2をメダル入り口から遠い側に設けることにより、不正行為をやりにくくしている。
遊技者のごく一部に不正行為(いわゆるゴト行為)を行う者がいた。例えば、メダル投入口から異物を挿入し、センサを誤動作させて正規のメダルを投入することなくゲームを行おうとする者がいた。実際には、棒状の異物で2つのセンサを往復することによって、実際にメダルを入れているかのように誤認させる方法が採られているようである。例えば、図12(c)に示すように針金90の先端に板91を取り付けたものを同図の点線の経路に沿って動かすと、センサS1,S2から図12(b)と同様な波形が出力される。
不正行為としては上述のように棒状の異物90,91でこの2つのセンサS1,S2を反応させることによって、実際にメダルを入れていると誤認させる方法が採られている。センサS1,S2が上部に並んでいるため、異物90,91を戻す際にこれをセンサS1,S2の検知できないところまで下げることで逆流エラーの検出(図12(b)のS1,S2の位相が逆になったもの)を避けることが可能になってしまう。
遊技機に対する不正行為の手法も時とともに巧妙になってきている。最近報告された不正行為として、メダル投入口から不正行為用の器具を挿入し、メダルセレクタのメダル計数機能を不正に操作し誤動作させ、メダルを投入していないにもかかわらず不正に多数のクレジットを得るという手口がある。
先端に赤外線LEDなどの発光素子を2つ設けた器具を挿入し、これらをセンサS1,S2に向けて点滅させることにより電子的に図12(b)の信号を作り出し、不正なクレジットを得ているようである。不正に得たクレジットで遊技を行うことができるが、多くの場合、キャンセルボタンによりメダルの返却を受けているようである。メダルセレクタに対する不正行為の発見は遅れるケースが多く、被害の拡大が懸念されている。
このような不正行為器具を用いた不正行為への対抗策として、従来の光学式センサS1,S2に機械式センサを組み合わせたものがいくつか出願されている。上記不正行為器具は光学式センサS1,S2を騙す(誤作動させる)ことにより不正にメダルをカウントアップさせるものであって実際のメダル通過を伴わない。そこで、機械式センサで実際のメダル通過を検知したときは正常と判定し、機械式センサでメダルを検知できないとき不正行為と判定する。このようなやり方は、上記不正行為器具による不正行為の対策として有効である。機械式センサと光学式センサを組み合わせた公知技術を以下に示す。
特開平08−24434号公報「遊技機等のコイン選別装置」 不正操作を防止するためのコイン選別装置であり、コイン通路(メダル通路)に突出するように付勢され、かつ進退可能な回動部材を設けた。通路上に突出した回動部材をメダルが押しのけながら通過すると、センサが回動部材の回動を検知する。
上記特許文献1の技術は、機械式センサを用いているため、光学式センサに比べて構造が複雑になり、しかも、経年変化によりセンサの検知精度が低下するといった問題があった。
本発明は、安価に実現でき、しかも信頼性の高い光学式センサを備え、当該光学式センサでメダルの実際の動きを検知することのできる遊技機を提供することを目的とする。
この発明に係る遊技機は、メダル投入口からメダル排出口へメダルを転動させるメダル通路と、前記メダル通路のメダル排出口側に設けられてメダルを検出するメダル計数センサと、前記メダル通路に設けられて前記メダル通路における物体の移動を検知する光学式センサとを含み、前記メダル投入口から投入されたメダルを選別して送り出すメダルセレクタと、
前記メダル計数センサの出力に基づき投入されたメダルを計数する第1処理部と、
前記光学式センサの出力に基づき前記メダル通路における物体の移動方向を判定するとともに、前記第1処理部からメダルの計数結果を受け、これと前記光学式センサの出力に基づく物体の移動方向との整合性を判断する第2処理部とを備え、
前記光学式センサは、発光素子と、平面状に配列された複数の画素と、前記発光素子の光を前記メダル通路に向けて照射する光学系と、前記メダル通路における物体からの反射光を前記複数の画素に導くレンズと、前記複数の画素の出力に基づき前記物体の移動量を算出する演算部とを含み、前記複数の画素による前記メダル通路における物体の監視範囲は前記メダルよりも小さいことを特徴とするものである。
前記メダル計数センサを、前記メダル通路を転動するメダルの上部を検知する位置に設け、前記光学式センサを、前記メダル通路のメダル排出口側に、前記メダル通路を転動するメダルの略中心を検知する位置に設けるようにしてもよい。
前記第2処理部は、例えば、
