JP6992661B2 - エアシール構造の検査方法 - Google Patents

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本発明は、エアシール構造の検査方法に関する。
工作機械の主軸装置において、主軸とケースとの間からエアを噴出することによって、クーラントが主軸の軸受まで浸入することを防ぐことが提案されている(例えば、特許文献1)。
特開2016-137558号公報
しかしながら、主軸に芯ずれが生じていると、エアが十分に噴出されない箇所が生じ、当該箇所からクーラントが浸入してしまう恐れがある。
そこで、本明細書開示のエアシール構造の検査方法は、主軸の芯ずれを検出することを課題とする。
かかる課題を解決するために、本明細書に開示されたエアシール構造の検査方法は、軸線まわりに回転する主軸と、前記主軸を収容するケースと、を備え、前記主軸と前記ケースとの間に形成された隙間からエアを噴出する主軸装置のエアシール構造の検査方法であって、前記主軸の先端部に前記ケースの直径よりも大きな直径を有する円形の膜を設置する工程と、前記エアを噴出させた状態で、前記主軸装置の先端部を複数方向からカメラで撮像し、前記複数方向の各方向において前記先端部の色面積を取得する工程と、前記各方向において、前記色面積と前記各方向に対して設定された閾値との比較結果に基づいて、前記主軸の芯ずれを判定する工程と、を含む。
本明細書開示のエアシール構造の検査方法によれば、主軸の芯ずれを検出することができる。
図1(A)は、主軸装置の側面図であり、図1(B)は、主軸装置の上面図であり、図1(C)は、図1(B)のA-A断面図であり、図1(D)は主軸に芯ずれが生じている状態を示す上面図である。 図2(A)及び図2(B)はそれぞれ、本実施形態に係る検査方法を説明する側面図および上面図である。 図3(A)は、膜の上面図、図3(B)は、膜を固定するために使用するリングの上面図及び側面図、及び図3(C)は、膜、リング、及び主軸装置の関係を示す図である。 図4は、本実施形態に係る検査方法のフローチャートである。 図5(A)~図5(C)は、図4のフローチャートを説明するための図である。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されて描かれている場合もある。
まず、図1(A)~図1(C)を参照し、本発明の一実施形態に係るエアシール構造の検査方法(以後、単に検査方法と記載する)を適用する主軸装置100について説明する。図1(A)は、主軸装置100の側面図であり、図1(B)は、主軸装置100の上面図であり、図1(C)は、図1(B)のA-A断面図である。
主軸装置100は、ケース10と、主軸20と、を備えている。主軸20は、ケース10の内部で軸線L1まわりに回転可能に支持されている。主軸20の先端には、加工用刃具またはワークを取り付けるための取付部30が形成されている。
図1(B)及び図1(C)に示すように、ケース10と主軸20との間には、隙間Gが設けられており、図1(C)に矢印で示すように、当該隙間Gからエアを噴出することにより、クーラントが主軸装置100内に浸入することを抑制している。
ここで、主軸20の芯が加工精度に影響しない程度に偏っている場合、すなわち、主軸20に芯ずれが生じている場合、図1(D)に示すように、隙間Gが閉塞してしまう箇所P1が生じる。当該箇所P1では、エアが噴出されないため、クーラントが主軸装置100内に浸入するおそれがある。したがって、エアが主軸20の全周にわたって偏りなく噴出されているか否かを検知することが望ましい。しかし、エアは微風(例えば、約3m/s)であるため、隙間Gから噴出されるエアを風速計等の計測機器を用いて計測し、主軸20の芯ずれを検知することは難しい。また、主軸装置100内には流量計を設置するスペースがないため、流量計を用いることも難しい。
次に、安価かつ確実に主軸20の芯ずれを検知できる本実施形態に係る検査方法について説明する。
まず、本実施形態に係る検査方法の概略について説明する。図2(A)及び図2(B)はそれぞれ、本実施形態に係る検査方法を説明する側面図および上面図である。
