JP4929709B2 - カイラル剤、液晶組成物、高分子液晶、回折素子、及び光情報記録再生装置 - Google Patents

カイラル剤、液晶組成物、高分子液晶、回折素子、及び光情報記録再生装置 Download PDF

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Description

本発明は、カイラル剤、液晶組成物、高分子液晶、回折素子、及び光情報記録再生装置に関する。
コレステリック液晶における液晶分子は、螺旋状にねじれた配向を有しており、その螺旋のピッチに対応する、左右円偏光成分の一方を選択反射する性質がある。このため、コレステリック液晶は、様々な光学素子に利用されている。このようなコレステリック液晶は、ネマチック液晶材料のような液晶材料に、不斉中心を有するカイラル剤を添加することによって得られる。
コレステリック液晶としては、温度特性が良好なこと、信頼性が高いことから、高分子タイプのコレステリック液晶が有用である。高分子コレステリック液晶は、重合性官能基を有する液晶性化合物と、重合性官能基を有するカイラル剤とを含む液晶組成物を重合することによって得ることができる。
従来、コレステリック液晶を得るために液晶材料に添加される様々なカイラル剤が、開発されており、例えば、イソソルビドの骨格構造を有するカイラル剤が、開示されている。
イソソルビドの骨格構造を有するカイラル剤としては、例えば、特許文献1には、イソソルビドの骨格構造を中心とした対称構造及び2個〜6個の重合可能な基を備えた化合物が開示されている。また、特許文献2には、イソソルビドの骨格構造を有するが重合性官能基を有さないカイラルドーパントが、開示されている。さらに、特許文献3には、イソソルビドの骨格構造を有し、イソソルビド骨格構造の両側に存在する環の数が異なるキラル化合物が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示された化合物を、重合性液晶性化合物と重合させて、高分子のコレステリック液晶を得る際には、以下の問題があった。特許文献1に開示されるような2個〜6個の重合可能な基を備えた化合物の重合速度は、単官能の重合性液晶性化合物の重合速度より速い。このため、重合反応の初期には、特許文献1に開示されるような2個〜6個の重合可能な基を備えた化合物の重合反応に寄与する割合が多く、一方、重合反応の後期には、単官能の重合性液晶性化合物の重合反応に寄与する割合が多い。よって、重合反応によって得られる重合体の組成が、重合の初期と重合の後期との間で変動することがある。その結果、得られる高分子のコレステリック液晶の選択反射帯が、重合前の液晶組成物における選択反射帯よりも広くなったり、選択反射帯の矩形の形状が崩れてしまったりすることがある。なお、高分子のコレステリック液晶の選択反射帯は、高分子のコレステリック液晶が左右円偏光成分の一方を選択反射する光の波長領域を意味する。
また、特許文献2に開示されるような、イソソルビドの骨格構造を有するが重合性官能基を有さないカイラルドーパントは、重合性液晶性化合物との相溶性が低いことがある。このため、重合性液晶性化合物を重合するとき、得られる重合体とカイラルドーパントとの間で相分離が起こることがある。また、重合性液晶性化合物の重合後に、カイラルドーパントが析出することがある。さらに、特許文献2に開示されるようなカイラルドーパントは、重合性官能基を有さないため、高分子のコレステリック液晶を製造することができない。
さらに、特許文献1及び3に開示されるイソソルビドの骨格構造を有するカイラル剤は、融点又は結晶化点が高い問題があった。カイラル剤及び重合性液晶性化合物を含む組成物を調製する際、これらの材料の融点が高いと、両者を充分に混合するために加熱が必要となる。そして、この加熱により不均一な熱重合反応が進行し、均一な高分子コレステリック液晶を得ることが困難となるおそれがある。また、結晶化点が高いと、組成物においてカイラル剤が析出しやすく、高分子コレステリック液晶が不均一になるおそれもある。
特表平9−506088号公報 特表2000−515496号公報 特開2003−137887号公報
本発明の目的の一つは、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を提供することである。
本発明の別の目的は、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を提供することである。
本発明のまた別の目的は、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を用いて得ることが可能な高分子液晶を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を用いて得ることが可能な高分子液晶を含む回折素子を提供することである。
本発明のまた別の目的は、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を用いて得ることが可能な高分子液晶を含む回折素子を含む光記録再生装置を提供することである。
本発明の第一の態様は、構造式(1)又は構造式(2)
Figure 0004929709
Figure 0004929709
で表されるカイラル剤である。
本発明の第二の態様は、重合性官能基及びメソゲン基を備えた重合性液晶性化合物と本発明の第一の態様であるカイラル剤とを含むことを特徴とする液晶組成物である。
本発明の第三の態様は、少なくとも、本発明の第二の態様である液晶組成物を重合させて得られることを特徴とする高分子液晶である。
本発明の第四の態様は、光を回折させる回折素子であって、本発明の第三の態様である高分子液晶を含む第一の材料からなる第一の部材及び該第一の材料と屈折率特性が異なる第二の材料からなる第二の部材を含み、該第一の部材及び該第二の部材は、交互に配置されていることを特徴とする回折素子である。
本発明の第五の態様は、光記録媒体に情報を記録する及び/又光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、本発明の第四の態様である回折素子を含むことを特徴とする光記録再生装置である。
本発明の第一の態様によれば、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を提供することができる。
本発明の第二の態様によれば、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を提供することができる。
本発明の第三の態様によれば、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を用いて得ることが可能な高分子液晶を提供することができる。
本発明の第四の態様によれば、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を用いて得ることが可能な高分子液晶を含む回折素子を提供することができる。
本発明の第五の態様によれば、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を用いて得ることが可能な高分子液晶を含む回折素子を含む光記録再生装置を提供することができる。
次に、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。本明細書においては、以下、屈折率異方性は、左回り円偏光と右回り円偏光の屈折率の差を意味する。
本発明の第一の実施形態は、一般式
Figure 0004929709
で表されるカイラル剤である。すなわち、上記の一般式で表される化合物は、不斉炭素原子を有するカイラル剤である。
ここで、P及びPは、それぞれ独立に、一つの置換若しくは無置換の1,4−フェニレン基を含む。すなわち、P及びPの各々に含まれる置換若しくは無置換の1,4−フェニレン基の数は、一つである。置換の1,4−フェニレン基は、1,4−フェニレン基の水素原子の少なくとも一つが置換基で置換されている。これらの置換基としては、塩素原子、フッ素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、及び炭素数1以上10以下のアルコキシ基からなる群より選択される置換基が挙げられる。