前記第1処理部からのメダルの計数結果が増加を示し、かつ、前記光学式センサによる物体の移動方向が前記メダル通路におけるメダル投入口からメダル排出口へ向かう移動を示しているとき、整合性があると判定し、
前記第1処理部からのメダルの計数結果が増加を示し、かつ、前記光学式センサによる物体の移動方向が前記メダル通路におけるメダル排出口からメダル投入口へ向かう移動を示しているとき、整合性がないと判定し、
前記第1処理部からのメダルの計数結果が増加を示し、かつ、前記光学式センサにより物体の移動を検知していないとき、整合性がないと判定する。
前記第2処理部は、例えば、
前記第1処理部からのメダルの計数結果が増加を示し、かつ、前記光学式センサによる物体の移動方向が前記メダル通路におけるメダル投入口からメダル排出口への方向と垂直な方向への移動を示していないとき、整合性があると判定し、
前記第1処理部からのメダルの計数結果が増加を示し、かつ、前記光学式センサによる物体の移動方向が前記メダル通路におけるメダル投入口からメダル排出口への方向と垂直な方向への移動を示しているとき、整合性がないと判定する。
この発明は、メダル投入口からメダル排出口へメダルを転動させるメダル通路と、前記メダル通路のメダル排出口側に設けられてメダルを検出するメダル計数センサと、前記メダル通路に設けられて前記メダル通路における物体の移動を検知する光学式センサと、前記メダル通路で詰まったメダルを排出するためのブロッカーとを含み、前記メダル投入口から投入されたメダルを選別して送り出すメダルセレクタと、前記ブロッカーで排出されたメダルを検出する返却検出センサとを備える遊技機における不正行為の検知方法であって、
前記メダル計数センサの出力に基づきメダルを計数するステップと、
前記光学式センサの出力に基づき前記メダル通路における物体の移動方向を判定するステップと、
前記メダルの計数結果と前記光学式センサによる物体の移動方向との整合性を判断するステップと、
整合性がないと判断したときに前記ブロッカーによりメダルを排出するステップと、
前記返却検出センサの出力を監視するステップと、
前記ブロッカーによりメダルを排出したにもかかわらず、前記返却検出センサがメダルを検出しなかったとき、不正行為と判定するステップと、
不正行為と判定したときにエラー報知を行うステップとを備えるものである。
この発明は、上記方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
この発明に係るプログラムは、例えば、記録媒体に記録される。
媒体には、例えば、EPROMデバイス、フラッシュメモリデバイス、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、光磁気ディスク、CD(CD−ROM、Video−CDを含む)、DVD(DVD−Video、DVD−ROM、DVD−RAMを含む)、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きのRAMメモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等を含む。
媒体とは、何等かの物理的手段により情報(主にデジタルデータ、プログラム)が記録されているものであって、コンピュータ、専用プロセッサ等の処理装置に所定の機能を行わせることができるものである。
この発明によれば、光学式センサを備え、第2処理部(サブ基板)で前記光学式センサの出力に基づいて、メダルセレクタのメダル通路における物体(メダルを含む)の移動方向を判定するとともに、メダルの計数結果と前記物体の移動方向の整合性を判断するようにしたので、道具を用いた不正行為を確実に検知することができ、当該不正行為を抑止することができるようになる。光学式センサとして量産品を使用できるので、本発明は低コストで実現できる。
この発明の実施の形態に係るメダルセレクタ及びこれを備える遊技機(スロットマシン)について図面を参照して説明する。
図1は、発明の実施の形態に係る遊技機が備えるメダルセレクタの斜視図である。図1において、1はメダルセレクタ、11はこれに設けられたメダル通路、12はメダルセレクタ1のメダル出口、S1及びS2はメダル通路11に設けられたフォトインタラプタ(メダル計数センサ)、S10はメダル通路11に設けられてメダル通路11の物体(メダル通路11を転動するメダルを含む)の移動方向を検出する光学式センサである。図中、Mは投入されたメダルを示す。
メダルセレクタ1の上部のメダル投入口132から投入されたメダルMは、メダル通路11に沿って落下し、途中で進行方向を斜め横に変えられ、メダル出口12から排出される。なお、大きさが異なる非正規のメダルはメダル通路11内のガイドを外れるためその途中で落下し、メダル返却口に戻る。