本実施形態に係る検査方法では、図2(A)に示すように、主軸装置100の先端部に隙間Gを覆う膜F1を設置した状態でエアを噴出させる。そして、当該主軸装置100の先端部を、例えば画像センサ200が備えるカメラ201で撮像し、色面積を取得する。当該取得した色面積を、予め設定しておいた色面積と比較することにより、主軸20に芯ずれが生じているか否かを検査する。なお、本実施形態では、図2(B)に示すように4方向から主軸装置100をカメラ201で撮像し、各方向において取得した色面積を各方向に対して設定された色面積と比較することにより、主軸20に芯ずれが生じているか否かを検査する。
次に、本実施形態に係る検査方法で使用する膜F1と、膜F1の主軸装置100への設置について説明する。図3(A)は、膜F1の上面図、図3(B)は、膜F1を固定するために使用するリング50の上面図及び側面図、及び図3(C)は、膜F1、リング50、及び主軸装置100の関係を示す図である。
膜F1は、例えば円形の和紙であり、図3(A)に示すように、その中央部に取付部30を貫通させる孔H2が形成されている。膜F1の直径D1は、ケース10の直径D2よりも大きく、隙間Gからエアの噴出がない状態で膜F1が隙間G(図1(C)参照)を覆うように設定されている。
リング50は、例えば鉄製の錘である。図3(B)に示すように、リング50には、その中央部に取付部30に嵌合する孔H1が形成されている。
実施形態に係る検査方法では、図3(C)に示すように、まず、取付部30を膜F1の孔H2に通すことで膜F1を主軸20の先端部にセットし、次に、取付部30をリング50の孔H1に通して、リング50を膜F1を固定する錘として膜F1の上に設置する。
次に、検査方法で使用するカメラ201について説明する。カメラ201は、例えば、画像センサ200が備えるカメラである。画像センサ200は、図2(A)に示すように、カメラ201と、コントローラ202とを備える。コントローラ202は、例えばタッチパネルディスプレイを備え、作業者(検査者)は、当該タッチパネルディスプレイによって、色面積の設定(ティーチング)や、判定結果の確認を行うことができる。
次に、図4のフローチャートとその他の図面を参照して、本実施形態の検査方法について説明する。図4は、本実施形態に係る検査方法のフローチャートである。図4の処理は、主軸装置100を出荷前に調整する場合や、主軸装置100をオーバーホールする場合に実行される。
まず、図5(A)に示すように、作業者がカメラ201を主軸装置100の先端部側面が撮像できる位置に設置する(ステップS11)。
次に、作業者は、主軸20の先端に膜F1及びリング50を設置していない状態で、主軸装置100の先端部側面をカメラ201で撮像し、コントローラ202を用いて色面積を検出する領域、及び、色面積を設定する(ステップS13)。例えば、作業者は、図5(A)において、斜線で示す領域R1を色面積を検出する領域として設定し、当該領域R1の色面積を設定する。
次に、作業者は、主軸20の先端に膜F1をセットし、その上にリング50を設置する(ステップS15)。
次に、作業者は、エアを隙間Gから噴出させる(ステップS17)。
主軸20に芯ずれが生じておらず、エアが主軸20の全周にわたって偏りなく噴出されている場合には、図5(B)に示すように膜F1が浮きあがり、カメラ201は、ステップS13で設定された領域R1の全領域を撮像できる。このため、カメラ201で取得される色面積が、ステップS13で設定された色面積と等しくなる。
一方、主軸20に芯ずれが生じており、図1(D)で例示したようなエアが噴出されない箇所P1が存在する場合には、図5(C)に示すように、ステップS13で設定された領域R1の一部が撮像されないため、カメラ201で取得される色面積が、ステップS13で設定された色面積よりも小さくなる。
そこで、作業者は、コントローラ202のディスプレイを確認し、色面積が設定値と等しいか否かを判断する(ステップS19)。
色面積が設定値と等しくない場合(ステップS19/NO)、作業者は、膜F1が全体的に浮いているか否かを判断する(ステップS31)。膜F1が全体的に浮いているが、色面積が設定値と等しくないということは、エア供給量が不足していると考えられる。したがって、膜F1が全体的に浮いている場合(ステップS31/YES)、作業者は、エア供給量を上げ(ステップS33)、ステップS19に戻る。
一方、膜F1の一部のみが浮いていない場合、すなわち、膜F1の一部が主軸装置100を覆っている場合、エアが噴出されていない箇所があると考えられる。したがって、膜F1の一部のみが浮いていない場合(ステップS31/NO)、作業者は、主軸20の芯合わせを行い(ステップS35)、ステップS19に戻る。
