JP2011251928A - 重合性化合物、重合性液晶組成物、光学異方性材料、光学素子および光情報記録再生装置 - Google Patents

重合性化合物、重合性液晶組成物、光学異方性材料、光学素子および光情報記録再生装置 Download PDF

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和彦 塩野
Hiromichi Nagayama
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Abstract

【課題】高い屈折率異方性と優れた青色レーザー耐光性を有し、液晶組成物の融点の上昇と硬化物の透過率損失とを抑制した光学異方性材料、光学素子及びこれらを作成するための新規な液晶組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で示される重合性化合物。
Figure 2011251928

・・・(1)
但し、式中、J、J:それぞれ独立にアクリル基、メタクリル基、エポキシ基、オキセタニル基、又はこれらの重合基。k、l:それぞれ独立に0又は1。ただし、k、lが共に0の場合を除く。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な重合性化合物、この重合性化合物を含む重合性液晶組成物、この重合性液晶組成物を重合させてなる光学異方性材料、これを用いた光学素子及び光情報記録再生装置に関する。
光ディスクに記録された情報を読み出したり、光ディスクに情報を書き込んだりする際には、レーザ光を変調(偏光、回折、位相調整等)させる光学素子が必要である。
たとえば、情報の読み出しの際、レーザ光源から出射された直線偏光は、偏向素子ついで位相板を経由し光ディスクの面に到達する。往きの直線偏光の偏光方向は、該偏向素子によって変わらない方向に揃えられているので、往きの直線偏光は偏向素子を直線透過し、位相板で円偏光に変換される。この円偏光は光ディスクの情報記録面で反射されて逆回りの円偏光となり、再び位相板により入射前と偏光方向が直交する直線偏光に変換される。この戻り光束は再び偏向素子を通過する際に進行方向が曲げられ、受光素子に到達する。
また、情報の読み出しや書き込みの際には、光ディスクの面ぶれ等が発生すると、ビームスポットのフォーカス位置が情報記録面からずれるため、これを検出・補正しビームスポットを情報記録面上の凹凸ピットに追従させるサーボ機構が必要となる。このような光ディスクのサーボ系はレーザ光源から照射したビームスポットの焦点を情報記録面上に合わせてからトラックの位置を検出し、目的のトラックを追従するように構成されている。また、情報記録面上でピットに当らずに反射されたレーザ光がそのまま光源まで戻らないようにする必要もある。このため光ヘッド装置においては、レーザ光を変調させる光学素子が必要となる。
例えば位相板(波長板)は、位相板の光軸と入射光の位相面とのなす角度により、入射光に異なる屈折率を与え、更に複屈折により生じる2成分の光の位相をずらす効果を有している。位相のずれた2つの光は位相板から出射したときに合成される。この位相のずれは位相板の厚みにより決定されるため、厚みを調節することにより、位相をπ/2ずらす1/4波長板、πずらす1/2波長板等を作製することができる。例えば1/4波長板を通過した直線偏光は円偏光となり、1/2波長板を通過した直線偏光はその偏光面が90度傾いた直線偏光となる。これらの性質を利用して、光学素子を組み合わせることによりサーボ機構等に応用されている。このような光学素子は、光ディスクの記録を読み取るために利用される光ピックアップ素子のみならず、プロジェクタ用途等におけるイメージング素子、波長可変フィルタ用途等における通信用デバイスにも利用されている。
これらの光学素子は液晶材料から作製することが可能である。重合性官能基を有する液晶分子は、重合性モノマーとしての性質と液晶としての性質とを併有するため、重合性官能基を有する液晶分子を配向させた後に重合を行うと、液晶分子の配向が固定された光学異方性材料が得られる。光学異方性材料は、メソゲン骨格に由来する屈折率異方性等の光学異方性を有し、これらの性質を利用して回折素子、位相板等に応用されている。
さらに近年、光ディスクの大容量化を図るため、情報の書き込み、読み取りに使用されるレーザ光を短波長化し、光ディスク上の凹凸ピットサイズをより小さくすることが進められている。現在、CDでは波長780nm、DVDでは波長660nm、BDでは405nmのレーザ光が使用されている。さらに、次世代光記録メディアでは、BDよりもさらに短波長(波長300〜450nm)のレーザ光(以下、BDの場合も含め青色レーザ光とも記す。)の使用が検討されている。
また、光学素子の小型化、高効率化、設計自由度の向上のためには、高い屈折率異方性すなわちΔnを有する材料が重要とされる。ここでΔnとは光学異方性材料の異常光屈折率neと常光屈折率noの差分の絶対値であり、一般に、高い屈折率異方性を有する材料は、高い屈折率を有する傾向がある。
このような高屈折率液晶材料としては、例えば特許文献1に記載された液晶材料がある。
特開平10−195138号公報 WO2007−046294 特開2010−24157号公報
J.Chem.Soc.Perkin II、(1)26−31(1981)
しかし、特許文献1に記載のような高屈折率液晶材料は、屈折率の波長分散が大きいため、短波長の光に対する光の吸収が大きくなる(すなわち、材料のモル吸光係数が大きくなる。)傾向がある。
このため、従来から知られた高屈折率材料は、青色レーザ光のような短波長の光を吸収しやすく、青色レーザ光に対する耐光性が十分でないという問題があった。
例えば、液晶等の有機物からなる光学素子(位相板など)を青色レーザ光学系に配置して光ヘッド装置として使用すると、時間の経過に伴って収差が発生することがある。これは、青色レーザ光の曝露によって有機物にダメージが発生することによるものと考えられる。収差が発生すると、レーザ光源から出射し、コリメータレンズや光学素子等を通過した光(光束)が、さらに対物レンズを通過して記録媒体表面に到達したときに光束が1点に結像しなくなり、情報の読み出しや書き込みの効率(光の利用効率)が低下するおそれがある。
また、液晶性化合物は、温度上昇に伴って、固体状態からスメクチック相(Sm)を介してネマチック相(Ne)、等方相(Tni)と相変化が発生する。このうちスメクチック相は、一般に強い散乱効果を示すため、スメクチック相付近で光重合させて得られた光学異方性材料では、光透過率のロスや重合時の相分離が生じる可能性がある。
