JP4929965B2 - アクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、1自由度振動系の捩り振動子を備えるアクチュエータが開示されている。このアクチュエータは、反射ミラーと、反射ミラーを支持するための固定枠部と、反射ミラーを固定枠部に対して回動可能に連結する1対のバネ部とを備えている。
各バネ部の各第2のバネ部には、その長手方向に伸縮するように圧電素子(駆動源)が接合されている。各圧電素子は、平面視にて、それが接合されている第2のバネ部の全域を覆うように形成され、かつ、伸縮方向を長手とする長手形状をなしている。
特許文献1のアクチュエータでは、圧電素子の第2のバネ部側の面(下面)全域が第2のバネ部と接合しているため、圧電素子の伸縮が制限(抑制)されてしまう。つまり、圧電素子の構造の曲げ硬さのためにバネの曲げ変位量を制限(抑制)されてしまう。したがって、一定電圧のもとでは、圧電素子の伸縮量(変形量)が小さくなってしまうため、第2のバネ部を大きく曲げ変形させることができない。
以上より、特許文献1のアクチュエータは、省電力化を図りつつ、大きな回動角で反射ミラーを回動させることができないとうい問題がある。
本発明のアクチュエータは、回動可能に配置された可動板と、
前記可動板を支持する支持部と、
前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させるように構成されたアクチュエータであって、
前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
前記各圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
前記1対の接合部の間でかつ前記各圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、前記圧電素子を効率よく伸縮させることができる。すなわち、一定電圧のもとでは、前記圧電素子を大きく伸縮させることができるため、省電力化を図りつつ、前記梁を大きく曲げ変形させることのできるアクチュエータを提供することができる。また、梁全体の機械的強度を保ちつつ、その梁を曲げ変形させ易くすることができる。
また、1つの圧電素子の伸縮方向での長さを短くすることができるため、圧電素子の伸縮時において、その圧電素子の伸縮方向以外の方向への歪み(曲がり)を極めて確実に防止することができる。その結果、圧電素子を極めて効率よく伸縮させることができる。
これにより、前記1対の接合部の離間距離を長くすることができ、前記圧電素子を大きく伸縮させることができるため、前記梁をより大きく曲げ変形させることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記空間部は、前記1対の接合部の間のほぼ全域にわたり形成されていることが好ましい。
これにより、前記圧電素子の伸縮時において、その圧電素子の伸縮方向以外の方向への歪み(曲がり)を防止することができるため、前記圧電素子を極めて効率よく伸縮させることができる。すなわち、前記圧電素子を大きく伸縮させることができる。
これにより、前記梁全体の機械的強度を保ちつつ、その梁を曲げ変形させ易くすることができる。
これにより、アクチュエータを光学デバイスとして用いることができる。
前記可動板を支持する支持部と、
前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成された光スキャナであって、
前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
前記各圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
前記1対の接合部の間でかつ前記各圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、前記圧電素子を効率よく伸縮させることができる。その結果、省電力化を図りつつ、前記可動板を大きく回動させることのできる光スキャナを提供することができる。
前記可動板を支持する支持部と、
前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成された光スキャナを備えた画像形成装置であって、
前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
前記各圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
前記1対の接合部の間でかつ前記各圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、省電力化を図りつつ、優れた描画特性を発揮することのできる画像形成装置を提供することができる。
<第1実施形態>
まず、本発明のアクチュエータの第1実施形態を説明する。
