JP4931331B2 - 非水系電解液二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は非水系電解液二次電池に係り、詳しくは、リチウムを吸蔵・放出することが可能な負極及び正極と、セパレータと、非水系溶媒及びリチウム塩を含有する非水系電解液とを備えてなる非水系電解液二次電池であって、高容量でサイクル特性に優れた非水系電解液二次電池に関する。
電気製品の軽量化、小型化に伴ない高いエネルギー密度を持ち、且つ軽量な非水系電解液二次電池であるリチウム二次電池が広い分野で使用されている。リチウム二次電池は、通常、コバルト酸リチウムに代表されるリチウム化合物などの正極活物質を含有する活物質層を集電体上に形成させた正極と、黒鉛などに代表されるリチウムの吸蔵・放出が可能な炭素材料などの負極活物質を含有する活物質層を集電体上に形成させた負極と、LiPF等のリチウム塩等の電解質を通常非プロトン性の非水系溶媒に溶解した非水系電解液と、高分子多孔質膜からなるセパレータとから主として構成される。
このような二次電池において、電池容量等の電池性能の向上のために電極活物質の充填密度を上げることが有効であることが知られており、例えば、特許文献1には、鱗片状黒鉛などの負極活物質をメカノケミカル作用により角を取ることによって、活物質をより高密度で充填して高容量化を図ることが記載されている。また、特許文献2には、二次粒子が球状ないし楕円状のニッケルコバルト酸リチウム正極活物質粒子で重負荷特性及び低温高率放電特性を向上させることが記載されている。
なお、リチウム二次電池で使用されるセパレータには、両極間のイオン伝導を妨げないこと、電解液を保持できること、電解液に対して耐性を有すること、などの要件を満たすことが求められ、主としてポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる高分子多孔質膜が用いられている。従来、これらの高分子多孔質膜を製造する方法としては、例えば以下の手法が公知技術として知られている。
(1) 高分子材料に後工程で容易に抽出除去可能な可塑剤を加えて成形を行い、その後可塑剤を適当な溶媒で除去して多孔化する抽出法(特許文献3)。
(2) 結晶性高分子材料を成形した後、構造的に弱い非晶部分を選択的に延伸して微細孔を形成する延伸法(特許文献4)。
(3) 高分子材料に充填剤を加えて成形を行い、その後の延伸操作により高分子材料と充填剤との界面を剥離させて微細孔を形成する界面剥離法(特許文献5)。
しかしながら(1)の抽出法は、大量の廃液を処理する必要があり、環境・経済性の両面において問題がある。また抽出工程で発生する膜の収縮のために均等な膜を得ることが難しく、歩留まりなど生産性においても問題がある。(2)の延伸法は、延伸前の結晶相・非晶相の構造制御により孔径分布を制御するために、長時間の熱処理が必要であり、生産性の面で問題がある。
これに対して、(3)の界面剥離法は、廃液の発生などはなく、環境・経済性の両面において優れた方法である。また、高分子材料と充填剤との界面は延伸操作により容易に剥離することができるため、熱処理などの前処理を必要とせずに多孔質膜を得ることができ、生産性の面でも優れた手法である。
しかし、従来、充填剤を含有したセパレータは、表面に突出した充填剤の存在により電極との密着性が悪く、電極間距離の不均一による電極間抵抗の不均一を生じてリチウムデンドライトなどの発生が生じ易く、安全性に劣ると考えるのが常識的であり、このために、上記(3)の方法で製造された充填材を含むセパレータが実用化された例はなかった。
前述の特許文献1では、第[0048]段落において、単にセパレータと記述されているのみであり、特許文献2でもセパレータとしては、その第[0041]段落において、ポリプロピレン製、ポリエチレン製又はコポリマー製の微孔性フィルムや不織布と記載されているのみである。これらの微孔性ポリオレフィンセパレータは、一般に、上記(1)の抽出法か上記(2)の延伸法によって工業的に製造される。しかも、特許文献1,2では、前述のような特定の活物質を使用する場合のセパレータの影響について何ら触れられていない。
特開平10−330107号公報 特開平11−288716号公報 特開平7−029563号公報 特開平7−304110号公報 特開2002−201298号公報
しかしながら、活物質を高密度充填すればするほど、充放電に伴うリチウムの吸蔵及び放出の電池反応が活発になり、これに付随した副反応の弊害も増大する。この副反応とは、電解液及び電極合剤組成物(活物質及びバインダーに、更に導電剤等を必要に応じて含有するもの)が電気化学的に分解して有機物及び無機物が生成する反応であり、この副反応生成物が電極表面からセパレータの表面或いは内部の孔に堆積することで、目詰まりを起こしてリチウムイオンの拡散を低下させ、この結果、電池内部抵抗が上昇し、サイクル特性が低下しやすかった。また、充放電反応に伴う活物質の膨張収縮運動の繰り返し作用により、セパレータから電解液が押し出され、電池素子内で電解液が偏在する結果、サイクル特性が低下する問題もあった。更に、副反応生成物が電極表面とセパレータ表面との接着作用を持つようになるため、充放電反応に伴う活物質の膨張収縮運動の繰り返し作用が電極合剤層内の粒子間結合を低下させ、これによっても電池内部抵抗が上昇し、サイクル特性が低下しやすかった。
従って、本発明は、アスペクト比が小さい粒子状活物質を用いて活物質を高密度充填した高容量の二次電池のサイクル特性を向上させることを目的とする。
本発明者等は鋭意検討した結果、アスペクト比が小さい粒子状活物質を用いる非水系電解液二次電池において、無機充填剤を含有する熱可塑性樹脂よりなる多孔質膜をセパレータとして組合せることで、サイクル特性を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、リチウムを吸蔵・放出することが可能な負極及び正極と、セパレータと、非水系溶媒及びリチウム塩を含有する非水系電解液とを備えてなる非水系電解液二次電池において、該セパレータが、無機充填剤を含有する熱可塑性樹脂よりなる多孔質膜を有し、該多孔質膜中の該無機充填剤の配合量が熱可塑性樹脂100重量部に対して40重量部以上300重量部以下であり、且つ、厚みが5μm以上100μm以下、空孔率が30%以上80%以下、ASTM F316−86により定められる平均孔径が0.05μm以上10μm以下、JIS P8117により定められるガーレー透気度が20秒/100cc以上700秒/100cc以下、平均保液量変化率が15%/分以下であり、前記正極に含まれる活物質が2次元アスペクト比1.02以上3以下の粒子状活物質であり、前記負極に含まれる活物質が2次元アスペクト比1.02以上3以下の粒子状活物質であることを特徴とする非水系電解液二次電池に存する(請求項1)。
本発明の別の要旨は、リチウムを吸蔵・放出することが可能な負極及び正極と、セパレータと、非水系溶媒及びリチウム塩を含有する非水系電解液とを備えてなる非水系電解液二次電池において、該セパレータが、無機充填剤を含有する熱可塑性樹脂よりなる多孔質膜を有し、該多孔質膜中の該無機充填剤の配合量が熱可塑性樹脂100重量部に対して40重量部以上300重量部以下であり、且つ、厚みが5μm以上100μm以下、空孔率が30%以上80%以下、ASTM F316−86により定められる平均孔径が0.05μm以上10μm以下、JIS P8117により定められるガーレー透気度が20秒/100cc以上700秒/100cc以下、平均保液量変化率が15%/分以下であり、前記正極に含まれる活物質が3次元アスペクト比1.02以上3以下の粒子状活物質であり、前記負極に含まれる活物質が3次元アスペクト比1.02以上3以下の粒子状活物質であることを特徴とする非水系電解液二次電池(請求項)に存する。
本発明において、アスペクト比が小さい粒子状活物質を用いた二次電池に対して、特定のセパレータを組み合わせることによるサイクル特性向上の作用機構の詳細は明らかではないが、次のように推定される。
即ち、前述の如く、アスペクト比が小さい粒子状活物質を用いた二次電池においてサイクル特性が低下する原因は、アスペクト比が小さい粒子状活物質を高密度充填することにより発生した副反応生成物によるセパレータの孔の目詰まり、並びに、活物質の膨張収縮に起因する電解液の偏在及び電池内部抵抗の上昇と考えられる。
一方で、特許文献1では、セパレータについて全く検討されておらず、また、特許文献2では、セパレータとして抽出法や延伸法で得られる微孔性フィルムを用いているが、このような成膜法では、後述するように孔径を大きくすることが難しく、副反応生成物による目詰まりを起こしやすい。また、保液量の変化速度が大きく、電解液をセパレータ中に保持する能力も低い。更に、表面が平滑であるため副反応生成物による電極表面とセパレータ表面との接着を起こしやすく、充放電反応に伴う活物質の膨張収縮運動の繰り返し作用によって電極合剤層内の粒子間結合を低下させ、電池内部抵抗が上昇し、サイクル特性が低下しやすかった。
これに対して、本発明において用いられる無機充填剤を含有したセパレータは、抽出法や延伸法で得られるものに比べて容易に孔径を充分に大きくすることができ、副反応生成物による目詰まりを起こしにくい。また、保液性も良好であるため、電解液の偏在を防止することができる。
