JP2015025643A - 大容量地中熱交換井 - Google Patents

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Abstract

【課題】地中熱交換井としての能力が増強され、長尺の井戸を不要とする構造の大容量地中熱交換井を提供する。【解決手段】地面に開けた縦孔の中に、縦孔の内壁から一定の間隙を開けて多孔スリーブ管を配置し、該管と縦孔の内壁との隙間に砂利のような大きな透水性を有する物質を充填することにより前記間隙部位を透水構造とし、さらに前記管の中には熱交換用媒体を流すための熱交換ダクトを挿入した上、該ダクトを利用機器の吸込口および吐出口に接続し、前記ダクトと利用機器との間に熱交換用媒体を循環させて、前記管内で熱交換用媒体が放熱することにより、管内の地下水を加熱して上昇流を生起させ、さらに前記管の下部には周辺から新たな地下水が流れ込んで管周辺に対流が生じ、そうした対流の発生により放熱された熱が広く周辺に拡散することにより地中熱交換井としての容量を大幅に上昇させたことを特徴とする。【選択図】図1

Description

この発明は、地中に縦に設けた多孔管の内部に、管の外部から熱を導入するための熱交換ダクトを、また管の周辺には砂利のような大きな透水性を有する物質で満たされた空間を配し、前記熱交換ダクトにより熱を投入することで多孔管内部および大きな透水性を有する物質で満たされた周辺を含んだ空間において対流を生起させ、大きな熱交換容量を確保できるようにした大容量地中熱交換井に関するものである。
従来、PHC杭や鋼管杭等の中空杭からなる建築用の基礎杭を地中熱交換器の一部として利用する方法が、「地中熱ヒートポンプシステム」(北海道大学地中熱利用システム工学講座著、オーム社発行、非特許文献1参照)において提案されている。
すなわち、前記中空杭の内部構造は、(1)グラウト(セメント(モルタル)系、ガラス系、合成樹脂系などの流動性のある固化材)を充填した鋼管杭内部に、Uチューブ(杭の口径が大きい場合には数組)を挿入することによりグラウトを媒体として間接的に地盤と熱交換する間接熱交換方式と、(2)内部にためた水そのものを熱源水として循環利用する直接熱交換方式がある。
ちなみに、特開2006−52588号公報(特許文献1参照)には、鋼管杭またはコンクリート既成杭等の中空杭の内面に、杭内径よりも小さな外径の地中熱交換用内管を杭軸に沿って設置して地中熱交換用内管付杭とし、その地中熱交換用内管付杭を打設した後に、前記の地中熱交換用内管をU字管方式あるいは二重管方式等の地中熱交換器の一部として利用して地中熱交換器を構築するものである。
しかしながら、特開2006−52588号公報(特許文献1参照)の地中熱交換器の構築方法においては、地中熱交換器として削孔後の鋼管杭またはコンクリート既成杭等の中空杭の内部にU字管や二重管を挿入するものであり、そこから大きな熱交換容量を得るためには非常に長延長の杭や面積当たりに多数の杭が必要で、施工費も嵩み、地中熱利用促進の妨げとなっている。
その他、特開2006−9335号公報(特許文献2参照)には、水脈が存在する地中深くケーシングを植設せしめることにより構築される井戸の地下水熱を熱源として利用する循環密閉回路式地上設備の地中装置が記載されている。
また、特開平58−24762号公報(特許文献3参照)には、不透水層に隔てられて水頭圧ならびに水温値を異にする帯水層間を大気に直接さらすことなく人工的に連結し、両者間の水頭圧差による自然な地下水流を発生させ、地下水流とともに移動する熱エネルギーだけをヒートパイプその他の熱良導体によって該地下水流より分離抽出するようにした地下水からの熱エネルギー採取方法が記載されている。
