JP4929965B2 - アクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置 - Google Patents

アクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、アクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置に関するものである。
例えば、レーザープリンタ等にて光走査により描画を行うための光スキャナとして、捩り振動子で構成されたアクチュエータを用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、1自由度振動系の捩り振動子を備えるアクチュエータが開示されている。このアクチュエータは、反射ミラーと、反射ミラーを支持するための固定枠部と、反射ミラーを固定枠部に対して回動可能に連結する1対のバネ部とを備えている。
各バネ部は、連結体と、反射ミラーと連結体とを連結する第1のバネ部と、固定枠部と連結体とを連結する第2のバネ部を有している。さらに、第2のバネ部は、反射ミラーの回動中心軸に対して、互いに対向するように設けられた1対の弾性体で構成されている。すなわち、各バネ部は、途中で2本に分岐した構造をなしている。
各バネ部の各第2のバネ部には、その長手方向に伸縮するように圧電素子(駆動源)が接合されている。各圧電素子は、平面視にて、それが接合されている第2のバネ部の全域を覆うように形成され、かつ、伸縮方向を長手とする長手形状をなしている。
そして、このアクチュエータは、各圧電素子に電圧を印加し、圧電素子を伸縮させることで、各第2のバネ部を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、第1のバネ部を捩れ変形させて反射ミラーを回動させ、光を反射し走査する。これにより、光走査によって描画を行うことができる。
特許文献1のアクチュエータでは、圧電素子の第2のバネ部側の面(下面)全域が第2のバネ部と接合しているため、圧電素子の伸縮が制限(抑制)されてしまう。つまり、圧電素子の構造の曲げ硬さのためにバネの曲げ変位量を制限(抑制)されてしまう。したがって、一定電圧のもとでは、圧電素子の伸縮量(変形量)が小さくなってしまうため、第2のバネ部を大きく曲げ変形させることができない。
以上より、特許文献1のアクチュエータは、省電力化を図りつつ、大きな回動角で反射ミラーを回動させることができないとうい問題がある。
特開2004−191953号公報
本発明の目的は、省電力化を図りつつ、梁を大きく曲げ変形させることができるアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のアクチュエータは、回動可能に配置された可動板と、
前記可動板を支持する支持部と、
前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させるように構成されたアクチュエータであって、
前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
前記圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
前記1対の接合部の間でかつ前記圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、前記圧電素子を効率よく伸縮させることができる。すなわち、一定電圧のもとでは、前記圧電素子を大きく伸縮させることができるため、省電力化を図りつつ、前記梁を大きく曲げ変形させることのできるアクチュエータを提供することができる。また、梁全体の機械的強度を保ちつつ、その梁を曲げ変形させ易くすることができる。
また、1つの圧電素子の伸縮方向での長さを短くすることができるため、圧電素子の伸縮時において、その圧電素子の伸縮方向以外の方向への歪み(曲がり)を極めて確実に防止することができる。その結果、圧電素子を極めて効率よく伸縮させることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記1対の接合部は、前記圧電素子の伸縮方向での両端部に位置していることが好ましい。
これにより、前記1対の接合部の離間距離を長くすることができ、前記圧電素子を大きく伸縮させることができるため、前記梁をより大きく曲げ変形させることができる。
本発明のアクチュエータでは、前記空間部は、前記1対の接合部の間のほぼ全域にわたり形成されていることが好ましい。
これにより、前記圧電素子の伸縮時において、その圧電素子の伸縮方向以外の方向への歪み(曲がり)を防止することができるため、前記圧電素子を極めて効率よく伸縮させることができる。すなわち、前記圧電素子を大きく伸縮させることができる。
発明のアクチュエータでは、前記凹部は、前記梁の幅方向の全域にわたり延在する溝であることが好ましい。
これにより、前記梁全体の機械的強度を保ちつつ、その梁を曲げ変形させ易くすることができる。
発明のアクチュエータでは、前記可動板は、その板面に光反射性を有する光反射部を備えていることが好ましい。
これにより、アクチュエータを光学デバイスとして用いることができる。
本発明の光スキャナは、光反射性を有する光反射部を備える可動板と、
前記可動板を支持する支持部と、
前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成された光スキャナであって、
前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
前記圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
前記1対の接合部の間でかつ前記圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、前記圧電素子を効率よく伸縮させることができる。その結果、省電力化を図りつつ、前記可動板を大きく回動させることのできる光スキャナを提供することができる。
本発明の画像形成装置は、光反射性を有する光反射部を備える可動板と、
前記可動板を支持する支持部と、
前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成された光スキャナを備えた画像形成装置であって、
