JP2023151272A - 感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、プリント配線板 - Google Patents

感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、プリント配線板 Download PDF

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Nobuyuki Yanagida
花菜 森
Kana Mori
匠 松野
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Abstract

【課題】一液型の感光性樹脂組成物であって、これをドライフィルムの樹脂層として用いた場合に室温保存安定性およびラミネート性が良好であり、かつ、当該感光性樹脂組成物を130℃と比較的低温で硬化した場合であっても、良好なはんだ耐熱性、金めっき耐性、絶縁信頼性を有する硬化物を与える、感光性樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、(D)無機フィラーと、を含有する感光性樹脂組成物であって、当該感光性樹脂組成物からなる塗膜中の塩化物イオン含有量が200ppm以下である感光性樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、ドライフィルム、硬化物、および、プリント配線板に関する。
ソルダーレジストは、プリント配線板や半導体パッケージ用基板の表層部分に使用され、基板上に形成された回路パターンを、熱、湿気等の外部からのストレスや衝撃から保護する役割を果たす。
ドライフィルム型のソルダーレジストを用いることで、ごみ、塵埃の影響を受けにくくし、膜表面が平滑で均一な膜厚のソルダーレジストを形成することが容易になる。このため、ドライフィルム型のソルダーレジストが広く使われるようになっている。他方で、一般に、2液型の液状ソルダーレジストに比べて、ドライフィルム型のソルダーレジストは保存安定性が悪く、保存条件が制約されることも多い。
とりわけドライフィルムの樹脂層には、はんだ耐熱性等を向上させるため、熱硬化性成分として2つ以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂を含有させることがある。
しかしながら、多官能エポキシ樹脂の反応性は高く、ドライフィルムの樹脂層に多官能エポキシ樹脂が含まれていると、ドライフィルムの室温保存安定性が低下し、シェルフライフ(保存寿命)が短くなるというデメリットも存在する。そしてドライフィルムを0℃以下で保存する必要があると、輸送や保管の際に手間がかかるといった問題が生じうる。
またドライフィルムの樹脂層の硬化温度を下げるために熱硬化触媒が用いられることがある。樹脂層の硬化温度が高いと熱硬化時に使用する電力量が大きくなり、環境負荷が大きくなるというデメリットがある。その一方で、樹脂層の硬化温度を低くすることで、耐熱性の低い有機系の素材が用いられている電子部品に対してもソルダーレジストの層を好適に形成することができる。
しかしながら、ドライフィルムの樹脂層にエポキシ樹脂と熱硬化触媒とを共に含ませた場合に、室温で硬化反応が少しずつ進行し、樹脂層の粘度が徐々に上昇してしまう等の問題が指摘されている(例えば、特許文献1)。
このため、ドライフィルムの樹脂層において、硬化温度を低くすることと、保存安定性を良好なものにすることとの両立を図ることは難しい課題であった。
さらにドライフィルムを硬化して得られる硬化物中の塩化物イオン含有量が多いと、高温高湿条件下で金属の腐食が誘発されたり、接触不良を引き起こしたり等と硬化物の絶縁信頼性に悪影響を及ぼす可能性がある。加えて、ハロゲンを含む回路基板や電子製品等は、廃品処理等の際に不完全燃焼させると、ダイオキシンやフラノース化合物、および、酸性または腐食性ガスを含む副生成物が生じ、環境や人の健康を害する可能性がある。このため、ドライフィルムの樹脂層中の塩化物イオン含有量を制御する必要がある。
これに対し、従来から、エポキシ樹脂にはエピクロロヒドリン由来の塩化物イオンが含まれていることが知られている。しかし、ドライフィルムの樹脂層中のエポキシ樹脂の含有量を低減することで塩化物イオン含有量を低減させた場合に、硬化物のはんだ耐熱性が悪くなる等のデメリットも生じるため、両者のバランスを図ることが難しかった。特許文献2では、塩素含有量が500ppm以下であるエポキシ樹脂を含有する、感光性樹脂組成物に関する発明が記載されている。
特開2020-13107号公報 特開2017-54148号公報
上記事情に鑑み、本発明は、一液型の感光性樹脂組成物であって、これをドライフィルムの樹脂層として用いた場合に室温保存安定性およびラミネート性が良好であり、かつ、当該感光性樹脂組成物を130℃と比較的低温で硬化した場合であっても、良好なはんだ耐熱性、金めっき耐性、絶縁信頼性を有する硬化物を与える、感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、(B)光重合性モノマーと、(C)光重合開始剤と、(D)無機フィラーと、を含有する感光性樹脂組成物であって、当該感光性樹脂組成物からなる塗膜中の塩化物イオン含有量が200ppm以下である感光性樹脂組成物は、これをドライフィルムの樹脂層として用いた場合に室温保存安定性およびラミネート性が良好で、また130℃で硬化した場合に良好なはんだ耐熱性、金めっき耐性および絶縁信頼性を有する硬化物を与えることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の態様による感光性樹脂組成物において、当該感光性樹脂組成物からなる塗膜中の塩化物イオン含有量を200ppm以下にすることで、これを硬化させて得られる硬化物の絶縁信頼性を良好なものとすることができる。
本発明の態様による感光性樹脂組成物において、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物を出発原料とするカルボキシル基含有感光性樹脂を使用することが好ましい。
本発明の態様による感光性樹脂組成物において、(D)無機フィラーとしては、硫酸バリウム、ハイドロタルサイト、タルクからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また(D)無機フィラーの含有量としては、感光性樹脂組成物の固形分を100質量部とした場合に、(D)無機フィラーを25~75質量部含有することが好ましい。
本発明の態様による感光性樹脂組成物は、エポキシ樹脂を実質的に含まないことが好ましい。
本発明の態様による感光性樹脂組成物は、さらに重合禁止剤を含んでいてもよい。
本発明の別の態様によるドライフィルムは、上記感光性樹脂組成物の乾燥塗膜からなる樹脂層を有することを特徴とする。
また本発明の別の態様による硬化物は、上記感光性樹脂組成物または上記ドライフィルムの樹脂層を硬化させて得られる硬化物であることを特徴とする。
さらに本発明の別の態様によるプリント配線板は、上記硬化物を有することを特徴とするプリント配線板である。
本発明によれば、室温保存安定性およびラミネート性が良好な一液型の感光性樹脂組成物であって、かつ、当該感光性樹脂組成物を130℃と比較的低温で硬化した場合であっても、良好なはんだ耐熱性、金めっき耐性、絶縁信頼性を有する硬化物を与える感光性樹脂組成物を提供することができる。本発明の感光性樹脂組成物は、ドライフィルムの樹脂層として好適に用いることができ、これを硬化させて得られる硬化物はプリント配線板のソルダーレジストやカバーレイとしても有用である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」、「メタクリレート」およびこれらの混合物を総称する用語で、他の類似の表現についても同様である。
[1.感光性樹脂組成物]
本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物は、(A)カルボキシル基含有感光性樹脂、(B)光重合性モノマー、(C)光重合開始剤および(D)無機フィラーを含有する。
[1-1.(A)カルボキシル基含有感光性樹脂]
本実施形態で使用する(A)カルボキシル基含有感光性樹脂としては、分子中にカルボキシル基および感光性のエチレン性不飽和二重結合をそれぞれ1個以上有する樹脂であればよく、公知慣用のものを使用できる。(A)カルボキシル基含有感光性樹脂を、感光性樹脂組成物に含有させることにより、当該感光性樹脂組成物により形成された塗膜をアルカリ現像してパターン形成することが容易になる。