したがって、光学素子を構成する光学材料として用いる液晶化合物としては、ネマチック相を広い温度範囲で示すことが重要である。
広範な温度範囲でネマチック相を示す液晶化合物を用いると、光重合をする際の露光温度の自由度が高められる。さらに重合後に得られる光学異方材料の透過率、複屈折率等の光学物性の微調整が可能となるというメリットもある。
一方、液晶化合物を光重合する際は、光重合時の温度が低温であるほど、重合後に得られる液晶の異方性が大きくなり、光学素子の薄膜化に有効となる。しかしながら、一般に、低温の温度域ではスメクチック相が発現しやすいため、この相付近で光重合を行わせると、上記のように、光散乱による透過率の低下が生じる可能性がある。したがって、液晶化合物としては、高温領域だけでなく低温領域においてもネマチック相を発現することが重要である。
さらに、液晶化合物は、カイラル材等の非液晶材料と混合し、組成物として用いることがある。したがって、液晶化合物としては、カイラル材等との相溶性を有することも重要である。
例えば、特許文献2(WO2009/113155)には、液晶のメソゲン化合物として、ジアマンタン骨格を用いた液晶化合物が開示されている。ジアマンタン骨格の化合物は、剛直な骨格を有するため、化学的安定性に優れており、比較的高温で液晶の相転移が生じるものである。
しかしながら、特許文献2に開示の化合物は、融点が高く、昇温過程におけるハンドリング性が悪いという問題がある。また、スメクチック相を示す温度範囲が広いため、これを光学材料として用いた場合には、光透過率のロスが生じ易く、また、他の液晶材料との相溶性が低いため、重合の際に相分離等を生じ易いという問題がある。またさらに、特許文献2に開示の化合物は、重合性官能基を有しない低分子量化合物であることから、重合性液晶化合物と混合すると、重合体と未反応の低分子量化合物とが相分離して、未反応の低分子量化合物が析出することがある。重合後の生成体中に低分子量化合物が存在すると、温度変化に伴い、屈折率異方性等の物性値の変動が大きくなるため、信頼性が低下するという問題がある。
また、特許文献3(特開2010−24157号公報)にも、ジアマンタン骨格を有する化合物を、液晶に適用した例が開示されている。しかしながら、特許文献3に開示の化合物も、上述した特許文献2に開示の化合物と同様に、他の液晶材料との相溶性が低いため、光学材料として用いた場合に、光透過率のロスや、重合の際の相分離等の不具合が生じ易いという問題がある。
また、非特許文献1(J.Chem.Soc.Perkin II、(1)26−31(1981))には、ビシクロオクタン骨格を有する化合物を、液晶メソゲンに用いた例が開示されている。しかしながら、非特許文献1に開示の化合物も、スメクチック性が強く、他の液晶化合物との相溶性が低いため、光学材料の適用が実質的に困難であるという問題がある。
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、他の液晶化合物との相溶性に優れ、低温領域から広い温度範囲でネマチック相を示し、青色レーザ光に対する優れた耐光性を有し、温度変化に対する物性の変動が少ない重合性液晶化合物の提供を目的とする。
また、本発明は、この重合性化合物を用いた重合性液晶組成物、この重合性液晶組成物により作成される光学異方性材料、及びこれを用いた光学素子、光情報記録再生装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する為に、本発明者が検討したところ、本発明に到達したもので、本発明は、下記を要旨とするものである。
本発明は、下記式(1)で示される重合性化合物を提供する。
Figure 2011251928
・・・(1)
但し、式中の記号は以下の意味を示す。
、A:それぞれ独立に−COO−又は−OCO−。
m、n:それぞれ独立に0又は1。
、P:それぞれ独立に、六員環の飽和もしくは不飽和の炭素環または六員環の飽和もしくは不飽和の複素環。
ただし、炭素環または複素環は、その環基中の炭素原子に結合した水素原子がアルキル基、アルコキシ基、又はフッ素原子に置換されていてもよい。
、R:それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基又はアルコキシ基。
但し、アルキル基及びアルコキシ基は、炭素原子が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
s、t:それぞれ独立に0又は1。(ただし、s、tが共に0の場合を除く。)
、J:それぞれ独立にアクリル基、メタクリル基、エポキシ基、オキセタニル基、又はこれらの重合基。
k、l:それぞれ独立に0又は1。(ただし、k、lが共に0の場合を除く。)
前記重合性化合物は、下記式(2)で示される重合性化合物であることが好ましい。
Figure 2011251928
・・・(2)
また、前記重合性化合物は、下記式(3)で示される重合性化合物であることが好ましい。
Figure 2011251928
・・・(3)
ただし、式(3)中、Phは1、4−フェニレン基を示す。(但し、環基のJ側を1位とする。)
また、前記重合性化合物は、下記式(4)で示される重合性化合物であることが好ましい。
Figure 2011251928
・・・(4)

ただし、式(4)中、Phは1、4−フェニレン基を示す。(但し、環基のJ側を1位とする。)
また、本発明は、上記式(1)で示される重合性化合物を含有する重合性液晶組成物を提供する。
また、本発明は、上記式(1)で示される重合性化合物と、重合性カイラル材料とを含有してなる重合性コレステリック液晶組成物を提供する。
また、本発明は、上記本発明の重合性液晶組成物又は重合性コレステリック液晶組成物を重合してなる光学異方性材料を提供する。
また、本発明は、上記本発明の光学異方性材料を用いてなる光学素子を提供する。また、前記光学素子は、前記光学異方性材料を含有する第1材料からなる第1部材と、等方性の屈折率を有する第2材料からなる第2部材とが交互に配置されて格子形状が形成された回折格子であることが好ましい。
また、本発明は、光記録媒体に情報を記録し、及び/または光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、上記本発明の光学素子を用いてなる光情報記録再生装置を提供する。
本発明によれば、低温領域から広範な温度範囲でネマチック液晶相を示し、光学素子の作成の自由度が高く、また化学的安定性に優れ、他の液晶化合物との相溶性に優れた重合性の液晶化合物を提供することができる。また、本発明は、青色レーザー耐光性に優れ、温度変化に伴う物性の変動が少なく、信頼性の高い光学異方性材料、光学素子、及びこれを用いた光情報記録媒体を提供することができる。
