JP2022062573A - 感光性積層樹脂構造体、ドライフィルム、硬化物および電子部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】低熱膨張率でありながら、密着性および解像性に優れた感光性積層樹脂構造体等を提供する。【解決手段】フィラー充填層(A)と、保護層(B)とを有する感光性積層樹脂構造体であって、前記フィラー充填層(A)は、光重合開始剤を実質的に含まず、かつフィラー含有率が有機溶剤を除く全成分中に10~80質量%であり、前記保護層(B)は、フィラー含有率が、前記フィラー充填層(A)のフィラー含有率に対して0~25質量%であることを特徴とする感光性積層樹脂構造体等である。【選択図】図1
Description
本発明は、パッケージ基板の樹脂絶縁層などに有用な、低熱膨張でありながら、密着性、めっき耐性、クラック耐性および解像性に優れた感光性積層樹脂構造体、該感光性積層樹脂構造体を有するドライフィルム、該感光性積層樹脂構造体の硬化物、および該硬化物を有する電子部品に関する。
近年、電子機器の小型化、高性能化に伴い、回路基板に用いられる絶縁材料には、微細パターンの形成や熱膨張率の更なる低減などが求められている。
これに対し従来、このような絶縁材料の低熱膨張化を図る手段としては、シリカ等のフィラー成分を組成物中に高充填化する方法が一般的に知られている。中でも球状シリカは、充填性に優れ、熱膨張係数(CTE)が低いことから、ソルダーレジスト等の感光性樹脂組成物の特性向上に広く用いられてきた(特許文献1参照)。
これに対し従来、このような絶縁材料の低熱膨張化を図る手段としては、シリカ等のフィラー成分を組成物中に高充填化する方法が一般的に知られている。中でも球状シリカは、充填性に優れ、熱膨張係数(CTE)が低いことから、ソルダーレジスト等の感光性樹脂組成物の特性向上に広く用いられてきた(特許文献1参照)。
しかしながら、このようなフィラー成分を高充填した感光性樹脂組成物では、かかる樹脂組成物からなる塗膜をパターン露光する際に、照射光がフィラー成分と樹脂成分等との界面で反射・散乱し、遮光領域(未露光部)まで光硬化が進行する現象(いわゆるハレーション)が生じるため、解像性が悪化するという問題があった。また、塗膜が高膜厚である場合には、塗膜深部での照射光の減衰が大きく、塗膜深部の光硬化性が十分に得られないため、現像後のパターンがアンダーカット形状になり、下地の基材との密着性が低下し、金めっき処理等で剥離が生じるという問題があった。さらに、このようなフィラー成分を高充填した感光性樹脂組成物からなる硬化塗膜は、低熱膨張化するものの機械特性として靭性が低く(脆く)なるため、冷熱サイクル試験にて十分なクラック耐性が得られないことがあった。
そこで本発明の目的は、低熱膨張率でありながら、密着性、めっき耐性、クラック耐性および解像性に優れた感光性積層樹脂構造体、該感光性積層樹脂構造体を有するドライフィルム、及び該感光性積層樹脂構造体の硬化物、および該硬化物を有する電子部品を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、フィラー成分を特定の含有率で含む非感光性樹脂層と、かかる非感光性樹脂層に比べてフィラー成分の含有率が少ない感光性樹脂層を積層してなる積層樹脂構造体であれば、かかる課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の感光性積層樹脂構造体は、
フィラー充填層(A)と、保護層(B)とを有する感光性積層樹脂構造体であって、
前記フィラー充填層(A)は、光重合開始剤を実質的に含まず、かつフィラー含有率が有機溶剤を除く全成分中に10~80質量%であり、
前記保護層(B)は、フィラー含有率が前記フィラー充填層(A)のフィラー含有率に対して0~25質量%であることを特徴とするものである。
フィラー充填層(A)と、保護層(B)とを有する感光性積層樹脂構造体であって、
前記フィラー充填層(A)は、光重合開始剤を実質的に含まず、かつフィラー含有率が有機溶剤を除く全成分中に10~80質量%であり、
前記保護層(B)は、フィラー含有率が前記フィラー充填層(A)のフィラー含有率に対して0~25質量%であることを特徴とするものである。
本発明の感光性積層樹脂構造体は、前記フィラー充填層(A)の層厚が前記保護層(B)の層厚よりも厚いことが好ましい。
本発明のドライフィルムは、前記感光性積層樹脂構造体の少なくとも片面が、フィルムで支持または保護されてなることを特徴とするものである。
本発明の硬化物は、前記感光性積層樹脂構造体または前記ドライフィルムの感光性積層樹脂構造体からなることを特徴とするものである。
本発明の電子部品は、前記硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明によれば、低熱膨張率でありながら、密着性、めっき耐性、クラック耐性および解像性に優れた感光性積層樹脂構造体、該感光性積層樹脂構造体を有するドライフィルム、該感光性積層樹脂構造体の硬化物、および該硬化物を有する電子部品を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
本発明の感光性積層樹脂構造体は、フィラー充填層(A)と、保護層(B)とを有する感光性積層樹脂構造体であって、前記フィラー充填層(A)は、光重合開始剤を実質的に含まず、かつフィラー含有率が有機溶剤を除く全成分中に10~80質量%であり、前記保護層(B)は、フィラー含有率が前記フィラー充填層(A)のフィラー含有率に対して0~25質量%であることを特徴とするものである。
本発明においては、上記のような感光性積層樹脂構造体としたことが肝要であり、フィラーが充填された前記フィラー充填層(A)に、フィラー含有率がフィラー充填層(A)のフィラー含有率に対して一定割合以下(0を含む)の前記保護層(B)を設け、かつ、前記フィラー充填層(A)が光重合開始剤を実質的に含まないことによって、解像性が良好であり、かつ、低熱膨張率であり、密着性に優れた硬化物を得ることができる。
さらに、解像性がより優れることから、前記フィラー充填層(A)の層厚は、前記保護層(B)の層厚よりも厚いことが好ましい。例えば、前記フィラー充填層(A)の層厚は、前記保護層(B)の層厚の1.0倍超であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましく、2.0倍以上であることがさらに好ましい。
前記フィラー充填層(A)の層厚は、下地の基材に形成された回路間を隙間なく被覆するため、例えば、3~60μmであるがこれに限られない。前記フィラー充填層(A)の層厚は、例えば10~60μmであってもよい。
前記保護層(B)の層厚は、露光部の現像液に対する耐溶解性、めっき耐性およびクラック耐性の観点から、例えば、0.5~20μm厚さであるがこの限りではない。
また、本発明の感光性積層樹脂構造体は、前記フィラー充填層(A)がアルカリ溶解性樹脂および熱反応性化合物を含むことが好ましい。また、前記保護層(B)がアルカリ溶解性樹脂、光重合開始剤、熱反応性化合物を含むことが好ましい。即ち、前記フィラー充填層(A)および前記保護層(B)は、その未露光部がアルカリ水溶液に可溶であることが好ましい。
本発明の感光性積層樹脂構造体において、フィラー充填層(A)は、上述したハレーションの発生を抑制し、解像性を向上する観点から光重合開始剤を実質的に含まない。このフィラー充填層(A)は、基材面側にラミネートされると、光重合開始剤を含まなくても、外層側の保護層(B)が露光および現像によりパターン形成が可能であれば、保護層(B)とフィラー充填層(A)とが現像によりパターンを一括形成することが可能となる。
尚、本発明において光重合開始剤を実質的に含まないとは、フィラー充填層(A)の単独層にて光重合性を有さないことである。
尚、本発明において光重合開始剤を実質的に含まないとは、フィラー充填層(A)の単独層にて光重合性を有さないことである。
保護層(B)は、光重合開始剤として、光照射により塩基性物質を生成する機能を有する化合物を含有することが好ましい。また、保護層(B)は、解像性の観点から、分子量1000以下のラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物を実質的に含まないことが好ましい。
以下、フィラー充填層(A)、保護層(B)についてさらに詳述する。
[フィラー充填層(A)]
フィラー充填層(A)は、特定の含有率のフィラーを含み、光重合開始剤を実質的に含まないアルカリ溶解性熱硬化性樹脂組成物からなることが好ましく、さらにアルカリ溶解性樹脂および熱反応性化合物を含むアルカリ溶解性熱硬化性樹脂組成物からなることがより好ましい。
フィラー充填層(A)は、特定の含有率のフィラーを含み、光重合開始剤を実質的に含まないアルカリ溶解性熱硬化性樹脂組成物からなることが好ましく、さらにアルカリ溶解性樹脂および熱反応性化合物を含むアルカリ溶解性熱硬化性樹脂組成物からなることがより好ましい。
(フィラー)
フィラーは無機フィラーであることが好ましい。無機フィラーは、通常の樹脂組成物に用いられる公知の無機フィラーを用いることができる。具体的には、例えば、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、タルク、有機ベントナイトなどの非金属フィラーや、銅、金、銀、パラジウム、シリコーンなどの金属フィラーが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。無機フィラーのなかでも、熱膨張係数が低く、酸やアルカリ等に対して安定であるため、シリカがより好ましい。また、2種以上組み合わせる場合、組み合わせは特に限定されないが、より好ましいシリカと他の無機フィラーの組み合わせが好ましく、例えば、シリカと硫酸バリウムの組み合わせ等が挙げられる。