炭素数1以上10以下のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖の炭素数1以上10以下のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などが挙げられる。炭素数1以上10以下のアルコキシ基は、直鎖又は分岐鎖の炭素数1以上10以下のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。
1,4−フェニレン基に置換する置換基としては、メトキシ基、メチル基およびフッ素原子が好ましい。
また、P及びPの一方は、重合性官能基を含む。言い換えれば、P及びPの一方が、重合性官能基を含み、他方は、重合性官能基を含まない。重合性官能基は、炭素−炭素二重結合(−C=C−)を含む官能基である。重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基(CH=CHCOO−)及びメタクリロイル基(CH=C(CH)COO−)などが挙げられる。
本発明の第一の実施形態によれば、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を提供することができる。ここで、カイラル剤の融点は、カイラル剤の温度を上昇させたとき、カイラル剤の結晶が融解し始める温度であり、カイラル剤の結晶化点は、いったんカイラル剤を融解させ、ついでカイラル剤の温度を下降させたとき、融解したカイラル剤が結晶化し始める温度である。
例えば、本発明の第一の実施形態によるカイラル剤は、室温(25℃)以下の結晶化点を有することもある。このように、本発明の第一の実施形態によるカイラル剤は、より低い融点又は結晶化点を有するので、該カイラル剤を含む組成物を調製する温度を、より低くすることが可能となる。また、組成物の調製後にカイラル剤の相分離又は析出が、起こりにくい。
また、本発明の第一の実施形態によるカイラル剤は、比較的高いHTP(Helical Twisting Power:らせん誘起力)を有し得る。カイラル剤のHTPは、
HTP=(PC)−1
で定義され、Pは、カイラル剤によるコレステリック液晶のピッチ(μm)を表し、Cは、カイラル剤を含む組成物におけるカイラル剤の濃度(質量%)を表す。
さらに、本発明の第一の実施形態によるカイラル剤の温度変化に対するカイラル剤のHTPの変化は、比較的小さい。
本発明の第一の実施形態は、好ましくは、一般式(A)
Figure 0004929709
又は一般式(B)
Figure 0004929709
で表されるカイラル剤である。すなわち、一般式(A)又は一般式(B)で表される化合物は、不斉炭素原子を有するカイラル剤である。
ここで、Q及びQは、それぞれ独立に、CH=CR−COO−(L)−E−で表される基である。
また、Q及びQは、それぞれ独立に、−E−Rで表される基である。
は、水素原子又はメチル基であり、水素原子が好ましい。
は、水素原子、炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、炭素数2以上8以下のアルケニル基、フッ素原子、及びシアノ基からなる群より選択される基である。
炭素数1以上8以下のアルキル基は、直鎖又は分岐鎖の炭素数1以上8以下のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基などが挙げられる。炭素数1以上8以下のアルコキシ基は、直鎖又は分岐鎖の炭素数1以上8以下のアルコキシ基であり、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基などが挙げられる。炭素数2以上8以下のアルケニル基は、直鎖又は分岐鎖の炭素数2以上8以下のアルケニル基であり、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基などが挙げられる。
本発明の第一の実施形態によるカイラル剤において、好ましくは、HTPを大きくできる観点からは、Rは炭素数1以上8以下のアルキル基、炭素数1以上8以下のアルコキシ基、及びシアノ基からなる群より選択される基であることが好ましい。具体的には、n−ヘプチル基、メトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基、およびシアノ基が好ましい。
mは、0又は1であり、1が好ましい。
Lは、−(CHO−又は−(CH−であり、−(CHO−が好ましい。
p及びqは、それぞれ独立に、2以上8以下の整数であり、2以上4以下の整数が好ましい。
及びEは、それぞれ独立に、塩素原子、フッ素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、及び炭素数1以上10以下のアルコキシ基からなる群より選択される置換基を有してもよい、1,4−フェニレン基であることを特徴とするカイラル剤である。言い換えれば、E及びEは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の1,4−フェニレン基である。
ここで、置換の1,4−フェニレン基は、1,4−フェニレン基の水素原子の少なくとも一つが、それぞれ独立に、塩素原子、フッ素原子、炭素数1以上10以下のアルキル基、及び炭素数1以上10以下のアルコキシ基からなる群より選択される置換基で置換された1,4−フェニレン基である。なお、炭素数1以上10以下のアルキル基及び炭素数1以上10以下のアルコキシ基は、P及びPについて上述したものと同じである。また、置換基の好ましい態様も上述したものと同じである。
本発明のカイラル剤としては、下記化合物が好ましく、下記化合物(B1)〜(B3)が特に好ましい。なお、Q〜Qの好ましい態様は、下記化合物中に例示される。
Figure 0004929709
このように、本発明の第一の実施形態によるカイラル剤は、好ましくは、イソソルビド誘導型の中心骨格の両側のそれぞれに一つの置換若しくは無置換の1,4−フェニレン基を有し、イソソルビド誘導型の中心骨格の片側にCH=CR−COO−を有する。ここで、CH=CR−COO−は、重合性官能基である。
この場合は、本発明の第一の実施形態によるカイラル剤は、融点または結晶化点が低く、HTPが大きくなる。
本発明の第一の実施形態によるカイラル剤は、例えば、合成スキーム1
Figure 0004929709
又は合成スキーム2
Figure 0004929709
に従う合成方法によって、得られる(なお、式中のDCCはジシクロヘキシルカルボジイミドを表し、DMAPはジメチルアミノピリジンを表す。)。
本発明の第一の実施形態によるカイラル剤のうち、一般式(B)で表される化合物は、例えば、合成スキーム1に示す方法によって得られる。すなわち、イソソルビドと所定のカルボン酸(QCOOH)との縮合反応によって化合物(b)を得て、つぎに化合物(b)と式QCOClで表される化合物との反応によって化合物(B)を得ることができる。
また、一般式(A)で表される化合物は、例えば、合成スキーム2に示す方法によって得られる。すなわち、イソソルビドと所定の第一のカルボン酸(QCOOH)との縮合反応によって化合物(a)を得て、つぎに化合物(a)と、式QCOOHで表される化合物とを反応させることによって化合物(A)を得ることができる。
なお、QCOOH、QCOOH、QCOCl、QCOOHは市販されている化合物をそのまま使用するか、市販されている化合物から誘導して使用できる。
本発明の第二の実施形態は、重合性官能基及びメソゲン基を備えた重合性液晶性化合物と本発明の第一の実施形態によるカイラル剤とを含む液晶組成物である。
重合性液晶性化合物は、特に限定されず、重合性官能基及びメソゲン基を有する化合物であればよい。