本発明で用いるセパレータが保液性に優れる理由としては次のことが考えられる。即ち、セパレータ中の電解液の移動は微細な孔中を液が浸透していくいわゆる毛細管流動ととらえることができる。毛細管流動では孔径が小さいほど浸透距離が大きくなるので液が浸透しやすいと考えられるが、逆に外圧などにより液が外に出るときはこの浸透し易さのため保液性が低くなるものと考えられる。本発明で用いる充填剤を含有するセパレータは、前記(1),(2)の方法で製造される、特許文献2で用いられるようなセパレータに比較して、孔径が大きく液の浸透性においては若干劣るが、いったん浸透した後は液が移動しにくいため液が膜中に保持されやすいものと考えられる。また、充填剤を含有していることにより、セパレータ全体の誘電率が増大するため、極性溶媒である電解液との相互作用により充填剤と電解液との化学的な親和性が向上し、このことがセパレータにおける電解液の保持能力を高める効果を奏することも考えられる。さらには、本発明で用いるセパレータは、充填剤の存在により形成されるセパレータ表面の凹凸により、電池内において、極板とセパレータ間に隙間を形成するため、この隙間にさらに多くの電解液を保持することが可能であり、これによっても電解液の偏在及び欠乏が防止されるものと考えられる。
しかも、本発明で用いるセパレータは、表面にその一部が露出した無機充填剤の効果から、副反応生成物の接着作用が緩和され、充放電反応に伴う活物質の膨張収縮運動の繰り返し作用による電極合剤層内の粒子間結合の低下を防いで、抵抗の増加を防止することができ、このこともサイクル特性の向上に効果があるものと考えられる。
以上のように、本発明では、孔径が大きく、保液性が極めて良好で、かつ表面に無機充填剤による凹凸が形成された特定のセパレータを用いることにより、アスペクト比が小さい粒子状活物質を高密度充填した二次電池において、副反応生成物によるセパレータの目詰まり、電池素子内の電解液の欠乏状態、活物質層内の粒子間結合の低下を有効に防止し、サイクル特性の低下を抑制する。
なお、前述の如く、充填剤を含有したセパレータは、表面に突出した充填剤の存在により電極との密着性が悪く電極間距離の不均一による電極間抵抗の不均一を生じてリチウムデンドライトなどの発生が生じ易く、安全性に劣ると考えられ、実用化された例はなく、特許文献2においても、このような充填剤を含まない微孔性フィルムをセパレータとして用いているが、このような微孔性フィルムよりなるセパレータでは、本発明におけるセパレータの有するような物性を達成することができず、本発明の効果を得ることができない。
本発明においては、アスペクト比が小さい粒子状活物質を用いた二次電池に対して、従来使用されていない特定のセパレータを組み合わせることにより、上述の作用機構で優れた効果を得ることができる。
本発明(請求項1)において、上記正極活物質の2次元アスペクト比は1.02〜2.2であることが好ましい(請求項
また、本発明において、上記負極活物質は、タップ密度0.7g/cm以上であり(請求項)、炭素材料であることが好ましい(請求項)。
また、上記正極活物質は、タップ密度1.4g/cm以上であり(請求項)、リチウム遷移金属複合酸化物であることが好ましい(請求項)。
また、上記リチウム塩は含フッ素リチウム塩であり、上記非水系溶媒は環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含有することが好ましい(請求項10)。
本発明によれば、アスペクト比が小さい粒子状活物質を用いたリチウム二次電池のサイクル特性を向上させることができる。このため、アスペクト比が小さい粒子状活物質を高密度充填して高容量化を図った上で、サイクル特性も良好な非水系電解液二次電池を実現することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の非水系電解液二次電池は、リチウムを吸蔵・放出することが可能な負極及び正極と、以下に詳述する特定のセパレータと、非水系溶媒と、リチウム塩を含有する非水系電解液とを備え、正極及び/又は負極の活物質として特定のアスペクト比が小さい粒子状活物質を用いたものである。
[セパレータ]
<セパレータの構成成分及び物性等>
本発明のセパレータを構成する多孔質膜の基材樹脂としての熱可塑性樹脂は、後述する無機充填剤が均等に分散されうるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。上記ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂は1種を単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。
これらの中でも、耐熱性、耐溶剤性、可撓性のバランスに優れていることから、特に好ましいのはポリオレフィン樹脂である。ポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン又は1−デセン等のモノオレフィン重合体や、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン又は1−デセンと4−メチル−1−ペンテン又は酢酸ビニル等の他のモノマーとの共重合体等を主成分とするものが挙げられ、具体的には、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、結晶性エチレン−プロピレンブロック共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。本発明においては、上記ポリオレフィン樹脂の中でもポリエチレン又はポリプロピレンを用いるのが好ましい。
このような熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、下限が通常5万以上、中でも10万以上、上限が通常50万以下、好ましくは40万以下、さらに好ましくは30万以下、中でも20万以下程度であれば良い。この上限を超えると、充填剤添加による流動性の低下に加えて樹脂の溶融粘度が高くなるため溶融成形が困難となる。また、成形物が得られた場合であっても、充填剤が樹脂中に均等に分散されず、界面剥離による孔形成が不均一となるため、好ましくない。この下限を下回ると、機械的強度が低下するため好ましくない。
本発明に係る高分子多孔質膜に含まれる無機充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、マイカ、カオリン、シリカ、ハイドロタルサイト、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、ゼオライト、ガラス粉等が挙げられ、中でも、リチウム二次電池で用いられるカーボネート系有機電解液を分解しないことから、特に硫酸バリウム、アルミナが好適である。
無機充填剤の粒径としては、数基準平均粒径の下限が、通常0.01μm以上、好ましくは0.1μm以上、中でも0.2μm以上であり、上限は通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下、中でも1μm以下であることが好ましい。無機充填剤の数基準平均粒径が10μmを超えると、孔径が大きくなりすぎて電解液の浸透性が悪くなるため好ましくない。また延伸で形成される孔の径が大きくなりすぎと延伸破断やフィルム強度の低下を招きやすい。また、数基準平均粒径が10μmを超えるとセパレータ表面の粒子個数が少なくなりすぎて極板とセパレータの接着防止や隙間形成が充分になされず好ましくない。数基準平均粒径が0.01μmより小さいと充填剤が凝集し易くなるため、基材樹脂に均等に充填剤を分散させることが難しくなりやすい。また仮に均等に分散できても延伸で形成される孔の径が小さすぎるため前述の(1)抽出法、(2)延伸法の孔径と大差がなくなり、目詰まりがしやすくなり、また保液性が充分に高まらず好ましくない。また、粒径が小さすぎるため極板とセパレータの接着防止や隙間形成が充分になされず好ましくない。
本発明においては、上記条件に適合する無機充填剤であれば1種を単独で用いることもでき、2種以上を混合して用いることもできる。
本発明に係る高分子多孔質膜中の上記無機充填剤の配合量は、下限が熱可塑性樹脂100重量部に対して通常40重量部以上、好ましくは50重量部以上、中でも60重量部以上、より好ましくは100重量部以上であり、上限が熱可塑性樹脂100重量部に対して通常300重量部以下、好ましくは200重量部以下、より好ましくは150重量部以下である。高分子多孔質膜中の熱可塑性樹脂100重量部に対する無機充填剤の配合量が40重量部未満であると連通孔を形成することが難しく、セパレータとしての機能を発現することが困難となる。また、300重量部を超えるとフィルム成形時の粘度が高くなり加工性に劣るばかりでなく、多孔化のための延伸時にフィルム破断を生じるため好ましくない。なお、本発明においては、多孔質膜の作製の際に配合した充填剤は、実質的に成形された多孔質膜中に残るため、上記の充填剤の配合量範囲は、多孔質膜中の充填剤含有量範囲となる。
無機充填剤としては、熱可塑性樹脂への分散性を高めるために表面処理剤により表面処理されているものを用いることもできる。この表面処理としては、熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂の場合、例えばステアリン酸等の脂肪酸又はその金属塩、或いはポリシロキサンやシランカップリング剤による処理が挙げられる。
