JP4928644B1 - 対流型地中熱交換井 - Google Patents
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Abstract
ドレーンやウェルと地中熱交換用のダクトを組み合わせて使用することで、ドレーンやウェルのみならず、周辺地盤とも広く熱交換を行い、大きな熱交換容量を確保できるようにした対流型地中熱交換井を提供する。
【解決手段】
液状化対策の場合は主に地震時に働く土粒子間の間隙水圧を逃がすため、また、軟弱地盤対策の場合は主に排水を効率よく行うために用いられてきた砂利、砂等の粒状物質や、多孔管等の透水性のある筒状構造体、その他さまざまな材料からなるドレーンやウェルと地中熱交換用のダクトを組み合わせて使用し、ダクト内に熱交換用の冷媒を循環させることにより、液状化対策においては水圧を逃がした経路を通じて、また、軟弱地盤対策の場合は排水をおこなった経路を通じて対流もしくは擬似的な対流を発生させることにより、広く周辺地盤との熱交換を行い、大きな熱交換容量を確保できるようにしたことを特徴とする対流型地中熱交換井。
【選択図】図1
Description
例えば「実用 軟弱地盤対策技術総覧 第3章 液状化対策工法もしくは軟弱地盤対策工法について」(産業技術サービスセンター発行、非特許文献1参照)に、各種の液状化対策工法もしくは軟弱地盤対策工法が解説されている。
すなわち、前記中空杭の内部構造は、(1)グラウト(セメント(モルタル)系、ガラス系、合成樹脂系などの流動性のある固化材)を充填した鋼管杭内部に、Uチューブ(杭の口径が大きい場合には数組)を挿入することによりグラウトを媒体として間接的に地盤と熱交換する間接熱交換方式と、(2)内部にためた水そのものを熱源水として循環利用する直接熱交換方式がある。
したがってこの発明は、地下水位の高い場所でグラベルドレーン等、地中に粒状材料により構成された柱状体の中に直接ダクトを挿入して、あるいは透水性のある筒状の構造体を軸方向に挿設し、その筒状構造体の中にダクトを挿入して、ダクト内に熱交換用の冷媒を循環させることで地中熱交換井としての機能を持たせた対流型地中熱交換井を提供しようとするものである。
ものである。
そうした場合、夏はダクトに接して温まった管内の水が上昇し、管の下部では周辺の冷水が管内に流入するため、砂利で満たされた管周辺を包括した水の対流が発生し、対流型の地中熱交換井が形成される。また冬は、それと反対方向の対流が発生する。そうしたことにより、砂利で出来た柱状ドレーン全体が熱源として機能し、熱交換井としての容量は大きく改善される。
図1は、この発明の対流型地中熱交換井の1実施例を示すものである。
図1において、地中に開設した縦孔10に砕石類を充填して通水性を有する柱、すなわちグラベルドレーン11が構築されている。前記砕石類としては、単粒度砕石の他に、粒度調整した再生砕石やスラグ等のリサイクル材料を使用することができる。もちろん、川砂利やその他所定の粒度を有する粒状物であれば充分使用可能である。
前記通水性を有するグラベルドレーン11の中には多孔管12からなる中空で透水性のある筒状構造体が配設されており、当該多孔管12内に長さ方向に一対のダクト13を挿通させてあって、このダクト13内に熱交換媒体を充填してある。
このようにして前記熱交換媒体を当該ダクト13内を循環させることにより、地上の各種施設と地中内との熱交換を行って、地中熱を利用できるようにしたことを特徴としている。
そして前記多孔管12の中に流れが発生した場合、その流れが管内を上昇する場合は下部に、また下降する場合は上部に多孔管12の外から水が流れ込み、多孔管12周辺の砕石類でできた柱体全体を巻き込んだ対流が発生する。そのことにより、通常は多孔管への接触により伝播する熱が対流によっても柱体全体に伝えられ、柱体全体が熱源として機能するようになる。
したがって接触による熱の伝播のみならず、水の対流をも利用するという以上の原理を利用すれば、周辺の建造物等の各種熱利用施設に対して、例えば夏は冷房用に、冬は暖房用に容量の大きな熱交換用の熱源として極めて有効に利用することができるのである。
このように前記ダクト13の外周に多数のフィン15を形成すれば、熱交換をより効率的に行うことができる。