さらに、特開2010−14359号公報(特許文献4参照)には、地中熱を利用する熱交換チューブを地中の所定の深さまで縦向きに埋設する地中熱利用熱交換チューブの埋設方法において、前記熱交換チューブが埋設される周囲に空間を開けて、麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化し、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体を埋設し、この管状網状体の中に前記熱交換チューブを縦向きに挿入するようにしたことを特徴とする地中熱利用熱交換チューブの埋設方法が記載されている。
しかしながらいずれの先行技術も、熱交換装置としての能力が小さいという欠点については何も解決されていない。
地中熱ヒートポンプシステム(北海道大学地中熱利用システム工学講座著、オーム社発行)
特開2006−52588号公報 特開2006−9335号公報 特開平58−24762号公報 特開2010−14359号公報
以上のように、通常の地中熱交換井は、地面を削孔して熱交換用媒体を流すダクトを挿入し、ダクト周辺の隙間に硅砂を充填した構造となっている。しかし、熱交換装置としての能力が小さいため、通常100mもの長尺の井戸が複数必要となる。
したがってこの発明は、地中熱交換井としての能力が増強され、長尺の井戸を不要とする構造の大容量地中熱交換井を提供しようとするものである。
すなわちこの発明の大容量地中熱交換井は、地面に開けた縦孔の中に、縦孔の内壁から一定の間隙を開けて多孔スリーブ管を配置し、
該多孔スリーブ管と縦孔の内壁との隙間に砂利のような大きな透水性を有する物質を充填することにより前記間隙部位を透水構造とし、
さらに前記多孔スリーブ管の中には熱交換用媒体を流すための一対もしくはそれ以上の本数の熱交換ダクトを挿入した上、該一対もしくはそれ以上の本数の熱交換ダクトを利用機器の吸込口および吐出口に接続し、
前記熱交換ダクトと利用機器との間に熱交換用媒体を循環させて、前記多孔スリーブ管内で熱交換用媒体が放熱することにより、多孔スリーブ管内の地下水を加熱して上昇流を生起させ、
さらに前記多孔スリーブ管の下部には周辺から新たな地下水が流れ込んで多孔スリーブ管とその周辺に対流が生じ、
そうした対流の発生により放熱された熱が広く周辺地盤に拡散することにより地中熱交換井としての容量を大幅に上昇させたことを特徴とするものである。
この発明の大容量地中熱交換井において、前記多孔スリーブ管は、周辺に充填された物質が粒状材料である場合は、管の壁面に設けた通孔のサイズが、前記粒状材料の径よりも小さく形成されているか、前記粒状材料の透過防止手段を備えていることをも特徴とするものである。
この発明の大容量地中熱交換井において、前記熱交換ダクトは、前記縦孔の外部に設置したヒートポンプに連結されて閉ループを形成されていることをも特徴とするものである。
この発明の大容量地中熱交換井においては、多孔スリーブ管と地面に開けた縦孔の内壁との隙間に砂利のような大きな透水性を有する物質を充填して透水性の極めて大きい筒状構造体を構成し、前記多孔スリーブ管内部に設けた熱交換ダクト内に熱交換媒体を循環させることにより、透水性のある筒状構造体全体に対して地下水の対流を促進することができ、しかも周辺地盤と熱交換体である筒状構造体との接触面積が非常に広いため、熱の伝播作用による熱交換量も大きなものが期待できる。したがって、従来の熱交換井に比べ熱容量を大幅に増大させることができる。もちろん、周辺地盤の透水性が良ければ対流域が周辺地盤にまで広がり、容量はさらに拡大することも考えられ、また大量の熱を交換するためには熱交換効率の良いダクトの使用が求められる。
また、上述のように熱交換効率の飛躍的に高いダクトを利用した場合、筒状構造体の長さを短くすることができ、設置位置が浅く、スリーブ管内ではダクトが出し入れ自由に収納されているので各構成部品を取出すことができ、したがって簡便にメンテナンスすることが可能となった。