前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
前記圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
前記1対の接合部の間でかつ前記圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とする。
これにより、省電力化を図りつつ、優れた描画特性を発揮することのできる画像形成装置を提供することができる。
以下、本発明のアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明のアクチュエータの第1実施形態を説明する。
図1は、本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1中のA−A線断面図、図3は、図1中のB−B線断面図、図4は、図1に示すアクチュエータの部分拡大図、図5は、図1に示すアクチュエータの駆動電圧の電圧波形の一例を示す図である。
なお、以下では、説明の便宜上、図1、図4中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言い、図2および図3中の上側を「上」、下側を「下」、右側を「右」、左側を「左」と言う。
アクチュエータ1は、図1に示すような2自由度振動系を有する基体2と、基体2を支持する支持基板3と、基体2の2自由度振動系を駆動するための駆動手段41、42、43、44とを有している。
基体2は、可動板21と、支持部22と、1対の連結部23、24とを備えている。
また、連結部23は、駆動板231と、第1の弾性部232と、第2の弾性部233とを備えている。これと同様に、連結部24は、駆動板241と、第1の弾性部242と、第2の弾性部243とを備えている。
さらに、第1の弾性部232は、可動板21の平面視にて、回動中心軸Xを介して互いに対向するように設けられた1対の梁(弾性部材)2321、2322で構成されている。これと同様に、第1の弾性部242は、可動板21の平面視にて、回動中心軸Xを介して互いに対向するように設けられた1対の梁(弾性部材)2421、2422で構成されている。
すなわち、基体2は、可動板21と、支持部22と、1対の駆動板231、241と、1対の第1の弾性部232、242(梁2321、2322、2421、2422)と、1対の第2の弾性部233、243とを備えている。
このようなアクチュエータ1にあっては、駆動手段41、42を作動させることにより、1対の梁2321、2322を互いに反対方向へ曲げ変形させて駆動板231を回動させ、これと同時に、駆動手段43、44を作動させることにより、1対の梁2421、2422を互いに反対方向へ曲げ変形させて駆動板241を回動させ、これに伴い、1対の第2の弾性部233、243を捩り変形させながら可動板21を回動させる。この時、1対の駆動板231、241および可動板21は、それぞれ、図1に示す回動中心軸Xを中心にして回動する。
1対の駆動板231、241は、それぞれ板状をなし、互いに同一寸法、同一形状をなしている。このような駆動板231、241の間には、可動板21が設けられており、1対の駆動板231、241は、非駆動時での可動板21の平面視にて、可動板21を中心として、ほぼ左右対称となるように設けられている。同様に、1対の第1の弾性部232、242は、可動板21の平面視にて、可動板21を中心として、ほぼ左右対称となるように設けられており、1対の第2の弾性部233、243は、平面視にて、可動板21を中心として、ほぼ左右対称となるように設けられている。すなわち、本実施形態にかかるアクチュエータ1は、可動板21の平面視にて、可動板21を中心として、ほぼ左右対称となるように形成されている。
可動板21の上面(支持基板3と反対側の面)には、光反射性を有する光反射部211が設けられている。これにより、アクチュエータ1を光スキャナ、光スイッチ、光アッテネータなどの光学デバイスに適用することができる。
可動板21および駆動板231、241にあっては、駆動板231が第1の弾性部232を介して支持部22に接続され、可動板21が第2の弾性部233を介して駆動板231に接続されている。これと同様に、駆動板241が第1の弾性部242を介して支持部22に接続され、可動板21が第2の弾性部243を介して駆動板241に接続されている。
第1の弾性部232において、1対の梁2321、2322のそれぞれは、駆動板231を支持部22に対して回動可能とするように、駆動板231と支持部22とを連結している。このような梁2321、2322は、可動板21の平面視にて、回動中心軸Xと平行な方向へ延在している。また、1対の梁2321、2322は、可動板21の平面視にて、回動中心軸Xに対して対称となるように設けられている。
さらに、梁2321の上面(支持基板3と反対側の面)には、梁2321の長手方向に沿って複数の溝(空間部)513が並設されており、これと同様に、梁2322の上面には、梁2322の長手方向に沿って複数の溝523が並設されている。
一方、第1の弾性部242において、1対の梁2421、2422のそれぞれは、駆動板241を支持部22に対して回動可能とするように、駆動板241と支持部22とを連結している。このような梁2421、2422は、可動板21の平面視にて、回動中心軸Xと平行な方向へ延在している。また、1対の梁2421、2422は、可動板21の平面視にて、回動中心軸Xに対して対称となるように設けられている。
さらに、梁2421の上面には、梁2421の長手方向に沿って複数の溝533が並設されており、これと同様に、梁2422の上面には、梁2422の長手方向に沿って複数の溝543が並設されている。
梁2321、2322、2421、2422のそれぞれは、長手形状をなす弾性変形可能な部材であり、また、梁2321、2322、2421、2422は、互いに、同一形状、同一寸法をなしている。
第2の弾性部233は、可動板21を駆動板231に対して回動可能とするように、可動板21と駆動板231とを連結している。これと同様に、第2の弾性部243は、可動板21を駆動板241に対して回動可能とするように、可動板21と駆動板241とを連結している。このような第2の弾性部233、243は、同軸的に設けられており、これらを回動中心軸Xとして、可動板21が、駆動板231、241に対して回動可能となっている。