メダル出口12の近傍には2つのメダル計数センサS1,S2がメダルの進行方向に沿って設けられている。これらはメダルの枚数を計数するためのものである。メダル計数センサS1、S2は、例えば、互いに対向した発光部と受光部とを有して断面コ字状に形成され、その検出光軸をメダル通路11内に上方から臨ませて位置するフォトインタラプタである。断面はコの字状でなくてもよいし、受光部だけを設けてもよい。各フォトインタラプタにより、途中で阻止されずに送られてきたメダルの通過が検出される。なお、フォトインタラプタを2つ隣接させたのは、メダル枚数を検出するだけでなく、メダルの通過が正常か否かを監視するためである。すなわち、フォトインタラプタを2つ隣接させて設けることにより、メダルの通過速度や通過方向を検出することができ、これによりメダル枚数だけでなく、逆方向の異常な動き(メダルの逆流など)を感知することができる。また、メダル計数センサS1,S2をメダル入り口から遠い側に設けることにより、不正行為をやりにくくしている。
光学式センサS10は、メダル通路11の背面に設けられている。正確に言えば、図1のS10は光学式センサの検知のための光を通すための開口を示している。当該開口(S10)はメダル計数センサS1,S2の下側に設けられている。なお、当該開口(S10)をメダル通路の途中に設けることもできる(図1の点線)。メダルは回転しながら移動しているが、そのメダルの移動方向をなるべく正確に検知できるように、転動するメダルの中心を検出する位置に光学式センサS10を配置することが好ましい。
図2は前扉を閉めた状態を示すスロットマシンの正面図、図3は前扉を180度開いた状態を示すスロットマシンの正面図を示す。
図2及び図3において、100はスロットマシンを示すもので、このスロットマシン100は、図3に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図2に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がメダルを投入するためのメダル投入口132を設け、メダル投入口132のさらに下側には、メダル投入口132から投入され、詰まってしまったメダルをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
また、前記ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートスイッチ134を設けてあり、前扉の下端部中央には、メダルの払出し口135を設けてある。スタートスイッチ134の上側にはメダル投入に代えるベットスイッチ137が設けてあり、スタートスイッチ134の左側にはキャンセルボタン138を設けてある。キャンセルボタン138を押すとメダル投入口132から投入したメダルが払出し口135に返却される。
スロットマシン本体120の内部には、図3に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のメダルを貯留して、貯留したメダルを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のメダルを貯留するホッパタンク122を備えている。
前記前扉130の裏面には、図3に示すように、メダル(コイン)セレクタ1が、前扉130の前面に設けられたメダル投入口132の裏側に取り付けられている。このメダルセレクタ1は、メダル投入口132から投入されたメダルの通過を検出しながら、当該メダルをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径メダルや、鉄又は鉄合金で作製された不正メダルを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のメダルを選別して排除するための装置である。
また、メダルセレクタ1の下側には、図3に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。メダルセレクタ1により振り分けられた正規のメダル以外のメダルは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
また、セレクタ1において、不適正と判定されたメダルは、メダル計数センサS1,S2の上流側に設けられた図示しないブロッカーにより、返却口135へメダルを排出するようになっている。セレクタ1から排出されたメダルは、導出路136を介して下皿へ戻されるようになっている。導出路136にはそこを通過するメダルを検出するための返却検出センサS30が設けられている。