カルボキシル基含有感光性樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)2官能またはそれ以上の多官能(固形)エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を反応させ、側鎖に存在する水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(2)2官能(固形)エポキシ樹脂の水酸基を、さらにエピクロロヒドリンでエポキシ化した多官能エポキシ樹脂に、(メタ)アクリル酸を反応させ、生じた水酸基に2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(3)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物に、1分子中に少なくとも1個のアルコール性水酸基と1個のフェノール性水酸基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸などの不飽和基含有モノカルボン酸とを反応させ、得られた反応生成物のアルコール性水酸基に対して、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、アジピン酸などの多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(4)ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック型フェノール樹脂、ポリ-p-ヒドロキシスチレン、ナフトールとアルデヒド類の縮合物、ジヒドロキシナフタレンとアルデヒド類との縮合物などの1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物と、エチレンオキシド、プロピレンオキシドなどのアルキレンオキシドとを反応させて得られる反応生成物に、(メタ)アクリル酸などの不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(5)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物とエチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどの環状カーボネート化合物とを反応させて得られる反応生成物に、不飽和基含有モノカルボン酸を反応させ、得られる反応生成物に多塩基酸無水物を反応させて得られるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(6)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物と、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレンオキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物などのジオール化合物の重付加反応によるウレタン樹脂の末端に、酸無水物を反応させてなる末端カルボキシル基含有ウレタン樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(7)ジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロール酪酸などのカルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどの分子中に1個の水酸基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(8)ジイソシアネートと、カルボキシル基含有ジアルコール化合物と、ジオール化合物との重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂の合成中に、イソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの等モル反応物など、分子中に1個のイソシアネート基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を加え、末端(メタ)アクリル化したカルボキシル基含有感光性ウレタン樹脂。
(9)(メタ)アクリル酸などの不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレンなどの不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(10)多官能オキセタン樹脂に、アジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸などのジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に、2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂に、さらにグリシジル(メタ)アクリレート、α-メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどの1分子中に1個のエポキシ基と1個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加してなるカルボキシル基含有感光性樹脂。
(11)上述した(1)~(5)、(7)、(8)、(10)のいずれかのカルボキシル基含有感光性樹脂に、1分子中に環状エーテル基と(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加させたカルボキシル基含有感光性樹脂。
(A)カルボキシル基含有感光性樹脂は、上記に列挙したものに限定されず使用することができ、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本実施形態に係る感光性樹脂組成物に含有させるカルボキシル基含有感光性樹脂としては、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物のHAST耐性およびPCT耐性を良好なものにするという観点から、上記(4)および(5)のような、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物を出発原料とするカルボキシル基含有感光性樹脂を使用することが好ましい。
カルボキシル基含有感光性樹脂の酸価としては、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性を良好なものにするという観点から、20~180mgKOH/gであることが好ましく、30~150mgKOH/gであることがより好ましく、40~120mgKOH/gであることがさらに好ましい。
カルボキシル基含有感光性樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、膜形成能の観点から、1500~100000であることが好ましく、1500~30000であることがより好ましく、1500~20000であることがさらに好ましい。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
感光性樹脂組成物中のカルボキシル基含有感光性樹脂の含有量としては、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量部に対して、10~70質量部であることが好ましく、10~60質量部であることがより好ましく、20~50質量部であることがさらに好ましい。
[1-2.(B)光重合性モノマー]
本実施形態で使用する(B)光重合性モノマーは、分子中にエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーであればよく、公知慣用のものを使用することができる。
光重合性モノマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、カーボネート(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
具体的には、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のアルキルアクリレート類;2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のアルキレンオキサイド誘導体のモノまたはジアクリレート類;N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピルアクリレート等のアミノアルキルアクリレート類;ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、トリスヒドロキシエチルイソシアヌレート等の多価アルコールまたはこれらのアルキレンオキサイド付加物あるいはε-カプロラクトン付加物等の多価アクリレート類;フェノキシアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート等のフェノール類またはこれらのアルキレンオキサイド付加物等の多価アクリレート類;グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等のグリシジルエーテルのアクリレート類;前記に限らず、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートジオール、水酸基末端ポリブタジエン、ポリエステルポリオール等のポリオールを直接アクリレート化、もしくは、ジイソシアネートを介してウレタンアクリレート化したアクリレート類およびメラミンアクリレート、および前記アクリレートに対応する各メタクリレート類の少なくともいずれか1種から適宜選択して用いることができる。このような光重合性モノマーは、反応性希釈剤としても用いることができる。