ここで、重合性官能基は、炭素−炭素二重結合(−C=C−)を含む官能基である。重合性官能基としては、例えば、アクリロイル基(CH=CHCOO−)及びメタクリロイル基(CH=C(CH)COO−)などが挙げられる。重合性液晶性化合物の重合性官能基は、カイラル剤の重合性官能基と同一であってもよく、異なってもよく、同一であることが好ましい。
また、メソゲン基は、重合性液晶性化合物の分子の異方性に寄与する。メソゲン基は、好ましくは、脂環式炭化水素の環、芳香族炭化水素の環及び複素環の少なくとも一つを含み、メソゲン基に含まれる環は、互いに直接的に結合してもよく、連結基を介して間接的に結合してもよい。メソゲン基としては、特に限定されないが、例えば、1,4’’−ターフェニレン基(−Ph−Ph−Ph−)及び4,4’−ジフェニルアセチレンジイル基(−Ph−C≡C−Ph−)が挙げられる。ここで、−Ph−は、1,4−フェニレン基を表す。
重合性液晶性化合物としては、特に限定されないが、たとえば下記化合物が挙げられる。ただし、式中のn1、n2、およびn3はそれぞれ独立に1〜8の自然数を表す。これらの重合性液晶性化合物は単独で用いてもよいが、2種以上を併用することが好ましい。2種以上併用する場合の組み合わせや配合割合は、用途や求められる特性により適宜設定されることが好ましい。
たとえば、下記化合物(1A)、下記化合物(2−1)、および下記化合物(3−1)の組み合わせが挙げられ、これらの配合比率は、化合物(1A):化合物(2−1):化合物(3−1)として、通常、(2〜8):(1〜3):1の範囲であり、具体的には、7:2:1(モル比)、5:3:2(モル比)であることが好ましい。なお、この組み合わせにおいては、n1は4、n2は4、n3は6であることが好ましい。
Figure 0004929709
本発明の第二の実施形態による液晶組成物は、少なくとも、重合性官能基及びメソゲン基を備えた重合性液晶性化合物及び本発明の第一の実施形態によるカイラル剤を、混合することによって、得られる。
本発明の第二の実施形態による液晶組成物は、重合性官能基及びメソゲン基を備えた重合性液晶性化合物及び重合性官能基であり得るCH=CR−COO−基を有する本発明の第一の実施形態によるカイラル剤を含むので、高分子のコレステリック液晶を得ることができる。
本発明の第二の実施形態によれば、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を提供することができる。
よって、本発明の第二の実施形態によれば、より低い融点を備えた液晶組成物を提供することが可能となる。例えば、液晶組成物を、液晶組成物の融点以上の温度でセルに注入するとき、液晶組成物の注入温度を、より低下させることが可能となる。本発明の第二の実施形態の液晶組成物を用いて光学素子を作製する際は、液晶組成物をセルに注入し、ついで液晶組成物が液晶相を発現した状態で重合させることが行われる。そして、光学素子の特性を良好にするためには、重合完了時まで液晶組成物が液晶相を保っていることが必要である。
本発明の第二の実施形態による液晶組成物は、低い融点を有するため、セルへの注入温度をより低下させることができる。また、より低い温度で液晶相を発現できる。言い換えると、セルへの注入時や重合時に高温条件が不要となることから、液晶組成物の不均一な熱重合を抑制し、液晶組成物の組成の変動を抑制することが可能となる。
さらに、本発明の第二の実施形態による液晶組成物は、より低い融点又は結晶化点を備えた本発明の第一の実施形態によるカイラル剤を含むので、液晶組成物におけるカイラル剤の相分離又は析出が、起こりにくい。
また、本発明の第二の実施形態による液晶組成物は、高いHTPを備えた本発明の第一の実施形態によるカイラル剤を含むので、カイラル剤の使用量が少量であってもコレステリック液晶のらせん構造を形成することが容易である。このため、液晶組成物の屈折率異方性の低下を抑制することが可能となる。
一般にカイラル剤の屈折率異方性は、重合性液晶性化合物より小さいことが多い。よって、重合性液晶性化合物およびカイラル剤を含む液晶組成物の屈折率異方性は、重合性液晶性化合物の屈折率異方性よりも小さくなる傾向がある。しかし、本発明の第一の実施形態によるカイラル剤は少量の添加によってコレステリック液晶のらせん構造を形成できるので、本発明の第二の実施形態による液晶組成物の屈折率異方性の低下を抑制することが可能となる。その結果、液晶組成物に要求される屈折率異方性及び屈折率異方性に依存する旋光角を得ることが、より容易になる。
本発明の第二の実施形態による液晶組成物において、前記カイラル剤の含有量は、液晶組成物に対して、20質量%以下である。カイラル剤の含有量が、20質量%以下である場合には、本発明の第一の実施形態によるカイラル剤の屈折率異方性が、重合性液晶性化合物より小さくても、本発明の第二の実施形態による液晶組成物の屈折率異方性(及び旋光角)の低下を、より容易に低減することが可能となる。言い換えれば、カイラル剤の含有量が、20質量%を超える場合には、本発明の第二の実施形態による液晶組成物の屈折率異方性(及び旋光角)の低下が、大きいことがある。カイラル剤のより好ましい量は、液晶組成物に対して5〜20質量%である。
本発明の第三の実施形態は、少なくとも、本発明の第二の実施形態による液晶組成物を重合させて得られる高分子液晶である。重合は、液晶組成物が液晶相を示す状態で行うことが好ましい。
本発明の第二の実施形態による液晶組成物を重合させる方法としては、例えば、液晶組成物を加熱することによって、液晶組成物を熱重合させることもできるが、好ましくは、紫外光のような光を液晶組成物に照射することによって、液晶組成物を光重合させることができる。光重合によれば、より均一な高分子液晶を得ることが可能となる。
また、本発明の第二の実施形態による液晶組成物を重合させる際に、液晶組成物を、配向膜付きのセルに注入して、得られる高分子液晶の配向を制御してもよい。さらに、本発明の第二の実施形態による液晶組成物を重合させた後に、少量含まれる未反応の重合性液晶性化合物及びカイラル剤の重合を完結させるために、得られた高分子液晶をさらに熱処理してもよい。
本発明の第三の実施形態によれば、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を用いて得ることが可能な高分子液晶を提供することができる。
本発明の第三の実施形態による高分子液晶は、本発明の第一の実施形態によるカイラル剤を用いて得られるので、得られる高分子コレステリック液晶のらせん構造が、安定である。その結果、本発明の第三の実施形態によれば、高分子コレステリック液晶に特有な、選択反射帯における透過率曲線の矩形が明瞭である高分子液晶を、より安定に得ることが可能となる。すなわち、本発明の第三の実施形態による高分子液晶の光の透過率を表す分光曲線においては、選択反射帯における透過率と選択反射帯を除く波長域における透過率が、明確に異なる。
図1は、コレステリック液晶について光の透過率を表す分光曲線における選択反射帯を説明する図である。図1における横軸は、光の波長(nm)を示し、縦軸は、コレステリック液晶を通過する左回り円偏光及び右回り円偏光を含む光の透過率(%)を示す。図1に示すように、コレステリック液晶は、コレステリック液晶を通過する左回り円偏光及び右回り円偏光を含む光について、高い透過率を有する波長域(波長<λ及び波長>λ)及び低い透過率を示す波長域(λ≦波長≦λ)を有する。光の透過率を表す分光曲線において、高い透過率を有する波長域は、左回り円偏光及び右回り円偏光の両方を透過する波長域である。低い透過率を有する波長域は、左回り円偏光及び右回り円偏光の一方を透過すると共に他方を反射する波長域であり、選択反射帯と呼ばれる。
なお、コレステリック液晶の選択反射帯における波長の光については、コレステリック液晶のらせん構造の向きと同じ向きに回転する電磁場の振動面を有する円偏光が、コレステリック液晶によって反射され、コレステリック液晶のらせん構造の向きと反対向きに回転する電磁場の振動面を有する円偏光は、コレステリック液晶を透過する。
