JP4930612B2 - 内燃機関の燃焼状態検出装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の燃焼状態を検出する装置に関し、特に異常燃焼を検出する装置に関するものである。
近年、環境保全、燃料枯渇の問題が提起されており、自動車業界においてもこれらの対応が大きな課題となっている。この対応として、内燃機関の効率を最大限までに引上げようとする技術が多く開発されている。しかし反面、異常燃焼の発生頻度が高くなり内燃機関の損傷、耐久性低下、商品性低下といった問題が発生してきている。
異常燃焼を検出できる装置として、下記特許文献に示す装置が提案されている。これは、イオン電流の発生終了時期に応じてプリイグニッションの発生及びその強度を検出する装置であって、予め実験によって求められたイオン電流の発生終了時期とプリイグニッションの強度との関係式によって、プリイグニッションの強度を算出するものである。
特開2009−57940号公報
上記特許文献が示す装置では、予め実験によって求められたイオン電流の発生終了時期とプリイグニッションの強度との関係式からプリイグニッションの強度を算出している。
しかしながら、イオン電流の発生終了時期は、内燃機関の回転数、負荷、空燃比、点火時期、燃料の成分、検出プローブの仕様やその他各種環境条件によって変化することが分かっている。実際の車両において、燃料の成分や検出プローブの仕様に関しては現実的な検出手段が無いので、これらを加味してプリイグニッションの発生を判定するしきい値を変更することはできず、従って検出精度の低下を伴うことになってしまうという問題点があった。
また、多少検出を犠牲にして無理にしきい値を設定するとしても莫大な試験工数が必要となり、さらに内燃機関を搭載した車両の仕向け地違い他による環境条件(特に気温、気圧)、燃料噴射量・タイミング、点火時期タイミング等の調整を行ういわゆるキャリブレーションが異なるものに対して、またマッチングを取り直すといった工数がさらに必要となってしまうという問題点があった。
この発明は、上記のような問題点を解決することを目的とするものであって、多少のキャリブレーション変更や環境変化があっても同等レベルの検出性能を維持すると共に、マッチングの工数を大幅に減らすことができる燃焼状態検出装置を提供するものである。
この発明における内燃機関の燃焼状態検出装置は、内燃機関に点火信号を発生させる制御装置と、内燃機関の気筒の燃焼室内に吸入された可燃混合気に点火し燃焼させる点火装置と、可燃混合気の燃焼により燃焼室内に発生するイオンを検出するイオン電流検出装置と、イオン電流検出装置から得られる点火タイミング後のイオン電流から得られたイオン信号の終了タイミングを検出する終了検出装置と、イオン信号の終了タイミングと比較するための比較タイミングを設定し、イオン信号の終了タイミングが比較タイミングより進角側である場合に燃焼が異常であると判断する燃焼診断装置を備え、この燃焼診断装置は、イオン信号の各々の終了タイミングの値を用いて平滑化を施した平滑値を設定するとともに、前記平滑値と前記点火タイミングとの間の割合を設定し、前記内燃機関の運転状況に応じて前記割合を可変することにより、比較タイミングを設定するものである。
この発明の燃焼状態検出装置によれば、キャリブレーションの変更、使用環境の変化がった場合でも異常燃焼の検出精度を安定させたうえで異常燃焼を検出でき、また異常燃焼検出のためのマッチング工数を削減することができるものである。
この発明の実施の形態における装置の全体構成図である。 実施の形態におけるイオン電流波形である。 実施の形態における燃焼検出処理のフローチャートである。 実施の形態における検出しきい値を示すタイミングチャートである。 実施の形態における異常検出処理のフローチャートである。
