ところで、近年の画像記録装置の需要として、多様な用紙サイズへの対応が挙げられる。これまでの文書印刷で多用されていたA4サイズよりも大きいサイズの用紙を収容するためには、トレイサイズの大型化が必要となる。しかし、大きいサイズの用紙を収容するために供給トレイを大型にすると、それに伴って供給トレイの幅方向のサイズは長くなる。
供給トレイの幅方向が長くなるに応じて、側壁に設けられたカム部から供給ローラまでの距離も長くなる。被係合部と摺接する係合部材は、供給ローラから被係合部に向かって延出するようにホルダ部に設けられるため、被係合部から供給ローラまでの距離が長くなると、係合部材も長くなる。
しかしながら、供給トレイを装置本体から引き出す際、係合部材と被係合部とが係合することにより、係合部材には引き出し方向の力が作用することとなる。また、確実に用紙を供給するために、供給ローラやホルダ部には供給ローラが用紙に当接する方向に付勢力が働いている。従って、供給トレイの引き出し時に係合部材の両端側に作用する力の方向が異なることにより、係合部材にはネジレが発生する。
さらに、トレイサイズの大型化に伴って係合部材が長くなると、供給トレイの引き出し時に係合部材に生ずるネジレは増大する。そのため、供給トレイが引き出される際に、供給ローラ及びホルダ部が所定量持ち上がらずに供給トレイの奥壁と干渉し、供給トレイが引き出されないおそれがある。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、大サイズの用紙を収容可能でありながら、支障なく画像記録装置本体から進退動可能な供給トレイ、及びその供給トレイを備えた画像記録装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、請求項1に記載の画像記録装置は、少なくとも奥壁と一対の側壁と底面と、からなるトレイ枠を有し、当該画像記録装置本体に対して被記録媒体の供給方向に進退動可能に構成され、被記録媒体を収容可能な供給トレイと、前記供給トレイの前記底面に配設され、前記底面上にて前記供給方向と平行な方向に延出されるとともに、前記供給方向と直交する方向に移動可能に構成され、被記録媒体の前記供給方向に沿った側縁をガイドする側縁ガイドと、前記供給トレイから供給された被記録媒体に画像を記録する画像記録部と、前記供給トレイに収容された被記録媒体の最上面に当接し、前記画像記録部へ被記録媒体を送出する供給ローラと、前記供給方向と直交する方向に延出されている支軸を中心軸として揺動可能に構成され、前記供給ローラを一端側に回転可能に支持したホルダ部と、前記ホルダ部から前記供給方向と直交する方向に延出して設けられ、前記底面と対向する面を有する係合部材と、前記側縁ガイドに設けられ、前記供給トレイの退動時に前記係合部材が摺接可能に係合し前記ホルダ部を上下動させるガイド被係合部と、前記側壁に設けられ、前記供給トレイの退動時に前記側縁ガイドよりも後に前記係合部材が摺接可能に係合し前記ホルダ部を上下動させる側壁被係合部と、を有することを特徴とすることを特徴としている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像記録装置において、前記ガイド被係合部と前記側壁被係合部とは、前記供給方向と平行な方向において前記底面からの高さが変化する傾斜を有し、前記ガイド被係合部の前記底面に対する傾斜角度は、前記側壁被係合部の前記底面に対する傾斜角度よりも小さいことを特徴としている。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像記録装置において、前記側縁ガイドは、前記供給方向と直交する方向に隔てられて一対設けられており、前記係合部材は、前記底面と向かい合う面内において前記供給方向と直交する方向に、前記ホルダ部の一方の側方のみから延出しており、前記ガイド被係合部は、一対の前記側縁ガイドのうち、前記係合部材が延出する側方領域に設けられた前記側縁ガイドにのみ設けられ、前記側壁被係合部は、一対の前記側壁のうち、前記係合部材が延出する側方領域に設けられた前記側壁にのみ設けられていることを特徴としている。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像記録装置において、前記側縁ガイドは、前記供給方向と直交する方向に隔てられて一対設けられており、前記係合部材は、前記底面と向かい合う面内において前記供給方向と直交する方向に、前記ホルダ部の両方の側方から延出し、前記ガイド被係合部は一対の前記側縁ガイドの両方に設けられ、前記側壁被係合部は一対の前記側壁の両方に設けられることを特徴としている。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像記録装置において、前記係合部材は、前記側壁被係合部と係合する側壁係合部材と、前記ガイド被係合部と係合するガイド係合部材と、で構成されることを特徴している。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像記録装置において、前記ガイド被係合部は、前記底面からの高さが前記供給方向に向かって高くなるよう設けられ、前記側壁被係合部は、前記底面からの高さが前記供給方向に向かって高くなるよう設けられることを特徴としている。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像記録装置において、前記側壁被係合部は、前記ガイド被係合部よりも前記供給方向において下流側に位置することを特徴としている。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の画像記録装置において、前記側壁被係合部の前記底面からの高さが前記ガイド被係合部の前記底面からの高さ以上であり、前記側壁の前記底面からの高さが前記奥壁の前記底面からの高さ以上であり、前記側壁被係合部は、前記側壁の上方端部まで高くなるよう設けられていることを特徴としている。
