JP4927120B2 - 酸性調味料 - Google Patents

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本発明は、保存後においてもコーン風味に優れたコーン入り酸性調味料に関する。
粒状コーン入りのマヨネーズや、クリーム状のコーンを配合したドレッシング等のコーン風味の酸性調味料が洋食を中心に利用されている。コーンは、特有の甘い風味を有し、食酢や柑橘類果汁の酸味と併せて使用することで、コーン特有の甘い風味もひきたてられる。
しかしながら、これらコーン入りの酸性調味料は、製造後時間が経過するにつれて、コーン特有の甘い風味が徐々に弱くなってしまうという問題があった。
コーン風味を強化する技術としては、例えば、特開平1−13966号公報(特許文献1)に、加熱処理したスイートコーン原料を液化状態の二酸化炭素で抽出したコーンフレーバーを種々の食品に添加してスイートコーンの香りを強化することが提案されている。しかしながら、当該フレーバーは、香りの付与のみでコーン特有の甘い風味全般を強化するものではなく、酸性調味料中でコーン風味が経時的に弱くなる問題を解決することはできないものである。
特開平1−13966号公報
本発明の目的は、保存後においてもコーン風味に優れたコーン入り酸性調味料を提供するものである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特有の強い香味を有するカレー粉を、コーンに対して極微量の特定量含有させたコーン入り酸性調味料は、意外にも保存後であってもコーン風味に優れていることを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)コーンを製品に対して10〜50%含有したコーン入り酸性調味料において、カレー粉をコーン100部に対して0.01〜1.5部含有しているコーン入り酸性調味料、
(2)前記カレー粉が湿熱加熱されている(1)記載のコーン入り酸性調味料、
である。
本発明のコーン入り酸性調味料は、製造後時間が経過しても優れたコーン風味を有する。したがって、パンのフィリング等に利用される粒状コーン入りのマヨネーズや、クリーム状のコーンを配合したドレッシング等のコーン風味酸性調味料の市販品について、更なる需要の拡大が期待される。
以下、本発明の酸性調味料を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
本発明のコーン入り酸性調味料とは、コーンを製品に対して10〜50%含有したコーン風味の酸性調味料をいう。また、酸性調味料とは、食酢、柑橘類果汁、有機酸等の酸材を配合したpH3〜5の半固体状又は液状の調味料のことであり、このような酸性調味料としては、具体的には、例えば、半固体状ドレッシング、乳化液状ドレッシング、分離液状ドレッシング、マヨネーズ、サラダクリーミードレッシング、あるいは、食用油脂を原材料として使用していないドレッシングタイプ調味料、更には、食酢や柑橘類果汁等を配合した種々のソース、たれ、スプレッド、フィリング等が挙げられる。
一方、前記本発明で用いるコーンとは、未成熟トウモロコシの果粒部分をいい、本発明のコーン入り酸性調味料に含有させる際の形態としては、特に制限は無く、例えば、粒状の果粒やこれを粉砕、あるいは、磨り潰し処理をしたもの、更には、これらの乾燥品を乾燥前の水分含量に水戻しした物等であってもよい。未成熟トウモロコシ果粒は、例えば、穂軸付きの未成熟トウモロコシを用意し、コーンカッター等で果軸から果粒を脱粒する等により得ることができ、更に、得られたトウモロコシ果粒を磨り潰し処理することにより、いわゆるクリームスタイルのコーンが得られる。これらコーンは冷凍品や缶詰等が市販されているので本発明においてはこれらの市販品を用いてもよい。また、トウモロコシの品種としては、デントコーン、フリントコーン、スイートコーンなど、種々の品種があるが、本発明においては、コーン特有の甘みのある風味が強いスイートコーン、つまり、Zea Mays L.に属する品種を用いることが好ましい。