以上より、基体2は、駆動板231、241と第1の弾性部232、242とで構成された第1の振動系と、可動板21と第2の弾性部233、243とで構成された第2の振動系とを有する。すなわち、基体2は、第1の振動系および第2の振動系からなる2自由度振動系を有する。
このような基体2は、例えば、シリコンを主材料として構成されていて、可動板21と、支持部22と、駆動板231、241と、第1の弾性部232、242(梁2321、2322、2421、2422)と、第2の弾性部233、243とが一体的に形成されている。このように、シリコンを主材料とすることにより、優れた回動特性を実現できるとともに、優れた耐久性を発揮することができる。また、微細な処理(加工)が可能であり、アクチュエータ1の小型化を図ることができる。
なお、基体2は、SOI基板等の積層構造を有する基板から、可動板21と、支持部22と、駆動板231、241と、梁2321、2322、2421、2422と、第2の弾性部233、243とを形成したものであってもよい。その際、可動板21と、支持部22と、駆動板231、241と、梁2321、2322、2421、2422と、第2の弾性部233、243とが一体となるように、これらを積層構造基板の1つの層で構成するのが好ましい。
このような基体2は、支持基板3により支持されている。
支持基板3は、可動板21および駆動板231、241に空間を隔てて対向するように設けられた板状の基部31と、基部31の上面(基体2と対向する面)の縁部に設けられ、支持部22の平面視形状に一致するように形成された壁部32とを備えている。すなわち、支持基板3の上面には、凹部(空間)33が形成されている。この凹部33は、可動板21および駆動板231、241の回動を許容するための空間である。
さらに、基部31には、可動板21に対応する部分に開口部311が形成されている。この開口部311は、可動板21が回動する際に、基部31に接触するのを防止する逃げ部を構成する。このような開口部(逃げ部)311を設けることにより、アクチュエータ1の小型化を図りつつ、可動板21の回動角をより大きく設定することができる。
なお、前述したような逃げ部は、前記効果を十分に発揮し得る構成であれば、必ずしも基部31の下面(基体2と反対側の面)で開放(開口)していなくてもよい。すなわち、逃げ部は、基部31の上面に形成された凹部で構成することもできる。また、凹部33の深さ(壁部32の高さ)が可動板21の振れ角(振幅)に対し大きい場合などには、開口部311を設けなくともよい。なお、このような支持基板3は、例えば、ガラスやシリコンを主材料として構成されている。また、支持基板3の形状は、基体2を支持することができれば、特に限定されない。また、支持部22の形状などによっては、支持基板3を省略してもよい。
このようなアクチュエータ1は、可動板21を回動させるための駆動手段41〜44を備えている。駆動手段41は、梁2321を曲げ変形させるための手段であり、駆動手段42は、梁2322を曲げ変形させるための手段であり、駆動手段43は、梁2421を曲げ変形させるための手段であり、駆動手段44は、梁2422を曲げ変形させるための手段である。以下、駆動手段41〜44について詳述するが、駆動手段41〜44は、互いに同様の構成であるため、駆動手段41について代表して説明し、その他の駆動手段42〜44については、その説明を省略する。
駆動手段41は、図4に示すように、梁2321の長手方向に沿って、互いに間隔を隔てて設けられた4つの圧電素子411、412、413、414を備えている。このような圧電素子411〜414は、それぞれ、梁2321の長手方向に伸縮するように、梁2321の上面に設けられている。さらに、圧電素子411〜414は、図4に示すように、梁2321の上面に並設された4つの溝513を覆うように設けられている。
本実施形態では、4つの圧電素子411、412、413、414のうちの互いに隣接する圧電素子同士の離間距離が、それぞれ等しくなるように、圧電素子411〜414が配列されている。すなわち、図4中のLとLとLとが等しくなるように圧電素子411〜414が梁2321の上面に配列されている。
次に、各圧電素子411〜414と梁2321との接合状態について説明するが、各圧電素子411〜414と梁2321との接合状態は、互いに同様であるため、圧電素子411と梁2321との接合状態について代表して説明し、圧電素子412〜414のそれぞれと梁2321との接合状態については、その説明を省略する。
まず、梁2321の上面には、前述したように、複数(4つ)の溝513が形成されている。そして、可動板21の平面視にて、圧電素子411は、支持部22に最も近位に位置する溝513を覆うように設けられている。これにより、溝513の壁面と圧電素子411の下面とで空間部513が画成されている。
このような圧電素子411と梁2321とは、1対の接合部511、512を介して接合されている。この1対の接合部511、512は、圧電素子411の伸縮方向に間隔を隔てて設けられており、かつ、空間部513を介して互いに対向するように設けられている。すなわち、1対の接合部511、512を介して圧電素子411と梁2321とが接合しており、1対の接合部511、512の間で、かつ、圧電素子411と梁2321との間には、空間部513(非接触部)が形成されている。このようなアクチュエータ1は、圧電素子411の伸縮による駆動力を1対の接合部511、512を介して梁2321に伝達することで、梁2321を曲げ変形させ、それに伴い、可動板21を回動させるように構成されている。
このような構成とすることで、圧電素子411の伸縮量を大きくすることができため、梁2321を大きく曲げ変形させることができる。その結果、アクチュエータ1は、省電力化を図りつつ、可動板21を大きく回動させることができる。
具体的には、圧電素子411を収縮させた場合には、接合部511と接合部512とが互いに接近するように変位し、それに伴って、梁2321が圧電素子411側(図4にて上側)に曲げ変形することとなる。ここで、接合部511と接合部512との間には、空間部513が形成されているため、接合部511と接合部512との間では、圧電素子411と梁2321とが接触しておらず、この部分の圧電素子411を自由に(圧電素子411を単独で収縮させる場合と同程度に)収縮させることができる。すなわち、一定電圧のもとであっても、圧電素子411の収縮量を大きくすることができる。
