JP4929665B2 - 電子部品用感光性樹脂組成物、電子部品、ハードディスクドライブ用サスペンション、及びそれらの製造方法 - Google Patents

電子部品用感光性樹脂組成物、電子部品、ハードディスクドライブ用サスペンション、及びそれらの製造方法 Download PDF

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本発明は、熱硬化後に下地との界面に応力が発生しにくい感光性樹脂組成物、及び、それを用いた電子部品、特にハードディスクドライブ用サスペンションに関する。
インターネットの普及に伴い、パーソナルコンピューターの生産量と共に、それに組み込まれている記録媒体であるハードディスクドライブの生産量も増大してきた。さらに近年、家庭用DVDプレーヤーや携帯用音楽プレーヤー、携帯電話、カーナビゲーションシステムなどに適用範囲を広げた結果、その伸びが急速に大きくなっている。
ハードディスクドライブには、ハードディスク記録面から磁気情報を読取り或いは記録面へ磁気情報を記録するヘッドを支持しているサスペンションといわれる電子部品が組み込まれている。ハードディスクドライブ用サスペンションは、バネ状弾性を有するステンレス箔を含む基板からなる片持ち梁状支持体の先端に上記ヘッドを搭載し、ヘッドから片持ち梁の胴部を経て基部側に至るまで配線をめぐらせた構造を有し、基部においてヘッドによるディスク面の走査を可能とする可動状態を保持しながらハードディスクドライブの筐体に取り付けられる。そして、片持ち梁の胴部にめぐらせた配線が基部側において外部回路と接続され、サスペンションよりも外部へと情報伝達される。
ハードディスクドライブは、種々の製品に搭載されるようになり、更なる大容量化、軽量化、ダウンサイジング、動作安定性の強化の要求が強くなってきた。このような状況で、ハードディスクドライブ用サスペンションも、ステンレス箔のバネに銅配線を接続するワイヤードサスペンションから、小型化、大容量化への対応のためステンレスのバネに直接銅配線が形成されているワイヤレスサスペンションといわれるものへと主製品が移り変わりつつある。
ハードディスクドライブ用サスペンションは、高速で回転するディスク上をスキャンすることから細かな振動が加わる部材であるため、配線の密着強度は非常に重要であり、厳しいスペックが求められている。
また、動作の信頼性を確保する為に、ハードディスクドライブ内に組み込まれる部品から発生する塵やガスの低減や、サスペンションに求められる平坦性への要求が厳しくなってきている。
さらに、ハードディスクドライブの低回転化・高密度化に伴い、ディスクへの高い追従性やヘッドの浮上距離の減少に対応する為、バネ状弾性を有しながら、よりフレキシブル性の高いサスペンションが求められている。その為、ステンレス箔は徐々に薄いものが要求されている。
このような品質に対する要求の一つとして、従来むき出しであった配線を絶縁材料で保護し、配線のショートを防止する対策が講じられるようになってきた。
配線保護層の感光性樹脂としては、感光性ポリイミドを用いたもの(特許文献1)と、アクリル−エポキシ樹脂(特許文献2)、アクリル−ウレタン樹脂(特許文献3)などの150℃以上の耐熱性を有する汎用樹脂を用いたものがある。それらは両方とも、(1)配線を設けた基板上へ感光性樹脂を塗布又はラミネートする、(2)紫外線によるパターン露光を行う、(3)現像を行う、(4)熱キュア(熱硬化)を行う、という手順でサスペンション上へ形成される。
感光性ポリイミドを用いる場合には耐溶剤性、耐熱性が良好な配線保護層を形成できる利点があるが、価格が高い、熱硬化時に300℃以上の高温を必要とする、樹脂液の状態での保存安定性が悪い、紫外線に対する感度が悪いなどの課題がある。また、エチレン性不飽和結合を1つ以上有する化合物と混合させることでドライフィルム化を可能とした感光性ポリイミドもあるが、ドライフィルム化のためにポリイミド成分の混合比を低くしているので、本来ポリイミドの有する高耐熱性、低膨張の性質が弱くなる(特許文献4)。
一方、アクリル系樹脂を用いる場合には、耐熱性、耐溶剤性はポリイミドに対して若干劣るものの、価格が安く、キュア温度を200℃程度へと下げることができ、紫外線に対する感度が高く、より平易なプロセスが適用可能なドライフィルムが得られるという利点がある。
特開2004−354675号公報 特開平5−341526号公報 特開平7−253665号公報 特開2004−341059号公報
ハードディスクドライブ用サスペンションは、情報の記録及び読出し時に磁気ヘッドとディスクとの距離を厳密に管理する必要性から、サスペンション自体の平坦性を厳しく要求されており、最終形態となった際に基板の反りが限りなく0(ゼロ)であることが求められている。
しかし、デバイスの信頼性向上の為に配線保護層を形成すると、片持ち梁状基板の平坦性は損なわれ、該基板が反ってしまう場合がある。
一般に、金属と有機物の積層体の反りは、金属と有機物の間の線熱膨張係数の違いに起因していると言われている。その為、反りを低減するには金属と有機物の線熱膨張係数を同じにするか、有機物の弾性率を下げて線熱膨張係数の違いによって発生した応力を有機物自体が吸収するような設計が施される。ただし、低弾性化する事により、有機物の硬度が低下し耐擦傷性等が低下するという問題がある。
また、熱硬化性の有機物は一般的に、熱硬化時に体積収縮を伴う場合が多く、その材料の熱硬化時の体積収縮率によって線熱膨張係数や弾性率を調整する必要がある。
配線保護層は、部品の最表層に位置し、配線等が形成された後に形成されるものであるので特にその物性が基板の反りに影響しやすい。
特に、片持ち梁状基板の長さが長くなり、より大面積で長軸方向の長さが長い配線保護層を形成する必要性が生じたり、ステンレス箔の薄膜化の流れに伴い、その反りの度合いは大きくなり、大きな問題となって来ている。
つまり、ハードディスクドライブ用サスペンションの改良に伴い、従来の配線保護層用の材料ではハードディスクドライブの安定動作に求められる基板の平坦性を満たせなくなりつつある。
ポリイミドは、その構造によって低膨張化したり低弾性化することが可能であるが、アクリル系樹脂は、低膨張化は本質的に不可能である。つまり、アクリル系樹脂を適用する場合は、低弾性化によって応力を緩和する手法によって基板の反りを低減する。また、アクリル系樹脂に耐熱性を持たせるために、導入・添加されているエポキシ基、オキセタニル基、エチレン性不飽和結合含有基、カルボジイミド基などの熱硬化性置換基は、熱硬化時に収縮を伴い、特にエポキシ基、エチレン性不飽和結合含有基を有する樹脂は大きく熱収縮する。
その為、アクリル系樹脂を配線保護層として用いる場合には、低弾性体であっても金属などとの界面に発生した応力を緩和できず基板が反ってしまうという問題があった。
従って、アクリル系樹脂を配線保護層として用いる場合には、特に、基板の平坦性を改善する必要性が高い。
本発明は、上記実情を考慮して成し遂げられたものであり、その第一の目的は、ハードディスクドライブ用サスペンションのように、バネ状弾性を有する金属基板の層を含む単層又は多層のバネ状弾性基板上に付着し、最終的に熱硬化処理したときに、該弾性基板との界面に応力が発生しない電子部品用感光性樹脂組成物を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、バネ状弾性を有する金属基板の層を含む単層又は多層のバネ状弾性基板上に、上記感光性樹脂組成物を用いて2次元的な樹脂層または3次元的な構造部分を形成し、最終的に熱硬化処理したときに、該弾性基板との界面に応力を生じさせずに、平坦性に優れた電子部品を提供すること、及び、そのような電子部品の製造方法を提供することにある。