以下、この発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1はこの発明の装置の全体構成を示す図であって、1は制御装置であるエンジンコントロールユニット(ECU)、2及び3は点火装置であって、特に2は点火コイル、3は点火プラグである。ECU1内の点火信号装置101は、点火コイル2を動作させるタイミングである点火信号を生成する。点火信号がHighの状態となると点火コイル内の1次巻線に電流(1次電流)が流れることで点火コイル2はエネルギーの蓄積を開始し、点火信号がHighからLowへと切り替わるタイミング(点火タイミング)で点火コイル2は内部の高電圧装置102において高電圧を生成する。
点火コイル2で生成された高電圧は点火プラグ3へと伝えられ、この高電圧により点火プラグの電極―GND間絶縁破壊による火花放電が発生し、燃焼室内可燃混合気の着火、燃焼が引起こされる。この火花放電動作に伴って点火コイル2内にあるイオン電流検出装置103は、燃焼室内の可燃混合気の燃焼に伴って発生するイオンを検出するためのバイアス電圧、例えば100V程度の一定電圧を生成し、火花放電終了後に点火プラグ3へと供給する。点火プラグ3は、火花放電機能に加えてイオン電流検出プローブ機能も備えており、前記バイアス電圧を点火プラグの電極―GND間に印加することで可燃混合気の燃焼に伴って発生するイオンを検出する。
点火プラグ3で検出されたイオンは、電流として点火プラグ3から点火コイル2内部のイオン電流検出装置103を介して流れる。以降、この電流をイオン電流と呼ぶことにする。前記イオン電流はさらに、点火コイル2内部のイオン電流検出装置103にて電流増幅され、ECU1内の信号取込装置104へと伝達される。
信号取込装置104は、取込んだイオン電流をマイクロコンピュータで処理できるように電圧の形態であるイオン信号(電圧)に変換し、メディアンフィルタ等によるノイズ除去処理を行う。イオン信号は発生検出装置105、終了検出装置106を経て燃焼診断装置107へと伝達される。ここで、発生検出装置105においては、後述するメインの点火タイミング以前から異常燃焼を検出するためにイオン信号の発生するタイミングを監視している。点火コイルが点火による火花放電を発生している間はイオン信号を検出することができなくなるので、もしメインの点火タイミング直前からイオン信号の発生が始まった場合には、イオン信号が発生してすぐに消えてしまう、いわゆるノイズのような信号となるのでメディアンフィルタのような処理により消されてしまい、イオン信号が発生していることが分からなくなってしまう場合がある。この解決のため、メインの点火タイミング直前の、例えば0.3ms区間はメディアンフィルタ等のフィルタ処理を実施しないようにしておくと、異常燃焼の検出性を向上させることができるようになる。燃焼診断装置107は、さらに点火信号装置101からの点火の情報も取り込み、これらに基づいて燃焼の診断を行う。
信号取込装置104は、イオン電流を電圧信号に変換するレートを制御する。例えば、イオン信号をマイクロコンピュータで処理するためにはAD変換器を通すことが一般的である。信号取込装置104は前記イオン電流を0Vから5Vの間の電圧値に変換するが、例えば高回転になるとイオン電流が大きくなるため、この変換レートが一定であると電圧換算で5Vを超過する状態となり、5Vで飽和した信号になってしまう場合がある。従って信号取込装置104はこの信号の飽和状態を監視し、飽和状態となる頻度が高いと判断すると電流/電圧の変換レートを下げ、信号が飽和しないように調整する機能を持っている。
さらに変換レートを下げても信号の飽和が治まらない場合、例えば、点火信号がHighとなった直後に飽和するレベル(例えば5V)のイオン信号が頻繁に発生している場合には、イオン検出の経路に大電流のリーク経路があると判断し、燃焼診断装置107は燃焼の診断を禁止する。もしくは点火プラグ3での火花放電後に検出されるイオン信号が飽和する状態が連続して発生する場合には、異常な量のアルカリ金属系物質が燃料に混入していると判断し、燃焼診断装置107は燃焼の診断を禁止する。
また信号取込装置104は、イオンを検出するための印加電圧が大きく変化する点火信号がHighの状態とLowの状態で変換レートを切り替えるようにしても良い。