一方、圧電素子411を伸張させた場合には、接合部511と接合部512とが互いに離間するように変位し、それに伴って、梁2321が圧電素子411と反対側(図4にて下側)に曲げ変形することとなる。ここで、接合部511と接合部512との間には、空間部513が形成されているため、接合部511と接合部512との間では、圧電素子411と梁2321とが接触しておらず、この部分の圧電素子411を自由に伸縮させることができる。すなわち、一定電圧のもとであっても、圧電素子411の伸張量を大きくすることができる。
以上より、省電力化を図りつつ可動板21を大きく回動させることのできるアクチュエータ1を提供することができる。
また、1対の接合部511、512の間に空間部513を形成することで、圧電素子411の収縮時および伸張時のそれぞれにおいて、圧電素子411の伸縮方向以外への歪みを防止することができる。これにより、圧電素子411の収縮時での変化量と、圧電素子411の伸張時での変化量とをほぼ等しくすることができるため、駆動板231(可動板21)を回動中心軸Xに対して対称的に回動させることができる。
以下、接合部511、512および空間部513について詳述する。
1対の接合部511、512は、図4に示すように、圧電素子411の伸縮方向での両端部に位置している。これにより、接合部511と接合部512との離間距離を大きくすることができる。すなわち、1対の接合部511、512の間における圧電素子411の長さを大きくすることができるため、その部分の変化量(伸縮量)をより大きくすることができる。その結果、梁2321を大きく曲げ変形させつつ可動板21を大きく回動させることができる。
なお、圧電素子411と梁2321との接合方法としては、特に限定させず、例えば、圧電素子411と梁2321とを接着剤を介して接合してもよいし、圧電素子411と梁2321とを直接接合してもよい。
空間部513は、梁2321の幅方向(可動板21の平面視にて、梁2321の長手方向に直角な方向)の全域にわたって延在する溝513の壁面と圧電素子411の下面とで構成されている。すなわち、梁2321の側面に開放するように空間部513が形成されている。このように梁2321に溝513を形成することで、梁2321の溝513を形成した部分の厚さ(梁2321の上面に垂直な方向での長さ)を小さくすることができる。すなわち、梁2321の長手方向において、部分的に厚さの小さい部分を形成することにより、梁2321全体の機械的極度を保ちつつ、梁2321をより曲げ変形させやすくすることができる。また、後述するような製法にてアクチュエータ1を製造する場合などには、空間部513を容易に形成することができるため、アクチュエータ1の製造の容易化を図ることができる。
また、空間部513は、圧電素子411の伸縮方向にて1対の接合部511、512同士の間のほぼ全域にわたり形成されている。すなわち、梁2321の長手方向での1対の接合部511、512の間の全域にわたり溝513が形成されている。これにより、圧電素子411の収縮時および伸張時のそれぞれにおいて、圧電素子411の伸縮方向以外への歪みを防止することができ、圧電素子の伸縮量(変化量)を大きくすることができる。そのため、梁2321を大きく曲げ変形させることができる。また、梁2321の長手方向における溝513の幅を大きくすることで、梁2321をより曲げ変形させやすくすることができる。
ここで、本実施形態では、溝513と圧電素子411とで空間部513を画成しているが、空間部513を画成することができれば、これに限定されず、例えば、梁2321の幅方向での中央部付近に形成され、梁2321の両側面で開放していない凹部と圧電素子411とで空間513を画成してもよい。これによっても、梁2321の長手方向において、厚さが他の部分よりも小さい部分を形成することができるため、梁2321全体の機械的極度を保ちつつ、梁2321をより曲げ変形させやすくすることができる。
なお、溝513の断面形状や平面視形状などは、空間部513を形成することができれば、特に限定されない。
また、空間部513は、溝513の壁面と圧電素子411の下面とで画成されている場合に限定されず、例えば、圧電素子411の下面(梁2321側の面)に形成された溝(凹部)と梁2321の上面とで画成されているものであってもよいし、梁2321の上面および圧電素子の下面のそれぞれに形成された溝(凹部)の壁面で画成されているものであってもよい。このように空間部513を形成した場合であっても、上述した効果と同様の効果を奏することができる。すなわち、省電力化を図りつつ、可動板21を大きく回動させることのできるアクチュエータ1を提供することができる。
ただし、本実施形態のように、溝513の壁面と圧電素子411の下面とで空間部513を画成することにより、上述したように、梁2321全体の機械的強度を保ちつつ、梁2321を曲げ変形させやすくすることができるという特別の効果が得られる。
以上、圧電素子411と梁2321との接合状態について詳述したが、これと同様にして、圧電素子412、413、414が梁2321に接合されている。すなわち、複数の圧電素子411〜414が、梁2321の長手方向に沿って、かつ、互いに間隔を隔てて配列されている。このように複数の圧電素子411〜414を配列することにより、圧電素子411〜414の伸縮方向での長さを短くすることができる。圧電素子411〜414の伸縮方向での長さを小さくすることにより、圧電素子411〜414の伸縮時において、圧電素子411〜414がその伸縮方向以外の方向へ歪んでしまうことを極めて効果的に防止することができる。なお、1つの圧電素子の伸縮方向での長さが短いため、1つの圧電素子自体の伸縮量は小さいが、複数の圧電素子411〜414を配列することで、圧電素子411〜414全体で、梁2321を大きく曲げ変形させることができる。
次に、圧電素子411〜414について説明する。
なお、圧電素子411〜414は、互いに同様の構成であるため、圧電素子411について代表して説明し、圧電素子412〜414については、その説明を省略する。
圧電素子411は、図4に示すように、圧電材料を主材料として構成された圧電体層4111と、この圧電体層4111の下面(梁2321側の面)に設けられた共通電極61と、圧電体層4111の上面(梁2321と反対側の面)に設けられた個別電極62とを有している。すなわち、圧電素子411は、圧電体層4111を共通電極61と個別電極62とで狭持するように形成されている。