本発明に係る高分子多孔質膜の成形時には、前記熱可塑性樹脂との相溶性を有する低分子量化合物を添加しても良い。この低分子量化合物は熱可塑性樹脂の分子間に入り込み、分子間の相互作用を低下させると共に結晶化を阻害し、その結果、シート成形時の樹脂組成物の延伸性を向上させる。また、低分子量化合物は熱可塑性樹脂と無機充填剤との界面接着力を適度に高めて、延伸による孔の粗大化を防止する作用を奏すると共に、熱可塑性樹脂と無機充填剤との界面接着力を高めることでフィルムからの無機充填剤の脱落を防止する作用を奏する。
この低分子量化合物としては分子量200〜3000のものが好適に用いられる。この低分子量化合物の分子量が3000を超えると低分子量化合物が熱可塑性樹脂の分子間に入りにくくなるため、延伸性の向上効果が不充分となる。また、分子量が200未満では、相溶性は上がるが、低分子量化合物が高分子多孔質膜表面に析出する、いわゆるブルーミングが起こりやすくなり、膜性状の悪化やブロッキングを起こしやすくなり好ましくない。
低分子量化合物としては、熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂の場合、脂肪族炭化水素又はグリセライドなどが好ましく使われる。特に、ポリオレフィン樹脂がポリエチレンの場合は、流動パラフィンや低融点ワックスが好ましく用いられる。
本発明に係る高分子多孔質膜の成膜材料としての樹脂組成物における、上記低分子量化合物の配合量は、下限が熱可塑性樹脂100重量部に対し通常1重量部以上、好ましくは5重量部以上であり、上限が熱可塑性樹脂100重量部に対し通常20重量部以下、好ましくは15重量部以下である。低分子量化合物の配合量が熱可塑性樹脂100重量部に対して1重量部未満であると、低分子量化合物を配合することによる上記効果が十分に得られず、また20重量部を超えると熱可塑性樹脂の分子間の相互作用を低下させ過ぎて、十分な強度が得られなくなる。また、シート成形時に発煙が生じたり、スクリュー部分での滑りが生じて、安定なシート成形が難しくなる。
本発明に係る高分子多孔質膜の成膜材料としての樹脂組成物には、さらに必要に応じて熱安定剤等の他の添加剤を添加することができる。上記添加剤としては、公知のものであれば特に制限されず用いられる。これらの添加剤の配合量は、樹脂組成物の全量に対して、通常0.05〜1重量%である。
本発明に係る高分子多孔質膜の多孔度は、高分子多孔質膜の空孔率の下限として通常30%以上、好ましくは40%以上、さらに好ましくは50%以上であり、上限として通常80%以下、好ましくは70%以下、さらに好ましくは65%以下である。空孔率が30%未満であるとイオンの透過性が充分でなく、セパレータとしての機能を果たすことができず、好ましくない。また、空孔率が80%を超えると、フィルムの実強度が低くなるため、電池作成時の破断や活物質による突き抜けと短絡が生じ、好ましくない。
なお、高分子多孔質膜の空孔率とは、以下の計算式によって算出される値である。
空孔率Pv(%)=100×(1−w/〔ρ・S・t〕)
S:高分子多孔質膜の面積
t:高分子多孔質膜の厚み
w:高分子多孔質膜の重さ
ρ:高分子多孔質膜の真比重
なお、高分子多孔質膜を構成する成分i(樹脂や充填剤など)のブレンド重量をWi、比重をρiとすると、真比重ρは以下の式で求められる(式中でΣは全ての成分の和を表す。)。
真比重ρ=ΣWi/Σ(Wi/ρi)
本発明に係る高分子多孔質膜の厚みの上限値は、通常100μm以下、好ましくは40μm以下であり、下限値は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上である。厚みが5μm未満であると、実強度が低いため、電池の作成時の破断や活物質による突き抜けと短絡が生じ、好ましくない。また、厚みが100μmを超えるとセパレータの電気抵抗が高くなるため、電池の容量が低下して好ましくない。また、厚みが100μmを超えると電池内に入れられる活物質量が減るため、電池全体の容量も低下して好ましくない。セパレータの厚みを5〜100μmの範囲とすることにより、良好なイオン透過性を有するセパレータとすることができる。
本発明に係る高分子多孔質膜の平均孔径の下限は0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上であり、より好ましくは0.2μm以上である。また、上限は10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下であり、中でも1μm以下が好ましい。平均孔径が0.05μmより小さいと多孔質膜の連通性を充分に確保することが難しくなり、10μmよりも大きいと実用的なフィルム強度を確保することが難しくなるため好ましくない。高分子多孔質膜の孔径は、後述の通り無機充填剤の特性(粒径等)や充填量を必要に応じて選択することで任意に変えることができる。なお、ここで高分子多孔質膜の平均孔径はASTM F316−86より定められる。
また、本発明に係る高分子多孔質膜は、ガーレー透気度の下限値が20秒/100cc以上、特に100秒/100cc以上で、上限値が700秒/100cc以下、特に300秒/100cc以下であることが好ましい。ガーレー透気度がこの下限値を下回る場合は、空孔率が高すぎるか厚みが薄すぎることが多く、前述の通りフィルムの実強度が低くなって電池作成時の破断や活物質による突き抜けと短絡が生じて好ましくない。この上限値を超える場合は、イオンの透過性が充分でなく、セパレータとしての機能を果たすことができず、好ましくない。なお、ガーレー透気度は、JIS P8117に準拠して測定され、1.22kPa圧で100ccの空気が膜を透過する秒数を示す。
さらに、本発明に係る高分子多孔質膜は、以下のようにして求められる平均保液量変化率が通常15%/分以下、好ましくは12%/分以下、より好ましくは10%/分以下である。平均保液量変化率が15%/分を超えると十分な保液性が得られず、特定のセパレータを用いたことによる電池素子内の電解液の欠乏状態の軽減によるサイクル特性の向上効果を十分に得ることができない。なお、この平均保液量変化率は低いほど保液性が高いことを示し好ましいが、その下限としては5%/分程度で十分である。
<セパレータの平均保液量変化率>
4cm×4cmの大きさに切り出したセパレータの重量を測定する。次にセパレータを電解液に浸漬して電解液が充分に浸透した後、引き上げて表面に付着した電解液を拭き取り重量を測定する。浸漬前の重量との差を浸透した電解液の重量とする。さらに30秒ごとに、2分間、重量の変化を測定して下表に示すように平均保液量変化率を算出する。
Figure 0004931331
<セパレータの製造方法>
リチウム二次電池で使用されるセパレータには、両極間のイオン伝導を妨げないこと、電解液を保持できること、電解液に対して耐性を有すること、などの要件を満たすことが求められ、従来においては、主としてポリエチレンやポリプロピレン等の熱可塑性樹脂からなる高分子多孔質膜が用いられ、これらの高分子多孔質膜を製造する方法としては、前述の如く、(1)抽出法、(2)延伸法、(3)界面剥離法がある。
しかしながら(1)の抽出法は、可塑剤として高分子材料と相溶性が良いものを選ぶ必要があるため抽出、或いはその後に延伸を行っても充分に大きな孔を形成することができず、このため得られるセパレータの保液性は充分ではない。また、相溶性の悪い可塑剤を添加して孔を大きくする方法も公知技術として知られているが、この方法では、成形が不安定となって性状のよいフィルムを得ることが難しい。なお、いずれの方法であっても、抽出工程において大量の廃液を処理する必要があり、環境・経済性の両面において問題がある。また抽出工程で発生する膜の収縮のために均等な膜を得ることが難しく、歩留まりなど生産性においても問題がある。(2)の延伸法は、結晶ドメイン間の非晶部分のみを選択的に延伸するため、高倍率の延伸が難しい。そのため、孔径を大きくすることが難しく、得られるセパレータの保液性が低くなると言う欠点がある。また延伸前の結晶相・非晶相の構造制御により孔径分布を制御するために、長時間の熱処理が必要であり、生産性の面で問題がある。
これに対して、(3)の界面剥離法は、(1),(2)の方法に比較して高分子材料と充填剤との界面を延伸操作により容易に剥離することができるため、熱処理などの前処理を必要とせずに孔径の大きな多孔質膜を容易に製造することができる。このように孔径の大きなセパレータは、前述のように電解液の保液性が良く、電池素子内での電解液の欠乏が起こりにくくサイクル特性低下の防止に有効である。また、廃液の発生などはなく、環境・経済性の両面において優れた方法である。
従って、本発明のセパレータは、好ましくは界面剥離法で製造され、より具体的には、次のような方法で製造される。
まず、無機充填剤と熱可塑性樹脂、及び必要に応じて添加される低分子量化合物や酸化防止剤等の添加剤の所定量を配合し、溶融混練することにより樹脂組成物を調製する。ここで、上記樹脂組成物はヘンシェルミキサー等によって予備混合を行い、しかる後に通常用いられる一軸スクリュー押出機、二軸スクリュー押出機、ミキシングロール又は二軸混練機等を用いて調製しても良く、或いは予備混練を省略して直接上記押出機等で直接樹脂組成物を調製しても良い。