本発明の第三の目的は、特に、バネ状弾性を有する金属基板の層を含む単層又は多層の片持ち梁状基板に、上記感光性樹脂組成物を用いて配線保護層または絶縁層等の樹脂層を形成するか又は3次元的な構造部分を形成し、最終的に熱硬化処理したときに、反りを生じさせずに、平坦性に優れたハードディスクドライブ用サスペンションを提供すること、及び、そのようなハードディスクドライブ用サスペンションの製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明によれば、エチレン性不飽和結合含有基、グリシジル基、オキセタニル基、イソシアニル基、チオイソシアニル基、カルボジイミド基よりなる群から選ばれる硬化性基を有する硬化性成分を含む感光性樹脂組成物からなり、露光後に熱硬化処理を行ったときに、該熱硬化処理中における安定した貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下であり、バネ状弾性を有する金属箔を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する基板の上に付着、硬化させて樹脂硬化物からなる部分を形成するために用いられることを特徴とする電子部品用感光性樹脂組成物が提供される。
上記本発明に係る電子部品用感光性樹脂組成物は、露光後に熱硬化処理を行ったときに、一定の熱硬化処理温度に保持している期間における単位時間(分)当たりの寸法変化率が0.012%以下であることが好ましい。
また、本発明によれば、バネ状弾性を有する金属を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する基板の上に、上記本発明に係る電子部品用感光性樹脂組成物を付着、硬化させてなる部分が設けられていることを特徴とする電子部品が提供される。
上記本発明に係る電子部品の代表的な実施形態として、少なくともバネ状弾性を有する金属箔を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する片持ち梁状基板の上に、上記本発明に係る電子部品用感光性樹脂組成物を付着、硬化させてなる部分が設けられていることを特徴とするハードディスクドライブ用サスペンションが提供される。
上記ハードディスクドライブ用サスペンションの一実施形態として、前記片持ち梁状基板が、少なくともバネ状弾性を有する金属箔と、該金属箔上に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた配線とを備え、該配線が前記電子部品用感光性樹脂組成物の硬化物からなる配線保護層によって覆われていることを特徴とするハードディスクドライブ用サスペンションが提供される。
また、本発明によれば、バネ状弾性を有する金属を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する基板の上に、上記本発明に係る電子部品用感光性樹脂組成物を付着させる工程と、
前記付着物を熱硬化処理して、樹脂硬化物からなる構造部分を形成する工程を含むことを特徴とする、電子部品製造方法が提供される。
上記本発明に係る電子部品製造方法の代表的な実施形態として、少なくともバネ状弾性を有する金属箔を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する基板の上に、上記本発明に係る電子部品用感光性樹脂組成物を付着させる工程と、
前記電子部品用感光性樹脂組成物の付着物を露光する工程と、
露光後に必要に応じて現像を行った前記付着物を熱硬化処理して、樹脂硬化物からなる構造部分を形成する工程と、
前記基板を片持ち梁状の形状に形成する工程とを含むことを特徴とする、ハードディスクドライブ用サスペンション製造方法が提供される
本発明によれば、金属を含む弾性基板の上に、露光後に熱硬化処理を行ったときに、該熱硬化処理中における安定した貯蔵弾性率が上記した一定の値以下となる感光性樹脂組成物を用いて樹脂硬化物からなる構造部分、特に樹脂皮膜を形成するので、熱硬化処理の加熱段階及び冷却段階での収縮の違いに起因する樹脂部分と弾性基板との界面に生じた応力を緩和することができ、基板の反りが発生しにくい。
特に、熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化処理工程において、上述したような貯蔵弾性率挙動をとることに加えて、露光後に熱硬化処理を行ったときに、一定の熱硬化処理温度に保持している期間における単位時間(分)当たりの寸法変化率が上記した一定の値以下であれば、熱硬化処理の間に樹脂の収縮がほぼ収束するので、基板との界面に生じる応力をさらに軽減することができ、より厳密な平坦性の要求にも対応できる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係る電子部品用感光性樹脂組成物(以下において「感光性樹脂組成物」又は「樹脂組成物」と略称される場合がある。)は、露光後に熱硬化処理を行ったときに、該熱硬化処理中における安定した貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下であることを特徴とするものである。
上記感光性樹脂組成物は、露光後に熱硬化処理を行ったときに、一定の熱硬化処理温度に保持している期間における単位時間(分)当たりの寸法変化率が0.012%以下であることが、さらに好ましい。
また、本発明に係る電子部品は、バネ状弾性を有する金属基板を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する基板の上に、上記本発明に係る電子部品用感光性樹脂組成物を付着、硬化させてなる部分が設けられていることを特徴とするものである。
さらに、本発明に係るハードディスクドライブ用サスペンションは、
少なくともバネ状弾性を有する金属箔を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する片持ち梁状基板の上に、上記本発明に係る電子部品用感光性樹脂組成物を付着、硬化させてなる部分が設けられていることを特徴とするものである。
つまり本発明は、露光及び現像後の熱硬化処理工程において、上記貯蔵弾性率挙動をとり、さらに好ましくは上記寸法変化挙動をとる感光性樹脂組成物と、該感光性樹脂組成物を用いることにより基板の反りを大幅に改善した電子部品、特に、ハードディスクドライブ用サスペンションを開示するものである。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、ハードディスクドライブ用サスペンションの配線保護層に用いられる樹脂の熱硬化時における粘弾性挙動と、収縮率と、基板の反りの間に密接な関係があることを見出した。
配線保護層の材料である熱硬化性樹脂組成物は、一般的に熱硬化の進行に伴い熱収縮する。これに対し、基板や配線の材料となっている金属は、熱膨張性の性質を示す場合が多い。そのため、まず、熱硬化処理の加熱段階で、配線保護層と金属層との界面に応力が生じる。更に、多くの樹脂は金属よりも線熱膨張係数が大きいので、熱硬化処理の冷却段階では、その2つの材料の熱膨張率の差に対応して配線保護層は収縮が大きく、金属は収縮が小さくなり、界面の応力が更に大きくなることが多い。(図1)。
本発明者らは、室温時と加熱時の材料の弾性率の変化に着目し詳細な検討を行った。その結果、熱硬化処理工程において、処理温度プロファイルの最高温度で保持して貯蔵弾性率がほぼ一定の値に安定したときに、該貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下となる材料を用いる場合には、熱硬化段階での収縮や、冷却段階での収縮の違いに起因する配線保護層と金属基板を含む弾性基板との界面に生じた応力を緩和でき、反りを発生しにくいことを見出した。
しかし、上記貯蔵弾性率を限定するだけでは、ステンレス箔などの金属基板が非常に薄い場合や、さらには、適用される製品の大きさが大きい場合には、反りを完全に抑制することができなかった。そのため本発明者らは、より厳密な平坦性の要求にも対応できるように、熱硬化時の材料の収縮の挙動に着目し詳細に検討した。
