JP4929822B2 - 包装容器の蓋材用多層積層フィルム - Google Patents
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Description
本発明の多層積層フィルムは、シール樹脂層(A)と基材樹脂層(B)から構成されており、基材樹脂層は1層或いは2層以上である。図1は、基材樹脂層(B)が2層で構成された例を示すものであり、シール樹脂層に接した層が高密度ポリエチレン樹脂であり、その上に中密度ポリエチレン樹脂が積層された、全体で3層構造の多層積層フィルムである。
本発明において使用される樹脂名は、業界において慣用された意味で用いられる。ポリプロピレン樹脂にはホモポリマー以外に、他のオレフィン、特にエチレンが共重合されたものが含まれ、中でもエチレン−プロピレンのランダム共重合体のものが特に好ましい。
本発明の包装容器の蓋材用多層積層フィルムのシール樹脂層(A)は、高密度ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂の混合物からなるものである。本発明のシール樹脂層は、例えばポリプロピレン(PP)容器の場合、通常160℃〜200℃程度、特に好ましくは170℃〜190℃程度でヒートシールされる。
(1)高密度ポリエチレン樹脂
シール樹脂層(A)のベースレジンとしては、密度=0.945〜0.965g/cm3で、MFR(メルトマスフローレイト)が1〜7g/10分(190℃)の比較的溶融粘度の高い樹脂が適している(本発明においてMFRは「JIS K6922」に準拠した手法により測定した値である)。
(1)と同様にシール樹脂層(A)のベースレジンとしては、密度=0.9g/cm3で、MFRが10〜25g/10分(230℃)の比較的溶融粘度の低い樹脂が適している。また、適度なシール強度が得られるためポリプロピレン樹脂としてエチレンとプロピレンのランダム共重合体を使用することが好ましい(本発明においてMFRは「JIS K6921」に準拠した手法により測定した値である)。
シール樹脂層(A)の高密度ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂のブレンド比率は、20〜60重量部の高密度ポリエチレン樹脂と、40〜80重量部のポリプロピレン樹脂とからなることが好ましいが、被着材(ポリプロピレン)との要求接着強度によって変更することができる。
ポリプロピレンの比率が高いと接着強度が高くなりすぎて良好な易開封性が得られず、また比率が低いと接着強度が出ず、包装容器としての密封性が満足できない。
シール樹脂層(A)内においては高密度ポリエチレンとポリプロピレンは非相溶性で、成分比率の高いほうが海、成分比率の低いほうが島を形成するような表面構造(海島構造)をとるが、MFRをコントロールすることで海島構造が制御でき、適当な凝集破壊強度を達成することができる。
シール樹脂層(A)に関しては層厚が20μm以下で、好ましくは10μm以下であるものが良い。20μmを超えると剥離層(凝集破壊層)が汚くなり、剥離面の美麗性に劣るものになる。また、基材樹脂層(B)に関しては層厚が20μm以上100μm以下のものが易カット性の点から好ましい。
基材樹脂層(B)は、シール樹脂層と相俟って易開封性に寄与するだけでなく、特にフィルム自体の易カット性の点から、適切な樹脂の選定が必要である。
特に好ましい樹脂としては、マルチサイト触媒を用いて重合したエチレン・ブテン共重合体の密度0.93g/cm3以上0.94g/cm3以下である樹脂、密度が0.945以上の高密度ポリエチレンが挙げられ、それらを単体、好ましくは複合して使用(積層化)することで易カット性に優れたものを得ることができる。
基材樹脂層(B)は上記から成る樹脂を1〜3種使用して1層乃至3層に積層した積層樹脂層として形成することが好ましい。
次に、本発明の包装容器の蓋材用多層積層フィルムに要求される物性を設定する際の要因について説明する。
(1)凝集破壊強度
本発明の多層積層フィルムの易開封性或いは強度のコントロールは、シール樹脂層(A)に用いる高密度ポリエチレン樹脂とポリプロピレン樹脂の配合比を変更することで行うことができる。
本発明の多層積層フィルムの易カット性の調整には、基材樹脂層(B)に用いる樹脂の選定が重要であり、マルチサイト触媒を用いて重合したエチレン・ブテン共重合体や高密度ポリエチレン樹脂を用いることで、易カット性の点で特に優れたフィルムにすることができる。
次に、図3により本発明の多層積層フィルムを用いた包装容器の蓋材の1例の構成を説明する。図3の包装容器の蓋材は、本発明によるシール樹脂層(A)と基材樹脂層(B)から構成される多層積層フィルム上に、必要に応じて印刷を施したラミネート接着剤層を積層したものに、ポリエステルやポリアミドなどからなる透明な包装資材の基材をさらに積層したものである。
実施例1
(1)シール樹脂層(A)
高密度ポリエチレン(プライムポリマー(株)製ハイゼックス3300F:密度=0.950g/cm3、MFR=1.1g/10分)を30重量部と、ポリプロピレン(エチレン−プロピレンのランダムコポリマー樹脂:密度=0.9g/cm3、MFR=18g/10分)70重量部を十分に混錬して樹脂組成物を調整し、層厚を5μmとした。