次いで、上記樹脂組成物をシート成形する。シート成形は通常用いられるTダイによるTダイ法や円形ダイによるインフレーション法により行うことができる。
次いで、成形されたシートの延伸を行う。該延伸には、シートの引き取り方向(MD)に延伸する縦一軸延伸、テンター延伸機等により横方向(TD)に延伸する横一軸延伸、MDへの一軸延伸後引き続きテンター延伸機等によりTDに延伸する逐次二軸延伸法、又は縦方向及び横方向を同時に延伸する同時二軸延伸法がある。上記一軸延伸はロール延伸により行うことができる。上記延伸は、シートを構成する樹脂組成物が所定の延伸倍率に容易に延伸でき、かつ樹脂組成物が融解して孔を閉塞させ連通性を失わせることのない任意の温度で行うことができるが、好ましくは樹脂の融点−70℃〜樹脂の融点−5℃の温度範囲で延伸される。延伸倍率は必要とされる孔径や強度に応じて任意に設定されるが、好ましくは少なくとも一軸方向に1.2倍以上の延伸を行う。なお、この延伸倍率の上限については特に制限はないが、通常一軸方向に7倍以下である。この上限を超える延伸を行うと、得られる多孔質膜の空孔率が高くなり過ぎて強度が低下し、実用に耐えなくなるおそれがある。
[非水系電解液]
本発明の非水系電解液二次電池に使用される非水系電解液は、非水系溶媒とリチウム塩を含有するものである。
<非水系溶媒>
本発明の非水系電解液二次電池に使用される電解液の非水系溶媒としては、非水系電解液二次電池の溶媒として公知の任意のものを用いることができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート等の環状カーボネート(好ましくは炭素数3〜5のアルキレンカーボネート);ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルカーボネート)等の鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル;ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エーテル;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル;酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステルなどが挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種類以上を併用しても良い。
上記例示溶媒の中でも、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを混合した混合非水系溶媒が、充放電特性、電池寿命等の電池性能全般を高める観点から好ましい。また、上記混合非水系溶媒は、環状カーボネート及び鎖状カーボネートをそれぞれ非水系溶媒全体の15体積%以上含み、且つ、それらの体積の合計が非水系溶媒全体の70体積%以上となるように混合することが好ましい。
上記の環状カーボネート及び鎖状カーボネートを混合した混合非水系溶媒に用いられる環状カーボネートとしては、アルキレン基の炭素数が2以上4以下のアルキレンカーボネートが好ましい。その具体例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。中でも、エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが好ましい。
また、上記の環状カーボネート及び鎖状カーボネートを混合した混合非水系溶媒に用いられる鎖状カーボネートとしては、炭素数が1以上4以下のアルキル基を有するジアルキルカーボネートが好ましい。その具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネートなどが挙げられる。中でも、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートが好ましい。
これらの環状カーボネート及び鎖状カーボネートは各々独立に、1種のみを単独で使用しても良く、複数種を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。混合非水系溶媒の環状カーボネートの割合は15体積%以上、特に20〜50体積%で、鎖状カーボネートの割合は30体積%以上、特に40〜80体積%で、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの含有比率は、環状カーボネート:鎖状カーボネート=1:1〜4(体積比)であることが好ましい。
さらに、上記の混合非水系溶媒は、製造されるリチウム電池の電池性能を低下させない範囲であれば、環状カーボネート及び鎖状カーボネート以外の溶媒を含んでいても良い。混合非水系溶媒中における環状カーボネート及び鎖状カーボネート以外の溶媒の割合は、通常30体積%以下、好ましくは10体積%以下である。
<リチウム塩>
非水系電解液の溶質であるリチウム塩としては、任意のものを用いることができる。例えば、LiClO、LiPF、LiBF等の無機リチウム塩;LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiC(CFSO、LiPF(CF、LiPF(C、LiPF(CFSO、LiPF(CSO、LiBF(CF、LiBF(C、LiBF(CFSO、LiBF(CSO等の含フッ素有機リチウム塩などが挙げられる。これらのうち、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CSO等の含フッ素リチウム塩、特にLiPF、LiBFが好ましい。なお、リチウム塩についても1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
これらのリチウム塩の非水系電解液中の濃度の下限値としては、通常0.5mol/l以上、中でも0.75mol/l以上、上限値としては、通常2mol/l以下、中でも1.5mol/l以下である。リチウム塩の濃度がこの上限値を超えると非水系電解液の粘度が高くなり、電気伝導率も低下する。また、この下限値を下回ると電気伝導率が低くなるので、上記濃度範囲内で非水系電解液を調製することが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明に係る非水系電解液には、非水系溶媒、及びリチウム塩以外に、必要に応じて他の有用な成分、例えば従来公知の炭酸ビニレン、炭酸フルオロエチレン、炭酸ビニルエチレン、炭酸フェニルエチレン、コハク酸無水物等の負極被膜形成剤、亜硫酸エチレン、亜硫酸プロピレン、亜硫酸ジメチル、プロパンスルトン、ブタンスルトン、メタンスルホン酸メチル、トルエンスルホン酸メチル、硫酸ジメチル、硫酸エチレン、スルホラン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシド、ジフェニルスルフィド、チオアニソール、ジフェニルジスルフィド、ジピリジニウムジスルフィド等の正極保護剤、脱酸剤、脱水剤、過充電防止剤等の各種の添加剤を含有させても良い。
[活物質]
本発明においては、負極活物質及び/又は正極活物質としてアスペクト比1.02〜3の粒子状活物質を用いる。
このアスペクト比の定義は次の通りである。
<アスペクト比の定義>
粒子状活物質を平板上に分散し、そのまま樹脂包埋したものを平板に対して平行に研磨して、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてその断面写真を撮影し、また、粒子状活物質を用いて製造された電極については、電極断面を集電体(金属箔等)に対して平行に研磨して、その電極断面に存在する電極粉末の断面写真を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて撮影する。撮影されたSEM写真の画像解析により、粒子断面の長径と短径を20点測定し、その平均値からアスペクト比(以下「2次元アスペクト比」と称す。)を求める。
なお、上記したアスペクト比に加えて、粒子状活物質を平板上に分散し、そのまま樹脂包埋したものを平板に対して平行に研磨して、その横断面写真及び縦断面の双方を撮影し、また、粒子状活物質を用いて製造された電極については、電極断面を集電体(金属箔等)に対して平行に研磨して、その電極断面(集電体に対し平行な断面)と、更に当該断面に対して垂直な断面を切り出し、研磨して、電極縦断面(集電体に対し垂直な断面)に存在する電極粉末の断面写真の双方を撮影し、撮影されたSEM写真の画像解析により、粒子横断面及び縦断面の長径と短径を各々20点以上測定し、その平均値からアスペクト比(以下「3次元アスペクト比」と称す。)を求めることにより、より粒子状活物質の形状が三次元的に捕らえられる。
本発明において、負極活物質及び/又は正極活物質として、2次元アスペクト比、好ましくは3次元アスペクト比が1.02以上3以下の粒子状活物質を用いる。
<活物質のアスペクト比>
本発明において、正極活物質の2次元アスペクト比の上限は、通常2.2以下、中でも1.6以下、特に1.2以下であり、下限は、通常1.02以上、中でも1.05以上、特に1.1以上である。また、3次元アスペクト比の上限は、通常2.3以下、中でも2.2以下、特に1.5以下、とりわけ1.2以下であり、下限は、通常1.02以上、中でも1.05以上、特に1.1以上である。