本発明に係る光学異方性材料および光学素子は、ピックアップ素子、イメージング素子、通信用デバイス等に有効に利用できる。
本明細書においては、下記式(1)で表される化合物を化合物(1)とも記す。他の化合物についても同様に記す。
Figure 2011251928
・・・(1)
化合物(1)は、ジアマンタン骨格を有しており、このジアマンタン骨格に、結合基を介して、六員環の炭素環または六員環の複素環(P、P)が2つ結合した3環構造を有している。
本明細書における、六員環の炭素環または六員環の複素環(P、P)は、1位及び4位に結合手を有する。本明細書では、環基中、式(1)のJ側を1位とし、J側を4位とする(本明細書において以下同じ。)。
、Pは、六員環の炭素環または六員環の複素環であるが、青色レーザ光に対する耐光性の面からは、炭素環を用いることが好ましい。
六員環の炭素環または六員環の複素環は、飽和環であっても不飽和環であってもよいが、化合物(1)において、高い屈折率異方性を得る観点からは不飽和環が優れており、耐光性を向上させる観点からは飽和環が優れている。従って、化合物(1)において、屈折率異方性、又は耐光性が要求される度合いに応じて、飽和環、不飽和環のいずれかを適宜選択することが好ましい。
また、六員環の炭素環または複素環は、化合物(1)の液晶性を損なわない範囲内で、環基中の原子に結合した水素原子の一部が、アルキル基、アルコキシ基、又はフッ素原子で置換されていてもよい。
、Pとしては、例えば以下に挙げる環基を好ましく用いることができる。
Figure 2011251928
Figure 2011251928
Figure 2011251928
Figure 2011251928
Figure 2011251928
、Pとしては、上記の環基の中でも、青色レーザ光に対する耐光性を向上させる観点からは、式(15)の1、4−シクロヘキシレン基が好ましく、Δn値を向上させる観点からは、式(11)の1、4−フェニレン基が好ましい。
また、化合物(1)のハンドリング性を向上させる観点からは、メチル基等の置換基を導入した、3−メチル−1、4−フェニレン基、3−フルオロ−1、4−フェニレン基、2,3−ジフルオロ−1、4−フェニレン基(式(12)〜(14))が好ましい。
なお、下記表1、表2において、上記の式(11)は「Ph」と示し、式(12)は「PhCH」と示し、式(13)は「PhF」と示し、式(14)は「PhFF」と示し、式(15)は「Cy」と示す。
、Aは、それぞれ独立に、−COO−又は−OCO−であり、いずれにおいても、化合物(1)の特性上、大きな違いは無いが、ネマチック相を示す温度範囲を低温領域まで広げる観点からは、A、Aが互いに異なる基である方が、化合物(1)における分子全体の対称性が下がり、スメクチック相が消失し易くなるため好ましい。この場合、光学素子の作成の自由度が増し、また、化合物(1)と他の化合物との相溶性も高められる。
、Aとしては、以下の構造が挙げられる。
Figure 2011251928
但し、式(16)中、C1418は、ジアマンタン骨格を示す。
Figure 2011251928
但し、式(17)中、C1418は、ジアマンタン骨格を示す。
なお、下記表1、表2において、式(16)は「−COO−」と示し、式(17)は「−OCO−」と示す。
式(1)において、m及びnは、それぞれ独立に0または1であるが、合成上の簡便さの点からは、m、nがともに1であるか、またはm、nがともに0であることが好ましい。
、Rは、それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基であるが、スメクチック相の発現を抑制し、また化合物(1)の高融点化を抑制する観点からは、炭素数1〜10のアルキル基又はアルコキシ基がより好ましい。
アルキル基又はアルコキシ基の炭素数が20を超えると、スメクチック相が発現し易くなるおそれがある。また、アルキル基又はアルコキシ基の炭素数が20を超えると、化合物(1)の融点が高くなり過ぎて、他の化合物と混合して組成物としたときのハンドリング性が低下したり、他の化合物との相溶性が低下して相分離が発生し、光学異方性材料としたときの透過率が低下したりするおそれがある。
アルキル基及びアルコキシ基は、直鎖状のものでも分岐状のものでもよいが、化合物(1)が液晶性を示す温度範囲を広くできることから、R、Rは直鎖構造のものであることが好ましい。
また、アルキル基及びアルコキシ基は、化合物(1)の液晶性を低下させない範囲内で、炭素原子が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
また、化合物(1)がネマチック相を示す温度範囲を低温領域まで広げる観点からは、RとRとが互いに異なる基である方が、化合物(1)における分子全体の対称性が下がり、スメクチック相が消失し易くなるため好ましい。この場合、光学素子の作成の自由度が増し、また、化合物(1)と他の化合物との相溶性も高められる。
s及びtはそれぞれ独立に0または1であるが、式(1)において、R、Rのうちいずれか一方にアルキル基又はアルコキシ基を有していることが必要であり、s、tが共に0の場合は除外される。
合成上の簡便さの点からは、s、tがともに1であることが好ましい。
、Rとしては、例えば以下の構造が挙げられる。
Figure 2011251928
Figure 2011251928
Figure 2011251928
なお、下記表1、表2において、上記の式(18)は「CH=n」と示し、式(19)は「CHO=n」と示し、式(20)は「OCH=n」と示す。なお、アルキル鎖の場合は、C2n+1とも表記し、例えばn=3の場合にはCとも表記する。
また、R、Rがアルコキシ鎖の場合には、表1、2において、「OC2n+1」と示す。
、Jは、それぞれ独立に、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、オキセタニル基、又はこれらの重合基であり、式(1)中、k、lはそれぞれ独立に0又は1である。
但し、J、Jのうち少なくともいずれか一方が、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、オキセタニル基、又はこれらの重合基を有することが必要であり、k、lが共に0の場合は除外される。
、Jとしては、化合物(1)の光重合の容易さの観点からは、アクリル基又はメタクリル基が好ましい。