フィラーは無機フィラーであることが好ましい。無機フィラーは、通常の樹脂組成物に用いられる公知の無機フィラーを用いることができる。具体的には、例えば、シリカ、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、アルミナ、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、タルク、有機ベントナイトなどの非金属フィラーや、銅、金、銀、パラジウム、シリコーンなどの金属フィラーが挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組合せて使用することができる。無機フィラーのなかでも、熱膨張係数が低く、酸やアルカリ等に対して安定であるため、シリカがより好ましい。また、2種以上組み合わせる場合、組み合わせは特に限定されないが、より好ましいシリカと他の無機フィラーの組み合わせが好ましく、例えば、シリカと硫酸バリウムの組み合わせ等が挙げられる。
シリカとしては、球状シリカが好ましい。球状シリカとしては、例えば以下のように測定される真球度が、0.8以上のものが挙げられるが、球状であればよく、真球のものに限定されるものではない。
真球度の測定は、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}として算出される。具体的には、画像処理装置を用いて100個の粒子について測定した平均値を採用する。
真球度の測定は、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)2}として算出される。具体的には、画像処理装置を用いて100個の粒子について測定した平均値を採用する。
市販されているシリカとしては、例えば、アドマテックス社製のアドマファインSO-C2、SO-E2、アドマナノシリーズ、デンカ社製のSFP-20M、SFP-30M、デンカ社製のUFP-30、日本触媒社製のシーホスターシリーズ、堺化学工業社製のSciqasシリーズ、共立マテリアル社製のSG-SO100等の球状シリカが挙げられる。
無機フィラーの平均粒子径は0.5μm以下であることが好ましい。0.5μm以下だと解像性の低下を抑えることができる。ここで、本明細書において、フィラーの平均粒子径は、一次粒子の粒径だけでなく、二次粒子(凝集体)の粒径も含めた平均粒子径(D50)であり、レーザー回折法により測定されたD50の値である。レーザー回折法による測定装置としては、マイクロトラック・ベル社製のMicrotrac MT3300EXIIが挙げられる。
無機フィラーは表面処理されていてもよい。無機フィラーの表面処理方法は特に限定されず、公知慣用の方法を用いればよいが、より低熱膨張の硬化物が得られることから、硬化性反応基を有する表面処理剤、例えば、硬化性反応基を有機基として有するカップリング剤等で無機フィラーの表面を処理することが好ましい。
カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系およびジルコアルミネート系等のカップリング剤が使用できる。中でもシラン系カップリング剤が好ましい。かかるシラン系カップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N-(2-アミノメチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは併用して使用することができる。これらのシラン系カップリング剤は、あらかじめ無機フィラーの表面に吸着あるいは反応により固定化されていることが好ましく、さらに分散性を向上する観点から、予め有機溶剤に分散(スラリー化)して配合することがより好ましい。
カップリング剤としては、シラン系、チタネート系、アルミネート系およびジルコアルミネート系等のカップリング剤が使用できる。中でもシラン系カップリング剤が好ましい。かかるシラン系カップリング剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N-(2-アミノメチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができ、これらは単独で、あるいは併用して使用することができる。これらのシラン系カップリング剤は、あらかじめ無機フィラーの表面に吸着あるいは反応により固定化されていることが好ましく、さらに分散性を向上する観点から、予め有機溶剤に分散(スラリー化)して配合することがより好ましい。
前記フィラー充填層(A)におけるフィラーの含有率は、有機溶剤を除く全成分中に10~80質量%であり、30~70質量%であることが好ましい。このような範囲であれば、低熱膨張性を維持しつつ、ハレーションや靭性の悪化を低減することができる
(アルカリ溶解性樹脂)
アルカリ溶解性樹脂としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ水溶液で現像可能な樹脂であればよい。好ましくは、フェノール性水酸基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ溶解性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有していてもよい。例えば、従来からソルダーレジスト組成物として用いられている、カルボキシル基含有樹脂が挙げられる。カルボキシル基含有樹脂は、カルボキシル基含有感光性樹脂であってもよい。アルカリ溶解性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ溶解性樹脂としては、フェノール性水酸基、カルボキシル基のうち1種以上の官能基を含有し、アルカリ水溶液で現像可能な樹脂であればよい。好ましくは、フェノール性水酸基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物、フェノール性水酸基およびカルボキシル基を有する樹脂が挙げられる。アルカリ溶解性樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有していてもよい。例えば、従来からソルダーレジスト組成物として用いられている、カルボキシル基含有樹脂が挙げられる。カルボキシル基含有樹脂は、カルボキシル基含有感光性樹脂であってもよい。アルカリ溶解性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アルカリ溶解性樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキシド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(4)ジイソシアネートと、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂の(メタ)アクリレートもしくはその部分酸無水物変性物、カルボキシル基含有ジアルコール化合物およびジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(5)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の分子中に1つの水酸基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(6)上記(2)または(4)の樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物等、分子中に1つのイソシアネート基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(7)多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
(8)2官能エポキシ樹脂の水酸基をさらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有樹脂。
(9)多官能オキセタン樹脂にジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
(10)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(11)1分子中に複数のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(12)1分子中に複数のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、p-ヒドロキシフェネチルアルコール等の1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸等の不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水アジピン酸等の多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有樹脂。
(13)カルボキシル基および/又はフェノール性水酸基含有カルボン酸無水物と、カルボキシル基および/又はフェノール性水酸基含有アミンなどのアミン類との反応、および必要に応じてその他のカルボン酸無水物、アミン、イソシアネートとの反応によって得られるアルカリ溶解性ポリイミド樹脂。
(14)上記(1)~(13)等に記載のアルカリ溶解性樹脂にさらにグリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレート等の分子中に1つのエポキシ基と1つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるアルカリ溶解性樹脂。
上記アルカリ溶解性樹脂のうち、フィラー充填層(A)では、現像性、解像性の観点から(7)および(7)と(14)からなるアルカリ溶解性樹脂を用いることが好ましい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
なお、本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート、メタクリレート及びそれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
前記のようなアルカリ溶解性樹脂は、バックボーン・ポリマーの側鎖に多数のカルボキシル基等の親水性基を有するため、アルカリ水溶液による現像が可能になる。
また、前記カルボキシル基を有するアルカリ溶解性樹脂の酸価は、40~200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45~120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が上記の範囲内であると、アルカリ溶解性が良好で、アルカリ現像によるパターニングが容易となる。