正極活物質のアスペクト比がこの上限を超えると、扁平な粒子形状となるため、タップ密度があまり大きくならす、高密度化に伴う副反応生成物の堆積が起こりにくくなるため、本発明のサイクル特性の向上効果がさほど大きくない。また、上記下限を下回るものは、極めて円形度が高いため、工業的に歩留まり高く生産しにくくなる。
一方、負極活物質の2次元アスペクト比の上限は、通常3.0以下、中でも2.4以下、特に1.7以下、とりわけ1.4以下であり、下限は、通常1.02以上、中でも1.05以上、特に1.1以上である。また、3次元アスペクト比の上限は、通常3以下、中でも2.5以下、特に1.9以下、とりわけ1.4以下であり、下限は、通常1.02以上、中でも1.05以上、特に1.1以上である。
負極活物質のアスペクト比がこの上限を超えると、扁平な粒子形状となるため、タップ密度があまり大きくならず、高密度化に伴う副反応生成物の堆積が起こりにくくなるため、本発明のサイクル特性の向上効果がさほど大きくない。また、上記下限を下回るものは、極めて円形度が高いため、工業的に歩留まり高く生産しにくくなる。
<活物質のアスペクト比調整>
所定のアスペクト比の負極活物質粒子を所定の形状とする方法としては特に制限はないが、例えば、炭素材料よりなる負極活物質の場合、以下に述べる方法等が挙げられる。
炭素材料としては、天然に産出する炭素材料を用いても、人工的に製造された炭素材料を用いても良い。また、負極用炭素材料の製造方法も特に制限されない。従って、例えば篩い分けや風力分級などの分別手段を用いて上記アスペクト比を有する負極用炭素材料を選別して取得することもできる。或いは、天然に産出する炭素、黒鉛材料や人工的に製造された炭素化、黒鉛化材料に対して、表面粉砕等を進行させるなどの力学的なエネルギー処理を加えて球状化し、負極用炭素材料を製造する方法で取得することも可能である。力学的エネルギー処理の一例としては、周知のように炭素質材料に表面粉砕を施すことにより得ることができる。例えばケーシング内部に多数のブレードを設置した高速回転ローターを備えた粉砕装置を用いて、炭素質材料に対して衝撃圧縮、摩擦、剪断等の機械的作用を与えて、粉砕しながら表面処理を行えば良い。ローターの周速度は30〜100m/秒、特に50〜100m/秒が好ましい。粉砕後の分級はミクロンセパレーター、ターボプレックス等の強制渦流式遠心分級機やエルボジェット等の慣性分級機などの気流式分級機を用いるのが一般的であるが、湿式の沈降分離法や遠心沈降機などを用いることもできる。
更に、天然に産出する炭素、黒鉛材料や人工的に製造された炭素化、黒鉛化材料に対して、それらを炭素前駆体と混合し、しかる後に加熱して結晶化度を調整し、所望の炭素化、黒鉛化物としてから粉体加工処理を経て取得することもできる。この際、最終的な粉体加工処理で所定の形状となる粒子が得られるように、炭素前駆体と混合する炭素粉或いは黒鉛粉或いはその混合物を、力学的なエネルギー処理により予め球状化しておくこと、炭素化、黒鉛化の後の粉砕工程で所定の形状となり易いよう、例えば黒鉛化性の悪い非針状コークスを選択するなど炭素材料の選択工夫する方法もある。更に、最終的に得られる活物質粒子が多数の微粒子が炭素前駆体を出発物質とした炭素化物或いは黒鉛化物を介して結合することで所定の形状とすることも可能である。更に、炭素前駆体の段階で未発達の組織を溶媒により溶解させることで発達した球晶を取り出した、いわゆるメソカーボンマイクロビーズを炭素化或いは黒鉛化したものを使用することもできる。負極活物質粒子を所定の形状とするには、これらの方法を単独で用いることも、複数以上組み合わせても用いることも可能である。
負極活物質としては、これらの方法等により得られた活物質粒子を単独で用いても複数種混合して用いても良い。
一方、正極活物質としては、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、スピネル型マンガン酸リチウム、或いはニッケルコバルト酸リチウム、ニッケルマンガン酸リチウムなどこれら遷移金属を複数以上用いたものなどに代表される、リチウムと遷移金属の複合酸化物(以下、「リチウム遷移金属複合酸化物」と称す。)が好適に用いられる。
このような正極活物質粒子を所定のアスペクト比とする方法としては、以下に述べる方法等が挙げられる。
正極活物質の合成には、噴霧乾燥法、水酸化物法、複合炭酸塩法等の一種の共沈法などを用いることにより、異種元素の混合と粉体形状の制御を行い、これを所定の方法で焼成することにより球状化あるいは楕円球状化した正極活物質粉末を得ることができる。即ち、リチウム化合物(LiCO等)粉末と遷移金属化合物(MnO,CO,NiO等)粉末を混合し、焼成してリチウム遷移金属複合酸化物とする方法が広く採用されている。原料として焼成によりそれぞれ酸化物となる遷移金属化合物(例えばコバルト、ニッケル、マンガンの化合物、より具体的には、Co、CoO、Co(OH)、NiO、MnO、Mn、Mn、MnCO等)と、焼成によって酸化物となるリチウム化合物(例えばLiCO、LiOH、LiCl)とを所定の割合で混合し、これらの粉末に分散媒(例えば水)を加えて更に湿式混合してスラリーを作成し、これをスプレードライヤーで噴霧乾燥させる方法が挙げられる。原料には必要により添加元素としてCr,Al、Co、Ni、Mo、W等の酸化物を加えることもできる。また、スラリーにはPVA等の高分子溶液を加えることが好ましい。噴霧乾燥とは微粒化装置を用いて乾燥室に微粒化したスラリーを供給し、乾燥させて球状粒子を得る方法である。微粒化の方法としては、ディスク式や加圧ノズル式、2流体ノズル式、4流体ノズル式等が挙げられる。噴霧乾燥により得られた微粒子は焼成工程によりリチウム遷移金属複合酸化物となる。焼成する際の最高到達温度は、通常500℃以上、好ましくは600℃以上、より好ましくは800℃以上である。温度が低すぎると所定の結晶性を得るために処理時間が長く掛かりすぎ、温度が高すぎると目的とするリチウム遷移金属複合酸化物以外の結晶相が生成するか、或いは欠陥が多いリチウム遷移金属複合酸化物が生成する結果となるため、通常、1100℃以下、好ましくは1050℃以下、より好ましくは950℃以下である。この焼成は一定の雰囲気で一度に全て実施することも可能であるが、少なくとも2段階で焼成処理することも可能である。焼成ガス雰囲気は、大気や酸素雰囲気とすることも可能であるが、低酸素濃度雰囲気での第1段階と高酸素濃度雰囲気での第2段階との少なくとも2段階にて行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気では酸素含有量が10容量%〜0容量%、高酸素濃度雰囲気では酸素含有量が80容量%以下、好ましくは50容量%以下、15容量%以上、好ましくは20容量%以上である。上記低酸素濃度雰囲気から高酸素濃度雰囲気への切り替えのタイミングは焼成開始から上記最高温度へ昇温させる途中であることが好ましい。通常は900℃以下、好ましくは800℃以下に切り替え温度を設定する。焼成後に粒子の粒子径サイズを調整する場合には、ライカイ等で解砕し、その後篩等により分級し、所定の粒子径サイズとする。
なお、このような共沈、噴霧乾燥などの方法によれば、比較的アスペクト比の小さい粒子状活物質を造粒することが可能であるが、得られた造粒粉について、更に、上述の負極活物質の調製の場合と同様に、機械的な処理、メカノケミカル的な処理を施して、粒形を調整することにより、アスペクト比を制御することもできる。
正極活物質としては、これらの方法等により得られた活物質粒子を単独で用いても複数種混合して用いても良い。
<活物質のタップ密度>
本発明で用いる正極活物質のタップ密度の上限は、通常3.5g/cm以下、中でも3.0g/cm以下、特に2.5g/cm以下、とりわけ2.3g/cm以下であり、下限は、通常1.4g/cm以上、中でも1.7g/cm以上、特に2.0g/cm以上である。
また、負極活物質のタップ密度の上限は、通常1.5g/cm以下、中でも1.3g/cm以下、特に1.2g/cm以下であり、下限は、通常0.7g/cm以上、中でも0.8g/cm以上、特に0.9g/cm以上である。
活物質のタップ密度がこの上限を超えると、タップ密度以外の他の物性値を維持できなくなるため好ましくなく、下限を下回るものは、電極充填密度が低く電池容量が差ほど大きくならないため、本発明のサイクル特性の向上効果がさほど得られなくなる。
なお、本明細書でいう「タップ密度」とは、20cmセルへの1000回タップ充填時の嵩密度(ρ1000)を終局の嵩密度ρと見なしたものである。
<正極活物質のその他の好ましい物性値>
正極活物質粒子の平均2次粒径(2次粒子の平均粒径)は、レーザ回折式粒径分布計による測定で、通常1μm以上、好ましくは3μm以上であるのが好ましく、6μm以上であるのが最も好ましい。この平均粒径が小さ過ぎると高密度の活物質層を形成するのが困難である。逆に、平均粒径が大き過ぎると、活物質層の表面から突出してセパレータを貫通し、短絡を起す恐れがあるので上限は30μm以下、特に26μm以下が好ましい。また、粒径が50μm以上、特に100μm以上のものは実質的に存在しないのが好ましい。