本発明のコーン入り酸性調味料は、コーンに対して特定量のカレー粉、すなわち、コーン100部に対して0.01〜1.5部のカレー粉を含有することを特徴する。このようにコーンに対して特定量のカレー粉を含有させることにより、保存後においてもコーン風味に優れたコーン入り酸性調味料が得られる。前記カレー粉の含有量としては、保存後により良好なコーン風味が得られる点からは、コーン100部に対して0.1〜0.5部が好ましい。
これに対して、カレー粉の含有量が前記特定範囲よりも少ない場合は、保存後においても優れたコーン風味を有するコーン入り酸性調味料は得られない。一方、カレー粉を多量に配合した場合は当然カレー味になって保存後においても優れたコーン風味を有するコーン入り酸性調味料が得られないが、本発明においては、カレー粉の含有量が前記特定範囲よりも多い場合は、カレー味が感じられない程度のカレー粉含有量であったとしても、保存後に優れたコーン風味を有するコーン入り酸性調味料は得られない。つまり、本発明のコーン入り酸性調味料においては、カレー味が感じられないごく微量のカレー粉がコーン風味に影響を与え、その結果、保存後においてもの良好なコーン風味が得られている。
本発明で用いる前記カレー粉とは、カレーの原料となる粉末状混合香辛料であり、本発明においては、一般的にカレー粉と称されるものであれば特に制限なく用いることができる。カレー粉は、一般的に、香味料に分類される香辛料、辛味料に分類される香辛料、及び着色料に分類される香辛料を混合して焙煎した後、熟成して製造され、本発明においても同様に製造したものを用いることができる。原料とする香辛料としては、具体的には、香味料に分類される香辛料として、カルダモン、クローブ、ナツメグ、メース、フェネグリーク、ローレル、フェンネル、コリアンダー、クミン、キャラウェー、タイム、セージ、陳皮、オレンジピール等が挙げられ、辛味料に分類される香辛料として、コショウ、唐辛子、マスタード、ジンジャー等が挙げられる。着色料に分類される香辛料として、ターメリック、パプリカ、サフラン等が挙げられる。また、このようなカレー粉は、カレー粉、あるいはカレーパウダー等の名称で市販されており、本発明においてはこれら市販品を用いてもよい。
また、本発明のコーン入り酸性調味料に含有する前記カレー粉としては、湿熱加熱されたものであることが好ましい。湿熱加熱とは、水を熱の媒体とした加熱方法をいい、湿熱加熱されたカレー粉とは、例えば、鍋等で加水した状態で加熱されたカレー粉や、スチーマー等でスチーム加熱されたカレー粉等が挙げられる。カレー粉は、一般的に原料香辛料を混合して焙煎、熟成して香りだちをよくしているが、本発明においては、この焙煎、熟成したカレー粉を酸性調味料にそのまま含有させるのではなく、このように湿熱加熱してから用いることにより、保存後のコーン入り酸性調味料のコーン風味をより好ましいものとすることができる。湿熱加熱温度は、保存後のコーン入り酸性調味料においてより好ましいコーン風味が得られ易い点から、80〜120℃程度に加熱することが好ましい。
なお、本発明のコーン入り酸性調味料には、上述したコーン及びカレー粉以外に本発明の効果を損なわない範囲で酸性調味料に一般的に使用されている各種原料を適宜選択し配合させることが出来る。