この発明の大容量地中熱交換井の実施の形態を示す説明図である。
以下、図面に基いて、この発明の大容量地中熱交換井の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、この発明の大容量地中熱交換井の1実施例を示すものである。
この実施例の大容量地中熱交換井10において、14は地上に設置したヒートポンプ(H)であり、該ヒートポンプ(H)14を用いて各種の熱利用機器の熱源として利用することができる。
この発明の大容量地中熱交換井10は、地盤11に大容量地中熱交換井を構成する水で満たされた筒状構造体12を設置し、かつ該筒状構造体12に透水性を付与してある。
すなわち、地面に開けた縦孔21の中に、縦孔21の内壁から一定の間隙を開けて多孔スリーブ管22を配置し、該多孔スリーブ管22と縦孔21の内壁との隙間に砂利31を充填することにより前記間隙部位を透水性のある筒状構造体12としたものである。
そして、前記多孔スリーブ管22の中には熱交換用媒体を流すための熱交換ダクト13をU字状の端末部材で相互に連結し、熱交換用媒体が循環するようにした一対(もしくはそれ以上の本数)を挿入した上、該一対(もしくはそれ以上の本数)のダクト13を利用機器、例えば前記ヒートポンプ(H)14の吸込口および吐出口に接続することにより、前記熱交換ダクト13と、例えばヒートポンプ(H)14からなる利用機器との間に熱交換用媒体を循環させる。
このように構成した閉ループ内を熱交換用媒体を循環させることにより、冷房時には前記多孔スリーブ管22内において、前記熱交換ダクト13を循環する熱交換用媒体が放熱して多孔スリーブ管22内の地下水を加熱することとなって上昇流(W)が生起する。
さらに前記多孔スリーブ管22内には周辺から新たな地下水が流れ込んで多孔スリーブ管22周辺に対流が生じ、そうした対流の発生により放熱された熱が広く周辺に拡散することにより地中熱交換井としての容量を大幅に上昇させることができる。
もちろん、暖房時には逆の対流が起き、同様な効果が望めることはいうまでもない。
前記多孔スリーブ管22は、その壁面に設けた通孔22aのサイズが、前記砂利31の径よりも小さく形成されているか、網目状のフィルタ等からなる前記粒状材料の透過防止手段を備えていることが望ましい。もちろん、網目状のフィルタ以外の前記粒状材料の透過防止手段が存在すればこの限りではない。
この実施例の大容量地中熱交換井10は以上のように構成したので、前記熱交換ダクト13と、例えばヒートポンプ(H)14からなる利用機器との間に熱交換用媒体を循環させ、該熱交換用媒体からの放熱により前記筒状構造体12内に上昇流(W)を起こすと、前記多孔スリーブ管22の外から新たな一定温度の水が流入して前記筒状構造体12内に対流が生じる。
このようにして、前記熱交換ダクト13による熱交換を促進することができ、地中熱交換井10としての容量を格段に拡大することが可能となる。
上記実施例においては、通常の形態の熱交換方式のものについて説明したが、フロンガス等の内部循環物質を機構の外に取り出して、直接熱交換を行う直膨方式に利用すると、さらに効率を高めることができる。
前記実施例においては、この発明の大容量地中熱交換井を中空の筒状構造体を用いた場合について説明したが、この発明の要旨を変更しない範囲で、種々の変形や多様な用途への適用が可能なことはいうまでもない。
10 大容量地中熱交換井
11 地盤
12 筒状構造体
13 熱交換ダクト
14 ヒートポンプ(H)
21 縦孔
22 多孔スリーブ管
22a 通孔
31 砂利
W 上昇流
この発明は、地中に縦に設けた多孔管の内部に、管の外部から熱を導入するための熱交換ダクトを、また管の周辺には砂利のような大きな透水性を有する物質で満たされた空間を配し、前記熱交換ダクトにより熱を投入することで多孔管内部および大きな透水性を有する物質で満たされた周辺を含んだ空間において対流を生起させ、大きな熱交換容量を確保できるようにした大容量地中熱交換井に関するものである。