光重合性モノマーは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。光重合性モノマーの配合量は、カルボキシル基含有感光性樹脂100質量部に対して、好ましくは10~40質量部の割合である。配合量が、10質量部以上の場合、光硬化性が良好であり、活性エネルギー線照射後のアルカリ現像において、パターン形成がしやすい。一方、40質量部以下の場合、コンタクト露光におけるネガフィルムへの張り付きが抑制され、またハレーションが生じにくく良好な解像性が得られる。
[1-3.(C)光重合開始剤]
本実施形態で使用する(C)光重合開始剤は、特に限定されず、公知慣用のものを使用することができる。光重合開始剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルフォリニル)フェニル]-1-ブタノン、N,N-ジメチルアミノアセトフェノン等のα-アミノアセトフェノン系光重合開始剤:1-ヒドロキシ-シクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のヒドロキシアセトフェノン系光重合開始剤;ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンジル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインn-プロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn-ブチルエーテル等のベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾインアルキルエーテル系光重合開始剤;ベンゾフェノン、p-メチルベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;アセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,2-ジエトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1,1-ジクロロアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパノン等のアセトフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;アントラキノン、クロロアントラキノン、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-tert-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2-アミルアントラキノン、2-アミノアントラキノン等のアントラキノン系光重合開始剤;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール系光重合開始剤;エチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、2-(ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、p-ジメチル安息香酸エチルエステル等の安息香酸エステル系光重合開始剤;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤;ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム、ビス(シクロペンタジエニル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(2-(1-ピル-1-イル)エチル)フェニル]チタニウム等のチタノセン系光重合開始剤;等を挙げることができる。
α-アミノアセトフェノン系光重合開始剤の市販品としては、例えば、IGM Resins社製のOmnirad 907、369、369E、379等が挙げられる。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、例えば、IGM Resins社製のOmnirad 819等が挙げられる。
チタノセン系光重合開始剤の市販品としては、例えば、Yueyang Kimoutain Sci-tech Co.,Ltd.製のJMT-784等が挙げられる。
オキシムエステル系光重合開始剤を除く光重合開始剤の配合量は、感光性樹脂組成物100質量部に対して、1~10質量部であることが好ましい。1質量部以上の場合、感光性樹脂組成物の光硬化性が良好となり、被膜が剥離しにくく、耐薬品性等の被膜特性も良好となる。一方、10質量部以下の場合、アウトガスの低減効果が得られ、さらにソルダーレジスト塗膜表面での光吸収が良好となり、深部硬化性が低下しにくい。より好ましくは5~10質量部である。またオキシムエステル系光重合開始剤の配合量は、感光性樹脂組成物100質量部に対して、0.1~5質量部とすることが好ましい。0.1質量部以上の場合、感光性樹脂組成物の光硬化性が良好となり、耐熱性、耐薬品性等の被膜特性も良好となる。一方、5質量部以下の場合、ソルダーレジスト被膜の光吸収が良好となり、深部硬化性が低下しにくい。より好ましくは、0.5~3質量部である。
[1-4.(D)無機フィラー]
本実施形態で使用する(D)無機フィラーは、特に限定されず、公知慣用のものを使用することができる。これらの無機フィラーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
無機フィラーとしては、例えば、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、タルク、シリカ、カオリン、モンモリロイド、モンモリロナイト、合成マイカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウム、酸化アンチモン、酸化チタン、酸化セリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸リチウム、金、アルミニウム、銅、ニッケル等が挙げられる。
無機フィラーの形状については、特に限定されず、例えば、球状、繊維状、板状、不定形、バルーン状等が挙げられる。また無機フィラーの平均粒径については、特に限定されず、例えば0.01~3.0μmのものを使用することができる。さらに無機フィラーには、必要に応じて、表面に絶縁処理、高分散性処理等の各種表面処理を施してもよい。
本実施形態で使用する無機フィラーとしては、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物のレベラー処理や金めっき処理後の密着性を改善するという観点から、硫酸バリウム、ハイドロタルサイト、タルクからなる群から選択される1種であることが好ましい。
無機フィラーの配合量としては、感光性樹脂組成物中において固形分換算で、20~80質量%であることが好ましく、25~75質量%であることがより好ましく、30~70質量%であることがさらに好ましい。
[1-5.感光性樹脂組成物からなる塗膜中の塩化物イオン含有量]
本実施形態に係る感光性樹脂組成物からなる塗膜は、塩素含有量が低減されている。感光性樹脂組成物からなる塗膜中の塩化物イオン含有量を低減する方法としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂中に含まれる塩化物イオンを、陰イオン交換樹脂等を用いて一部又は全部除去し塩化物イオン含有量の低減を図る方法、また感光性樹脂組成物中のエポキシ樹脂の配合量を少なくする方法等が挙げられる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物からなる塗膜中の塩化物イオン含有量は、感光性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物の絶縁信頼性を良好なものにするという観点から、感光性樹脂組成物からなる塗膜に対して250ppm以下であることが好ましく、200ppm以下であることがより好ましく、150ppm以下であることがさらに好ましい。
感光性樹脂組成物からなる塗膜中の塩化物イオン含有量は、具体的には、以下の手順に従って測定することができる。
先ず、各感光性樹脂組成物を厚さ50μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製 E-5041)上にアプリケーターを用いて塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させ、膜厚20μmとなるようにドライフィルムを作製した。次いで、ドライフィルムを重ね合わせ300μmの樹脂層を形成した後、切り出し0.25gの測定試料を得た。