また、J、Jは、ともにこれらアクリル基又はメタクリル基を有していてもよいが、化合物(1)として、ネマチック相を示す温度領域を広くし、また他の液晶化合物との相溶性を高める観点からは、J、Jのいずれか一方が重合基を有する方が好ましい。
上記のように、J、Jの少なくとも一方は、重合基であるアクリル基、またはメタクリル基、エポキシ基、オキセタニル基を含むが、この重合基(J、J)に結合するR又はRとしては、炭素数2〜10のアルキル鎖またはアルコキシ鎖であることが好ましい。
化合物(1)において、重合基であるJ又はJと結合するアルキル鎖等(R又はR)の炭素数が多いほど、化合物(1)の重合前後での屈折率異方性の低下が抑制される傾向にあるが、一方、重合基と結合するアルキル鎖等(R又はR)の炭素数が10を超える場合、化合物(1)により得られる光学素子において、耐熱性等の熱的特性が低下するおそれがある。
、Jとしては、例えば以下のものを挙げることができる。
Figure 2011251928
Figure 2011251928
Figure 2011251928
Figure 2011251928
但し、式(47)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐のアルキル基を示す。
なお、下記表1、表2において、式(21)は「A」と示し、式(22)は「M」と示す。
式(1)で表わされる化合物の中でも、例えば下記式(2)〜(4)に示すものは、低温領域から広い温度領域でネマチック相を示し、また、他の液晶化合物と高い相溶性を示すため好ましい。
Figure 2011251928
・・・(2)
Figure 2011251928
・・・(3)
Figure 2011251928
・・・(4)
上記式(2)〜(4)の中でも、特に下記(2a)〜(4a)に示すものが好ましい。
Figure 2011251928
・・・(2a)
Figure 2011251928
・・・(3a)
Figure 2011251928
・・・(4a)
化合物(1)としては、下記表1に示す化合物が好ましく、スメクチック相の消失し易さや、他の化合物との相溶性の高さの面から、特に化合物(1−1)〜(1−20)が好ましい。
Figure 2011251928
また、上記式(3)、(4)で示される化合物としては、下記表2に示す化合物が好ましく、化合物(4−1)〜化合物(4−8)がより好ましく、重合前後での複屈折異方性を維持する観点からは、化合物(4−3)、(4−7)がより好ましい。
Figure 2011251928
(合成方法1)
本発明の化合物(1)のうち、対称骨格を有する化合物の合成方法としては、例えば以下に示す方法が挙げられる。
Figure 2011251928
(合成方法2)
本発明の化合物(1)のうち、非対称骨格を有するものの合成方法としては、例えば以下に示す方法が挙げられる。
Figure 2011251928
(合成方法3)
本発明の化合物(1)のうち、一般式(4)で示される化合物(42)の合成方法としては、例えば以下に示す方法が挙げられる。
Figure 2011251928
(合成方法4)
本発明の化合物(1)のうち、一般式(3)で示される化合物(43)の合成方法としては、例えば以下に示す方法が挙げられる。
Figure 2011251928
本発明の化合物(1)は、ネマチック高分子液晶、スメクチック高分子液晶およびコレステリック高分子液晶を得るための重合性液晶組成物の一成分として使用されることが好ましい。この場合、本発明の化合物(1)は、広い液晶温度範囲を有する液晶組成物を得やすく、特にネマチック相を示す温度範囲が低温側に広い液晶組成物を得やすいという特徴を有する。
重合性液晶組成物は、本発明の化合物(1)から選ばれる2種以上の化合物を併用するか、または本発明の化合物(1)の1種以上と、化合物(1)以外の重合性液晶の1種以上もしくは重合性非液晶化合物の1種以上とを混合したものに、必要に応じて添加剤等を加えて得ることができる。このような液晶組成物とすることによって、融点(Tm)降下が生じるため、取り扱いが容易になり且つ液晶相を示す温度範囲をより広くできる。
以下では、化合物(1)以外の重合性液晶化合物を化合物(5)という。
本発明の化合物(1)と併用できる重合性液晶性化合物(5)(以下、化合物(5)ともいう。)としては、例えば、アクリル基またはメタクリル基を有する、光硬化性の液晶性化合物が好ましい。
化合物(5)としては、青色耐光性や物性の面で、化合物(1)に類似することが望ましいため、化合物(5)の分子構造は、化合物(1)の分子構造に類似するものであることが好ましい。これにより、化合物(1)と化合物(5)とからなる液晶組成物は、融点降下が効果的に生じ、安定したネマチック液晶相を示すものとなる。
以上より、調製した組成物は、安定なネマチック相またはスメクチック相を示し、更にこれに、重合性カイラルドーパント(6)を添加した場合にも、安定したコレステリック相を示すものとなる。
化合物(1)以外の化合物(5)としては、例えば下式(5−1)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 2011251928
・・・(5−1)
重合性カイラルドーパント(6)としては、特に限定されないが、下記の化合物(6−1)〜(6−4)に示すイソソルビド誘導体またはイソマンニド誘導体から成る重合性カイラルドーパント等が好ましい。
Figure 2011251928
ただし、式中の記号は以下の意味を示す。
〜R11:それぞれ独立に、炭素数1〜8のアルキル基。
u、v、x、y:2〜8の整数。
ネマチック高分子液晶、スメクチック高分子液晶またはコレステリック高分子液晶(以下これらを総称して「これらの高分子液晶」とも記載する)を製造するための組成物としては、重合性ネマチック液晶、重合性スメクチック液晶および重合性カイラルドーパントを合わせて75質量%以上含む重合性液晶組成物であり、90質量%以上の液晶組成物を含むことが好ましい。
この重合性液晶組成物は、本発明の効果を損しない範囲内で、非液晶性の非重合性化合物や非重合性の液晶化合物を含んでもよい。
コレステリック液晶組成物としては、重合性ネマチック液晶又は重合性スメクチック液晶を75質量%以上、特に85質量%以上含む液晶組成物が好ましい。
本発明において、これらの高分子液晶を製造するための組成物として、液晶組成物中の全重合性化合物に対して化合物(1)を少なくとも5質量%含む液晶組成物が好ましい。
本発明においてこれらの高分子液晶を製造するために適した重合性液晶組成物は、前記のように化合物(1)の1種以上を含有する重合性液晶組成物、および、化合物(1)の1種以上と化合物(5)の1種以上を含有する重合性液晶組成物である。