スロットマシンで遊技を楽しもうとする遊技者は、まずメダル貸機(図示しない)等から遊技媒体であるメダルを借り、メダル投入装置のメダル投入口132に直接メダルを入れることができる。スロットマシンの筐体の中央部及び上部には、遊技者側に向かって臨む四角窓状の表示窓が形成されている。そして、この中央部の表示窓の中央には、三個の回転リールの図柄を見ることができる図柄表示窓が形成されている。スタートスイッチ134は回転リールの斜め下方に位置するレバーであって、遊技メダルの投入を条件に、リールユニットの駆動を開始させる。リールユニットは、ストップスイッチ140によりその駆動が停止される。リールユニットは、三個の回転リールから構成されている。そして、各回転リールは、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。このリールテープの外周面には、複数個(例えば21個)の図柄が表示されている。
図4はスロットマシンの機能ブロック図を示す。200、201はそれぞれCPU、ROM及びRAMを内蔵するメイン基板、サブ基板である。メイン基板200はメダルの投入、払い出し、リールの制御、当選処理などを行う。サブ基板201は演出表示などの処理を行う。202はスタートスイッチ134やストップスイッチ、ベットスイッチなどのスイッチからなる操作部である。203は三個の回転リールからなるリールユニットである。204はゲーム表示部131やリールの内部照明、液晶表示装置、スピーカなどを含む演出表示部である。演出表示部204により当選役や押し順の報知がなされる。メイン基板200には、メダルセレクタ1のメダル計数センサS1,S2、返却検出センサS30が接続されている。サブ基板201には、光学式センサS10が接続されている。
次に、図5及び図6を参照して、光学式センサS10について説明を加える。
光学式センサS10は、パソコンのポインティングデバイスのひとつである光学式マウスに用いられているものである。光学式マウスは、それ自身が動くものであるが、本発明の実施の形態では、光学式センサS10は固定されていて、メダル通路11を移動する物体を検知するようになっている。本発明の実施の形態は、廉価な光学式マウス用センサを使い、メダル計数センサS1、S2とは異なり、メダルそのものを画像として処理することを特徴とする。このように処理することにより、不正行為を確実に検知することができるようになる。
図5(a)は光学式センサS10の分解斜視図、同図(b)は同ブロック図、図6は光学式センサS10の動作を説明するための断面図である。
31は発光素子(LED)、32は1チップ化された光学式センサ本体(IC)、33は発光素子31の光を物体に照射するためのプリズム(光学系)と、物体から反射した光を光学式センサ本体(IC)32に導き、そこで結像させるためのレンズとが一体に形成された透明な部材(プリズム及びレンズ)、34は発光素子31、光学式センサ本体32、プリズム及びレンズ33等を取り付けるための基部(ベース)、35は発光素子31と光学式センサ本体32を取り付けるためのクリップ、36は、これが発光素子31と光学式センサ本体32をハンダ付けで固定・接続するための配線基板である。基部34は、メダル通路11の裏面に取り付けられる。基部34には開口Hが設けられていて、この部分が図1で示した符号S10(メダル通路に設けられた開口)に位置するように配置される。
図5(b)に示すように、光学式センサ本体32は、レンズ33bからの光を受ける平面状に配列された複数の画素(素子)32aと、複数の画素32aの出力に基づき画像処理行い、物体の移動方向及び移動量を算出するとともに、演算結果を外部へ出力したり外部からコマンドを受ける演算部(DSP:Digital Signal Processor)32bとを含む。
次に、図6を参照して、光学式センサS10の動作原理を説明する。
図6に示すように、発光素子31から出た光Lは、まずレンズとプリズムが一体になっている樹脂成形部材(プリズム及びレンズ)33に入り、そのプリズムの部分33aで反射を繰り返してメダル通路11の物体(メダルM)の表面に斜めに当たる。当該物体の表面で乱反射した光の一部分が、部材33のレンズの部分33bを通って光学式センサ本体32の画素32a部分に入る。