従来、PHC杭や鋼管杭等の中空杭からなる建築用の基礎杭を地中熱交換器の一部として利用する方法が、「地中熱ヒートポンプシステム」(北海道大学地中熱利用システム工学講座著、オーム社発行、非特許文献1参照)において提案されている。
すなわち、前記中空杭の内部構造は、(1)グラウト(セメント(モルタル)系、ガラス系、合成樹脂系などの流動性のある固化材)を充填した鋼管杭内部に、Uチューブ(杭の口径が大きい場合には数組)を挿入することによりグラウトを媒体として間接的に地盤と熱交換する間接熱交換方式と、(2)内部にためた水そのものを熱源水として循環利用する直接熱交換方式がある。
ちなみに、特開2006−52588号公報(特許文献1参照)には、鋼管杭またはコンクリート既成杭等の中空杭の内面に、杭内径よりも小さな外径の地中熱交換用内管を杭軸に沿って設置して地中熱交換用内管付杭とし、その地中熱交換用内管付杭を打設した後に、前記の地中熱交換用内管をU字管方式あるいは二重管方式等の地中熱交換器の一部として利用して地中熱交換器を構築するものである。
しかしながら、特開2006−52588号公報(特許文献1参照)の地中熱交換器の構築方法においては、地中熱交換器として削孔後の鋼管杭またはコンクリート既成杭等の中空杭の内部にU字管や二重管を挿入するものであり、そこから大きな熱交換容量を得るためには非常に長延長の杭や面積当たりに多数の杭が必要で、施工費も嵩み、地中熱利用促進の妨げとなっている。
その他、特開2006−9335号公報(特許文献2参照)には、水脈が存在する地中深くケーシングを植設せしめることにより構築される井戸の地下水熱を熱源として利用する循環密閉回路式地上設備の地中装置が記載されている。
また、特開平58−24762号公報(特許文献3参照)には、不透水層に隔てられて水頭圧ならびに水温値を異にする帯水層間を大気に直接さらすことなく人工的に連結し、両者間の水頭圧差による自然な地下水流を発生させ、地下水流とともに移動する熱エネルギーだけをヒートパイプその他の熱良導体によって該地下水流より分離抽出するようにした地下水からの熱エネルギー採取方法が記載されている。
さらに、特開2010−14359号公報(特許文献4参照)には、地中熱を利用する熱交換チューブを地中の所定の深さまで縦向きに埋設する地中熱利用熱交換チューブの埋設方法において、前記熱交換チューブが埋設される周囲に空間を開けて、麺状の熱可塑性樹脂を3次元で網状に絡ませて管状に成形固化し、内表面と外表面に連通する空隙を有する管状網状体を埋設し、この管状網状体の中に前記熱交換チューブを縦向きに挿入するようにしたことを特徴とする地中熱利用熱交換チューブの埋設方法が記載されている。
なお、本件出願人は特許4928644号公報(特許文献5参照)において対流型地中熱交換井を提案している。
しかしながらいずれの先行技術も、熱交換装置としての能力が小さいという欠点については何も解決されていない。
地中熱ヒートポンプシステム(北海道大学地中熱利用システム工学講座著、オーム社発行)
特開2006−52588号公報 特開2006−9335号公報 特開平58−24762号公報 特開2010−14359号公報 特許4928644号公報
以上のように、通常の地中熱交換井は、地面を削孔して熱交換用媒体を流すダクトを挿入し、ダクト周辺の隙間に硅砂を充填した構造となっている。しかし、熱交換装置としての能力が小さいため、通常100mもの長尺の井戸が複数必要となる。
したがってこの発明は、地中熱交換井としての能力が増強され、長尺の井戸を不要とする構造の大容量地中熱交換井を提供しようとするものである。
すなわちこの発明の大容量地中熱交換井は、地面に開けた縦孔の中に、縦孔の内壁から一定の間隙を開けて多孔スリーブ管を配置し、
