JP4929246B2 - 多板式クラッチ - Google Patents

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本発明は、入力部材に連結されるクラッチアウタと、前記入力部材と同軸に配置される出力部材に固定されるセンターボスと、前記クラッチアウタ内に同軸に配置されるクラッチインナと、前記クラッチアウタに相対回転不能に係合される複数枚の第1摩擦板と、複数の第1摩擦板と交互に配置されて前記クラッチインナに相対回転不能に係合される複数枚の第2摩擦板と、相互に重なった第1および第2摩擦板を前記センターボスとの間に挟むプレッシャプレートと、前記入力部材および前記出力部材間のトルク伝達状態でのトルク変動に応じて前記第1および第2摩擦板の圧着力を増加もしくは減少させる側に前記クラッチインナを介して前記プレッシャプレートを移動させるようにして前記センターボスおよび前記クラッチインナ間に設けられるカム機構とを備える多板式クラッチに関する。
入力部材および出力部材間でのトルク伝達中にトルク変動が生じたときに、プレッシャプレートを軸方向に移動させることで第1および第2摩擦板の圧着力を変化させるようにしたカム機構が、センターボスおよびクラッチインナ間に設けられる多板式クラッチが、特許文献1および特許文献2で知られている。
特公平5−73928号公報 特開2008−106846号公報
ところが上記特許文献1および上記特許文献2で開示された多板式クラッチは、クラッチインナおよびセンターボス間のトルク伝達がカム機構を介して行われるので、特に高出力エンジンに適用した場合には、カム機構について高い強度を有することが要求される。そこで特許文献2で開示されたものでは、カム機構の一部を構成するカム部材を、SCM浸炭鋼製とした高強度の材料によってセンタハブとは別に形成し、そのカム部材をセンタハブに取付けるようにしているが、そのような構造では、カム機構を構成する部品の点数が増大するとともにコストの増大を招くと言う課題があり、改善が望まれる。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、カム機構にかかるトルクを抑えて、部品点数の増大およびコスト増大を回避し得るようにした多板式クラッチ装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、入力部材に連結されるクラッチアウタと、前記入力部材と同軸に配置される出力部材に固定されるセンターボスと、前記クラッチアウタ内に同軸に配置されるクラッチインナと、前記クラッチアウタに相対回転不能に係合される複数枚の第1摩擦板と、複数の第1摩擦板と交互に配置されて前記クラッチインナに相対回転不能に係合される複数枚の第2摩擦板と、相互に重なった第1および第2摩擦板を前記センターボスとの間に挟むプレッシャプレートと、前記入力部材および前記出力部材間のトルク伝達状態でのトルク変動に応じて前記第1および第2摩擦板の圧着力を増加もしくは減少させる側に前記クラッチインナを介して前記プレッシャプレートを移動させるようにして前記センターボスおよび前記クラッチインナ間に設けられるカム機構とを備える多板式クラッチにおいて、前記センターボスに一体に形成されるセンターボス側カムと、前記クラッチインナに一体に形成されて前記センターボス側カムに接触し得るクラッチインナ側カムとで前記カム機構が構成され、前記クラッチインナが、前記カム機構の作用によって生じる前記センターボスおよび前記クラッチインナの相対角変位を所定相対角変位量だけ許容するようにして、前記センターボスにスプライン係合されることを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記センターボスおよび前記クラッチインナ間で許容される前記所定相対角変位量が、前記センターボス側カムおよび前記クラッチインナ側カムが相互に当接、係合する範囲に設定されることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明の構成に加えて、前記センターボスおよび前記クラッチインナのスプライン係合部が、前記センターボスおよび前記クラッチインナの半径方向で前記カム機構よりも外側に配置されることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発明の構成に加えて、前記カム機構が、前記クラッチインナおよび前記センターボスのスプライン係合部に前記センターボスおよび前記クラッチインナの軸方向から見て重なることを回避するとともに前記スプライン係合部よりも前記プレッシャプレート側に配置されることを特徴とする。