図1は、本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1中のB−B線断面図、図4は、図1に示すアクチュエータの部分拡大図、図5は、図1に示すアクチュエータの駆動電圧の電圧波形の一例を示す図である。
アクチュエータ1は、図1に示すような2自由度振動系を有する基体2と、基体2を支持する支持基板3と、基体2の2自由度振動系を駆動するための駆動手段41、42、43、44とを有している。
また、連結部23は、駆動板231と、第1の弾性部232と、第2の弾性部233とを備えている。これと同様に、連結部24は、駆動板241と、第1の弾性部242と、第2の弾性部243とを備えている。
さらに、第1の弾性部232は、可動板21の平面視にて、回動中心軸Xを介して互いに対向するように設けられた1対の梁(弾性部材)2321、2322で構成されている。これと同様に、第1の弾性部242は、可動板21の平面視にて、回動中心軸Xを介して互いに対向するように設けられた1対の梁(弾性部材)2421、2422で構成されている。
このようなアクチュエータ1にあっては、駆動手段41、42を作動させることにより、1対の梁2321、2322を互いに反対方向へ曲げ変形させて駆動板231を回動させ、これと同時に、駆動手段43、44を作動させることにより、1対の梁2421、2422を互いに反対方向へ曲げ変形させて駆動板241を回動させ、これに伴い、1対の第2の弾性部233、243を捩り変形させながら可動板21を回動させる。この時、1対の駆動板231、241および可動板21は、それぞれ、図1に示す回動中心軸Xを中心にして回動する。
可動板21および駆動板231、241にあっては、駆動板231が第1の弾性部232を介して支持部22に接続され、可動板21が第2の弾性部233を介して駆動板231に接続されている。これと同様に、駆動板241が第1の弾性部242を介して支持部22に接続され、可動板21が第2の弾性部243を介して駆動板241に接続されている。
さらに、梁2321の上面(支持基板3と反対側の面)には、梁2321の長手方向に沿って複数の溝(空間部)513が並設されており、これと同様に、梁2322の上面には、梁2322の長手方向に沿って複数の溝523が並設されている。
梁2321、2322、2421、2422のそれぞれは、長手形状をなす弾性変形可能な部材であり、また、梁2321、2322、2421、2422は、互いに、同一形状、同一寸法をなしている。
このような基体2は、例えば、シリコンを主材料として構成されていて、可動板21と、支持部22と、駆動板231、241と、第1の弾性部232、242(梁2321、2322、2421、2422)と、第2の弾性部233、243とが一体的に形成されている。このように、シリコンを主材料とすることにより、優れた回動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、微細な処理(加工)が可能であり、アクチュエータ1の小型化を図ることができる。
支持基板3は、可動板21および駆動板231、241に空間を隔てて対向するように設けられた板状の基部31と、基部31の上面(基体2と対向する面)の縁部に設けられ、支持部22の平面視形状に一致するように形成された壁部32とを備えている。すなわち、支持基板3の上面には、凹部(空間)33が形成されている。この凹部33は、可動板21および駆動板231、241の回動を許容するための空間である。
なお、前述したような逃げ部は、前記効果を十分に発揮し得る構成であれば、必ずしも基部31の下面(基体2と反対側の面)で開放(開口)していなくてもよい。すなわち、逃げ部は、基部31の上面に形成された凹部で構成することもできる。また、凹部33の深さ(壁部32の高さ)が可動板21の振れ角(振幅)に対し大きい場合などには、開口部311を設けなくともよい。なお、このような支持基板3は、例えば、ガラスやシリコンを主材料として構成されている。また、支持基板3の形状は、基体2を支持することができれば、特に限定されない。また、支持部22の形状などによっては、支持基板3を省略してもよい。
本実施形態では、4つの圧電素子411、412、413、414のうちの互いに隣接する圧電素子同士の離間距離が、それぞれ等しくなるように、圧電素子411〜414が配列されている。すなわち、図4中のL1とL2とL3とが等しくなるように圧電素子411〜414が梁2321の上面に配列されている。
まず、梁2321の上面には、前述したように、複数(4つ)の溝513が形成されている。そして、可動板21の平面視にて、圧電素子411は、支持部22に最も近位に位置する溝513を覆うように設けられている。これにより、溝513の壁面と圧電素子411の下面とで空間部513が画成されている。