次に、光学式センサ本体32内での処理の概略について説明する。メダルなどの物体の表面には模様や凹凸がある(肉眼で模様や凹凸が無いように見えても、拡大すると不規則で微妙な明暗の差が生じている)。光学式センサ本体32の複数の画素32aでは、物体表面の拡大画像が作られている。物体が動くと当該拡大画像が動くことになるが、動きが僅かであるとその大部分は共通している。そこで、当該共通部分が一致するように移動の前後の画素を動かし、そのときの移動方向及び移動量を調べれば、物体の移動状況(移動ベクトル)がわかる。演算部32bはそのような処理を実行することで、物体の移動方向及び移動量のデータを外部へ出力する。
光学式センサ32の画素数は16×16ピクセル程度、解像度は400cpi(counts per inch)程度であるので、メダル通路11の約1mm×1mmのエリアをチェックしていることになる。すなわち、複数の画素32aによる物体の監視範囲はメダルMよりも非常に小さい。したがって、本発明の実施の形態に係る光学式センサS10では、物体の形状等を知ることができないが、不正行為検知には十分である。本発明の実施の形態で検知しようとしている物体はメダル又は不正行為用の道具であり、いずれも上記監視範囲より非常に大きく、そのどの部分も同じ動き(メダルであれば直線運動に回転運動が加わった動き、不正行為用の道具であればほぼ直線運動)をするから、その一部について移動方向等がわかれば十分で、それを物体全体の動きとして問題はない。光学式センサS10の性能をこのような限定されたものとすることで、市販のIC等をそのまま使用することができて、発明の実施の形態を非常に安価に実現することができる。
物体が速く動くと、移動の前後で共通の画像のエリアが少なくなるので、移動方向等を認識できなくなる。しかし、光学式センサ本体32の演算部32bでは、最大1500フレーム/秒程度で処理を行っているので、物体が9.5cm/秒で移動したときでもフレーム毎に1ピクセルづつしか画像が移動しない。したがって、本発明の実施の形態に係る処理を実行する上で差し支えないと考えられる(光学式センサ本体32自体では12インチ/秒(ips)までの速度において数学的に動きの方向及び大きさを決定することができる)。
なお、光学式センサ本体(IC)32は、入出力インタフェースとして一本のデータ線(DATA)と一本のクロック(CLK)を有しており、シリアル通信で外部と通信を行う。そのプロトコルは、公知のPS/2マウスのプロトコルに準じている。通信にはDATAとCLK信号線を用いるが、データの流れる方向は双方向である。通常これらの信号線はHレベルに固定されている。サブ基板201からデータを送るときには、CLK信号をLレベルにして、動作に問題がないようならば、DATAとCLK信号を利用して信号を送出する。すなわち、DATAに信号をのせて、CLK信号により、3バイト又は4バイトのデータを1ビットずつ送信する。光学式センサ本体(IC)32側が本体にデータを送出するときには、DATAをLにして、問題がないようなら信号を送出する。
光学式センサ本体(IC)32からサブ基板201へは、平面座標(X座標とY座標)のデータが送られるので、サブ基板201は、平面座標(X座標とY座標)の変化量(差分)を求めてその移動方向及び移動量を算出するだけで済む。光学式センサ本体(IC)32のX軸の正方向をメダルの移動方向(メダル通路11の方向)とし、Y軸をそれに垂直な方向とすれば、+X軸方向の移動(ΔXが正)を順方向の移動、−X軸方向の移動(ΔXが負)を逆方向の移動と定義できる。Y軸については、+Y軸方向の移動(ΔYが正)をX軸に垂直に上側(メダル計数センサS1,S2に向かう方向)への移動、−Y軸方向の移動(ΔYが負)をその逆方向の移動と定義できる。
次に、図7〜図10を参照して、本発明の実施の形態による不正行為の検知処理について説明を加える。
本発明の実施の形態は、画像処理をサブ基板201で行い、これとメイン基板200からのメダル投入情報との整合性を判断し、整合していないとき液晶表示装置による表示やスピーカからの音響で周囲に警告(エラー)を発するというものである。メダル通路11をメダルが移動しているのであれば、光学式センサS10で検知される動きは正常である(詳細は後述)が、不正行為の道具であれば動きが検知されない、又は、不自然な動きをする(詳細は後述)。本発明の実施の形態はそのような差異に着目して不正行為を検知するものである。
図7は、本発明の実施の形態に係る不正行為検出処理のフローチャートである。同図の各処理は、メイン基板(第1処理部)200又はサブ基板(第2処理部)201のCPUにより実行される。理解を助けるために、各処理の内容の先頭にどちらの基板で処理を行うかを記載している。