その結果、一般に加熱に伴い、どの熱硬化性樹脂組成物も若干熱収縮をするが、一般的な材料は、加熱温度を一定に保ち続けると収縮し続ける。これに対して、基板の反りが小さくなる熱硬化性樹脂組成物は、初期に収縮した後、収縮が収束し、収縮しなくなるか又は収縮の幅が小さくなり、その後加熱し続けても、寸法の収縮がそれ以上は進行しにくいことを見出した。
具体的には、熱硬化性樹脂組成物が、熱硬化処理工程において、上述したような貯蔵弾性率挙動をとることに加えて、熱硬化処理温度プロファイルの最高温度で保持している期間における単位時間(分)当たりの寸法変化率が0.012%以下であれば、基板との界面に生じる応力を軽減することができ、反りは発生しない。
熱硬化性樹脂組成物をハードディスクドライブ用サスペンションの配線保護層として用いる場合には、熱硬化処理プロセスにおいて上記したような貯蔵弾性率挙動をとることが重要であり、より厳密に基板の平坦性が求められる場合には、熱硬化処理プロセスにおいて上記したような寸法変化挙動をとることが重要である。
また、ハードディスクドライブ用サスペンションの基板に限らず、バネ状弾性を有する金属基板を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する弾性基板を用いる電子部品、例えばフレキシブルプリント配線板の上に、絶縁層や保護層等の樹脂層や樹脂構造部位を形成する場合には、このような貯蔵弾性率及び寸法変化挙動をとる熱硬化性樹脂組成物を用いることで、同様に基板の反りを軽減又は完全に阻止できる。
[感光性樹脂組成物]
本発明に用いる感光性樹脂組成物とは、紫外線(電磁波)を照射することで、現像液に対する溶解性が変化する樹脂組成物のことをいい、一般的にその溶解速度の差を利用して、所望の露光マスク(パターン)を通して紫外線(電磁波)を照射するか、微細なスポット径を有する紫外線(電磁波)レーザーを直接照射することで露光部と未露光部のパターニングが可能である。
露光部が現像液に溶出するポジ型と未露光部が現像液に溶出するネガ型があり、本発明には以下に述べる要求物性を満たしていれば、どちらを用いても良い。
また、感光性樹脂組成物は、溶液など液状で、基板上に塗布・乾燥して用いるものと、フィルム状に成形され、ラミネートなどの手法で基板上に塗膜を形成し用いられるドライフィルムレジスト、さらに、粉体状で基板上に噴霧され塗膜を形成するスプレーレジストなどがある。
液状レジストは、乾燥時に溶媒が揮発する際に塗膜の体積収縮が起きることから基板との間に応力が発生する可能性があり、柔軟な基板を用いた場合、乾燥時に反りが見られる場合がある。また、常温で液状の無溶媒の液状レジストは塗布後、表面にタックがありゴミなどの不純物が付着し不良の発生原因となる場合がある。
ドライフィルムレジストは、ラミネートにより基板上に形成される為、基板との間に応力の発生が少なく基板の反りが発生しにくいが、凹凸のある基板上に薄膜を形成したい場合に限界がある。
スプレーレジストは、一般に基板上に噴霧後に加熱を行う必要があるが凹凸のある基板に比較的均一な膜厚で塗布できる。
これら感光性樹脂組成物は、具体的には、高分子バインダー、単官能及び/又は多官能モノマー、光重合開始剤、その他の添加剤、さらに必要に応じて溶剤を配合してなるものである。
感光性樹脂組成物が、エチレン性不飽和結合を有する重合性成分の重合体(例えば、アクリル系高分子樹脂)からなる高分子バインダー、及び/又は、エチレン性不飽和結合を有する硬化性成分(例えば、アクリル系のモノマー又はオリゴマー)を含む樹脂組成物は、熱硬化処理時の収縮が大きいため、本発明による平坦性改善の効果が非常に高くなる。
以下に具体例としてネガ型の場合を例示する。
高分子バインダーは、フィルムの形態を保持する目的、また、現像性を付与する目的などで混合されている。いわゆる、感光性樹脂組成物の骨組に当たる部分である。
高分子バインダーとしては、主にアクリル系樹脂が用いられているが、その他にもポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリアリルアミン等特に限定されない。また、ドライフィルムとして用いる場合はフィルム形状を保持しなければないらないことから、高分子バインダーの重量平均分子量は、5,000以上であることが好ましく、10,000以上が更に好ましい。現像性の観点から重量平均分子量が300,000以下であることが好ましく、200,000以下であることが更に好ましい。重量平均分子量は、ゲルパーミレーションクロマトグラーフィー(通称:GPC)によって標準ポリスチレンとの相対値によって求める方法が一般的であるが、溶解性に乏しくGPCによって測定できない場合は、他の公知の方法を用いて測定することができる。
高分子バインダーには、pHを調節した水溶液による現像性を付与する為、アルカリ現像の場合は酸性の官能基、酸現像の場合は塩基性の官能基が導入されている場合が多い。また、最終硬化物の耐熱性や力学特性を向上させる為に硬化性置換基を導入されているものもある。硬化性置換基としては、エチレン性不飽和結合含有基、グリシジル基、オキセタニル基、イソシアニル基、チオイソシアニル基、カルボジイミド基などが例示されるが、公知の全ての硬化性置換基で、目的を達成することができる。
これら硬化性置換基は、光ラジカル発生剤、光酸発生剤、光塩基発生剤などの添加剤の働きにより光硬化性を示し、加熱した場合、添加剤なし、又は触媒等の添加剤の存在下で熱硬化性も示す。
多官能モノマー、および単官能モノマーは、硬化性置換基を1つ以上有する低分子量成分でその分子量、または数平均又は重量平均分子量は、100以上10,000以下が好ましく、100以上5,000以下がさらに好ましい。100未満であると、乾燥時に硬化性成分が揮発し、樹脂組成物の成分比が変化してしまう。また、分子量が大きいと溶解性が低下する。
多官能モノマー及び、単官能モノマーに含まれる硬化性置換基としては、エチレン性不飽和結合含有基、グリシジル基、オキセタニル基、イソシアニル基、チオイソシアニル基、カルボジイミド基などが例示されるが、高分子バインダーの説明でも述べたように、それらはその硬化手法によって、光硬化性だけでなく、熱硬化性も示す。
これらには、紫外線等が照射され光重合開始剤が発生させたラジカルにより、高分子バインダーや他の多官能モノマーと反応し架橋構造を形成することで感光性樹脂組成物の溶解性を減少させる働きや、加熱により高分子バインダーや他の多官能モノマーと反応し架橋構造を形成することで、最終的に得られる膜の耐熱性や物理的特性を向上させる働きがある。
具体的には、エチレン性不飽和結合含有基を1つ以上有する化合物(低分子量成分)で、エステル結合を含むものとしては1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(pーヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、及びウレタン基を含有する多官能(メタ)アクリレート、ビスフェノールAを構造中に含んだ多官能メタクリレートまたはアクリレート等があるが、特に限定されない。
また、エチレン性不飽和結合含有基を1つ以上有する化合物(低分子量成分)で、ウレタン結合を含むものとしては、1個以上のイソシアナート基を含有する化合物と、分子中にヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物とを付加反応させることにより得ることができる化合物が例示される。さらに、2個以上のイソシアナート基を含有する化合物と、ポリアルキルジオールとを反応させた化合物に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を反応させた化合物を用いても良い。これらの3つの成分はそれぞれ単一の化合物を用いても良いし、1成分として複数の化合物を混合した形で用いても良い。