図2は信号の波形例である。信号201は点火信号、信号202はイオン信号であって、横軸はクランク角度、もしくは時刻、縦軸は電圧値を示している。またタイミング203とタイミング205は、1次電流の通電開始タイミングを示し、タイミング204とタイミング206は、1次電流の遮断タイミングを示している。イオン信号の検出、処理区間は、最初の通電開始タイミング203と最後の遮断タイミング206を含み、図2の区間207のように設定する。
ここで点火信号装置101は、燃焼の診断性能を向上させるため図2に示すような多重点火信号201を点火コイル2へと供給する。この場合のメインの点火タイミングはタイミング204であって、タイミング206は実質的には捨て火が発生することになる。メインの点火タイミング204から所定期間、例えば0.05〜2ms程度経過後のタイミング205において再度1次電流の通電を開始することで、メインの点火タイミング204により発生する火花放電をタイミング205で強制的に終了させることができ、ノイズは発生するが、このタイミング205からイオン信号の検出を可能にすることができる。
内燃機関の熱効率を上げるために圧縮比を高くすると、火花放電(点火プラグギャップ間での絶縁破壊)するための要求電圧が大きくなる。このためには、より大きなエネルギーを点火コイルに注入することが必要となり、必然的に火花放電時間も長く、例えば標準値で2〜2.5ms程度の特性となってしまう。さらに火花放電終了直後にはイオン電流信号に0.5ms程度の間リンギング状のノイズが発生し、メインの点火タイミング204から実質約3ms区間もの間イオン信号を検出できなくなってしまう場合がある。これに対して異常燃焼は、燃焼速度が非常に早いため、点火プラグ3の中心電極付近の燃焼状態を示すイオン信号の発生も非常に急峻で短く、メインの点火から3ms以内に発生、終了してしまうことがあり、失火状態と異常燃焼の状態とを区別できなくなってしまう場合があった。つまり、このような圧縮比の高い内燃機関においてこそ必要な異常燃焼検出が、火花放電の特性に邪魔され実現できないという点が大きな課題となっていた。しかし、前記のように1次電流の再通電を開始することで火花放電期間を強制的に終了させることで、前記問題を解決することができるようになった。
このようにして検出できるようになったイオン信号から、異常燃焼の状態と相関関係にあるパラメータとして、イオン信号の発生タイミングと終了タイミングを抽出する。
まずイオン信号の発生タイミングを発生検出装置105にて検出する。イオン信号の発生タイミングは、図2のしきい値208がイオン信号202を超過するタイミング209として得ることができる。
次にイオン信号の終了タイミングを終了検出装置106において検出する。イオン信号の終了タイミングは、発生検出装置105においてイオン信号が発生したと判断された後に実施され、図2のしきい値208をイオン信号202が再び下回るタイミング210として得ることができる。この終了タイミング210に基づいて比較するタイミングを設定し、比較タイミングとの関係により異常燃焼検出を行う。この比較タイミングは、内燃機関の運転状況に基づき図2に示したように、210aから210bまで変動させることにより、異常燃焼検出精度の安定化を図るものである。
ここで、比較タイミングは終了タイミング210に基づいて設定されるので、異常燃焼時のみならず、正常燃焼時の終了タイミングも検出されている方がよい。これは正常状態からの変化として異常状態を捉えることを意図しているためである。ところが前述のように、タイミング206の後に約3ms程度イオン信号を検出できなくなる期間があり、運転条件によってはこの期間に終了タイミング210が入り込んでしまい、終了タイミングを正確に検出できなくなってしまう場合がある。この問題を回避するため、正常燃焼時の終了タイミング210が、タイミング205から206の間にできるだけ入るように再通電のタイミングや期間を選択する。終了タイミング210は運転条件に応じて変化するので、これを満足させるためには再通電(タイミング205から206までの区間)の時間を長くする、再通電の回数を多くする(再通電と再通電の間の時間はできる限り短くする)等の手段が考えられる。この場合、短時間での実施であれば問題ないかもしれないが、もし長時間の動作を伴うような場合には点火コイルに多大な発熱を引き起こし、点火コイルの故障を引き起こす恐れがあるため、再通電の時間は2ms以下程度に収めるようにする方がよい。この再通電の時間で前記要求を満足させるために初回の放電期間(タイミング204から205までの区間)を回転数、負荷、点火時期等に応じて決まる独立なパラメータに基づき変化させる。これによりタイミング206が終了タイミング210より遅くなるように調整でき、検出を可能とする。