そして、選択反射帯の近傍における波長の光については、左回り円偏光の屈折率と右回り円偏光の屈折率との差が大きくなる。より詳しくは、コレステリック液晶の選択反射帯の近傍における波長の光については、コレステリック液晶のらせん構造の向きと反対向きに回転する電磁場の振動面を有する円偏光の屈折率に対する、コレステリック液晶のらせん構造の向きと同じ向きに回転する電磁場の振動面を有する円偏光の屈折率の差が、コレステリック液晶によって大きくなる。一方、選択反射帯から離れた波長の光については、左回り円偏光の屈折率と右回り円偏光の屈折率との差は、小さい。すなわち、選択反射帯から離れた波長の光については、左回り円偏光と右回り円偏光との間の屈折率の差は、小さい。
また、本発明の第三の実施形態による高分子液晶は、選択反射帯を除く波長域において高い透過率を示す。
本発明の第三の実施形態による高分子液晶は、光学素子用の材料として用いられ得る。すなわち、本発明の第三の実施形態による高分子液晶を含む光学素子を提供することができる。ここで、光学素子は、光を制御する素子を意味する。光学素子は、四分の一波長板及び二分の一波長板のような光の偏光を制御することができる偏光素子、光を回折させる回折素子、及びそれらの組み合わせなどを含む。
本発明の第四の実施形態は、光を回折させる回折素子であって、本発明の第三の実施形態による高分子液晶を含む第一の材料からなる第一の部材及び該第一の材料と屈折率特性が異なる第二の材料からなる第二の部材を含み、該第一の部材及び該第二の部材は、交互に配置されている。
ここで、第一の材料からなる第一の部材及び第一の材料と異なる第二の材料からなる第二の部材が、交互に配置されているので、交互に配置される第一の部材及び第二の部材を透過する光は、互いに干渉し、回折する。また、第一の部材を構成する第一の材料は、第二の部材を構成する第二の材料と屈折率特性が異なるため、第一の部材を透過する光と第二の部材を透過する光との間には位相差が与えられる。
第一の部材及び第二の部材は、好ましくは、実質的に一定のピッチで交互に配置される。第一の部材及び第二の部材が、実質的に一定のピッチで交互に配置される場合には、第一の部材を通じて回折される光と第二の部材を通じて回折される光との干渉が良好であり、回折素子の回折効率を向上させることができる。ここで、実質的に一定のピッチとは、所定の回折効率を得ることができる程度にピッチが一定であることを意味する。
また、第一の部材及び第二の部材は、好ましくは、互いに接する。第一の部材及び第二の部材が、互いに接する場合には、第一の部材及び第二の部材以外の部分に入射する光を低減又は無くし、回折格子に入射する光を有効に利用することができる。
本発明の第四の実施形態によれば、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を用いて得ることが可能な高分子液晶を含む回折素子を提供することができる。
本発明の第四の実施形態による回折素子においては、本発明の第三の実施形態による高分子液晶を含む第一の材料からなる第一の部材を含み、本発明の第三の実施形態による高分子液晶が、本発明の第一の実施形態によるカイラル剤を用いて得られるので、第一の部材を構成する第一の材料の屈折率を大きくすることができる。また、第一の部材に含まれる第一の材料についての光の透過率を示す分光曲線は、明瞭な選択反射帯を有し得る。さらに、第一の部材を構成する第一の材料は、選択反射帯を除く波長域において高い透過率を示す。
第一の部材を構成する第一の材料の屈折率異方性が、大きい場合には、第一の部材に含まれる第一の材料は、第一の材料を透過する左回り円偏光及び右回り円偏光の位相差を、容易に与えることができる。より詳しくは、第一の材料を透過する左回り円偏光及び右回り円偏光の位相差は、第一の材料の屈折率異方性(左回り円偏光の屈折率と右回り円偏光の屈折率との差)と光が透過する方向に沿った第一の材料の厚さの積に比例し、光の波長に反比例する。よって、第一の部材に含まれる第一の材料が、大きい屈折率異方性を有するときには、所定の位相差を与えるための、光が透過する方向に沿った第一の材料の厚さを低減することが可能となる。その結果、回折素子の厚さも低減することが可能となる。
また、第一の部材を構成する第一の材料についての光の透過率を示す分光曲線が、明瞭な選択反射帯を有する場合には、左回り円偏光の屈折率と右回り円偏光の屈折率との差を与える、選択反射帯の近傍における波長の光を、より容易に選択することができる。その結果、回折素子の第一の部材を透過して、回折素子によって回折される光の波長を選択することが、より容易になる。
さらに、第一の部材を構成する第一の材料が、選択反射帯を除く波長域において高い透過率を示す場合には、第一の部材を透過する、選択反射帯を除く波長域における波長の光の減衰を抑制することが可能となる。その結果、回折素子を透過する光の透過率の減少を抑制することが可能となる。
本発明の第四の実施形態による回折素子において、好ましくは、第一の円偏光に対する前記第一の材料の屈折率は、該第一の円偏光に対する前記第二の材料の屈折率と実質的に等しく、該第一の円偏光と逆向きに回転する第二の円偏光に対する前記第一の材料の屈折率は、該第二の円偏光に対する前記第二の材料の屈折率と異なる。
ここで、第一の円偏光及び第二の円偏光の一方は、左回り円偏光であり、他方は、右回り円偏光である。また、第一の円偏光に対する第一の材料の屈折率が、第一の円偏光に対する第二の材料の屈折率と実質的に等しいことは、第一の材料を透過する第一の円偏光及び第二の材料を透過する第二の円偏光の干渉が、問題にならない程度であることを意味する。
この場合には、第一の円偏光に対する前記第一の材料の屈折率が、該第一の円偏光に対する前記第二の材料の屈折率と実質的に等しいので、第一の材料及び第二の材料を透過する第一の円偏光の干渉が抑制されて、第一の円偏光は、第一の材料及び第二の材料の両方を透過することができる。また、第二の円偏光に対する第一の材料の屈折率が、第二の円偏光に対する第二の材料の屈折率と異なるので、第二の円偏光が、第一の材料及び第二の材料を透過するとき、第一の材料を透過する第二の円偏光が、互いに干渉し、回折する。その結果、回折素子を透過した第二の円偏光の強度は、特定の方向で大きくなる。
また、第二の材料は、第一の円偏光及び第二の円偏光に対する屈折率が互いに等しい等方性材料であってもよい。この場合には、第二の材料を比較的容易に選択することができる。
本発明の第四の実施形態による回折素子は、公知の製造技術によって、製造することができる。
さらに、本発明の第四の実施形態による回折素子は、第一の部材及び第二の部材のみならず、他の部材を含んでもよい。例えば、本発明の第四の実施形態による回折素子は、基板及び/又は四分の一波長板及び二分の一波長板のような波長板を含んでもよい。
図2は、本発明による回折素子の例を説明する図である。図2に示す回折素子20は、入射光を透過する透明な基板21、本発明の第三の実施形態による高分子液晶を含む第一の材料からなる第一の部材22、及び第一の材料と屈折率特性が異なる第二の材料からなる第二の部材23を含む。第一の部材22及び第二の部材23は、基板21上において交互に配置されている。
ここで、本発明の第三の実施形態による高分子液晶が、右回りのらせん構造を有する高分子コレステリック液晶であり、回折素子20に(実線で示す)右回り円偏光R及び(破線で示す)左回り円偏光Lが入射するとする。なお、右回り円偏光R及び左回り円偏光Lの波長は、右回り円偏光Rの選択反射帯の近傍における波長であるとする。また、左回り円偏光Lに対する第一の材料の屈折率及び第二の材料の屈折率と実質的に等しく、右回り円偏光Rに対する第一の材料の屈折率は、右回り円偏光Rに対する第二の材料の屈折率と異なる。
この場合、第一の部材22を透過する左回り円偏光Lと第二の部材23を透過する左回り円偏光Lとの間には、位相差は与えられず、左回り円偏光Lは、実質的に干渉を起こすことなく、回折素子20を透過する。一方、第一の部材22を透過する右回り円偏光Rは、第一の部材に含まれる右回りのらせん構造を有する高分子コレステリック液晶によって、第二の部材23を透過する右回り円偏光Rに対して、位相差を与えられる。その結果、第一の部材22及び第二の部材23を透過した右回り円偏光Rは、互いに干渉して回折され、所定の方向に強い強度でスプリットされる。