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像記録装置において、被記録媒体を収容し前記供給トレイに対して積層状態で前記トレイ枠内に配置され、前記供給方向と平行な方向に移動可能な第2トレイを有し、前記供給ローラは、前記第2トレイに収容された被記録媒体の最上面に当接して、前記画像記録部へ被記録媒体を送出可能であることを特徴としている。
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の画像記録装置において、前記係合部材は、前記側縁ガイドの移動範囲において前記ガイド被係合部と摺接可能に構成されていることを特徴としている。
請求項11に記載の供給トレイは、画像記録部と、被記録媒体を前記画像記録部に供給する供給ローラと、支軸によって揺動可能に構成され前記供給ローラを一端側に回転可能に支持したホルダ部と、前記支軸に沿って延びて前記ホルダ部に設けられた係合部材と、を有する画像記録装置のフレームに対して被記録媒体の供給方向と平行な方向において進退動可能に構成され、少なくとも奥壁と一対の側壁と底面とからなるトレイ枠を有し、被記録媒体を収容可能な供給トレイであって、前記供給トレイの前記底面上に配設され、前記底面上にて前記供給方向と平行な方向に延出されるとともに、前記供給方向と直交する方向に移動可能に構成され、被記録媒体の前記供給方向に沿った側縁をガイドする側縁ガイドと、前記側縁ガイドに設けられ、前記供給トレイの退動時に前記係合部材が摺接可能に係合し前記ホルダ部を上下動させるガイド被係合部と、前記側壁に設けられ、前記供給トレイの退動時に前記側縁ガイドよりも後に前記係合部材が摺接可能に係合し前記ホルダ部を上下動させる側壁被係合部と、を有することを特徴としている。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の供給トレイにおいて、前記ガイド被係合部と前記側壁被係合部とは、前記供給方向と平行な方向において前記底面からの高さが変化する傾斜を有し、前記ガイド被係合部の前記底面に対する傾斜角度は、前記側壁被係合部の前記底面に対する傾斜角度よりも小さいことを特徴としている。
請求項13に記載の発明は、請求項11または12に記載の供給トレイにおいて、前記ガイド被係合部は、前記底面からの高さが前記供給方向に向かって高くなるよう設けられ、前記側壁被係合部は、前記底面からの高さが前記供給方向に向かって高くなるよう設けられることを特徴としている。
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の供給トレイにおいて、前記側壁被係合部は、前記ガイド被係合部よりも前記供給方向において下流側に位置することを特徴としている。
請求項15に記載の発明は、請求項13または14に記載の供給トレイにおいて、前記側壁被係合部の前記底面からの高さが前記ガイド被係合部の前記底面からの高さ以上であり、前記側壁の前記底面からの高さが前記奥壁の前記底面からの高さ以上であり、前記側壁被係合部は、前記側壁の上方端部まで高くなるよう設けられていることを特徴としている。
請求項16に記載の発明は、請求項項11ないし15のいずれかに記載の供給トレイにおいて、被記録媒体を収容し前記供給トレイに対して積層状態で前記トレイ枠内に配置され、前記供給方向と平行な方向に移動可能な第2トレイを有し、前記供給ローラは、前記第2トレイに収容された被記録媒体の最上面に当接して、前記画像記録部へ被記録媒体を送出可能であることを特徴としている。
請求項1に記載の画像記録装置及び請求項11に記載の供給トレイによれば、供給ローラを一端に有するホルダ部に設けられた係合部材と、供給トレイの退動時に係合部材が摺接可能に係合しホルダ部を上下動させるガイド被係合部と、同様に供給トレイの退動時に側縁ガイドよりも後に前記係合部材が摺接可能に係合しホルダ部を上下動させる側壁被係合部とが設けられている。装置本体から供給トレイが引き出されると、係合部材はガイド被係合部と側壁被係合部との両者に摺接し、係合部材が設けられたホルダ部及び供給ローラが持ちあげられる。
この時、引き出し方向の力は、側壁より供給ローラに近い側縁ガイドの位置で先に係合部材に作用する。ガイド被係合部は、用紙幅方向において側壁被係合部よりも供給ローラに近い。すなわち、ガイド被係合部は、側壁被係合部よりも、ホルダ部および供給ローラに作用している下方向への付勢力の作用位置に近い。係合部材のうち、ガイド被係合部と係合する部分がこの引き出し方向の力を先に分担するため、係合部材にネジレが生じ難く、供給ローラは確実に持ちあげられる。従って、供給トレイは、画像記録装置本体から円滑に進退動可能となる。
請求項2に記載の画像記録装置及び請求項12に記載の供給トレイによれば、ガイド被係合部と側壁被係合部とは、底面からの高さが変化する傾斜を有し、ガイド被係合部の底面に対する傾斜角度は、側壁被係合部の傾斜角度よりも小さい。従って、供給トレイを装置本体から引き出す際に、ガイド被係合部と係合部材との係合角度は小さくなり、係合部材とガイド被係合部とが食いつくことなく、円滑かつ確実に係合部材が摺接できる。
請求項3に記載の画像記録装置によれば、ガイド被係合部および側壁被係合部が、ホルダ部の一方の側方からのみ延出している係合部材に摺接する構成であるため、ホルダ部及び係合部材の構成の簡易化が可能となり、部品の製造コスト低減及び装置組み付けの容易化が可能となる。
請求項4に記載の画像記録装置によれば、係合部材はホルダ部の両方の側方から延出し、一対の側縁ガイドのそれぞれにガイド被係合部が設けられ、一対の側壁のそれぞれに側壁被係合部が設けられる。そのため、係合部材は供給ローラを挟んだ2点で側壁被係合部と係合し、ガイド被係合部とも供給ローラを挟んだ2点で係合する。従って、使用者が供給トレイを引き出す時に、引き出し方向の力が供給ローラの両側に位置する被係合部に分担され、供給ローラの持ちあげが引き出し操作に対して応答性良く行われる。