燃焼診断装置107は、前記イオン信号の発生タイミング209がメインの点火タイミングより進角側であるとき、もしくは前記イオン信号の終了タイミング210が前記比較タイミングより進角側にあるとき異常燃焼が発生したと判断する。続いて、燃焼診断装置107において、前記比較タイミングの決め方について図3のフローチャート、図4のタイミングチャートを用いて説明する。
図3のS301において、まず異常燃焼を検出する条件の範囲内であるかを判断する。ここで条件の範囲とは、例えば高負荷、低回転領域の運転状態とする。条件範囲外であるなら(N)S302へと進み、flg=0、BGL=IGT、TH=BGLとして終了する。ここでflgは検出条件外から入った直後であるかを判断するためのフラグ、IGTはメインの点火タイミング(図2の204)、BGLはイオン信号の終了タイミング(以降DPと称する)の今回得た例えば移動平均を用いた平滑された値、THはDPと比較するための今回得た比較タイミング値である。この関係を模式的に示したものが図4であり、IGT、TH、BGL、DPである。
図3のS301において、異常燃焼を検出する条件の範囲内であった場合には(Y)S303へと進み、flgの状態を確認する。flg≠1であるなら(N)、検出条件の外から内へ入った直後であると判断されS304へと進み、以降過渡の状態であると判断されたときと同等の処理がなされるので、後述の過渡処理について併せて説明する。
S303において、flg=1であった場合には検出条件に入った直後の状態ではないと判断され(Y)、S305へと進む。S305では今回のDPをdataへと格納する。以降このdataを用いてBGLを求めることになるが、BGLが不必要に増減しないようにdataには上限値と下限値を設ける。上限値はIGT、下限値はLとし、Lは最後の遮断タイミング、つまり図2のタイミング206を設定する。
S306へと進み、過渡状態であるかを判断する。過渡判断の対象は回転数、負荷、充填効率、点火時期の急激な変動を意味し、いずれかが一つでも該当となれば過渡状態と判断する。そこで過渡状態であるなら(Y)S307へと進み、cnt=Nとする。Nは所定の点火数区間で例えば3点火数区間と設定するカウンタである。過渡と判断される状態が終了してからN点火数区間はBGL等を追従、安定させるよう、過渡状態が継続しているものとして扱えるようにする。図4の401にその状況を示した。3回分は過渡状態として判断しているものである。
次ぎにS308では、移動平均における平滑化係数kにKAを代入する。KAは進角過渡時用の係数で、回転数のマップ値である。例えば0.5のような値とし、定常時用の係数値より値を小さくとることでデータの変化への追従を早めるようにしている。つまり、S301の検出条件範囲内に入った直後、又は過渡状態に入った場合は、定常状態に比較して応答性を上げている。この処理により誤判定を防止できるのみならず、異常検出精度の安定性を確保している。この過渡状態のBGLの挙動を図4の過渡区間に示しているが、過渡状態では急な変化となっている。
次にS309において、過渡の判断に点火時期の進角側への変化によるものが含まれていた場合には(Y)S310へと進み、誤判定防止のためc=CAとして進角過渡用のしきい値割合を選択する。cは0と1の間の値をとる割合を示す値であって、BGLとIGTとの間のどの割合に異常燃焼判定のしきい値(TH)を取るかを示す変数である。CAは回転数と点火タイミングのマップ値とする。例えば、点火進角の過渡中はc=0.6とするとTHは図4の402のようにBGLよりもIGTに近い側にTHが設定されることになる。この処理も誤判定防止となり、定常的にしきい値を可変したならば、BGLが図4のTHを超えて図中の上側(異常領域)になることを抑制している。なお図4において、TDC(上死点)を0度とし図中下方向をマイナスとしている。