これらの液晶組成物における化合物(1)と化合物(5)の合計量に対する化合物(1)の割合は、ジアマンタン骨格を有する化合物(1)の化学的安定性等の特性を効果的に発現する観点から、10〜100質量%であることが好ましく、特に10〜70質量%のときは、液晶組成物の相が安定化し、ハンドリング性が向上するため好ましい。
重合性液晶組成物中に含まれる化合物(1)の量は、液晶組成物に対して10質量%以上であり、10〜100質量%が好ましく、10〜70質量%が特に好ましい。
前記範囲の量の化合物(1)を用いることにより、化合物(1)と他の液晶化合物との相溶性が高く、また、温度変化に伴う物性の変動の抑えられた液晶組成物とすることができる。
なお、本発明の化合物(1)は、置換基等の種類によっては、単独でネマチック相を示し難い場合もあるが、この場合でも、化合物(1)と他の化合物とを混合して重合性液晶組成物としたときに、この重合性液晶組成物がネマチック相を示せばよい。
本発明の重合性液晶性組成物は、上記以外の成分(以下、他の成分と記す。)を含んでいてもよい。他の成分としては、重合開始剤、重合禁止剤、式(6)以外のカイラル剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤および二色性色素などが挙げられる。
重合性液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物の総量(以下、「重合性液晶の総量」と記す。)、および、他の成分の割合は、用途によって調整することが好ましい。
他の成分として、重合開始剤、重合禁止剤、カイラル剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤または色素等を使用する場合は、これらの成分の量は重合性液晶組成物に対して5質量%以下が好ましく、2質量%以下が特に好ましい。
また、他の成分として、重合開始剤等以外のその他の化合物を加える場合、本発明の効果を損しない範囲内で加えられるが、その他の化合物の量は、重合性液晶性組成物に対して10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
つぎに、本発明の光学異方性材料について説明する。
本発明の光学異方性材料は、前記の重合性液晶性組成物を、この組成物がネマチック相、スメクチック相またはコレステリック相(以下、これらを総称して「液晶相」とも略記する)を示す状態で、且つ、液晶が配向した状態で重合することにより得られる重合体からなるものとすることができる。
重合性液晶性組成物が液晶相を示す状態に保つためには、雰囲気温度をネマティック相から等方相への相転移温度(T)℃以下にすればよいが、Tに近い温度では重合性液晶性組成物のΔnまたは実効Δnが極めて小さいので、雰囲気温度の上限は(T−10)以下とすることが好ましい。
重合には、光重合または熱重合などが挙げられるが、液晶性を保持したまま硬化させやすい点から、光重合とすることが好ましい。光重合に用いる光としては、紫外線または可視光線が好ましい。光重合を行う場合は、光重合開始剤を用いることが好ましく、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ベンゾイン類、ベンジル類、ミヒラーケトン類、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール類およびチオキサントン類等から適宜選択される光重合開始剤が好ましく用いられる。光重合開始剤は、1種または2種以上を組み合わせて使用できる。光重合開始剤の量は、重合性液晶性組成物の全体量に対して0.01質量%〜5質量%とすることが好ましく、0.01質量%〜2質量%とすることが特に好ましい。
次に、本発明の光学素子について説明する。
本発明の光学素子は、配向処理が施された一対の基板間に、前記重合性液晶組成物を挟持し、この液晶組成物が液晶相を示す状態でかつ液晶が配向した状態で重合することにより得られる。以下に、具体例を述べる。
基板としては、例えば、可視光に対して高い透過率を有する材料からなる透明基板を用いることができる。具体的には、アルカリガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等の無機ガラスの他、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニル等のフッ素含有ポリマーなどの透明樹脂からなる基板が挙げられる。特に無機ガラスからなる透明基板は、剛性の高さの点で優れているため、好ましく用いられる。この透明基板の厚みとしては、特に限定されないが、通常は0.2mm〜1.5mmであり、好ましくは0.3mm〜1.1mmである。この透明基板には、必要に応じて、アルカリ溶出防止、接着性向上、反射防止またはハードコートなどを目的として、無機物または有機物などからなる表面処理層が設けられていてもよい。
次に、透明基板の上に配向膜を形成し、配向膜に対して配向処理を行うことにより、透明基板表面に配向処理を施す。配向膜としては、液晶を配向させる機能を有するものであれば特に限定されず、例えばポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルシンナメート、ポリスチレン等の有機材料や、SiO、Al等の無機材料を用いることができる。配向処理は、例えば、ラビング法などを用いて行うことができる。具体的には、ナイロン、レーヨン等の繊維で配向膜表面を直接一方向に擦ることにより、その方向に液晶分子が配向するようにする。また、ラビング法以外にも、SiO等の無機材料を斜方蒸着する方法、イオンビーム法、または光配向膜を用いる方法などによって、液晶分子の配向を揃えることが可能である。
次に、上記の透明基板(以下、第1の基板と称す。)とは別の基板の表面に、配向膜を形成した第2の基板を作成する。
第2の基板に対する配向膜の形成は、第1の基板と同様にして行うことができる。
次いで、第2の基板の配向膜が形成された側の表面に、必要に応じて離型剤処理を行う。離型剤としては、例えば、フルオロシラン系又は含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素重合体などを使用することができる。
次に、第1の基板と第2の基板とを重ね合わせ、両基板間に所定の間隔を空けた状態で仮接着する。このとき、第2の基板における配向膜形成面又は離型剤処理面と、第1の基板における配向膜形成面とを、それぞれ内側を向けた状態で、対向させて接着する。この際、外部から両基板間に重合性液晶性組成物を充填するための、開口部を適宜設けておく。