請求項5に記載の画像記録装置によれば、係合部材が側壁係合部材とガイド係合部材との2部材で構成されるため、側壁係合部材とガイド係合部材とがそれぞれ異なる大きさや形状に構成されることが可能である。従って、ガイド被係合部および側壁被係合部の各々は、他の被係合部の配置位置に制限されることなく、任意の位置に配置されることが可能となる。
請求項6に記載の画像記録装置及び請求項13に記載の供給トレイによれば、側壁被係合部とガイド被係合部とは共に供給方向に向かって高くなるため、供給方向と逆方向に供給トレイを引き出すという一つの操作のみで、供給ローラおよびホルダ部を持ちあげることが可能となる。
請求項7に記載の画像記録装置及び請求項14に記載の供給トレイによれば、側壁被係合部はガイド被係合部よりも供給方向下流側に位置しているため、確実にガイド被係合部が側壁被係合部よりも先に係合部材と係合できる。従って、係合部材のネジレが確実に防止できる。
請求項8に記載の画像記録装置及び請求項15に記載の供給トレイによれば、側壁被係合部はガイド被係合部以上の高さであり、側壁は奥壁以上の高さであり、側壁被係合部は側壁の上方端部まで高い。そのため、係合部材が側壁被係合部と摺接することで、供給ローラおよびホルダ部が供給トレイの奥壁を乗り越えられる高さまで確実に持ちあげられる。従って、供給トレイは画像記録装置本体から完全に引き出される。
請求項9に記載の画像記録装置及び請求項16に記載の供給トレイによれば、被記録媒体が第2トレイにも収容されるため、種々のサイズの被記録媒体を収容可能となる。また、供給ローラが第2トレイに収容された用紙の最上面に当接可能であり、第2トレイに収容された用紙は、記録部へ送出されるため、多種サイズの被記録媒体に画像を記録可能となる。また、第2トレイは供給トレイの枠内に積層状態で配置されるため、第2トレイを備えても供給トレイは薄型で構成できる。
請求項10に記載の画像記録装置によれば、係合部材は、移動可能に構成されている側縁ガイドの移動範囲においてのみガイド被係合部と摺接可能となる構成であるため、側縁ガイドが移動できない範囲においては係合部材が必要ないため、係合部材の大きさを小さくできる。
[第1の実施形態]
以下に、本発明を多機能型の画像記録装置に適用した第1の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。図1は本実施形態の画像記録装置1の外観斜視図である。この画像記録装置1は、いわゆる多機能装置であり、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能などの各種機能を有している。本実施形態では、プリンタ機能以外の機能は任意のものであり、スキャナ機能やコピー機能を有さない、単機能のプリンタとして実施されてもよい。なお、以下の説明において図1の画像記録装置1の手前側を前側とし、左右方向、前後方向、および上下方向を規定する。
<外観的構成>
図1に示すように画像記録装置1は略直方体形のケーシング2と、そのケーシング2の上部に配置された原稿読取部3と、ケーシング2の前方上部に配置された操作部4とを備えている。ケーシング2の前面には開口部5が形成されている。その開口部5には、供給トレイ6が進退可能に装着される。供給トレイ6は、被記録媒体としての用紙を堆積状態で収容した第1供給トレイ10と、その第1供給トレイ10の上方に積層状に配置され、用紙を堆積状態で収容する第2供給トレイ11とから構成される。供給トレイ6の詳細な構成については後述する。
原稿読取部3は、コピー機能やファクシミリ機能において原稿の画像を読み取るものである。その原稿読取部3は、ケーシング2の後端側に回動可能に支持され、上下開閉可能となっている。原稿読取部3は、図示しない原稿載置用のガラス板と原稿カバー体とを備え、原稿カバー体はガラス板を覆うよう上下開閉可能に構成されている。図示しない原稿読取用スキャナはガラス板の下方に配置される。この構成により、ユーザが原稿カバー体を上方に開けてガラス板上に原稿を載置した状態で、原稿読取用スキャナが原稿を読み取る。
操作部4は、ケーシング2の上部前方に配置され、各種操作ボタンを備えた操作パネルと操作手順や実行中の処理の状態を表示する液晶ディスプレイとを備えている。操作ボタンとしてはストップボタンやスタートボタンが含まれ、ユーザがこれらの操作ボタンを押下することによって、各種操作が行われる。また、画像記録装置1の設定状態や各種の操作メッセージなどが必要に応じて液晶ディスプレイに表示される。
<内部的構成>
次に、図2を参照して、画像記録装置1の内部的構成の詳細について説明する。図2は画像記録装置1の供給トレイ6、給紙機構7及び記録部8の側断面図である。本実施形態の記録部8は、本発明の画像記録部に相当する。
図2に示すように、図1における画像記録装置1本体の開口部5に供給トレイ6が装着された状態では、給紙機構7が供給トレイ6の後端側の上方に配置される。記録部8は、供給トレイ6および給紙機構7の上方に配置される。図2中の矢印Xは用紙の供給方向を示し、本発明における被記録媒体の供給方向に相当する。供給トレイ6に収容された用紙は、給紙機構7によって供給方向Xへ供給され、用紙搬送路9を通り、記録部8に向かって矢印Sで示す搬送方向へ搬送される。給紙機構7の詳細な構成については後述する。
記録部8では、一対のガイド部材82、83が図示しない本体フレームに固定されている。ガイド部材82、83は、図1における左右方向に延びた板状となっていて、キャリッジ81は、ガイド部材82、83によって摺接可能に支持されている。キャリッジ81の下面には、記録ヘッド84が下向きに設けられており、プラテン85が、記録ヘッド84の下面と対向するように両ガイド部材82、83の間に配設されている。レジストローラ対86は、用紙の搬送方向Sにおいてプラテン85の上流側に配置され、排紙ローラ対87がプラテン85の下流側に配置されている。