感光性樹脂組成物を前処理として、三菱ケミカル株式会社製 試料燃焼装置:QF-02型を用いて、下記条件に従い、石英管燃焼法で各測定試料に燃焼処理を行い、そのガス成分を吸収液(例えば、過酸化水素水等)に吸収させ、燃焼後、25mlにメスアップする。
1.燃焼条件
(1)昇温条件(昇温部)
室温->(5℃/min)->200℃->(10℃/min)->500℃->(5℃
/min)->900℃ 5min保持
(2)燃焼条件(燃焼部)
注入口(インレット):850℃、排出口(アウトレット):900℃
(3)燃焼時間 40min(合計)
2.ガス条件(全て装置本体の流量計による指示値)
(1)酸素SUB 100ml/min
(2)酸素MAIN 200ml/min
(3)アルゴン/酸素 100ml/min(700℃で切り替え)
(4)トータル流量 400ml/min
3.燃焼時ガス条件
(1)700℃まで:アルゴン、酸素
(2)700℃から900℃まで:酸素のみ
4.吸収液 0.3%過酸化水素水15ml(燃焼処理後、25mlにメスアップ)
得られた吸収液について下記条件に従い、Thermo Fisher Scientific株式会社製のイオンクロマトグラフシステムThermo Scientific Dionex ICS-1500、Thermo Scientific Dionex AERS 300サプレッサーおよびDionex IonPac AS12Aカラムを用いたイオンクロマトグラフ法により吸収液中のイオン量を定量することができる。
溶離液:2.7mM NaCO/0.3mM NaHCO
流量:1ml/min
注入量:25μl
[1-6.感光性樹脂組成物の任意成分]
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、非感光性のカルボキシル基含有樹脂、熱硬化性化合物、重合禁止剤、着色剤、消泡レベリング剤、その他の添加成分等を含んでいてもよい。
<非感光性のカルボキシル基含有樹脂>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、カルボキシル基含有感光性樹脂に加えて、非感光性のカルボキシル基含有樹脂が含まれていてもよい。本実施形態で使用できる非感光性のカルボキシル基含有樹脂としては、特に限定されず、分子中にカルボキシル基を1個以上有し、かつ、感光性のエチレン性不飽和二重結合を有しない樹脂であればよく、公知慣用のものを使用できる。非感光性のカルボキシル基含有樹脂を、感光性樹脂組成物に含有させることにより、当該感光性樹脂組成物により形成された塗膜をアルカリ現像してパターン形成することが容易になる。
非感光性のカルボキシル基含有樹脂の具体例としては、以下に列挙するような化合物(オリゴマーおよびポリマーのいずれでもよい)が挙げられる。
(1)(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸と、スチレン、α-メチルスチレン、低級アルキル(メタ)アクリレート、イソブチレン等の不飽和基含有化合物との共重合により得られるカルボキシル基含有樹脂。
(2)脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等のジイソシアネートと、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ジアルコール化合物およびポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、アクリル系ポリオール、ビスフェノールA系アルキレン オキサイド付加体ジオール、フェノール性ヒドロキシル基およびアルコール性ヒドロキシル基を有する化合物等のジオール化合物の重付加反応によるカルボキシル基含有ウレタン樹脂。
(3)2官能オキセタン樹脂にアジピン酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のジカルボン酸を反応させ、生じた1級の水酸基に無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の2塩基酸無水物を付加させたカルボキシル基含有ポリエステル樹脂。
非感光性のカルボキシル基含樹脂は、上記に列挙したものに限定されず使用することができ、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
非感光性のカルボキシル基含有樹脂の酸価としては、感光性樹脂組成物のアルカリ現像性を良好なものにするという観点から、20~180mgKOH/gであることが好ましく、30~150mgKOH/gであることがより好ましく、40~120mgKOH/gであることがさらに好ましい。
非感光性のカルボキシル基含有樹脂の重量平均分子量は、樹脂骨格により異なるが、膜形成能の観点から、1500~100000であることが好ましく、1500~30000であることがより好ましく、1500~20000であることがさらに好ましい。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
感光性樹脂組成物における非感光性のカルボキシル基含有樹脂の配合量は、特に限定されず、カルボキシル基含有感光性樹脂の配合量等に応じて適宜設定でき、感光性樹脂組成物の固形分総量100質量部に対して、0~40質量部であることが好ましく、5~30質量部であることがより好ましい。
<熱硬化性化合物>
本実施形態で使用できる熱硬化性化合物としては、特に限定されず、公知慣用のものを用いればよく、例えば、エポキシ樹脂、トリアジン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
熱硬化性化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
エポキシ樹脂としては、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有する樹脂であれば特に制限なく使用することができる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAP型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールG型エポキシ樹脂、ビスフェノールM型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(ヘキサンジオールビスフェノールSジグリシジルエーテル等)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂、ビスフェノールPH型エポキシ樹脂、ビスフェノールTMC型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂(ビキシレノールジグリシジルエーテル等)、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂(水添ビスフェノールAグリシジルエーテル等)、及びこれらの樹脂の二塩基酸変性ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などが挙げられる。エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
またエポキシ樹脂としては、ドライフィルム表面の割れおよびひびの発生を抑制しやすいという観点から、25℃で液状のエポキシ樹脂(液状エポキシ樹脂)を使用してもよい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、ビスフェノールAD型のグリシジルエーテル、ビスフェノールS型のグリシジルエーテル、ビスフェノールF型のグリシジルエーテル、水添加ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、エチレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、プロピレンオキシド付加体ビスフェノールA型のグリシジルエーテル、ナフタレン樹脂のグリシジルエーテル、3官能型又は4官能型のグリシジルアミン等が挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物はエポキシ樹脂を実質的に含まないことが好ましい。本明細書において、実質的に含まないとは配合されないこと、またはエポキシ樹脂が配合されている場合には、カルボキシル基含有樹脂(カルボキシル基含有感光性樹脂および非感光性のカルボキシル基含有樹脂)中のカルボキシル基のモル数に対するエポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数(エポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数/カルボキシ基含有樹脂中のカルボキシル基のモル数)が0.50以下であることをいう。エポキシ樹脂が配合されている場合のカルボキシル基含有樹脂中のカルボキシル基のモル数に対するエポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数の比は、エポキシ樹脂中のエポキシ基はカルボキシル基の存在下で熱硬化反応が徐々に進行するため、これを抑制するという観点から、0.30以下であることがさらに好ましい。