さらに請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明の構成に加えて、前記センターボスの軸方向一端に前記センターボス側カムが一体に突設され、前記クラッチインナの内周面に前記クラッチインナ側カムが一体に突設されることを特徴とする。
なお実施例の実施例のメインシャフト33が本発明の出力部材に対応し、一次被動歯車50が本発明の入力部材に対応する。
請求項1記載の発明によれば、センターボスおよびクラッチインナ間に、センターボスに一体に形成されるセンターボス側カムと、クラッチインナに一体に形成されてセンターボス側カムに接触し得るクラッチインナ側カムとで構成されるカム機構が設けられるとともに、クラッチインナがセンターボスにスプライン係合されるので、カム機構に作用するトルクの一部をクラッチインナおよびセンターボスのスプライン係合部に分散することでカム機構にかかるトルクを抑えることができ、従来のようにカム機の一部を構成する部材をクラッチインナおよびセンターボスとは別部材として形成して強度を高めることが不要となり、部品点数およびコストの低減が可能となる。
また請求項2記載の発明によれば、センターボスおよびクラッチインナ間で許容される相対角変位量がカム機構のセンターボス側カムおよびクラッチインナ側カムが相互に当接、係合する範囲に設定されるので、センターボス側カムおよびクラッチインナ側カムの当接、係合が解除されるまでクラッチインナが軸方向に移動することはスプライン係合部で阻止されることになり、クラッチインナの軸方向移動限を定めるための特別の機構が不要となる。
請求項3記載の発明によれば、スプライン係合部をセンターボスおよびクラッチインナの半径方向でカム機構よりも外側に配置するので、カム機構に作用するトルクよりもスプライン係合部に作用するトルクの割合を大きくし、カム機構の必要強度を抑えつつトルクの伝達効率を高めることができる。
請求項4記載の発明によれば、カム機構が、センターボスおよびクラッチインナの軸方向から見てスプライン係合部に重なることがないようにして、スプライン係合部よりもプレッシャプレート側に配置されるので、スプライン係合部の軸方向長さを確保することができ、スプライン係合部でのトルク伝達の持ち分を高め、カム機構の強度を抑えることができる。
さらに請求項5記載の発明によれば、センターボス側カムがセンターボスの軸方向一端に一体に突設され、クラッチインナ側カムがクラッチインナの内周面に一体に突設されるので、センターボス側カムおよびクラッチインナ側カムの突出方向を同一方向とした場合に比べて、カムを設けるだけのボスが不要となり、カム機構の周辺を簡素化することができる。
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図6は本発明の一実施例を示すものであり、図1は内燃機関の縦断側面図、図2は多板式クラッチの拡大断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図3の4−4線断面図、図5は図2の5−5線断面図、図6は加速時(a)および減速時(b)での図5の6−6線断面図である。
先ず図1において、この内燃機関は、たとえば直列4気筒の水冷式に構成されてたとえば自動二輪車に搭載されるものであり、その機関本体11は、自動二輪車の左右方向に延びる軸線を有するクランクシャフト12を回転自在に支承するクランクケース13と、自動二輪車の進行方向に沿う前方側でクランクケース13に結合されるシリンダブロック14と、シリンダブロック14の上端に結合されるシリンダヘッド15とを備える。
シリンダブロック14は、自動二輪車の進行方向前方に向けて前上がりとなるように傾斜した軸線を有する4つのシリンダボア18…が、クランクシャフト12の軸線に沿う方向に並ぶようにして設けられ、各シリンダボア18…に摺動自在に嵌合されるピストン19…が、クランクシャフト12が備えるクランクピン12a…にコネクティングロッド20…を介して連結される。
クランクケース13の左側側壁から外方に突出したクランクシャフト12の端部には、アウターロータ21が固定されており、そのアウターロータ21とともに発電機23を構成するインナーロータ22が、発電機23を覆うようにしてクランクケース13の左側壁に締結される発電機カバー24に取付けられる。
またクランクケース13の右側側壁から突出したクランクシャフト12の端部には、クランクシャフト12との相対回転が不能であるアウター部材25と、クランクシャフト12に対して相対回転可能であるとともに図示しない始動用モータからの動力が入力される被動歯車28が設けられるインナー部材26とを備える一方向クラッチ27が装着されており、この一方向クラッチ27は、クラッチインナ26からクラッチアウタ25側への動力伝達すなわち始動用モータからクランクシャフト12側への動力伝達のみを可能とする。