好ましくは、第二の部材23を透過する右回り円偏光Rの位相に対する第一の部材22を透過する右回り円偏光Rの位相の差は、πである。この場合には、回折素子20を透過した右回り円偏光の±1次の回折光の強度が、最大になり、回折素子20の回折効率が高くなる。なお、第二の部材23を透過する右回り円偏光Rの位相に対する第一の部材22を透過する右回り円偏光Rの位相の差をπにするためには、第一の部材を構成する第一の材料の旋光角が、90°になるように、第一の部材の屈折率異方性に応じて第一の部材の厚さを設計すればよい。
本発明の第五の実施形態は、光記録媒体に情報を記録する及び/又光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、本発明の第四の実施形態による回折素子を含む。
本発明の第五の実施形態による光情報記録再生装置においては、本発明の第四の実施形態による回折素子は、光記録媒体から反射された光を回折する。また、本発明の第五の実施形態による光情報記録再生装置は、本発明の第四の実施形態による回折素子に加えて、回折格子に入射する光を発生させる光源、光源から射出された光を光記録媒体に集光する対物レンズ、及び光記録媒体から反射された光を検出する光検出器などを含む。
本発明の第五の実施形態によれば、より低い融点又は結晶化点を備えたカイラル剤を含む液晶組成物を用いて得ることが可能な高分子液晶を含む回折素子を含む光記録再生装置を提供することができる。
図3は、本発明による光記録再生装置の例を説明する図である。図3に示す(点線の枠で示した)光記録再生装置30は、光源としての二波長用半導体レーザー31、コリメータレンズ32、偏光ビームスプリッター33、本発明の第四の実施形態による回折素子34、集光レンズ35、受光レンズ36、並びに、光検出器としてのフォトダイオード37及び38を含む。二波長用半導体レーザー31は、二つの波長λ(実線)及びλ(破線)の光を発生させる発光点を有し、二つの波長λ及びλのP偏光を発生させることができる。波長λ及びλの光は、例えば、DVD用の660nm±20nmの波長を備えた光及びCD用の790nm±20nmの波長を備えた光であってもよい。フォトダイオード37は、波長λの光を検出し、フォトダイオード38は、波長λの光を検出する。偏光ビームスプリッター33は、P偏光を透過し、S偏光を反射する。
また、図4は、図3に示す光記録再生装置に含まれる回折素子の作用を説明する図である。
図4に示すように、図3に示す回折素子34は、波長λ及びλの光を透過する透明な基板41、本発明による第四の実施形態による回折素子を構成する第一の部材42及び第二の部材43、並びに四分の一波長板44を含む。第一の部材42は、本発明の第三の実施形態による高分子液晶を含み、波長λは、高分子液晶の選択波長域の近傍の波長(前記図1のλに近い長波長側)であり、波長λは、高分子液晶の選択波長域から離れた波長(前記図1のλから遠い長波長側)であるとする。
まず、二波長用半導体レーザー31から発振された波長λを備えたP偏光は、コリメータレンズ32によってコリメートされ、偏光ビームスプリッター33を透過して、回折素子34に入射する。波長λを備えたP偏光は、回折素子34の四分の一波長板によって波長λを備えた左回り円偏光に変換される。波長λを備えた左回り円偏光は、回折素子34の第一の部材42及び第二の部材43によって干渉することなく、回折素子34を透過し、集光レンズ35によって、DVDのような光記録媒体39に照射される。波長λを備えた左回り円偏光は、光記録媒体39から反射されるが、このとき、波長λを備えた左回り円偏光は、波長λを備えた右回り円偏光に変換される。光記録媒体39から反射された波長λを備えた右回り円偏光は、集光レンズ35を通じて、回折素子34に入射する。ここで、回折素子34の第一の部材42に入射した波長λを備えた右回り円偏光は、回折素子34の第二の部材43に入射した波長λを備えた右回り円偏光に対して位相差πを与えられ、波長λを備えた右回り円偏光は、主として±1次の回折光として射出される。±1次の回折光として射出された波長λを備えた右回り円偏光は、回折素子34の四分の一波長板44によって波長λを備えたS偏光に変換され、偏光ビームスプリッター33に入射する。波長λを備えたS偏光(±1次の回折光)は、偏光ビームスプリッター33によって反射され、受光レンズ36によって、二つのフォトダイオード37に集束され、二つのフォトダイオード37によって検出される。
次に、二波長用半導体レーザー31から発振された波長λを備えたP偏光は、コリメータレンズ32によってコリメートされ、偏光ビームスプリッター33を透過して、回折素子34に入射する。波長λを備えたP偏光は、回折素子34の四分の一波長板によって波長λを備えた左回り円偏光に変換される。波長λを備えた左回り円偏光は、回折素子34の第一の部材42及び第二の部材43によって干渉することなく、回折素子34を透過し、集光レンズ35によって、CDのような光記録媒体39に照射される。波長λを備えた左回り円偏光は、光記録媒体39から反射されるが、このとき、波長λを備えた左回り円偏光は、波長λを備えた右回り円偏光に変換される。光記録媒体39から反射された波長λを備えた右回り円偏光は、集光レンズ35を通じて、回折素子34に入射する。ここで、回折素子34の第一の部材42及び第二の部材43に入射した波長λを備えた右回り円偏光は、位相差を与えられずに射出される。波長λを備えた右回り円偏光は、回折素子34の四分の一波長板44によって波長λを備えたS偏光に変換され、偏光ビームスプリッター33に入射する。波長λを備えたS偏光は、偏光ビームスプリッター33によって反射され、受光レンズ36によって、フォトダイオード38に集束され、フォトダイオード38によって検出される。
[実施例]
[1]カイラル剤の合成
<合成例1>
上述した合成スキーム1に従って、化合物(B1)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
(1)4−(4−アクリロイルオキシ)ブトキシ安息香酸の6−ヒドロキシヘキサヒドロフロ[3,2−b]フラン−3−イルエステル(化合物b1)の製造
窒素雰囲気下にて300mlの三つ口フラスコに3.8g(0.026mol)のイソソルビド、8.2g(0.031mol)の4−(4−アクリロイルオキシ)ブトキシ安息香酸、10.7g(0.052mol)のジシクロヘキシルカルボジイミド、0.1gの4−ジメチルアミノピリジン、及び100mlのジクロロメタンを導入し、それらの混合物を室温で一晩撹拌した。固形物をろ別し、ろ液を水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させた。硫酸マグネシウムをろ過により除去し、ロータリーエバポレータを用いてジクロロメタンを留去した。得られた生成物を、シリカゲルカラムを用いて、ヘキサン/酢酸エチル=5:5で分離した後、エタノールによる再結晶により、化合物(b1)を得た。化合物(b1)の収量は、4.2gであり、収率は、41.1%であった。
(2)4−n−ヘプチルベンゾイルクロリドの製造
窒素雰囲気下にて200mlの三つ口フラスコに3.30g(0.015mol)の4−n−ヘプチル安息香酸、1.79g(0.0165mol)の塩化チオニル、及び50mlのジクロロメタンを混合した。混合物に、撹拌しながら、ピリジンを添加し、その混合物を、透明な溶液が得られるまで、還流した後、さらに2時間、撹拌及び還流を行った。反応混合物を、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下にて乾燥させた。粗生成物を、さらに精製することなく、次のステップに用いた。
(3)化合物(B1)の製造