具体的には、圧電素子411を収縮させた場合には、接合部511と接合部512とが互いに接近するように変位し、それに伴って、梁2321が圧電素子411側(図4にて上側)に曲げ変形することとなる。ここで、接合部511と接合部512との間には、空間部513が形成されているため、接合部511と接合部512との間では、圧電素子411と梁2321とが接触しておらず、この部分の圧電素子411を自由に(圧電素子411を単独で収縮させる場合と同程度に)収縮させることができる。すなわち、一定電圧のもとであっても、圧電素子411の収縮量を大きくすることができる。
また、1対の接合部511、512の間に空間部513を形成することで、圧電素子411の収縮時および伸張時のそれぞれにおいて、圧電素子411の伸縮方向以外への歪みを防止することができる。これにより、圧電素子411の収縮時での変化量と、圧電素子411の伸張時での変化量とをほぼ等しくすることができるため、駆動板231(可動板21)を回動中心軸Xに対して対称的に回動させることができる。
1対の接合部511、512は、図4に示すように、圧電素子411の伸縮方向での両端部に位置している。これにより、接合部511と接合部512との離間距離を大きくすることができる。すなわち、1対の接合部511、512の間における圧電素子411の長さを大きくすることができるため、その部分の変化量(伸縮量)をより大きくすることができる。その結果、梁2321を大きく曲げ変形させつつ可動板21を大きく回動させることができる。
なお、圧電素子411と梁2321との接合方法としては、特に限定させず、例えば、圧電素子411と梁2321とを接着剤を介して接合してもよいし、圧電素子411と梁2321とを直接接合してもよい。
また、空間部513は、溝513の壁面と圧電素子411の下面とで画成されている場合に限定されず、例えば、圧電素子411の下面(梁2321側の面)に形成された溝(凹部)と梁2321の上面とで画成されているものであってもよいし、梁2321の上面および圧電素子の下面のそれぞれに形成された溝(凹部)の壁面で画成されているものであってもよい。このように空間部513を形成した場合であっても、上述した効果と同様の効果を奏することができる。すなわち、省電力化を図りつつ、可動板21を大きく回動させることのできるアクチュエータ1を提供することができる。
以上、圧電素子411と梁2321との接合状態について詳述したが、これと同様にして、圧電素子412、413、414が梁2321に接合されている。すなわち、複数の圧電素子411〜414が、梁2321の長手方向に沿って、かつ、互いに間隔を隔てて配列されている。このように複数の圧電素子411〜414を配列することにより、圧電素子411〜414の伸縮方向での長さを短くすることができる。圧電素子411〜414の伸縮方向での長さを小さくすることにより、圧電素子411〜414の伸縮時において、圧電素子411〜414がその伸縮方向以外の方向へ歪んでしまうことを極めて効果的に防止することができる。なお、1つの圧電素子の伸縮方向での長さが短いため、1つの圧電素子自体の伸縮量は小さいが、複数の圧電素子411〜414を配列することで、圧電素子411〜414全体で、梁2321を大きく曲げ変形させることができる。
なお、圧電素子411〜414は、互いに同様の構成であるため、圧電素子411について代表して説明し、圧電素子412〜414については、その説明を省略する。
圧電素子411は、図4に示すように、圧電材料を主材料として構成された圧電体層4111と、この圧電体層4111の下面(梁2321側の面)に設けられた共通電極61と、圧電体層4111の上面(梁2321と反対側の面)に設けられた個別電極62とを有している。すなわち、圧電素子411は、圧電体層4111を共通電極61と個別電極62とで狭持するように形成されている。
共通電極61および個別電極62は、図示しない電源に接続されており、共通電極61と個別電極62との間に電圧を印加すると、圧電体層4111は、その圧電効果により、梁2321の長手方向(図4中の矢印方向)に伸縮する。
梁2321には、圧電素子411と同様の構成の圧電素子412、413、414が接合されている。すなわち、圧電素子412は、個別電極63を備え、圧電素子413は、個別電極64を備え、圧電素子414は、個別電極65を備えている。
圧電素子411〜414に電圧を同時に印加する場合には、例えば、個別電極62と個別電極63とをワイヤーボンディングにより形成された配線を介して接続し、これと同様に、個別電極63と個別電極64、および、個別電極64と個別電極65とのそれぞれをワイヤーボンディングにより形成された配線を介して接続した状態にて、共通電極61と個別電極62との間に電圧を印加することにより、圧電素子411〜414を同時に通電させることができるため、圧電素子411〜414を同時に伸縮させることができる。