レジストローラ対86は、用紙搬送路9を通って搬送されてきた用紙を記録ヘッド84の下面に送る。記録ヘッド84は搬送されてきた用紙に画像を記録し、排紙ローラ対87は画像が記録された用紙を、第2供給トレイ11の上面に設けられた排紙受け部61上に排出する。プラテン85は、搬送される用紙と記録ヘッド84との間隔が一定になるように用紙を支持する。
(給紙機構の構成)
次に給紙機構7の構成について、図3および図4を参照しながら詳述する。図3は給紙機構7の斜視図であり、図4は供給トレイ6の上方に給紙機構7が配置された状態を示している。
図3において、給紙機構7は、駆動軸71と、ホルダ部72と、一対の供給ローラ73と、駆動伝達機構74とを有する。駆動軸71は、右方向から左方向へ延びるに従って中心軸一定で段階的に直径が小さく形成される。駆動軸71は、供給方向Xと直交方向である左右方向に延出し、画像記録装置1の内部に設けられた図示しない本体フレームに回転可能に支持されている。駆動軸71の右側の一端側にはギヤ75が取り付けられており、ギヤ75は、画像記録装置1本体に設けられたギヤ列などの公知の連結駆動機構を介して駆動モータと連結している。
図3における駆動軸71の左側には、ホルダ部72が揺動可能に形成されている。駆動伝達機構74はギヤ列からなり、ホルダ部72内において駆動軸71と供給ローラ73とを連結している。従って、駆動モータからの駆動は、ギヤ75、駆動軸71、駆動伝達機構74を介して供給ローラ73まで伝達される。本実施形態の駆動軸71、ホルダ部72および供給ローラ73は、本発明の支軸、ホルダ部および供給ローラに相当する。
ホルダ部72の右側方からは、係合部材76が駆動軸71に沿って延出している。ホルダ部72および係合部材76は合成樹脂材で成形される。係合部材76は薄い板状であり、ホルダ部72と一体に構成される。図4に示すように、係合部材76は、供給方向Xと直交する左右方向に延出し、底面と対向する面を有している。つまり、係合部材76の板状の広い面と第1供給トレイの底面12とは、その面同士が直交せず、対向するよう設定されている。本実施形態の係合部材76は、本発明の係合部材に相当する。
図4において、ホルダ部72及び供給ローラ73は、供給トレイ6の左右方向である幅方向において略中央に配置されるため、係合部材76の延出方向の長さは、供給トレイ6の幅方向における長さの略半分である。
コイルバネ77が、図4では省略されているが、図3において駆動軸71の左側端部に巻装されている。コイルバネ77の一端はホルダ部72に係止され、他端は本体フレームに係止される。ホルダ部72は、コイルバネ77によって下方向に付勢され、供給ローラ73は、供給トレイ6内に積載された用紙の最上面に圧着する。供給ローラ73は、駆動モータからの動力の伝達によって回転し、用紙を記録部8に向かって一枚ずつ供給する。
(供給トレイの構成)
次に供給トレイ6の構成について、図4、図5および図6を参照して詳述する。図5は、給紙機構7を取り外した状態における供給トレイ6の一部拡大図である。
図4において、供給トレイ6は第1供給トレイ10と第2供給トレイ11とから構成されている。第2供給トレイ11は第1供給トレイ10の上方に配置されている。第2供給トレイ11の前方部分には、排紙受け部61が形成されており、記録部8にて画像が記録された用紙を上面にて受ける排紙部として機能する。本実施形態の供給トレイ6、第1供給トレイ10、第2供給トレイ11は、本発明の供給トレイ、第1トレイ、第2トレイに相当する。
第1供給トレイ10は、底面12と、把出部13と、左右両側壁14、15と、奥壁16とで構成される。本実施形態の底面12と左右両側壁14、15と奥壁16とは、それぞれ本発明の底面、側壁、奥壁に相当する。奥壁16は、両側壁14、15の供給方向下流側端部、すなわち後方側端部にそれぞれ連結されており、内面側に公知の弾性分離パッドを備え、分離傾斜板として機能する。
第2供給トレイ11は、第1供給トレイ10のトレイ枠内領域に積層状態で配置されている。すなわち、第2供給トレイ11は、第1供給トレイ10に対して積み重なった状態で、第1供給トレイ10の側壁14、15と奥壁16と底面12とからなるトレイ枠で囲まれる空間内の上方領域に、はまりこむよう配置される。
第2供給トレイ11は、第1供給トレイ10の側壁14、15に摺接可能に支持され、供給方向Xと平行な方向に進退可能となっている。第2供給トレイ11は、進退動可能に構成されており、使用しないときには図4の状態のように前方向に位置しており、使用するときには後方向にスライドする。
第2供給トレイ11は、第1供給トレイ10とは異なり、ハガキまたはL版等の小さいサイズの用紙を複数枚収容する。第2供給トレイ11を使用するときには、ホルダ部72および供給ローラ73は駆動軸71を中心に揺動して上方向に持ちあげられる。供給ローラ73は、第2供給トレイ11に収容された用紙と当接し、収容された用紙は、供給ローラ73の回転によって、記録部8に向かって供給される。第2供給トレイ11の具体的な構成については、特許文献1に記載されている供給トレイと同様であるため、詳細な説明は省略する。
第1供給トレイ10内において、一対の側縁ガイド17、18が、左右両側壁14、15の間で底面12に配設される。側縁ガイド17、18の各々は供給方向Xに平行な方向に延出している。公知のラック・ピニオン機構によって連結され、供給方向Xと直交する左右方向に連動して移動可能であり、被記録媒体の供給方向に沿った側縁をガイドする。この側縁ガイド17、18は、第1供給トレイ10の上方に配置される第2供給トレイ11と干渉しない程度の高さに構成されている。本実施形態の側縁ガイド17、18は、本発明の側縁ガイドに相当する。