圧電体層4111の構成材料としては、例えば、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸バリウム、その他、各種のものが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウムおよびチタン酸ジルコン酸鉛のうちの少なくとも1種を主とするものが好ましい。このような材料で圧電体層4111を構成することにより、より高い周波数でアクチュエータ1を駆動することができる。
共通電極61は、図4に示すように、梁2321の上面の全域を覆い、かつ、梁2321と支持部22との境界部を跨ぐように形成されている。共通電極61をこのように形成することにより、圧電素子411の電極としてだけではなく、圧電素子412、413、414の電極としても用いることができる。このような共通電極61の上面に圧電体層4111が積層されている。
一方、個別電極62は、圧電体層4111の上面の全域を覆うように形成されている。
共通電極61および個別電極62は、図示しない電源に接続されており、共通電極61と個別電極62との間に電圧を印加すると、圧電体層4111は、その圧電効果により、梁2321の長手方向(図4中の矢印方向)に伸縮する。
梁2321には、圧電素子411と同様の構成の圧電素子412、413、414が接合されている。すなわち、圧電素子412は、個別電極63を備え、圧電素子413は、個別電極64を備え、圧電素子414は、個別電極65を備えている。
ここで、4つの圧電素子411〜414へ電圧を印加するタイミングとしては、圧電素子411〜414に同時に電圧を印加してもよいし、圧電素子411〜414にタイミングをずらして電圧を印加してもよい。
圧電素子411〜414に電圧を同時に印加する場合には、例えば、個別電極62と個別電極63とをワイヤーボンディングにより形成された配線を介して接続し、これと同様に、個別電極63と個別電極64、および、個別電極64と個別電極65とのそれぞれをワイヤーボンディングにより形成された配線を介して接続した状態にて、共通電極61と個別電極62との間に電圧を印加することにより、圧電素子411〜414を同時に通電させることができるため、圧電素子411〜414を同時に伸縮させることができる。
一方、圧電素子411〜414にタイミングをずらして電圧を印加する場合には、例えば、個別電極62〜65のそれぞれを互いに異なる電源に接続し、それぞれの電源ごとに適当なタイミングで電圧を印加することにより、その電源に対応した圧電素子を伸縮させることができる。なお、この場合には、電圧を印加するタイミングは特に限定されない。また、圧電素子411〜414に電圧を印加する順も特に限定されない。
以上のような構成のアクチュエータ1は、次のようにして駆動する。なお、説明の便宜上、各駆動手段41〜44が有する複数の圧電素子には、同時に電圧を印加するものとする。
例えば、図5(a)に示すような電圧を駆動手段41が備える複数の圧電素子411〜414、および、駆動手段43が備える複数の圧電素子431〜434に印加するとともに、図4(b)に示すような電圧を駆動手段42が備える複数の圧電素子421〜424、および、駆動手段44が備える複数の圧電素子441〜444に印加する。すなわち、互いに位相の180°ずれた電圧を圧電素子411〜414、431〜434と、圧電素子421〜424、441〜444とに印加する。すると、圧電素子411〜414、431〜434を伸張状態(すなわち、弾性部材2321および弾性部材2421が、図2にて下方向へ曲げ変形している状態)とするとともに、圧電素子421〜424、441〜444を収縮状態とする状態(すなわち、弾性部材2322および弾性部材2422が、図2にて上方向へ曲げ変形している状態)と、圧電素子411〜414、431〜434を収縮状態とするとともに、圧電素子421〜424、441〜444を伸長状態とする状態とを交互に繰り返す。
これにより、第1の弾性部232、242が全体として捩れ変形して、駆動板231、241を回動させ、それに伴い、第2の弾性部233、243を捩れ変形させ可動板21を回動させる。
このとき、梁2321、2322が、互いに反対方向へ曲げ変形することにより第1の弾性部232が全体として捩り変形する。同様に、梁2421、2422が、互いに反対方向へ曲げ変形することにより第1の弾性部242が全体として捩り変形する。そのため、第1の弾性部232、242に生じる応力を低減することができ、駆動板231、241を大きな振れ角で駆動することができる。そして、駆動板231、241の回動に伴って、可動板21も回動中心軸Xを軸に、支持部22に対して傾斜するように振動(回動)する。
また、アクチュエータ1は、圧電素子により駆動力を得るため、低電圧駆動であっても比較的大きな駆動力で駆動することができる。そのため、低電圧駆動であっても、第1の弾性部232、242のバネ定数を高めて、高周波で駆動することができる。
以上、駆動手段41について説明したが、駆動手段41は、梁2321を曲げ変形させることができれば、本実施形態に限定されない。例えば、圧電素子411〜414について、共通電極61を介して電圧を印加する場合について説明したが、各圧電素子411〜414に電圧を印加することができれば、これに限定されず、各圧電素子411〜414が、共通電極61の代わりにそれぞれ個別電極を備えていてもよい。すなわち、各圧電素子411〜414は、1対の個別電極と、1対の個別電極に狭持された圧電体層とで構成されていてもよい。
また、梁2321に複数の圧電素子411〜414が接合されているものについて説明したが、梁2321を曲げ変形することができれば、これに限定されず、例えば、梁2321に1つの圧電素子が接合しているものであってもよい。
次に、アクチュエータ1の、本発明にかかる製造方法について詳述する。
図6、図7は、それぞれ、第1実施形態のアクチュエータ1の製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下では、説明の便宜上、図6および図7中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、説明の便宜上、シリコン基板をエッチングすることにより基体2を形成する工程を[A1]とし、圧電素子を形成する工程を[A2]とし、シリコン基板をエッチングすることにより支持基板3を形成する工程を[A3]とし、基体2と支持基板3とを接合しアクチュエータ1を得る工程を[A4]とする。