例えば、図5(a)に示すような電圧を駆動手段41が備える複数の圧電素子411〜414、および、駆動手段43が備える複数の圧電素子431〜434に印加するとともに、図4(b)に示すような電圧を駆動手段42が備える複数の圧電素子421〜424、および、駆動手段44が備える複数の圧電素子441〜444に印加する。すなわち、互いに位相の180°ずれた電圧を圧電素子411〜414、431〜434と、圧電素子421〜424、441〜444とに印加する。すると、圧電素子411〜414、431〜434を伸張状態(すなわち、弾性部材2321および弾性部材2421が、図2にて下方向へ曲げ変形している状態)とするとともに、圧電素子421〜424、441〜444を収縮状態とする状態(すなわち、弾性部材2322および弾性部材2422が、図2にて上方向へ曲げ変形している状態)と、圧電素子411〜414、431〜434を収縮状態とするとともに、圧電素子421〜424、441〜444を伸長状態とする状態とを交互に繰り返す。
このとき、梁2321、2322が、互いに反対方向へ曲げ変形することにより第1の弾性部232が全体として捩り変形する。同様に、梁2421、2422が、互いに反対方向へ曲げ変形することにより第1の弾性部242が全体として捩り変形する。そのため、第1の弾性部232、242に生じる応力を低減することができ、駆動板231、241を大きな振れ角で駆動することができる。そして、駆動板231、241の回動に伴って、可動板21も回動中心軸Xを軸に、支持部22に対して傾斜するように振動(回動)する。
また、アクチュエータ1は、圧電素子により駆動力を得るため、低電圧駆動であっても比較的大きな駆動力で駆動することができる。そのため、低電圧駆動であっても、第1の弾性部232、242のバネ定数を高めて、高周波で駆動することができる。
また、梁2321に複数の圧電素子411〜414が接合されているものについて説明したが、梁2321を曲げ変形することができれば、これに限定されず、例えば、梁2321に1つの圧電素子が接合しているものであってもよい。
図6、図7は、それぞれ、第1実施形態のアクチュエータ1の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図6および図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、説明の便宜上、シリコン基板をエッチングすることにより基体2を形成する工程を[A1]とし、圧電素子を形成する工程を[A2]とし、シリコン基板をエッチングすることにより支持基板3を形成する工程を[A3]とし、基体2と支持基板3とを接合しアクチュエータ1を得る工程を[A4]とする。
次に、図6(b)に示すように、シリコン基板71の一方の面に、可動板21と、支持部22と、駆動板231、241と、梁2321、2322、2421、2422と、第2の弾性部233、243との平面視形状に対応する形状をなすレジストマスク81を形成する。そして、このレジストマスク81を介して、シリコン基板71をエッチングする。その後、レジストマスク81を除去する。これにより、図6(c)に示すように、可動板21と、支持部22と、駆動板231、241と、梁2321、2322、2421、2422と、第2の弾性部233、243とが一体的に形成されたシリコン基板71が得られる。このようなエッチング方法としては、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、以下の各工程におけるエッチングにおいても、同様の方法を用いることができる。
次に、図6(e)に示すように、溝513、523、533、543の内壁で学生された空間部513をフォトレジスト82によって埋め、梁2321、2322、2421、2422の上面を平坦面とする。
次に、圧電素子411〜414、421〜424、431〜434、441〜444の平面視形状に対応するように金属マスクを形成し(図示せず)、この金属マスクを介して圧電体層4111を薄膜形成法により形成する。さらに、圧電体層の上面から、金属膜を形成し、個別電極62〜65を形成する。その後、金属マスク、および、溝513、523、533、543を埋めるように形成されたフォトレジスト82を除去することで、図6(g)に示すように、各梁2321、2322、2421、2422に複数の圧電素子が接合された基体2を得ることができる。
そして、図7(i)に示すように、シリコン基板72の一方の面(下面)に、開口部311を形成する領域を除いた部分に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスク83を形成する。また、シリコン基板72の他方の面(上面)に、壁部32(凹部33)の平面視形状に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスク84を形成する。
以上のようにして、第1実施形態のアクチュエータ1が製造される。
次に、本発明のアクチュエータの第2実施形態について説明する。
図8は、本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す部分拡大斜視図である。