200mlの三つ口フラスコに、3.92g(0.010mol)の化合物(b1)、1.11g(0.011mol)のトリエチルアミン、及び50mlのジクロロメタンを導入し、それらの混合物を室温にて撹拌した。50mlのジクロロメタンに、2.62g(0.011mol)の4−n−ヘプチルベンゾイルクロリドを溶解させ、その溶液を、フラスコにゆっくりと滴下し、窒素雰囲気下で24時間撹拌を行った。次いで、反応混合物を水に注ぎ、50mlのジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ジクロロメタンを留去した。得られた生成物を、シリカゲルカラムを用いて、ヘキサン/酢酸エチル=6:4で分離した後、エタノールによる再結晶を行い、真空乾燥器にて24時間、40℃で乾燥して、化合物(B1)を得た。化合物(B1)の収量は、4.4gであり、その収率は、74.2%であり、化合物(B1)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.86−0.89(t,3H,CH)、1.27−1.90(m,14H,CH)、2.64−2.68(t,2H,CHPh)、4.03−5.46(m,12H,CHO)、5.81−6.43(m,3H,CH=CH)、6.88−6.90(d,2H,芳香族H)、7.25−7.27(d,2H,芳香族H)、7.99−8.01(m,4H,芳香族H)
<合成例2(参考)
上述した合成スキーム1に従って、化合物(B2)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
合成例1と同様の方法で、化合物(b1)と4−n−ヘキシルオキシ安息香酸から得られる酸塩化物(4−n−ヘキシルオキシベンゾイルクロリド)との反応により、化合物(B2)を得た。化合物(B2)の収率は、83.5%であり、化合物(B2)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.87−0.89(t,3H,CH)、1.27−1.90(m,12H,CH)、4.03−5.46(m,14H,CHO)、5.81−6.43(m,3H,CH=CH)、6.88−6.90(d,4H,芳香族H)、7.99−8.01(d,4H,芳香族H)
<合成例3(参考)
上述した合成スキーム1に従って、化合物(B3)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
合成例1と同様の方法で、化合物(b1)と3−フルオロ−4−オクチルオキシ安息香酸から得られる酸塩化物(3−フルオロ−4−オクチルオキシベンゾイルクロリド)との反応により、化合物(B3)を得た。化合物(B3)の収率は、72.3%であり、化合物(B3)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.87−0.91(t,3H,CH)、1.29−1.91(m,16H,CH)、4.03−5.46(m,14H,CHO)、5.82−6.43(m,3H,CH=CH)、6.89−6.91(m,3H,芳香族H)、7.79−7.97(m,4H,芳香族H)
<合成例4(参考)
上述した合成スキーム1に従って、化合物(B4)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
合成例1と同様の方法で、化合物(b1)と4−フルオロ安息香酸から得られる酸塩化物(4−フルオロベンゾイルクロリド)との反応により、化合物(B4)を得た。化合物(B4)の収率は、85.5%であり、化合物(B4)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=1.87−1.91(m,4H,CH)、4.02−5.46(m,12H,CHO)、5.81−6.43(m,3H,CH=CH)、6.89−6.91(d,2H,芳香族H)、7.11−7.16(m,2H,芳香族H)7.95−8.12(m,4H,芳香族H)
<合成例5(参考)
上述した合成スキーム1に従って、化合物(B5)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
合成例1と同様の方法で、化合物(b1)と3,4−ジフルオロ安息香酸から得られる酸塩化物(3,4−ジフルオロベンゾイルクロリド)との反応により、化合物(B5)を得た。化合物(B5)の収率は、70.5%であり、化合物(B5)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=1.87−1.91(m,4H,CH)、4.02−5.46(m,12H,CHO)、5.81−6.43(m,3H,CH=CH)、6.89−6.91(d,2H,芳香族H)、7.24−7.26(m,1H,芳香族H)7.87−7.97(m,4H,芳香族H)
<合成例6(参考)
上述した合成スキーム1に従って、化合物(B6)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
合成例1と同様の方法で、化合物(b1)と3−メトキシ安息香酸から得られる酸塩化物(3−メトキシベンゾイルクロリド)との反応により、化合物(B6)を得た。化合物(B6)の収率は、74.2%であり、化合物(B6)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=1.89−1.90(m,4H,CH)、3.86(s,3H,OMe)、4.05−5.47(m,12H,CHO)、5.82−6.43(m,3H,CH=CH)、6.89−7.97(m,8H,芳香族H)
<合成例7(参考)
上述した合成スキーム1に従って、化合物(B7)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
合成例1と同様の方法で、化合物(b1)と4−シアノ安息香酸から得られる酸塩化物(4−シアノベンゾイルクロリド)との反応により、化合物(B7)を得た。化合物(B7)の収率は、83.1%であり、化合物(B7)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=1.87−1.91(m,4H,CH)、4.04−5.46(m,12H,CHO)、5.82−6.43(m,3H,CH=CH)、6.89−6.91(d,2H,芳香族H)、7.76−7.78(d,2H,芳香族H)、7.94−7.97(d,2H,芳香族H)、8.17−8.20(d,2H,芳香族H)
<合成例8(参考)
上述した合成スキーム1に従って、化合物(B8)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
(1)4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシ安息香酸の6−ヒドロキシヘキサヒドロフロ[3,2−b]フラン−3−イルエステル(化合物b8)の製造
合成例1の(1)と同様の方法で、4−(4−アクリロイルオキシ)ブトキシ安息香酸の代わりに、7.3g(0.031mol)の4−(2−アクリロイルオキシ)エトキシ安息香酸を用いて合成を行い、化合物(b8)を得た。化合物(b8)の収率は、38.4%であった。
(2)化合物(B8)の製造
合成例1の(3)と同様の方法で、化合物(b8)と4−n−ヘプチルベンゾイルクロリドとの反応により、化合物(B8)を得た。化合物(B8)の収率は、78.3%であり、化合物(B8)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.86−0.89(t,3H,CH)、1.27−1.63(m,10H,CH)、2.64−2.68(t,2H,CHPh)、4.03−5.46(m,12H,CHO)、5.86−6.43(m,3H,CH=CH)、6.92−6.94(d,2H,芳香族H)、7.25−7.27(d,2H,芳香族H)、7.97−8.00(m,4H,芳香族H)
<合成例9(参考)
上述した合成スキーム2に従って、化合物(A1)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