図4に示すように、係合部材76がホルダ部72の右側方から側壁14の配置位置まで延出している。本実施形態におけるこの延出領域は、本発明の係合部材が延出する側方領域に相当する。
側壁14の後方上端部には、係合部材76と摺接可能に係合しホルダ部72を上下動させる側壁被係合部141が設けられている。図5に示すように、側壁被係合部141は、側壁下降部141aと側壁上昇部141bとで構成される。側壁下降部141aは、側壁上端部14A1から供給方向Xの下流側に向かって、底面12からの高さが低くなるよう構成される。側壁上昇部141bは、側壁下降部141aの最も低い位置から側壁上端部14B1まで、供給方向Xの下流側に向かって底面12からの高さが高くなるよう構成される。このように側壁被係合部141は、底面12からの高さが用紙の供給方向Xに沿って変化するよう形成されている。
図4に示すように、係合部材76の延出領域には、側縁ガイド17が配置されており、この側縁ガイド17の後方上端部には、係合部材76と摺接可能に係合しホルダ部72を上下動させるガイド被係合部171が設けられている。側壁被係合部141およびガイド被係合部171は、それぞれ滑らかな斜面を有している。
図5に示すように、ガイド被係合部171は、ガイド下降部171aとガイド上昇部171bとで構成される。ガイド下降部171aは、ガイド上端部17A1から供給方向Xの下流側に向かって、底面12からの高さが低くなるよう構成される。ガイド上昇部171bは、ガイド下降部171aの高さが最も低い位置からガイド上端部17B1まで、供給方向Xの下流側に向かって底面12からの高さが高くなるよう構成される。このようにガイド被係合部171は、底面12からの高さが供給方向Xに沿って変化するよう形成されている。
図6(A)は、図5に示す側壁被係合部141およびガイド被係合部171を部分的に拡大して示す側面図である。図6(A)において、側壁上昇部141bとガイド上昇部171bとが、各上昇部の高さがそれぞれ最も低い部分から供給方向Xの下流側に位置する底面12となす角のうち、各上昇部から反時計回り方向の角を傾斜角度とする。ガイド上昇部171bの底面12に対する傾斜角度β1は、側壁上昇部141bの底面12に対する傾斜角度α1よりも小さく設定されている。すなわち、ガイド上昇部171bの傾斜は、側壁上昇部141bの傾斜よりも傾きが緩やかである。
さらに、側壁被係合部141の側壁上昇部141bの高さが最も低い位置は、ガイド被係合部171のガイド上昇部171bの高さが最も低い位置よりも、供給方向Xにおいて下流側に位置している。すなわち、ガイド被係合部171のガイド上昇部171bは、側壁被係合部141の側壁上昇部141bよりも供給方向Xにおいて上流側の位置から延びて、側壁上端部17B1まで上昇している。側壁被係合部141の側壁上昇部141bは、ガイド被係合部171のガイド上昇部171bよりも供給方向Xにおいて下流側の位置まで延びて、側壁上端部14B1まで上昇している。
また、側壁被係合部141の側壁上昇部141bの高さが最も低い位置の、底面12からの高さは、ガイド被係合部171のガイド上昇部171bの高さが最も低い位置の、底面12からの高さよりも低い。
上記構成によって、側壁被係合部141とガイド被係合部171とは、側面視において交差する点Pを有する。図6(b)は、図6(a)における点P周辺の拡大図である。点Pよりも供給方向Xにおいて上流側では、ガイド上昇部171bの底面12からの高さは、側壁上昇部141bの底面12からの高さよりも高い。そして、点Pよりも供給方向Xにおいて下流側では、側壁上昇部141bの底面12からの高さは、ガイド上昇部171bの底面12からの高さよりも高い。
従って、後述する供給トレイ6の引き出し操作時に、ガイド被係合部171は側壁被係合部141よりも先に係合部材76と係合可能となる。本実施形態における側壁14および側壁被係合部141のうち、供給方向Xにおいて点Pより下流側に位置し係合部材76と摺接する部分が、本発明の側壁被係合部に相当する。本実施形態におけるガイド被係合部171のガイド上昇部171bのうち、供給方向Xにおいて点Pより上流側に位置し係合部材76と摺接する部分が、本発明のガイド被係合部に相当する。
<供給トレイおよび給紙機構の係合動作>
次に、図7から図15を参照して、供給トレイ6が画像記録装置1の開口部5に対して引き出される際または挿入される際の、供給トレイ6と給紙機構7との位置関係について詳述する。図7から図15は、供給トレイ6の側壁被係合部141およびガイド被係合部171と係合部材76との係合状態の推移を模式的に示す。
(引き出し操作時の係合動作)
図7は供給トレイ6が画像記録装置1に装着されている装着状態を示す。この状態では係合部材76は側壁被係合部141の側壁上昇部141bおよびガイド被係合部171のガイド上昇部171bと接触していない。ホルダ部72および係合部材76は、駆動軸71を支軸として供給方向Xの上流側よりも下流側が下がった姿勢に保たれ、供給ローラ73は供給トレイ6内に積載された用紙に圧着したままである。
図8は、供給トレイ6が前方向である図中Y方向にわずかに引き出された引き出し開始の状態を示す。まず、係合部材76がガイド被係合部171のガイド上昇部171bと係合する。この時、側壁被係合部141の側壁上昇部141bは係合部材76と係合していない。従って、引き出し方向の力は、係合部材76の中で、ガイド被係合部171bと係合する部分に作用する。供給トレイ6の幅方向において、ガイド被係合部171が設けられた側縁ガイド17は、側壁被係合部141が設けられた側壁14よりも給紙機構7に近いため、ネジレが係合部材76に生じ難い。