次いで、両基板間に、上記開口部を通じて前記重合性液晶性組成物を注入する。重合性液晶性組成物の注入は、真空注入法を用いてもよく、または大気中で毛細管現象を利用する方法を用いてもよい。重合性液晶性組成物を注入した後、所定波長の光を照射して、重合性液晶性組成物の光重合を行わせる。この光照射の後、必要に応じてさらに加熱処理を行ってもよい。
その後、仮接着された第2の基板を必要に応じて取り除いて、第1の基板の配向膜上に光学異方性材料が形成された光学素子を得ることができる。また、この際、第2の基板を取り除かず、第1の基板と第2の基板間で、夫々の配向膜に光学異方性材料が挟持された状態の光学素子とすることも可能である。
これにより、両基板間では、重合性液晶性組成物が、第1の基板における表面配向と略平行な方向に配向し、この配向が固定された状態で重合された光学異方材料とすることができる。
また、光学異方性材料の形成は、例えば、以下の方法で行うこともできる。
まず、基板表面に配向膜を形成した第1の基板を作成する。次いで、この第1の基板とは別の基板の表面に配向膜を形成し、この配向膜上に必要に応じて離型剤処理を施した第2の基板を作成する。次いで、第1の基板に形成された配向膜上に、光硬化性の重合性液晶組成物を滴下する。その後、第2の基板の配向膜形成面又は離型剤塗布面を、第1の基板上に滴下した重合性液晶組成物と対向させ、この状態で、第2の基板と第1の基板と重ね合わせる。次いで、両基板間に挟持された重合性液晶組成物に対して所定波長の光を照射して、光重合を行わせる。次いで、第2の基板を必要に応じて除去することにより、第1の基板の配向膜上に形成された光学異方性材料を得ることができる。
また、第2の基板を除去せずに、第1の基板と第2の基板との間に、夫々の配向膜で挟持された状態の光学異方性材料を得ることもできる。
以下に、本発明の光学素子の一例である回折格子について述べる。
回折格子は、本発明の光学異方性材料を含む第1の材料からなる第1の部材と、等方性の屈折率を有する第2の材料からなる第2の部材とが、交互に配置されて格子状となった構造を有する。第1の部材と第2の部材とを交互に配置することにより、これらを透過する光は、互いに干渉し合って回折を起こす。また、第1の部材を構成する第1の材料と、第2の部材を構成する第2の材料とは異なっているので、これらを透過する光の間には位相差が生じる。ここで、第1の部材と第2の部材とは、実質的に一定のピッチで交互に配置されることが好ましい。これにより、第1の部材を通じて回折される光と、第2の部材を通じて回折される光との干渉が良好となって、回折効率を向上させることができる。また、第1の部材と第2の部材は、互いに接していることが好ましい。これにより、これら以外の部分に入射する光を低減あるいはなくすことができるので、回折格子に入射する光を有効に利用することができる。尚、回折格子は、第1の部材および第2の部材以外の他の部材を含んでいてもよい。
上記の例において、第1の材料を格子状に加工して第1の部材とする際には、一般に、インプリントや、フォトリソグラフィー等による加工方法がとられる。
このように、格子に加工形成された第1の部材上に、光学異方性材料の屈折率に応じて選択した等方性材料(第2の材料)を充填することにより、回折格子を得ることができる。
本発明の光学異方性材料および光学素子は、青色レーザ光に対して良好な耐久性を示すので、該レーザ光を透過させて使用する光学異方性材料および光学素子として有用である。特に、該レーザ光の位相状態および/または波面状態を変調する用途に使用される光学異方性材料や該光学異方性材料からなる部材を有する光学素子として有用である。
たとえば、偏光回折素子、位相板として光ヘッド装置に搭載して使用される。偏光回折素子としては、レーザ光源からの出射光が光ディスクの情報記録面によって反射されて発生する信号光を分離し、受光素子へ導光する例が挙げられる。位相板としては、1/2波長板として使用し、レーザ光源からの出射光の位相差制御を行う例、1/4波長板として光路中に設置し、レーザ光源の出力を安定化する例が挙げられる。他の用途としては、プロジェクター用の位相板、偏光子等が挙げられる。
本発明の光学異方性材料は、上記のような光学素子を形成するための材料として用いることができる。光学素子としては、上記のように、光学異方性材料に配向膜を設けたもののほか、さらに電極対を設けて光学特性を制御可能な構成としたり、又は反射膜を設けて反射型素子とすることも可能である。またさらに、必要に応じ、基板表面にフレネルレンズ構成、回折格子用の格子、色調調整用の着色層又は迷光抑制用の低反射層等を設けることも可能である。
つぎに、本発明の光記録情報媒体について説明する。
本発明の光記録情報媒体は、光記録媒体に情報を記録し、及び/または光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置において、前記の光学異方性材料からなる光学素子を含んでなるものとすることができる。
本発明の光情報記録再生装置は、例えば、上記光学異方性材料で構成される回折素子が、光記録媒体から反射された光を回折するものであり、この回折素子に加えて、回折格子に入射する光を発生させる光源、光源から射出された光を光記録媒体に集光する対物レンズ、及び光記録媒体から反射された光を検出する光検出器などを含むものである。
以下、本発明化合物の合成例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明に係る化合物の合成はこれらの例によって限定されない。
[合成例1] 化合物(4−3)の合成例
[例1−1]化合物(36)の合成例
Figure 2011251928
攪拌子を備えた500ml三口フラスコにジアマンタン20g(0.106 mol)、t−ブチルブロマイド30.2ml(0.226mol)、ベンゼン220mlを加え、この溶液を室温で攪拌しながら、三塩化アルミニウム1.2g(0.01mol)を加えて溶解させた。この溶液を室温で5時間攪拌した後、沈殿物をろ過し、ろ過物を300mlのジエチルエーテルで充分に洗浄した。このろ過物を、水、0.1mol/lの塩酸の順で順次洗浄し、再度ジエチルエーテルで洗浄して、化合物(36)を35g得た。収率は96%であった。
[例1−2]化合物(37)の合成例
Figure 2011251928