延伸フィルムラミネート側用(基材樹脂層B−2)にマルチサイト触媒を用いて重合したエチレン・ブテン共重合体(プライムポリマー(株)製ネオゼックス3510F:密度=0.933g/cm3、MFR=1.6g/10分、曲げ弾性率が300MPa (JIS K 7171準拠))を100重量部調整し、層厚を25μmとした。
シール樹脂層側用(基材樹脂層B−1)に高密度ポリエチレン(プライムポリマー(株)製ハイゼックス3300F:密度=0.950g/cm3、MFR=1.1g/10分)を100重量部調整し、層厚を20μmとした。
基材樹脂層B−2の表面にコロナ処理を施し、その表面に2液硬化型ウレタン接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族イソシアネート)を塗布し、ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製二軸延伸PETフィルム[E5200]<両処理>:厚さ12μm → 東洋紡(株)製二軸延伸PETフィルム[E5100]<片処理>:厚さ12μmの順)を2層分貼り合わせた。得られた積層体は、(PET12/DL/PET12/DL/基材樹脂層B/シール樹脂層A)の構造のものである(DLは接着剤部分を意味する)。
カットされた容器から蓋材を引き剥がしたところ、適度なピール強度が得られ、しかも剥離面は綺麗だった。
(1)(シール樹脂層A)
高密度ポリエチレン(プライムポリマー(株)製ハイゼックス3300F:密度=0.950g/cm3、MFR=1.1g/10分)を30重量部と、ポリプロピレン(エチレン−プロピレンのランダムコポリマー樹脂:密度=0.9g/cm3、MFR=18g/10分)70重量部を十分に混錬して樹脂組成物を調整し、層厚を5μmとした。
シングルサイト系触媒(メタロセン触媒)を使用して重合したエチレン−α・オレフィン共重合体(プライムポリマー(株)製エボリューSP2020:密度=0.916g/cm3、MFR=2.3g/10分)を100重量部調整し、層厚を45μmとした。
以下実施例1と同様に蓋材を製造し、同様にPP容器にシールして得られたものを引裂いたが、フィルムのカット性が悪く、カット面には糸引きが生じていた。
上記の実施例1及び比較例1の易開封性多層積層フィルムにおける各物性の評価は下記の様に実施した。
(1)膜厚:SONY(株)製μ−メータにより測定した。
(2)シール強度:ポリプロピレン樹脂製カップへ、平シールからシール温度190℃、1kg/cm2、1秒の条件でシールした。引張試験機から15mm幅の短冊状試験片を切出し、300mm/min.で引張試験を実施した。
(3)引裂き強度:エレメンドルフ引裂き試験法(JIS K 7128に準拠)で測定した。
2 基材樹脂層(B:B−1、B−2)
3 ラミネート接着剤層
4 印刷
5 包装資材の基材
6 ヒートシール部
7 ミシン目
F 多層フィルム
P ポリプロピレン(PP)容器
PA PP容器A
PB PP容器B
Claims (11)
- 20〜60重量部の高密度ポリエチレン樹脂と40〜80重量部のポリプロピレン樹脂の混合物からなるシール樹脂層と、シール樹脂層に隣接したマルチサイト触媒を用いて重合したエチレン・ブテン共重合体の密度0.93g/cm 3 以上0.94g/cm 3 以下の中密度ポリエチレン樹脂又は密度0.945g/cm 3 以上0.965g/cm 3 以下の高密度ポリエチレン樹脂の1層或いは2層以上からなる基材樹脂層により構成された包装容器の蓋材用多層積層フィルム。
- シール樹脂層の膜厚が1μm以上20μm以下であり、基材樹脂層の膜厚が20μm以上100μm以下である請求項1記載の多層積層フィルム。
- 基材樹脂層がシール樹脂層に隣接した高密度ポリエチレン樹脂及びその上に積層された中密度ポリエチレン樹脂の2層からなる請求項1又は2記載の多層積層フィルム。
- シール樹脂層を形成するポリプロピレン樹脂が、エチレンとプロピレンのランダムコポリマーであり、且つMFRが5〜30g/10分(230℃)である請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層積層フィルム。
- 基材樹脂層を形成するエチレン・ブテン共重合体の曲げ弾性率がJIS K 7171に準拠した手法で得られる数値で300MPa以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層積層フィルム。
- シール樹脂層の反対面の基材樹脂層表面に、延伸フィルムをラミネートした請求項1〜5のいずれか1項に記載の多層積層フィルム。
- 請求項1〜6に記載した多層積層フィルムが蓋材に用いられた包装容器。
- 容器開口部の蓋材の接着面がポリプロピレンで形成された容器の開口部にヒートシールされ、開封時に蓋材のシール樹脂層が凝集破壊して開封される請求項7記載の包装容器。
- フランジ部を介して複数の容器が形成された請求項7又は8記載の包装容器。
- フランジ部に容器を切り離す手段が設けられた請求項9記載の包装容器。
- 容器を切り離す手段が容器のフランジ部と蓋材を貫通するミシン目である請求項10記載の包装容器。
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