また、前記カルボキシル基を有するアルカリ溶解性樹脂の酸価は、40~200mgKOH/gの範囲が適当であり、より好ましくは45~120mgKOH/gの範囲である。カルボキシル基含有樹脂の酸価が上記の範囲内であると、アルカリ溶解性が良好で、アルカリ現像によるパターニングが容易となる。
また、前記アルカリ溶解性樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、一般的に2,000~150,000、さらには5,000~100,000の範囲にあるものが好ましい。重量平均分子量が上記の範囲内であると、現像工程における現像速度とパターン部の耐現像性のバランスに優れる。
このようなアルカリ溶解性樹脂の含有率は、有機溶剤を除く前記フィラー充填層(A)の全成分中に、15~75質量%、好ましくは20~70質量%の範囲が適当である。アルカリ溶解性樹脂の含有率がこのような範囲にあれば、基材に対しての密着性が高く、靭性に優れた硬化膜を得ることができる。
(熱反応性化合物)
熱反応性化合物としては、環状(チオ)エーテル基などの熱硬化反応が可能な官能基を有する公知慣用の化合物が用いられる。特に、前記フィラー充填層(A)に含まれるアルカリ溶解性樹脂と熱硬化反応する化合物が好ましく、好適には、エポキシ樹脂が用いられる。熱反応性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱反応性化合物としては、環状(チオ)エーテル基などの熱硬化反応が可能な官能基を有する公知慣用の化合物が用いられる。特に、前記フィラー充填層(A)に含まれるアルカリ溶解性樹脂と熱硬化反応する化合物が好ましく、好適には、エポキシ樹脂が用いられる。熱反応性化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ブロム化エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型もしくはビフェノール型エポキシ樹脂またはそれらの混合物、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン基含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。
熱反応性化合物の含有率は、有機溶剤を除く前記フィラー充填層(A)の全成分中に好ましくは70質量%以下、より好ましくは5~60質量%である。熱反応性化合物の含有率が70質量%以下だと、現像液での未露光部分の現像残りが発生しにくい。
(ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物)
フィラー充填層(A)は、樹脂組成物の粘度調整、光硬化性の促進や現像性の向上の為に、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物を含有してもよい。そのような低分子量化合物の分子量としては例えば分子量1000以下である。
フィラー充填層(A)は、樹脂組成物の粘度調整、光硬化性の促進や現像性の向上の為に、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物を含有してもよい。そのような低分子量化合物の分子量としては例えば分子量1000以下である。
ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートモノマーが挙げられる。具体的な化合物としては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、メトキシテトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコールのジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス-ヒドロキシエチルイソシアヌレートなどの多価アルコールまたはこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物、もしくはε-カプロラクトン付加物などの多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、およびこれらのフェノール類のエチレンオキサイド付加物もしくはプロピレンオキサイド付加物などの多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどのグリシジルエーテルの多価アクリレート類;上記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオールなどのポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および上記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくとも何れか1種が挙げられる。ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物の含有率は、有機溶剤を除く前記フィラー充填層(A)の全成分中に好ましくは、0~50質量%、より好ましくは1~50質量%、さらに好ましくは、3~30質量%の割合である。この低分子量化合物の含有率が、1質量%以上の場合、光照射により耐現像性が得られやすくなり、解像性がさらに向上する。一方、50質量%以下の場合、硬化塗膜の柔軟性に優れる。
(光重合開始剤)
フィラー充填層(A)は、解像性の観点から、光重合開始剤を実質的に含まない。ここで、光重合開始剤を実質的に含まないとは、フィラー充填層(A)が単独層にて光重合性を有さないことであり、光重合性を損なわない範囲で少量含まれることは排除されない。例えば、保護層(B)に含まれる光重合開始剤がフィラー充填層(A)に移行する場合も考えられるが、そのような場合であっても、保護層(B)に含まれる光重合開始剤の濃度の50%以下であることが好ましい。
フィラー充填層(A)は、解像性の観点から、光重合開始剤を実質的に含まない。ここで、光重合開始剤を実質的に含まないとは、フィラー充填層(A)が単独層にて光重合性を有さないことであり、光重合性を損なわない範囲で少量含まれることは排除されない。例えば、保護層(B)に含まれる光重合開始剤がフィラー充填層(A)に移行する場合も考えられるが、そのような場合であっても、保護層(B)に含まれる光重合開始剤の濃度の50%以下であることが好ましい。
(重合禁止剤)
フィラー充填層(A)は、解像性の観点から、重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤としては、フェノチアジン、ヒドロキノン、N-フェニルナフチルアミン、クロラニール、ピロガロール、ベンゾキノン、t-ブチルカテコール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール、ナフトキノン、4-メトキシ-1-ナフトール、2-ヒドロキシ1,4-ナフトキノン、フェノール性水酸基を有するリン含有化合物、ニトロソアミン系化合物等が挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フィラー充填層(A)における重合禁止剤の含有率は、有機溶剤を除く前記フィラー充填層(A)の全成分中に5質量%以下である事が好ましい。
フィラー充填層(A)は、解像性の観点から、重合禁止剤を含有してもよい。
重合禁止剤としては、フェノチアジン、ヒドロキノン、N-フェニルナフチルアミン、クロラニール、ピロガロール、ベンゾキノン、t-ブチルカテコール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコール、ピロガロール、ナフトキノン、4-メトキシ-1-ナフトール、2-ヒドロキシ1,4-ナフトキノン、フェノール性水酸基を有するリン含有化合物、ニトロソアミン系化合物等が挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フィラー充填層(A)における重合禁止剤の含有率は、有機溶剤を除く前記フィラー充填層(A)の全成分中に5質量%以下である事が好ましい。
[保護層(B)]
保護層(B)は、上述したフィラー充填層(A)に対してフィラー含有率が少ない感光性硬化性樹脂組成物からなることが好ましく、さらにアルカリ溶解性樹脂、光重合開始剤、熱反応性化合物を含む感光性硬化性樹脂組成物からなることがより好ましい。
保護層(B)は、上述したフィラー充填層(A)に対してフィラー含有率が少ない感光性硬化性樹脂組成物からなることが好ましく、さらにアルカリ溶解性樹脂、光重合開始剤、熱反応性化合物を含む感光性硬化性樹脂組成物からなることがより好ましい。
(アルカリ溶解性樹脂)
アルカリ溶解性樹脂としては上述のアルカリ溶解性樹脂を用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、現像性、解像性の観点で(7)および(7)と(14)からなるアルカリ溶解性樹脂を用いることが好ましく、さらに、耐熱性や機械的特性の観点から、(13)および(13)と(14)からなるアルカリ溶解性のポリイミド樹脂を用いることがより好ましい。
アルカリ溶解性樹脂としては上述のアルカリ溶解性樹脂を用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、現像性、解像性の観点で(7)および(7)と(14)からなるアルカリ溶解性樹脂を用いることが好ましく、さらに、耐熱性や機械的特性の観点から、(13)および(13)と(14)からなるアルカリ溶解性のポリイミド樹脂を用いることがより好ましい。
アルカリ溶解性樹脂の含有率は、好ましくは、有機溶剤を除く前記保護層(B)の全成分中に15質量%~75質量%であり、さらに好ましくは20質量%~70質量%である。15質量%以上である場合、硬化塗膜の強靭性が向上する。また、75質量%以下である場合、現像工程にて表面に傷等のダメージが入りにくくなる。