また、正極活物質粒子の窒素吸着法によるBET比表面積は通常0.3m/g以上、好ましくは0.5m/g以上、より好ましくは1.0m/g以上、更に好ましくは2.0m/g以上、最も好ましくは3.0m/g以上である。この比表面積があまり小さすぎると、1次粒子径が大きくなることを意味し、即ちレート特性や容量が低下する傾向にあるので好ましくないが、あまり大きすぎても電池内の副反応が進行し、サイクル特性、保存特性等電池の耐久特性を低下させるので、比表面積の上限は、通常10.0m/g以下、好ましくは8.0m/g以下、より好ましくは5.0m/g以下、最も好ましくは4.0m/g以下である。
<負極活物質のその他の好ましい物性値>
負極活物質粒子の平均2次粒径(2次粒子の平均粒径)は、レーザ回折式粒径分布計による測定で、通常3μm以上であるのが好ましく、6μm以上、特に8μm以上であるのが最も好ましい。この平均粒径が小さ過ぎると高密度の活物質層を形成するのが困難である。逆に平均粒径が大き過ぎると、活物質層の表面から突出してセパレータを貫通し、短絡を起す恐れがあるので上限は30μm以下、特に26μm以下が好ましい。また、粒径が50μm以上、特に100μm以上のものは実質的に存在しないのが好ましい。
負極活物質粒子の窒素吸着法によるBET比表面積は一般に0.5〜20m/gであるのが好ましい。BET比表面積の上限は10m/g以下、特に5m/g以下であれば更に好ましい。下限は電池に要求される特性により異なり、待機用など保存特性を重視する用途では0.5m/g以上でよいが、電流放出性と保存性との双方が要求される家電機器などの民生用途では1.0m/g以上、大電流の放出が要求される車載用途では2.0m/g以上であるのが好ましい。
負極活物質粒子の平均円形度は0.85以上、中でも0.89以上、特に0.92以上であるのが好ましい。平均円形度の小さい炭素質材料を用いたのでは、一般に急速充放電特性の優れた負極を作成するのは困難である。逆に、平均円形度が大き過ぎると、負極の作成に際しバインダーとの付着力が低下するので、負極の強度が弱くなり、電池の長期に亘る充放電サイクル特性を悪化させる。従って、負極活物質の平均円形度の上限は0.99以下、特に0.97以下であるのが好ましい。
なお、ここで、円形度とは、粒子と同一の投影面積を有する真円(相当円)の円周を分子とし、粒子の周長を分母とした比として定義される指標である。従って、粒子の投影像が真円の場合は円形度は1となり、粒子が細長かったり凹凸が多いほど円形度は小さくなる。本明細書における「平均円形度」は、フロー式粒子像解析装置で9000〜11000個の粒子の形状を撮像してその円形度を求め、その算術平均として算出される値である。なお、円形度の測定に際しては、分散媒としてのイオン交換水に測定対象の炭素材料と界面活性剤(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)とを加えて撹拌し、30分間超音波分散させたものを試料とする。
本発明で用いる粒子状負極活物質が有する真密度は、ピクノメーター法で測定された値の上限として、通常2.40g/cm以下、中でも2.30g/cm以下、特に2.28g/cm以下であり、下限として通常1.70g/cm以上、中でも1.80g/cm以上、特に2.10g/cm以上であることが好ましい。負極活物質の真密度がこの上限を超えると活物質のサイクル劣化が大きくなるため好ましくなく、下限を下回るものは、活物質容量が小さく、本発明のサイクル特性の向上効果がさほど得られなくなる。
負極活物質として用いられる黒鉛質炭素材料の面間隔(d002)は0.348nm以下であるのが好ましく、0.338nm以下、特に0.337nm以下であれば更に好ましい。また、C軸方向の結晶子の厚さ(Lc)は通常2nm以上あれば使用でき、20nm以上であるのが好ましく、40nm以上、特に90nm以上であれば更に好ましい。
更に、この黒鉛質炭素材料は、波長514.3nmのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトルにおいて、1580〜1620cm-1のピーク強度をI、その半値幅をΔνとし、1350〜1370cm-1のピーク強度をIとしたとき、ピーク強度比R(=I/I)が0.7以下であるのが好ましい。ピーク強度比Rは更に0.6以下、特に0.4以下であることが好ましく、ただし、0.2を下回らないことが好ましい。また、半値幅Δνは40cm-1以下であるのが好ましく、36cm-1以下であれば更に好ましい。半値幅Δνは一般に小さいほど好ましいが、通常は20cm-1以上である。
周知のように、リチウムイオンが黒鉛層間に格納されて生成する層間化合物であるCLiを基準とした黒鉛1g当りの理論容量値は372mAhであるが、本発明で負極活物質として好適に用いられる黒鉛質炭素材料としては、充放電レートを0.2mA/cm2としたリチウム金属対極を用いた半電池で測定した場合の容量が320mAhr/g以上のものが好ましい。この容量は340mAhr/g以上、特に350mAhr/g以上であれば更に好ましい。
[正極]
正極としては、通常、前述のような正極活物質とバインダーを含有する活物質層を集電体上に形成させたものが用いられる。
正極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば、その種類に制限はない。好ましい例としては、リチウム遷移金属複合酸化物が挙げられる。
リチウム遷移金属複合酸化物の具体例としては、LiCoOなどのリチウム・コバルト複合酸化物、LiNiOなどのリチウム・ニッケル複合酸化物、LiMnOなどのリチウム・マンガン複合酸化物等が挙げられる。これらのリチウム遷移金属複合酸化物は、主体となる遷移金属原子の一部をAl、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Li、Ni、Cu、Zn、Mg、Ga、Zr、Si等の他の金属で置き換えると、安定化させることができるので好ましい。これらの正極活物質は、何れか1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
バインダーとしては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としてはポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
正極活物質層中のバインダーの割合は、下限値が通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、上限値が通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。バインダーの割合が少ないと、活物質を十分に保持できないので、正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させることがあり、逆に多すぎると電池容量や導電性を下げることになる。
正極活物質層は、通常、導電性を高めるため導電剤を含有する。導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛の微粒子や、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素微粒子等等の炭素質材料を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
正極活物質層中の導電剤の割合は、下限値が通常0.01重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好ましくは1重量%以上であり、上限値が通常50重量%以下、好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下である。導電剤の割合が少ないと導電性が不十分になることがあり、逆に多すぎると電池容量が低下することがある。
正極活物質層には、その他、増粘剤等の通常の活物質層の添加剤を含有させることができる。
増粘剤は電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
正極の集電体には、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。
正極は、前述の正極活物質とバインダーと導電剤、必要に応じて添加されるその他の添加剤とを溶媒でスラリー化したものを集電体に塗布して乾燥することにより形成することができる。スラリー化のために用いる溶媒としては、通常、バインダーを溶解する有機溶剤が使用される。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が用いられるがこれらに限定されない。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。また、水に分散剤、増粘剤等を加えてSBR等のラテックスで活物質をスラリー化することもできる。
このようにして形成される正極活物質層の厚さは、通常10〜200μm程度である。なお、塗布・乾燥によって得られた活物質層は、活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化するのが好ましい。
[負極]
負極は、通常、前述のような負極活物質とバインダーを含有する活物質層を集電体上に形成させたものが用いられる。