色面積が設定値と等しい場合(ステップS19/YES)、作業者は、エア供給量を下げる(ステップS21)。そして、作業者は、エア供給量を下げることにより、色面積が設定値よりも小さくなったか否かを判断する(ステップS23)。
エア供給量を下げても、色面積が設定値よりも小さくならない場合(ステップS23/NO)、ステップS21に戻り、更にエア供給量を下げる。
一方、エア供給量を下げることにより、色面積が設定値よりも小さくなった場合(ステップS23/YES)、エア供給量を下げる前のエア供給量が適正量であると考えられる。したがって、ステップS23の判断がYESの場合、作業者は、エア供給量を変更前の供給量に戻す(ステップS25)。これにより、エア供給量を適切な量に調整できる。
次に、作業者は、全ての検査位置(本実施形態では4か所)において芯ずれの検知を行ったか否かを判定する(ステップS27)。
芯ずれの検知を行っていない位置が存在する場合(ステップS27/NO)、作業者は、カメラ201を次の位置に移動させ(ステップS29)、ステップS13からの処理を再度実行する。例えば、4か所で芯ずれの検知を行う場合、作業者は、カメラ201を90度移動させる。
一方、全ての検査位置において芯ずれの検知を行った場合(ステップS27/YES)、図4の処理を終了する。
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係るエアシール構造の検査方法は、軸線L1まわりに回転する主軸20と、主軸20を収容するケース10と、を備え、主軸20とケース10との間に形成された隙間Gからエアを噴出する主軸装置100のエアシール構造の検査方法であって、主軸20の先端部にケース10の直径よりも大きな直径を有する円形の膜F1を設置する工程と、エアを噴出させた状態で、主軸装置100の先端部を複数方向からカメラで撮像し、複数方向の各方向において先端部の色面積を取得する工程と、各方向において、色面積と各方向に対して設定された閾値(設定値)との比較結果に基づいて、主軸20の芯ずれを判定する工程と、を含む。主軸20の芯ずれによってエアが噴出されない箇所では、膜F1が垂れて主軸装置100の先端部が覆われるため、色面積が小さくなるので、色面積を設定値と比較することにより、主軸20の芯ずれを検査することができる。これにより、芯ずれによってエアが噴出されない箇所からクーラントが浸入し、主軸装置100が故障することを防止できる。また、流量計やセンサ類が不要であるため、安価に検査を実施できる。
なお、上記実施形態では、カメラ201で主軸装置100を撮像する位置を4か所としたが、カメラ201の撮像可能範囲に応じて、撮像箇所数は変更することができる。例えば、カメラ201を120度移動させて、主軸装置100を3か所で撮像して主軸20の芯ずれを検知してもよいし、カメラ201を180度移動させて、主軸装置100を2箇所で撮像して、主軸20の芯ずれを検知してもよい。
また、上記実施形態では、画像センサ200が備えるカメラ201とコントローラ202とは別体となっていたが、カメラ201とコントローラ202とは一体化されていてもよい。また、画像センサ200の代わりに、カメラ201と、カメラ201に接続されたパーソナルコンピュータ等の情報処理装置とを用いて、色面積を取得してもよい。
上記実施形態は本発明を実施するための例にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、これらの実施例を種々変形することは本発明の範囲内であり、更に本発明の範囲内において、他の様々な実施例が可能であることは上記記載から自明である。
10 ケース
20 主軸
100 主軸装置
201 カメラ
F1 円形の膜
G 隙間

Claims (1)

  1. 軸線まわりに回転する主軸と、前記主軸を収容するケースと、を備え、前記主軸と前記ケースとの間に形成された隙間からエアを噴出する主軸装置のエアシール構造の検査方法であって、
    前記主軸の先端部に前記ケースの直径よりも大きな直径を有する円形の膜を設置する工程と、
    前記エアを噴出させた状態で、前記主軸装置の先端部を複数方向からカメラで撮像し、前記複数方向の各方向において前記先端部の色面積を取得する工程と、
    前記各方向において、前記色面積と前記各方向に対して設定された閾値との比較結果に基づいて、前記主軸の芯ずれを判定する工程と、
    を含むエアシール構造の検査方法。
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