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光重合開始剤としては、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される1種以上の光重合開始剤を好適に使用することができる。
光重合開始剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。光重合開始剤としては、オキシムエステル基を有するオキシムエステル系光重合開始剤、α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤からなる群から選択される1種以上の光重合開始剤を好適に使用することができる。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、市販品として、BASFジャパン社製のCGI-325、イルガキュアー OXE01、イルガキュアー OXE02、ADEKA社製N-1919、NCI-831などが挙げられる。また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることがでる。
このようなオキシムエステル系光重合開始剤の含有量は、前記アルカリ溶解性樹脂100質量部に対して、0.01~20質量部とすることが好ましい。0.01質量部以上であると、耐薬品性などの塗膜特性が良好となる。一方、20質量部以下であると、塗膜表面での光吸収が激しくなり過ぎず、深部硬化性が良好となる。より好ましくは、0.5~15質量部である。
α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤としては、具体的には2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパノン-1、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノンなどが挙げられる。市販品としては、IGM Resins社製のOmnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 379などが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、具体的には2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。市販品としては、BASF社製のルシリンTPO、IGM Resins社製のOmnirad 819などが挙げられる。
これらα-アミノアセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤の含有量は、前記アルカリ溶解性樹脂100質量部に対して、0.01~15質量部であることが好ましい。0.01質量部以上であると、同様に耐薬品性などの塗膜特性が良好となる。一方、15質量部以下であると、アウトガスが低減され、さらに塗膜表面での光吸収が激しくなり過ぎず、深部硬化性が良好となる。より好ましくは0.5~10質量部である。
ここで、用いる光重合開始剤は、後述する熱反応性化合物の重合反応の触媒として、光照射により塩基性物質を生成する光塩基発生剤を併用することができ、中でも上記オキシムエステル系光重合開始剤やα-アミノアセトフェノン系光重合開始剤は、光照射により光ラジカルのみならず、塩基性物質を生成することから好ましく、解像性に優れることから、オキシムエステル系光重合開始剤がより好ましい。
(熱反応性化合物)
熱反応性化合物としては上述の熱反応性化合物を用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、上記保護層(B)に含まれるアルカリ溶解性樹脂と熱硬化反応する化合物が好ましく、好適には、上述のエポキシ樹脂が用いられる。
熱反応性化合物としては上述の熱反応性化合物を用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、上記保護層(B)に含まれるアルカリ溶解性樹脂と熱硬化反応する化合物が好ましく、好適には、上述のエポキシ樹脂が用いられる。
熱反応性化合物の含有率は、好ましくは、有機溶剤を除く前記保護層(B)の全成分中に3~50質量%であり、さらに好ましくは5~40質量%である。3質量%以上である場合、塗膜の強靭性が得られ、50質量%以下である場合、良好な現像性を得ることが出来る。
(フィラー)
保護層(B)は、フィラーを含有してもよい。フィラーとしては上述のフィラーを用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、保護層(B)のフィラーは、上述したフィラー充填層(A)に用いたフィラーと同様の種類や形状を選択しても良く、異なる種類や形状のフィラーを用いても良い。
保護層(B)は、フィラーを含有してもよい。フィラーとしては上述のフィラーを用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、保護層(B)のフィラーは、上述したフィラー充填層(A)に用いたフィラーと同様の種類や形状を選択しても良く、異なる種類や形状のフィラーを用いても良い。
保護層(B)のフィラーの含有率は、フィラー充填層(A)に含まれるフィラーの含有率の25質量%以下であり、含有しなくてもよい。
また、保護層(B)のフィラーの含有率は、有機溶剤を除く前記保護層(B)中の全成分中に0~15質量%であることが好ましく、0~10質量%であることがより好ましく、0~5質量%であることがさらに好ましい。
(ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物)
保護層(B)は、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物を含有してもよい。ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物としては上述の低分子量化合物を用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
保護層(B)は、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物を含有してもよい。ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物としては上述の低分子量化合物を用いることができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
しかしながら、解像性の観点からは、分子量1000以下のラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する低分子量化合物の含有率は、少量または実質的に含有しないことが好ましく、例えば有機溶剤を除く前記保護層(B)中の全成分中に0~20質量%、好ましくは0~15質量%、より好ましくは0~10質量%、さらに好ましくは0~2質量%、特に好ましくは0質量%である。
(重合禁止剤)
保護層(B)は、解像性の観点から、上述の重合禁止剤を含有してもよい。
保護層(B)における重合禁止剤の含有率は、有機溶剤を除く前記保護層(B)の全成分中に5質量%以下であることが好ましい。
保護層(B)は、解像性の観点から、上述の重合禁止剤を含有してもよい。
保護層(B)における重合禁止剤の含有率は、有機溶剤を除く前記保護層(B)の全成分中に5質量%以下であることが好ましい。
[感光性積層樹脂構造体]
本発明の感光性積層樹脂構造体は、電子部品、特にプリント配線板の保護膜の形成に好ましく用いることができ、中でもソルダーレジスト層、フレキシブルプリント配線板のカバーレイ等の永久保護膜の形成に好ましく用いることができる。また、前記プリント配線板は特に限定されないが、本発明の感光性積層樹脂構造体は、低熱膨張でありながら、密着性、めっき耐性、クラック耐性および解像性に優れることから、パッケージ基板に好適に用いることができる。
本発明の感光性積層樹脂構造体は、電子部品、特にプリント配線板の保護膜の形成に好ましく用いることができ、中でもソルダーレジスト層、フレキシブルプリント配線板のカバーレイ等の永久保護膜の形成に好ましく用いることができる。また、前記プリント配線板は特に限定されないが、本発明の感光性積層樹脂構造体は、低熱膨張でありながら、密着性、めっき耐性、クラック耐性および解像性に優れることから、パッケージ基板に好適に用いることができる。
本発明の感光性積層樹脂構造体は、フィラー充填層(A)と保護層(B)とが積層していることが好ましい。
[ドライフィルム]
本発明のドライフィルムは、本発明の感光性積層樹脂構造体の少なくとも片面が、フィルムで支持または保護されてなることを特徴とするものである。好ましい態様の一つとしては、図1に示すような、保護フィルム14と、フィラー充填層(A)13と、保護層(B)12と、支持フィルム11とが、この順序に積層された4層構造のドライフィルム10である。尚、本発明のドライフィルムは、保護層(B)が表層側となるようにラミネートできればよく、ラミネートする際に剥離するフィルムは支持フィルムでも保護フィルムでもどちらでもよいことから、支持フィルム、フィラー充填層(A)、保護層(B)、保護フィルムの順序に積層されていてもよい。また、本発明のドライフィルムは、ロール状に巻き回されていてもよい。
本発明のドライフィルムは、本発明の感光性積層樹脂構造体の少なくとも片面が、フィルムで支持または保護されてなることを特徴とするものである。好ましい態様の一つとしては、図1に示すような、保護フィルム14と、フィラー充填層(A)13と、保護層(B)12と、支持フィルム11とが、この順序に積層された4層構造のドライフィルム10である。尚、本発明のドライフィルムは、保護層(B)が表層側となるようにラミネートできればよく、ラミネートする際に剥離するフィルムは支持フィルムでも保護フィルムでもどちらでもよいことから、支持フィルム、フィラー充填層(A)、保護層(B)、保護フィルムの順序に積層されていてもよい。また、本発明のドライフィルムは、ロール状に巻き回されていてもよい。
本発明のドライフィルムは、例えば以下のようにして製造できる。