<重合禁止剤>
本実施形態で使用する重合禁止剤としては、特に限定されず、例えば、ナフタレン誘導体、ナフトキノンとその誘導体を用いることができる。重合禁止剤を感光性樹脂組成物に含有させることにより、光照射によるハレーションの発生を抑制し、感光性樹脂組成物の表面硬化の速度を抑えて厚さ方向に均一な硬化膜を得ることができる。
ナフタレン誘導体としては、例えば、1,4-ジヒドロキシ-2-ナフタレンスルホン酸アンモニウム、4-メトキシ-1-ナフトール等を用いることができる。ナフトキノンとその誘導体としては、例えば、1,4-ナフトキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、アントロン等を用いることができる。
ナフタレン誘導体の市販品としては、例えば、エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル株式会社製のキノパワーWSI、4-メトキシ-1-ナフトール(キノパワーQS-30)、富士フィルム和光純薬株式会社製の4-メトキシ-1-ナフトール等が挙げられる。
またナフトキノンとその誘導体の市販品としては、例えば、エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル株式会社製のキノパワーNQI、キノパワーLSN、キノパワーATR、東京化成工業株式会社製の1,4-ナフトキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、アントロン等が挙げられる。
感光性樹脂組成物における重合禁止剤の配合量は、特に限定されず、固形分換算で、感光性樹脂組成物100質量部に対して、0.01~1.0質量部とすることができる。
<着色剤>
本実施形態に使用する着色剤としては、特に限定されず、赤、青、緑、黄等の公知慣用の着色剤を使用することができ、有機顔料、染料、色素のいずれでもよい。但し、環境負荷低減並びに人体への影響の観点からハロゲンを含有しないことが好ましい。
感光性樹脂組成物における着色剤の配合量は、特に限定されず、固形分換算で、感光性樹脂組成物100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量部であることが好ましい。
<消泡剤>
本実施形態に使用する消泡剤としては、特に限定されず、公知慣用のものを使用でき、その中でもシリコン系またはアクリル共重合系の消泡剤を好適に使用することができる。
シリコン系の消泡レベリング剤の市販品としては、例えば、BYK社製のBYK-322、BYK-333、信越化学工業株式会社製KS-66等が挙げられる。アクリル共重合系の消泡レベリング剤の市販品としては、例えば、BYK社製のBYK-361N、BYK-1794、BYK-350、BYK-1791等が挙げられる。
感光性樹脂組成物における消泡剤の配合量は、特に限定されず、固形分換算で、感光性樹脂組成物100質量部に対して、0.1~10質量部とすることができる。
<その他の添加成分>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じてさらに、有機溶剤、光重合開始助剤、シアネート化合物、エラストマー、メルカプト化合物、硬化触媒、チキソ化剤、密着促進剤、ブロック共重合体、連鎖移動剤、銅害防止剤、酸化防止剤、防錆剤、有機ベントナイト、モンモリロナイト等の増粘剤、イミダゾール系、チアゾール系、トリアゾール系等のシランカップリング剤、フォスフィン酸塩、燐酸エステル誘導体、フォスファゼン化合物等のリン化合物等の難燃剤などの成分を配合することができる。これらは、電子材料の分野において公知の物を使用することができる。
[2.ドライフィルム]
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、第一のフィルムと、この第一のフィルム上に形成された上記感光性樹脂組成物からなる樹脂層とを備えたドライフィルムの形態とすることもできる。本実施形態における第一のフィルムとは、基板等の基材上にドライフィルム上に形成された上記感光性樹脂層からなる樹脂層側が接するように加熱等によりラミネートして一体成形する際には少なくとも樹脂層に接着しているものをいう。第一のフィルムはラミネート後の工程において、樹脂層から剥離しても良い。特に本実施形態においては露光後の工程において、樹脂層から剥離することが好ましい。ドライフィルム化に際しては、本実施形態に係る感光性樹脂組成物を上記有機溶剤で希釈して適切な粘度に調整し、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイズコーター、リバースコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、スプレーコーター等で第一のフィルム上に均一な厚さに塗布し、通常、50~130℃の温度で1~30分間乾燥して膜を得ることができる。塗布膜厚については特に制限はないが、一般に、乾燥後の膜厚で、1~150μm、好ましくは10~60μmの範囲で適宜選択される。
第一のフィルムとしては、公知のものであれば特に制限なく使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム等の熱可塑性樹脂からなるフィルムを好適に使用することができる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。また、これらフィルムの積層体を第一のフィルムとして使用することもできる。
また、上記したような熱可塑性樹脂フィルムは、機械的強度向上の観点から、一軸方向または二軸方向に延伸されたフィルムであることが好ましい。
第一のフィルムの厚さは、特に制限されるものではないが、例えば、10μm~150μmとすることができる。
第一のフィルム上に本実施形態に係る感光性樹脂組成物の樹脂層を形成した後、さらに、樹脂層の表面に塵が付着するのを防ぐなどの目的で、樹脂層の表面に剥離可能な第二のフィルムを積層することが好ましい。本実施形態における第二のフィルムとは、基板等の基材上に感光性フィルム積層体の樹脂層側が接するように加熱等によりラミネートして一体成形する際、ラミネート前に感光性樹脂層から剥離するものをいう。剥離可能な第二のフィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、表面処理した紙等を用いることができ、第二のフィルムを剥離するときに樹脂層と第一のフィルムとの接着力よりも樹脂層と第二のフィルムとの接着力がより小さいものであればよい。
第二のフィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、10μm~150μmとすることができる。
なお、本実施形態においては、上記第二のフィルム上に本実施形態に係る感光性樹脂組成物を塗布、乾燥させることにより樹脂層を形成して、その表面に第一のフィルムを積層するものであってもよい。すなわち、本実施形態においてドライフィルムを製造する際に本実施形態に係る感光性樹脂組成物を塗布するフィルムとしては、第一のフィルムおよび第二のフィルムのいずれを用いてもよい。
[3.硬化物]
本実施形態に係る感光性樹脂組成物を用いて硬化物を形成するにあたって、感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、有機溶剤を揮発乾燥した後に得られる樹脂層に対し、露光(光照射)を行うことにより、露光部(光照射された部分)が硬化する。具体的には、接触式または非接触方式によりパターンを形成したフォトマスクを通して選択的に活性エネルギー線により露光、または、レーザーダイレクト露光機により直接パターン露光して、未露光部をアルカリ水溶液(例えば、0.3~3質量%炭酸ソーダ水溶液)により現像することにより、レジストパターンが形成される。さらに約100~180℃の温度に加熱して熱硬化(ポストキュア)させることにより、はんだ耐熱性、金めっき耐性、絶縁信頼性に優れた硬化物を形成することができる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、例えば、有機溶剤を用いて塗布方法に適した粘度に調整して、基材上に、インクジェット法、ディップコート法、フローコート法、ロールコート法、バーコーター法、スクリーン印刷法、カーテンコート法等の方法により塗布した後、約60~100℃の温度で組成物中に含まれる有機溶剤を揮発乾燥させることで、タックフリーの樹脂層を形成することができる。
基材としては、あらかじめ銅等により回路形成されたプリント配線板やフレキシブルプリント配線板の他、紙フェノール、紙エポキシ、ガラス布エポキシ、ガラスポリイミド、ガラス布/不織布エポキシ、ガラス布/紙エポキシ、合成繊維エポキシ、フッ素樹脂・ポリエチレン・ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド・シアネート等を用いた高周波回路用銅張積層板等の材質を用いたもので、全てのグレード(FR-4等)の銅張積層板、その他、金属基板、ポリイミドフィルム、PETフィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ガラス基板、セラミック基板、ウエハ板等を挙げることができる。