図9は、供給トレイ6がY方向にさらに引き出された引き出し途中の第1状態を示す。供給トレイ6が引き出されるに伴い、係合部材76はガイド上昇部171bとの係合角度θ1を小さくしつつ、供給方向Xの下流側に向かって上昇するガイド上昇部171bに沿って上方へ摺接する。係合部材76とガイド上昇部171bとが摺接するに従って、ホルダ部72および供給ローラ73は、駆動軸71を支軸として時計回り方向に揺動して上方向に持ちあげられる。
図10は、図9に示す引き出し途中の第1状態より、供給トレイ6がY方向にさらに引き出された引き出し途中の第2の状態を示す。供給トレイ6がY方向に引かれ、係合部材76がガイド被係合部171と摺接し続けると、係合部材76は点Pを通過し、側壁被係合部141の側壁上昇部141bと係合する。係合部材76と側壁被上昇部141bとが摺接するに従って、ホルダ部72および供給ローラ73は駆動軸71を支軸として時計回り方向に揺動してさらに上方向に持ちあげられる。
図11は、図10に示す引き出し途中の第2状態より、供給トレイ6がY方向にさらに引き出された引き出し途中の第3状態を示す。図12は、図11に示す引き出し途中の第3状態より供給トレイ6がY方向にさらに引き出された時に、供給ローラ73の持ちあげが完了した状態を示す。
供給トレイ6が図10に示した状態からY方向に引かれると、図11に示すように係合部材76はそのまま側壁上昇部141bと係合し続け、図12に示すように係合部材76は側壁上昇部141bの上端部である側壁上端部14B1まで上昇する。係合部材76の上昇に従って、ホルダ部72および供給ローラ73も駆動軸71を支軸として揺動し、側壁被上端部14B1の高さまで持ちあげられる。側壁14の底面12からの高さは、奥壁16の底面からの高さ以上としているため、ホルダ部72および供給ローラ73は、奥壁16を乗り越えられる高さに持ちあげられることになる。
図12に示す状態からさらに供給トレイ6がY方向に引き出されると、図13に示すようにホルダ部72および供給ローラ73が奥壁16を乗り越える。そのまま供給トレイ6が引き出され続けることで、図14に示すように給紙機構7全体が奥壁16を乗り越え続け、図15のように供給トレイ6は画像記録装置1から完全に引き出されることとなる。
(挿入操作時の係合動作)
一方、供給トレイ6が画像記録装置1の開口部5に対して挿入される場合、まず、図13および図14に示すように、供給トレイ6の奥壁16および側壁上端部14B1が給紙機構7の係合部材76と接する。供給ローラ73およびホルダ部72は、奥壁16を乗り越え可能な高さまで押し上げられる。その後は上述の引き出し動作と逆に進行し、図7に示す様に、ホルダ部72および係合部材76は、駆動軸71を支軸として供給方向上流側よりも下流側が下がった姿勢に下降し、供給ローラ73は供給トレイ6内に積載された用紙に圧着する。
以上説明したように、供給ローラ73を持ちあげるために、ガイド被係合部171が供給トレイ6の側縁ガイド17に設けられ、側壁被係合部141がガイド被係合部171よりも供給方向下流側に位置するよう側壁14に設けられ、両被係合部141、171は、給紙機構7の係合部材76と係合可能に構成される。供給トレイ6が画像記録装置1本体に対して引き出される際には、係合部材76はガイド被係合部171と先に係合し、その係合部分に先に引き出し方向の力が作用する。バネ77により付勢されているホルダ部72および供給ローラ73に近い位置で引き出し方向の力が作用するため、係合部材76にネジレが生じ難い。
また、ガイド上昇部171bの底面に対する傾斜角度β1は側壁上昇部141bの底面に対する傾斜角度α1よりも小さく構成されている。係合部材76は、ガイド上昇部171bと係合した後に、側壁上昇部141bと係合するが、係合部材76と側壁上昇部141bとが係合する時点では、給紙機構7全体が駆動軸71を支軸としてある程度上方へ揺動している。従って、係合部材76は、先に傾斜の緩やかなガイド上昇部171bと係合し、その後に係合角度θ1が小さくなった状態で側壁上昇部141bと係合することから、ガイド被係合部171および側壁被係合部141に食いつくことがない。
係合部材76はガイド被係合部171と係合した後に、側壁被係合部141と係合する。側壁被係合部141は、側壁上端部14B1まで形成されており、側壁14の底面12からの高さは、奥壁の底面12からの高さ以上であるため、ホルダ部72および供給ローラ73は奥壁を乗り越え可能な高さまで持ちあげられる。
上述したように供給トレイ6および給紙機構7が構成されるため、供給トレイ6は給紙機構7に引っ掛かることなく、画像記録装置1本体から円滑に進退動可能となっている。
[第2の実施形態]
(供給トレイおよび給紙機構の構成)
本発明の第2の実施形態における供給トレイおよび給紙機構の構成について、図16および図17を参照して詳述する。図16は、供給トレイ6上方に給紙機構7を配置した状態における一部拡大図であり、図17は供給トレイ6において給紙機構7の係合部材76と係合する側壁被係合部141およびガイド被係合部171を部分的に拡大して示す側面図の模式図である。第2の実施形態は、供給トレイと給紙機構とが係合する構成が異なる他は、第1の実施形態と同様の構成であるので、以下異なる部分についてのみ詳述する。
図16に示すように、給紙機構7のホルダ部72の右側方からは、係合部材76が駆動軸71に沿って延出している。本実施形態では、係合部材76は、ガイド係合部材761と側壁係合部材762との2部材で構成されている。ガイド係合部材761は、ホルダ部72の右側方から側壁14に当接しない位置まで延出し、ガイド被係合部172と係合可能に構成されている。
側壁係合部材762は、ガイド係合部材761の右端部に固定され、側壁被係合部142と係合可能に構成されている。駆動軸71と直交する方向において、駆動軸71からの側壁係合部材762の自由端までの長さは、駆動軸71からガイド係合部材761の自由端までの長さの半分以下の長さに設定されている。本実施形態のガイド係合部材761と側壁係合部材762とは、本発明のガイド係合部材および側壁係合部材に相当する。