S1:(サブ基板)光学式センサの出力に基づきメダル通路における物体の移動方向を判定する。サブ基板201のCPUは、I/Oを通じて、光学式センサS10の本体であるIC32と通信を行い、そのXY座標のデータを取得する。このデータ取得は、例えば定期的に行われる。取得したXY座標の変化に着目することで物体の移動方向を判定することができる。なお、図1の実線で示すように、光学式センサS10がメダル計数センサS1,S2の下側に設けられているのであれば、メイン基板200からメダルの計数結果を受信したことを契機として、IC32からXY座標のデータを取得するようにしてもよい。
S2:(サブ基板)メイン基板からメダルの計数結果を受信する。
S3:(サブ基板)メダル通路における物体の移動方向とメダルの計数結果の整合性を判断する。すなわち、光学式センサS10による物体の実際の動きと、メダル計数センサS1,S2によるメダルの計数結果をつき合わせて、両者に矛盾がないかどうか判定する(整合性判定の具体例については後述する)。
S4:(サブ基板)整合性判断の結果に応じて処理を切り換える。すなわち、整合性があれば(S4でYES)、メイン基板で通常のメダル計数処理を行い(S5)、遊技処理へ戻る。しかし、整合性がなければ(S4でNO)、メダル詰まりの対策を含むエラー処理(S6〜S10)を実行する。
S5:(メイン基板)通常のメダル計数処理を行う。
S6:(メイン基板及び/又はサブ基板)ブロッカーによりメダルを排出する。光学式センサS10とメダル計数センサS1,S2の間で整合性がとれなかった場合(S4でNO)、図示しないブロッカーによりメダルを排出する。なお、ブロッカーの制御は通常はメイン基板200で行うが、当該制御をサブ基板201で行えるようにすれば(例えば、図示しないブロッカーの駆動回路への出力をオープンコレクタとし、メイン基板200の出力とサブ基板201の出力を接続する(ワイヤードオア))、サブ基板201からメイン基板200へブロッカー制御のためのコマンドを送る必要がなくなる。「メイン基板及び/又はサブ基板」という表記は、メイン基板200又はサブ基板201の少なくとも一方でブロッカーを制御するという意味である。
少なくともS1〜S4の処理を行うことにより、不正行為による利益を与えることがない、つまりクレジットの数を増やすことがなくなるので不正行為を防止することができる。また、図12(c)に示した異物による不正行為を行っても何ら利益を得ることができなくなる。なお、S1〜S4の処理によりメダル計数を行わない場合にはメダル詰まりのケースも含まれるので、S4でNOとなっても直ちに不正行為と断定することはできないが、以下に述べるS7〜の処理を行うようにすれば、不正行為を直接検出することができる。なお、S4でNOのとき、メダル詰まりのときに直ちにエラーとするようにしてもよい。この場合、S4でNOとなった直後にエラー処理を行うようにすればよい。このエラーは機器の異常を意味するもので、不正行為を意味するものではない。これに対し、S9及びS10のエラーは不正行為を意味するものである。
S7:(メイン基板及び/又はサブ基板)返却検出センサS30により排出メダルの検知を判断する。図4では、返却検出センサS30の出力がメイン基板200にのみ入力されているが、サブ基板201にも入力するようにすれば、サブ基板201でS7及びS8の処理を実行できるようになる。
S8:メダルの排出が検知されれば(S8でYES)、詰まったメダル等が正しく排出されたと考えられるので、不正行為検出処理を終了する。
メダルの排出が検知されなかったとき、具体的には排出されたメダルが所定時間(排出されたメダルが返却センサに到達する程度の時間)経過しても、返却検出センサS30によりメダルが検知されない場合(S8でNO)、エラー処理(S9、S10)を実行するようになっている。これらのエラー処理によって、光や音でエラー状態を報知したり、遊技の実行や受付を停止するようになる。
次に、図8〜図10を参照して整合性の判断について説明を加える。
メダル計数センサS1,S2による検知と光学式センサS10による検知の整合性の判断は、次のような観点から行われる。通常であれば、メダル計数センサS1,S2が1枚のメダルを検出すれば、光学式センサS10は当該メダルの動きを検出するはずである。メダルはメダル通路を転動しているから、前者のセンサがメダルを検出しているにもかかわらず、後者のセンサが当該メダルの動きを検出していないときは、何か異常な状態が生じていると判定できる(メダルが詰まった、又は不正行為が行われている)。ここで言う整合性とは上述のようなセンサ間の検出に関する不一致のことである。メダル計数センサS1,S2による検知と光学式センサS10による検知の組み合わせを図8に示し、それらのタイミングチャートを図9及び図10に示す。図8(a)及び図9はメダルの進行方向(X軸方向)に関する整合性の判定例であり、図8(b)及び図10はメダルの進行方向に垂直な方向(Y軸方向)に関する整合性の判定例である。図8(a)と(b)の処理を同時に行うか、又はいずれか一方の処理を行えばよい。