イソシアナート基を含有する化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、ブチレン−1,3−ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4−ジメチル−6−エチルオクタメチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,3−ジイソシアネーチルシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トリデンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トランスビニレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアネートメチルカプロエート、水素化トリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートの二量体、トリレンジイソシアネートの三量体などが例示できる。
分子中にヒドロキシル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等などが例示される。
その他、(メタ)アクリル酸誘導体にかかわらず、ビニル基やマレイミド基などエチレン性不飽和結合を1つ以上有する公知の全ての化合物が適用できる。
グリシジル基を1つ以上有する化合物(低分子量成分)としては、エポキシ化合物が挙げられる。エポキシ化合物に特に限定はないが、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ε−カプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチルカプロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、β−メチル−δ−バレロラクトン変性3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシシクロへキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシシクロヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種又は2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノール又はアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシ化大豆油;エポキシステアリン酸ブチル;エポキシステアリン酸オクチル;エポキシ化アマニ油;エポキシ化ポリブタジエン等を例示することができる。
オキセタニル基を1つ以上含有する化合物としては、上記のグリシジル化合物のグリシジル基をオキセタニル基に置換した化合物やトリメチレンオキシド、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロロメチルオキセタン、3−エチル−3-フェノキシメチルオキセタン、ビス(3−エチル−3−メチルオキシ)ブタン等の例示することができる。
光重合開始剤は、電磁波、特に紫外線を吸収し、解裂、及び/又は他分子からの水素引き抜きを行いラジカルを発生させるものであり、例えば、2−エチルアントラキノン、オクタエチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、2−メチル1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、3−クロロ−2−メチルアントラキノンなどのキノン類、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン[4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン]、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンなどの芳香族ケトン類、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾインなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体等のビイミダゾール化合物、チオキサントン類とアルキルアミノ安息香酸の組み合わせ、例えばエチルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、2−クロルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチル、イソプロピルチオキサントンとジメチルアミノ安息香酸エチルとの組み合わせ、また、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾリル二量体とミヒラーズケトンとの組み合わせ、9−フェニルアクリジン等のアクリジン類、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−o−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(ο−エトキシカルボニル)オキシム等のオキシムエステル類等があるが、特に限定されない。
その他、添加剤としては、照射された電磁波の吸収効率を高める色素や、ドライフィルム自体に柔軟性を与える可塑剤、表面硬度を高めるフィラー、顔料等の難燃剤等が挙げられるが、特に限定されない。
感光性樹脂組成物をハードディスクドライブ用サスペンションやハードディスクドライブ用配線板用途に用いる場合には、発塵の元となることからフィラーや顔料などを含まないことが好ましいが、難燃性等の物性を満たすために、固形分の20重量%以下ならば含んでも良い。
また、熱硬化処理時の揮発物がディスク面へ付着することによるディスク面の汚れ(曇り)を防止する観点から、感光性樹脂組成物は、有機ケイ素化合物を含有しないことが好ましい。
なお、本発明において固形分とは、最終的に得られる硬化物を構成する全ての成分のことであり、溶剤以外の全ての成分を含む。
本発明においては、樹脂組成物の各成分を適宜組み合わせ、配合割合を調節することによって、熱硬化処理工程において上述したような貯蔵弾性率挙動及び寸法変化挙動をとる感光性樹脂組成物を調製する。また、上述したような貯蔵弾性率挙動及び寸法変化挙動をとる感光性樹脂組成物は、市販材料の中から選択しても良い。
[電子部品の製造方法]
以下、本発明に係る電子部品の製造方法を、ハードディスクドライブに用いられるワイヤレスサスペンションの製造を例に挙げて説明する。
ワイヤレスサスペンションを作る方法としては、以下のような(1)又は(2)の方法がある。
(1)絶縁層の片側にバネ状弾性を有する支持体となるステンレス箔が積層され、もう一方の側に配線となる銅箔や銅の合金箔が積層された3層構造の積層体を用意し、まず、両面の金属をエッチングによりパターニングし、次に、絶縁層を、アルカリ水溶液などによるウェットエッチングやプラズマなどによるドライエッチングによってパターニングする。基板のステンレス箔が薄かったり、パターンが微妙な場合は、銅のエッチング後、絶縁体のエッチングを行い、最後にステンレスのエッチングを行う場合もある。
(2)ステンレス箔等の金属基板上に、感光性ポリイミド等の絶縁性樹脂を用いて絶縁層のパターンを形成した後、該絶縁層のパターン上にスパッタやめっき等で配線を形成する。
このうち方法(1)の手順を図2から図3にかけて示す。
先ず、図2(A)に示すように、ハードディスクドライブのワイヤレスサスペンションとして用いられる弾性基板を用意する。図2(A)において弾性基板1は、ステンレス等のバネ状弾性を有する金属箔からなる金属基板2の上に、ポリイミド等の高絶縁性樹脂からなる絶縁層3と、銅等の高導電性金属からなる配線層4が順次積層された積層構造を有する。
本発明において電子部品の基板として用いられる基板は、特に限定されるわけではないが、上記ワイヤレスサスペンションに代表されるように、バネ状弾性を有する金属基板を含み且つ基板全体としてもバネ状弾性を有するものは、該基板の上に樹脂硬化物からなる薄膜や構造物を形成し、熱硬化処理したときに、金属基板の熱膨張率と樹脂の熱膨張率の差によって樹脂硬化物を形成した界面に応力が発生するので、反りを来たし易い。