[A1]まず、図6(a)に示すように、基体2を形成するためのシリコン基板71を用意する。
次に、図6(b)に示すように、シリコン基板71の一方の面に、可動板21と、支持部22と、駆動板231、241と、梁2321、2322、2421、2422と、第2の弾性部233、243との平面視形状に対応する形状をなすレジストマスク81を形成する。そして、このレジストマスク81を介して、シリコン基板71をエッチングする。その後、レジストマスク81を除去する。これにより、図6(c)に示すように、可動板21と、支持部22と、駆動板231、241と、梁2321、2322、2421、2422と、第2の弾性部233、243とが一体的に形成されたシリコン基板71が得られる。このようなエッチング方法としては、例えば、プラズマエッチング、リアクティブイオンエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、以下の各工程におけるエッチングにおいても、同様の方法を用いることができる。
次に梁2321、2322、2421、2422の上面に形成する溝513、523、533、543のそれぞれの平面視形状に対応するレジストマスクを形成し(図示せず)、そのレジストマスクを介して所定の深さに到達するまでシリコン基板71をエッチングし、その後、このレジストマスクを除去する。これにより、図6(d)に示すように溝513、523、533、543が形成されたシリコン基板71を得ることができる。
次に、図6(e)に示すように、溝513、523、533、543の内壁で学生された空間部513をフォトレジスト82によって埋め、梁2321、2322、2421、2422の上面を平坦面とする。
[A2]次に、シリコン基板71の上面に、金属膜を形成し、光反射部211および共通電極61を形成する。金属膜(共通電極61)の形成方法としては、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、金属箔の接合等が挙げられる。
次に、圧電素子411〜414、421〜424、431〜434、441〜444の平面視形状に対応するように金属マスクを形成し(図示せず)、この金属マスクを介して圧電体層4111を薄膜形成法により形成する。さらに、圧電体層の上面から、金属膜を形成し、個別電極62〜65を形成する。その後、金属マスク、および、溝513、523、533、543を埋めるように形成されたフォトレジスト82を除去することで、図6(g)に示すように、各梁2321、2322、2421、2422に複数の圧電素子が接合された基体2を得ることができる。
[A3]次に、図7(h)に示すように、支持基板3を形成するための基板として、例えばシリコン基板72を用意する。
そして、図7(i)に示すように、シリコン基板72の一方の面(下面)に、開口部311を形成する領域を除いた部分に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスク83を形成する。また、シリコン基板72の他方の面(上面)に、壁部32(凹部33)の平面視形状に対応するように、例えば、アルミニウム等により金属マスク84を形成する。
次に、この金属マスク84を介して、凹部33に対応する深さまでシリコン基板72をエッチングした後、金属マスク84を除去する。次に、金属マスク83を介してシリコン基板71を貫通するまでエッチングをした後、金属マスク83を除去する。これにより、図7(j)に示すように、基部31と、壁部32と、開口部311とが形成された支持基板3が得られる。
[A4]次に、図7(k)に示すように、前記工程[A2]で得られた基体2と、前記工程[A3]で得られた支持基板3とを接合し、アクチュエータ1を得る。接合方法としては、特に限定されないが、例えば、陽極接合により基体2と支持基板3とを接合することで、基体2と支持基板3とを強固に接合することができる。
以上のようにして、第1実施形態のアクチュエータ1が製造される。
<第2実施形態>
次に、本発明のアクチュエータの第2実施形態について説明する。
図8は、本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す部分拡大斜視図である。
以下、第2実施形態のアクチュエータ1Aについて、前述した第1実施形態のアクチュエータ1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態にかかるアクチュエータ1Aは、空間部513Aの構成が異なる以外は、第1実施形態のアクチュエータ1とほぼ同様である。したがって、以下、第1実施形態の説明と同様に、駆動手段41Aのうちの圧電素子411Aと梁2321Aの接合状態(構成)について代表して説明し、その他の圧電素子412A〜414Aと梁2321Aとの接合状態については、その説明を省略する。
圧電素子411Aと梁2321Aとは、圧電素子411の伸縮方向に間隔を隔てて設けられた1対のスペーサ55A、56Aを介して接合されている。すなわち、1対のスペーサ55Aと56Aは、1対の接合部511A、512Aである。
このようなスペーサ55Aとスペーサ56Aとの間で、かつ、圧電素子411Aと梁2321Aとの間には、空間部513Aが形成されている。すなわち、スペーサ55A、56Aは、梁2321Aの上面と圧電素子411Aの下面との間に隙間(空間部513)を形成するためのギャップ層としても機能する。
スペーサ55A、56Aは、それぞれ、梁2321Aの幅方向の全域にわたり延在している。これにより、スペーサ55Aとスペーサ56Aとの離間距離を大ききすることができる。また、圧電素子411Aとスペーサ55A、56A、および、梁2321Aとスペーサ55A、56Aの接触面積を大きくすることができるため、スペーサ55A、56Aを介して圧電素子411Aと梁2321とを強固に接合することができる。
このようなスペーサ55A、56Aの構成材料としては、圧電素子411Aと梁2321Aとの間に隙間(空間部513A)を形成することができれば、特に限定されないが、接着剤(液状接着剤、シート状接着剤)を好適に用いることができる。このような接着剤としては、圧電素子411A(電極67A)と梁2321Aとを接合(接着)することができれば、特に限定されないが、例えば、ギャップ材入接着剤を用いることが好ましい。これにより、より簡単に、空間部513Aを形成することができる。また、所望の膜厚にコーティングしたレジストをパターニングしてスペーサ55A、56Aを形成してもよい。