前記クランクケース13内には、自動二輪車への搭載状態ではクランクシャフト12の後方に位置するようにして変速機室31が形成されており、該変速機室31に歯車変速機構32が収容される。
歯車変速機構32は、クランクシャフト12と平行な軸線を有するとともに自動二輪車への搭載状態ではクランクシャフト12の後方に配置されるメインシャフト33と、該メインシャフト33と平行な軸線を有するとともに自動二輪車への搭載状態ではクランクシャフト12の後方に配置されるカウンタシャフト34と、択一的に確立可能としてメインシャフト33およびカウンタシャフト34間に設けられる複数変速段たとえば6段の第1速〜第6速歯車列G1〜G6と、前記メインシャフト33および前記カウンタシャフト34と平行な方向へのスライド作動によって第1速〜第6速歯車列G1〜G6を択一的に確立するための3つのシフトフォーク35,36,37とを備える。
クランクケース13には、自動二輪車への搭載状態で変速機室31の左側側壁となる左側支持壁39と、変速機室31の右側側壁となる右側支持壁40とが設けられる。而してメインシャフト33は、その一端部を右側支持壁40から突出させるようにして前記右側支持壁40を回転自在に貫通し、メインシャフト33および前記右側支持壁40間にはボールベアリング41が介装され、またメインシャフト33の他端部は、左側支持壁39にボールベアリング42を介して回転自在に支承される。
カウンタシャフト34の一端部は、前記右側支持壁40にボールベアリング43を介して回転自在に支承され、カウンタシャフト34の他端部は、前記左側支持壁39を回転自在に貫通して左側支持壁39から突出され、カウンタシャフト34と、左側支持壁39との間にはボールベアリング44が介装される。カウンタシャフト34の左側支持壁39からの突出端部には、駆動スプロケット45が設けられ、駆動輪である後輪に動力を伝達するチェーン(図示せず)が駆動スプロケット45に巻き掛けられる。
前記右側支持壁40から突出した前記メインシャフト33の一端側軸端と、前記クランクシャフト12との間には、一次歯車減速機構46、ダンパばね47および多板式クラッチ48が介設される。
一次歯車減速機構45は、クランクシャフト12に設けられた一次駆動歯車49と、該一次駆動歯車49に噛合する一次被動歯車50とから成り、一次被動歯車50は、メインシャフト33に相対回転可能に支承される。
図2において、前記多板式クラッチ47は、入力部材である前記一次被動歯車50にダンパばね47を介して連結されるクラッチアウタ51と、前記一次被動歯車50と同軸に配置される出力部材であるメインシャフト33に固定されるセンターボス52と、前記クラッチアウタ51内に同軸に配置されるクラッチインナ53と、前記クラッチアウタ51に相対回転不能に係合される複数枚の第1摩擦板54…と、それらの第1摩擦板54…と交互に配置されて前記クラッチインナ53に相対回転不能に係合される複数枚の第2摩擦板55…と、相互に重なった第1および第2摩擦板54…,55…を前記センターボス52との間に挟むプレッシャプレート56と、前記一次被動歯車49および前記メインシャフト33間のトルク伝達状態でのトルク変動に応じて前記第1および第2摩擦板54…,55…の圧着力を増加もしくは減少させる側に前記クラッチインナ53を介して前記プレッシャプレート56を移動させるようにして前記センターボス52および前記クラッチインナ53間に設けられるカム機構57とを備える。
前記クラッチアウタ51は、円筒部51aと、該円筒部51aの前記一次被動歯車50側端部に連なる端壁部51bを一体に有して、一次被動歯車50と反対側に開放した椀状に形成されており、複数枚の第1摩擦板54…の外周部が、軸方向の移動を可能とするとともに相対回転を不能として前記円筒部51aに係合される。
前記クラッチインナ53は、前記クラッチアウタ51の円筒部51aで同軸に囲繞されるようにして円筒状に形成されており、複数枚の第2摩擦板55…の内周部が、軸方向の移動を可能とするとともに相対回転を不能としてクラッチインナ53に係合される。
前記メインシャフト33に固定されるセンターボス52の外周部には、相互に重なった第1摩擦板54…および第2摩擦板55…のうち一端に配置される第1摩擦板54にクラッチアウタ51の端壁部51b側から対向する受圧板部52aが一体に形成される。一方、プレッシャプレート56は、相互に重なった第1摩擦板54…および第2摩擦板55…と、クラッチインナ53とを前記受圧板部52aとの間に挟むように配置されるものであり、クラッチインナ53および前記受圧板部52a間には、クラッチインナ53をプレッシャプレート56側に付勢する皿ばね58が設けられ、第1摩擦板54…および第2摩擦板55…のうちプレッシャプレート56に対向する第2摩擦板55および前記プレッシャプレート56間には皿ばね59が設けられる。