攪拌子を備えた2L三口フラスコに化合物(36)13.5g(39.7mmol)、ジクロロメタン1300mlを加え、十分に溶解させた後、ここにbis(trifluoroacetoxy)iodobenzenを35.9g(90.4mmol)、ヨウ素10.1g(39.7mmol)加えて、室温で24時間攪拌させた。このフラスコ内に水を加えたところ、沈殿物が生成した。さらにこの溶液に、溶液のヨウ素色が消えるまでsodium hydrosulfiteを加えた後、沈殿物をろ過し、得られた沈殿物を水、次いでジクロロメタンで十分に洗浄して、化合物(37)を18.3g得た。収率は(78%)であった。
[例1−3]化合物(38−1)の合成例
Figure 2011251928
攪拌子を備えた2L三口フラスコに、化合物(37)24g(0.04mol),1,10−フェナントレイン4.38g(0.024mol)、炭酸セシウム23.4g(0.121mol)、ヨウ化銅(I)2.31g(0.012mol)を加え、ここにn−ブタノール300ml、トルエン500mlを加えて、120℃で96時間、還流させた。反応が十分に進行したことを確認した後、反応溶液を室温まで冷却し、エバポレーターで溶媒を除去して、固体(固形物)を得た。次いで、得られた固体(固形物)をジクロロメタンに溶解させて、カラムクロマトグラフィーにより精製を行った。得られた固体をアセトンで充分に洗浄、ろ別して、ジクロロメタンで再結晶させて、化合物(38−1)を9.3g得た。収率は47%であった。
[例1−4]化合物(39)の合成例
Figure 2011251928
攪拌子を備えた1L三口フラスコに化合物(38−1)7.15g(0.015mol)、ジクロロメタン400mlを加えて溶解させた後、この1L三口フラスコを氷浴で0℃に冷却し、三臭化ホウ素9.24g(0.037mol)をゆっくり滴下した後、室温に戻して12時間攪拌した。その後、この1L三口フラスコを氷浴で再度0℃まで冷却し、水を徐々に滴下して10分程度攪拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液をゆっくり滴下した。次いで、水とジクロロメタンの混合液をろ過してろ過物を回収し、酢酸エチルに溶解させた後、水で分液を行って、有機層を回収した。回収した有機層からエバポレーターで溶媒を除去し、化合物(39)を5.1g得た。収率は93%であった。
[例1−5]化合物(40−1)の合成例
Figure 2011251928
攪拌子を備えた100ml三口フラスコに、化合物(39)4.5g(0.012mol)、1−ブロモブタン2.0g(0.015mol)、フッ化セシウム2.2g(0.015mol)を加え、ここにDMF60mlを加えて溶解させた。
60℃で12時間加熱攪拌した後、反応溶液に水を加え、酢酸エチルで有機層を抽出した。
抽出した有機層から、エバポレーターで溶媒を除去し、次いで、展開溶媒ジクロロメタンでカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、化合物(40−1)を2.3g得た。収率は44%であった。
[例1−6]化合物(4−3)の合成例
Figure 2011251928
攪拌子を備えた100ml三口フラスコに化合物(40−1)1.5g(0.0035mol)、化合物(41−1)1.23g(0.005mol)、フッ化セシウム0.79g(0.005mol)を加え、ここにDMF25mlを加えて溶解させた。反応溶液を60℃で12時間攪拌した後、水、酢酸エチルを加えて分液し、有機層を抽出した。
抽出した有機層を硫酸マグネシウムで脱水した後、エバポレーターにより溶媒を除去し、次いでジクロロメタンでカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、化合物(42−1)すなわち化合物(4−3)を1.3g得た。収率は64%であった。
化合物(4−3)のHNMRスペクトルを以下に示す。
HNMR(400MHz、溶媒:CDCl、内部標準:TMS)δ(ppm)
:0.97(t、3H)、1.44−1.97(m、30H)、3.95(t、4H)、4.17(t、2H)、5.80−6.42(m、3H)、6.85−6.88(dd、4H)、7.26−7.33(m、4H)
[液晶相転移温度の測定]
(実施例1)
化合物(4−3)と化式(5−1)で示される化合物(5−1)とを、mol比で55:45(化合物(4−3):化合物(5−1))の割合で混合した後、この混合物に光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、商品名「イルガキュアー」754)を0.5重量部添加して、重合性液晶組成物J1を得た。重合性液晶組成物J1の配合比率を表3に示す。
Figure 2011251928
・・・(5−1)
縦5cm、横5cm、厚さ0.5mmのガラス板に、ポリイミド溶液をスピンコータで塗布して乾燥した後、ナイロンクロスで一定方向にラビング処理して配向膜を形成した。次いで、配向処理を施した面を向かい合わせるようにして、2枚のガラス基板を接着剤を用いて貼り合わせて、液晶セルを作製した。このとき、接着剤に直径6μmのガラスビーズを添加し、ガラス基板間の間隔が6μmになるようにした。
作成した液晶セルに重合性液晶組成物J1を注入し、一旦温度を上昇させて重合性液晶組成物J1を等方相とし、その後5℃/分の速度で降温して、重合性液晶組成物J1の液晶相転移温度を測定した。
重合性液晶組成物J1の相転移温度を表4に示す。なお、表4中、「T」は結晶化温度を示し、「TSm」はネマチック相(Ne相)からスメクチック相(Sm相)への相転移温度を示し、「Tc」は等方相からネマチック相(Ne相)への相転移温度を示す。
(比較例1〜2)
化式(44)で示される比較化合物h1と化合物(5−1)とを、表3に示す割合で混合したこと以外は、重合性液晶組成物J1のときと同様にして比較組成物H1を作成した。(比較例1)
また、化式(45)で示される比較化合物h2と化合物(5−1)とを、表3に示す割合で混合したこと以外は、重合性液晶組成物J1のときと同様にして比較組成物H2を作成した。(比較例2)
Figure 2011251928
Figure 2011251928
Figure 2011251928
比較組成物H1、H2について、重合性液晶組成物J1のときと同様にして、液晶相転移温度を測定した。比較組成物H1、H2の相転移温度を表4に示す。
Figure 2011251928
表4より、重合性液晶組成物J1(実施例1)では、比較組成物H1と比較して、結晶化温度(T)が低く、また等方相への相転移温度(Tc)が高い値を維持しており、幅広い温度領域でネマチック相を示した。一方、ビシクロオクタン骨格を有する比較組成物H2(比較例2)では、スメクチック性が強く表れ、光に対して強い散乱傾向を示した。