すなわち、まず、支持フィルム(キャリアフィルム)上に、上記保護層(B)を構成する樹脂組成物およびフィラー充填層(A)を構成する樹脂組成物を、それぞれ有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、常法に従い、コンマコーター等の公知の手法で順次塗布する。その後、通常、50~140℃の温度で1~30分間乾燥することで、支持フィルム上に保護層(B)およびフィラー充填層(A)の塗膜を形成したドライフィルムを作製することができる。このドライフィルム上には、塗膜表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、剥離可能な保護フィルム(カバーフィルム)を積層することができる。支持フィルムおよび保護フィルムとしては、従来公知のプラスチックフィルムを適宜用いることができ、保護フィルムについては、保護フィルムを剥離するときに、樹脂層と支持フィルムとの接着力よりも接着力が小さいものであることが好ましい。支持フィルムおよび保護フィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。
すなわち、まず、支持フィルム(キャリアフィルム)上に、上記保護層(B)を構成する樹脂組成物およびフィラー充填層(A)を構成する樹脂組成物を、それぞれ有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、常法に従い、コンマコーター等の公知の手法で順次塗布する。その後、通常、50~140℃の温度で1~30分間乾燥することで、支持フィルム上に保護層(B)およびフィラー充填層(A)の塗膜を形成したドライフィルムを作製することができる。このドライフィルム上には、塗膜表面に塵が付着することを防ぐ等の目的で、さらに、剥離可能な保護フィルム(カバーフィルム)を積層することができる。支持フィルムおよび保護フィルムとしては、従来公知のプラスチックフィルムを適宜用いることができ、保護フィルムについては、保護フィルムを剥離するときに、樹脂層と支持フィルムとの接着力よりも接着力が小さいものであることが好ましい。支持フィルムおよび保護フィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。
[硬化物]
本発明の硬化物は、本発明の感光性積層樹脂構造体からなることを特徴とするものである。
本発明の硬化物は、本発明の感光性積層樹脂構造体からなることを特徴とするものである。
[電子部品]
本発明の電子部品は、本発明の硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明の電子部品は、本発明の硬化物を有することを特徴とするものである。
本発明の硬化物はめっき耐性、クラック耐性の観点から、本発明の電子部品においては、保護層(B)が最外層になるように硬化物が形成されていることが好ましい。
[電子部品の製造方法]
本発明の感光性積層樹脂構造体を用いた電子部品の製造方法として、プリント配線板の製造法の一例を、図2の工程図に示す手順に基づき説明する。すなわち、導体回路が形成されたプリント配線基板に本発明の感光性積層樹脂構造体を形成する工程(積層工程)、この感光性積層樹脂構造体に活性エネルギー線をパターン状に照射する工程(露光工程)、および、この感光性積層樹脂構造体をアルカリ現像して、パターン化された感光性積層樹脂構造体を一括形成する工程(現像工程)を含む製造方法である。また、必要に応じて、アルカリ現像後、さらなる光硬化や熱硬化(ポストキュア工程)を行い、感光性積層樹脂構造体を完全に硬化させて、信頼性の高いプリント配線板を得ることができる。さらに、必要に応じて、露光工程と現像工程の間に感光性積層樹脂構造体を加熱する工程(PEB工程)を入れて、現像工程により、パターン化された感光性積層樹脂構造体を一括形成してもよい。特に、保護層(B)においてアルカリ溶解性樹脂を用いた場合には、この手順を用いることが好ましい。さらに、保護層(B)が、光照射により塩基性物質を生成する化合物を含有する場合には、解像性の観点から、前記PEB工程を行うことが好ましい。
本発明の感光性積層樹脂構造体を用いた電子部品の製造方法として、プリント配線板の製造法の一例を、図2の工程図に示す手順に基づき説明する。すなわち、導体回路が形成されたプリント配線基板に本発明の感光性積層樹脂構造体を形成する工程(積層工程)、この感光性積層樹脂構造体に活性エネルギー線をパターン状に照射する工程(露光工程)、および、この感光性積層樹脂構造体をアルカリ現像して、パターン化された感光性積層樹脂構造体を一括形成する工程(現像工程)を含む製造方法である。また、必要に応じて、アルカリ現像後、さらなる光硬化や熱硬化(ポストキュア工程)を行い、感光性積層樹脂構造体を完全に硬化させて、信頼性の高いプリント配線板を得ることができる。さらに、必要に応じて、露光工程と現像工程の間に感光性積層樹脂構造体を加熱する工程(PEB工程)を入れて、現像工程により、パターン化された感光性積層樹脂構造体を一括形成してもよい。特に、保護層(B)においてアルカリ溶解性樹脂を用いた場合には、この手順を用いることが好ましい。さらに、保護層(B)が、光照射により塩基性物質を生成する化合物を含有する場合には、解像性の観点から、前記PEB工程を行うことが好ましい。
[積層工程]
この工程では、導体回路2が形成されたプリント配線基板1に、フィラー充填層(A)3および保護層(B)4を構成する樹脂組成物を、順次、基材上に塗布、乾燥することにより、フィラー充填層(A)3および保護層(B)4を直接形成するか、または、フィラー充填層(A)3および保護層(B)4を構成する樹脂組成物をそれぞれドライフィルムの形態にしたものを基材に順次にラミネートする方法により形成することができる。また、2層構造のドライフィルム形態にした積層構造体を、基材にラミネートする方法により形成してもよい。この場合、積層構造体の少なくとも片面を、フィルムで支持または保護することもできる。使用するフィルムとしては、積層構造体から剥離可能なプラスチックフィルムを用いることができる。フィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。塗膜強度の観点から、各層間の界面は、馴染んでいてもよい。ラミネーターとしては、市販の真空加熱加圧型ラミネーターなどを用いることができ、たとえば名機製作所社製真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン社製バキューム・アプリケーターなどを用いることができ、連続的に行うこともできる。また、積層工程は別々の装置を用いて行ってもよい。この場合は前述の真空ラミネーターのほか、ロールラミネーター、真空ロールラミネーターや真空プレスなどを使用して行うこともできる。真空プレスは市販されている通常の装置が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、クイックプレス、連続成形、オートクレーブ成形機等が使用できる。以上のラミネーター等の運転条件は、60~130℃で行うことができ、圧力0.1~0.7MPa、加熱加圧時間1~90秒、真空度10~10,000Pa、真空時間1~90秒の範囲で処理することができる。
この工程では、導体回路2が形成されたプリント配線基板1に、フィラー充填層(A)3および保護層(B)4を構成する樹脂組成物を、順次、基材上に塗布、乾燥することにより、フィラー充填層(A)3および保護層(B)4を直接形成するか、または、フィラー充填層(A)3および保護層(B)4を構成する樹脂組成物をそれぞれドライフィルムの形態にしたものを基材に順次にラミネートする方法により形成することができる。また、2層構造のドライフィルム形態にした積層構造体を、基材にラミネートする方法により形成してもよい。この場合、積層構造体の少なくとも片面を、フィルムで支持または保護することもできる。使用するフィルムとしては、積層構造体から剥離可能なプラスチックフィルムを用いることができる。フィルムの厚さについては特に制限はないが、一般に、10~150μmの範囲で適宜選択される。塗膜強度の観点から、各層間の界面は、馴染んでいてもよい。ラミネーターとしては、市販の真空加熱加圧型ラミネーターなどを用いることができ、たとえば名機製作所社製真空加圧式ラミネーター、ニチゴー・モートン社製バキューム・アプリケーターなどを用いることができ、連続的に行うこともできる。また、積層工程は別々の装置を用いて行ってもよい。この場合は前述の真空ラミネーターのほか、ロールラミネーター、真空ロールラミネーターや真空プレスなどを使用して行うこともできる。真空プレスは市販されている通常の装置が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、クイックプレス、連続成形、オートクレーブ成形機等が使用できる。以上のラミネーター等の運転条件は、60~130℃で行うことができ、圧力0.1~0.7MPa、加熱加圧時間1~90秒、真空度10~10,000Pa、真空時間1~90秒の範囲で処理することができる。
[露光工程]
この工程では、活性エネルギー線の照射により、保護層(B)4またはフィラー充填層(A)3に含まれる光重合開始剤をネガ型のパターン状に活性化させて、露光部を硬化する。露光機としては、直接描画装置、メタルハライドランプを搭載した露光機などを用いることができる。パターン状の露光用のマスクは、ネガ型のマスクである。
この工程では、活性エネルギー線の照射により、保護層(B)4またはフィラー充填層(A)3に含まれる光重合開始剤をネガ型のパターン状に活性化させて、露光部を硬化する。露光機としては、直接描画装置、メタルハライドランプを搭載した露光機などを用いることができる。パターン状の露光用のマスクは、ネガ型のマスクである。
露光に用いる活性エネルギー線としては、最大波長が350~450nmの範囲にあるレーザー光、散乱光または平行光を用いることが好ましい。最大波長をこの範囲とすることにより、効率よく光重合開始剤を活性化させることができる。また、その露光量は膜厚等によって異なるが、通常は、50~1500mJ/cm2とすることができる。
[現像工程]