上記揮発乾燥または熱硬化は、熱風循環式乾燥炉、IR炉、ホットプレート、コンベクションオーブン等(蒸気による空気加熱方式の熱源を備えたものを用いて乾燥機内の熱風を向流接触せしめる方法およびノズルより支持体に吹き付ける方式)を用いて行うことができる。
なお、別の実施形態に係るドライフィルムを使用する場合、ラミネーター等により樹脂層が基材と接触するように基材上に貼り合わせた後、第一のフィルムを剥がすことにより、基材上に樹脂層を形成することができる。ドライフィルムの基材への貼合は、真空ラミネーター等を用いて、加圧および加熱下で行うことが好ましい。このような真空ラミネーターを使用することにより、回路形成された基板を用いた場合に、回路基板表面に凹凸があっても、ドライフィルムが回路基板に密着するため、気泡の混入がなく、また、基板表面の凹部の穴埋め性も向上する。加圧条件は、0.1~2.0MPa程度であることが好ましく、また、加熱条件は、40~120℃であることが好ましい。
上記活性エネルギー線照射に用いられる露光機としては、高圧水銀灯ランプ、超高圧水銀灯ランプ、メタルハライドランプ、水銀ショートアークランプ等を搭載し、350~450nmの範囲で活性エネルギー線を照射する装置であればよく、さらに直接描画装置(例えば、コンピュータからのCADデータにより直接レーザーで画像を描くレーザーダイレクトイメージング装置)を用いることができる。直描機のランプ光源またはレーザー光源としては、最大波長が350~410nmの範囲にあるものでよい。画像形成のための露光量は膜厚等によって異なるが、一般には20~1000mJ/cmであることが好ましく、20~800mJ/cmの範囲内とすることができる。
上記現像方法としては、ディッピング法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法等によることができ、現像液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、アミン類等のアルカリ水溶液が使用できる。
[4.プリント配線板]
本実施形態に係る感光性樹脂組成物またはドライフィルムの樹脂層は、プリント配線板上に、ソルダーレジスト等の表面保護膜を形成するために好適に使用できる。なお、本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、多層プリント配線板の層間絶縁層として使用してもよい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物またはドライフィルムの樹脂層をプリント配線板の基板等に塗布して硬化することで、はんだ耐熱性、金めっき耐性、絶縁信頼性に優れた硬化物を備えるプリント配線板を製造することができる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[1.カルボキシル基含有感光性樹脂または非感光性のカルボキシ基含有樹脂の合成]
(カルボキシル基含有感光性樹脂の樹脂ワニス1の合成)
温度計、窒素導入装置兼アルキレンオキサイド導入装置および撹拌装置を備えたオートクレーブに、ノボラック型クレゾール樹脂(アイカ工業株式会社製、ショウノール CRG951、OH当量:119.4)119.4質量部、水酸化カリウム1.19質量部およびトルエン119.4質量部を導入し、撹拌しつつ系内を窒素置換し、加熱昇温した。次に、プロピレンオキサイド63.8質量部を徐々に滴下し、125~132℃、0~4.8kg/cmで16時間反応させた。その後、室温まで冷却し、この反応溶液に89%リン酸1.56質量部を添加混合して水酸化カリウムを中和し、不揮発分62.1%、水酸基価が182.2mgKOH/g(307.9g/eq.)であるノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキサイド反応溶液を得た。これは、フェノール性水酸基1当量当りプロピレンオキサイドが平均1.08モル付加したものであった。
得られたノボラック型クレゾール樹脂のプロピレンオキサイド反応溶液293.0質量部、アクリル酸43.2質量部、メタンスルホン酸11.53質量部、メチルハイドロキノン0.18質量部およびトルエン252.9質量部を、撹拌機、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、110℃で12時間反応させた。反応により生成した水は、トルエンとの共沸混合物として、12.6質量部の水が留出した。その後、室温まで冷却し、得られた反応溶液を15%水酸化ナトリウム水溶液35.35質量部で中和し、次いで水洗した。その後、エバポレーターにてトルエンをジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート118.1質量部で置換しつつ留去し、ノボラック型アクリレート樹脂溶液を得た。次に、得られたノボラック型アクリレート樹脂溶液332.5質量部およびトリフェニルフォスフィン1.22質量部を、撹拌器、温度計および空気吹き込み管を備えた反応器に導入し、空気を10ml/分の速度で吹き込み、撹拌しながら、テトラヒドロフタル酸無水物60.8質量部を徐々に加え、95~101℃で6時間反応させ、冷却後、取り出した。
このようにして、固形分65%、固形分の酸価88mgKOH/g、重量平均分子量約2500であるカルボキシル基含有感光性樹脂の樹脂ワニス1を得た。
(カルボキシル基含有感光性樹脂の樹脂ワニス2の合成)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、EPICLON N-695、エポキシ当量:220)220部を撹拌機及びおよび還流冷却器の付いた四つ口フラスコに入れ、カルビトールアセテート214部を加え、加熱溶解した。次に、重合禁止剤としてハイドロキノン0.1部と、反応触媒としてジメチルベンジルアミン2.0部を加えた。この混合物を95~105℃に加熱し、アクリル酸72部を徐々に滴下し、16時間反応させた。この反応生成物を80~90℃まで冷却し、テトラヒドロフタル酸無水物106部を加え、8時間反応させ、冷却後、取り出した。
このようにして、固形分65%、固形分の酸価87mgKOH/g、重量平均分子量約10000であるカルボキシル基含有感光性樹脂の樹脂ワニス2を得た。
(カルボキシル基含有感光性樹脂の樹脂ワニス3の合成)
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート650質量部にオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、EPICLON N-695、軟化点95℃、エポキシ当量214、平均官能基数7.6)1070g、アクリル酸360g、及びハイドロキノン1.5gを仕込み、100℃に加熱攪拌し、均一溶解した。次いで、トリフェニルフォスフィン4.3質量部を仕込み、110℃に加熱して2時間反応後、更にトリフェニルフォスフィン1.6質量部を追加し、120℃に昇温してさらに12時間反応を行った。得られた反応液に芳香族系炭化水素(株式会社スタンダード石油大阪発売所製、ティーソル150)525g、テトラヒドロ無水フタル酸608g(4.0モル)を仕込み、110℃で4時間反応を行った。さらに、得られた反応液にグリシジルメタクリレート142.0gを仕込み、115℃で4時間反応を行った。このようにして、固形分65%、固形分の酸価77mgKOH/gであるカルボキシル基含有感光性樹脂の樹脂ワニス3を得た。
(非感光性のカルボキシル基含有樹脂の樹脂ワニス4の合成)
温度計、撹拌器、滴下ロート、及び還流冷却器を備えたフラスコに、メチルメタクリレート、エチルメタアクリレート、フェニルグリシジルメタアクリレート、メタアクリル酸を2:2:3:3のモル比で仕込み、溶剤にジプロピレングリコールモノメチルエーテル、触媒にアゾビスイソブチロニトリルを用い、窒素雰囲気下、80℃で4時間撹拌し、反応を行った。このようにして、固形分65%、固形物の酸価120mgKOH/g、重量平均分子量約25000である非感光性のカルボキシル基含有樹脂の樹脂ワニス4を得た。
[2.樹脂組成物の調製]
カルボキシル基含有感光性樹脂または非感光性のカルボキシル基含有樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、重合禁止剤、無機フィラー、着色剤、消泡剤、熱硬化性成分を、各成分の含有量が表1に示す量(単位:質量部)になるように配合し、攪拌にて予備混合した後、3本ロールミルで混錬することにより実施例1~5および比較例1~3の感光性樹脂組成物を調製した。
表1記載の各成分の詳細は以下のとおりである。なお、各成分の配合量は固形分での値である。
<カルボキシル基含有感光性樹脂または非感光性のカルボキシル基含有樹脂>
※1上記で合成したカルボキシル基含有感光性樹脂ワニス1(固形分:65%、固形分酸価:88mgKOH/g、カルボン酸当量:638g/eq.)