従って、本発明は、そのような弾性基板に適用することが効果的である。特に、バネ状弾性基板の弾性率が10GPa以上、好ましくは100GPa以上、更に好ましくは150GPa以上になると、本発明による平坦性改善の効果が非常に高くなる。
弾性基板がワイヤレスサスペンション用弾性基板である場合には、金属箔の厚さが薄くなるほど弾性が弱くなるため、反りを来たし易くなり、基板のより厳密な平坦性が要求されるようになる。特に、金属箔の厚さが20μm以下になると、本発明による平坦性改善の効果が高くなる。
また、弾性基板がワイヤレスサスペンション用弾性基板である場合には、その長さが長くなるほど基板と樹脂硬化物の界面での応力が大きくなるため、反りを来たし易くなり、基板のより厳密な平坦性が要求されるようになる。特に、完成した状態のサスペンションに含まれる片持ち梁状基板の長さが30mm以上になると、本発明による平坦性改善の効果が高くなる。
次に、図2(B)に示すように、この弾性基板1の金属基板2側と配線層4側を、それぞれ所定のレジストパターン5で被覆しエッチング加工を行うと、図2(C)に示すように、金属基板が治具取付け用穴を有するバネ形状に形成され、配線層4が所定の回路パターンとなる。
次に、図2(D)に示すように、この弾性基板1の金属基板2側と配線層4側を、絶縁層の一部が露出するようにレジストパターン6で被覆しエッチング加工を行うと、図2(E)に示すように、絶縁層がパターニングされる。
次に、図3(A)に示すように、配線層の一部又は全てを覆うように、配線保護層となる本発明の感光性樹脂組成物からなる層7を形成する。
本発明においては、該配線保護層のように、感光性樹脂組成物の硬化膜が最終的に空気との界面を有する最外層となる場合に、特に反りを来たし易くなり、本発明による平坦性改善の効果が高くなる。
感光性樹脂組成物からなる層又は3次元構造物を基板へ適用する方法(付着方法)は、上述したように該感光性樹脂組成物の性状に合わせて様々であるが、通常、溶液等の液状状態で基板上に塗布するか、または、この溶液をフィルムのような基材に塗布し乾燥させて得たドライフィルムを基板上にラミネートする。
感光性樹脂組成物が液状である場合には、ディップコート、スピンコート、ダイコート、ロールコート、スリットコート等公知の手法により基板上へ塗布できる。
感光性樹脂組成物のドライフィルムを基板上に積層する方法は、感光性樹脂組成物層と基板との間に応力の発生が少なく基板の反りが発生しにくいため、本発明にとって特に適した方法である。ドライフィルムのラミネート手法としては、通常、ロールプレス、面プレス等公知のラミネート方法を用いる事ができる。
ドライフィルムをラミネートする条件としては、温度は20〜100℃の範囲で行うのが好ましく、圧力は0.05〜0.3MPa(0.5から3Kgf/cm)の範囲で行うのが好ましい。
また、雰囲気は1.0×10−1Pa(50mmHg)以下の蒸気圧で行うのが好ましい。これは、基板上の凹凸が大きい場合に、気泡が混入を低減させる必要があるからである。しかし、パターンが比較的大きく配線間隔等も大きい場合は、減圧しなくても気泡の混入がみうけられない場合もあり、その場合は必ずしも減圧を行わなくてもよい。
加工するシートサイズにより真空吸引時間を調整するが、圧着時にドライフィルムレジストとシート間に気泡が残らないように、時間を設定する。また、ラミネート条件は、使用するドライフィルムレジストのTgにより異なり、金属箔や金属薄膜等のパターンを十分に被覆できる温度でラミネートを行う。このとき、温度を高くしすぎると露光時の感度が不安定になるので注意する。
用いる基板の厚さが薄く、基板の剛性が低い場合は、ロールプレスによりラミネートを行うと、シート毎に加工した場合、基板が反ってしまう。基板が反ると、その後、露光を行うときにアライメントに大きなずれが生じる。このずれは、金属箔や回路パターン等の金属層のパターンと絶縁層や配線保護層等のパターンのずれの原因になる為、できる限り小さいものにしなければならない。その為、シート上の基板にドライフィルムレジストをラミネートする場合には、面プレスを用いるのが精度良く設計どおりの製品を作製するのに好ましい。
また、ラミネートする際に気泡の混入があると、その部分が密着不良となり、エッチング形状に不良が出る。このような密着不良があると本来密着しているべき箇所に気泡ができる為、現像液のしみこみや、最終熱硬化時の気泡の破裂による不良の原因となる。
この為、減圧状態でのラミネートが有効である。その際に表面に微細な凹凸が施されているようなドライフィルムを用い、基板側に凹凸を向けるようにしてラミネートすると、この現象が発生せず、気泡の除去に非常に有効である。
ドライフィルムレジスト表面に施された凹凸は、その十点平均粗さRzが0.5μm〜50μmの範囲であることが好ましく、その凹凸を形成する手法は、感光性樹脂組成物をドライフィルムの状態にした後にエンボス加工によりなされても、予め凹凸のついたフィルムに感光性樹脂組成物の溶液を塗布し、乾燥させることによって、凹凸を形成させても良いが、その手法に関しては特に限定されない。
ドライフィルムの厚さは、最終的に得たい樹脂層や樹脂構造体の寸法に合わせて適宜決定すればよい。ワイヤレスサスペンションの配線保護層を形成したい場合には、ドライフィルムの厚さを、通常は、10〜40μmとする。
次に、図3(B)に示すように、感光性樹脂組成物層7を露光し、現像することによって、配線保護層8のパターンを形成する。
弾性基板の片側の面積の10%以上、特に30%以上、さらに50%以上の領域に感光性樹脂組成物の硬化膜が積層されている場合には、基板と樹脂硬化物の界面での応力が大きくなるため、反りを来たし易くなる。また、感光性樹脂組成物の硬化膜の大きさが長軸方向で20mm以上ある場合も、基板の反りを来たし易くなる。従って、これらの場合には、本発明による平坦性改善の効果が高くなる。
本発明においては、少なくとも弾性基板の片面において感光性樹脂組成物層が形成されていればよく、両面に形成されていてもよい。感光性樹脂組成物が、基板の両面に積層されている場合、積層されている領域の面積又は厚みが基板の両面で異なる場合には、反りが発生しやすくなる。感光性樹脂組成物の厚み、及びパターンが弾性基板の両面で同じ場合、その影響を打ち消しあい、反りの発生が抑制される。
配線保護層8を形成するためのパターン露光は、用いる感光性樹脂組成物の組成に合わせて照射強度と露光時間を適宜決定すればよい。
感光性樹脂組成物層7の現像は、用いる感光性樹脂組成物に対応した現像液を用い、その推奨条件で行うのが好ましいが、特に限定されない。先に述べたように、廃棄物処理の観点から、水溶液、特に無機アルカリ水溶液を用いて現像を行うことが好ましい。現像方法は、ディップ法でもスプレー法でも、液中スプレー法でも良く、特に限定されない。
配線保護層8のパターンをネガ型のドライフィルムから形成した場合には、露光・現像後に再び電磁波、主に紫外線を照射することによって、最終硬化膜の物理的性質を向上させることができる。この2次的な全面露光を行う場合には、パターン露光時の波長を含むような光源により、5mJ以上のエネルギーの照射を行うと良い。
なお、金属基板の全面に絶縁樹脂層を設ける場合のように樹脂組成物の層をパターニングする必要がない場合には、現像処理を必要としないので、本発明においては、露光後の現像工程は必要に応じて行えばよい。
さらに、感光性樹脂組成物が、露光工程を省略して熱硬化処理を行うだけでも充分に硬化する場合には、露光及び現像工程を行わずに、直接熱硬化処理を行うことで樹脂からなる層又は構造部分を形成しても良い。
すなわち、該感光性樹脂組成物を実用プロセスに適用する場合には、弾性基板上に塗布やラミネート等の方法で付着、硬化させた後の露光工程及び現像工程は必要に応じて適宜省略することができる。