前記センターボス52の周方向に等間隔をあけた複数個所たとえば3個所には、前記プレッシャプレート56を軸方向に貫通するボス60…が一体に突設される。また前記プレッシャプレート56には、前記ボス60…を同軸に囲むばね保持筒61…が一体に設けられており、各ばね保持筒61…のセンターボス52に近接する先端にはばね受け座62…が形成される。一方、前記ボス60…の先端には該ボス60…に螺合されるボルト64…でばね受け部材63…が固定されており、ばね受け部材63…および前記ばね受け座62…間には、前記ボス60…を囲繞するコイル状のクラッチばね65…が縮設される。
前記クラッチばね65…は、前記プレッシャプレート56を前記センターボス52に近接する側に付勢するばね力を発揮するものであり、プレッシャプレート56は前記クラッチばね65…のばね力によってセンターボス52の受圧板部52aとの間に第1および第2摩擦板54…,55…を挟圧し、多板式クラッチ48を接続状態とすることになる。
メインシャフト33には軸孔66が同軸に設けられており、前記プレッシャプレート56の中心部は、前記軸孔66に摺動および回転自在に支持されるレリーズプランジャ67にレリーズベアリング68を介して支持される。
図1に注目して、クランクケース13には、多板式クラッチ48および一方向クラッチ27を覆うようにして右側カバー70が締結される。この右側カバー70には、前記多板式クラッチ48の断・接を切り換える操作軸69が回動可能に支承されており、該操作軸69の前記右側カバー70からの突出端部にレリーズレバー71が設けられる。
図3および図4において、前記カム機構57は、センターボス52に一体に形成されるセンターボス側カム72…と、クラッチインナ53に一体に形成されて前記センターボス側カム72に接触し得る第1および第2クラッチインナ側カム73…,74…とで構成される。
センターボス側カム72…は、前記センターボス52に一体に突設された3個のボス60…相互の中央部に配置されるものであり、センターボス52の軸方向一端に一体に突設される。また第1および第2クラッチインナ側カム73…,74…は、前記センターボス側カム72…を相互間に挟むように配置されるものであり、クラッチインナ53の内周面に一体に突設される。
接続状態にある多板式クラッチ48を介して一次被動歯車50からメインシャフト33に動力が伝達されているときにクラッチインナ53の回転方向が、図3および図4の矢印75で示す方向であるときに、センターボス側カム72の前記回転方向75に沿う前面には、先端側に向かうにつれて前記回転方向75に沿う後方に位置するように傾斜した第1傾斜当接面76が形成され、第1クラッチインナ側カム73の前記センターボス側カム72に臨む面には、第1傾斜当接面76に対応して傾斜した第2傾斜当接面77が形成される。
またセンターボス側カム72の前記回転方向75に沿う後面には、先端側に向かうにつれて前記回転方向75に沿う後方に位置するように傾斜した第3傾斜当接面78が形成され、第2クラッチインナ側カム74の前記センターボス側カム72に臨む面には、第3傾斜当接面78に対応して傾斜した第4傾斜当接面79が形成される。しかも第3および第4傾斜当接面78,79の前記回転方向75に直交する方向からの傾斜角度αは、第1および第2傾斜当接面76,77の前記回転方向75に直交する方向からの傾斜角度βよりも小さく設定される。
而して一次被動歯車50およびメインシャフト33間のトルク伝達状態での加速側のトルク変動が生じたときには、第2クラッチインナ側カム74の第4傾斜当接面79がセンターボス側カム72の第3傾斜当接面78に当接して、第1クラッチインナ側カム73の第2傾斜当接面77がセンターボス側カム72の第1傾斜当接面76から離反するように、センターボス52およびクラッチインナ53に相対角変位が生じ、クラッチインナ53が皿ばね58を圧縮することで、プレッシャプレート56を軸方向に離間させてクラッチばね65の付勢力を打ち消していた逆向きの付勢力を弱め、クラッチばね65による付勢力を完全に発揮させて圧縮力を高める。
また一次被動歯車50およびメインシャフト33間のトルク伝達状態での減速側のトルク変動が生じたときには、センターボス側カム72の第1傾斜当接面76が第1クラッチインナ側カム73の第2傾斜当接面77に当接し、センターボス側カム72の第3傾斜当接面78が第2クラッチインナ側カム74の第4傾斜当接面79から離反するように、センターボス52およびクラッチインナ53に相対角変位が生じ、クラッチインナ53が、第1および第2摩擦板54…,55…の圧着力を減少する側に前記プレッシャプレート56を移動させるようにして、センターボス52から離反する側に移動する。