該多孔スリーブ管と縦孔の内壁との隙間に砂利のような大きな透水性を有する物質を充填することにより前記間隙部位を透水構造とし、
さらに前記多孔スリーブ管の中には熱交換用媒体を流すための一対もしくはそれ以上の本数の熱交換ダクトを挿入した上、該一対もしくはそれ以上の本数の熱交換ダクトを利用機器の吸込口および吐出口に接続し、
前記熱交換ダクトと利用機器との間に熱交換用媒体を循環させて、前記多孔スリーブ管内で熱交換用媒体が放熱することにより、多孔スリーブ管内の地下水を加熱して上昇流を生起させ、
さらに前記多孔スリーブ管の下部には周辺から新たな地下水が流れ込んで多孔スリーブ管とその周辺に対流が生じ、
そうした対流の発生により放熱された熱が広く周辺地盤に拡散することにより地中熱交換井としての容量を大幅に上昇させたことを特徴とし、液状化対策または軟弱地盤対策の場合以外の用途に用いるものである。
この発明の大容量地中熱交換井において、前記多孔スリーブ管は、周辺に充填された物質が粒状材料である場合は、管の壁面に設けた通孔のサイズが、前記粒状材料の径よりも小さく形成されているか、前記粒状材料の透過防止手段を備えていることをも特徴とするものである。
この発明の大容量地中熱交換井において、前記熱交換ダクトは、前記縦孔の外部に設置したヒートポンプに連結されて閉ループを形成されていることをも特徴とするものである。
この発明の大容量地中熱交換井においては、多孔スリーブ管と地面に開けた縦孔の内壁との隙間に砂利のような大きな透水性を有する物質を充填して透水性の極めて大きい筒状構造体を構成し、前記多孔スリーブ管内部に設けた熱交換ダクト内に熱交換媒体を循環させることにより、透水性のある筒状構造体全体に対して地下水の対流を促進することができ、しかも周辺地盤と熱交換体である筒状構造体との接触面積が非常に広いため、熱の伝播作用による熱交換量も大きなものが期待できる。したがって、従来の熱交換井に比べ熱容量を大幅に増大させることができる。もちろん、周辺地盤の透水性が良ければ対流域が周辺地盤にまで広がり、容量はさらに拡大することも考えられ、また大量の熱を交換するためには熱交換効率の良いダクトの使用が求められる。
また、上述のように熱交換効率の飛躍的に高いダクトを利用した場合、筒状構造体の長さを短くすることができ、設置位置が浅く、スリーブ管内ではダクトが出し入れ自由に収納されているので各構成部品を取出すことができ、したがって簡便にメンテナンスすることが可能となった。
この発明の大容量地中熱交換井の実施の形態を示す説明図である。
以下、図面に基いて、この発明の大容量地中熱交換井の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、この発明の大容量地中熱交換井の1実施例を示すものである。
この実施例の大容量地中熱交換井10において、14は地上に設置したヒートポンプ(H)であり、該ヒートポンプ(H)14を用いて各種の熱利用機器の熱源として利用することができる。
この発明の大容量地中熱交換井10は、地盤11に大容量地中熱交換井を構成する水で満たされた筒状構造体12を設置し、かつ該筒状構造体12に透水性を付与してある。
すなわち、地面に開けた縦孔21の中に、縦孔21の内壁から一定の間隙を開けて多孔スリーブ管22を配置し、該多孔スリーブ管22と縦孔21の内壁との隙間に砂利31を充填することにより前記間隙部位を透水性のある筒状構造体12としたものである。
そして、前記多孔スリーブ管22の中には熱交換用媒体を流すための熱交換ダクト13をU字状の端末部材で相互に連結し、熱交換用媒体が循環するようにした一対(もしくはそれ以上の本数)を挿入した上、該一対(もしくはそれ以上の本数)のダクト13を利用機器、例えば前記ヒートポンプ(H)14の吸込口および吐出口に接続することにより、前記熱交換ダクト13と、例えばヒートポンプ(H)14からなる利用機器との間に熱交換用媒体を循環させる。