例えば、菜種油、コーン油、綿実油、サフラワー油、オリーブ油、紅花油、大豆油、パーム油、魚油、卵黄油等の動植物油又はこれらの精製油(サラダ油)、あるいはMCT(中鎖脂肪酸トリグリセリド)、ジグリセリド、硬化油、エステル交換油等のような化学的、酵素的処理等を施して得られる油脂、あるいは各種スパイスオイル等の食用油脂、卵黄、ホスフォリパーゼA処理卵黄、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、リゾレシチン、オクテニルコハク酸処理澱粉等の乳化材、食塩、砂糖、グルタミン酸ソーダ、醤油、味噌、核酸系旨味調味料等の各種調味料、食酢、クエン酸、酒石酸、コハク酸、リンゴ酸、柑橘類果汁等の酸材、香辛料、アスコルビン酸又はその塩、ビタミンE等の酸化防止剤、色素、キサンタンガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、アラビアガム、馬鈴薯澱粉、トウモロコシ澱粉、うるち米澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、ワキシコーンスターチ、もち米澱粉等の澱粉又はこれらの化工澱粉、湿熱処理澱粉等の増粘材等が挙げられる。
本発明のコーン入り酸性調味料の製造は、原料の一部として上述したコーン及びカレー粉を特定量配合する他は、一般的な酸性調味料の製造方法に準じて行うことができる。例えば、一般的に酸性調味料の原料として使用されている食酢、柑橘類果汁、食用油脂、砂糖、食塩、各種エキス、清水、乳化材、増粘剤等から本発明の効果を損なわない範囲で適宜選択し、常法に準じて混合してコーン入り酸性調味料を製造すればよい。得られた本発明のコーン入り酸性調味料は、パウチ、合成樹脂製容器、瓶等に充填すると、長期保管や製品としての流通が可能となる。
次に、本発明を実施例、比較例及び試験例に基づき、更に説明する。
[実施例1]
下記に示す配合割合で仕上がり100kgのコーン入り酸性水中油型乳化状調味料を製した。つまり、まず、撹拌装置付きの二重釜に食塩、砂糖、カレー粉(エスビー食品(株)製、商品名「カレー」、ターメリック、コリアンダー、クミン、フェネグリーク、こしょう、赤唐辛子、ちんぴを主原料とするもの)及び清水を投入して、撹拌しながら品温90℃まで加熱後、冷却して混合液を製した。次に、得られた混合液、マヨネーズ(キユーピー(株)製、商品名「キユーピー マヨネーズ」)及び粒状スイートコーン(キユーピー(株)製、商品名「アヲハタ 十勝コーン ホール」)を撹拌タンクに投入し、全体が略均一となるように混合してコーン入り酸性水中油型乳化状調味料を製した。続いて、得られたコーン入り酸性水中油型乳化状調味料を200mL容量のナイロンポリ袋(外側からナイロン15μm、PE60μm)に150gずつ充填密封した。なお、本実施例において、粒状コーン100部に対するカレー粉含有量は0.25部である。
<配合割合>
マヨネーズ 55%
粒状コーン 40%
食塩 0.5%
砂糖 0.5%
カレー粉 0.1%
清水 3.9%
――――――――――――――――――――

合計 100%
[試験例1]
実施例1において、カレー粉の配合量を0.001%、0.01%、0.05%、0.1%、0.25%、0.5%、1.0%、1.5%、2.5%、3.8%に変え、その増加分又は減少分は清水の配合量で補正した他は、実施例1と同じ配合と製法でカレー粉配合量の異なる10種類のコーン入り酸性水中油型乳化状調味料を製した。また、同様にしてカレー粉を配合しない対照品のコーン入り酸性水中油型乳化状調味料を製した。以上のようにして得たカレー粉配合量の異なる10種類のコーン入り酸性水中油型乳化状調味料及び対照品を20℃で1週間保管した後、各酸性水中油型乳化状調味料を用いて下記方法でコーンパンを調製し、訓練されたパネラーが下記評価基準により風味を評価した。結果を表1に示す。
<コーンパンの調製方法>
常法により調製した。つまり、調製した一次醗酵済みのパン生地100gにコーン入り酸性水中油型乳化状調味料30gを包んで成形し、二次醗酵させた後、焼成してコーンパンを調製した。
<風味の評価方法>
コーン風味
コーンパンを喫食したときのコーン特有の風味(舌で感じる甘みと口腔内に広がる甘い香りによって形成される風味)の強さを対照品と比較した下記5段階の評価基準で評価した。
5点.対照品に比べて強い。
4点.対照品に比べてやや強い。
3点.対商品と同程度である。
2点.対照品に比べてやや弱い。