以下、第2実施形態のアクチュエータ1Aについて、前述した第1実施形態のアクチュエータ1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
このようなスペーサ55Aとスペーサ56Aとの間で、かつ、圧電素子411Aと梁2321Aとの間には、空間部513Aが形成されている。すなわち、スペーサ55A、56Aは、梁2321Aの上面と圧電素子411Aの下面との間に隙間(空間部513)を形成するためのギャップ層としても機能する。
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上、本発明のアクチュエータについて説明した。
このような光スキャナは、例えば、プロジェクタ、レーザープリンタ、イメージング用ディスプレイ、バーコードリーダー、走査型共焦点顕微鏡などの画像形成装置に好適に適用することができる。その結果、優れた描画特性を有する画像形成装置を提供することができる。
プロジェクタ9は、レーザーなどの光を照出する光源装置91と、クロスダイクロイックプリズム92と、1対の光スキャナ93、94と、固定ミラー95とを有している。
クロスダイクロイックプリズム92は、4つの直角プリズムを貼り合わせて構成され、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから照出された光を合成する光学素子である。
まず、クロスダイクロイックプリズム92で合成された光は、光スキャナ93によって横方向に走査される(主走査)。そして、この横方向に走査された光は、光スキャナ94によってさらに縦方向に走査される(副走査)。これにより、2次元カラー画像をスクリーンS上に形成することができる。
以上、本発明のアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、各梁に複数の圧電素子が配列されているものについて説明したが、各梁に1つの圧電素子が設けられているものであってもよい。
また、1つの圧電素子と梁との間に1つの空間部が形成されている構成について説明したが、1つの圧電素子と梁との間に複数の空間部が形成されていてもよい。この場合には、複数の空間部の配置や形状などは、特に限定されない。
Claims (7)
- 回動可能に配置された可動板と、
前記可動板を支持する支持部と、
前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させるように構成されたアクチュエータであって、
前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
前記各圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
前記1対の接合部の間でかつ前記各圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とするアクチュエータ。 - 前記1対の接合部は、前記圧電素子の伸縮方向での両端部に位置している請求項1に記載のアクチュエータ。
- 前記空間部は、前記1対の接合部の間のほぼ全域にわたり形成されている請求項2に記載のアクチュエータ。
- 前記凹部は、前記梁の幅方向の全域にわたり延在する溝である請求項1ないし3のいずれかに記載のアクチュエータ。
- 前記可動板は、その板面に光反射性を有する光反射部を備えている請求項1ないし4のいずれかに記載のアクチュエータ。
- 光反射性を有する光反射部を備える可動板と、
前記可動板を支持する支持部と、
前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成された光スキャナであって、
前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
前記各圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
前記1対の接合部の間でかつ前記各圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とする光スキャナ。 - 光反射性を有する光反射部を備える可動板と、
前記可動板を支持する支持部と、
前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成された光スキャナを備えた画像形成装置であって、
前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
前記各圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
前記1対の接合部の間でかつ前記各圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
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