図8(a)のa1のケースは「整合性あり」の組み合わせを示す。光学式センサS10は「順方向」つまりメダル通路11をメダル出口12に向かって物体(メダル)が移動したことを検知し、かつ、メダル計数センサS1,S2がメダルを検知している。このときのタイミングチャートは図9(a)である。このような状況は、メダルが正常にメダル通路11を移動していることを意味する。
図8(b)のa2のケースは「整合性なし」の組み合わせを示す。メダル計数センサS1,S2がメダルを検知し、メダル投入枚数が増加しているにもかかわらず、光学式センサS10は「逆方向」つまりメダル通路11をメダル出口12とは反対側に向かって物体(メダル)が移動したことを検知している。このときのタイミングチャートは図9(b)である(一度順方向に移動を検出した後、逆方向への移動を検出している)。このような状況は、何らかの理由でメダルが逆流したか、又は、不正行為用の道具を引き戻した(図12(c)参照)ことを意味する。
図8(c)のa3のケースは「整合性なし」の組み合わせを示す。メダル計数センサS1,S2がメダルを検知し、メダル投入枚数が増加しているにもかかわらず、光学式センサS10は移動を検知していない。このときのタイミングチャートは図9(c)である。このような状況は通常は考えられないので、当該ケースは不正行為と断定できる(例えば、先端に赤外線LEDなどの発光素子を2つ設けた器具を挿入し、これらをセンサS1,S2に向けて点滅させるような行為)。
図8(b)のb1のケースは「整合性あり」の組み合わせを示す。光学式センサS10は、順方向に垂直な方向への物体の移動を検知していない、かつ、メダル計数センサS1,S2がメダルを検知している。このときのタイミングチャートは図10(a)である。このような状況は、メダルが正常にメダル通路11を移動していることを意味する。なお、メダルはメダル通路11を転動しているので順方向に垂直な方向への移動の成分(回転によるもの)も多少含まれるが、閾値以下の移動は無視することとする(光学式センサS10をメダルの中心を検出するように配置すれば、順方向に垂直な方向への移動量をほぼゼロにできる)。
図8(c)のb2のケースは「整合性なし」の組み合わせを示す。メダル計数センサS1,S2がメダルを検知し、メダル投入枚数が増加しているときに、光学式センサS10は、順方向に垂直な方向(特に下側)への物体の移動を検知している。このときのタイミングチャートは図10(b)である。このような状況は、不正行為用の道具を引き下げた(図12(c)参照)ことを意味する。
発明の実施の形態によれば、上記したような構成及び処理により不正行為を検知することができる。不正行為用器具を用いてメダル計数センサS1,S2を誤動作させることができても、光学式センサS10による検知とメダル計数センサS1,S2による検知の整合をとることは困難であり、不正行為者に利益を与えることを防止できる。
発明の実施の形態では、光学式センサを用いているため、機械式センサに比べて構造が簡単で、経年変化によるセンサの検知精度の低下といった問題が生じない。しかも、量産品の光学式センサを用いているため、コストをかけずに実現できる。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
発明の実施の形態に係るのメダルセレクタの斜視図である。 スロットマシンの外観を示す正面図である。 スロットマシンの前扉を開いたときの正面図である。 発明の実施の形態に係るスロットマシンの機能ブロック図である。 発明の実施の形態に係る光学式センサの分解斜視図及びブロック図である。 発明の実施の形態に係る光学式センサの断面図である。 発明の実施の形態に係る不正行為検出処理のフローチャートである。 発明の実施の形態に係る整合性判断の説明図である。 発明の実施の形態に係る整合性判断の説明図(タイミングチャート)である。 発明の実施の形態に係る整合性判断の説明図(タイミングチャート)である。 従来のメダルセレクタの斜視図である。 従来のメダル検出動作の説明図である。
符号の説明
1 メダルセレクタ
11 メダル通路
12 メダル出口
31 発光素子(LED)
32 光学式センサ本体(IC)
32a 複数の画素
32b 演算部(DSP)