1点.対照品に比べて弱い。
カレー風味
コーンパンを喫食したときにカレー風味を感じるかどうかを評価した。評価結果の記号は以下の通りである。
+.カレー風味を感じる。
−.カレー風味を感じない。
表1より、コーン100部に対するカレー粉含有量が、0.01〜1.5部であるコーン入り酸性調味料は、カレー粉を配合していない対照品に比べて保存後のコーン風味が強いことが理解できる。特に、コーン100部に対するカレー粉含有量が0.1〜0.5部であると、よりコーン風味が強く好ましかった。これに対して、カレー粉含有量が前記範囲より少ない場合、あるいは、カレー粉含有量が前記範囲よりも多い場合は、コーン風味の増強効果が得られなかった。
[実施例2]
下記に示す配合割合で仕上がり100kgのコーン入り分離液状ドレッシングを製した。つまり、まず、撹拌装置付きの二重釜に食塩、砂糖、カレー粉(ハウス食品(株)製、商品名「カレーパウダー」)及び清水を投入して、撹拌しながら品温90℃まで加熱後、冷却して混合液を製した。次に、得られた混合液、食酢、レモン果汁及びコーン粉砕物(実施例1と同じ粒状スイートコーンをフードカッターでペーストとしたもの)を撹拌タンクに投入し、全体が略均一となるように混合してコーン入りの混合液を製した。続いて、分離液状調味料の容量が250mLとなるように250mL容量のPET容器に水相部である前記コーン入りの混合液を充填した後に、残りの油相部である食用油脂を充填して水相部に油相部であるサラダ油を積層させ密栓した。本実施例において、コーン100部に対するカレー粉含有量は0.1部である。
<配合割合>
(油相部)
サラダ油 35%
(水相部)
食酢(酸度4%) 22%
コーン粉砕物 20%
レモン果汁 10
食塩 0.5%
砂糖 0.5%
カレー粉 0.02%
清水 11.98%
――――――――――――――――――――

合計 100%
[実施例3]
実施例2において、カレー粉を湿熱加熱しなかった他は、同様の配合と製法で仕上がり100kgのコーン入り分離液状ドレッシングを製した。つまり、まず、食酢、レモン果汁、食塩、砂糖、カレー粉、清水、及びコーン粉砕物を撹拌タンクに投入し、全体が略均一となるように混合してコーン入りの混合液を製した。続いて、分離液状調味料の容量が250mLとなるように250mL容量のPET容器に水相部である前記コーン入りの混合液を充填した後に、残りの油相部である食用油脂を充填して水相部に油相部であるサラダ油を積層させ密栓した。本実施例において、コーン100部に対するカレー粉含有量は0.1部である。
[試験例2]
実施例2及び3で得たコーン入り分離液状ドレッシングのコーン風味について評価した。つまり、まず、実施例2において、カレー粉を配合せずその減少分は清水の配合量で補正した以外は同様の方法で対照品のコーン入り分離液状ドレッシングを製した。次に、実施例2及び3で得たコーン入り分離液状ドレッシング、並びに対照品のコーン入りドレッシングを室温(20℃)で1週間保存した。保存後のドレッシングをそれぞれレタスと和えてサラダを製し、各サラダを喫食してコーン風味を評価したところ、実施例2及び3で得たコーン入り分離液状ドレッシングを用いたサラダは、対照品を用いたサラダに比べてコーン風味が強く好ましかった。特に、湿熱加熱したカレー粉を含有する実施例2のコーン入り分離液状ドレッシングを用いたサラダは、実施例3のコーン入り分離液状ドレッシングを用いたサラダに比べてよりコーン特有の甘い香りが強く好ましかった。

Claims (2)

  1. コーンを製品に対して10〜50%含有したコーン入り酸性調味料において、カレー粉をコーン100部に対して0.01〜1.5部含有していることを特徴とするコーン入り酸性調味料。
  2. 前記カレー粉が湿熱加熱されている請求項1記載のコーン入り酸性調味料。
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