負極活物質としては様々な熱分解条件での有機物の熱分解物や人造黒鉛、天然黒鉛等のリチウムを吸蔵・放出可能な炭素質材料などを用いることができる。これらの負極活物質は、1種を単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いても良い。
バインダーとしては、電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム等を挙げることができる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
負極活物質層中の上述のバインダーの割合は、下限値が通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上であり、上限値が通常80重量%以下、好ましくは60重量%以下、より好ましくは40重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。バインダーの割合が少ないと、活物質を十分に保持できないので負極の機械的強度が不足し、サイクル特性等の電池性能を悪化させることがあり、逆に多すぎると電池容量や導電性を下げることになる。
負極活物質層には、その他、増粘剤等の通常の活物質層の添加剤を含有させることができる。
増粘剤は電極製造時に使用する溶媒や電解液、電池使用時に用いる他の材料に対して安定な材料であれば、特に限定されない。その具体例としては、カルボキシルメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。
負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用される。
負極は、前述の負極活物質とバインダー、必要に応じて添加されるその他の添加剤とを溶媒でスラリー化したものを集電体に塗布して乾燥することにより形成することができる。スラリー化のために用いる溶媒としては、通常、バインダーを溶解する有機溶剤が使用される。例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等が用いられるがこれらに限定されない。これらは1種を単独で用いても、複数種を併用しても良い。また、水に分散剤、増粘剤等を加えてSBR等のラテックスで活物質をスラリー化することもできる。
このようにして形成される負極活物質層の厚さは、通常、10〜200μm程度である。なお、塗布・乾燥によって得られた活物質層は、活物質の充填密度を上げるために、ローラープレス等により圧密化するのが好ましい。
[電池構成]
本発明のリチウム二次電池は、上述した正極と、負極と、非水系電解液と、セパレータとを、適切な形状に組み立てることにより製造される。さらに、必要に応じて外装ケース等の他の構成要素を用いることも可能である。
その電池形状は特に制限されず、一般的に採用されている各種形状の中から、その用途に応じて適宜選択することができる。一般的に採用されている形状の例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ、シート電極及びセパレータを積層したラミネートタイプなどが挙げられる。また、電池を組み立てる方法も特に制限されず、目的とする電池の形状に合わせて、通常用いられている各種方法の中から適宜選択することができる。
以上、本発明のリチウム二次電池の一般的な実施形態について説明したが、本発明のリチウム二次電池は上記実施形態に制限されるものではなく、その要旨を越えない限りにおいて、各種の変形を加えて実施することが可能である。
以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
<セパレータの製造>
高密度ポリエチレン〔三井化学社製「HI−ZEX7000FP」、重量平均分子量:20万、密度;0.956g/cm、メルトフローレート;0.04g/10min〕100重量部、軟質ポリプロピレン〔出光石油化学社製「PER R110E」、重量平均分子量:33万〕8.8重量部、硬化ひまし油〔豊国製油社製「HY−CASTOR OIL」、分子量938〕8.8重量部、無機充填剤として硫酸バリウム〔数基準平均粒径0.18μm〕176.5重量部を配合して溶融混練し、得られた樹脂組成物を温度210℃でインフレーション成形を行い原反シートを得た。原反シートの厚みは平均105μmであった。次に、得られた原反シートを90℃でシート長手方向(MD)に4倍、次いで120℃で幅方向(TD)に2.9倍の逐次延伸を行い、膜厚26μm、空孔率64%、平均孔径(ASTM F316−86により定められる平均孔径)0.27μm、ガーレー透気度(JIS P8117により定められるガーレー透気度)44秒/100ccの高分子多孔質膜を得た。この高分子多孔質膜をセパレータAとする。なお延伸の過程で、高分子多孔質膜からの無機充填剤の脱落は認められなかった。
このセパレータAについて、前述の測定方法で求めた平均保液量変化率は9.2%/分であった。
<非水系電解液の調製>
乾燥アルゴン雰囲気下、精製したエチレンカーボネートとジメチルカーボネートを体積比3:7で混合し、混合溶媒を作製した。この混合溶媒に対し、十分に乾燥したLiPFを1.0mol/lの割合となるように溶解して非水系電解液とした。
<正極の作製>
正極活物質として表2に示す物性のLiCoOを用い、LiCoO85重量部にカーボンブラック6重量部及びポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製商品名「KF−1000」)9重量部を加えて混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散し、スラリー状とした。これを、正極集電体である厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に均一に塗布し、乾燥後、プレス機により正極活物質層の密度が3.0g/cmになるようにプレスして正極とした。
<負極の作製>
負極活物質として、表2に示す物性の天然黒鉛粉末94重量部にポリフッ化ビニリデン6重量部を混合し、N−メチル−2−ピロリドンで分散させてスラリー状とした。これを負極集電体である厚さ18μmの銅箔の片面に均一に塗布し、乾燥後、プレス機により負極活物質層の密度が1.5g/cmになるようにプレスして負極とした。
<電池の組立>
上記セパレータAと、上記非水系電解液、正極及び負極とを用いて18650型円筒電池を作製した(実施例1のリチウム二次電池)。即ち、正極と負極を上記セパレータAを介して捲回して電極群とし、これを電池缶に封入した。その後、電極群を装填した電池缶に上記電解液を5ml注入し、電極に充分浸透させた後、かしめ成形を行った。
<電池の評価>
1)初期充放電
25℃おいて0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)に相当する定電流で充電終止電圧4.2V、放電終止電圧3Vで充放電を3サイクル行って安定させ、4サイクル目を0.5Cに相当する電流で充電終止電圧4.2Vまで充電し、充電電流値が0.05Cに相当する電流値になるまで充電を行う4.2V−定電流定電圧充電(CCCV充電)(0.05Cカット)後、0.2Cに相当する定電流値で3V放電を行った。このときの最後の放電容量を初期容量とした。
2)サイクル試験
サイクル試験は、上記1)初期充放電を行なった電池に対して、充電上限電圧4.2Vまで2Cの定電流定電圧法で充電した後、放電終止電圧3.0Vまで2Cの定電流で放電する充放電サイクルを1サイクルとし、このサイクルを500サイクル繰り返した。サイクル試験は25℃において行った。このサイクル試験の後、上記1)初期充放電と同様の充放電を行い、このときの最後の放電容量の初期容量に対する割合をサイクル耐久率として表2に示した。
〔実施例2〕
負極活物質として表2に示す物性の天然黒鉛を用い、正極活物質として4流体ノズル方式のスプレドライヤー処理により球状化させた表2に示す物性のLiNiMnO(Li:Ni:Mn=1.05:0.50:0.50(モル比))を用いた以外は実施例1と同様の手順で、18650型円筒電池(実施例2のリチウム二次電池)を作製し、同様にその評価を行い、結果を表2に示した。
〔実施例3〕
負極活物質として球状化処理を施した表2に示す物性の天然黒鉛を用い、正極活物質として表2に示す物性のLiNiMnO(Li:Ni:Mn=1.05:0.50:0.50(モル比))を用いた以外は実施例1と同様の手順で、18650型円筒電池(実施例3のリチウム二次電池)を作製し、同様にその評価を行い、結果を表2に示した。
〔実施例4〕
高密度ポリエチレン〔三井化学社製「HI−ZEX7000FP」、重量平均分子量:20万、密度;0.956g/cm、メルトフローレート;0.04g/10min〕100重量部、軟質ポリプロピレン〔出光石油化学社製「PER R110E」、重量平均分子量:33万〕8.8重量部、硬化ひまし油〔豊国製油社製「HY−CASTOR