(1)4−n−ヘプチル安息香酸の6−ヒドロキシヘキサヒドロフロ[3,2−b]フラン−3−イルエステル(化合物a1)の製造
合成例1の(1)における4−(4−アクリロイルオキシ)ブトキシ安息香酸の代わりに、5.2g(0.031mol)の4−n−ヘプチル安息香酸を用いて合成を行い、化合物(a1)を得た。化合物(a1)の収量は、3.5gであり、その収率は34.3%であった。
(2)化合物(A1)の製造
窒素雰囲気下にて、300mlの三つ口フラスコに、2.90g(0.011mol)の4−(4−アクリロイルオキシ)ブトキシ安息香酸及び50mlの脱水THFを導入し、得られた混合物を撹拌した。その後、得られた混合物を、ドライアイスとメタノールとを用いて、−30℃〜―20℃まで冷却した。冷却した混合物に、2.22g(0.022mol)のトリエチルアミンを、続いて、1.26g(0.011mol)のメタンスルホニルクロリドを滴下し、得られた混合物を1時間撹拌した。その混合物に、3.48g(0.01mol)の化合物(a1)をTHFに溶解させて得られた溶液、及び、0.25g(0.002mol)のジメチルアミノピリジンをTHFに溶解させて得られた溶液を、それぞれ滴下した後、得られた溶液の温度を室温まで上げて、その溶液を一晩撹拌した。
得られた反応溶液にジクロロメタンを加え、その溶液を10%炭酸水素ナトリウム水溶液、ついで飽和食塩水で洗浄した。有機層を、無水硫酸ナトリウムにより乾燥し、有機層から溶媒を留去した。得られた生成物を、シリカゲルカラムを用いて、ヘキサン/酢酸エチル=5:5で分離した後、エタノールによる再結晶を行った。ついで真空乾燥器を用いて40℃で24時間乾燥を行い、化合物(A1)を得た。化合物(A1)の収量は、2.57gであり、その収率は、43.2%であり、化合物(A1)のNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.86−0.89(t,3H,CH)、1.27−1.91(m,14H,CH)、2.63−2.67(t,2H,CHPh)、4.02−5.48(m,12H,CHO)、5.82−6.39(m,3H,CH=CH)、6.91−6.93(d,2H,芳香族H)、7.25−7.26(d,2H,芳香族H)、7.91−7.93(d,2H,芳香族H)、8.02−8.04(d,2H,芳香族H)
<比較合成例1>
上述した合成スキーム1に従って、化合物(10)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
化合物(10)の製造
合成例1と同様の方法で、化合物(b1)と4’−ヘプチルビフェニル−4−カルボン酸から得られる酸塩化物との反応により、化合物(10)を得た。化合物(10)の収率は、71.1%であり、化合物(10)についてのNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.87−0.90(t,3H,CH)、1.29−1.90(m,14H,CH)、2.64−2.68(t,2H,CHPh)、4.03−5.46(m,12H,CHO)、5.81−6.43(m,3H,CH=CH)、6.89−6.91(d,2H,芳香族H)、7.26−7.29(d,2H,芳香族H)、7.54−7.56(d,2H,芳香族H)、7.66−7.68(d,2H,芳香族H)、7.54−7.56(d,2H,芳香族H)、7.66−7.68(d,2H,芳香族H)
<比較合成例2>
合成スキーム3
Figure 0004929709
に従って、化合物(11)
Figure 0004929709
を以下のように合成した。
(1)4−n−ヘプチルベンゾイルクロリドの製造
合成例1の(2)に準じて、4−n−ヘプチルベンゾイルクロリドの合成を行った。得られた4−n−ヘプチルベンゾイルクロリドの粗生成物を、さらに精製することなく、次のステップに用いた。
(2)化合物(11)の製造
200mlの三つ口フラスコに、1.46g(0.010mol)のイソソルビド、2.22g(0.022mol)のトリエチルアミン、及び50mlのジクロロメタンを導入し、得られた混合物を室温にて撹拌した。50mlのジクロロメタンに5.24g(0.022mol)の4−n−ヘプチルベンゾイルクロリドを溶解させて得られた溶液を、フラスコにゆっくりと滴下し、得られた混合物を窒素雰囲気下で24時間撹拌した。次いで、反応混合物を、水に注ぎ、ジクロロメタン50mlで抽出した。有機抽出物を、水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、有機抽出物からジクロロメタンを留去した。得られた生成物を、シリカゲルカラムを用いて、ヘキサン/酢酸エチル=6:4で分離した後、エタノールによる再結晶を行った。ついで、真空乾燥器を用いて40℃で24時間、乾燥を行い、化合物(11)を得た。化合物(11)の収量は、4.34gであり、その収率は、78.9%であり、化合物(11)のNMRの分析結果は、次の通りであった。
H−NMR(400MHz、CDCl):δ=0.86−0.89(t,6H,CH)、1.27−1.64(m,20H,CH)、2.61−2.68(m,4H,CHPh)、4.03−5.46(m,8H,CHO)、7.24−7.26(d,4H,芳香族H)、7.92−7.94(d,4H,芳香族H)
[2]カイラル剤の物性評価
合成例1〜9並びに比較合成例1及び2で合成されたカイラル剤の融点、結晶化点、HTP(ヘリカルツイスティングパワー)、及び旋光性を、以下のように測定した。
<カイラル剤の融点の測定>
合成したカイラル剤の結晶を二枚のプレパラートにはさむことによってセルを形成し、セルを5℃/分の速度にて昇温した。セルの昇温中、顕微鏡でセルを観察し、カイラル剤の結晶の融解が観察され始めた温度をカイラル剤の融点とした。
<カイラル剤の結晶化点の測定>
カイラル剤の結晶を、二つ穴のEHC社製のセル(セルギャップ:10μm)に、等方相の状態で、大気圧下で注入し、セルを5℃/分の速度にて冷却した。セルの冷却中、顕微鏡でセルを観察し、カイラル剤の結晶の析出が観察され始めた温度をカイラル剤の結晶化温度とした。
<カイラル剤のHTPの測定手順>
合成したカイラル剤及びシアノビフェニル系ネマチック液晶(Aldrich社製、商品番号:5CB)を、1:99の質量比で混合し、あらかじめtanθの値を測定したくさび型セルにそれらの混合物を等方相の状態で注入した。セルを室温まで冷却し、顕微鏡を用いて、Grandjean−Canoくさび法により、カイラル剤のHTPを算出した。
<カイラル剤の旋光性の測定>
旋光性がそれぞれ右及び左である二種類の既知のカイラル剤を、それぞれ、シアノビフェニル系ネマチック液晶(Aldrich社製、商品番号:5CB)に、1:99の質量比で混合して、旋光性試験用の混合液を調製した。カイラル剤のHTPの測定時に調製した液晶性の混合物及び旋光性試験用の混合液の1種類を、二つ穴のEHC社製のセル(セルギャップ:10μm)の左右の穴から同時に注入し、セルの中央における接触部分を観察する手法(コンタクトメソッド)により旋光性を判断した。
合成例1〜9並びに比較合成例1及び2で合成されたカイラル剤の融点、結晶化点、HTP、及び旋光性の測定結果を表1に示す。
Figure 0004929709
[3]液晶組成物の調製
表2に示すように、三種類の液晶性化合物(1A−4)、(2−1)、(3−1)、
Figure 0004929709
合成例1〜9並びに比較合成例1及び2で合成されたカイラル剤の一つ、重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア907)、並びに重合禁止剤(東京化成社製、2−n−ドデシルフェノール)を混合して、液晶組成物1〜9並びに比較液晶組成物1及び2を調製した。
Figure 0004929709
表2に示す液晶組成物1〜9並びに比較液晶組成物1及び2に含まれる各成分の割合は、液晶組成物全体に対する質量比(質量%)である。
なお、液晶性化合物の1A−4を以下のようにして合成した。
[液晶性化合物1A−4の合成]
Figure 0004929709
(工程A−1)