すなわち、ドレーンパイプ工法等のパイプ状ドレーンにおいて多孔管12を外管とし、その中にダクトを挿入し、ダクト内に熱交換用の冷媒を循環させて地上と地下との熱交換を行う場合のように、外管の外に人工の粒状材料を設置しない場合であっても、液状化が懸念されたり軟弱な地盤では、地表近くまで地下水により満たされた互層(異なる二つ以上の地層が,交互に重なり合っている場合をいう)となっており、透水性の良い地盤が介在しているのが通常である。したがって、図5および図6に示すように、地層全体を包括した対流までは生じなくても、局部的な対流、もしくは中間部分において粘土層等の不透水層(2点鎖線)で上下が遮断される場合には擬似的な対流が発生し、熱交換井としての容量は拡大する。
図5は多孔管12内においては上昇水流が、多孔管12外においては下降水流が発生している状態を示すものであり、図6は多孔管12内においては下降水流が、多孔管12外においては上昇水流がそれぞれ発生している状態を示すものである。
また、サンドドレーン工法の場合は、砂の粒度により透水性が大きく左右され、前記のグラベルドレーン工法に近いケースとパイプドレーン工法に近いケースが発生することとなる。いわば、両者の中間的な現象が出現することとなる。
図7および図8において、地中に開設した縦孔20に外側および内側の二重の筒状の網袋22,23を挿入し、該内外二重の筒状網袋22,23の間に適宜粒度の砂24を充填して通水性を有する柱、すなわちパックドレーン21が構築されている。
前記外側の筒状網袋22は、例えばφ120m/mの網袋からなり、ポリエチレン100%の使用原糸を使用して、縦横380デニールになるよう編み込まれている。もちろん、筒状網袋22,23の素材やその太さ、網目のサイズは施工場所や土質、その他の条件に応じて適宜決定することができる。
すなわち、前記内外二重の筒状網袋22,23には通水可能な無数の小孔が開いているのである。したがって、これを多孔管と同等の機能を有するものとみなしてもなんら問題はない。
このフィン26は、内側の筒状網袋23内の水の対流の障害とならないよう、あるいは対流のスペースを確保するスペーサとして機能するよう、縦方向、あるいは斜め方向に形成することが望ましい。
また、要部を拡大した部分において地下水の流れは、冷房時はダクト25周辺の水が、矢印aのようにダクト25の外側の螺旋状のフィン26に沿って上昇し、前記ダクト25から離れた部分の水が矢印bのように下降して対流が起きるようになっている。もちろん暖房時においては、水は上記の流れとは逆の挙動を示す。図において矢印cは前記ダクト25内の熱交換媒体の強制的な流れを示すものである。
図8において、27は前記内外二重の筒状網袋22,23の間に砂24を充填するためのノズルである。
11 グラベルドレーン
12 多孔管
13 ダクト
13a U字状折返し部
14 ズレ止め突起
15 フィン
20 縦孔
21 パックドレーン
22,23 筒状網袋
24 砂
25 ダクト
26 フィン
27 ノズル
Claims (5)
- 液状化対策の場合は主に地震時に働く土粒子間の間隙水圧を逃がすため、また、軟弱地盤対策の場合は主に排水を効率よく行うために用いられてきた砂利、砂類からなる粒状物を含む通水材料で構成された透水性のある柱状構造物の内部に地中熱交換用のダクトを配設し、前記ダクト内に熱交換用の冷媒を循環させることにより、液状化対策においては水圧を逃がした経路を通じて、また、軟弱地盤対策の場合は排水をおこなった経路を通じて対流もしくは擬似的な対流を発生させることにより、広く周辺地盤との熱交換を行い、大きな熱交換容量を確保できるようにしたことを特徴とする対流型地中熱交換井。
- 前記透水性のある柱状構造物内部に配設したダクトは、その外周に水の対流の妨げにならないように縦方向もしくは斜め方向の熱交換効率を上げるためのフィンを形成されていることを特徴とする請求項1記載の対流型地中熱交換井。
- 前記透水性のある柱状構造物内部に配設したダクトは、柱状構造物に筒状の中空構造部分を設け、その内壁として多孔管を挿通してその中に配設されており、該多孔管の外周上にはさらに複数のズレ止め突起を形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の対流型地中熱交換井。
- 前記透水性のある柱状構造物内部に配設したフィン付ダクトは、柱状構造物に筒状の中空構造部分を設け、その内壁として所定サイズのメッシュの網目で構成された筒状網袋を挿通してその中に配設されていることを特徴とする請求項2または3記載の対流型地中熱交換井。
- 前記透水性のある柱状構造物は、該柱状構造体もしくはその近傍にセンサー類が付設され、変形状況を該センサー類で把握できるようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の対流型地中熱交換井。
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