このような第2実施形態によっても、第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
以上、本発明のアクチュエータについて説明した。
本発明の光スキャナは、本発明のアクチュエータと同様の構成である。すなわち、本発明にかかる光スキャナは、光反射部を備える可動板と、可動板を回動可能に支持する1対の連結部と、可動板を回動させるための圧電素子とを有している。そして、各連結部は、可動板の回動中心軸を介して互いに対向するように設けられた1対の梁を備えており、圧電素子が、各連結部の各梁に少なくとも1つ接合され、圧電素子を伸縮させることにより各連結部の1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、可動板を回動させ、光反射部で反射した光を走査するように構成された光スキャナであって、圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、圧電素子と梁とを接合する1対の接合部と、1対の接合部の間で、かつ、圧電素子と梁との間に形成された空間部とを有し、圧電素子の伸縮による駆動力を1対の接合部を介して梁に伝達することで梁を曲げ変形させ、それに伴い、可動板を回動させるように構成されている。
このような構成とすることにより、省電力化を図りつつ、可動板(光反射部)を大きく回動させることのできる光スキャナを提供することができる。なお、本発明の光スキャナの実施形態としては、前述した第1実施形態と同様であるため、詳細な説明を省略する。
このような光スキャナは、例えば、プロジェクタ、レーザープリンタ、イメージング用ディスプレイ、バーコードリーダー、走査型共焦点顕微鏡などの画像形成装置に好適に適用することができる。その結果、優れた描画特性を有する画像形成装置を提供することができる。
具体的に、図9に示すようなプロジェクタ9について説明する。なお、説明の便宜上、スクリーンSの長手方向を「横方向」といい、長手方向に直角な方向を「縦方向」という。
プロジェクタ9は、レーザーなどの光を照出する光源装置91と、クロスダイクロイックプリズム92と、1対の光スキャナ93、94と、固定ミラー95とを有している。
光源装置91は、赤色光を照出する赤色光源装置911と、青色光を照出する青色光源装置912と、緑色光を照出する緑色光源装置913とを備えている。
クロスダイクロイックプリズム92は、4つの直角プリズムを貼り合わせて構成され、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから照出された光を合成する光学素子である。
このようなプロジェクタ9は、赤色光源装置911、青色光源装置912、緑色光源装置913のそれぞれから、図示しないホストコンピュータからの画像情報に基づいて照出された光をクロスダイクロイックプリズム92で合成し、この合成された光が、光スキャナ93、94によって走査され、さらに固定ミラー95によって反射され、スクリーンS上でカラー画像を形成するように構成されている。
ここで、光スキャナ93、94の光走査について具体的に説明する。
まず、クロスダイクロイックプリズム92で合成された光は、光スキャナ93によって横方向に走査される(主走査)。そして、この横方向に走査された光は、光スキャナ94によってさらに縦方向に走査される(副走査)。これにより、2次元カラー画像をスクリーンS上に形成することができる。
このような光スキャナ93、94として本発明の光スキャナを用いることにより、省電力化を図りつつ、大きな回動角で光を走査することのできるプロジェクタ9を提供することができる。
以上、本発明のアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明のアクチュエータ、光スキャナおよび画像形成装置では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
また、前述した実施形態では、可動板を回動させるためのアクチュエータについて説明したが、圧電素子の伸縮により梁を曲げ変形させることにより、梁の少なくとも1部を変位させることができれば、限定されない。したがって、例えば、圧電素子の伸縮させて梁を曲げ変形させることで、通電、非通電を選択することのできるようなスイッチなどに用いてもよい。
また、前述した実施形態では、アクチュエータの中心を通り質量部や駆動板の回動軸線Xに直角な面に対しほぼ対称(左右対称)な形状をなしている構造を説明したが、非対称であってもよい。
また、前述した実施形態では、各梁に複数の圧電素子が配列されているものについて説明したが、各梁に1つの圧電素子が設けられているものであってもよい。
また、前述した実施形態では、各梁の上面に圧電素子が配列されている構造を説明したが、各梁の下面に圧電素子が配列されていてもよく、また、各梁の上面および下面に圧電素子が設けられていてもよい。また、各梁に設けられた圧電素子の数が、複数の梁のそれぞれで互いに異なっていてもよい。
また、1つの圧電素子と梁との間に1つの空間部が形成されている構成について説明したが、1つの圧電素子と梁との間に複数の空間部が形成されていてもよい。この場合には、複数の空間部の配置や形状などは、特に限定されない。
本発明のアクチュエータの第1実施形態を示す斜視図である。 図1中のA−A線断面図である。 図1中のB−B線断面図である。 図1に示すアクチュエータの部分断面斜視図である。 図1に示すアクチュエータの駆動電圧の電圧波形の一例を示す図である。 アクチュエータの製造方法を説明する図である。 アクチュエータの製造方法を説明する図である。 本発明のアクチュエータの第2実施形態を示す部分断面斜視図である。 プロジェクタを説明するための図である。
符号の説明