これに対して、様々な感光性樹脂組成物を評価して本発明で使用可能な感光性樹脂組成物を選択する場合には、該樹脂組成物を用いる典型的なプロセスを考慮することが望ましいので、先ず感光性樹脂組成物を露光し、露光後に熱硬化処理を行ったときの貯蔵弾性率挙動と寸法変化挙動を確認する。
次に、図3(C)に示すように、必要に応じて配線層の一部を金メッキ等のメッキ膜9で被覆する。
次に、図3(D)に示すように、熱硬化性樹脂組成物の露光硬化物からなる配線保護層8を熱硬化処理する。本発明の感光性樹脂組成物は、露光・現像後に加熱処理することによって、樹脂硬化物からなる構造部分の熱硬化成分を反応させ、耐熱性や耐溶剤性、力学的特性を、より向上させることができる。
熱硬化処理に適用される処理温度プロファイルは、用いる樹脂組成物や基板の耐熱性等を考慮して適宜決定すればよく、例えば、図4(A)に示すように完全な台形状のプロファイルを採用し、一定の最高温度で一定時間保持しても良いし、図4(B)に示すように階段状に昇温するプロファイルを採用し、最終的に一定の最高温度で一定時間保持しても良い。
加熱条件は、実用上支障のない範囲で設定されるが、生産性の観点からは、より短時間であることが望ましい。ただし、より長時間加熱することで、熱硬化性成分をより完全に反応させることができ、耐溶剤性などを向上させることができる。
熱硬化条件(温度高さ、加熱時間のほか、昇温速度や温度プロファイルの形など)は、耐溶剤性や耐熱性、アウトガス特性等の要求に応じて、加熱処理による感光性樹脂組成物又は最終硬化物の熱劣化をできるだけ起こさない範囲内で適宜設定できる。
例えば、熱処理条件を種々変更して、赤外分光法によって感光性樹脂組成物を測定したときに、それ以上温度を上げたり、時間を長くしてもスペクトルの変化が起こらない条件であれば、耐熱性の要件は満たす。つまり、硬化条件は、少なくとも硬化物の赤外吸収スペクトルが、それ以上変化しない加熱条件であることが好ましい。
ここでのスペクトルの「変化」とは、熱処理を行う前後に同条件で測定したときのスペクトルの各ピークの強度が±10%以上であることをいう。変化が大きかった場合、ハードディスクの組み立て等の後工程において、材料が変化し、そのプロセスによって基板の反り等が発現し、不良となるおそれがある。
また、感光性樹脂組成物の熱硬化処理前後における重量減少割合が固形分換算で10%以下となる範囲内で、熱硬化反応が充分に進行する熱処理条件を設定することができる。
ここで、固形分換算での重量とは、溶剤を除く全成分の合計重量であり、液状又は揮発性のモノマー成分もこれに含まれる。
また、熱硬化反応が充分に進行する熱処理条件であるかどうかは、例えば、感光性樹脂組成物中の熱硬化反応する置換基のピークが減少するかどうかを赤外吸収スペクトル測定により測定するといった方法で判断することができる。
熱硬化処理は、通常140℃〜250℃、好ましくは145℃〜230℃の範囲で行われ、その温度での保持時間は1分〜300分であることが好ましい。
アクリル系樹脂組成物(アクリル系高分子バインダー又はアクリル系重合性成分を、固形分換算で、典型的には5重量%以上、好ましくは20重量%以上含有する樹脂組成物)を用いる場合には、熱硬化温度を比較的低温とすることができ、具体的には、硬化処理温度を140℃〜250℃とすることが好ましく、145℃〜230℃とすることがより好ましい。140℃未満では硬化反応が進行しにくく、250℃を超えると基板へのダメージが大きくなる。基板へのダメージを低減させる為には、最終的な物性を損なわない範囲でできるだけ低い硬化温度や短い硬化時間を設定するのが良い。
また、ハードディスクドライブ用のプリント配線板やサスペンション用途に用いる場合には製品からのアウトガスを低減するとが求められる為、140℃〜250℃、好ましくは150℃〜200℃の範囲で加熱を行い、材料の熱硬化時にできるだけ揮発成分を材料から放出させることが好ましい。
硬化時間は、加熱手法によって異なるが、処理温度プロファイル上の最高温度での保持時間を、1分〜300分とすることが好ましく、10分〜180分とすることがより好ましい。
加熱手法としては、循環式オーブン、赤外線ヒーター、熱風照射、マイクロウェーブ等公知のあらゆる手法を適用できる。加熱時の雰囲気は、基板等に金属を含む場合は金属の腐食を防ぐ為に窒素や希ガス等の不活性ガス雰囲気下や真空化で行うのが好ましいが、250℃以下の温度での加熱の場合は空気中でも金属の腐食の程度が低い為、空気中でも良い。
上述したように本発明においては、露光後に熱硬化処理を行ったときに、該熱硬化処理中における安定した貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下である感光性樹脂組成物を用いる。
貯蔵弾性率とは、動的粘弾性測定から導き出される値であり、材料の弾性成分を表す値である。
また、本発明において、「熱硬化処理中における安定した貯蔵弾性率」とは、熱硬化処理によって熱硬化反応がほぼ又は完全に完了して、1分間あたりの貯蔵弾性率の変化率が±5%以内となった状態の貯蔵弾性率のことを意味する。言い換えれば、本発明の感光性樹脂組成物が熱硬化処理の最終時点において最終硬化物となった状態の貯蔵弾性率とも言える。
本発明の感光性樹脂組成物の熱硬化処理中における安定した貯蔵弾性率が、1.0×10Paよりも大きいと、基板との間に発生した応力を緩和できず、反りが発生する。
感光性樹脂組成物の熱硬化処理中における安定した貯蔵弾性率の測定手法としては例えば、感光性樹脂組成物をフィルムに塗布、又はラミネート後、所定の条件で露光した後、フィルムより剥離し、所定の大きさに切断し、実際の製品製造で行われる加熱温度プロファイルに合わせて、動的粘弾性装置内で加熱しながら、貯蔵弾性率を測定する。
通常、感光性樹脂組成物の熱硬化処理温度プロファイルは台形状又は階段状であり、最高温度で一定時間保持する段階がある。安定した貯蔵弾性率は、このような熱硬化処理温度プロファイルにおいて最高温度で保持した期間の最終時点で測定することができる。しかしながら、安定した貯蔵弾性率の測定方法は、この手順に限られるわけではない。
また、本発明で用いる感光性樹脂組成物は、熱硬化処理中に上記貯蔵弾性率挙動をとるとともに、配線保護層や絶縁層等の機械的強度を確保する観点から、冷却後に23℃に戻した時の貯蔵弾性率が、5.0×10Pa以上であることが好ましい。
また、基板の反りを低減するには、これら感光性樹脂組成物の硬化性成分が最終硬化の段階でほぼ完全に反応し、それ以上加熱しても反応しない状態になることが好ましい。つまり、硬化収縮が、加熱の過程で収束し、再加熱を行っても収縮しない状態であることが好ましい。
かかる観点から、本発明で用いる感光性樹脂組成物は、露光後に熱硬化処理を行ったときに、一定の熱硬化処理温度に保持している期間における単位時間(分)当たりの寸法変化率が上述したように0.012%以下であることが好ましい。
本発明において、「単位時間(分)当たりの寸法変化率」とは、感光性樹脂組成物サンプルの熱硬化収縮によって引き起こされた全寸法変化を、熱硬化処理開始前のサンプル寸法で割り、100を掛けて求めた寸法変化率を、さらに硬化収縮反応を進行させるのに充分な温度以上で保持していた時間(分)で割ることにより算出される平均収縮率である。
熱硬化処理中における感光性樹脂組成物の硬化収縮は、感光性樹脂組成物の個々の組成にもよるが、加熱温度が硬化反応を進行させるのに充分な温度以上に上昇すると活発になる。そのため本発明においては、感光性樹脂組成物の個々の組成に応じて、硬化反応を進行させるのに充分な温度以上の一定温度に保持している期間における寸法変化を測定し、単位時間(分)当たりの寸法変化率を特定する。感光性樹脂組成物を硬化反応を進行させるのに充分な一定温度に保持し、その寸法変化を測定するための期間は、実際の熱硬化処理時間を考慮して180分以内とすることが望ましい。