この工程では、アルカリ現像により、未露光部を除去して、ネガ型のパターン状の保護膜、特には、カバーレイおよびソルダーレジストを形成する。現像方法としては、ディッピング等の公知の方法によることができる。また、現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アミン類、2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液、または、これらの混合液を用いることができる。
この工程では、アルカリ現像により、未露光部を除去して、ネガ型のパターン状の保護膜、特には、カバーレイおよびソルダーレジストを形成する。現像方法としては、ディッピング等の公知の方法によることができる。また、現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カリウム、アミン類、2-メチルイミダゾール等のイミダゾール類、水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液(TMAH)等のアルカリ水溶液、または、これらの混合液を用いることができる。
[ポストキュア工程]
なお、現像工程の後に、さらに、保護膜に光照射してもよく、また、例えば、150℃以上で加熱してもよい。加熱温度は、例えば、80~170℃であり、加熱時間は5~100分である。本発明における感光性積層樹脂構造体の硬化は、例えば、熱反応によるエポキシ樹脂の開環反応であるため、光ラジカル反応で硬化が進行する場合と比べてひずみや硬化収縮を抑えることができる。
なお、現像工程の後に、さらに、保護膜に光照射してもよく、また、例えば、150℃以上で加熱してもよい。加熱温度は、例えば、80~170℃であり、加熱時間は5~100分である。本発明における感光性積層樹脂構造体の硬化は、例えば、熱反応によるエポキシ樹脂の開環反応であるため、光ラジカル反応で硬化が進行する場合と比べてひずみや硬化収縮を抑えることができる。
なお、上記PEB工程として、露光工程と現像工程の間にドライフィルムの層を加熱することにより、露光部を硬化させてもよい。加熱温度は、例えば、70~140℃であり、加熱時間は、2~100分である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」とあるのは、特に断りのない限り全て質量基準である。
(アルカリ溶解性樹脂の合成例1)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、エピクロンN-695、エポキシ当量:220)220部を撹拌機及び還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート214部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0部を加えた。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を80~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106部を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出した。
このようにして得られたエチレン性不飽和結合及びカルボキシル基を併せ持つ感光性樹脂の樹脂溶液は、不揮発分65%、固形物の酸価100mgKOH/g、重量平均分子量Mw約3,500であった。
なお、得られた樹脂の重量平均分子量の測定は、島津製作所社製ポンプLC-804、KF-803、KF-802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC社製、エピクロンN-695、エポキシ当量:220)220部を撹拌機及び還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート214部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0部を加えた。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を80~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106部を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出した。
このようにして得られたエチレン性不飽和結合及びカルボキシル基を併せ持つ感光性樹脂の樹脂溶液は、不揮発分65%、固形物の酸価100mgKOH/g、重量平均分子量Mw約3,500であった。
なお、得られた樹脂の重量平均分子量の測定は、島津製作所社製ポンプLC-804、KF-803、KF-802を三本つないだ高速液体クロマトグラフィーにより測定した。
(アルカリ溶解性樹脂の合成例2)
窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の300mLフラスコに2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、「BAPP」という)6.98g、3,5-ジアミノ安息酸3.80g、ジェファーミンXTJ-542(ハンツマン社製、分子量1025.64)8.21g、およびγ‐ブチロラクトン86.49gを室温で仕込み溶解した。
次いで、シクロへキサン-1,2,4-トリカルボン酸‐1,2-無水物17.84gおよび無水トリメリット酸2.88gを仕込み、室温で30分間保持した。さらにトルエン30gを仕込み、160℃まで昇温して、トルエンと共に生成する水を除去した後、3時間保持し、室温まで冷却することでイミド化物溶液を得た。
得られたイミド化物溶液に、無水トリメリット酸9.61gおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート17.45gを仕込み、160℃の温度で32時間保持した。こうして、カルボキシル基を含有するポリアミドイミド樹脂を40.1%(不揮発分)含む樹脂溶液を得た。固形分酸価は83.1mgKOH/gであった。
窒素ガス導入管、温度計、撹拌機を備えた四口の300mLフラスコに2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、「BAPP」という)6.98g、3,5-ジアミノ安息酸3.80g、ジェファーミンXTJ-542(ハンツマン社製、分子量1025.64)8.21g、およびγ‐ブチロラクトン86.49gを室温で仕込み溶解した。
次いで、シクロへキサン-1,2,4-トリカルボン酸‐1,2-無水物17.84gおよび無水トリメリット酸2.88gを仕込み、室温で30分間保持した。さらにトルエン30gを仕込み、160℃まで昇温して、トルエンと共に生成する水を除去した後、3時間保持し、室温まで冷却することでイミド化物溶液を得た。
得られたイミド化物溶液に、無水トリメリット酸9.61gおよびトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート17.45gを仕込み、160℃の温度で32時間保持した。こうして、カルボキシル基を含有するポリアミドイミド樹脂を40.1%(不揮発分)含む樹脂溶液を得た。固形分酸価は83.1mgKOH/gであった。
(無機フィラーXのスラリー化)
球状シリカ粒子(アドマテックス社製SO-C2、平均粒径:500nm)50gと、溶剤としてPMA48gと、メタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-503)2gとを均一分散させ、メタクリルシラン処理されたシリカスラリー(シリカ成分50質量%)を得た。
球状シリカ粒子(アドマテックス社製SO-C2、平均粒径:500nm)50gと、溶剤としてPMA48gと、メタクリル基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-503)2gとを均一分散させ、メタクリルシラン処理されたシリカスラリー(シリカ成分50質量%)を得た。
(無機フィラーYのスラリー化)
球状シリカ粒子(アドマテックス社製SO-C2、平均粒径:500nm)50gと、溶剤としてPMA48gと、エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-403)2gとを均一分散させ、エポキシシラン処理されたシリカスラリー(シリカ成分50質量%)得た。
球状シリカ粒子(アドマテックス社製SO-C2、平均粒径:500nm)50gと、溶剤としてPMA48gと、エポキシ基を有するシランカップリング剤(信越化学工業社製KBM-403)2gとを均一分散させ、エポキシシラン処理されたシリカスラリー(シリカ成分50質量%)得た。
(無機フィラーZのスラリー化)
球状シリカ粒子(アドマテックス社製SO-C2、平均粒径:500nm)50gと、溶剤としてPMA48gと、分散剤(BYK-111)2gとを均一分散させ、表面処理なしのシリカスラリー(シリカ成分50質量%)を得た。
球状シリカ粒子(アドマテックス社製SO-C2、平均粒径:500nm)50gと、溶剤としてPMA48gと、分散剤(BYK-111)2gとを均一分散させ、表面処理なしのシリカスラリー(シリカ成分50質量%)を得た。
<樹脂組成物の調製>
下記表1記載の配合に従って、実施例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、表1に保護層(B)として示す組成の感光性樹脂組成物およびフィラー充填層(A)として示す組成のアルカリ溶解性樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りが無い限り、質量部であり、有機溶剤を除いた含有量である。
下記表1記載の配合に従って、実施例に記載の材料をそれぞれ配合、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて混練し、表1に保護層(B)として示す組成の感光性樹脂組成物およびフィラー充填層(A)として示す組成のアルカリ溶解性樹脂組成物を調製した。表中の値は、特に断りが無い限り、質量部であり、有機溶剤を除いた含有量である。
<感光性積層樹脂構造体を有するドライフィルムの作製>