このように構成した閉ループ内を熱交換用媒体を循環させることにより、冷房時には前記多孔スリーブ管22内において、前記熱交換ダクト13を循環する熱交換用媒体が放熱して多孔スリーブ管22内の地下水を加熱することとなって上昇流(W)が生起する。
さらに前記多孔スリーブ管22内には周辺から新たな地下水が流れ込んで多孔スリーブ管22周辺に対流が生じ、そうした対流の発生により放熱された熱が広く周辺に拡散することにより地中熱交換井としての容量を大幅に上昇させることができる。
もちろん、暖房時には逆の対流が起き、同様な効果が望めることはいうまでもない。
前記多孔スリーブ管22は、その壁面に設けた通孔22aのサイズが、前記砂利31の径よりも小さく形成されているか、網目状のフィルタ等からなる前記粒状材料の透過防止手段を備えていることが望ましい。もちろん、網目状のフィルタ以外の前記粒状材料の透過防止手段が存在すればこの限りではない。
この実施例の大容量地中熱交換井10は以上のように構成したので、前記熱交換ダクト13と、例えばヒートポンプ(H)14からなる利用機器との間に熱交換用媒体を循環させ、該熱交換用媒体からの放熱により前記筒状構造体12内に上昇流(W)を起こすと、前記多孔スリーブ管22の外から新たな一定温度の水が流入して前記筒状構造体12内に対流が生じる。
このようにして、前記熱交換ダクト13による熱交換を促進することができ、地中熱交換井10としての容量を格段に拡大することが可能となる。
上記実施例においては、通常の形態の熱交換方式のものについて説明したが、フロンガス等の内部循環物質を機構の外に取り出して、直接熱交換を行う直膨方式に利用すると、さらに効率を高めることができる。
前記実施例においては、この発明の大容量地中熱交換井を中空の筒状構造体を用いた場合について説明したが、この発明の要旨を変更しない範囲で、種々の変形や多様な用途への適用が可能なことはいうまでもない。
10 大容量地中熱交換井
11 地盤
12 筒状構造体
13 熱交換ダクト
14 ヒートポンプ(H)
21 縦孔
22 多孔スリーブ管
22a 通孔
31 砂利
W 上昇流

Claims (3)

  1. 地面に開けた縦孔の中に、縦孔の内壁から一定の間隙を開けて多孔スリーブ管を配置し、
    該多孔スリーブ管と縦孔の内壁との隙間に砂利のような大きな透水性を有する物質を充填することにより前記間隙部位を透水構造とし、
    さらに前記多孔スリーブ管の中には熱交換用媒体を流すための一対もしくはそれ以上の本数の熱交換ダクトを挿入した上、該一対もしくはそれ以上の本数のダクトを利用機器の吸込口および吐出口に接続し、
    前記ダクトと利用機器との間に熱交換用媒体を循環させて、前記多孔スリーブ管内で熱交換用媒体が放熱することにより、多孔スリーブ管内の地下水を加熱して上昇流を生起させ、
    さらに前記多孔スリーブ管の下部には周辺から新たな地下水が流れ込んで多孔スリーブ管とその周辺に対流が生じ、
    そうした対流の発生により放熱された熱が広く周辺に拡散することにより地中熱交換井としての容量を大幅に上昇させたことを特徴とする大容量地中熱交換井。
  2. 前記多孔スリーブ管は、周辺に充填された物質が粒状材料である場合は、管の壁面に設けた通孔のサイズが、前記粒状材料の径よりも小さく形成されているか、前記粒状材料の透過防止手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の大容量地中熱交換井。
  3. 前記熱交換ダクトは、前記縦孔の外部に設置したヒートポンプに連結されて閉ループを形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の大容量地中熱交換井。
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