通常、感光性樹脂組成物の熱硬化処理温度プロファイルは台形状又は階段状であり、最高温度で一定時間保持する段階がある。このような熱硬化処理温度プロファイルにおいて、加熱開始前のサンプル長(初期長さ)、最高温度に達した時点のサンプル長、及び温度を下げ始める時点のサンプル長をそれぞれ測定し、最高温度に達した時点のサンプル長から温度を下げ始める時点のサンプル長を引いた値を初期長さで割り、100を掛けて求めた寸法変化率を、さらに保持時間(分)で割ることにより、熱硬化処理中における単位時間(分)当たりの寸法変化率を算出することができる。しかしながら、寸法変化率の特定方法は、この手順に限られるわけではない。
上記熱硬化処理後、さらに、端子部に半田印刷を行うなど、必要に応じて他の加工を施すことによってハードディスクドライブ用ワイヤレスサスペンションが得られる。
このようにして得られたワイヤレスサスペンションは、片持ち梁状基板が、少なくともバネ状弾性を有する金属箔と、該金属箔上に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた配線とを備え、該配線が前記電子部品用感光性樹脂組成物の硬化物からなる配線保護層によって覆われている構造を有する。
なお、本発明は、ワイヤレスサスペンション以外にも剛性が小さい基板を用いる電子部品を製造するために効果的に適用される。
(感光性樹脂組成物のサンプル)
<感光性樹脂組成物1>
市販のドライフィルム状感光性樹脂組成物である日立化成製FR5040(商品名)(厚さ38μm±3μm)をそのまま用いた。
<感光性樹脂組成物2>
市販のドライフィルム状感光性樹脂組成物である東亞合成製SS−7100(商品名)(厚さ38μm±3μm)をそのまま用いた。
<感光性樹脂組成物3>
市販の液状感光性樹脂組成物であるアサヒ化学研究所製DPR−5FB(商品名)をそのまま用いた。
<感光性樹脂組成物4>
市販の液状感光性樹脂組成物である日本ポリテック製NPR−90/DP−5を、そのまま用いた。
<感光性樹脂組成物5>
市販のドライフィルム状感光性樹脂組成物であるニチゴーモートン社製Conformask 2015(商品名)(厚さ38μm±3μm)をそのまま用いた。
<感光性樹脂組成物6>
市販のドライフィルム状感光性樹脂組成物であるニチゴーモートン社製Conformask 2515(商品名)(厚さ38μm±3μm)をそのまま用いた。
(粘弾性評価)
感光性樹脂組成物1〜2及び5〜6はドライフィルムなので、そのまま試験に供した。感光性樹脂組成物3〜4は液状なので、50μm厚のポリイミドフィルム(宇部興産製、商品名ユーピレックスS)上に塗布・乾燥後、剥離することで、感光性樹脂組成物フィルム(乾燥後厚み38μm±3μm)としたものを試験に供した。
各感光性樹脂組成物のフィルムは、粘弾性測定前に予め、手動露光装置(大日本スクリーン株式会社製、MA−1200)により、i線換算で300mJ/cm照射を行った。照射後のフィルムについて、粘弾性測定装置Solid Analyzer RSA II(Rheometric Scientific社製)によって、周波数1Hz、サンプル長8mm、サンプル幅5mmで動的粘弾性測定を行った。
加熱条件は、室温から表1の温度まで昇温速度5℃/minで昇温し、表1記載の温度に到達してから表1記載の時間だけ温度を保持した。
(寸法変化評価)
粘弾性評価に用いたのと同じフィルムを用いた。該サンプルの初期長さを、試験(加熱処理)開始前に予め測定した。そのサンプルを、表1の最高温度に到達するまで昇温速度10℃/minで昇温し、表1記載の温度に到達してから表1記載の時間だけ温度を保持し、その後、室温まで冷やした。この加熱中のサンプルを、熱機械的分析装置Thermo Plus TMA8310(リガク社製)によって、引っ張り加重を5gにして、寸法変化を測定した。
全保持時間の寸法変化率(%)は、最大温度に達した時のサンプルの長さから温度を下げ始めたときのサンプルの長さの差(μm単位)を、そのサンプルの初期の長さで割ったものに100を掛けたものとした。
更に、その寸法変化率をその温度で維持した時間(分)で割ったものを、単位時間(分)当たりの寸法変化率(%/min)とした。
<計算式>
(1)全保持時間の寸法変化率(%)=(最大温度に達した時のサンプルの長さ−温度を下げ始めたときのサンプルの長さ)÷サンプル初期長×100
(2)単位時間(分)当たりの寸法変化率(%/min)=全保持時間の寸法変化率(%)÷最高温度での保持時間(min)
(平坦性評価)
図5(A)及び図5(B)に示す2つのくし型(くしの突出部は、図7(A)のものが5mm間隔で30mm×5mm、図7(B)のものが50mm×5mm)の形状にエッチングされた新日本製鐵製SUS304 HTA箔上に、上記感光性樹脂組成物1〜2、5〜6(ドライフィルムのもの)はラミネートし、上記感光性樹脂組成物3〜4(液状のもの)は塗布し、SUS箔−感光性樹脂組成物層の複合体を作製した。
作製した複合体を、それぞれ表2に記載した条件で、基板であるSUS箔と同じ形状になるようにパターニングを行った後、熱硬化した。
そのサンプルの短冊部(それぞれ30mm×5mm、50mm×5mm)の根元を平坦な金属板に固定し先端部の金属板からの高さを測定し、その高さが2mm〜1mmのものを△、1mm以下のものを○、2mmを超えるものを×とした。
(実施例1〜2及び比較例1〜4の評価結果)
粘弾性評価と寸法変化率の試験条件と評価結果を表1に示し、平坦性評価の試験条件と評価結果を表2に示す。
また、粘弾性評価の結果を縦軸、寸法変化率評価の結果を横軸にとったグラフを図6に示す。さらに、実施例1(感光性樹脂組成物1)の寸法変化率の推移を図7に示し、比較例3(感光性樹脂組成物5)の寸法変化率の推移を図8に示す。
実施例1及び2(感光性樹脂組成物1、2)は、本発明で使用可能な貯蔵弾性率挙動と寸法変化挙動をとった。寸法変化率挙動に関しては、実施例1(感光性樹脂組成物1)の寸法変化率の推移(図7)は、加熱初期には収縮をするもののそれが収束した後は、加熱を継続してもサンプルの長さが変化しなかったのに対して、比較例3(感光性樹脂組成物5)の寸法変化率の推移(図8)は、加熱と共に熱収縮が進行し続けていくことが観察された。
上記結果から、熱硬化時の最高温度における貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下であり且つ寸法変化率が0.012%以下であれば、平坦性の高い製品を得られることが分かる。
これは、熱硬化時の貯蔵弾性率が小さければ、材料が柔軟である為、硬化収縮により発生した基板との応力を緩和できるものと考えられる。ただし、熱収縮の割合が大きいと発生する応力も大きくなる為、材料が柔軟であっても応力を緩和できないものと考えられる。
Figure 0004929665
Figure 0004929665
(ハードディスクドライブ用サスペンションの製造)
厚み20μmの新日本製鉄製SUS304 HTA箔−厚み10μmのポリイミド−厚み12μmのジャパンエナジー社製銅合金箔(NK-120)からなる3層構成の積層体を、塩化第二鉄溶液によってSUS面、Cu面を所望の形にエッチングした。
その基板に、ポリイミド層エッチング用のアルカリ現像型ドライフィルムレジストをラミネートし、所望の形状のマスクを通して紫外線露光を行い、NaCO 1重量%水溶液で、ドライフィルムレジストを現像した。その後、ポリイミド層のエッチングを行い、3重量%NaOH水溶液で、ドライフィルムレジストを剥離した。このようにして、パターニングされたSUS箔上に、絶縁層として所望の形状にパターニングされたポリイミド層を挟んで、銅配線が形成された、50mm×3mm程度の大きさのサスペンションが5mmおきに配列された基板を得た。
この基板に、上記感光性樹脂組成物1〜2、5〜6(ドライフィルムのもの)はラミネートし、上記感光性樹脂組成物3〜4(液状のもの)は塗布した後、表3の条件でパターニング、及び熱硬化処理を行い、銅配線上に配線保護層を形成した(本発明ではこの状態をサスペンションブランクと呼ぶ)。
感光性樹脂組成物の被膜を形成したサスペンションブランクからサスペンションを一つ切り出し、一方の端を平坦な金属板に固定し、他端側先端部の高さによって平坦性を評価した。先端と金属板との距離が1mm以下の場合を○、1mmを超えた場合を×とした。結果を表3に示す。