上記により得られた各樹脂組成物を用いて次のように感光性積層樹脂構造体を作製した。まず、35μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)支持フィルム上に表1に保護層(B)として示す組成の感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して、保護層(B)を有するドライフィルムを作製した。次いで、前記保護層(B)上に表1にフィラー充填層(A)として示す組成のアルカリ溶解性樹脂組成物を塗布、乾燥してフィラー充填層(A)を有するドライフィルムを作製した。次いで、フィラー充填層(A)の表面に15μm厚の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートし、支持フィルム(PETフィルム)、保護層(B)、フィラー充填層(A)、保護フィルム(OPPフィルム)の4層から成るドライフィルムを作製した。ただし、比較例1については、支持フィルム、フィラー充填層(A)、保護フィルムの3層から成るドライフィルムを作製した。
上記により得られた各樹脂組成物を用いて次のように感光性積層樹脂構造体を作製した。まず、35μm厚のポリエチレンテレフタレート(PET)支持フィルム上に表1に保護層(B)として示す組成の感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して、保護層(B)を有するドライフィルムを作製した。次いで、前記保護層(B)上に表1にフィラー充填層(A)として示す組成のアルカリ溶解性樹脂組成物を塗布、乾燥してフィラー充填層(A)を有するドライフィルムを作製した。次いで、フィラー充填層(A)の表面に15μm厚の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをラミネートし、支持フィルム(PETフィルム)、保護層(B)、フィラー充填層(A)、保護フィルム(OPPフィルム)の4層から成るドライフィルムを作製した。ただし、比較例1については、支持フィルム、フィラー充填層(A)、保護フィルムの3層から成るドライフィルムを作製した。
*1:上記合成例1で得たエチレン性不飽和結合及びカルボキシル基を併せ持つ感光性樹脂の樹脂溶液
*2:上記合成例2で得たポリアミドイミド樹脂の樹脂溶液
*3:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)
*4:ビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂(DIC社製)
*5:テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製)
*6:オキシムエステル系光重合開始剤(BASF社製)
*7:メタクリルシラン処理されたシリカスラリー(表中はシリカの質量部として記載)
*8:エポキシシラン処理されたシリカスラリー(表中はシリカの質量部として記載)
*9:表面処理剤なしのシリカスラリー(表中はシリカの質量部として記載)
*2:上記合成例2で得たポリアミドイミド樹脂の樹脂溶液
*3:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)
*4:ビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂(DIC社製)
*5:テトラメチルビフェノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製)
*6:オキシムエステル系光重合開始剤(BASF社製)
*7:メタクリルシラン処理されたシリカスラリー(表中はシリカの質量部として記載)
*8:エポキシシラン処理されたシリカスラリー(表中はシリカの質量部として記載)
*9:表面処理剤なしのシリカスラリー(表中はシリカの質量部として記載)
上記で作製した実施例および比較例の各ドライフィルムを用いて、感光性積層樹脂構造体について、下記のように評価を行った。
(最適露光量)
銅厚15μmの回路が形成してある片面プリント配線基板を用意し、メック社製CZ8100を使用して前処理を行った。前記実施例及び比較例の各ドライフィルムにおけるフィラー充填層(A)に接する保護フィルムを剥離し、フィラー充填層(A)が基板に接するように、真空ラミネーターを用いて貼り合わせることにより、基板上に感光性積層樹脂構造体を形成した。この基板を高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いてステップタブレット(Kodak No.2)を介して露光し、露光後、100℃で30分間の加熱を行った後、保護層(B)に接するPETフィルムを剥離し、現像(30℃、0.2MPa、1wt%Na2CO3水溶液)を60秒で行った際に残存するステップタブレットのパターンが5段の時を最適露光量とした。
銅厚15μmの回路が形成してある片面プリント配線基板を用意し、メック社製CZ8100を使用して前処理を行った。前記実施例及び比較例の各ドライフィルムにおけるフィラー充填層(A)に接する保護フィルムを剥離し、フィラー充填層(A)が基板に接するように、真空ラミネーターを用いて貼り合わせることにより、基板上に感光性積層樹脂構造体を形成した。この基板を高圧水銀灯(ショートアークランプ)搭載の露光装置を用いてステップタブレット(Kodak No.2)を介して露光し、露光後、100℃で30分間の加熱を行った後、保護層(B)に接するPETフィルムを剥離し、現像(30℃、0.2MPa、1wt%Na2CO3水溶液)を60秒で行った際に残存するステップタブレットのパターンが5段の時を最適露光量とした。
(CTEの測定)
厚さ9μmの電解銅箔を用意し、前記各実施例及び比較例の各ドライフィルムにおけるフィラー充填層(A)に接する保護フィルムを剥離し、フィラー充填層(A)が前記電解銅箔の光沢面に接するように、真空ラミネーターを用いて貼り合わせることにより、電解銅箔上に感光性積層樹脂構造体を形成した。次いで、高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて上記最適露光量で感光性積層樹脂構造体を全面露光し、100℃で30分間のベークを行った後、保護層(B)に接するPETフィルムを剥離し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液によりスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、さらに、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm2の条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化した。その後、電解銅箔を、塩化第二銅340g/l、遊離塩酸濃度51.3g/lの組成のエッチング液を用いて銅箔をエッチング除去し、十分に水洗、乾燥して各感光性積層樹脂構造体からなる硬化フィルムを作製した。
上記各硬化フィルムについて、温度を-30℃から250℃まで変化させたときの平均線熱膨張係数を、TA Instruments社製TMA-Q400EMを用いて(サンプルの幅5mm、測定治具間隔15mm、荷重を膜厚(μm)×0.5g重として)測定した。
厚さ9μmの電解銅箔を用意し、前記各実施例及び比較例の各ドライフィルムにおけるフィラー充填層(A)に接する保護フィルムを剥離し、フィラー充填層(A)が前記電解銅箔の光沢面に接するように、真空ラミネーターを用いて貼り合わせることにより、電解銅箔上に感光性積層樹脂構造体を形成した。次いで、高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて上記最適露光量で感光性積層樹脂構造体を全面露光し、100℃で30分間のベークを行った後、保護層(B)に接するPETフィルムを剥離し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液によりスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、さらに、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm2の条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化した。その後、電解銅箔を、塩化第二銅340g/l、遊離塩酸濃度51.3g/lの組成のエッチング液を用いて銅箔をエッチング除去し、十分に水洗、乾燥して各感光性積層樹脂構造体からなる硬化フィルムを作製した。
上記各硬化フィルムについて、温度を-30℃から250℃まで変化させたときの平均線熱膨張係数を、TA Instruments社製TMA-Q400EMを用いて(サンプルの幅5mm、測定治具間隔15mm、荷重を膜厚(μm)×0.5g重として)測定した。
(解像性評価(最小開口径の評価))
銅厚15μmの回路が形成してある片面プリント配線基板を用意し、メック社製CZ8100を使用して前処理を行った。前記各実施例及び比較例の各ドライフィルムにおけるフィラー充填層(A)に接する保護フィルムを剥離し、フィラー充填層(A)が基板に接するように、真空ラミネーターを用いて貼り合わせることにより、基板上に感光性積層樹脂構造体を形成した。この基板に、解像性評価用ネガマスクとしてビア開口径500μm、300μm、150μm、100μm、80μmを有するネガパターンを介し、高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて上記最適露光量でパターン露光し、100℃で30分間のベークを行った後、保護層(B)に接するPETフィルムを剥離し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液によりスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、ソルダーレジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm2の条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化し、各感光性積層樹脂構造体からなる硬化物を備える試験片を作製した。