※2上記で合成したカルボキシル基含有感光性樹脂ワニス2(固形分:61%、固形分酸価:87mgKOH/g、カルボン酸当量:645g/eq.)
※3上記で合成したカルボキシル基含有感光性樹脂ワニス3(固形分:65%、固形分酸価:77mgKOH/g、カルボン酸当量:729g/eq.)
※4 上記で合成した非感光性のカルボキシル基含有樹脂ワニス4(固形分:65%、固形物の酸価:120mgKOH/g、カルボン酸当量:468g/eq.)
<光重合性モノマー>
・DPHA(日本化薬株式会社製):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
<光重合開始剤>
・Omnirad 369E(IGM Resins社製):2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン
<重合禁止剤>
・QS-30(エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル株式会社製):4-メトキシ-1-ナフトール
<無機フィラー>
・LMP-100(富士タルク株式会社製):タルク
・DHT-4A(協和化学工業株式会社製):ハイドロタルサイト類化合物(Mg4.3Al(OH)12.6CO・mHO)
・B-30(堺化学工業株式会社製):表面処理硫酸バリウム
<着色剤>
・FB5380(DIC株式会社製):C.I Pigment Blue 15:3
・AGR(BASFジャパン株式会社製):C.I Pigment Yellow 147
<消泡剤>
・BYK-350(ビックケミー・ジャパン株式会社製):アクリレート系表面調整剤
<熱硬化性成分>
・N-770(DIC株式会社製):フェノールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:190g/eq)
※5 カルボキシル基のモル数:カルボキシル基含有樹脂(カルボキシル基含有感光性樹脂および非感光性のカルボキシル基含有樹脂)中のカルボキシル基のモル数(カルボキシル基含有樹脂の配合量をカルボン酸当量で割った値)
※6 エポキシ基のモル数:エポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数(エポキシ樹脂(N-770)の配合量をエポキシ当量で割った値)
※7 エポキシ基のモル数/カルボキシル基のモル数:エポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数/カルボキシル基含有樹脂中のカルボキシル基のモル数(表中の数値は小数点以下3桁目を四捨五入した値)
Figure 2023151272000001
<感光性樹脂組成物中の塩化物イオン含有量>
先ず、各感光性樹脂組成物を厚さ50μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製 E-5041)上にアプリケーターを用いて塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させ、膜厚20μmとなるようにドライフィルムを作製した。次いで、ドライフィルムを重ね合わせ300μmの樹脂層を形成した後、切り出し0.25gの測定試料を得た。
上記で作製した各感光性樹脂組成物を、前処理として、試料燃焼装置(QF-02型100V:三菱ケミカル日東精工アナリテック株式会社製)にて下記条件に従い、石英燃焼法で各測定試料に800℃で燃焼処理を行い・分解させ、その分解ガス成分を過酸化水素水に吸収させ、燃焼後、25mlにメスアップした。
1.燃焼条件
(1)昇温条件(昇温部)
室温->(5℃/min)->200℃->(10℃/min)->500℃->(5℃
/min)->900℃ 5min保持
(2)燃焼条件(燃焼部)
注入口(インレット):850℃、排出口(アウトレット):900℃
(3)燃焼時間 40min(合計)
2.ガス条件(全て装置本体の流量計による指示値)
(1)酸素SUB 100ml/min
(2)酸素MAIN 200ml/min
(3)アルゴン/酸素 100ml/min(700℃で切り替え)
(4)トータル流量 400ml/min
3.燃焼時ガス条件
(1)700℃まで:アルゴン、酸素
(2)700℃から900℃まで:酸素のみ
4.吸収液 0.3%過酸化水素水15ml(燃焼処理後、25mlにメスアップ)
得られた吸収液について下記条件に従い、イオンクロマトグラフシステムィー(Thermo Scientific Dionex ICS-1500:Thermo Fisher Scientific株式会社製)にて感光性樹脂組成物からなる塗膜中の塩化物イオン含有量を評価した。その結果を表2に示す。
・検出器:Thermo Scientific Dionex AERS 300サプレッサー(Thermo Fisher Scientific株式会社製)
・カラム:Dionex IonPac AS12A(4mm)(Thermo Fisher Scientific株式会社製)
・溶離液:2.7mM NaCO/0.3mM NaHCO
・流量:1ml/min
・注入量:25μl
[3.評価用ドライフィルムの作製およびその特性評価]
<評価用ドライフィルムの作製>
表1に示す配合量で作製した各感光性樹脂組成物を厚さ50μmのPETフィルム(東洋紡株式会社製 E-5041)上にアプリケーターを用いて塗布し、80℃の熱風循環式乾燥炉で30分間乾燥させ、膜厚20μmとなるようにドライフィルムを作製した。
<保存安定性>
評価用ドライフィルムの樹脂層の初期の粘度を測定した。その後、室温で暗所に30日間保管し、再度粘度を測定した。評価用ドライフィルムの樹脂層の30日間保管前後の粘度の増加率(%)から、評価用ドライフィルムの保存安定性を評価した。保存安定性については以下の判断基準に従って評価した。その結果を表2に示す。
◎:粘度の増加率が5%未満
〇:粘度の増加率が5%以上、10%未満
△:粘度の増加率が10%以上、20%未満
×:粘度の増加率が20%以上
<ラミネート性>
銅厚18μm、L(ライン:配線幅)/S(スペース:間隔幅)=100/100μmの櫛歯パターンの微細回路が形成されている両面プリント配線基板(FR-4基材、ELC4762:住友ベークライト株式会社製)に前処理として、メック社製CZ-8101処理にて1.0μm相当のエッチング処理を行った。次いで、上記で作製した評価用ドライフィルムを、PETフィルムを剥離した後、真空ラミネーター(CVP-300:ニッコーマテリアルズ株式会社製)を用いて80℃の第一チャンバーにて真空圧3hPa、バキューム時間30秒の条件でプレスを行い評価基板を作製した。ラミネート後の評価基板のラインとスペースの境界部分に空気が入り込み、感光性樹脂組成物層中に気泡(ボイド)が発生しているか確認した。ラミネート性について以下の判断基準に従って評価した。その結果を表2に示す。