[溶解性、透過率]
(実施例2)
重合性液晶組成物J1に式(6−a)で示される重合性カイラル化合物1を8wt%添加して、コレステリック組成物ChJ1を作成した。コレステリック液晶組成物ChJ1を、上記手法により作成した配向膜付きの6μmセルに注入し、60℃で光重合させて、光学異方性膜A1を作成した。
(比較例3)
また、比較組成化物H2に重合性カイラル化合物1を8wt%添加して、コレステリック液晶組成物ChH2を作成した。コレステリック液晶組成物ChH2を、配向膜付きの6μmセルに注入し、60℃で光重合させて、光学異方性膜B1を作成した。
Figure 2011251928
・・・(6−a)
[コレステリック液晶組成物の硬化膜の特性]
光学異方性膜(以下、硬化膜と示す。)A1、B1について、光透過率のスペクトルの測定を行った。
光透過率のスペクトルの測定は、光源の先に設置した偏光子に、光源が発する無偏光の光を通して直線偏光を取り出し、この直線偏光を所定の角度でλ/4波長板に入射させて偏光変換(右円偏光化または左円偏光化)し、この偏光を試料に透過させて、得られた透過光を分光計で測定することにより行った。
上記で得られた透過率スペクトルのうち、特に重要である、波長405nmにおける左円偏光透過率および右円偏光透過率の数値を比較したところ、コレステリック組成化物ChJ1の硬化膜A1(実施例2)は、左円偏光透過率が97%、右円偏光透過率が94%で、左右の円偏光ともに90%以上の良好な透過率を示した。また、コレステリック液晶組成物ChJ1は、他の化合物との相溶性に優れており、カイラル材等の他の化合物と併用し易く、多面体構造を有する他の化合物と比較して、優れた効果が認められた。
一方、コレステリック液晶組成物ChH2の硬化膜B1(比較例3)では、波長405nmにおける左円偏光透過率が10%、右円偏光透過率が11%で、左右の円偏光ともに10%前後の低い光透過率であった。また、コレステリック液晶組成物ChH2は、重合性カイラル化合物1との相溶性が低く、併用が困難であった。
[耐光性]
(実施例3)
コレステリック液晶組成物ChJ1を、上記手法により作成した配向膜付きの6μmセルに注入し、光重合を行って光学異方性膜A1を有する光学素子を作成した。
この光学異方性膜A1に対し、Krレーザ(波長407nm、413nmのマルチモード)を照射し、青色レーザ光曝露加速試験を行った。照射条件は、温度80℃、積算曝露エネルギー10W・hour/mmとした。加速試験後に曝露部位の収差を測定したところ、この部位の収差の最大値と最小値の差は10mλ(ただし、λは測定光の波長405nmに相当する)未満であった。
以上より、コレステリック液晶組成物ChJ1を用いて得られる光学異方性膜(硬化膜)A1は、耐光性に優れていた。
(比較例4)
コレステリック液晶組成物ChH2を、上記手法により作成した配向膜付きの6μmセルに注入し、光重合を行って光学異方性膜B1を有する光学素子を作成した。この光学素子は、比較例3で示すように、光学異方性膜B1の左円偏光透過率、右円偏光透過率が共に10%前後であり、透過率が低すぎるため、耐光性試験を行うことができなかった。

Claims (10)

  1. 下記式(1)で示される重合性化合物。
    Figure 2011251928
    ・・・(1)
    但し、式中の記号は以下の意味を示す。
    、A:それぞれ独立に−COO−又は−OCO−。
    m、n:それぞれ独立に0又は1。
    、P:それぞれ独立に、六員環の飽和もしくは不飽和の炭素環または六員環の飽和もしくは不飽和の複素環。
    ただし、炭素環または複素環は、その環基中の炭素原子に結合した水素原子がアルキル基、アルコキシ基、又はフッ素原子に置換されていてもよい。
    、R:それぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基又はアルコキシ基。
    但し、アルキル基及びアルコキシ基は、炭素原子が酸素原子に置換されていてもよく、水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい。
    s、t:それぞれ独立に0又は1。(ただし、s、tが共に0の場合を除く。)
    、J:それぞれ独立にアクリル基、メタクリル基、エポキシ基、オキセタニル基、又はこれらの重合基。
    k、l:それぞれ独立に0又は1。(ただし、k、lが共に0の場合を除く。)
  2. 下記式(2)で示される請求項1記載の重合性化合物。
    Figure 2011251928
    ・・・(2)
  3. 下記式(3)で示される請求項1記載の重合性化合物。
    Figure 2011251928
    ・・・(3)
    ただし、式(3)中、Phは1、4−フェニレン基を示す。(但し、環基のJ側を1位とする。)
  4. 下記式(4)で示される請求項1記載の重合性化合物。
    Figure 2011251928
    ・・・(4)
    ただし、式(4)中、Phは1、4−フェニレン基を示す。(但し、環基のJ側を1位とする。)
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性化合物を含有する重合性液晶組成物。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合性化合物と、重合性カイラル材料とを含有してなる重合性コレステリック液晶組成物。
  7. 請求項5に記載の重合性液晶組成物、又は請求項6に記載の重合性コレステリック液晶組成物を重合してなる光学異方性材料。
  8. 請求項7に記載の光学異方性材料を用いてなる光学素子。
  9. 光を回折させる回折格子であって、
    請求項7に記載の光学異方性材料を含有する第一の材料からなる第一の部材と、等方性の屈折率を有する第二の材料からなる第二の部材とを有し、
    前記第一の部材と第二の部材とが、交互に配置されていることを特徴とする回折素子。
  10. 光記録媒体に情報を記録し、及び/または光記録媒体に記録された情報を再生する光情報記録再生装置であって、請求項8又は9に記載の光学素子を用いてなる光情報記録再生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015110741A (ja) * 2013-11-11 2015-06-18 Jnc株式会社 液晶組成物および液晶表示素子

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