得られた各試験片において、パターン開口部をSEMにて観察し、最小開口径の評価を行った。
銅厚15μmの回路が形成してある片面プリント配線基板を用意し、メック社製CZ8100を使用して前処理を行った。前記各実施例及び比較例の各ドライフィルムにおけるフィラー充填層(A)に接する保護フィルムを剥離し、フィラー充填層(A)が基板に接するように、真空ラミネーターを用いて貼り合わせることにより、基板上に感光性積層樹脂構造体を形成した。この基板に、解像性評価用ネガマスクとしてビア開口径500μm、300μm、150μm、100μm、80μmを有するネガパターンを介し、高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて上記最適露光量でパターン露光し、100℃で30分間のベークを行った後、保護層(B)に接するPETフィルムを剥離し、30℃の1wt%炭酸ナトリウム水溶液によりスプレー圧0.2MPaの条件で60秒間現像を行い、ソルダーレジストパターンを得た。この基板を、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cm2の条件で紫外線照射した後、150℃で60分加熱して硬化し、各感光性積層樹脂構造体からなる硬化物を備える試験片を作製した。
得られた各試験片において、パターン開口部をSEMにて観察し、最小開口径の評価を行った。
(無電解金めっき耐性)
上記(解像性評価)に記載した各試験片にて、市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきし、テープピーリングにより、積層樹脂構造体の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングにより積層樹脂構造体の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:染み込み、剥がれが見られない。
△:めっき後に少し染み込みが確認されるが、テープピール後は剥がれない。
×:めっき後に剥がれがある。
上記(解像性評価)に記載した各試験片にて、市販品の無電解ニッケルめっき浴及び無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきし、テープピーリングにより、積層樹脂構造体の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を評価した後、テープピーリングにより積層樹脂構造体の剥がれの有無を評価した。判定基準は以下のとおりである。
○:染み込み、剥がれが見られない。
△:めっき後に少し染み込みが確認されるが、テープピール後は剥がれない。
×:めっき後に剥がれがある。
(密着性の評価)
上記(解像性評価)に記載した各試験片にて、試験片上の硬化物にカッターナイフで1mm間隔の碁盤目状の切込みを入れ、セロハンテープを貼り付けた後、セロハンテープを剥離し、試験片上の残存する硬化物の状態を以下の判定基準で評価した。
○:はがれが無い。
×:はがれの数が5カ所以上。
上記(解像性評価)に記載した各試験片にて、試験片上の硬化物にカッターナイフで1mm間隔の碁盤目状の切込みを入れ、セロハンテープを貼り付けた後、セロハンテープを剥離し、試験片上の残存する硬化物の状態を以下の判定基準で評価した。
○:はがれが無い。
×:はがれの数が5カ所以上。
(クラック耐性の評価)
2mmの銅ラインパターンが形成された基板を用意し、メック社製CZ8100を使用して前処理を行った。この基板上に、上記(解像性評価(最小開口径の評価))に記載の方法と同様に、前記各実施例及び比較例の各ドライフィルムを用いて感光性積層樹脂構造体を形成した。次いで、クラック耐性評価用ネガマスクとして3mm角のネガパターンを有するネガパターンを介して、前記基板の銅ライン上に3mm角の開口パターンが形成されるよう高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて上記最適露光量でパターン露光し、100℃で30分間のベークを行った後、保護層(B)に接するPETフィルムを剥離し、上記(解像性評価(最小開口径の評価))に記載の方法と同様の条件で、現像を行い、ソルダーレジストパターンを得た後、紫外線照射と加熱によって硬化し、各クラック耐性評価用基板を作製した。
この評価用基板を、-65℃30分と175℃30分の間で温度サイクルが行われる冷熱サイクル機に入れ、TCT(Thermal Cycle Test)を行った。そして、600サイクル時および1000サイクル時の外観をSEMにて観察し、クラックの発生を以下の判定基準にて評価した。
◎:1000サイクルで異常なし。
○:1000サイクルでクラック発生。
×:600サイクルでクラック発生。
2mmの銅ラインパターンが形成された基板を用意し、メック社製CZ8100を使用して前処理を行った。この基板上に、上記(解像性評価(最小開口径の評価))に記載の方法と同様に、前記各実施例及び比較例の各ドライフィルムを用いて感光性積層樹脂構造体を形成した。次いで、クラック耐性評価用ネガマスクとして3mm角のネガパターンを有するネガパターンを介して、前記基板の銅ライン上に3mm角の開口パターンが形成されるよう高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて上記最適露光量でパターン露光し、100℃で30分間のベークを行った後、保護層(B)に接するPETフィルムを剥離し、上記(解像性評価(最小開口径の評価))に記載の方法と同様の条件で、現像を行い、ソルダーレジストパターンを得た後、紫外線照射と加熱によって硬化し、各クラック耐性評価用基板を作製した。
この評価用基板を、-65℃30分と175℃30分の間で温度サイクルが行われる冷熱サイクル機に入れ、TCT(Thermal Cycle Test)を行った。そして、600サイクル時および1000サイクル時の外観をSEMにて観察し、クラックの発生を以下の判定基準にて評価した。
◎:1000サイクルで異常なし。
○:1000サイクルでクラック発生。
×:600サイクルでクラック発生。
(低反り性)
25μm厚のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトン100H)を用意し、前記各実施例及び比較例の各ドライフィルムにおけるフィラー充填層(A)に接する保護フィルムを剥離し、フィラー充填層(A)が前記ポリイミドフィルムの片面に接するように、真空ラミネーターを用いて貼り合わせることにより、ポリイミドフィルム上に感光性積層樹脂構造体を形成した。次いで、高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて上記最適露光量で感光性積層樹脂構造体を全面露光した後、100℃で30分間のベークを行った後、保護層(B)に接するPETフィルムを剥離し、上記(解像性評価(最小開口径の評価))に記載の方法と同様の条件で、現像を行い、紫外線照射と加熱によって硬化し、低反り性評価用のサンプルを作製した。
上記低反り性評価用のサンプルを50mm×50mmに切り出し、水平な台に静置し、4角の反りの高さを測定して平均値を求め、以下の基準で評価した。
○:反りが4mm未満であるもの。
△:反りが4mm以上、8mm未満であるもの。
×:反りが8mm以上であるもの。
25μm厚のポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製カプトン100H)を用意し、前記各実施例及び比較例の各ドライフィルムにおけるフィラー充填層(A)に接する保護フィルムを剥離し、フィラー充填層(A)が前記ポリイミドフィルムの片面に接するように、真空ラミネーターを用いて貼り合わせることにより、ポリイミドフィルム上に感光性積層樹脂構造体を形成した。次いで、高圧水銀灯を搭載した露光装置を用いて上記最適露光量で感光性積層樹脂構造体を全面露光した後、100℃で30分間のベークを行った後、保護層(B)に接するPETフィルムを剥離し、上記(解像性評価(最小開口径の評価))に記載の方法と同様の条件で、現像を行い、紫外線照射と加熱によって硬化し、低反り性評価用のサンプルを作製した。
上記低反り性評価用のサンプルを50mm×50mmに切り出し、水平な台に静置し、4角の反りの高さを測定して平均値を求め、以下の基準で評価した。
○:反りが4mm未満であるもの。
△:反りが4mm以上、8mm未満であるもの。
×:反りが8mm以上であるもの。
上記表中に示す評価結果から明らかなように、実施例1~9の感光性積層樹脂構造体は低CTEを有しながら、密着性、めっき耐性、解像性も良好でクラック耐性にも優れていることが分かる。
1 プリント配線基板
2 導体回路
3 フィラー充填層(A)
4 保護層(B)
5 マスク
10 ドライフィルム
11 支持フィルム
12 保護層(B)
13 フィラー充填層(A)
14 保護フィルム
2 導体回路
3 フィラー充填層(A)
4 保護層(B)
5 マスク
10 ドライフィルム
11 支持フィルム
12 保護層(B)
13 フィラー充填層(A)
14 保護フィルム
Claims (5)
- フィラー充填層(A)と、保護層(B)とを有する感光性積層樹脂構造体であって、
前記フィラー充填層(A)は、光重合開始剤を実質的に含まず、かつフィラー含有率が有機溶剤を除く全成分中に10~80質量%であり、
前記保護層(B)は、フィラー含有率が、前記フィラー充填層(A)のフィラー含有率に対して0~25質量%であることを特徴とする感光性積層樹脂構造体。 - 前記フィラー充填層(A)の層厚が前記保護層(B)の層厚よりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の感光性積層樹脂構造体。
- 請求項1または2に記載の感光性積層樹脂構造体の少なくとも片面が、フィルムで支持または保護されてなることを特徴とするドライフィルム。
- 請求項1または2に記載の感光性積層樹脂構造体、または、請求項3に記載のドライフィルムの感光性積層樹脂構造体からなることを特徴とする硬化物。
- 請求項4記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
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