前記クラッチインナ53は、前記センターボス52および前記クラッチインナ53の半径方向で前記カム機構57よりも外側に配置されるスプライン係合部81で前記センターボス52に係合されるものであり、カム機構57は、前記スプライン係合部81に前記センターボス52および前記クラッチインナ53の軸方向から見て重ならないようにして、スプライン係合部81よりもプレッシャプレート56側に配置される。
図5において、前記スプライン係合部81は、前記カム機構57よりも受圧板部52a側にセンターボス52の外周に等間隔に設けられる複数のセンターボス側突部82,82…と、それらのセンターボス側突部82,82…に係合し得るようにして前記クラッチインナ53の内周に等間隔に設けられる複数のクラッチインナ側突部83,83…とで構成され、それらの突部82,82…;83,83…は、センターボス52およびクラッチインナ53の軸方向に延びるように形成される。
しかも前記センターボス52の周方向に沿うセンターボス側突部82,82…の幅は、前記クラッチインナ側突部83,83…との間に間隙が生じるように設定されるものであり、クラッチインナ53は、カム機構57の作用によってセンターボス52およびクラッチインナ53が相対角変位する際にその相対角変位を所定相対角変位量だけ許容するようにして、センターボス52にスプライン係合されている。
すなわち一次被動歯車50およびメインシャフト33間のトルク伝達状態での加速側のトルク変動が生じたときには、図6(a)で示すように、クラッチインナ側突部83がセンターボス側突部82に回転方向75に沿う後方側から当接し、一次被動歯車50およびメインシャフト33間のトルク伝達状態での減速側のトルク変動が生じたときには、図6(b)で示すように、クラッチインナ側突部83がセンターボス側突部82に回転方向75に沿う前方側から当接することになり、クラッチインナ側突部83がその両側のセンターボス側突部82,82に当接する範囲が、センターボス52およびクラッチインナ53間で許容される所定相対角変位量となる。
次にこの実施例の作用について説明すると、一次被動歯車50およびメインシャフト33間のトルク伝達状態でのトルク変動に応じて第1および第2摩擦板54…,55…の圧着力を増加もしくは減少させる側にクラッチインナ53を介してプレッシャプレート56を移動させるようにして、センターボス52およびクラッチインナ53間にカム機構57が設けられるのであるが、このカム機構57は、センターボス52に一体に形成されるセンターボス側カム72…と、クラッチインナ53に一体に形成されてセンターボス側カム72…に接触し得る第1および第2クラッチインナ側カム73…,74…とで構成され、クラッチインナ53が、カム機構57の作用によって生じるセンターボス52およびクラッチインナ43の相対角変位を所定相対角変位量だけ許容するようにして、センターボス52にスプライン係合されている。
したがってカム機構57に作用するトルクの一部をクラッチインナ53およびセンターボス52のスプライン係合部81に分散することでカム機構57にかかるトルクを抑えることができ、従来のようにカム機構の一部を構成する部材をクラッチインナおよびセンターボスとは別部材として形成して強度を高めることが不要となり、部品点数およびコストの低減が可能となる。
またセンターボス52およびクラッチインナ53間で許容される前記所定相対角変位量が、前記センターボス側カム72…と、第1および第2クラッチインナ側カム73…,74…とが相互に当接、係合する範囲に設定されるので、センターボス側カム72…と、第1および第2クラッチインナ側カム73…,74…との当接、係合が解除されるまでクラッチインナ53が軸方向に移動することはスプライン係合部81で阻止されることになり、クラッチインナ53の軸方向移動限を定めるための特別の機構が不要となる。
またセンターボス52およびクラッチインナ53のスプライン係合部81が、センターボス52およびクラッチインナ53の半径方向で前記カム機構57よりも外側に配置されるので、カム機構57に作用するトルクよりもスプライン係合部81に作用するトルクの割合を大きくし、カム機構57の強度を抑えつつトルクの伝達効率を高めることができる。
またカム機構57が、クラッチインナ53およびセンターボス52のスプライン係合部81にセンターボス52およびクラッチインナ53の軸方向から見て重なることを回避するとともに前記スプライン係合部81よりもプレッシャプレート56側に配置されるので、スプライン係合部81の軸方向長さを確保することができ、スプライン係合部81でのトルク伝達の持ち分を高め、カム機構57の必要強度を抑えることができる。