S306へと戻る。過渡状態でないと判断されたのであれば(N)S311へと進む。ここで、前記S307でセットしたカウンタcntが0で無ければ(N)S312へ進み、cntを1つ減算した後S308に戻る。S311においてcntが0であれば(Y)S313へと進み、k=KNとして、定常状態用の平滑化係数値、例えば0.8程度の値を取る。続いてS314へと進み、しきい値の割合cとして定常用の値CNを代入する。CNも同様に回転数と点火タイミングのマップ値とする。
次にS315ではBGLの変動を調整するための判断を行う。まずdataが前回のBGLn−1よりも小さい場合は(Y)、S316のBGL算出処理へと進む。BGLn−1よりdataが大きい場合には(N)S317へと進み、平滑化係数kに補正量Dを加える。ここで補正量を負の値にすればBGLをDPの分布中の高い側で推移させることができる。逆に正の値にすればBGLをDPの分布中の低い側で推移させることができる。DPが大きく増減するような条件下では、Dに負の値を入れることで誤検出を防止出来るようになる。Dは回転数とIGTのマップ値としておくとよい。
S318へと進み、dataがさらにTHn−1よりも進角側にある場合には(Y)S319へと進み、平滑化係数kに補正量Uを加える。Uには通常は正の値を与え、BGLが不必要に上昇することを防ぐ。dataがTHn−1よりも進角側にある場合、これは異常燃焼が発生している状態である。異常燃焼のデータをそのまま用いてBGL算出するとBGLが異常燃焼を示す付近まで上昇してしまう恐れがあり、この場合異常燃焼の検出精度が低下してしまう。従ってこのような場合にはBGLの不必要な変動を抑制するために平滑化係数を大きくする方向に補正するとよい。またこのような場合にはこのdataをBGL演算から単純に除外するという方法でもよい。平滑化係数は0と1の間の値でなければならないのでこれを超えないようにS317、S319においてはクリップ処理を加える。
S316ではこれまでに決定した平滑化係数値kを前回のBGLn−1に掛かる係数として用いてBGL算出処理を行う。最後に、S320ではこれまでに決定したBGLn−1としきい値割合cとIGTを用いて最終的なしきい値THnを算出する。ただし、THは下限値LとIGTの間の値でなければならないので、これを超えないようにクリップ処理を加えて処理のフローは終了となる。BGLは図4において、各々のDP値に基づき移動平均値となっていることを示している。またしきい値THは、このBGLとIGTにより算出され、検出範囲内に入った領域、及び過渡状態ではBGLの影響を極力抑えた急な変動を示している。
次に図5に示す異常検出処理について説明する。S501で、図3に求めた可変しきい値THと最新のdataとを比較する。ここでdataの方が小さい、つまりdataの方が遅角側の場合(N)、S502に進み正常燃焼と判断する。一方、S501でdata>TH、進角側の場合(Y)、S503に進み異常と判断する。そして異常燃焼と判断されると、異常燃焼をこれ以上拡大させないように内燃機関の制御を補正する必要がある。例えば、入力バルブの開成タイミングを遅らせることにより内燃機関の圧縮比を落とす。燃料量を増加、燃料噴射タイミングの遅延により内燃機関自体の温度を下げる、最終的には燃料噴射を中断する等の制御を行うことで異常燃焼を抑制し正常な燃焼に戻す。
前述ではTHをBGLとIGTとの間の割合として求めた。これに対し多少マッチング工数が増加する方向ではあるが、BGLを所定量オフセットした値をTHとして用いても近い効果を得ることができる。なお、オフセット量は点火時期等に応じたマップ値としておけばよい。
またBGLの初期値、つまり検出範囲外にいる場合はBGL=IGTとしているが、IGT時点以降にイオン電流が発生するため、IGTより遅角値を初期値とすることにより、検出範囲内に入った場合の応答性を向上することも可能である。