45.2gの2−ブロモ−5−クロロトルエン(41)及び5.8gのマグネシウムを含むTHF溶液を2時間撹拌して、Grignard試薬を得た。得られたGrignard試薬を、1.7gのテトラキストリフェニルホスフィンパラジウム及び52.6gの4−ブロモ−4’−メトキシビフェニル(42)を含むTHF溶液に静かに滴下して、還流下で一晩反応させた。反応液に水を加え、反応液をジクロロメタンで抽出し、水で洗浄した後、反応液からジクロロメタンを留去した。残留物を、ジクロロメタンを用いるシリカゲルクロマトグラフィにかけることにより、50.0gの化合物(43)を得た。
(工程A−2)
THF中で19.6gのエチルブロマイド及び9.5gのマグネシウムを2時間反応させて、Grignard試薬を得た。得られたGrignard試薬に、化合物(43)を含むTHF溶液を加え、得られた溶液を一晩撹拌した後、その溶液に炭酸ガスを3時間吹き込んだ。反応液に水を加え、生じた白色沈殿をろ過することにより、38.2gの化合物(44)を得た。
(工程A−3)
1,1,2,2−テトラクロロエタンに、41.3gの化合物(44)、32mlの塩化チオニル、及び数滴のDMFを混合した。得られた混合物を3時間加熱した後、溶媒及び残留している塩化チオニルを留去した。残った固体を1,1,2,2−テトラクロロエタンに溶解させた。得られた溶液を150mlの濃アンモニア水溶液に滴下し、生じた白色沈殿をろ過することにより、化合物(45)を得た。
(工程A−4)
クロロベンゼン中で、15.9gの化合物(45)、14gのp−トルエンスルホニルクロライド、及び11.4gのピリジンを混合し、得られた混合物を一晩反応させた。反応液に水を加えた後に、反応液をジクロロメタンで抽出し、水で洗浄した。その後、反応液から溶媒を留去した。ジクロロメタンを用いたシリカゲルクロマトグラフィを行うことによって、10.2gの化合物(46)を得た。
(工程A−5)
ジクロロメタンに10.2gの化合物(46)を溶解させた後、得られた溶液に−75℃で4.1mlの三臭化ホウ素を滴下して、その溶液を一晩反応させた。氷浴において、反応液に静かに水を加えた後、反応液にジクロロメタンを加え、水で洗浄した。その後、反応液からジクロロメタンを留去した。残留物を、トルエンを用いて再結晶させることにより、7.3gの化合物(47)を得た。
(工程A−6)
THFに7.3gの化合物(47)、8.0gのトリフェニルホスフィン、及び4.4gのアクリル酸4−ヒドロキシブチル(48a)を溶解させた。得られた溶液に、窒素を導入しながら、氷浴において、14.5gのジエチルアゾジカルボキシラート(40%トルエン溶液)をゆっくりと滴下し、その溶液を一晩反応させた。反応後、反応液をジクロロメタンで抽出し水で3回洗浄した後、ジクロロメタンを留去した。残留物をジクロロメタンを用いたシリカゲルクロマトグラフィにかけることにより、6.8gの化合物(1A−4)を得た。
化合物(1A−4)のHNMRスペクトル(溶媒:CDCl、内部標準:TMS)は、δ(ppm):1.91(4H,m)、2.32(3H,s)、4.06(2H,t)、4.26(2H,t)、5.84(1H,m)、6.13(1H,m)、6.41(1H,m)、6.96−7.00(2H,m)、7.33−7.42(3H,m)、7.53−7.64(6H,m)であった。
[4]高分子液晶の作製
液晶組成物1〜9並びに比較液晶組成物1及び2の各々を、100℃まで加温し、等方相の状態で、配向膜が付いたセルギャップ6μmのEHC社製のサンドイッチ型評価用ガラスセルに注入した。次に、セルを35℃まで冷却して、波長365nmの紫外線を60秒間照射して、光重合を行った。その後、135℃に保温されたホットプレート上にセルを置き、1時間の熱処理を行い、高分子液晶が充填されたガラスセルを作成した。液晶組成物1〜9並びに比較液晶組成物1及び2から、それぞれ、高分子液晶1〜9並びに比較高分子液晶1及び2が得られた。高分子液晶1〜9は、カイラル剤の析出は見られず、均一な高分子液晶であった。
[5]高分子液晶の評価
紫外可視分光光度計を用いて各々の高分子液晶の透過率を室温で測定し、高分子液晶の光の透過率を示す分光曲線を得た。
図5は、高分子液晶1、7及び9並びに比較高分子液晶2の、光の透過率を示す分光曲線である。図5に示すように、高分子液晶1、7及び9の透過率は、選択反射帯を除く可視光の波長域において高く、高分子コレステリック液晶に特有の選択反射帯における透過率曲線の矩形が明瞭であり、重合前の明瞭な矩形が維持されていた。一方、比較高分子液晶2の透過率曲線については、可視光の波長域における短波長の領域で、透過率の減少が著しく、高分子コレステリック液晶に特有の選択反射帯における透過率曲線の矩形が、くずれてしまっている。
また、高分子液晶1〜9並びに比較高分子液晶1及び2の選択反射帯の中心波長における透過率を表3に示す。
Figure 0004929709
表3に示すように、高分子液晶1〜9についての選択反射帯の中心波長における透過率は、50%であり、高分子液晶1〜9についての選択反射帯の波長における透過率は、高いことが確認された。一方、比較高分子液晶2についての選択反射帯の中心波長における透過率は、35.1%と低かった。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を具体的に説明してきたが、本発明は、これらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、これら本発明の実施の形態及び実施例を、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、変更又は変形することができる。
コレステリック液晶について光の透過率を表す分光曲線における選択反射帯を説明する図である。 本発明による回折素子の例を説明する図である。 本発明による光記録再生装置の例を説明する図である。 図3に示す光記録再生装置に含まれる回折素子の作用を説明する図である。 高分子液晶1、7及び9並びに比較高分子液晶2の、光の透過率を示す分光曲線である。
符号の説明
20、34 回折素子
21、41 基板
22、42 第一の部材
23、43 第二の部材
30 光記録再生装置
31 二波長用半導体レーザー
32 コリメータレンズ
33 偏光ビームスプリッター
35 集光レンズ
36 受光レンズ
37、38 フォトダイオード
39 光記録媒体
44 四分の一波長板

Claims (7)

  1. 構造式(1)又は構造式(2)
    Figure 0004929709
    Figure 0004929709
    で表されるカイラル剤。
  2. 重合性官能基及びメソゲン基を備えた重合性液晶性化合物と請求項に記載のカイラル剤とを含むことを特徴とする液晶組成物。
  3. 前記カイラル剤の含有量は、当該液晶組成物に対して20質量%以下であることを特徴とする請求項に記載の液晶組成物。
  4. 少なくとも、請求項又はに記載の液晶組成物を重合させて得られることを特徴とする高分子液晶。
  5. 光を回折させる回折素子であって、
    請求項に記載の高分子液晶を含む第一の材料からなる第一の部材及び該第一の材料と屈折率特性が異なる第二の材料からなる第二の部材を含み、
    該第一の部材及び該第二の部材は、交互に配置されていることを特徴とする回折素子。
  6. 第一の円偏光に対する前記第一の材料の屈折率は、該第一の円偏光に対する前記第二の材料の屈折率と実質的に等しく、
    該第一の円偏光と逆向きに回転する第二の円偏光に対する前記第一の材料の屈折率は、該第二の円偏光に対する前記第二の材料の屈折率と異なることを特徴とする請求項に記載の回折素子。
  7. 光記録媒体に情報を記録する及び/又光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、
    請求項又はに記載の回折素子を含むことを特徴とする光記録再生装置。
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