さらにセンターボス52の軸方向一端にセンターボス側カム72…が一体に突設され、クラッチインナ53の内周面に第1および第2クラッチインナ側カム73…,74…が一体に突設されるので、センターボス側カム72…の突出方向と、第1および第2クラッチインナ側カム73…,74…の突出方向を同一方向とした場合に比べて、カムを設けるだけのボスが不要となり、カム機構57の周辺を簡素化することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえばクラッチインナ53および受圧板部52a間に、皿ばね58に代えて、コイルスプリング等を含む他の弾性部材が介設されるようにしてもよい。
内燃機関の縦断側面図である。 多板式クラッチの拡大断面図である。 図2の3−3線断面図である。 図3の4−4線断面図である。 図2の5−5線断面図である。 加速時(a)および減速時(b)での図5の6−6線断面図である。
符号の説明
33・・・出力部材であるメインシャフト
48・・・多板式クラッチ
50・・・入力部材である一次被動歯車
51・・・クラッチアウタ
52・・・センターボス
53・・・クラッチインナ
54・・・第1摩擦板
55・・・第2摩擦板
56・・・プレッシャプレート
57・・・カム機構
72・・・センターボス側カム
73,74・・・クラッチインナ側カム
81・・・スプライン係合部

Claims (5)

  1. 入力部材(50)に連結されるクラッチアウタ(51)と、前記入力部材(50)と同軸に配置される出力部材(33)に固定されるセンターボス(52)と、前記クラッチアウタ(51)内に同軸に配置されるクラッチインナ(53)と、前記クラッチアウタ(51)に相対回転不能に係合される複数枚の第1摩擦板(54)と、複数の第1摩擦板(54)と交互に配置されて前記クラッチインナ(53)に相対回転不能に係合される複数枚の第2摩擦板(55)と、相互に重なった第1および第2摩擦板(54,55)を前記センターボス(52)との間に挟むプレッシャプレート(56)と、前記入力部材(50)および前記出力部材(33)間のトルク伝達状態でのトルク変動に応じて前記第1および第2摩擦板(54,55)の圧着力を増加もしくは減少させる側に前記クラッチインナ(53)を介して前記プレッシャプレート(56)を移動させるようにして前記センターボス(52)および前記クラッチインナ(53)間に設けられるカム機構(57)とを備える多板式クラッチにおいて、前記センターボス(52)に一体に形成されるセンターボス側カム(72)と、前記クラッチインナ(53)に一体に形成されて前記センターボス側カム(72)に接触し得るクラッチインナ側カム(73,74)とで前記カム機構(57)が構成され、前記クラッチインナ(53)が、前記カム機構(57)の作用によって生じる前記センターボス(52)および前記クラッチインナ(53)の相対角変位を所定相対角変位量だけ許容するようにして、前記センターボス(52)にスプライン係合されることを特徴とする多板式クラッチ。
  2. 前記センターボス(52)および前記クラッチインナ(53)間で許容される前記所定相対角変位量が、前記センターボス側カム(72)および前記クラッチインナ側カム(73,74)が相互に当接、係合する範囲に設定されることを特徴とする請求項1記載の多板式クラッチ。
  3. 前記センターボス(52)および前記クラッチインナ(53)のスプライン係合部(81)が、前記センターボス(52)および前記クラッチインナ(53)の半径方向で前記カム機構(57)よりも外側に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の多板式クラッチ。
  4. 前記カム機構(57)が、前記クラッチインナ(53)および前記センターボス(52)のスプライン係合部(81)に前記センターボス(52)および前記クラッチインナ(53)の軸方向から見て重なることを回避するとともに前記スプライン係合部(81)よりも前記プレッシャプレート(56)側に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多板式クラッチ。
  5. 前記センターボス(52)の軸方向一端に前記センターボス側カム(72)が一体に突設され、前記クラッチインナ(53)の内周面に前記クラッチインナ側カム(73,74)が一体に突設されることを特徴とする請求項4記載の多板式クラッチ。
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