図16に示すように、係合部材76はホルダ部72の右側方から側壁14の配置位置まで延出しており、側壁14の後方上端部には、側壁被係合部142が設けられている。図17に示すように、側壁被係合部142は、側壁下降部142aと側壁上昇部142bとで構成される。側壁下降部142aは、側壁上端部14A2から供給方向Xの下流側に向かって、底面12からの高さが低くなるよう構成される。側壁上昇部142bは、側壁下降部142aの最も低い位置から供給方向Xの下流側の側壁上端部14B2に向かって、底面12からの高さが高くなるよう構成される。このように側壁被係合部142は、底面12からの高さが用紙の供給方向Xに沿って変化するよう定められている。
係合部材76の延出領域には、側縁ガイド17が配置されており、この側縁ガイド17の後方上端部には、ガイド被係合部172がガイド係合部材761と係合可能に設けられている。図17に示すように、ガイド被係合部172は、ガイド下降部172aとガイド上昇部172bとで構成される。ガイド下降部172aは、ガイド上端部17A2から供給方向Xの下流側に向かって、底面12からの高さが低くなっている。ガイド上昇部172bは、ガイド下降部172aの最も低い位置から供給方向Xの下流側のガイド上端部17B2に向かって、底面12からの高さが高くなっている。このようにガイド被係合部171は、底面12からの高さが用紙の供給方向Xに沿って変化するよう定められている。
図17において、側壁被係合部142の底面12からの高さは、ガイド被係合部172の底面12からの高さよりも高い。側壁上昇部142bとガイド上昇部172bとが、各上昇部の高さがそれぞれ最も低い部分から供給方向Xの下流側に位置する底面12となす角のうち、各上昇部から反時計回り方向の角を傾斜角度とする。ガイド上昇部172bの底面12に対する傾斜角度β2は、側壁上昇部142bの底面12に対する傾斜角度α2よりも小さく設定されている。すなわち、ガイド上昇部172bの傾斜は、側壁上昇部142bの傾斜よりも傾きが緩やかである。
(供給トレイおよび給紙機構の動作)
次に、図18から図26を参照して、供給トレイ6が画像記録装置1の開口部5に対して引き出されるまたは挿入される際の、供給トレイ6と給紙機構7との位置関係について詳述する。図18から図26は、供給トレイ6の側壁被係合部142およびガイド被係合部172と係合部材76との係合状態の推移を模式的に示す。
(引き出し操作時の係合動作)
図18は供給トレイ6が画像記録装置1に装着されている装着状態を示す。この状態ではガイド係合部材761と側壁ガイド部材762とは、側壁被係合部142の側壁上昇部142bおよびガイド被係合部172のガイド上昇部172bと接触していない。ホルダ部72および係合部材76は、駆動軸71を支軸として供給方向Xの上流側よりも下流側が下がった姿勢に保たれ、供給ローラ73は供給トレイ6内に積載された用紙に圧着したままである。
図19は、画像記録装置1から供給トレイ6が前方向である図中Y方向にわずかに引き出された引き出し開始の状態を示す。まず、ガイド係合部材761がガイド被係合部172のガイド上昇部172bと係合する。この時、側壁被係合部142の側壁上昇部142bは、側壁係合部材762と係合していない。従って、引き出し方向の力は、ガイド係合部材761の中でガイド被係合部172bと係合する部分に作用する。供給トレイ6の幅方向において、ガイド被係合部172が設けられた側縁ガイド17は、側壁被係合部142が設けられた側壁14よりも給紙機構7に近いため、ネジレが係合部材76に生じ難い。
図20は、供給トレイ6がY方向にさらに引き出された引き出し途中の第1状態を示す。供給トレイ6が引き出されるに伴い、ガイド係合部材761はガイド上昇部172bとの係合角度θ2を小さくしつつ、供給方向Xの下流側に向かって上昇するガイド上昇部172bに沿って、上方へ摺接する。ガイド係合部材761とガイド上昇部172bとが摺接するに従って、ホルダ部72および供給ローラ73は、駆動軸71を支軸として時計回りに方向に揺動して上方向に持ちあげられる。
図21は、図20に示す引き出し途中の第1状態より、供給トレイ6がY方向にさらに引き出された引き出し途中の第2の状態を示す。ガイド係合部材761がガイド上昇部172bと摺接し続けると、図21に示すように側壁係合部材762が側壁被係合部142の側壁上昇部142bと係合する。この時、ガイド係合部材761は、ガイド上昇部172bもしくは側縁ガイド上端部17B2と当接している。側壁係合部材762と側壁被係合部142とが摺接するにしたがって、ホルダ部72および供給ローラ73は駆動軸71を支軸として、時計回り方向に揺動し、さらに上方向に持ちあげられる。
図22は、図21に示す引き出し途中の第2状態より、供給トレイ6がY方向にさらに引き出された引き出し途中の第3状態を示す。図23は、図22に示す引き出し途中の第3状態より、供給トレイ6がY方向にさらに引き出された時に、供給ローラ73の持ちあげが完了した状態を示す。
供給トレイ6が図21に示した状態からY方向に引かれると、図22に示すように側壁係合部材762はそのまま側壁上昇部142bと係合し続け、図23に示すように側壁係合部材762は側壁上昇部142bの上端部である側壁上端部14B2まで上昇する。側壁係合部材762の上昇に従って、ホルダ部72および供給ローラ73も駆動軸71を支軸として揺動し、側壁被上端部14B2の高さまで持ちあげられる。側壁14の底面12からの高さは、奥壁16の底面12からの高さ以上としているため、ホルダ部72および供給ローラ73は、奥壁16を乗り越えられる高さに持ちあげられることになる。
その状態でさらに供給トレイ6がY方向に引き出されると、図24に示すようにホルダ部72および供給ローラ73が奥壁16を乗り越える。そのまま供給トレイ6が引き出され続けることで、図25に示すように給紙機構7全体が奥壁16を乗り越え続け、図26のように供給トレイ6は画像記録装置1から完全に引き出されることとなる。