33 プリズム(光学系)及びレンズ
33a プリズム(光学系)
33b レンズ
34 基部(ベース)
35 クリップ(発光素子と光学式センサ本体押さえ)
36 配線基板
90 不正行為に用いられる棒
91 不正行為に用いられる板
100 スロットマシン
120 スロットマシン本体
121 ホッパ装置
122 ホッパタンク
130 前扉
131 ゲーム表示部
132 メダル投入口
133 リジェクトボタン
134 スタートボタン
135 払出し口
136 導出路
200 メイン基板(第1処理部)
201 サブ基板(第2処理部)
202 操作部
203 リールユニット
204 演出表示部
S1,S2 メダル計数センサ(フォトインタラプタ)
S10 光学式センサ
S30 返却検出センサ

Claims (2)

  1. メダル投入口からメダル排出口へメダルを転動させるメダル通路と、前記メダル通路のメダル排出口側に設けられてメダルを検出するメダル計数センサと、前記メダル通路に設けられて前記メダル通路における物体の移動を検知する光学式センサとを含み、前記メダル投入口から投入されたメダルを選別して送り出すメダルセレクタと、
    前記メダル計数センサの出力に基づき投入されたメダルを計数する第1処理部と、
    前記光学式センサの出力に基づき前記メダル通路における物体の移動方向及び移動量を判定するとともに、前記第1処理部からメダルの計数結果を受け、これと前記光学式センサの出力に基づく物体の移動方向との整合性を判断する第2処理部とを備え、
    前記光学式センサは、
    前記メダル通路における物体からの反射光を受ける複数の画素の出力に基づき前記物体の移動方向及び移動量を検出するものであり、前記複数の画素による前記メダル通路における物体の監視範囲は前記メダルよりも小さく、
    回転しながら移動するメダルの移動方向を正確に検知できるように、前記メダル通路を転動するメダルの略中心を検知する位置に設けられ,
    前記第2処理部は、
    前記第1処理部からのメダルの計数結果が増加を示し、かつ、前記光学式センサによる物体の移動方向が前記メダル通路におけるメダル投入口からメダル排出口へ向かう移動を示しているとき、整合性があると判定し、
    前記第1処理部からのメダルの計数結果が増加を示し、かつ、前記光学式センサによる物体の移動方向が前記メダル通路におけるメダル排出口からメダル投入口へ向かう移動を示しているとき、整合性がないと判定し、
    前記第1処理部からのメダルの計数結果が増加を示し、かつ、前記光学式センサによる物体の移動量が予め定められた閾値以下であり物体の移動を検知していないとき、整合性がないと判定する、ことを特徴とする遊技機。
  2. メダル投入口からメダル排出口へメダルを転動させるメダル通路と、前記メダル通路のメダル排出口側に設けられてメダルを検出するメダル計数センサと、前記メダル通路に設けられて前記メダル通路における物体の移動を検知する光学式センサとを含み、前記メダル投入口から投入されたメダルを選別して送り出すメダルセレクタと、
    前記メダル計数センサの出力に基づき投入されたメダルを計数する第1処理部と、
    前記光学式センサの出力に基づき前記メダル通路における物体の移動方向及び移動量を判定するとともに、前記第1処理部からメダルの計数結果を受け、これと前記光学式センサの出力に基づく物体の移動方向との整合性を判断する第2処理部とを備え、
    前記光学式センサは、
    前記メダル通路における物体からの反射光を受ける複数の画素の出力に基づき前記物体の移動方向及び移動量を検出するものであり、前記複数の画素による前記メダル通路における物体の監視範囲は前記メダルよりも小さく、
    回転しながら移動するメダルの移動方向を正確に検知できるように、前記メダル通路を転動するメダルの略中心を検知する位置に設けられ,
    前記第2処理部は、
    前記第1処理部からのメダルの計数結果が増加を示し、かつ、前記光学式センサによる物体の移動量が予め定められた閾値以下であり前記メダル通路におけるメダル投入口からメダル排出口への方向と垂直な方向への移動を示していないとき、整合性があると判定し、
    前記第1処理部からのメダルの計数結果が増加を示し、かつ、前記光学式センサによる物体の移動方向が前記メダル通路におけるメダル投入口からメダル排出口への方向と垂直な方向への移動を示しているとき、整合性がないと判定する、ことを特徴とする遊技機。
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