また、異常燃焼と判断された場合には図3のS316におけるBGL算出自体を中断する。又はその係数である(1−k)を極力小さい値とすることにより、異常燃焼判定中のdataがBGLに影響を及ぼすことがないように処理を行うことも可能である。
またBGLの平滑化である移動平均は、単純移動平均、加重移動平均、指数移動平均等種々の平均値算出方法を採用できる。
以上によりこの発明の装置によれば、多少のキャリブレーション変更や環境変化があっても同等レベルの検出性を維持することができるようになり、またマッチング工数を大幅に削減することができるようになり、より精度良く目標の内燃機関効率を得ることができるようになる。従って燃料枯渇問題、環境保全に役立てることができるようになる。
この発明の燃焼状態検出装置は、内燃機関を利用する自動車、二輪車、船外機、他特機などに搭載され、内燃機関を効率良く運転できるようにし、燃料枯渇問題、環境保全に役立つものである。
1 ECU、2 イオン電流検出装置搭載点火コイル、3 点火プラグ、101
点火信号装置、102 高電圧装置、103 イオン電流検出装置、104 信号取込装置、105 発生検出装置、106 終了検出装置、107 燃焼診断装置

Claims (6)

  1. 内燃機関に点火信号を発生させる制御装置と、前記内燃機関の気筒の燃焼室内に吸入された可燃混合気に点火し燃焼させる点火装置と、前記可燃混合気の燃焼により前記燃焼室内に発生するイオンを検出するイオン電流検出装置と、前記イオン電流検出装置から得られる点火タイミング後の前記イオン電流から得られたイオン信号の終了タイミングを検出する終了検出装置と、前記イオン信号の終了タイミングと比較するための比較タイミングを設定し、前記イオン信号の終了タイミングが前記比較タイミングより進角側である場合に燃焼が異常であると判断する燃焼診断装置を備えた内燃機関の燃焼状態検出装置において、
    前記燃焼診断装置は、前記イオン信号の各々の終了タイミングの値を用いて平滑化を施した平滑値を設定するとともに、前記平滑値と前記点火タイミングとの間の割合を設定し、前記内燃機関の運転状況に応じて前記割合を可変することにより、前記比較タイミングを設定することを特徴とする内燃機関の燃焼状態検出装置。
  2. 燃焼診断装置は、点火タイミング、回転数、負荷、充填効率のうちの少なくとも一つに応じて過渡状態と判断し、過渡状態ではそれ以外の状態より前記割合を大きく変化させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  3. 燃焼診断装置は、点火タイミング、回転数、負荷、充填効率のうちの少なくとも一つに応じて過渡状態と判断し、過渡状態ではそれ以外の状態より前記平滑値の応答速度を早くすることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  4. 燃焼診断装置は、異常燃焼と判断されるイオン信号の前記終了タイミングの値が前記平滑値に影響を与えない、もしくは影響を抑えるようにすることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  5. 燃焼診断装置は、燃焼状態を検出する必要がないと判断される状況においては処理を行わず、平滑値を所定の定数、もしくは所定の点火タイミング値とすることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
  6. 制御装置は、内燃機関の点火信号を1回の圧縮工程又は燃焼行程の間に複数回発生し、1回目の点火信号と2回目の点火信号の間隔を前記内燃機関の回転数、負荷、点火時期の燃焼制御パラメータの内の少なくとも1つに基づいて変化させることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の燃焼状態検出装置。
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