1、1A‥‥‥アクチュエータ 2‥‥‥基体 21‥‥‥可動板 211‥‥‥光反射部 22‥‥‥支持部 23、24‥‥‥連結部 231、241‥‥‥駆動板 232、242‥‥‥第1の弾性部 2321、2321A、2322、2421、2422‥‥‥梁(弾性部材) 233、243‥‥‥第2の弾性部 3‥‥‥支持基板 31‥‥‥基部 32‥‥‥壁部 33‥‥‥凹部 311‥‥‥開口(逃げ部) 41〜44、41A‥‥‥駆動手段 411〜414、421〜424、431〜434、441〜444、411A〜414A‥‥‥圧電素子 4111‥‥‥圧電体層 511、511A、512、512A‥‥‥接合部 513、513A、523、533、543‥‥‥溝(空間部) 55A、56A‥‥‥スペーサ 61‥‥‥共通電極 62〜65‥‥‥個別電極 67A‥‥‥電極 71、72‥‥‥シリコン部材 81‥‥‥レジストマスク 82‥‥‥フォトレジスト 83、84‥‥‥金属マスク 9‥‥‥プロジェクタ 91‥‥‥光源装置 911‥‥‥赤色光源装置 912‥‥‥青色光源装置 913‥‥‥緑色光源装置 92‥‥‥クロスダイクロイックプリズム 93、94‥‥‥光スキャナ 95‥‥‥固定ミラー S‥‥‥スクリーン X‥‥‥回動中心軸

Claims (7)

  1. 回動可能に配置された可動板と、
    前記可動板を支持する支持部と、
    前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
    前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
    前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
    前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
    前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
    通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させるように構成されたアクチュエータであって、
    前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
    前記圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
    前記1対の接合部の間でかつ前記圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
    前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
    前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とするアクチュエータ。
  2. 前記1対の接合部は、前記圧電素子の伸縮方向での両端部に位置している請求項1に記載のアクチュエータ。
  3. 前記空間部は、前記1対の接合部の間のほぼ全域にわたり形成されている請求項2に記載のアクチュエータ。
  4. 前記凹部は、前記梁の幅方向の全域にわたり延在する溝である請求項1ないし3のいずれかに記載のアクチュエータ。
  5. 前記可動板は、その板面に光反射性を有する光反射部を備えている請求項1ないし4のいずれかに記載のアクチュエータ。
  6. 光反射性を有する光反射部を備える可動板と、
    前記可動板を支持する支持部と、
    前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
    前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
    前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
    前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
    前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
    通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成された光スキャナであって、
    前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
    前記圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
    前記1対の接合部の間でかつ前記圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
    前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
    前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とする光スキャナ。
  7. 光反射性を有する光反射部を備える可動板と、
    前記可動板を支持する支持部と、
    前記支持部と前記可動板とを連結する1対の連結部と、
    前記可動板を回動させるための圧電素子とを有し、
    前記各連結部は、駆動板と、前記支持部と前記駆動板とを連結する第1の弾性部と、前記駆動板と前記可動板とを連結する第2の弾性部と、を有し、
    前記第1の弾性部は、前記可動板の回動中心軸を介して対向配置された長手形状をなす1対の梁で構成されており、
    前記圧電素子は、前記梁の長手方向に伸縮するように前記各梁に少なくとも1つ接合され、
    通電により前記圧電素子を伸縮させることにより前記各連結部の前記1対の梁を互いに反対方向へ曲げ変形させ、それに伴い、前記可動板を回動させ、前記光反射部で反射した光を走査するように構成された光スキャナを備えた画像形成装置であって、
    前記各梁には、その長手方向に沿って間隔を隔てて複数の前記圧電素子が接合され、前記各梁に接合された前記各圧電素子は、圧電体層と、前記圧電体層の前記梁側に形成された共通電極と、前記圧電体層の前記梁と反対側に形成された個別電極とを有し、前記各圧電素子の前記共通電極は、一体的に形成されており、
    前記圧電素子の伸縮方向に間隔を隔てて設けられ、前記圧電素子と前記梁とを接合する1対の接合部と、
    前記1対の接合部の間でかつ前記圧電素子と前記梁との間に形成された空間部とを有し、
    前記空間部は、前記梁に形成された凹部により画成されており、
    前記圧電素子の伸縮による駆動力を前記1対の接合部を介して前記梁に伝達することで前記梁を曲げ変形させ、前記可動板を回動させるように構成されていることを特徴とする画像形成装置。
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