〇:ボイドが確認されなかった。
△:1~3か所のボイドが確認された。
×:4か所以上のボイドが確認された。
[4.評価用硬化物の作製およびその特性評価]
上記で作製した評価用ドライフィルムを銅箔付き基板に真空ラミネーター(CVP-300:ニッコーマテリアルズ株式会社製)を用いて90℃の第1チャンバーにて真空圧3hPa、バキューム時間30秒の条件下でラミネートした後、プレス圧0.5MPa、プレス時間30秒の条件でプレスを行い、100℃の第二チャンバーにて圧力8kgf/cm、プレス時間60秒の条件でSUSプレスを行った。
上記基板に露光量が250mJ/cmとなるようにダイレクトイメージング露光装置(光源は高圧水銀灯)により光照射した後、PETフィルムを剥離し、30℃の1質量%NaCO水溶液で現像して、硬化物のパターンを形成した。これを、UVコンベア炉にて積算露光量1000mJ/cmの条件で紫外線照射した後、130℃で30分(実施例1~5、比較例1-1、比較例2および比較例3)または150℃で60分(比較例1-2)加熱して硬化し、評価用硬化物を得た。
<はんだ耐熱性>
上記評価用硬化物に、ロジン系フラックスを塗布し、予め260℃に設定したはんだ槽に10秒間浸漬後、変性アルコールでフラックスを洗浄し、テープピールテストをし、これを1サイクルとして1~3サイクル繰り返した後の硬化物の剥がれの有無を目視により観察した。はんだ耐熱性については以下の判断基準に従って評価した。その結果を表2に示す。
◎:3サイクル繰り返し後の硬化物に剥がれが認められない。
○:2サイクル繰り返し後の硬化物に剥がれが認められず、3サイクル繰り返し後にほんのわずかな変化が認められる。
△:2サイクル繰り返し後の硬化物に剥がれが認められる。
×:1サイクル後の応化物に剥がれが認められる。
<金めっき耐性>
上記で作製した評価用硬化物に市販の無電解ニッケルめっき浴および無電解金めっき浴を用いて、ニッケル0.5μm、金0.03μmの条件でめっきを行い、テープピーリングテストを行い、硬化物の剥がれの有無やめっきのしみ込みの有無を観察した。金めっき耐性については、以下の判断基準に従って評価した。その結果を表2に示す。
○:剥がれやしみ込みが認められない。
△:ほんのわずかに剥がれまたはしみ込みがある。
×:剥がれやしみ込みがある。
<絶縁信頼性>
上記で作製した評価用硬化物100/100μmについて、SIPOS-TEG SI0601を用いて、湿度85%、130℃の条件下において20Vの電圧を印加し、高加速度寿命試験(HAST:Highly Accelarated Stree Test)を行った。上記条件下、評価用硬化部物の絶縁性の変化を測定し、絶縁信頼性について以下の判断基準に従って評価した。その結果を表2に示す。
◎:試験開始から300時間以上経過後、1×108Ω以上の抵抗値を維持した
○:試験開始から200時間以上経過後、1×108Ω以上の抵抗値を維持した
△:試験開始から200時間以上経過後、1×10Ω以上の抵抗値を維持した
×:試験開始から200時間以上経過後、1×10Ω以上の抵抗値を示さなかった
Figure 2023151272000002
表2に示す結果から、実施例1~5の感光性樹脂組成物をドライフィルムの樹脂層とした場合に、良好な保存安定性およびラミネート性を示すことが分かる。
これに対し、実施例1~5に比べて塩化物イオン含有量およびエポキシ樹脂含有量が多い比較例1―1および1-2の感光性樹脂組成物で作製されたドライフィルムは、保存安定性が悪くなることが分かる。他方で、実施例1~5のようにエポキシ樹脂含有量が制御された感光性樹脂組成物を用いて作製されたドライフィルムは、保存安定性が良好であることが分かる。
また表2に示す結果から、実施例1~5の感光性樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、良好なはんだ耐熱性、金めっき耐性および絶縁信頼性を示すことが分かる。
これに対し、カルボキシル基含有感光性樹脂の代わりに非感光性のカルボキシル基含有樹脂を含有する比較例2の硬化物は、はんだ耐熱性および金めっき耐性が、実施例1~5の硬化物に比べて劣ることが分かる。
さらに表2に示す結果から、無機フィラーを含まず、かつ、塩化物イオン含有量が200ppmより多い比較例3の硬化物は、はんだ耐熱性および絶縁信頼性が、実施例1~5に比べて劣ることが分かる。
比較例1-1と比較例1-2とを対比すると、比較例1の感光性樹脂組成物を130℃で30分の条件で熱硬化させて得られる硬化物は、はんだ耐熱性および絶縁信頼性が劣っており、150℃で60分間というより高温で長時間の条件で熱硬化させる必要があることが分かる。
これに対し、実施例1~5の感光性樹脂組成物は、130℃で30分というより低い温度で短時間の条件で熱硬化させた場合であっても、はんだ耐熱性および絶縁信頼性が良好な硬化物を与えることが分かる。

Claims (9)

  1. (A)カルボキシル基含有感光性樹脂と、
    (B)光重合性モノマーと、
    (C)光重合開始剤と、
    (D)無機フィラーと、
    を含有する感光性樹脂組成物であって、
    前記感光性樹脂組成物からなる塗膜中の塩化物イオン含有量が200ppm以下であることを特徴とする、
    感光性樹脂組成物。
  2. 前記(A)カルボキシル基含有感光性樹脂が、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有する化合物を出発原料とするカルボキシル基含有感光性樹脂である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記(D)無機フィラーが、硫酸バリウム、ハイドロタルサイト、タルクからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記(D)無機フィラーが、感光性樹脂組成物の固形分100質量部に対して、25~75質量部含む、請求項3に記載の感光性樹脂組成物。
  5. エポキシ樹脂を実質的に含まない、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  6. さらに重合禁止剤を含む、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物から得られる樹脂層を有することを特徴とするドライフィルム。
  8. 請求項1に記載の感光性樹脂組成物または請求項7に記載のドライフィルムの樹脂層を硬化して得られることを特徴とする硬化物。
  9. 請求項8に記載の硬化物を有することを特徴とするプリント配線板。
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