(挿入操作時の係合動作)
一方、供給トレイ6を開口部5に対して画像記録装置1に挿入する場合、まず、図25および図26に示す様に、供給トレイ6の奥壁16及び側壁14の上端部14B2が給紙機構7の側壁係合部材762と接し、供給ローラ73およびホルダ部72が、奥壁16を乗り越えるだけの高さまで上方へ押し上げられる。その後は上述の引き出し動作と逆に進行し、図18に示す様に、ホルダ部72および係合部材76は、駆動軸71を支軸として供給方向上流側よりも下流側が下がった姿勢に下降し、供給ローラ73は供給トレイ6内に積載された用紙に圧着する。
以上のように、係合部材76がガイド係合部材761と側壁係合部材762の2部材で構成されることによって、ガイド係合部材761と側壁係合部材762とでそれぞれ異なる大きさや形状に構成されることが可能である。それに伴い、側壁被係合部142およびガイド被係合部172の配置位置は制限されることがない。従って、側壁被係合部142およびガイド被係合部172の各々は、任意の位置に形成され、給紙機構7の配置および第1供給トレイ10の構造も比較的制限なく設計されることが可能になる。
[他の実施形態]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば第1の実施形態において、係合部材76は、最初にガイド被係合部171に係合し、続いて側壁被係合部141とガイド被係合部171との両方に同時に係合して、ホルダ部72および供給ローラ73を持ちあげるよう構成してもよい。すなわち、ガイド上昇部171bは、点Pよりも供給方向Xの上流側では傾斜角度β1に設定され、点Pよりも供給方向Xの下流側では、側壁上昇部141bの傾斜角度α1と同じ角度に設定される。図27に、本形態における供給トレイの一部を拡大した点P周辺の模式図を示す。
図27に示すように、ガイド上昇部171bは、供給方向Xにおいて点Pより上流側に位置する第1ガイド上昇部171b1と、供給方向Xにおいて点Pより下流側に位置する第2ガイド上昇部171b2とで構成される。第2ガイド上昇部171b2は、側壁上昇部141bと同じ傾斜角度に設定されており、第1ガイド上昇部171b1は、第2ガイド上昇部171b2よりも傾斜角度が小さい。
上記のとおり両被係合部が形成されると、供給トレイ6の引き出し時には、係合部材76が点Pよりも供給方向Xの上流側に位置するときには、ガイド上昇部171b1とのみ摺接する。係合部材76が点Pに到達し、さらに摺接し続けると、点Pよりも供給方向Xの下流側においては、係合部材76はガイド上昇部171b2と側壁上昇部141bとの両方に係合し摺接する。
つまり、供給トレイ6の引き出し操作時に側壁被係合部141と係合部材76が係合する初期段階において、係合部材76は、側壁上昇部141bとガイド上昇部171bの両方と同時に係合し摺接可能となる。従って、係合部材76に作用する引き出し方向の力は、側壁被係合部141とガイド被係合部171とにそれぞれ分担され、係合部材76と各被係合部との間の摺接による摩擦力が小さくなる。これにより、供給トレイ6の引き出し操作において、供給トレイ6の円滑な引き出しが可能となる。
また、係合部材はホルダ部の両側に設けられ、供給トレイの側壁にそれぞれ側壁被係合部が設けられ、側縁ガイドにそれぞれガイド被係合部が設けられていてもよい。供給トレイが引き出される際には、引き出す力が供給ローラの両側に位置する各被係合部によって分担されるため、供給ローラの持ちあげが応答性良く行われる。
また、側壁14は奥壁16以上の高さである必要はなく、供給トレイ6の引き出し時において、ホルダ部72および供給ローラ73が、奥壁16を乗り越えられる高さまで持ちあげられればよい。その持ちあげの最終の高さが奥壁16の高さよりも低く、供給ローラ73と奥壁16とが接触しても、ある程度まで持ちあげられていれば、供給ローラ73が奥壁16と接触しつつ回転しながら奥壁16を乗り越えるので、ホルダ部72および供給ローラ73は奥壁16を乗り越えることが可能となる。
また、上述した実施形態では、係合部材の形状は、ホルダ部から一直線に延出するよう構成され、ガイド被係合部と接触可能となっているが、これに限定されるものではない。係合部材はガイド被係合部と接触可能であればよく、側縁ガイドの移動範囲外での部分においては、係合部材が設けられていなくてもよい。
また、上述した実施形態では側壁被係合部およびガイド被係合部は滑らかな斜面で形成されているが、係合部材と摺接可能に係合しホルダ部を持ちあげられれば良いのであって、斜面だけでなく段差があってもよい。
さらに、上述した実施形態では、第2供給トレイが第1供給トレイ上に設けられているが、第2供給トレイを備えない第1供給トレイのみの供給トレイとして本発明が実施されてもよい。第2供給トレイを備えない場合には、供給トレイの側縁ガイドの底面からの高さは制限されないため、サイドガイドの底面からの高さは、側壁の底面からの高さと同じにできる。
サイドガイドの底面からの高さと、側壁の底面からの高さとが同じに構成されると、ガイド被係合部と側壁被係合部とが同時に係合部材と係合可能となる。即ち、ガイド被係合部は、側壁被係合部と協働して、ホルダ部および供給ローラの高さが奥壁を乗り越えられる高さとなるまで持ちあげることができる。これにより、ガイド被係合部と側壁被係合部とが同時に係合部材と係合するため、引き出し方向の力はガイド被係合部と側壁被係合部とに分散され、より円滑に供給トレイを引き出すことができる。
また、上段トレイである第2供給トレイは、用紙を収容可能な供給トレイとして構成されているが、これに限定されるものではない。上段トレイは下段トレイにはまり込んで用紙を収容する構成であればよく、排紙される記録済みの用紙の排紙トレイや、両面記録時の反転経路として構成されても良い。