Figure 0004929665
金属基板と熱硬化性樹脂層の界面で応力が発生する原理を説明する図である。 図2(A)から図2(E)は、ハードディスクドライブ用ワイヤレスサスペンションの作製方法の一例を説明する手順図である。 図3(A)から図3(D)は、ハードディスクドライブ用ワイヤレスサスペンションの作製方法の一例を説明する手順図である。 図4は、熱硬化処理の処理温度プロファイルの例である。図4(A)は台形状の処理温度プロファイルであり、図4Bは階段状の処理温度プロファイルである。 図5(A)及び図5(B)、平坦性評価に用いた2つのくし型基板の形状を示す図である。 図6は、実施例から得られた粘弾性評価の結果を縦軸、寸法変化率評価の結果を横軸にとったグラフである。 図7は、実施例1(感光性樹脂組成物1)の寸法変化率の推移を示すグラフである。 図8は、比較例3(感光性樹脂組成物5)の寸法変化率の推移を示すグラフである。
符号の説明
1 弾性基板
2 金属基板
3 絶縁層
4 配線層
5 レジストパターン
6 レジストパターン
7 感光性樹脂組成物層
8 配線保護層
9 メッキ膜

Claims (25)

  1. エチレン性不飽和結合含有基、グリシジル基、オキセタニル基、イソシアニル基、チオイソシアニル基、カルボジイミド基よりなる群から選ばれる硬化性基を有する硬化性成分を含む感光性樹脂組成物からなり、露光後に熱硬化処理を行ったときに、該熱硬化処理中における安定した貯蔵弾性率が1.0×10Pa以下であり、バネ状弾性を有する金属箔を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する基板の上に付着、硬化させて樹脂硬化物からなる部分を形成するために用いられることを特徴とする電子部品用感光性樹脂組成物。
  2. 露光後に熱硬化処理を行ったときに、一定の熱硬化処理温度に保持している期間における単位時間(分)当たりの寸法変化率が0.012%以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用感光性樹脂組成物。
  3. フィラーを含有しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品用感光性樹脂組成物。
  4. エチレン性不飽和結合を有する重合性成分の重合体からなる高分子バインダー、及び/又は、エチレン性不飽和結合を有する硬化性成分を含有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子部品用感光性樹脂組成物。
  5. 有機珪素化合物を含有しないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子部品用感光性樹脂組成物。
  6. 水溶液による現像が可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子部品用感光性樹脂組成物。
  7. ドライフィルムの形態を有していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子部品用感光性樹脂組成物。
  8. 前記ドライフィルムの厚みが10μm〜40μmであることを特徴とする請求項7に記載の電子部品用感光性樹脂組成物。
  9. 前記ドライフィルムの少なくとも片面に微細な凹凸が形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の電子部品用感光性樹脂組成物。
  10. バネ状弾性を有する金属を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する基板の上に、請求項1〜9の電子部品用感光性樹脂組成物を付着、硬化させてなる部分が設けられていることを特徴とする電子部品。
  11. 前記基板の片側面積の10%以上の領域に前記電子部品用感光性樹脂組成物の硬化膜が積層されていることを特徴とする請求項10に記載の電子部品。
  12. 前記電子部品用感光性樹脂組成物の硬化膜が、空気との界面を有する様に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の電子部品。
  13. 少なくともバネ状弾性を有する金属箔を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する片持ち梁状基板の上に、請求項1〜9の電子部品用感光性樹脂組成物を付着、硬化させてなる部分が設けられていることを特徴とするハードディスクドライブ用サスペンション。
  14. 前記片持ち梁状基板が、少なくともバネ状弾性を有する金属箔と、該金属箔上に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた配線とを備え、該配線が前記電子部品用感光性樹脂組成物の硬化物からなる配線保護層によって覆われていることを特徴とする請求項13に記載のハードディスクドライブ用サスペンション。
  15. 前記配線保護層は、空気との界面を有する様に設けられていることを特徴とする請求項14に記載のハードディスクドライブ用サスペンション。
  16. 前記片持ち梁状基板の長軸方向長さが30mm以上であることを特徴とする請求項13乃至15のいずれかに記載のハードディスクドライブ用サスペンション。
  17. 前記片持ち梁状基板に含まれる金属箔の厚さが20μm以下であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれかに記載のハードディスクドライブ用サスペンション。
  18. バネ状弾性を有する金属を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する基板の上に、請求項1〜9の電子部品用感光性樹脂組成物を付着させる工程と、
    前記付着物を熱硬化処理して、樹脂硬化物からなる構造部分を形成する工程を含むことを特徴とする、電子部品製造方法。
  19. 前記電子部品用感光性樹脂組成物を付着させる工程後に、必要に応じて露光する工程を含むことを特徴とする、請求項18に記載の電子部品製造方法。
  20. 前記露光工程後に、必要に応じて現像を行う工程を含むことを特徴とする、請求項19に記載の電子部品製造方法。
  21. 前記基板の片側面積の10%以上の領域に前記電子部品用感光性樹脂組成物の硬化膜を形成することを特徴とする請求項18乃至20のいずれかに記載の電子部品製造方法。
  22. 前記電子部品用感光性樹脂組成物の硬化膜を、空気との界面を有する様に形成することを特徴とする請求項21に記載の電子部品製造方法。
  23. 少なくともバネ状弾性を有する金属箔を含み且つそれ自体もバネ状弾性を有する基板の上に、請求項1〜9の電子部品用感光性樹脂組成物を付着させる工程と、
    前記電子部品用感光性樹脂組成物の付着物を露光する工程と、
    露光後に必要に応じて現像を行った前記付着物を熱硬化処理して、樹脂硬化物からなる構造部分を形成する工程と、
    前記基板を片持ち梁状の形状に形成する工程とを含むことを特徴とする、ハードディスクドライブ用サスペンション製造方法。
  24. 前記基板が、少なくともバネ状弾性を有する金属箔と、該金属箔上に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた配線とを備え、該配線の上に前記電子部品用感光性樹脂組成物の硬化物からなる配線保護層を形成することを特徴とする請求項23に記載のハードディスクドライブ用サスペンション製造方法。
  25. 前記配線保護層を、空気との界面を有する様に形成することを特徴とする請求項24に記載のハードディスクドライブ用サスペンション製造方法。
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