OIL」、分子量938〕8.8重量部、無機充填剤として硫酸バリウム〔数基準平均粒径0.17μm〕117.6重量部を配合して溶融混練し、得られた樹脂組成物を温度210℃でインフレーション成形を行い原反シートを得た。原反シートの厚みは平均110μmであった。次に、得られた原反シートを90℃でシート長手方向(MD)に4倍、次いで120℃で幅方向(TD)に2.9倍の逐次延伸を行い、膜厚25μm、空孔率61%、平均孔径0.19μm、ガーレー透気度85秒/100ccの高分子多孔質膜を得た。この高分子多孔質膜をセパレータBとする。なお延伸の過程で、高分子多孔質膜からの無機充填剤の脱落は認められなかった。
このセパレータBについて、前述の測定方法で求めた平均保液量変化率は1.3%/分であった。
セパレータとしてセパレータBを用いた以外は実施例3と同様の手順で18650型円筒電池(実施例4のリチウム二次電池)を作製し、同様にその評価を行い、結果を表2に示した。
〔比較例1〕
負極活物質として表2に示す物性の天然黒鉛を用い、正極活物質として表2に示す物性のLiCoOを用いた以外は実施例1と同様の手順で18650型円筒電池(比較例1のリチウム二次電池)を作製し、同様にその評価を行い、結果を表2に示した。
〔比較例2〕
粘度平均分子量100万のポリエチレン25重量部とパラフィンワックス(平均分子量389)75重量部の混合物を、40mmφ二軸押出機を用いて押出温度170℃、で押出しインフレーション法で原反フィルムを作成した。得られた原反フィルムを60℃のイソプロパノール中に浸漬してパラフィンワックスを抽出除去した。得られたフィルムをロール延伸機を用いて90℃の温度で2.0倍に縦延伸後、テンター延伸機にて100℃の温度で6.0倍に延伸を行い、膜厚22μm、空孔率50%、平均孔径0.04μm、ガーレー透気度440秒/100ccの多孔質膜を得た。この高分子多孔質膜をセパレータCとする。
このセパレータCについて、前述の測定方法で求めた平均保液量変化率は17.2%/分であった。
セパレータとしてセパレータCを用いた以外は実施例3と同様の手順で18650型円筒電池(比較例2のリチウム二次電池)を作製し、同様にその評価を行い、結果を表2に示した。
なお、比較例2のセパレータCは、充填剤の有無の効果を明確にするために、実施例3,4のセパレータA,Bに対して、面積延伸倍率を同程度(約12倍)としてある。
Figure 0004931331
上記表2から明らかなように、負極活物質及び/又は正極活物質としてアスペクト比が小さい粒子状活物質を用いると共に、熱可塑性樹脂中に無機充填剤を含有するセパレータを備えた実施例1〜4のリチウム二次電池は、負極活物質及び正極活物質が共にアスペクト比が小さい粒子状活物質でない比較例1や抽出法によって得られた無機充填剤を含有しない孔径の小さなセパレータを使用した比較例2よりも良好なサイクル特性を示す。
実施例3,4及び比較例2では、負極活物質及び正極活物質として同一のものを用い、同一密度の負極と正極を形成し、セパレータのみ異なるものを用いている。
比較例2で用いた抽出法によるセパレータCは、実施例3,4で用いた界面剥離法により製造したセパレータA,Bと、同等の厚みの原反シートを同等の面積延伸倍率(約12倍)で延伸して得られたものであるが、その平均孔径が大きく異なり、セパレータA,Bでは平均孔径0.27μm、0.19μmであるのに対して、セパレータCは0.04μmである。また、セパレータA,Bは平均保液量変化率がそれぞれ9.2%/分、11.3%/分と、電解液の保液性に優れるのに対して、セパレータCは平均保液量変化率が17.2%/分と保液性に劣る。このように平均孔径が大きく異なり、また保液性においても全く異なることによって、孔径が大きく、保液性も良好なセパレータA,Bを用いた実施例3,4では、アスペクト比が小さい粒子状活物質を高密度充填したことによる副反応生成物による目詰まり、電解液の欠乏状態、副反応生成物に起因する電池内部抵抗の上昇が軽減されているためにサイクル特性が良好である。これに対して、孔径が小さく、保液性も劣るセパレータCを用いた比較例2では、このような効果は得られず、サイクル特性が低下する。
なお、抽出法による成膜においては、延伸倍率を上げても厚密化(延伸による厚み方向の収縮)か生じるために、得られる多孔質膜の孔径はそれほどは大きくならず、却って孔径が小さくなることもあるため、保液性向上に有効なセパレータを実現することは困難である。
比較例1は、セパレータAを用いているが、負極活物質及び正極活物質共にアスペクト比の大きいものを用いているため、高容量化が図れず、このためサイクル特性も劣る。
本発明のリチウム二次電池の用途は特に限定されず、公知の各種の用途に用いることが可能である。具体例としては、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、トランシーバー、電子手帳、電卓、メモリーカード、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、時計、ストロボ、カメラ等の小型機器、及び、電気自動車、ハイブリッド自動車等の大型機器などを挙げることができる。
特に、本発明のリチウム二次電池は、高容量を達成しつつ、優れたサイクル特性を有することから、各種情報通信端末や移動体など、高容量が要求され、かつ繰り返し使用される用途において、とりわけ優れた効果が得られる。

Claims (10)

  1. リチウムを吸蔵・放出することが可能な負極及び正極と、セパレータと、非水系溶媒及びリチウム塩を含有する非水系電解液とを備えてなる非水系電解液二次電池において、
    該セパレータが、無機充填剤を含有する熱可塑性樹脂よりなる多孔質膜を有し、該多孔質膜中の該無機充填剤の配合量が熱可塑性樹脂100重量部に対して40重量部以上300重量部以下であり、且つ、厚みが5μm以上100μm以下、空孔率が30%以上80%以下、ASTM F316−86により定められる平均孔径が0.05μm以上10μm以下、JIS P8117により定められるガーレー透気度が20秒/100cc以上700秒/100cc以下、平均保液量変化率が15%/分以下であり、
    前記正極に含まれる活物質が2次元アスペクト比1.02以上3以下の粒子状活物質であり、
    前記負極に含まれる活物質が2次元アスペクト比1.02以上3以下の粒子状活物質であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
  2. 請求項1において、前記正極活物質の2次元アスペクト比が1.02以上2.2以下であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
  3. リチウムを吸蔵・放出することが可能な負極及び正極と、セパレータと、非水系溶媒及びリチウム塩を含有する非水系電解液とを備えてなる非水系電解液二次電池において、
    該セパレータが、無機充填剤を含有する熱可塑性樹脂よりなる多孔質膜を有し、該多孔質膜中の該無機充填剤の配合量が熱可塑性樹脂100重量部に対して40重量部以上300重量部以下であり、且つ、厚みが5μm以上100μm以下、空孔率が30%以上80%以下、ASTM F316−86により定められる平均孔径が0.05μm以上10μm以下、JIS P8117により定められるガーレー透気度が20秒/100cc以上700秒/100cc以下、平均保液量変化率が15%/分以下であり、
    前記正極に含まれる活物質が3次元アスペクト比1.02以上3以下の粒子状活物質であり、
    前記負極に含まれる活物質が3次元アスペクト比1.02以上3以下の粒子状活物質であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池において、前記負極活物質のタップ密度が0.7g/cm以上であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池において、前記負極活物質が炭素材料であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
  6. 請求項5に記載の非水系電解液二次電池において、前記炭素材料が天然黒鉛であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
  7. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池において、前記正極活物質のタップ密度が1.4g/cm以上であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
  8. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池において、前記正極活物質がリチウム遷移金属複合酸化物であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
  9. 請求項8に記載の非水系電解液二次電池において、前記リチウム遷移金属複合酸化物がLiCoO であることを特徴とする非水系電解液二次電池。
  10. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の非水系電解液二次電池において、前記リチウム塩が含フッ素リチウム塩であり、前記非水系溶媒が環状カーボネートと鎖状カーボネートとを含有することを特徴とする非水系電解液二次電池。
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